企業不祥事(その26)(アクセンチュア過重労働に潜むコンサルの業界悪 残業が消えない真の理由、【スクープ】東レの樹脂製品「安全認証の不正行為」 5年前から火消し工作か、吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」) [企業経営]
企業不祥事については、昨年10月14日に取上げた。今日は、(その26)(アクセンチュア過重労働に潜むコンサルの業界悪 残業が消えない真の理由、【スクープ】東レの樹脂製品「安全認証の不正行為」 5年前から火消し工作か、吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」)である。
先ずは、本年3月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「アクセンチュア過重労働に潜むコンサルの業界悪、残業が消えない真の理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/298719
・『アクセンチュアの書類送検騒動はコンサルの業界問題でもある アクセンチュアが、社員に違法な残業をさせていたとして書類送検されました。ソフトウエアエンジニアの男性社員1人に、1か月140時間余りの残業をさせた労働基準法違反の疑いです。 「法律をちゃんと守れよ」ということではあるのですが、そのうえでこの問題、それだけでは済まない課題を抱えた業界問題でもあります。今回のアクセンチュアの問題はあくまで入り口として、コンサル業界全体が抱える課題と乗り越え方について内部の立場で考えてみたいと思います。 コンサル業界は学生の就活でも一番人気の業種で、アクセンチュアはその中でも世界のトップにランキングされます。30代前半で年収1000万円が狙える一方で、仕事は激務でライフワークバランスを維持するのが大変そうだ、というのが一般的なイメージでしょうか。 その激務の話ですが、労働基準法では使用者と労働者の代表が36協定を結べば例外的に月45時間の残業が許され、さらに例外の例外として業務量の大幅な増加に対して上限で月100時間まで(かつ2カ月以上の平均で80時間以内)の残業・休日出勤が許されるとされています。今回書類送検された事案の140時間はこの基準を超えるので、「よくない」という点については間違いないと思います。 とはいえ、アクセンチュアはこの残業問題については業界内ではかなりきちんと取り組んでいたという評判を聞いています。そのあたりはこの記事の後半でお話しするとして、まず総論として、なぜコンサル業界で過重労働が発生するのかについてまとめてみましょう。 過重労働は、命に係わる問題だと認識されています。過労死ラインと言われるのが月80時間を超える時間外労働で、健康障害を発症した人はそのような状況が長く続き、発症の直前には時間外労働が月100時間を超えていたという例が多いようです』、「男性社員1人に、1か月140時間余りの残業をさせた労働基準法違反の疑い」、確かにこれではアウトだ。それにしても、「30代前半で年収1000万円が狙える」とは、なかなかいい待遇だ。
・『人気のコンサル業界で残業が発生する三つの理由 それでは、なぜコンサル業界で残業が発生するのか? 三つのタイプの理由から、その原因と対策を考えてみたいと思います。 その三つとは、 (1)取り組む課題の難易度が高い (2)自身の能力が低い (3)組織の能力が低い、ないしは上司の能力が低い です。 1番目の理由は職種柄、仕方ない側面もあります。というのも、そもそも大企業が多額の報酬を支払ってコンサルに依頼をする問題は、どんなものであれ簡単なものではないケースが大半だからです。ノウハウがあるとはいえ、毎回頭をひねって打開策を考えに考え抜く仕事ばかり。時間がかかるのは当然です。 2番目の理由ですが、実はほとんどのコンサルタントが「自分の能力の低さ」を認識しています。これは、トップアスリートの心境に似ています。その道のプロであればプロであるほど、要求される能力の高みを理解しています。同時に、自分がそこに到達するためにはまだ距離があることを、痛いほど自覚しているのです。 ちなみに、それを認識していない自信満々のコンサルもいますが、自分を客観視できない人は比較的短時間で業界から淘汰される傾向にあるようです。 それでこれはコンサル業界共通の課題になるのですが、この二つの理由から「残業せずに早く帰れ」と命令しても、仕事を続けたいと考えるコンサルは結構多いのです。職人気質というと理解しやすいかもしれませんが、今できている案では不十分であることがわかっていて、仕事にもっと時間をかけたいのです。 コンサルの場合、能力に応じてポジションが与えられ昇給する格差が大きいことから、なんとしても実力を上げて認められ、早く上に行きたいという競争心も大きいものです。 過重労働の問題が叫ばれるようになって以降、コンサル会社は労働時間を厳しく把握するようにしています。すると、当然のように「今の上司は若い頃に無限大の残業をして力をつけた。今になって若い社員に時間制限を課して成長の機会を奪うのは、フェアではない」という不満が、若くて上昇志向の強い社員から噴出したりもします。 実際、そういう社員は帰宅しても夜遅くまで勉強したり調べものをしたりします。だから、会社の管理できない場所で健康に負荷がかかっていることも多いのです』、「「今の上司は若い頃に無限大の残業をして力をつけた。今になって若い社員に時間制限を課して成長の機会を奪うのは、フェアではない」という不満」にも一理ある。「会社の管理できない場所で健康に負荷がかかっていることも多い」、仕事の持ち帰りが増えるのでは、労働時間の実態が分からなくなり、かえってマイナスだ。
