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医療問題(その34)(遺伝子操作したブタの心臓 人に移植成功 世界初 アメリカ、診療報酬改定「想定外の決着」の裏事情 財務省も日本医師会も完敗?、ノーベル賞級の大発見!ウイルス研究者が疲労・うつの謎にたどり着いた理由) [生活]

医療問題については、昨年9月12日に取上げた。今日は、(その34)(遺伝子操作したブタの心臓 人に移植成功 世界初 アメリカ、診療報酬改定「想定外の決着」の裏事情 財務省も日本医師会も完敗?、ノーベル賞級の大発見!ウイルス研究者が疲労・うつの謎にたどり着いた理由)である。

先ずは、本年1月11日付けNHK NEWS WEB「遺伝子操作したブタの心臓 人に移植成功 世界初 アメリカ」を紹介しよう。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220111/k10013424401000.html
・『遺伝子を操作して、拒絶反応が起こりにくくしたブタの心臓を、人間に移植することに世界で初めて成功したと、アメリカのメリーランド大学は10日、発表しました。 動物の遺伝子を操作して、人間に移植できる臓器を作り出す研究は、各国で進められていて、将来的に移植用の臓器の確保につながる技術として期待されています。 アメリカのメリーランド大学医学部の研究チームは10日、遺伝子を操作したブタの心臓を、心臓疾患の男性に移植することに、世界で初めて成功したと発表しました。 研究チームによりますと、移植を受けたのは、不整脈で入院している57歳の男性で、症状が重いため通常の心臓移植の対象にならず、ほかの治療法では回復が見込めない状態だったということです。 手術は今月7日に行われましたが、3日後の10日現在も、男性の容体は安定しているということです。 移植に使われたブタの心臓は、再生医療の実用化に取り組むアメリカの企業が作ったもので、10か所の遺伝子を操作して、拒絶反応が起こりにくいようにしています。 移植にあたっては、アメリカFDA=食品医薬品局が、人命に関わる疾患で、ほかに治療の方法がない場合にかぎり、承認前の医療技術を使えるようにする、いわゆる「人道的使用」の許可を出したということです。 遺伝子操作した動物の臓器を、ヒトに移植する技術をめぐっては、各国で研究が進んでいて、アメリカではニューヨーク大学が去年、遺伝子操作したブタの腎臓を、実験的に脳死状態の人に移植する手術を2例、行っています。 今後、臓器の安全性が確認され、規制当局から治療法として承認されれば、将来的に移植用の臓器の確保につながる技術として期待されています』、「移植に使われたブタの心臓は、再生医療の実用化に取り組むアメリカの企業が作ったもので、10か所の遺伝子を操作して、拒絶反応が起こりにくいようにしています」、なるほど。「アメリカFDA=食品医薬品局が、人命に関わる疾患で、ほかに治療の方法がない場合にかぎり、承認前の医療技術を使えるようにする、いわゆる「人道的使用」の許可を出した」、認可条件も厳格なようだ。しかし、これで「移植」「医療」が大きく飛躍する可能性がある。

次に、1月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの横田由美子氏による「診療報酬改定「想定外の決着」の裏事情、財務省も日本医師会も完敗?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/292780
・『令和4年度予算案で焦点の一つだった診療報酬改定は、医師や看護師らの人件費や技術料に当たる本体部分を0.43%引き上げる方針で決着した。この結果を日本医師会(日医)関係者は「完敗」だと言い、財務省側も「敗れた」と見ているようだ。日医・厚生労働省(厚労省)・財務省や官邸など、各所の思惑が交錯する中、岸田文雄首相が+0.43%を決断するに至る背景を探った』、「日本医師会」、「財務省」とも「敗れた」、とはどういうことだろう。
