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エネルギー(その10)(なぜ三菱商事は一人勝ちできたのか…洋上風力発電で突然の価格破壊が起きた納得の理由 ライバル企業の株価は4分の1に、地下20キロまで掘削 深部地熱を活用する技術の開発がすすめられている、中国の風力発電「陸上から洋上へ」急旋回の背景 風力発電機最大手の決算に浮かぶ潮目の変化、中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒 負担は国民へ 再生エネルギーという矛盾) [産業動向]

エネルギーについては、2月15日に取上げた。今日は、(その10)(なぜ三菱商事は一人勝ちできたのか…洋上風力発電で突然の価格破壊が起きた納得の理由 ライバル企業の株価は4分の1に、地下20キロまで掘削 深部地熱を活用する技術の開発がすすめられている、中国の風力発電「陸上から洋上へ」急旋回の背景 風力発電機最大手の決算に浮かぶ潮目の変化、中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒 負担は国民へ 再生エネルギーという矛盾)である。

先ずは、2月16日付けPRESIDENT Onlineが掲載した元外務省職員でEnergyShift発行人兼統括編集長の 前田 雄大氏による「なぜ三菱商事は一人勝ちできたのか…洋上風力発電で突然の価格破壊が起きた納得の理由 ライバル企業の株価は4分の1に」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/54691
・『秋田と千葉の3海域で始まる洋上風力発電で、いずれも三菱商事を中心とする企業グループが驚異的な安さで落札したことが話題を集めている。「EnergyShift」発行人の前田雄大さんは「『価格破壊』が起きた背景には、GEやアマゾンといった米国企業の存在がある」という——』、このニュースについては、このブログの2月15日付けでも紹介した。
・『1kWあたり11円台という「価格破壊」が起きた  脱炭素の切り札ともいわれる「洋上風力発電」をめぐり、業界関係者を驚かせるニュースがあった。 昨年12月末、政府が3つの海域(①秋田県能代市・三種町及び男鹿市沖、②秋田県由利本荘市沖、③千葉県銚子市沖)で公募していた洋上風力発電事業で、3事業とも三菱商事の企業グループが落札したのだ。 しかも、その落札価格は「価格破壊」と言えるほど廉価だった。 経済産業省の発表資料によると、三菱商事を中心とする企業グループは、千葉県銚子沖の案件は1kWあたり16円台、秋田県由利本荘市沖は1kWあたり11円台で入札した。 これがどれだけ安いのかは、先行する太陽光発電と比べると分かりやすい。 太陽光発電の価格は、固定買取制度の導入から10年が経ち、ようやく1kWあたり11円台をつけた。洋上風力について何段も飛ばして三菱商事側が驚異的なレベルでコストを下げてきたというのが分かる』、文字通り「価格破壊」が起きたようだ。
・『国民にとってもプラスになる  このニュースは、私たちが毎月支払っている電気代とも深く関わっている。 太陽光発電の導入時と同様に、洋上風力発電も当初は政府が電力を買い取る「固定価格買取制度」の導入が目指されている。その財源は、私たち利用者の電気代に含まれる「再エネ賦課金」である。 政府の買取価格が高ければ高いほど、将来にわたっての国民負担が重くなる。そのため、これから大規模な導入が予定される洋上風力の買取価格が低く抑えられたことは、国民負担軽減の観点からも非常に望ましい。 今回、「衝撃の11円台」になったことで、低コスト化の道が確実に開けた。元々、「洋上風力産業ビジョン」において産業界は洋上風力のコストを2030~2035年に8~9円/kWhにする目標を掲げていたが、それも十分射程に入る水準までいきなり価格が下がったのだ。 ライバルの競合他社にとっては悪夢でしかないだろう。戦略の見直しが求められる。とはいえ、私たち消費者からすればメリットは大きい。 さらにこれまで「再エネ=高い」という認識となっていた日本で、再エネや脱炭素のイメージを覆す好機になるだろう』、「再エネや脱炭素のイメージを覆す好機になるだろう」、なるほど。