・『上司の能力が低いコンサル会社では「デスマーチ(死の行進)」が起きやすい 一方で3番目の理由として、コンサル会社にプロジェクト運営の巧拙があったり、上司の能力が低かったりすることで、社員の労働時間に負担がかかることも実際問題としては非常に多いものです。 こんな例がよくあります。午後まるまるかけて検討したアウトプットが、上司の目から見てだめだったとします。苦虫をかみつぶしたような顔をして、上司が部下に再検討の指示をします。そのうえで自分のスケジュールを見ると、空き時間がほとんどない。仕方なく、「明日の朝7時半から8時半までなら時間がとれるからそれまでに作っておいて」と指示を出して会議室を後にします。 要するに、会議が終わった午後7時半から次の朝の午前7時半までにアウトプットを作り直せと指示を出しているのです。これを「緊急事態ならオッケーだ」と考える上司は、一定数存在します。 実際は、クライアントの役員を集めた会議直前にこういったダメ出しが頻出するようなプロジェクトは、コンサル会社の上司のプロジェクト設計能力に問題があります。組織や上司の能力が低いために、このような事態が引き起こされるケースも多いものです。 さらに、コンサルのアウトプットとして提案した戦略にシステム開発を実装していくような場合には、システム業界で言う「デスマーチ」に社員が巻き込まれている可能性も出てきます。 デスマーチ、すなわち死の行進というのは、IT業界での過重労働が起きているプロジェクトを差す俗語です。そして、このデスマーチはそもそも失敗するように設計されたプロジェクトであったり、適正な資源(人員や予算、期間)が割かれていないプロジェクトであったりすることが大半だといいます。 コンサル会社でも特に、システムエンジニアに過重労働が降りかかる事例は、このデスマーチの可能性が常にあります。もしそうだとしたら、組織としての能力不足か上司の能力不足がその結果を引き起こしているというわけです』、「組織としての能力不足か上司の能力不足が」、「デスマーチ」「を引き起こしている」、「巻き込まれている」「社員」もたまったものではない。
・『若さをあてにした過重労働は長い目で見ると個人にとってマイナス さて、冒頭のアクセンチュアに話を戻しますと、実は業界内で耳にする話としてはライフワークバランスの実現は、かなりうまくいっている方だとされています。 会社全体で働き方改革のプロジェクトを進めていて、残業時間の上限は以前の79.5時間から2017年に45時間に変更されました。さらに、これまでの組織風土を改めて、全社員の意識改革を行う取り組みを進めています。 業界全体の中では働き方改革が進んでいたはずのアクセンチュアでも、冒頭のような事案が発生したというのが今回の報道です。背景としては3番目の問題について組織全体としてかなり取り組んできたものの、プロジェクト単位ではその域に達していなかったということが表面化したものでしょう。 2番目の理由のように、社員が働きたくて働きたくて仕方なかったから140時間働いていた話ではないと思われます。 業界のトップ企業が今回のように摘発されたことは、コンサル業界の未来にとってはプラスに働くと思います。この年齢になって分かるのですが、やはり若さをあてにした過重労働は人生トータルではいいものではありません。 もし、この記事を読んでいる業界人の中で2番目の理由で働き過ぎている人がいらっしゃったら、業界の先輩としては少し立ち止まって自分や自分の家族をいたわる時間を作った方がいいとアドバイスしたいと思います』、同感である。ただ、裁量労働制を導入すれば、時間外の問題は解消する筈だが、導入に障害があるのだろうか。
次に、3月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの村上 力氏による「【スクープ】東レの樹脂製品「安全認証の不正行為」、5年前から火消し工作か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/299424
・『日本を代表する化学メーカー、東レ(日覺昭廣社長)で今年1月末、家電製品や自動車部品に使う樹脂製品の安全認証での不正行為が明らかになった。製品特性の一つである燃えにくさについて、アメリカの第三者安全機関であるUL(アンダーライターズ・ラボラトリーズ)から認証を得る際に、実際の製品とは異なるサンプルを提出するなどして、試験を不正にクリアしていたという。東レは今月にも報告書を公表する運びだが、取材を進めると、実は東レが、5年以上前からこの不正を把握し、公表直前までひそかに“火消し工作”を図っていたことが分かった。また、5年前に子会社であった品質不正を教訓として実施した再発防止策が、まったく機能していなかった疑いも浮上している』、「5年以上前からこの不正を把握し、公表直前までひそかに“火消し工作”を図っていた」、「5年前に子会社であった品質不正を教訓として実施した再発防止策が、まったく機能していなかった疑い」、経団連会長を輩出した会社とは思えないお粗末さだ。
・『認証を得た410品種のうち110品種で不正が発覚 東レのリリースや新聞報道によると、昨年末に東レが実施した社内アンケート調査への回答で、ULの不正が発覚したという。東レが販売している樹脂製品約1600品種のうち、燃えにくさである難燃性能を示す規格「UL94」の認証を得たのは約410品種。そのうち110の品種で、不正行為が確認されたようだ。東レ全体の売上高に占める樹脂ケミカル事業セグメントの売り上げは16%に相当し、会社全体の信用を揺るがす不祥事だ。 東レは、不正行為があった品種のうち9割超は、難燃性能がULの基準を満たしており、安全性への問題は軽微と説明している。表沙汰になっている経緯だけを見ると、さほど大きな問題ではなく、むしろ社内のチェック機能が有効に機能しているように思えてくる。 だが、事はそう単純ではない。実は、不正のあった樹脂製品を担当する樹脂ケミカル事業部では、2016年6月から、秘密裏に事態を把握していたにもかかわらず、今日まで不正の事実を伏せていたのだ。 そもそも、ULの不正とは具体的にどういうものか。 東レで実行されていた不正行為は、主に2種類に分けられる。一つ目は、樹脂製品をULに登録する際のものであり、二つ目は、ULが行うフォローアップ試験を切り抜けるために実行されたものだ。 UL認証を取得するためには、開発した樹脂製品を短冊状に成形したサンプルをULに提出し、これをバーナーであぶるといった難燃性の試験を通過しなければいけない。合格すれば認証を得られ、材料や生産拠点などの情報が登録される。UL認証の取得は、顧客からの要求事項に入っていることも多いという。 だが東レでは、このUL登録の際に、実際の生産方法とは異なる方法で作られたULが求める難燃性能を満足するサンプルを提出することで、試験をクリアしていたという。 最初の登録で不正を行えば、その後もごまかし続けなければいけない。 ULは、登録した品種の品質が維持されているかチェックするために、年に4回、フォローアップ試験として、既に登録されている品種の難燃性能を確認している。ULの検査員が抜き打ちで、登録品種の生産拠点を訪れ、フォローアップ試験の対象品種を指定することもあるという。 東レでは、フォローアップ試験でも、材料に難燃剤を混ぜたり、燃えやすい成分を減量するなどして偽サンプルを作成し、ULに提出していたという』、「UL登録の際に、実際の生産方法とは異なる方法で作られたULが求める難燃性能を満足するサンプルを提出することで、試験をクリアしていたという。 最初の登録で不正を行えば、その後もごまかし続けなければいけない」、「フォローアップ試験でも、材料に難燃剤を混ぜたり、燃えやすい成分を減量するなどして偽サンプルを作成し、ULに提出」、極めて悪質だ。
