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2021年の回顧(その1)(2021年回顧と2022年展望:(中東情勢):2022年の焦点はシリアのアラブ復帰 揺れ動く対イラン関係、中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか、(中国):中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか、(国内政治):岸田長期政権の〝視界ゼロ〟党内対立が政策妨げる恐れも) [世界情勢]

今日は、2021年の回顧(その1)(2021年回顧と2022年展望:(中東情勢):2022年の焦点はシリアのアラブ復帰 揺れ動く対イラン関係、中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか、(中国):中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか、(国内政治):岸田長期政権の〝視界ゼロ〟党内対立が政策妨げる恐れも)を取上げよう。

先ずは、12月30日付けWEDGE Infinity「2021年回顧と2022年展望」「2022年の焦点はシリアのアラブ復帰 揺れ動く対イラン関係 2021年回顧と2022年展望(中東情勢)佐々木伸 (星槎大学大学院教授)」を紹介しよう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25302
・『2021年の中東情勢を振り返るとき、安定とは程遠い状況が続いた感があるが、米国プレゼンスの弱体化が進む中、イスラエルやペルシャ湾岸諸国を中心に政治的再編の新しい動きも浮き彫りになった。来年の展望はどうなるのか。イランが台風の目にとどまるのは必至だが、アラブ世界ではアサド独裁体制が強まるシリアの復帰が焦点となりそうだ』、なるほど。
・『イラン攻撃への準備は2年必要  今年の中東情勢の最大の出来事はアフガニスタンの崩壊、タリバンの政権奪取だった。米軍や北大西洋条約機構(NATO)が完全撤退した結果だ。その混乱はなお続いているが、タリバンを承認した国がないことでも分かるように、同国の前途は多難だ。国民の大半が食糧不足に直面している。 この他にも、イエメン戦争の泥沼状態は続き、パレスチナのガザの武装組織ハマスとイスラエルの対決はいつ火が吹いてもおかしくない状況だ。イラクではイラン系の民兵によるドローン攻撃で、首相暗殺未遂事件も起きた。内戦終結にこぎ着けたと思ったリビアでは、大統領選挙が土壇場で延期され、再び不穏な空気が漂い始めている。 破綻国家レバノンの窮乏は留まるところを知らず、トルコではエルドアン大統領の金融政策の失敗で通貨リラが暴落、インフレが庶民の生活を直撃し、経済危機が深まっている。こうした中で、核武装が懸念されるイランの動向に周辺国はもとより、欧米も振り回された。 反米強硬派のライシ政権下で11月、イラン核交渉の再建協議が再開したが、予想されていたようにイラン側が米制裁の「即時全面解除」が先決と主張し難航した。協議はいったん中断し、12月27日に再開したが、進展は難しいだろう。 イランの核武装は国家存亡の危機と恐れるイスラエルは軍事攻撃で核開発をストップさせようとしているが、バイデン米政権は新型の空中給油機のイスラエル供与を遅らせるなどイスラエルの暴走に神経を尖らしている。だが、イスラエル単独では、イラン攻撃は困難だ。「攻撃準備に2年間は必要だろう」(米高官)と見られる中、その焦りは高まる一方だ』、「2年間」で「イスラエル単独」でも「イラン攻撃」が可能になるというのも、考えてみれば恐ろしい。
