SSブログ

異次元緩和政策(その41)(始まってしまった円売り投機ゲーム 日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者 為替市場のコメントに価値判断は禁物、日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる、ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果) [金融]

異次元緩和政策については、3月11日に取上げた。今日は、(その41)(始まってしまった円売り投機ゲーム 日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者 為替市場のコメントに価値判断は禁物、日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる、ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果)である。

先ずは、4月20日付けJBPressが掲載したみずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌 大輔氏による「始まってしまった円売り投機ゲーム、日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者、為替市場のコメントに価値判断は禁物」を紹介しよう』、興味深そうだ。
・『ゲームのきっかけを与えているのは当局者  危惧した展開に入っているように見える。 4月18日、ドル/円相場は128円を突破し、断続的に年初来安値を更新している。過去の経験則を踏まえると、円高であれ円安であれ、相場について政策当局者が嫌気するような情報発信をすれば、必ず具体的な政策介入を求めて市場参加者はつけ上がる。 このところ、政府関係者からは円安を「悪い」と評価するような情報発信が見られる。4月17日には、頑なだった黒田日銀総裁が「急速な円安はマイナス」と述べた。こうなると、「口先だけではないのか試す」という意欲を投機筋は持つ。 例えば、円売りで攻め続けた結果、日銀が何らかの引き締め措置を出してくれれば、その時は(一瞬でも)円高になるだろうから、そこで反対売買すれば勝算は立ちやすい。また、そうした状況に至れば(既にそうなっているように)、メディアは「日銀は動くのか?」と大仰に報じて「日銀 vs. 為替市場」の対立構図を煽るため、円売り投機ゲームは大衆にも注目されるようになる。 そうして政府・日銀の一挙手一投足に因縁をつけ、為替売買が行われるようになると、無用な政策資源を浪費する展開が予見される。白川体制の円高対応で散々経験した話だ。あれだけ緩和カードを消費しても、結局、円高はFRBが正常化プロセスに着手し、欧州債務危機が終息するまで止まらなかった。 そうした泥沼化の兆候はまま見られている。 4月13日、都内で開かれた信託大会で、黒田総裁は「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」といつも通りの挨拶をした。これが円売り材料となり、ドル/円相場は126円台に乗せた。「信託大会における日銀総裁挨拶」を注目していた市場参加者はほとんどいないと思われるが、為替市場では盛大な円売り材料として扱われた。投機筋から注意深く見られていたということなのだろう。 2016年9月のイールドカーブコントロール(YCC)導入を経て表舞台から(狙い通り)消えた日銀だが、信託大会挨拶を受けた円安進行は、再び日銀が表舞台に引きずり出されたのだと感じさせるものだった』、「2016年9月の・・・YCC導入を経て表舞台から・・・消えた日銀だが、信託大会挨拶を受けた円安進行は、再び日銀が表舞台に引きずり出されたのだと感じさせるものだった」、「信託大会挨拶」はやはり相当なインパクトがあったようだ。