・『5年前に行われた樹脂製品の不正調査 このような工作を行うと、UL登録時のサンプルと、実際の樹脂製品と、フォローアップ試験時に提出したサンプルの、三つの製品に乖離(かいり)が生じることになる。東レの樹脂ケミカル事業部の幹部は、90年代から製品に乖離があることに気付いていた。 だが、本格的な調査が始まったのは2016年6月である。同じ頃、後述する東レ子会社での品質不正が発覚していただけでなく、日本の製造業全体で、品質データ改竄(かいざん)などの不正が相次いで見つかっていた。そうした内外の動きを受けて、実態把握に乗り出したと思われる。調査は17年1月まで、半年にわたって行われたという。 不正が見つかった樹脂製品は、家電製品や自動車など、一般消費者向けの商品の部品に使用されている。本来なら、速やかに事態の公表を行うべきだっただろう。 ところが、現実に行われたのはひそかな「火消し」だった。樹脂ケミカル事業部は、問題の樹脂製品をリスクレベルで3区分し、UL登録品種と実際の製品との乖離が大きい「ランクA」の品種について、代替品に置き換えることでつじつまを合わせることを試みた。ランクB、Cの不正はそのまま継続し、商品の製造販売は続いていた。) だが、2018年にはランクAの代替品導入を断念し、品種を廃番とするなどして、事態の収束を図っていたのである。2021年11月には、ランクBの代替品の導入や販売中止に着手。UL不正が発覚したのは、その直後だった』、「不正が見つかった樹脂製品は、家電製品や自動車など、一般消費者向けの商品の部品に使用されている。本来なら、速やかに事態の公表を行うべき」、「現実に行われたのはひそかな「火消し」だった。樹脂ケミカル事業部は、問題の樹脂製品をリスクレベルで3区分し、UL登録品種と実際の製品との乖離が大きい「ランクA」の品種について、代替品に置き換えることでつじつまを合わせることを試みた。ランクB、Cの不正はそのまま継続し、商品の製造販売は続いていた」、悪質な隠蔽だ。
・『ネット掲示板への書き込みにより急ぎ公表された子会社の品質不正 樹脂ケミカル事業部がULの不正の火消しにあたっていた頃、東レ子会社「東レハイブリッドコード」(以下、THC)で、タイヤ補強材の品質不正が発覚している。 この事案の発覚は、2016年7月である。同年6月、THCが独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)から補助金を不正受給していたことが発覚し、東レの法務・コンプライアンス部門が、同年7月1日にTHCの社員にアンケート調査を実施。THCが製造販売するタイヤの補強材などの品質データが改竄されているという情報提供があった。 にもかかわらず、対外公表がされたのは1年以上たった17年11月である。東レは16年7月に調査に着手し、同年10月には日覺社長に報告していた。しかし、対外公表や外部顧客への公表をしないまま、安全性調査などを進めていたという。 だが、17年11月にネット掲示板にTHCの不正に関する書き込みがされ、記者に嗅ぎつけられる前に、急ぎ公表に踏み切った経緯があった。日覺社長は会見で、「(当初は)公表するつもりはなかった」と明言していた。 THCの不正では、途中まで内々にコトを収めようと試みていたのである。一方、ULの不正は外部に情報が漏れることなく、今日まで情報を伏せておくことに“成功”したと言える』、「THCが製造販売するタイヤの補強材などの品質データが改竄」された問題も、「ネット掲示板にTHCの不正に関する書き込みがされ、記者に嗅ぎつけられる前に、急ぎ公表に踏み切った経緯」、隠蔽体質は根強いようだ。
・『再発防止のために新設した品質保証本部の足元で不正 問題は、THCの不正を受け、全社的に実施された再発防止策である。 2017年12月末に公表されたTHCの報告書によると、東レは、日覺社長への報告があった2016年10月頃から、品質保証部門の格上げや、品質検査の厳格化、コンプライアンス教育などの再発防止策を実施している。) また、2018年3月までに、品質データを取り扱う社員や管理監督者など1万人弱を対象に一斉アンケート調査を行い、法令違反や製品の安全性に影響がある案件はなかったという結果を得ている。 だが前述の通り、THCの不正調査、再発防止策の実施が行われたまさに同時期に、ULの不正は「火消し」が敢行されていた。 一斉アンケート調査は19年にも行われたが、ULの不正は上がってこなかった。コンプライアンス教育や品質向上プロジェクトはどこ吹く風、2度のアンケートもすり抜け、昨年末まで、不正行為が続いた。 再発防止策についてさらに言えば、東レは2018年に品質保証本部を新設し、東レグループ全体の品質保証業務を集約させている。しかし、ULのフォローアップ試験は、樹脂ケミカル事業部の品質保証課を通して行われていた。 東レの生産拠点は、ULの抜き打ち検査を受けると、東レの担当部門の品質保証課に連絡している。同課は、東レの余剰人員の受け皿会社である「殖産会社」にサンプルの成形を依頼し、この殖産会社が、難燃剤を混ぜるなどして偽サンプル作りを担っていた。 なんのことはない、鳴り物入りで創設された品質保証本部の足元ですら、不正が横行していたのである』、「鳴り物入りで創設された品質保証本部の足元ですら、不正が横行していた」、あきれ果てた。