・『サウジとイランの和解の可能性  このイランをめぐってはトランプ米前政権下、湾岸諸国は米、イスラエルとともにイラン包囲網を構築する一方、トランプ氏肝いりの「アブラハム合意」により、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、スーダンがイスラエルと国交回復に合意、従来の「アラブ対イスラエル」という伝統的な中東地図を塗り替えた。 湾岸諸国域内でもサウジアラビアが主導した〝カタールいじめ〟に終止符が打たれ、サウジアラビアが断交していたカタールとの国交正常化に踏み切った。砂漠の風紋のように離合集散を繰り返す中東政治のドラマだ。この中心的役割を果たしたのはUAEの実力者、ムハンマド・アブダビ皇太子だ。 12月にはイスラエルのベネット首相をイスラエルの指導者として初めてUAEへ迎えた。一方でこの訪問に先立ってイランに特使を送って配慮を示し、関係改善の意欲を見せつけた。バイデン政権が中東への関与を弱める中、米国に引きずられていつまでもイランと敵対ばかりしてはいられない、という現実的な感情を反映した動きだろう。 来年の焦点はサウジがイランとの復交に踏み切るかどうかだ。サウジはこの4月からイラクのバグダッドを舞台にイラン側との関係改善に向けた協議を続けてきた。報道によると、サウジ側が12月、ジッダに本部を置く「イスラム協力機構」へのイラン代表外交官3人に査証を発給することで合意したという。関係改善の兆候と言えるが、イランとの復交がなるかどうかはサウジを牛耳るムハンマド・ビン・サルマン皇太子の決断にかかっている』、「サルマン皇太子」は「ジャーナリスト殺害事件」にも関らず、実権を握り続けているようだ。
・『コンドーム禁止でイランが〝富国強兵〟?  そのイランだが、コンドームが薬局などで入手できないほどの品不足になっており、その背景には人口増による大国を目指す政府の政策が働いているとの見方が広がっている。女性の人権活動家らは望まない妊娠が増えると懸念しているという。 中東専門誌「ミドルイースト・アイ」などによると、最高指導者ハメネイ師はここ数年、産児制限に強く反対を表明してきたが、最近避妊具の配布を制限するよう指示。イランの人口を1億5000万人まで増大させる必要性を強調した。イランの人口は現在、約8500万人だが、出生率の低下が懸念されており、ハメネイ師の発言にはこの傾向に歯止めをかけ、中東のさらなる大国への野望が込められているようだ。 こうしたハメネイ師の見解を受け、イラン国会は10月、「若年人口と家庭の保護」という新法を成立、このほど施行された。同法は避妊と中絶の規制を求めており、コンドームの全土での無料配布を禁じている。元々、経済制裁下にある中で、外国製のコンドームが入らなくなり、ほとんど店頭から消えた。国内製のコンドームはあるようだが、粗悪で評判が悪い』、「避妊と中絶の規制」をしたところで、人口が想定通り増えると考えるのは甘い。
・『アサド一族によるシリアの私物化進む  中東政治の再編の中で目が離せないのはシリアの復権だ。イランの支援を受けた内戦で、アラブ連盟から〝除名〟処分を受け、資格を停止された。だが、このところ、内戦後を見据えてアラブ諸国との接近が増えてきた。ここでもイニシアチブを取っているのはUAEのムハンマド・アブダビ皇太子だ。 皇太子は10月、シリアのアサド大統領と電話会談。これに先立ちシリアと隣接するヨルダンのアブドラ国王も電話会談した。エジプトとシリアの外相会談も10年ぶりに実現。連盟復帰には全加盟国の賛成が必要だが、復帰が取り沙汰されいること自体、アラブ世界での認知を目指すアサド政権にとっては大きなプラスだろう。 だが、シリアの内情は悲惨な状況だ。過激派組織「イスラム国」(IS)は掃討され、内戦は小康状態にあるものの、終結はしていない。イランやロシアの支援、トルコの介入で戦闘が収まっているにすぎない。人口2000万人の半分が難民となり、国民の大勢が貧困にあえいでいる。 イランとロシアに膨大な借金を背負い込んだアサド大統領は国家の私物化を推進、その独裁ぶりが一段と強まっていることも忘れてはならない。内戦により通貨シリア・ポンドは85%も下落、経済が縮小、国家の破産状態が続いている。ワシントン・ポスト紙によると、こうした中、アサド大統領は生き残りのため、3つの方法で金を稼いでいる。 1つは携帯通信会社の乗っ取り。シリア市場を独占していた2社にさまざまな注文を付けて私物化し、経営者として側近を送り込んだ。このうちの1社は100億ドルの資産価値があるという従兄の「シリアテル」だが、身内であっても容赦しないアサド大統領の非情さを示すものだ。 大統領はこのほか、「カプタゴン」と呼ばれる覚せい剤の密造と販売も手掛け、莫大な利益を得ているという。また、シリアを訪れる人道支援団体や国連機関には、ドルとシリア・ポンドの交換レートを市場より何倍も高く設定し、その利ザヤで19年から20年の1年間で1億ドルを稼ぎ出した。同紙は「泥棒国家」と形容している』、「シリア」を「泥棒国家」とは言い得て妙だ。