・『洋上風力の先進国、欧州勢を食い止める効果  「衝撃の11円台」の効果はそれだけにはとどまらない。筆者は日本の国富が欧州に流出する抑止力になったという意味でも、三菱商事側が今回の入札で果たした役割は非常に大きいと考えている。 前回記事で述べた通り、技術力や実績を武器に欧州勢が日本市場への参入を虎視眈々たんたんと狙っていた。日本の洋上風力市場は政府の大規模投資が確実に見込まれることから、「必ず儲かる」フロンティアだった。 すでに欧州では、着床式洋上風力発電の導入が進み、発電コスト(LCOE)は平均8.6円/kWhという低コストを実現している。その技術力をもって日本市場に参入できれば、高い固定買取価格が設定されると見込まれることから、大きな利益を得ることができる。 実際に、洋上風力世界最大手のデンマーク・オーステッド社をはじめ、欧州企業はこぞって日本に支社を立ち上げるなどして備えていた。今回の三菱商事側による落札は、こうした欧州勢に肩透かしを食らわせる格好となった。 彼らは1kWhあたり20円程度の相場と見込んでいただろうが、急に欧州での価格と同水準にまで下がったのだ。欧州勢の日本市場参入は、三菱商事側の価格を基準に再構築しなければならず、コストを計算すれば当初のうまみは見込めない』、日本でのボロ儲けを見込んでいた「欧州勢」には冷水を浴びせたようだ。
・『一人勝ちがもたらす悪影響とは…  ただし、懸念点もある。 今回3案件の入札は、いずれも①「価格点」と②「事業実現性に関する得点」をそれぞれ120点満点で評価して落札業者を決めた。 三菱商事を中心とする企業グループは①「価格点」で圧倒し、3つの案件でいずれも120点満点を獲得した。2位以下をいずれも26点以上引き離して圧勝した。 経済産業省「『秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖』、『秋田県由利本荘市沖』、『千葉県銚子市沖』における洋上風力発電事業者の選定について」より経済産業省「『秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖』、『秋田県由利本荘市沖』、『千葉県銚子市沖』における洋上風力発電事業者の選定について」より  一方、②「事業実現性に関する得点」は2位と競り合い、敗れたケースもある。つまり、三菱商事側が圧倒的なコスト競争力を背景に3案件の事業権を獲得したと言える。 この入札の結果、競合相手であるレノバ社は、大規模な投資をしてきたにもかかわらず、投資資金を回収できず、今期は赤字転落する格好となった。11月25日には一時5950円をつけた株価は、入札結果の発表後にストップ安が続いた。現在は1400円台で推移している。入札前の4分の1程度にまで急落したことになる。 三菱商事側が圧倒的なコスト優位性を示したことが、かえって他社には洋上風力への投資がリスクになるという認識が広がる恐れがある。三菱商事に比べれば体力では劣る新興企業にとっては参入が厳しい市場となってしまったと見ることもできる。 今後の洋上風力市場には、ENEOSをはじめとする大手各社も参入を予定している。彼らにとっては三菱商事側が今回設定した価格はかなりハードルが高いだろう。 再エネの普及には、市場が健全に機能していくことが不可欠だ。三菱商事側が示した価格の圧倒性が、市場における競争を排除する方向に働く恐れは十分にあり得る。一人勝ちによる寡占状態が続けば、せっかく最初にブレークスルーが起きたにもかかわらず、これ以上の競争が起こらずコストが下がらないという事態も考えられるからだ。 この悪循環が起これば、結局は私たちの暮らしに跳ね返ってくる。日本の電気代が高止まりし、再エネ普及が進んでもその恩恵を受けられない恐れも想定しうる』、「三菱商事側が示した価格の圧倒性が、市場における競争を排除する方向に働く恐れは十分にあり得る。一人勝ちによる寡占状態が続けば、せっかく最初にブレークスルーが起きたにもかかわらず、これ以上の競争が起こらずコストが下がらないという事態も考えられるからだ」、確かに「一人勝ちによる寡占状態が続けば」、「これ以上の競争が起こらずコストが下がらないという事態も考えられる」、要注意だ。