・『いよいよ始まった円売り投機ゲームの背景  4月17日の黒田総裁による円安けん制発言も、この経験を踏まえて軌道修正したというのが実情かもしれない。当然、月末の政策会合にも影響するだろう。 なお、遡れば、3月に指値オペを通告したことから円売りは始まっていた。あの頃から「この状況でも緩和にこだわる日銀」という文脈で注目されるようになってしまった。今となってはあとの祭りだが、2021年10~12月期、欧米がインフレ警戒を高めた際、緩和路線に拘こだわらずイールドカーブコントロール(YCC)の枠組みを修正しておくべきだったのだろう。 いずれ手をつけなければならない正常化プロセスならば、欧米と一緒に少しずつでも手を加えておくべきとの意見は常にあった。YCCの枠組みを抱えたまま3月の金利上昇に直面してしまったので、指値オペの通告は不可避だった。それが円売り投機を焚きつけてしまったのは周知の通りである。「策に溺れた」感は否めない。 いずれにせよ、円売り投機ゲームは始まった感がある。厄介なことに、今回は日本の貿易赤字拡大、過剰な防疫政策による成長率低迷、米連邦準備理事会(FRB)を筆頭とする海外中央銀行の引き締め路線など、ファンダメンタルズに照らして円売りに正当性がある。元々正当性のある行為(円売り)に、政策当局者がゲームのきっかけを与えているのだから、円安は当然勢いづく。 では、どうすればよかったのか。そもそも政府・日銀による為替市場へのコメントは無味乾燥を貫徹すればいい。円安の善悪などの価値判断はせず、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と述べ続ければよかった。 もちろん、黒田総裁においては1月展望レポートで「全体としてプラス」と結論付けた以上、そう述べるしかなかったという考え方もある。だが、展望レポートでは功罪両面が分析されていた。「円安にはプラスもあればマイナスもある」という情報発信でも特に矛盾しなかっただろう。 無味乾燥なものであればあるほど、投機筋にとっては掴みどころがなくなる。今からでも遅くないので、政府・日銀ともに、「円安にはプラスもあればマイナスもある」という退屈な情報発信でワンボイス化を徹底した方がいいように感じる。為替動向に為政者から価値判断を提供するほど取引材料として利用されやすいため、「相手にしない」を貫くのが最善である』、「ファンダメンタルズに照らして円売りに正当性がある。元々正当性のある行為(円売り)に、政策当局者がゲームのきっかけを与えているのだから、円安は当然勢いづく」、「そもそも政府・日銀による為替市場へのコメントは無味乾燥を貫徹すればいい。円安の善悪などの価値判断はせず、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と述べ続ければよかった」、その通りだ。
・『今からでも遅くない日銀が市場に言うべきこと  なお、円高であれ、円安であれ、為替の急変動は企業の為替戦略上、マイナスの影響が大きいのは事実だ。そのため、「急速な変動は望ましくない」という情報発信は基本的に問題ない。1月展望レポートでもその点には言及があった。 この点、17日の黒田総裁による「急速な円安はマイナス」という発言はボラティリティを問題視した言動だったと考えれば、特別なものではなかった。しかし、もはや日銀は投機ゲームの表舞台に立つ主役であり、一挙一動が注目されてしまう。こうなった以上、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と方向感のない発言を繰り返すのが最も無難なのだろう。 今後、政府・日銀はどう動くだろうか。本気で円安が日本経済にとってマイナスだと判断するのであれば、まずは金融政策の修正以外にあり得ない。この際、効果の有無は二の次である。 この手の相場になると必ず為替介入の可能性を問われるが、それは話が飛躍し過ぎている。理論的には、金融政策と通貨政策は必ず同じ方向を向いている必要がある。円安に不満を漏らしながら金融緩和を継続するという姿勢は自己矛盾しており、まずは緩和に傾斜し過ぎた政策姿勢の修正が必要である。 通貨政策を司る鈴木財務相から「悪い円安」とのフレーズが出てしまった以上、金融政策を司る黒田総裁も平仄を合わせるというのが自然な流れだろう。それがYCCの修正なのか、マイナス金利の解除なのか定かではないが、仮に対応するならば政策の「小出し」だけは避けるべきだ。それは投機ゲームの参加者を喜ばせるだけである。 2013年4月、「戦力の逐次投入はしない」と華々しく表舞台に躍り出てきたあの時のように、考えられる最高のカードで対応した方がいい。また当時、「分かりやすさ」で期待に働きかけたことも思い返されるべきである』、「円安に不満を漏らしながら金融緩和を継続するという姿勢は自己矛盾しており、まずは緩和に傾斜し過ぎた政策姿勢の修正が必要」、「YCCの修正なのか、マイナス金利の解除なのか定かではないが、仮に対応するならば政策の「小出し」だけは避けるべきだ」、その通りだ。