次に、12月28日付けWEDGE Infinity「2021年回顧と2022年展望:中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか 2021年回顧と2022年展望(中国)高口康太 (ジャーナリスト)」を紹介しよう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25292
・『「2021年、中国の産業ロボット市場が一気に拡大しました。知り合いの企業は売上が一気に4倍に。ついに産業ロボット元年が到来したのではないでしょうか」 中国のベンチャーキャピタリストからこんな話を聞いた。実際、ロボットはよく売れているようだ。 中国工業の中心地である広東省、同省の統計局は2021年1月から11月の産業ロボット市場が前年同期比60.1%増という高成長を記録したことを発表している。導入が進んでいるだけではない。中国国内のロボット産業をリードする能力があると省政府より認められた「省級ロボット中心企業」の認定を受けた企業は100社を超えるなど、メーカーの数も増え続けている。中国経済紙・21世紀経済報道は「機器換人」(ロボットが人間を代替する)はテスト導入の段階を終え、普及段階に入りつつあると評している。 経済規模のみならず技術力の分野でも目覚ましい成長を続ける中国が、産業ロボットの分野でも飛躍しようとしている……と見れば、中国にとってポジティブなニュースと受け止められるが、「製造業はなぜロボット導入を急ぐのか?」との背景に目を向ければ、けして明るいニュースとだけ見ることは難しい』、どういうことなのだろう。
・『「世界の工場」の人手にも陰りが  中国の経済成長を支えたのは「世界の工場」というポジションだ。人口大国の中国には無限の労働力があるとまで言われた。その労働力を活用すれば、安価に製品を量産することができる。そうした考えから外資系企業が大挙して中国に進出し、工場を構えた。 当初は外資系企業の下請け組み立て工場やサプライヤーだった中国企業も、次第に資本力と技術力を身につけていき、今では世界的企業も数多く生まれている。 工場が増え労働需要が高まれば賃金が上昇するのが道理だが、中国では働き手の数がなにせ膨大にいるだけになかなか賃金が上がらない。広東省を例に出せば、広州市や深圳市の周辺の労働力が払底しても、湖南省や広西チワン族自治区という内陸の後背地からの出稼ぎ労働者が多く、労働力には困らなかった。 しかし、2010年代後半に入ると、ついに中国でも労働力不足が表面化してきた。経済成長に伴い全体の雇用が増えたこと、そして中西部の経済成長が加速しわざわざ遠隔地まで出かける出稼ぎ労働者が減ったことがあげられる。 また、若い世代の価値観の変化も大きい。かつての労働者はいわゆる3Kの仕事もいとわなかったが、今20~30代の若者は出稼ぎ労働者であっても、きつい仕事を敬遠する傾向が強い。消費の成長に伴いサービス業での雇用が増えていることもあって、製造業は労働力の確保が困難になってきた』、「2010年代後半に入ると、ついに中国でも労働力不足が表面化」、ようやく他国並みの経済になったということだ。