・『診療報酬改定、日本医師会は「実質的な完敗」  「結局、中川執行部は、何もできなかったということです。岸田首相は、中川俊男日本医師会会長の顔を立てたわけではない。むしろ、中川会長の顔なんてどうでもよかった。重要なのは、半年後の参議院選挙で絶対に勝つことだった。それが、“本体微増”という岸田裁定に結びついたにすぎない。診療報酬全体では-0.94%。実質的には、日医と厚労省は財務省に完敗した。政治の世界を知らなすぎた」 日本医師会関係者は、眉をひそめて、日医の未来を憂えた。 日医に強い影響力を持つ地方の院長も、「この先、日医は、医療の現場はいったいどうなるのだろうか。政権にかみつくだけでは野党と一緒」と、不安を隠せない様子で、深くため息をつき、こう語った。 「会長が中川さんだったから仕方ないとは思う。逆に、よくあの数字で止まってくれた。もっと財務省に下げられていた可能性は十二分にあったからね」』、「“本体微増”」と「診療報酬全体では-0.94%」、この間にはどんな項目があるのだろう。
・『日本医師会と厚労省の「プラス改定」主張には説得力なし  2021年12月24日、令和4年度予算案が閣議決定した。 焦点の一つだった2年に1度の診療報酬改定は、当初、財務省側が主張する、「医師らの技術料にあたる本体部分は+0.3%台前半」で押し切られそうな勢いだった。中川会長の政界人脈のなさや、頑迷な性格がネックとなっていたのは言うまでもないが、医療現場の窮状を訴えるばかりで、財務省と戦うには、あまりに感情論に走り過ぎていたからだ。 現場の疲弊は間違いない。しかし、コロナで疲弊しているのは医療だけではない。それが一般的な国民感情だろう。 説得力のある数字を示すことなしに、プラス改定を主張する中川会長と厚労官僚。彼らは、昨年実施した「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)」の中で、自らの調査を基に「診療所の利益が6月にはコロナ前の水準に戻った」といった趣旨の記載をしたにもかかわらず、財務省サイドからその点を突っ込まれると「何の意味も持たない数字」と強弁した』、「中川会長と厚労官僚」が「自らの調査」を「「何の意味も持たない数字」と強弁」するとはいくら返答に窮したとはいえ、お粗末過ぎる。
・『財務省「完勝」の予測が外れた理由  誰もが、財務省の完勝を確信していた。では、なぜ財務省はそれができなかったのか。一つは、策士策に溺れるという言葉があてはまるかもしれない。今回の厚労第1担当主計官は10年に一人の逸材と呼ばれる一松旬氏。しかし、その優秀さが裏目に出る。財務省サイドは、中川会長の現在の不人気ぶり、前会長である横倉義武終身名誉会長がいまだに人望があること、また、その横倉前会長を引きずり下ろして中川氏が会長職をもぎとったことを熟知していた。 政界に幅広い人脈を持つ横倉名誉会長は、いまだ財務省に強い影響力を持つ麻生太郎現自民党副総裁に加え、安倍晋三前首相(現安倍派会長)らとも太いパイプを築いていた。それが、横倉時代、本体でのプラス改定が継続した背景でもある。 横倉前会長のような絶妙な人間力を持たない中川会長は、麻生副総裁を怒らせるという大失態を犯す。日医の頼みの綱である武見敬三議員も自見はなこ議員も、当選回数が少なく、数だけは多い厚労族議員をまとめきれない上に、大臣折衝の根回しもできずにいた。診療報酬の改定率は、毎回、最後は厚労省と財務省との間の大臣折衝で決着がつく「政治案件」なので、代表的な組織内候補に力量が足りないのは致命的だった。 中川会長自身にも現執行部にも政権との強いパイプはない。むしろ、敬遠されている。そう見た財務省は、本体部分で、横倉前会長時代の実質平均+0.42%を「横倉の壁」として、超えさせないようにという防波堤を自ら作ってしまったのだ。これを認めた厚労官僚はこう言った。 「本来的には0.3%台の攻防だったはずなのに、彼らが0.4%台にしてくれた」 実際、コロナ対策では何ら力を発揮できず、官邸との連携が最悪に等しかった中川会長に対しては、岸田首相も当初冷ややかだった』、「財務省」が「+0.42%を「横倉の壁」として、超えさせないようにという防波堤を自ら作ってしまった」、のはあえて敵に花を持たせたのではなかろうか。