・『誰にも分かりやすい引き締めカードとは?  現在の屋上屋を架す複雑怪奇な枠組みではなく、誰しもが分かりやすい強力な引き締めカードは何だろうか。 直感的にはマイナス金利解除が最右翼に思えるが、奇想天外の一手もあり得るだろうか。内外で耳目を集めたように、日銀で金融政策の立案を担う企画ラインの事務方トップである内田真一理事が異例の再任となったことからも、「次の一手」への注目度は極めて高い。 もちろん、FRBが積極的に利上げをして、バランスシート縮小に勤しんでいる以上、日銀が何をしようと円安が修正される保証は全くない。冒頭で述べたように、結局、円高もFRBが正常化プロセスに着手したことで小康を得た。だとすれば、今回の円安が止まる契機はやはりFRBの正常化プロセスの停止になってくるというのが経験則上、最もありそうな展開ではある。 しかし、現在の日本の世相を踏まえる限り、そうした他力本願で「何もしない」というのが許される雰囲気ではなくなっているようにも見える。効果がないと分かっていても何かをしなければならないほど、日銀は追い詰められつつあるように見える』、「効果がないと分かっていても何かをしなければならないほど、日銀は追い詰められつつあるように見える」、これは大変だ。

次に、4月23日付け東洋経済オンラインが掲載した財務省出身で 慶應義塾大学大学院准教授の小幡 績 氏による「日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/584018
・『この2カ月、日銀は、突然袋叩きにあっている。しかも、私達のように「もともと金融緩和をやりすぎている」「リフレはヤバい」などと批判している方面からの批判だけではない。 むしろ、これまで「物価を上げろ」「インフレ率2%を達成できていない」「次の金融緩和の一手はないのか」などと金融緩和拡大、物価上昇を求めていたグループから「物価高騰に対処せよ、そのためには円安を抑えろ」「いつまで緩和しているんだ、欧米に追随せよ」と、これまでと正反対の非難、攻撃を浴びている。 可哀そうだ。 そこで、私が四面楚歌の日銀に窮地脱出のためのアクションプラン(行動計画)を授けよう。題して、「日銀金融政策正常化アクションプラン」である』、確かに「この2カ月、日銀は、突然袋叩きにあっている」、「窮地脱出のためのアクションプラン」とは興味深そうだ。
・『小幡版「8段階のアクションプラン」とは?(DAY 1デフレ、デフレマインド脱却宣言をする  日銀は、これまでの金融政策により、デフレ脱却に成功し、デフレマインドの払拭にも成功した。「金融政策ではなく、単に資源高などによる輸入インフレ、コストプッシュインフレではないか」、という批判に対しては、これまでも資源高はあったし、海外からのコストプッシュインフレもあった。 しかし、そのときは、完全なデフレマインド払拭とはならなかった。今回は、企業物価の上昇が消費者物価にも波及し始めており、今後もその流れは継続すると思われる。企業サイドが先行し、消費者もデフレマインドからついに脱却した。 これは「これまでの金融緩和の継続によるものが、人々のマインドに時間をかけて浸透したことが背景にあって、そこへコスト上昇が加わったものである」という説明ができるし、これはあながち嘘でもない』、「企業サイドが先行し、消費者もデフレマインドからついに脱却した」、異論はない。