・『一人っ子政策から少子化対策へ  そこにダメ押しとなったのが少子化だ。中国の出生数は近年、急減している。計画生育、いわゆる一人っ子政策が緩和され、すべての夫婦に2人目出産が解禁された2016年の出生数は前年比131万人増の1786万人を記録したが、その後は急落が続く。20年には1200万人にまで落ち込んだ。わずか4年で600万人近い減少だ。 20年に実施された国勢調査では、中国全体ではかろうじて人口増をキープしたが、すでに人口減が始まっている地域もある。もっとも状況が深刻なのは中国東北部(遼寧省、吉林省、黒竜江省)だ。 20年の人口は9851万人、10年前の前回調査から1101万人の減少となった。重工業と農業が主力産業の東北部は経済低迷が続き、働き手世代の人口流出が続いている。 こうした状況に危機感を覚えた中国政府は21年、本格的に少子化対策を打ち出した。現在、さまざまな模索が始まっている。 吉林省政府は21年12月23日に「生育政策の優良化による人口長期均衡発展の促進に関する実施プラン」を発表した。幼稚園や託児所の整備、育児休暇の延長、義務教育の充実といった社会インフラの整備に加え、結婚した夫婦については最大20万元(約360万円)の結婚子育て消費者ローン枠を提供し、しかも子どもの数が多いほど利息を下げるという不思議なインセンティブまで導入された。中国ネットユーザーの間からは「消費者金融を使って、出産奨励とはむちゃくちゃではないか」との声も上がっている。 禁じ手というべきか、果たしてフェアな社会政策なのだろうかと疑問に思うようなやり方だが、おそらく今後も類似の話は頻出するのではないか。吉林省のプランには、他にも2人目、3人目の子どもを持つ自営業者に対する減税措置が盛り込まれている。 また、12月9日には中国官製メディアの中国報道網に「3人目政策を着実に実行するために、中国共産党員・幹部は行動に移せ」と題した、党員は国民の見本として3人目出産に取り組むべきとのコラムが掲載された。いくらなんでも無理な話だとの批判が相次ぎ、コラムは撤回されたが、もともと中国は無理筋な一人っ子政策を実行していた国だけに、人口対策でも他国では思いも付かないような手法を採っても不思議ではない』、「人口」を人為的にコントロールできるとの妄想にいつまで浸りきっているのだろうか。
・『移民受け入れの可能性も  しかし、奇想天外な少子化対策が功を奏するかどうかは未知数だ。台湾、韓国、香港、日本など、東アジアの先行事例を見ると、一度低下した出生率が回復した事例はない。少子化は複数の要因によって引き起こされたもので、からみあった糸をほどいて問題を解決するのは容易ではない。 ではロボットが解決策になる……とは現時点ではまだ断言できない。今まで人力に頼っていた作業の多くが代替され省人化が進むことは間違いないが、労働力不足を解消するほどになるかは未知数だ。 中国では自動化と省人化に取り組む先進製造国として注目されているのが、実は日本である。その日本にしても、製造業の海外移転と空洞化が進み、技能実習生に代表される外国人労働力への依存が進んでいるのは、われわれがよく知るとおりだ。 中国政府は国内の雇用を守る立場から外国人労働者の受け入れは規制してきたが、今後は移民受け入れに転換する可能性は充分に考えられるのではないか。すでに中国南部を中心にベトナム人、ミャンマー人の違法入国者は相当数働いているとされる。ベトナム、ラオス、ミャンマーと中国南部の国境線は長く、そのすべてを監視することは困難である。 「蛇頭(じゃとう)」というと、中国人の密出国、不法移民を仲介するブローカーのネットワークを意味する。今では同様に東南アジアから中国への渡航を仲介するネットワークも構築されているという。 21年初頭には福建省、広東省の警察による共同捜査が行われ、ブローカー51人、違法労働者486人が摘発されたが、氷山の一角に過ぎないだろう。新型コロナウイルス対策によって人の移動が厳しく規制され、居住者管理が強化されているなかでも多くの違法労働者がいるという事実は、中国の製造業がいかに外国人労働者を必要としているかの証左でもある』、「新型コロナウイルス対策によって人の移動が厳しく規制され、居住者管理が強化されているなかでも多くの違法労働者がいる」、なるほど。