・『木原官房副長官が動き、落としどころを模索 こうしたせめぎ合いと混乱を横で見ていた木原誠二官房副長官が動かなかったら、財務省の思い通りに進んでいたかもしれない。しかし、来る参議院選挙を案じた木原副長官は、元財務官僚ではあるが、医療分野にも精通している。彼が落としどころを模索することを決意したのだ。 岸田首相に進言する一方で、中川会長と麻生副総裁との会食の席をつくり、大家敏志財務副大臣とも調整を図った。財務省関係者はこう嘆く。 「最大の戦略は、『中川会長に口を開かせるな』だったと聞いています」 この戦略は当たった。木原副長官は、横倉前会長派の麻生副総裁に加え、安倍前総理にも調整をするなど八面六臂(ろっぴ)の活躍をしながら、岸田首相に財務官僚さながらの粘り強い説明を行ったという。 そして、最終的に、岸田首相が出した答えが「本体部分+0.43%」だったのだ』、「木原官房副長官」の調整力は聞きしに勝るようだ。
・『財務省にとっても、厚労省・日医にとっても「想定外の決着」  木原副長官を中心に着々と外堀を埋められていたことは、財務省のみならず、厚労省や中川会長すら理解しておらず、こうして皆にとって「想定外の決着」がついたのである。 12月22日に、中川会長が「令和4年度診療報酬改定率の決定を受けて」という記者会見で、「厳しい財政状況でのプラス改定を評価したい」と語ったのももっともである。 だがその会見でも、中川会長は、謝辞を述べた政治家から「安倍晋三前首相」の名前を抜かすという大失態を犯し、後から、文章で安倍前首相の名前を入れるという、政治センスのなさを露呈していた(記者会見の様子はYoutubeで閲覧できるので、ぜひご覧いただきたい)。 こうした結果を受けて、ある日医関係者は、次のように訥々(とつとつ)と話した。 「中川会長にもう一期やらせて、東京都の今村聡副会長や埼玉県の松本吉郎常任理事につなぎたいという思惑を持っている人がいるようですが、柵木充明愛知県医師会長の評判がいい。バランス感覚もあるし、政治力もなかなかです。僕個人としては、彼に日医の未来を託したいです」 日医の会長選挙は、診療報酬改定と交互に行われる。既に焦点は、今年の会長選挙で、中川氏が再選できるかどうかに移っている。日医に転職した元官僚の一人は、かつて筆者にこう語った。 「日医は北朝鮮のようなところ。会長が交代すれば、人事も一新する」 ウィズコロナの時代、医療は「公」のものとなっている。選挙戦も時代に合わせ、前回のように実弾が飛び交うような事態は避け、国民に開かれたものとなるべきだろう』、「日医」はもっと政治力があると思っていたが、現在はかつての威光にすがっているだけのようだ。次の「会長」はどうなるのだろう。

第三に、1月25日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医療ジャーナリストの木原洋美氏による「ノーベル賞級の大発見!ウイルス研究者が疲労・うつの謎にたどり着いた理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/293526
・『名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第44回。現代に生きる日本人を悩ませる「疲労」と「うつ病」という二大問題のメカニズムを世界で初めて解明した、東京慈恵会医科大学ウイルス学講座教授の近藤一博氏を紹介する。近藤教授が見いだした“ウイルスの使命”とは』、興味深そうだ。
・『世界初、疲労とうつ病の謎を解き明かした  現代人の健康をおびやかす二大問題「疲労」と「うつ病」。世界の中でも日本人は特に、疲労やストレスによるうつ病患者や自殺者の数がトップクラスに多いという。そのことは、「過労死」という単語が「KAROSHI」としてそのまま英語になっていることからもうかがい知れる。 東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤一博教授は、この二大問題のメカニズムを世界で初めて解明するという快挙を成し遂げた。 疲労については ・原因物質を発見した ・「疲労感」と「労働や運動による生理的疲労」からなる疲労のメカニズムを解明し、従来「疲労回復効果がある」と思われていた物質のほとんどは「疲労感を軽減させる物質であり、疲労回復効果はない」ことを明らかにした ・疲労を客観的に測る技術を発明した ……というように、従来の常識を覆してしまった。 