・『無効の再発防止策に太鼓判を押した弁護士らがUL不正を調査 さらなる問題は、無効と言わざるを得ない再発防止策を褒めそやしていた面々が、ULの不正の調査・原因究明を任されていることである。 東レは、ULの不正のリリースで、「有識者調査委員会」の具体的なメンバーを明らかにしていないが、その構成員は、藤田昇三弁護士(藤田昇三法律事務所)、松尾眞弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)、永井敏雄弁護士(卓照綜合法律事務所)である。 この3人は、THCの調査委員会と全く同じ面々である。 彼らは、無効だった再発防止策をどう評価していたのか。17年12月の報告書では〈いずれも、策定時点の再発防止策としては、有効かつ適切に機能することが期待でき、妥当なものである〉と太鼓判を押している。 また、一斉アンケート実施を踏まえた2018年3月の有識者委員会議事録では、結果的にULの不正が上がってこなかったアンケートを〈適切な方法でなされ、相応の時間と人員を割いて、十分な調査、分析及び検討がされている〉とお墨付きを与えていた。委員の一人は「これだけ広範な調査を行って、法令違反や製品の安全性に影響がある案件が検出されなかったことについては、敬意を表する」という賛辞まで贈っている。 再発防止策についても、〈東レグループ全体にわたる品質保証業務の実効性を確保する体制を整え、改善のための施策を着実に実行に移していることが確認できた〉と満足げなコメントを付していた。 THCの不正では、子会社の社長が責任を取ったが、長期間にわたり不正を公表しなかった日覺社長はおとがめなしだった。もし、THCの不正が明らかになった時、似たような不正がないか徹底的なチェックを行い、不正を内緒にしておく体質が改められていれば、ULの不正にも、早期に適切な対応が取れていた可能性が高い。THCの調査委員会が下した裁定は、結果的にではあるが、間違っていたのではないか。 またULの不正は、再発防止策が有効に機能したかが重要な論点になってくるだろう。だが問題の再発防止策を是認し、褒めそやしていた面々に、適切な調査や原因究明ができるのだろうか。 筆者は東レに、調査委員会メンバーの適性について取材したところ、「東レハイブリッドコードの事案では、会社が実施した調査の妥当性を有識者委員会で検証してもらったものだが、今回は調査そのものの計画・実行から有識者調査委員会に入ってもらうものであり、当時とは調査の対象が異なります。また、前回の知見を生かしていただくことで、効果的に調査・分析を深掘りいただけるものと考えています」と回答があった。 報告書は3月中にも公表される予定だ』、「UL」の「有識者調査委員会」、「THCの調査委員会」、とも「全く同じ面々である」、「再発防止策としては、有効かつ適切に機能することが期待でき、妥当なものである〉と太鼓判を押している」、「委員の一人は「これだけ広範な調査を行って、法令違反や製品の安全性に影響がある案件が検出されなかったことについては、敬意を表する」という賛辞まで贈っている」、「調査委員会」はまさに御用機関で、意味がない。こんな御用機関を重用するようでは、「東レ」の権威も地に落ちたようだ。
第三に、4月18日付けJ-CASTニュース「吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」」を紹介しよう。
・『吉野家は2022年4月18日、常務取締役企画本部長が外部で不適切な発信をしたとして、「多大なるご迷惑とご不快な思いをさせた」と謝罪した』、興味深そうだ。
・『利用の継続を図りたいという考え方の元… 吉野家の発表によれば、2022年4月16日の社会人向け講座に講師として招かれた取締役が、不適切な発言をしたという。 「人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものではありません」とし、「講座受講者と主催者の皆様、吉野家をご愛用いただいているお客様に対して多大なるご迷惑とご不快な思いをさせたことに対し、深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」と謝罪した。 この取締役は講座翌日、主催者に書面で謝罪し、後日改めて対面で謝罪するという。会社としては処分を含め対応を検討しているとする。 問題の発言は、早稲田大学の社会人向けのマーケティング講座(計29回、受講料38万5000円)の初回授業で飛び出したとみられる。 受講生のSNS投稿によれば、取締役は自社の若年女性向けマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と発言し、「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘な内に牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」とも話していたという。 投稿は広く拡散し、問題視する意見が相次いでいた。吉野家広報はJ-CASTニュースの取材に、会社としての考えではないとし、「一度利用したお客様の利用の継続を図りたいという考え方の元発言しましたが、講座内で用いた言葉・表現の選択は極めて不適切でした」などとコメントした。 主催した早稲田大にも見解を求めている。回答があり次第、追記する』、「吉野家」「常務取締役」ともあろう人物が、「早稲田大学の社会人向けのマーケティング講座」で破廉恥な発言をするとは、いささか驚かされた。本人は気が利いた発言をしたつもりだったのかも知れないが、世間的な常識からは大きく外れているようだ。
先ずは、本年3月11日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏による「アクセンチュア過重労働に潜むコンサルの業界悪、残業が消えない真の理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/298719
・『アクセンチュアの書類送検騒動はコンサルの業界問題でもある アクセンチュアが、社員に違法な残業をさせていたとして書類送検されました。ソフトウエアエンジニアの男性社員1人に、1か月140時間余りの残業をさせた労働基準法違反の疑いです。 「法律をちゃんと守れよ」ということではあるのですが、そのうえでこの問題、それだけでは済まない課題を抱えた業界問題でもあります。今回のアクセンチュアの問題はあくまで入り口として、コンサル業界全体が抱える課題と乗り越え方について内部の立場で考えてみたいと思います。 コンサル業界は学生の就活でも一番人気の業種で、アクセンチュアはその中でも世界のトップにランキングされます。30代前半で年収1000万円が狙える一方で、仕事は激務でライフワークバランスを維持するのが大変そうだ、というのが一般的なイメージでしょうか。 その激務の話ですが、労働基準法では使用者と労働者の代表が36協定を結べば例外的に月45時間の残業が許され、さらに例外の例外として業務量の大幅な増加に対して上限で月100時間まで(かつ2カ月以上の平均で80時間以内)の残業・休日出勤が許されるとされています。今回書類送検された事案の140時間はこの基準を超えるので、「よくない」という点については間違いないと思います。 とはいえ、アクセンチュアはこの残業問題については業界内ではかなりきちんと取り組んでいたという評判を聞いています。そのあたりはこの記事の後半でお話しするとして、まず総論として、なぜコンサル業界で過重労働が発生するのかについてまとめてみましょう。 過重労働は、命に係わる問題だと認識されています。過労死ラインと言われるのが月80時間を超える時間外労働で、健康障害を発症した人はそのような状況が長く続き、発症の直前には時間外労働が月100時間を超えていたという例が多いようです』、「男性社員1人に、1か月140時間余りの残業をさせた労働基準法違反の疑い」、確かにこれではアウトだ。それにしても、「30代前半で年収1000万円が狙える」とは、なかなかいい待遇だ。