・『中国国内で始まっている人材獲得合戦  日本と同様、移民への抵抗感が強い中国では外国人労働力獲得について公に議論することはまだ難しいが、一方で中国国内での労働力をめぐる争いは始まりつつある。かつての中国では経済先進地域への移住が集中する「盲流」を恐れ、戸籍地の自由な移動を禁止する政策が敷かれていたが、北京市や上海市などの大都市以外では、2010年代から規制は大幅に緩和されており、出稼ぎ農民が居住地の戸籍を取得する道が開かれた。 出稼ぎ農民をいかに居着かせないかに苦心していた時代から一転、いかに若い働き手を引きつけるかへと地方政府の関心は移りつつある。 非熟練労働者の獲得でも争いが始まりつつあるのだから、高度人材の獲得競争は激烈だ。中国を代表するイノベーション都市として知られる深圳市は、充実した高度人材獲得計画でもリードしている。 起業家や研究者、医師、教師など深圳にとって必要な人材には、数百万円規模の支度金、住宅費の補助、あるいは不動産購入費の割引きといった支援策が導入されている。西安市は4大卒ならば基本的に申請すればすぐに戸籍を取得できる政策を打ち出した。浙江省杭州市は市街地を大きく拡大し、より多くの人口を取り込める土地政策を進めている。 「中国と移民」というテーマだと、イメージされるのは中国からの移民だろう。しかし、状況は変わりつつある。世界の高度人材を獲得しようという取り組みはすでに大々的に進められているが、5年先10年先には海外の非熟練労働者の獲得、すなわち移民受け入れに舵を切る可能性は充分に考えられるのではないか。 巨大市場・中国が労働力の獲得競争に参戦してきたならば……日本に与える影響は甚大だ。燃料や食糧で繰り返されてきた〝買い負け〟が労働力でも繰り返されないよう、注意する必要がある。 「Wedge」2021年10月号に掲載されたWedge Opinion Special Interview「中国が米国を追い抜くことはあるのか エマニュエル・トッド 大いに語る――コロナ、中国、日本の将来」でも、中国の人口問題について語られております。Wedge Online Premiumにて、是非ご覧ください』、「出稼ぎ農民をいかに居着かせないかに苦心していた時代から一転、いかに若い働き手を引きつけるかへと地方政府の関心は移りつつある」、「巨大市場・中国が労働力の獲得競争に参戦してきたならば……日本に与える影響は甚大だ。燃料や食糧で繰り返されてきた〝買い負け〟が労働力でも繰り返されないよう、注意する必要がある」、同感だ。

第三に、12月30日付けWEDGE Infinity「2021年回顧と2022年展望:岸田長期政権の〝視界ゼロ〟党内対立が政策妨げる恐れも 2021年回顧と2022年展望(国内政治)樫山幸夫 (元産經新聞論説委員長)」を紹介しよう。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25304
・『2021年の〝年男〟はいうまでもなく、岸田文雄首相、その人だった。 下馬評を覆して総裁選で完勝、解散総選挙ではこれまた悲観的な予想を覆して実質的な勝利を収めた。22年も〝時の人〟であり続け、長期政権を目指すことができるか?』、興味深そうだ。
・『菅政権を崩壊させた渾身の一太刀  21年の自民党総裁選を省みれば、菅義偉政権を崩壊させたのは、岸田氏の一太刀だった。 総裁選出馬に当たって、「党役員任期は1期1年、連続3期まで」とする公約を打ち出した。 当時の菅義偉首相は、対抗上、二階俊博幹事長の更迭を決意せざるをえず、これが引き金となって党内の支持を失い出馬断念に追い込まれた。 前回、19年の参院選で、官房長官だった菅氏、二階幹事長は岸田氏の地元広島に、現職に加え第2の候補を強引に擁立、現職は落選の憂き目を見た。このとき当選したのが後に買収で有罪判決を受け、議席を失った河井案里氏、落選したのは岸田派議員だった。 「役員任期1年・・」は、二階氏に放った渾身の一撃だった。 そんなこともあってか、「ケンカが強くなった」などと評される岸田首相、12月の新聞各紙の世論調査を見ると、支持率は一部微減はあったものの、おおむね上昇傾向を示した。