また、うつ病についても ・ほとんど全ての人に潜伏感染している「ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)」の遺伝子「SITH-1(シスワン)」を発見し、これがストレスレジリエンス(ストレスを跳ね返す力)を低下させることで、うつ病を発症させることを見いだした ・「うつ病は心の弱さや性格が原因」という説は間違いであることを明らかにした ・SITH-1を持っている人がうつ病を発症する確率は持っていない人の12.2倍、患者5人中4人はSITH-1を持っていることを明らかにした ……など、快進撃中なのである。) ただ、うつ病の謎を解いた論文は2020年6月、アメリカの権威ある科学誌『iScience(アイサイエンス)』(Cell Press)に掲載され、日本のマスコミも大々的に報じたにもかかわらず、「疲労の新事実」を含めて周知のされ方はいまだに不十分と言わざるを得ない』、「疲労感」は「日本」特有のものなのでやむを得ない面もあるが、グローバルな「うつ病」も「周知のされ方はいまだに不十分」なのは残念だ。
・『ノーベル賞級の大発見!ウイルス研究者が疲労・うつの謎にたどり着いた理由  「うつ病は2030年には世界で最も重要な疾患になると言われています。世界では全年齢層にわたって2億6400万人以上が罹患(りかん)しているという調査結果もあります」(近藤一博教授、以下同) しかも、うつ病は過労死の最大の原因とされている。正しい知識が周知されることは、うつ病の予防法や治療法の開発を促進するのみならず、疲労やストレスが原因とされる多くの病気や諸問題の解消にもつながるものすごく大切なことなのだ』、「うつ病」の「謎」解明の功績はもっとPRすべきだ。
・『がん研究から派生したノーベル賞級の研究  「もともと高い志を持って医学部に入ったわけではないんです」と笑う近藤教授だが、ウイルスの研究に進んだ背景からは、若者らしい志が見える。 「ウイルス学というと感染症の研究を思い浮かべるかもしれませんが、私が学生の頃は、ウイルスの研究と言えばがんのウイルスが主流でしたので、私も大阪大学の微生物研究所で、がんとウイルスの研究から始めました。ウイルスの研究から発がん遺伝子を発見したことで知られる花房秀三郎先生(故人)は、大学院時代の教授である高橋理明・大阪大学名誉教授の兄弟弟子でした」 かつてのウイルス学は、がん研究の中心的な存在だったのだ。 「一方、高橋先生は、ヘルペスウイルスのワクチン作成に世界で唯一成功した功績で知られています。その人のもとで私も『体の中に潜んでいるウイルスが病気を起こす』ということに興味を持ち、体の中に潜んでいるウイルスと言えばヘルペスウイルスだということで、ヘルペスウイルスに着目するようになりました。 そこから疲労の研究に発展したのは、当時『慢性疲労症候群』という病気が注目されるようになり、原因はヘルペスウイルス6だといわれていたことがきっかけです」 がんの研究から疲労の研究への転身は、ごく自然な流れだったようだ。 「ヘルペスウイルスは研究対象としては地味だと捉えられるかもしれませんが、子宮頸(けい)がんなどの発生要因であるヒトパピローマウイルスの(HPV)の発見者であるツアハウゼンも、元々はヘルペスウイルスとがんの研究者でした。ただ当時の定説では、子宮頸がんの原因は単純ヘルペスウイルスだという説が有力でしたが、証明はされませんでした。彼は代わりにパピローマウイルスを研究し、ノーベル賞を取ったのです」 近藤教授の発見もまさにノーベル賞級の研究なのだが、受賞の可能性については存外諦め顔だ。 「発見するのが早すぎました。周囲からもよく、死んでから評価される仕事だと言われます。がん遺伝子を見つけた花房先生も、画期的な発見すぎてノーベル賞を受賞していません。受賞できたのは、その仕事に追随した人たちです。私も生きている間に認められるのは無理でしょう」』、「がん遺伝子を見つけた花房先生も、画期的な発見すぎてノーベル賞を受賞していません。受賞できたのは、その仕事に追随した人たちです。私も生きている間に認められるのは無理でしょう」、「ノーベル賞」にこんな不当なことがあることを初めて知った。