・『人気のコンサル業界で残業が発生する三つの理由 それでは、なぜコンサル業界で残業が発生するのか? 三つのタイプの理由から、その原因と対策を考えてみたいと思います。 その三つとは、 (1)取り組む課題の難易度が高い (2)自身の能力が低い (3)組織の能力が低い、ないしは上司の能力が低い です。 1番目の理由は職種柄、仕方ない側面もあります。というのも、そもそも大企業が多額の報酬を支払ってコンサルに依頼をする問題は、どんなものであれ簡単なものではないケースが大半だからです。ノウハウがあるとはいえ、毎回頭をひねって打開策を考えに考え抜く仕事ばかり。時間がかかるのは当然です。 2番目の理由ですが、実はほとんどのコンサルタントが「自分の能力の低さ」を認識しています。これは、トップアスリートの心境に似ています。その道のプロであればプロであるほど、要求される能力の高みを理解しています。同時に、自分がそこに到達するためにはまだ距離があることを、痛いほど自覚しているのです。 ちなみに、それを認識していない自信満々のコンサルもいますが、自分を客観視できない人は比較的短時間で業界から淘汰される傾向にあるようです。 それでこれはコンサル業界共通の課題になるのですが、この二つの理由から「残業せずに早く帰れ」と命令しても、仕事を続けたいと考えるコンサルは結構多いのです。職人気質というと理解しやすいかもしれませんが、今できている案では不十分であることがわかっていて、仕事にもっと時間をかけたいのです。 コンサルの場合、能力に応じてポジションが与えられ昇給する格差が大きいことから、なんとしても実力を上げて認められ、早く上に行きたいという競争心も大きいものです。 過重労働の問題が叫ばれるようになって以降、コンサル会社は労働時間を厳しく把握するようにしています。すると、当然のように「今の上司は若い頃に無限大の残業をして力をつけた。今になって若い社員に時間制限を課して成長の機会を奪うのは、フェアではない」という不満が、若くて上昇志向の強い社員から噴出したりもします。 実際、そういう社員は帰宅しても夜遅くまで勉強したり調べものをしたりします。だから、会社の管理できない場所で健康に負荷がかかっていることも多いのです』、「「今の上司は若い頃に無限大の残業をして力をつけた。今になって若い社員に時間制限を課して成長の機会を奪うのは、フェアではない」という不満」にも一理ある。「会社の管理できない場所で健康に負荷がかかっていることも多い」、仕事の持ち帰りが増えるのでは、労働時間の実態が分からなくなり、かえってマイナスだ。
・『上司の能力が低いコンサル会社では「デスマーチ(死の行進)」が起きやすい 一方で3番目の理由として、コンサル会社にプロジェクト運営の巧拙があったり、上司の能力が低かったりすることで、社員の労働時間に負担がかかることも実際問題としては非常に多いものです。 こんな例がよくあります。午後まるまるかけて検討したアウトプットが、上司の目から見てだめだったとします。苦虫をかみつぶしたような顔をして、上司が部下に再検討の指示をします。そのうえで自分のスケジュールを見ると、空き時間がほとんどない。仕方なく、「明日の朝7時半から8時半までなら時間がとれるからそれまでに作っておいて」と指示を出して会議室を後にします。 要するに、会議が終わった午後7時半から次の朝の午前7時半までにアウトプットを作り直せと指示を出しているのです。これを「緊急事態ならオッケーだ」と考える上司は、一定数存在します。 実際は、クライアントの役員を集めた会議直前にこういったダメ出しが頻出するようなプロジェクトは、コンサル会社の上司のプロジェクト設計能力に問題があります。組織や上司の能力が低いために、このような事態が引き起こされるケースも多いものです。 さらに、コンサルのアウトプットとして提案した戦略にシステム開発を実装していくような場合には、システム業界で言う「デスマーチ」に社員が巻き込まれている可能性も出てきます。 デスマーチ、すなわち死の行進というのは、IT業界での過重労働が起きているプロジェクトを差す俗語です。そして、このデスマーチはそもそも失敗するように設計されたプロジェクトであったり、適正な資源(人員や予算、期間)が割かれていないプロジェクトであったりすることが大半だといいます。 コンサル会社でも特に、システムエンジニアに過重労働が降りかかる事例は、このデスマーチの可能性が常にあります。もしそうだとしたら、組織としての能力不足か上司の能力不足がその結果を引き起こしているというわけです』、「組織としての能力不足か上司の能力不足が」、「デスマーチ」「を引き起こしている」、「巻き込まれている」「社員」もたまったものではない。
・『若さをあてにした過重労働は長い目で見ると個人にとってマイナス さて、冒頭のアクセンチュアに話を戻しますと、実は業界内で耳にする話としてはライフワークバランスの実現は、かなりうまくいっている方だとされています。 会社全体で働き方改革のプロジェクトを進めていて、残業時間の上限は以前の79.5時間から2017年に45時間に変更されました。さらに、これまでの組織風土を改めて、全社員の意識改革を行う取り組みを進めています。 業界全体の中では働き方改革が進んでいたはずのアクセンチュアでも、冒頭のような事案が発生したというのが今回の報道です。背景としては3番目の問題について組織全体としてかなり取り組んできたものの、プロジェクト単位ではその域に達していなかったということが表面化したものでしょう。 2番目の理由のように、社員が働きたくて働きたくて仕方なかったから140時間働いていた話ではないと思われます。 業界のトップ企業が今回のように摘発されたことは、コンサル業界の未来にとってはプラスに働くと思います。この年齢になって分かるのですが、やはり若さをあてにした過重労働は人生トータルではいいものではありません。 もし、この記事を読んでいる業界人の中で2番目の理由で働き過ぎている人がいらっしゃったら、業界の先輩としては少し立ち止まって自分や自分の家族をいたわる時間を作った方がいいとアドバイスしたいと思います』、同感である。ただ、裁量労働制を導入すれば、時間外の問題は解消する筈だが、導入に障害があるのだろうか。