 12月に開かれた臨時国会予算委員会でのやりとりをみると、前任者とは打って変わった丁寧な答弁ぶり。野党議員の質問に対しても、北京五輪開会式への自らの出席見送りを明言するなどのサービスぶりだった。 コロナ対策での18歳以下への給付金をめぐって方針変更せざるを得なかった不手際に拘わらず、人気が上昇した背景にはこうした誠実に映る態度も影響したのかもしれない』、有権者は「誠実に映る態度」にいつまで騙されるのだろう。
・『「新しい資本主義」国民の心つかむか  しかし、「聞く力」「丁寧な説明」だけで人気は続かない。重要政策課題はコロナ対策だけではなく、前向きな将来への展望、国家目標を国民に示さなければ国民の支持と信頼は得られない。 小泉純一郎政権の場合は「構造改革」であり、安倍晋三元首相のそれは、「戦後レジームからの脱却」だった。いずれも国民の間で賛否は分かれたものの、基本理念を国民に示し、それなりに実行された政策だった。 理念、理想を掲げることのできない政治家は、国民の声望、支持を失う。「安倍政治の継承」を唱えるだけで、実現したい政策目標をもたなかった菅義偉前首相が典型的な例だろう。 総裁選、総選挙を通じて、岸田首相はさまざまな政策目標を掲げた。中でも「新しい資本主義」と「デジタル田園都市国家構想」が2枚看板だ。 前者は、過度な市場依存によって格差や貧困などの弊害を生んだ新自由主義を排し、経済の付加価値の創出を通じて成長を実現、分配を豊かにするーというのが基本理念だ(2021年12月6日、臨時国会での所信表明演説)。介護、保育などに従事している人たちの所得を引き上げ、賃上げ企業への補助拡大、労働者の学びなおし、ステップアップを図る――。 もちろん、それ自体重要なことだが、介護職などの所得増加にしても年間わずか11万円。通常の経済政策の枠内で実行可能な内容であり、「新しい資本主義」などというのは大風呂敷にすぎるというべきだろう。) 首相は、郷土の先輩であり、自らの派閥「宏池会」の創始者、故池田勇人首相(1960年~64年在任)の「所得倍増計画」を意識しているのかもしれない。所得倍増計画は、60年の日米安保条約改定をめぐって世論が分断され、暗くよどんだ国内の空気を一新するのが目的だった。 最初の東京五輪(64年)に向けて公共事業が増大、戦後の混乱収束による大量消費時代到来を敏感に読み取り、高度成長によって所得を倍増させるという遠大な計画だった。当時、流行語にもなって一世を風靡した「所得倍増」と、岸田首相の言う「新しい資本主義」は比べるべくもないだろう』、「所得倍増」と、「新しい資本主義」は比べるべくもない」、当然過ぎるほど当然だ。
・『近未来の構想示す「デジタル田園都市」  「専売特許」にするなら、むしろデジタル田園都市国家構想が時代にマッチするとは言えまいか。 4・4兆円を投入し、地域が抱える人口減少、高齢化、産業空洞化などを、デジタルの力を活用することで解決するという(2021年12月6日の所信表明演説)。海底ケーブルで日本を周回する「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」、大規模データセンターを建設、光ファイバー、5Gと組み合わせ、日本中どこにいても、自動配送、ドローン宅配、遠隔医療、教育、防災、リモートワーク、スマート農業などの実現を目指す。 東日本大震災復興の際、実現はしなかったものの、都道府県という単位を取り払って推進すべきだという構想を唱える向きがあった。18年9月の北海道胆振東部地震による大規模停電が起きた際には、東北電力から融通を受けてしのいだことがあり、広域行政の重要さが指摘された。 こうした経緯を考えれば、日本国内のどこにいても同じ条件、環境で仕事、生活ができるという近未来の夢を実現するほうが、国民の将来に幅広い選択肢を与えることになるだろう』、確かに「デジタル田園都市」は、一考に値する。