・『GEとアマゾンから読み解く“低価格”の秘密  そもそもなぜ三菱商事の企業グループは、競合他社より圧倒的な低価格で落札することができたのだろうか。 その理由は、三菱商事の企業グループにGEやアマゾンといった米国企業が加わっていることから読み取ることができる(表面的には三菱商事が冠で入札を行ったものの、実態としては日米企業連合が案件をとったとも言える)。 洋上風力の肝である風車部分は、すべてGE製が導入されるだろうという点がポイントだ。複数のエリアで落札することを前提に、調達量を増やしてコストを下げる戦略を採った。圧倒的なコスト安実現の背景には、GEの協力なくしては成立しない。GEとしても今後日本の洋上風力市場がスケールしていくことを織り込んで協力したと見るのが適当だ。) GEは風車のコストを下げる代わりに案件数を取り、風車の出荷本数を確保することで収益を出す考えがあるだろう。そうであれば、今後も三菱商事のグループはGEのそうした思惑を背景に低価格路線で案件数を取りにいくと考えられる。GEにとっても勝負手だったのだ。このトレンドは維持されることになろう。 アマゾンが三菱商事のグループに加わっている点も重要な意味を持つ。今後の日本の産業界の脱炭素転換を考える上でも大きなポイントとなる。 三菱商事とアマゾンは、すでに欧州の電力分野で協力関係を築いている。三菱商事がもつ権益からアマゾンに再エネ供給がされている実態がすでにある。日本においても昨年9月、PPA(電力購入契約)という形でアマゾンは太陽光由来の再エネを三菱商事から購入すると発表している。 アマゾンは今、データセンターの稼働などのために世界中でPPAに基づいて再エネの大規模調達を続けざまに発表している。日本にもデータセンターがあり、アマゾンにとっては国内での再エネ電源の確保が急務だと言える』、「アマゾンは今、データセンターの稼働などのために世界中でPPAに基づいて再エネの大規模調達を続けざまに発表」、「アマゾン」はやはり凄い企業だ。
・『高値で売れる見込みがある…三菱商事がリスクを取れたワケ  需要家がPPAに基づいて再エネの長期購入を保証するのであれば、供給サイドにとってもメリットは大きい。 今回の連合において、三菱商事はアマゾンのほか、NTTアノードエナジー、キリンHDとも連合を組んでいる。NTTアノードエナジーはセブン&アイグループとPPAスキームで連携しており、キリンは国内工場全てにPPAモデルを導入すると2022年1月に発表したばかりだ。 いずれもPPAスキームにおいて電力供給源を必要としている企業だ。もちろん三菱商事自身も4月から、ローソンにPPAでの電力供給を予定している。 このように、供給サイドではなく、需要サイドが流れを作るようになったという点からも、今回の事案は日本の転換点とも言える大きな出来事だ。これからの脱炭素の市場形成の在り方は変容していくだろう。) アマゾンが三菱商事から購入する再エネ価格が、今回の入札価格となった11円台よりも高ければ、三菱商事としては市場に電力を卸すよりもアマゾンにPPAで供給した方が利益は大きくなる。安い価格でも事業権を何としても落札する動機はここにある。 例えば、アマゾンが秋田県由利本荘沖の洋上風力からの電力全てを16円で、20年間買い取る長期契約を三菱商事側に提示したとしよう。 三菱商事側が投資回収できる十分なレベルと判断すれば、とにかく安い価格で入札しても損はしない。事業権を獲得しさえすれば16円で落札したのと同じ利益を得ることができるからだ。高値で売れる見込みがあるからこそ、供給者側はリスクを取れるのだ』、「アマゾンが三菱商事から購入する再エネ価格が、今回の入札価格となった11円台よりも高ければ、三菱商事としては市場に電力を卸すよりもアマゾンにPPAで供給した方が利益は大きくなる。安い価格でも事業権を何としても落札する動機はここにある」、「高値で売れる見込みがあるからこそ、供給者側はリスクを取れるのだ」、その通りなのだろう。