次に、3月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したフリーライターの村上 力氏による「【スクープ】東レの樹脂製品「安全認証の不正行為」、5年前から火消し工作か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/299424
・『日本を代表する化学メーカー、東レ(日覺昭廣社長)で今年1月末、家電製品や自動車部品に使う樹脂製品の安全認証での不正行為が明らかになった。製品特性の一つである燃えにくさについて、アメリカの第三者安全機関であるUL(アンダーライターズ・ラボラトリーズ)から認証を得る際に、実際の製品とは異なるサンプルを提出するなどして、試験を不正にクリアしていたという。東レは今月にも報告書を公表する運びだが、取材を進めると、実は東レが、5年以上前からこの不正を把握し、公表直前までひそかに“火消し工作”を図っていたことが分かった。また、5年前に子会社であった品質不正を教訓として実施した再発防止策が、まったく機能していなかった疑いも浮上している』、「5年以上前からこの不正を把握し、公表直前までひそかに“火消し工作”を図っていた」、「5年前に子会社であった品質不正を教訓として実施した再発防止策が、まったく機能していなかった疑い」、経団連会長を輩出した会社とは思えないお粗末さだ。
・『認証を得た410品種のうち110品種で不正が発覚 東レのリリースや新聞報道によると、昨年末に東レが実施した社内アンケート調査への回答で、ULの不正が発覚したという。東レが販売している樹脂製品約1600品種のうち、燃えにくさである難燃性能を示す規格「UL94」の認証を得たのは約410品種。そのうち110の品種で、不正行為が確認されたようだ。東レ全体の売上高に占める樹脂ケミカル事業セグメントの売り上げは16%に相当し、会社全体の信用を揺るがす不祥事だ。 東レは、不正行為があった品種のうち9割超は、難燃性能がULの基準を満たしており、安全性への問題は軽微と説明している。表沙汰になっている経緯だけを見ると、さほど大きな問題ではなく、むしろ社内のチェック機能が有効に機能しているように思えてくる。 だが、事はそう単純ではない。実は、不正のあった樹脂製品を担当する樹脂ケミカル事業部では、2016年6月から、秘密裏に事態を把握していたにもかかわらず、今日まで不正の事実を伏せていたのだ。 そもそも、ULの不正とは具体的にどういうものか。 東レで実行されていた不正行為は、主に2種類に分けられる。一つ目は、樹脂製品をULに登録する際のものであり、二つ目は、ULが行うフォローアップ試験を切り抜けるために実行されたものだ。 UL認証を取得するためには、開発した樹脂製品を短冊状に成形したサンプルをULに提出し、これをバーナーであぶるといった難燃性の試験を通過しなければいけない。合格すれば認証を得られ、材料や生産拠点などの情報が登録される。UL認証の取得は、顧客からの要求事項に入っていることも多いという。 だが東レでは、このUL登録の際に、実際の生産方法とは異なる方法で作られたULが求める難燃性能を満足するサンプルを提出することで、試験をクリアしていたという。 最初の登録で不正を行えば、その後もごまかし続けなければいけない。 ULは、登録した品種の品質が維持されているかチェックするために、年に4回、フォローアップ試験として、既に登録されている品種の難燃性能を確認している。ULの検査員が抜き打ちで、登録品種の生産拠点を訪れ、フォローアップ試験の対象品種を指定することもあるという。 東レでは、フォローアップ試験でも、材料に難燃剤を混ぜたり、燃えやすい成分を減量するなどして偽サンプルを作成し、ULに提出していたという』、「UL登録の際に、実際の生産方法とは異なる方法で作られたULが求める難燃性能を満足するサンプルを提出することで、試験をクリアしていたという。 最初の登録で不正を行えば、その後もごまかし続けなければいけない」、「フォローアップ試験でも、材料に難燃剤を混ぜたり、燃えやすい成分を減量するなどして偽サンプルを作成し、ULに提出」、極めて悪質だ。
・『5年前に行われた樹脂製品の不正調査 このような工作を行うと、UL登録時のサンプルと、実際の樹脂製品と、フォローアップ試験時に提出したサンプルの、三つの製品に乖離(かいり)が生じることになる。東レの樹脂ケミカル事業部の幹部は、90年代から製品に乖離があることに気付いていた。 だが、本格的な調査が始まったのは2016年6月である。同じ頃、後述する東レ子会社での品質不正が発覚していただけでなく、日本の製造業全体で、品質データ改竄(かいざん)などの不正が相次いで見つかっていた。そうした内外の動きを受けて、実態把握に乗り出したと思われる。調査は17年1月まで、半年にわたって行われたという。 不正が見つかった樹脂製品は、家電製品や自動車など、一般消費者向けの商品の部品に使用されている。本来なら、速やかに事態の公表を行うべきだっただろう。 ところが、現実に行われたのはひそかな「火消し」だった。樹脂ケミカル事業部は、問題の樹脂製品をリスクレベルで3区分し、UL登録品種と実際の製品との乖離が大きい「ランクA」の品種について、代替品に置き換えることでつじつまを合わせることを試みた。ランクB、Cの不正はそのまま継続し、商品の製造販売は続いていた。) だが、2018年にはランクAの代替品導入を断念し、品種を廃番とするなどして、事態の収束を図っていたのである。2021年11月には、ランクBの代替品の導入や販売中止に着手。UL不正が発覚したのは、その直後だった』、「不正が見つかった樹脂製品は、家電製品や自動車など、一般消費者向けの商品の部品に使用されている。本来なら、速やかに事態の公表を行うべき」、「現実に行われたのはひそかな「火消し」だった。樹脂ケミカル事業部は、問題の樹脂製品をリスクレベルで3区分し、UL登録品種と実際の製品との乖離が大きい「ランクA」の品種について、代替品に置き換えることでつじつまを合わせることを試みた。ランクB、Cの不正はそのまま継続し、商品の製造販売は続いていた」、悪質な隠蔽だ。