・『死体を見るトラウマが原因?日本と欧米の認識格差  うつ病と疲労をめぐる認識には、日本と欧米間では格差がある。 「アメリカで『あなたは今、疲れていますか』というアンケートを取ったところ、『YES』と答えた人は10%にも満たなかったそうです。日本では、56%が同じ質問に対して『はい』と答えています。 これはアメリカ人のほうが元気だからではありません。おそらく欧米では、疲れをためる前に休むのが当たり前という文化があるからでしょう。我慢して勤勉に働き続けることが美徳とされる日本と違って『働き過ぎて死ぬ』なんていう概念もないので、『過労死』という言葉も存在しない。疲労は日本人の国民病なのです」 ゆえに疲労が深刻な問題になるのは日本ならではの事象であり、近藤教授の快挙も、日本人だからこそ成し得たことといえる。欧米では日本ほど、疲労は重要な問題とは認識されてこなかったからだ。 しかし、うつ病は世界中の人が発症している。欧米人のうつ病は、疲労やストレスとは無関係なのだろうか。 「欧米でもうつ病は深刻な問題になっています。患者数も日本より多いでしょう。ただし、疲労はリスクファクターとは考えられていません。欧米でうつ病になりやすい職業を調べると、教師、弁護士、医師、警察官、軍人、消防士と、日本とほぼ共通する職業が並ぶのですが、これらの仕事の人がうつ病になるのは、『死体を見るトラウマ』だというのが定説です。 原因はストレスによるトラウマ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)で疲労の要素はない。最近の有力な説では、『うつ病の原因は貧困』というのもあります。ちょっと首を傾げざるを得ませんよね。 やはり、社会的に疲労というものの重要性を認識していないから、こういう考え方になるのだと思います」』、「欧米でうつ病になりやすい職業を調べると、教師、弁護士、医師、警察官、軍人、消防士と、日本とほぼ共通する職業が並ぶのですが、これらの仕事の人がうつ病になるのは、『死体を見るトラウマ』だというのが定説です」、『死体を見るトラウマ』には笑ってしまった。
・『生存に有利な動物に進化させるヘルペスウイルスの恩返し  実は、近藤教授にとってヘルペスウイルスは愛すべき存在でもある。監修・原作を務めたマンガ『うつ病は心の弱さが原因ではない』(河出書房新社)の中で教授は、ネアンデルタール人を絶滅させた現代人の祖先クロマニヨン人について触れ、「ヘルペスウイルスによって生き残りに有利な動物に進化させられたのではないか」と語っている。ウイルスは単に悪さをするだけの存在ではないというのだ。 「私には一つの信念があります。それは、体に長期間潜伏しているようなウイルスは、何か人に対して良いことをしないと歴史から抹殺されてしまうという思いです。そこでヘルペスウイルスはどんな良いことをしているのかを考えてみた時に一番思い当たるのは、ストレスを亢進(こうしん)させるという働きでした。 ストレスは悪いことばかりじゃない。クロマニヨン人が現代まで生き延びてこられたのは、ヒトヘルペスウイルス6に感染してSHTH-1を持ったことでストレスが亢進され、不安を解消するために集団生活を営むようになるなどの“進化”がもたらされたおかげ。ですから私は、『SITH-1遺伝子は人類の進化に貢献してきたのではないか』という説を提唱しています」) つまり、宿主である人類に対する“ウイルスの恩返し”だろうか。 「そうですね。人もウイルスもお互いに利益がないと、両者とも滅びるか、ウイルス側が消されてしまうかのいずれかの道をたどります。だとしたら、ヘルペスウイルスがこんなにも長い年月、存在し続けられるはずがないのです。ある意味ヘルペスウイルス6は究極のウイルス。生まれてすぐに感染し、突発性発疹を発症させるものの、それは大した病気じゃない。その後は延々と体のなかに潜伏し続け、大した悪さをしないまま、人と共存する究極のウイルスです。 そんなウイルスがうつ病を引き起こし、ただ悪さをするだけのはずがありません」 なるほど、ヘルペスウイルスは人類との共存戦略を粛々と実践する、賢いウイルスなのかもしれない。 「だから私は、新型コロナウイルスのような感染症のウイルスは嫌いです。しょうもない病気を引き起こして、駆逐されてしまう。まったくウイルスの風上にも置けない(笑)」 ウイルス研究を始めて36年余り。近藤教授は疲労とうつ病に関する研究成果を一般の人に伝えるための手法として、漫画家のにしかわたく氏とタッグを組んで2冊のコミック本を出版した。ノーベル賞級の学者にしてはかなりユニークな試みだ。 