・『再エネ普及が急加速する“新しい構図”  昨年末の入札は、三菱商事がリスクを取りながらの思い切った一手を打った。そのチャレンジと決断力は評価に値する。先述の通り懸念点はあれど、後れをとる日本の脱炭素転換を加速させる契機になるはずだ。 今回の三菱商事とアマゾンの関係のように、再エネの供給側が需要側を確保して、事業権の獲得や再エネ発電の拡大が進む構図は今後のスタンダードになってくるだろう。 世界的な脱炭素トレンドの中で、化石燃料に依存する企業に対する投資家の目線は厳しさを増しており、企業は再エネの囲い込みに必死だ。国内でも需要者が供給者を巻き込みながら再エネ確保を進めれば、日本の脱炭素は加速するだけでなく、安価な電力価格の実現、さらに利用者の負担軽減にもつながる。 脱炭素時代はリスクを取りながら先手先手を取ることが重要だ。世界の流れを受けて受動的に行動していては、投資家の厳しい目線に曝さらされ、これ以上の日本の成長は込めない。その意味でも三菱商事の後に続く企業にぜひ登場してもらいたい』、「国内でも需要者が供給者を巻き込みながら再エネ確保を進めれば、日本の脱炭素は加速するだけでなく、安価な電力価格の実現、さらに利用者の負担軽減にもつながる。 脱炭素時代はリスクを取りながら先手先手を取ることが重要だ」、「三菱商事の後に続く企業にぜひ登場してもらいたい」、同感である。

次に、3月25日付けNewsweek日本版「地下20キロまで掘削、深部地熱を活用する技術の開発がすすめられている」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/20-103.php
・『<地熱発電は2015年時点で世界全体の発電電力量のわずか0.3%。しかし、深部地熱を活用しようとするベンチャーに資金が集まる......> 地熱は再生可能エネルギーのひとつだが、太陽光や風力などに比べて活用がすすんでいない。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、地熱発電は2015年時点で世界全体の発電電力量のわずか0.3%だ。 地熱資源が豊富な日本でも国内の電力需要の約0.2%を賄うにとどまっている。 地表近くに地熱発電に適した高温の岩体がある場所は限られているが、地下200キロには深部地熱が潤沢に広がっており、地球のどこからでも地熱を得られる。地下深く掘削するうえで課題となるのが、摂氏180度を超える高温環境で岩体を砕かなければならないという点だ』、「地下200キロには深部地熱が潤沢に広がっており、地球のどこからでも地熱を得られる」、しかし、「摂氏180度を超える高温環境で岩体を砕かなければならない」は大変そうだ。
・『摂氏約500度の地下20キロまで掘削できる新しい装置  米マサチューセッツ工科大学(MIT)プラズマ科学・核融合センター(PSFC)から2018年に分離独立したスタートアップ企業クエイズ・エナジーは、既存の掘削技術と核融合研究を組み合わせ、摂氏約500度の地下20キロまで超深度掘削できる新しい掘削装置の開発をすすめている。 この掘削装置は、磁場に沿って高速で回転する電子の運動をエネルギー源としてミリ波帯電磁波を発振させる真空管「ジャイロトロン」を用いているのが特徴だ。「ジャイロトロン」はこれまで主に核融合でのプラズマ加熱に利用されてきた。 クエイズ・エナジーでは、まず、従来の回転掘削で地下の岩体を掘りすすめ、さらに「ジャイロトロン」を使ってミリ波帯電磁波を発生させ、これによって岩を溶かして気化させながら地下20キロまで到達できると考えている』、「エネルギー源としてミリ波帯電磁波を発振させる真空管「ジャイロトロン」を用いているのが特徴だ。「ジャイロトロン」はこれまで主に核融合でのプラズ「マ加熱に利用」、「核融合」にも使われる画期的な技術のようだ。
・『投資を呼び込む、深部地熱  深部地熱へのアクセスを実現し、再生可能エネルギーへの転換を促すクエイズ・エナジーの技術は、多くの投資を呼び込んでいる。2020年6月に600万ドル(約7億800万ドル)の資金調達に成功した後、2021年8月に1200万ドル(約14億1600万ドル)、2022年2月には4000万ドル(約47億2000万円)を相次いで調達した。 クエイズ・エナジーでは2024年までにこの掘削装置を完成させ、2026年に100メガワットの地熱発電システムを構築する計画だ。2028年以降、既存の石炭火力発電所の地熱発電所への転換をすすめていく』、2024年までにこの掘削装置を完成させ、2026年に100メガワットの地熱発電システムを構築する計画」、「100メガワット」といえば、原発並みだ。凄い時代になったものだ。