・『ネット掲示板への書き込みにより急ぎ公表された子会社の品質不正 樹脂ケミカル事業部がULの不正の火消しにあたっていた頃、東レ子会社「東レハイブリッドコード」(以下、THC)で、タイヤ補強材の品質不正が発覚している。 この事案の発覚は、2016年7月である。同年6月、THCが独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)から補助金を不正受給していたことが発覚し、東レの法務・コンプライアンス部門が、同年7月1日にTHCの社員にアンケート調査を実施。THCが製造販売するタイヤの補強材などの品質データが改竄されているという情報提供があった。 にもかかわらず、対外公表がされたのは1年以上たった17年11月である。東レは16年7月に調査に着手し、同年10月には日覺社長に報告していた。しかし、対外公表や外部顧客への公表をしないまま、安全性調査などを進めていたという。 だが、17年11月にネット掲示板にTHCの不正に関する書き込みがされ、記者に嗅ぎつけられる前に、急ぎ公表に踏み切った経緯があった。日覺社長は会見で、「(当初は)公表するつもりはなかった」と明言していた。 THCの不正では、途中まで内々にコトを収めようと試みていたのである。一方、ULの不正は外部に情報が漏れることなく、今日まで情報を伏せておくことに“成功”したと言える』、「THCが製造販売するタイヤの補強材などの品質データが改竄」された問題も、「ネット掲示板にTHCの不正に関する書き込みがされ、記者に嗅ぎつけられる前に、急ぎ公表に踏み切った経緯」、隠蔽体質は根強いようだ。
・『再発防止のために新設した品質保証本部の足元で不正 問題は、THCの不正を受け、全社的に実施された再発防止策である。 2017年12月末に公表されたTHCの報告書によると、東レは、日覺社長への報告があった2016年10月頃から、品質保証部門の格上げや、品質検査の厳格化、コンプライアンス教育などの再発防止策を実施している。) また、2018年3月までに、品質データを取り扱う社員や管理監督者など1万人弱を対象に一斉アンケート調査を行い、法令違反や製品の安全性に影響がある案件はなかったという結果を得ている。 だが前述の通り、THCの不正調査、再発防止策の実施が行われたまさに同時期に、ULの不正は「火消し」が敢行されていた。 一斉アンケート調査は19年にも行われたが、ULの不正は上がってこなかった。コンプライアンス教育や品質向上プロジェクトはどこ吹く風、2度のアンケートもすり抜け、昨年末まで、不正行為が続いた。 再発防止策についてさらに言えば、東レは2018年に品質保証本部を新設し、東レグループ全体の品質保証業務を集約させている。しかし、ULのフォローアップ試験は、樹脂ケミカル事業部の品質保証課を通して行われていた。 東レの生産拠点は、ULの抜き打ち検査を受けると、東レの担当部門の品質保証課に連絡している。同課は、東レの余剰人員の受け皿会社である「殖産会社」にサンプルの成形を依頼し、この殖産会社が、難燃剤を混ぜるなどして偽サンプル作りを担っていた。 なんのことはない、鳴り物入りで創設された品質保証本部の足元ですら、不正が横行していたのである』、「鳴り物入りで創設された品質保証本部の足元ですら、不正が横行していた」、あきれ果てた。
・『無効の再発防止策に太鼓判を押した弁護士らがUL不正を調査 さらなる問題は、無効と言わざるを得ない再発防止策を褒めそやしていた面々が、ULの不正の調査・原因究明を任されていることである。 東レは、ULの不正のリリースで、「有識者調査委員会」の具体的なメンバーを明らかにしていないが、その構成員は、藤田昇三弁護士(藤田昇三法律事務所)、松尾眞弁護士(桃尾・松尾・難波法律事務所)、永井敏雄弁護士(卓照綜合法律事務所)である。 この3人は、THCの調査委員会と全く同じ面々である。 彼らは、無効だった再発防止策をどう評価していたのか。17年12月の報告書では〈いずれも、策定時点の再発防止策としては、有効かつ適切に機能することが期待でき、妥当なものである〉と太鼓判を押している。 また、一斉アンケート実施を踏まえた2018年3月の有識者委員会議事録では、結果的にULの不正が上がってこなかったアンケートを〈適切な方法でなされ、相応の時間と人員を割いて、十分な調査、分析及び検討がされている〉とお墨付きを与えていた。委員の一人は「これだけ広範な調査を行って、法令違反や製品の安全性に影響がある案件が検出されなかったことについては、敬意を表する」という賛辞まで贈っている。 再発防止策についても、〈東レグループ全体にわたる品質保証業務の実効性を確保する体制を整え、改善のための施策を着実に実行に移していることが確認できた〉と満足げなコメントを付していた。 THCの不正では、子会社の社長が責任を取ったが、長期間にわたり不正を公表しなかった日覺社長はおとがめなしだった。もし、THCの不正が明らかになった時、似たような不正がないか徹底的なチェックを行い、不正を内緒にしておく体質が改められていれば、ULの不正にも、早期に適切な対応が取れていた可能性が高い。THCの調査委員会が下した裁定は、結果的にではあるが、間違っていたのではないか。 またULの不正は、再発防止策が有効に機能したかが重要な論点になってくるだろう。だが問題の再発防止策を是認し、褒めそやしていた面々に、適切な調査や原因究明ができるのだろうか。 筆者は東レに、調査委員会メンバーの適性について取材したところ、「東レハイブリッドコードの事案では、会社が実施した調査の妥当性を有識者委員会で検証してもらったものだが、今回は調査そのものの計画・実行から有識者調査委員会に入ってもらうものであり、当時とは調査の対象が異なります。また、前回の知見を生かしていただくことで、効果的に調査・分析を深掘りいただけるものと考えています」と回答があった。 報告書は3月中にも公表される予定だ』、「UL」の「有識者調査委員会」、「THCの調査委員会」、とも「全く同じ面々である」、「再発防止策としては、有効かつ適切に機能することが期待でき、妥当なものである〉と太鼓判を押している」、「委員の一人は「これだけ広範な調査を行って、法令違反や製品の安全性に影響がある案件が検出されなかったことについては、敬意を表する」という賛辞まで贈っている」、「調査委員会」はまさに御用機関で、意味がない。こんな御用機関を重用するようでは、「東レ」の権威も地に落ちたようだ。