・『「台湾の平和」への具体的な行動は  外交での厄介な問題はいうまでもなく、「中国」、「台湾」だ。 22年2月4日の北京五輪開会式の〝外交ボイコット〟をどうするかが焦点になっていたが、政府は、閣僚派遣を見送ることを決めた。米国、英国、カナダ、豪州など主要国と足並みをそろえたが、中国の反発を考えれば、首相にとっては厳しい判断だったろう。 台湾問題では、日本の具体的な行動が焦点となる。 20年4月、当時の菅首相が訪米してバイデン大統領と会談した際の共同声明に「台湾海峡の平和の重要性を強調する」との一節が盛り込まれた。台湾有事で日本が危機にさらされた場合、日本はどういう行動をとるのか。 「台湾」が日米共同声明に盛り込まれたのは1969年11月の佐藤栄作首相とニクソン大統領(いずれも当時)の会談以来だ。当時の日本の国力を考えれば、日本は〝お題目〟として述べておけばよかったが、日本の存在が飛躍的に増大した今、それは通らない。 集団的自衛権の行使が容認され、重要影響事態、存立危機事態と認定すれば米軍への支援も可能となる。台湾をめぐる情勢が緊迫の度を加えているなかで、日本政府は近い将来、集団的自衛権の行使を念頭に置いた決定を迫られるかもしれない。 一方で、日中国交正常化50年という節目に当たって、日本としては、対中関係を悪化させることは避けたいところだ。) 延期になったままの習近平国家主席の来日日程も決まらない中で、一方的に米国に強硬政策に与するのは決して得策ではない。とはいうものの、独自の対応を取れば米国の失望を招き、日米関係はぎくしゃくする。国内の対中強硬派の反発も買う。 2022年の対中政策は岸田政権の外交政策の成否を占う重要な問題になる』、「2022年の対中政策は岸田政権の外交政策の成否を占う重要な問題になる」、その通りだ。
・『首相脅かす党内対立  こうした重要な政策課題に岸田首相は全力を傾注できる政治的な環境は整っているのか。 できないとなれば、政権運営に支障が生じるが、そうした事態に陥る懸念がある。首相と距離を置く党内の動きだ。強力な政権基盤を欠く岸田政権の不安定さを象徴する悩みでもあろう。 安倍一強の前々内閣、総裁選で各派が競って菅氏を支持した前内閣と岸田政権は大きく異なる。 総裁選の決選投票で岸田氏が河野太郎氏を大きく引き離したのは、安倍元首相が支持した高市早苗氏の票が回ったためだ。党役員人事、組閣で、高市氏を政調会長に、官房長官に安倍氏側近の松野博一氏を起用するなど安倍氏へ配慮せざるを得なかった。 その高市氏は現職の政調会長であるにもかかわらず、テレビ番組に出演した際、ポスト岸田を目指すのかと聞かれ、「もちろんだ」と即座に答えた。「いまは岸田首相を支える」と強調はしたが、現職党役員でありながら、次期首相の座への野心を公言することへの疑問も少なくなかろう。 高市氏は、中国念頭の人権侵害非難決議をさきの臨時国会で採択するよう茂木敏充幹事長に要請、拒否されると「悔しい」と憤慨して見せた。あたかも〝政敵〟のような発言を弄し、政権の手足を縛るような高市氏に、岸田氏が信頼を寄せるなどできぬ相談だろう。 政権にとって、もうひとつの不安要素は、「維新の会」の存在だ。 馬場伸幸共同代表が臨時国会の代表質問で、18歳以下への給付金問題、文書交通費の見直し問題をめぐって岸田首相を激しく批判。補正予算案にも反対した。 維新が補正予算案に反対したのは大阪維新の会時代のへ16年以来という。維新は安倍、菅両氏とは良好な関係を保ってきたが、岸田政権になってからは、対決色を強めている。岸田氏によって退場を余儀なくされた菅氏と良好な関係にある維新の方針転換は、現政権にとってこれまた大きな脅威だ。 岸田氏に敗れながら、総選挙で応援に引っ張りだこで今も国民の人気が高い河野太郎氏の動きも要警戒だろう。その河野氏を総裁選で支持した菅前首相、石破茂元幹事長、二階派の武田良太前総務相らが12月22日に会合を開いたと報じられ、非主流派結束の印象を与えた。) 5年にわたる長期政権を築いた故中曽根康弘首相は、金脈スキャンダルで失脚した田中角栄元首相の後押しで総理・総裁に就任した。当初は人事でもその影響力を無視できず、〝田中曽根内閣〟などと揶揄されたが、田中氏が病に倒れ影響力を失うに至って、初めて〝自前〟の政権を作り上げることが可能になった。 岸田氏も、政策遂行に加え政権基盤の強化、党内掌握に多くのエネルギーを費やさなければならないかもしれない』、「岸田氏も、政策遂行に加え政権基盤の強化、党内掌握」、にはまだ多くの課題があるようだ。