第三に、 4月9日付け東洋経済オンラインが転載した財新 Biz&Tech「中国の風力発電「陸上から洋上へ」急旋回の背景 風力発電機最大手の決算に浮かぶ潮目の変化」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/578622?utm_source=rss&utm_medium=http&utm_campaign=link_back
・『風力発電機で中国最大手の金風科技は3月25日、2021年の通期決算を発表した。売上高は506億元(約9687億円)と前年比10%減少した一方、純利益は34億6000万元(約662億円)と同17%増加した。 同社は風力発電所の運営なども手がけているが、売上高の8割近くを風力発電機の販売が占めている。その販売状況について、2021年の決算報告書には注目すべき変化が表れていた。相対的に小型の風力発電機の販売台数が前年比6~8割も減少した一方で、大型の風力発電機の販売台数が同2~3倍に増加したのだ。 急速な「大型化」は、風力発電所の新規建設の重点が陸上から洋上へと一気に移ったことが要因だ。洋上風力発電所は陸上よりも建設コストがかさむ。そこで、運営会社は発電機を大型化して1台当たりの発電能力を高め、設備容量当たりの建設費を抑えようとしていることが反映された』、「急速な「大型化」は、風力発電所の新規建設の重点が陸上から洋上へと一気に移ったことが要因だ」、なるほど。
・『補助金政策のタイミングが影響  こうした動きの背景には、中国政府の補助金政策の影響がある。2021年は陸上風力発電所の新設プロジェクトへの補助金が打ち切られる一方、洋上風力発電所は補助金が支給される最終年というタイミングだった。そのため、金風科技では陸上用の発電機の受注が大幅に減ると同時に、洋上用に大量の駆け込み受注が発生した。 中国の風力発電所の総設備容量は2021年12月末時点で約3億3000万キロワットと、1年前より16.6%増加した。そのうちの92%は陸上風力発電所であり、洋上はまだ8%に過ぎない。しかし2021年の新設部分に着目すると、陸上風力の設備容量が前年の半分以下に減少した一方で、洋上風力は前年の5.5倍に増加した。 こうした陸上から洋上への変化の波は、風力発電機業界の勢力図をも塗り替えつつある。金風科技は現在も業界首位の座を守っているが、2018年に32%だった市場シェアは、2020年には21%に後退した。 洋上用の発電機に限れば、市場シェア首位は上海電気風電集団、2位は明陽智慧能源集団であり、金風科技はそれらの後塵を拝している』、「2021年の新設部分に着目すると、陸上風力の設備容量が前年の半分以下に減少した一方で、洋上風力は前年の5.5倍に増加」、確かに「陸上」から「洋上」へのシフトが明確だ。

第四に、4月9日付け現代ビジネスが掲載したイトモス研究所所長の小倉 健一氏による「中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒、負担は国民へ 再生エネルギーという矛盾」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94171?imp=0
・『どんどん高くなる電気代  脱炭素社会へ向けた再生可能エネルギー普及のために、全国各地では大規模太陽光発電所(メガソーラー)と大型洋上風力発電の設置が進んでいる。再生可能エネルギーとは、石油やガスなどの化石燃料と違い、半永久的に利用できる自然エネルギーのことを指す。発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーであるため、地球温暖化の抑制にもつながるとされている。 しかし、自然エネルギーによる発電を普及するため、高くなった単価分を政府が負担しており、批判の対象となっている。 家庭で電気を使うと、使用した電気の量(kWh)に3.36(円/kwh)倍した金額を負担させられることになる。この再生可能エネルギーによる発電を支えようと毎月の電気料金に上乗せされている「再エネ賦課金」は、使用量が平均的な家庭での4月以降の負担は年1万764円になる。 ウクライナ危機で値上がりをしている電気料金が、再生エネルギーの普及のためにさらに値上げを余儀なくされている。 さらに、再生エネルギーの普及が進むことで、別の心配も登場する。最近のことばで「経済安全保障」、つまり、私たちの安全と生活が脅かされている事態になっている。 昨年、中国に本社を置く上海電力の日本法人「上海電力日本」がメガソーラーの事業会社を224億円で買収していたことが分かった』、「「再エネ賦課金」は、使用量が平均的な家庭での4月以降の負担は年1万764円になる」、こんなに重いとは再認識した。「上海電力の日本法人「上海電力日本」がメガソーラーの事業会社を224億円で買収」、初めて知った。