第三に、4月18日付けJ-CASTニュース「吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」」を紹介しよう。
・『吉野家は2022年4月18日、常務取締役企画本部長が外部で不適切な発信をしたとして、「多大なるご迷惑とご不快な思いをさせた」と謝罪した』、興味深そうだ。
・『利用の継続を図りたいという考え方の元… 吉野家の発表によれば、2022年4月16日の社会人向け講座に講師として招かれた取締役が、不適切な発言をしたという。 「人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものではありません」とし、「講座受講者と主催者の皆様、吉野家をご愛用いただいているお客様に対して多大なるご迷惑とご不快な思いをさせたことに対し、深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」と謝罪した。 この取締役は講座翌日、主催者に書面で謝罪し、後日改めて対面で謝罪するという。会社としては処分を含め対応を検討しているとする。 問題の発言は、早稲田大学の社会人向けのマーケティング講座(計29回、受講料38万5000円)の初回授業で飛び出したとみられる。 受講生のSNS投稿によれば、取締役は自社の若年女性向けマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と発言し、「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘な内に牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」とも話していたという。 投稿は広く拡散し、問題視する意見が相次いでいた。吉野家広報はJ-CASTニュースの取材に、会社としての考えではないとし、「一度利用したお客様の利用の継続を図りたいという考え方の元発言しましたが、講座内で用いた言葉・表現の選択は極めて不適切でした」などとコメントした。 主催した早稲田大にも見解を求めている。回答があり次第、追記する』、「吉野家」「常務取締役」ともあろう人物が、「早稲田大学の社会人向けのマーケティング講座」で破廉恥な発言をするとは、いささか驚かされた。本人は気が利いた発言をしたつもりだったのかも知れないが、世間的な常識からは大きく外れているようだ。
タグ:村上 力氏による「【スクープ】東レの樹脂製品「安全認証の不正行為」、5年前から火消し工作か」 同感である。ただ、裁量労働制を導入すれば、時間外の問題は解消する筈だが、導入に障害があるのだろうか。 「吉野家」「常務取締役」ともあろう人物が、「早稲田大学の社会人向けのマーケティング講座」で破廉恥な発言をするとは、いささか驚かされた。本人は気が利いた発言をしたつもりだったのかも知れないが、世間的な常識からは大きく外れているようだ。 J-CASTニュース「吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」」 「UL」の「有識者調査委員会」、「THCの調査委員会」、とも「全く同じ面々である」、「再発防止策としては、有効かつ適切に機能することが期待でき、妥当なものである〉と太鼓判を押している」、「委員の一人は「これだけ広範な調査を行って、法令違反や製品の安全性に影響がある案件が検出されなかったことについては、敬意を表する」という賛辞まで贈っている」、「調査委員会」はまさに御用機関で、意味がない。こんな御用機関を重用するようでは、「東レ」の権威も地に落ちたようだ。 「鳴り物入りで創設された品質保証本部の足元ですら、不正が横行していた」、あきれ果てた。 「THCが製造販売するタイヤの補強材などの品質データが改竄」された問題も、「ネット掲示板にTHCの不正に関する書き込みがされ、記者に嗅ぎつけられる前に、急ぎ公表に踏み切った経緯」、隠蔽体質は根強いようだ。 「組織としての能力不足か上司の能力不足が」、「デスマーチ」「を引き起こしている」、「巻き込まれている」「社員」もたまったものではない。 「「今の上司は若い頃に無限大の残業をして力をつけた。今になって若い社員に時間制限を課して成長の機会を奪うのは、フェアではない」という不満」にも一理ある。「会社の管理できない場所で健康に負荷がかかっていることも多い」、仕事の持ち帰りが増えるのでは、労働時間の実態が分からなくなり、かえってマイナスだ。 「不正が見つかった樹脂製品は、家電製品や自動車など、一般消費者向けの商品の部品に使用されている。本来なら、速やかに事態の公表を行うべき」、「現実に行われたのはひそかな「火消し」だった。樹脂ケミカル事業部は、問題の樹脂製品をリスクレベルで3区分し、UL登録品種と実際の製品との乖離が大きい「ランクA」の品種について、代替品に置き換えることでつじつまを合わせることを試みた。ランクB、Cの不正はそのまま継続し、商品の製造販売は続いていた」、悪質な隠蔽だ。 「UL登録の際に、実際の生産方法とは異なる方法で作られたULが求める難燃性能を満足するサンプルを提出することで、試験をクリアしていたという。 最初の登録で不正を行えば、その後もごまかし続けなければいけない」、「フォローアップ試験でも、材料に難燃剤を混ぜたり、燃えやすい成分を減量するなどして偽サンプルを作成し、ULに提出」、極めて悪質だ。 「5年以上前からこの不正を把握し、公表直前までひそかに“火消し工作”を図っていた」、「5年前に子会社であった品質不正を教訓として実施した再発防止策が、まったく機能していなかった疑い」、経団連会長を輩出した会社とは思えないお粗末さだ。 「男性社員1人に、1か月140時間余りの残業をさせた労働基準法違反の疑い」、確かにこれではアウトだ。それにしても、「30代前半で年収1000万円が狙える」とは、なかなかいい待遇だ 鈴木貴博氏による「アクセンチュア過重労働に潜むコンサルの業界悪、残業が消えない真の理由」 ダイヤモンド・オンライン 企業不祥事 (その26)(アクセンチュア過重労働に潜むコンサルの業界悪 残業が消えない真の理由、【スクープ】東レの樹脂製品「安全認証の不正行為」 5年前から火消し工作か、吉野家取締役が「生娘をシャブ漬け戦略」発言 会社が謝罪「極めて不適切」「到底許容できない」)
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