「マンガを選んだ理由は二つあります。私はマンガしか読まないので、本を出すなら当然マンガだろうと。さらに二つ目として、皆に説明するならマンガがいいだろうと思いました。自分がそうだからです」 太古から続く人類とヘルペスウイルスの関係は、近藤教授の研究によって壮大なロマンの様相を呈して私たちを引きつける。そこには、人類と自然界が共存共栄していくヒントまでも潜んでいるような気がしてくるのだ。 (近藤一博氏の略歴はリンク先参照)』、「クロマニヨン人が現代まで生き延びてこられたのは、ヒトヘルペスウイルス6に感染してSHTH-1を持ったことでストレスが亢進され、不安を解消するために集団生活を営むようになるなどの“進化”がもたらされたおかげ」、「集団生活」という「進化」までウィルスの影響なのだろうか。「ヘルペスウイルス6は究極のウイルス。生まれてすぐに感染し、突発性発疹を発症させるものの、それは大した病気じゃない。その後は延々と体のなかに潜伏し続け、大した悪さをしないまま、人と共存する究極のウイルスです。 そんなウイルスがうつ病を引き起こし、ただ悪さをするだけのはずがありません」』、「うつ病」は「悪さ」の典型だ。どんないいことをもたらしてくれるのだろうか、ここでは不明である。せっかく「近藤教授の快挙」を紹介しながら、肝心なことが本文中で明らかにされてないのは、誠に残念だ。
タグ:医療問題 (その34)(遺伝子操作したブタの心臓 人に移植成功 世界初 アメリカ、診療報酬改定「想定外の決着」の裏事情 財務省も日本医師会も完敗?、ノーベル賞級の大発見!ウイルス研究者が疲労・うつの謎にたどり着いた理由) NHK NEWS WEB「遺伝子操作したブタの心臓 人に移植成功 世界初 アメリカ」 「移植に使われたブタの心臓は、再生医療の実用化に取り組むアメリカの企業が作ったもので、10か所の遺伝子を操作して、拒絶反応が起こりにくいようにしています」、なるほど。「アメリカFDA=食品医薬品局が、人命に関わる疾患で、ほかに治療の方法がない場合にかぎり、承認前の医療技術を使えるようにする、いわゆる「人道的使用」の許可を出した」、認可条件も厳格なようだ。しかし、これで「移植」「医療」が大きく飛躍する可能性がある。 ダイヤモンド・オンライン 横田由美子氏による「診療報酬改定「想定外の決着」の裏事情、財務省も日本医師会も完敗?」 「日本医師会」、「財務省」とも「敗れた」、とはどういうことだろう。 「“本体微増”」と「診療報酬全体では-0.94%」、この間にはどんな項目があるのだろう。 「中川会長と厚労官僚」が「自らの調査」を「「何の意味も持たない数字」と強弁」するとはいくら返答に窮したとはいえ、お粗末過ぎる。 「財務省」が「+0.42%を「横倉の壁」として、超えさせないようにという防波堤を自ら作ってしまった」、のはあえて敵に花を持たせたのではなかろうか。 「木原官房副長官」の調整力は聞きしに勝るようだ。 「日医」はもっと政治力があると思っていたが、現在はかつての威光にすがっているだけのようだ。次の「会長」はどうなるのだろう。 木原洋美氏による「ノーベル賞級の大発見!ウイルス研究者が疲労・うつの謎にたどり着いた理由」 「疲労感」は「日本」特有のものなのでやむを得ない面もあるが、グローバルな「うつ病」も「周知のされ方はいまだに不十分」なのは残念だ。 「うつ病」の「謎」解明の功績はもっとPRすべきだ。 「がん遺伝子を見つけた花房先生も、画期的な発見すぎてノーベル賞を受賞していません。受賞できたのは、その仕事に追随した人たちです。私も生きている間に認められるのは無理でしょう」、「ノーベル賞」にこんな不当なことがあることを初めて知った。 「欧米でうつ病になりやすい職業を調べると、教師、弁護士、医師、警察官、軍人、消防士と、日本とほぼ共通する職業が並ぶのですが、これらの仕事の人がうつ病になるのは、『死体を見るトラウマ』だというのが定説です」、『死体を見るトラウマ』には笑ってしまった。 「うつ病」は「悪さ」の典型だ。どんないいことをもたらしてくれるのだろうか、ここでは不明である。せっかく「近藤教授の快挙」を紹介しながら、肝心なことが本文中で明らかにされてないのは、誠に残念だ。
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