・『3割は外資が占有する「メガソーラー」  計画によると、山口県岩国市の元ゴルフ場開発用地をつかって、敷地面積214ヘクタールのうち110ヘクタールに太陽光パネル約30万枚を設置し、出力は75メガワット。全て中国電力に売電する予定で、売電収入は年約36億円を見込んでいる。 岸信夫防衛大臣の地元でもある岩国市だが、米海兵隊岩国航空基地と沖縄県嘉手納空軍基地を結ぶ航路に当たり、さらには瀬戸内海を見渡せる。地政学上で戦略的に重要となるこの場所に、100%中国資本の会社がメガソーラーを設置するわけだが、メガソーラーのパネルは建築基準法の対象外であるため、地元住民との協議を必要としない。 林地開発許可の見直しなどを求める請願と1403人分の住民の署名が県に提出されたが、このままではどうすることもできないだろう。建設工事は2019年11月から24年6月までかかり、工事完了後、40年9月までを送電期間としている。 産経新聞の報道によれば、〈数回にわたり事業が転売されたことで事業主の実態が把握できず、トラブルなどが起きた場合、「どこが対処するのか」〉と住民は不安や怒りを隠せない状態のようで、上海電力日本は取材に対し、〈「岩国の件については何も答えられない」としている〉のだという。外国資本によるメガソーラーの買収は全国で広がっており、全体の約3割を外資が占有しているという。 ここで、自然エネルギーについての筆者の立場を明らかにしなくてはならない。 私は、中国だけではなく、あらゆる外国企業からの投資について、安全保障の対象となるのかならないのかを明確に分ける必要があると考える。 安全保障の対象となるのであれば、友好国であろうとも警戒を強め、なるべく国産のシステムや製品を利用すべきだ。反対に、安全保障の対象ではないのなら、民間に判断を委ねるべきだし、政府として介入すべき問題ではない』、私はエネルギーなので、「安全保障の対象」とすべきと考える。
・『安全保障上の脅威  わかりやすく言えば、ユニクロやニトリは製品にウイグル産の綿花を使っているし、それを許せない人はたくさんいるのだろうが、日本にとっての安全保障上の脅威ではない。脅威ではない以上、ウイグル産の綿花を使う服を着るか着ないかは消費者が判断すれば良い。 中央省庁のネットワークシステムを外国籍企業に受注させるのは、安全保障上の脅威になる可能性があり、十分に注意が必要ということだ。この点については、総務省の関係者も下記のような見解を示している。 「バックドア(攻撃者が侵入するための侵入口を管理者に気づかれないように設置し、その後、その侵入口を用いて不正な攻撃を行うという手法)が設置可能なシステム導入については、経済安全保障の対象である」 裏を返すと、単純な部品など代替可能なものは、中国産であろうと使用を許可し、代替が不可能なのものであれば、政府として対処していかなくてはならないということだ。 この点において、メガソーラーも、洋上風力発電も、中国産の製品やシステムを使わざるを得ないのが現状だ。もし中国政府が日本に対して嫌がらせをしてきたときに、電力の確保がおぼつかない事態になるとすれば安全保障上の脅威と考えるべきだ。 値上げラッシュにさらに拍車をかける自然エネルギー発電には腹立たしい限りだが、それにもまして国産企業が開発・生産から撤退をしてしまい、中国製品を使わざるを得ない状況は、安全保障上の脅威なのである。 上海電力のようにわかりやすい外国企業による進出ではなくても、日本の大手商社が受注していても運営やネットワークは外国資本ということもよくあるので注意が必要だ。 経済合理性がなく、安全保障上の脅威でもあるメガソーラーや洋上風力発電からは、このエネルギー危機を良い契機として、日本は一歩引くべきときだ』、「国産企業が開発・生産から撤退をしてしまい、中国製品を使わざるを得ない状況は、安全保障上の脅威なのである」、「脅威」ではあっても「使わざるを得ない」ようだ。