・『気になるスキャンダルの影  もうひとつ、船出から間もない岸田政権で気になるのは、スキャンダルの影だ。 林芳正外相が参院から衆院に鞍替えするにあたって、山口県副知事が県職員に後援会入会を勧誘、公選法違反の罪で略式起訴され、辞職した。略式起訴ではなく正式起訴されてもおかしくない悪質なケースだ。林氏は陳謝、自らの関与は否定したが、二階派の長老、川村建夫元官房長官を押しのけて出馬だっただけに反発が強まる可能性がある。 落選した石原伸晃氏を内閣官房参与に起用したのはいいが、同氏が代表を務める自民党支部がコロナ禍での困窮事業者向けの雇用調整助成金の給付を受けていたことがわかり辞任に追い込まれた。大岡敏孝環境副大臣も同様の問題があるにもかかわらず、同氏は職にとどまっている。 スキャンダルが続けば、同様の問題が相次ぎ、参院選で敗北して退陣に追い込まれた第一次安倍政権の二の舞にならぬとは言い切れまい。 それやこれやを考えると、参院選を乗り切るのはそう簡単ではない。長期政権への「坦々たる大路」など、まだまだ霞のかなたというべきだろう。岸田氏とっては、「めでたさも中くらい」の正月かもしれない』、「岸田氏とっては、「めでたさも中くらい」の正月かもしれない」、絶妙な表現だ。
タグ:WEDGE Infinity「2021年回顧と2022年展望」「2022年の焦点はシリアのアラブ復帰 揺れ動く対イラン関係 2021年回顧と2022年展望(中東情勢)佐々木伸 (星槎大学大学院教授) 有権者は「誠実に映る態度」にいつまで騙されるのだろう。 WEDGE Infinity「2021年回顧と2022年展望:岸田長期政権の〝視界ゼロ〟党内対立が政策妨げる恐れも 2021年回顧と2022年展望(国内政治)樫山幸夫 (元産經新聞論説委員長)」 「出稼ぎ農民をいかに居着かせないかに苦心していた時代から一転、いかに若い働き手を引きつけるかへと地方政府の関心は移りつつある」、「巨大市場・中国が労働力の獲得競争に参戦してきたならば……日本に与える影響は甚大だ。燃料や食糧で繰り返されてきた〝買い負け〟が労働力でも繰り返されないよう、注意する必要がある」、同感だ。 「新型コロナウイルス対策によって人の移動が厳しく規制され、居住者管理が強化されているなかでも多くの違法労働者がいる」、なるほど。 「人口」を人為的にコントロールできるとの妄想にいつまで浸りきっているのだろうか。 「2010年代後半に入ると、ついに中国でも労働力不足が表面化」、ようやく他国並みの経済になったということだ。 どういうことなのだろう。 2021年の回顧 (その1)(2021年回顧と2022年展望:(中東情勢):2022年の焦点はシリアのアラブ復帰 揺れ動く対イラン関係、中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか、(中国):中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか、(国内政治):岸田長期政権の〝視界ゼロ〟党内対立が政策妨げる恐れも) 「2年間」で「イスラエル単独」でも「イラン攻撃」が可能になるというのも、考えてみれば恐ろしい。 「サルマン皇太子」は「ジャーナリスト殺害事件」にも関らず、実権を握り続けているようだ。 「避妊と中絶の規制」をしたところで、人口が想定通り増えると考えるのは甘い。 「シリア」を「泥棒国家」とは言い得て妙だ。 WEDGE Infinity 「2021年回顧と2022年展望:中国でも起きる人手不足 〝移民開放〟は起きるのか 2021年回顧と2022年展望(中国)高口康太 (ジャーナリスト)」 「所得倍増」と、「新しい資本主義」は比べるべくもない」、当然過ぎるほど当然だ。 確かに「デジタル田園都市」は、一考に値する。 「2022年の対中政策は岸田政権の外交政策の成否を占う重要な問題になる」、その通りだ。 「岸田氏も、政策遂行に加え政権基盤の強化、党内掌握」、にはまだ多くの課題があるようだ。 「岸田氏とっては、「めでたさも中くらい」の正月かもしれない」、絶妙な表現だ。
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