タグ:「三菱商事側が示した価格の圧倒性が、市場における競争を排除する方向に働く恐れは十分にあり得る。一人勝ちによる寡占状態が続けば、せっかく最初にブレークスルーが起きたにもかかわらず、これ以上の競争が起こらずコストが下がらないという事態も考えられるからだ」、確かに「一人勝ちによる寡占状態が続けば」、「これ以上の競争が起こらずコストが下がらないという事態も考えられる」、要注意だ。 PRESIDENT ONLINE 小倉 健一氏による「中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒、負担は国民へ 再生エネルギーという矛盾」 現代ビジネス 「2021年の新設部分に着目すると、陸上風力の設備容量が前年の半分以下に減少した一方で、洋上風力は前年の5.5倍に増加」、確かに「陸上」から「洋上」へのシフトが明確だ。 「急速な「大型化」は、風力発電所の新規建設の重点が陸上から洋上へと一気に移ったことが要因だ」、なるほど。 財新 Biz&Tech「中国の風力発電「陸上から洋上へ」急旋回の背景 風力発電機最大手の決算に浮かぶ潮目の変化」 東洋経済オンライン 2024年までにこの掘削装置を完成させ、2026年に100メガワットの地熱発電システムを構築する計画」、「100メガワット」といえば、原発並みだ。凄い時代になったものだ。 「エネルギー源としてミリ波帯電磁波を発振させる真空管「ジャイロトロン」を用いているのが特徴だ。「ジャイロトロン」はこれまで主に核融合でのプラズ「マ加熱に利用」、「核融合」にも使われる画期的な技術のようだ。 「地下200キロには深部地熱が潤沢に広がっており、地球のどこからでも地熱を得られる」、しかし、「摂氏180度を超える高温環境で岩体を砕かなければならない」は大変そうだ。 Newsweek日本版「地下20キロまで掘削、深部地熱を活用する技術の開発がすすめられている」 「国内でも需要者が供給者を巻き込みながら再エネ確保を進めれば、日本の脱炭素は加速するだけでなく、安価な電力価格の実現、さらに利用者の負担軽減にもつながる。 脱炭素時代はリスクを取りながら先手先手を取ることが重要だ」、「三菱商事の後に続く企業にぜひ登場してもらいたい」、同感である。 「アマゾンが三菱商事から購入する再エネ価格が、今回の入札価格となった11円台よりも高ければ、三菱商事としては市場に電力を卸すよりもアマゾンにPPAで供給した方が利益は大きくなる。安い価格でも事業権を何としても落札する動機はここにある」、「高値で売れる見込みがあるからこそ、供給者側はリスクを取れるのだ」、その通りなのだろう。 「アマゾンは今、データセンターの稼働などのために世界中でPPAに基づいて再エネの大規模調達を続けざまに発表」、「アマゾン」はやはり凄い企業だ。 「国産企業が開発・生産から撤退をしてしまい、中国製品を使わざるを得ない状況は、安全保障上の脅威なのである」、「脅威」ではあっても「使わざるを得ない」ようだ。 私はエネルギーなので、「安全保障の対象」とすべきと考える。 「「再エネ賦課金」は、使用量が平均的な家庭での4月以降の負担は年1万764円になる」、こんなに重いとは再認識した。「上海電力の日本法人「上海電力日本」がメガソーラーの事業会社を224億円で買収」、初めて知った。 日本でのボロ儲けを見込んでいた「欧州勢」には冷水を浴びせたようだ。 エネルギー (その10)(なぜ三菱商事は一人勝ちできたのか…洋上風力発電で突然の価格破壊が起きた納得の理由 ライバル企業の株価は4分の1に、地下20キロまで掘削 深部地熱を活用する技術の開発がすすめられている、中国の風力発電「陸上から洋上へ」急旋回の背景 風力発電機最大手の決算に浮かぶ潮目の変化、中国の「上海電力」が岩国でメガソーラー事業! 地元民は激怒 負担は国民へ 再生エネルギーという矛盾) 「再エネや脱炭素のイメージを覆す好機になるだろう」、なるほど。 文字通り「価格破壊」が起きたようだ。 このニュースについては、このブログの2月15日付けでも紹介した。 前田 雄大氏による「なぜ三菱商事は一人勝ちできたのか…洋上風力発電で突然の価格破壊が起きた納得の理由 ライバル企業の株価は4分の1に」
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