・『金融緩和は継続でもETF買い終了、規模も縮小へ  DAY2金融政策の正常化、ただし、金融緩和は継続する、という意向を示唆する(デフレマインド脱却に成功し、デフレも解消した。よって、危機対応、緊急対応の金融政策から、通常の金融政策に移る。そう宣言する。 しかし、金融緩和は止めないし、緩和の縮小もしない。現状では、ロシアのウクライナ侵攻の影響による、景気後退懸念が残っている。したがって、これまでと同様に金融緩和は継続し、企業や家計にとって、同様の緩和的な状態を維持する。危機対応の特別な金融緩和、非常事態モードは解消するが、通常モードでの最大の金融緩和は行う、と説明する』、「危機対応の特別な金融緩和、非常事態モードは解消」、それが「ETF買い終了」につながるのだろうが、とにかく「ETF買い」のような恥ずかしいことから止めるのは大賛成だ。
・『DAY3正常化の第1歩を踏み出す。「ETF(上場投資信託)の買い入れを終了する」と宣言す  今行っている中でもっとも特殊な金融緩和政策は、株式ETFの買い入れである。これを止めても、長期金利には影響しないはずである。つまり、金融緩和姿勢は一切崩さずに、正常化の第一歩を踏み出せるのである。 しかし、株式市場の暴落、混乱を懸念する声があるだろう。これに対応するために、ETFの買い入れはやめるが、一時的な措置として、日経平均先物、TOPIX(東証株価指数)先物について、売買する選択肢を導入する。これはまさに、正常化の中での特殊な措置であり、移行期間に何か波乱が起きたときの「万が一の措置」である。日銀がヘッジファンド化するのでもないし、株価を買い支えるのでもない。混乱したときに、市場を正常化するためだけの緊急手段である』、「一時的な措置として、日経平均先物、TOPIX(東証株価指数)先物について、売買する選択肢を導入する」、「移行期間に何か波乱が起きたときの「万が一の措置」」があるのであれば、安心だ。
・『DAY4正常化の第2歩として、保有するETFの規模縮小を開始する  国債保有は、金融政策そのものであるが、ETFを保有し続けることは金融政策とは無関係である。企業に対するガバナンス上の問題もある。よって、時間をかけてゆっくり、ETF保有額の縮小を行う。) 例えば、毎日機械的にわずか8億円程度を必ず売却すると決める。相場が上がっても下がっても売る。少額なのでまったく影響はないだろう。 問題は、売却開始、というニュースがインパクトを持つ可能性があることだが、もし市場が大混乱したならば、DAY3に導入した先物買い入れによる市場の正常化を図る。売却には賛否があるだろうが、ETF保有額の縮小は必ず行わなければならないプロセスであり、時間をかける必要があるから、現在始めるのが妥当である。 そのショックが生じるとすれば、それをどうやって少しでも和らげることができるか、ということが焦点だ。先物の利用は一見トリッキーであるが、合理的であり、投機的に動いたり、株価維持政策として使われたりしなければ、妥当である』、「ETF保有額の縮小は必ず行わなければならないプロセスであり、時間をかける必要があるから、現在始めるのが妥当」、その通りだ。
・『超長期国債の買い入れを極限まで絞る DAY5超長期債のステルステーパリング 超長期債の買い入れ量を極限まで絞る。10年物の0.25%の上限以下に抑えるためには、超長期債も買い入れないとバランスが悪いし、そもそも0.25%に抑え込むのが難しくなるが、それでも、徹底して、10年物は10年物で直接コントロールする。 これにより、超長期の期間におけるイールド(利回り)については、市場で完全に投資家だけで決定することになり、市場の価格機能の回復を図る。「10年物国債の利回り0.25%」は何がなんでも死守する。それは日銀の金融政策に対するクレディビリティ、ひいては中央銀行の存在そのものに対するクレディビリティを確保することになる。これが、現在の日銀にもっとも重要なことである』、「日銀の金融政策に対するクレディビリティ」「を確保する」のが、「現在の日銀にもっとも重要なことである」、その通りだ。
・『DAY6様子見  様子見をする。次のアクションは極めて難しく、かつ、柔軟に行わなければならないからだ。すなわち、いよいよ、なんらかの形で利上げと市場に受け止められるアクションを取ることになるからだ。 実際に利上げを開始するときの実施の仕方は、そのときの世界経済情勢、世界金融市場情勢、および日本の国債市場の情勢による。とりわけ、DAY5で行った、超長期債市場の完全復活がどのような影響をもたらしているか、注意深く観察する必要がある。DAY5の超長期債買い入れ実質停止の影響で、当初は超長期債価格は乱高下するだろうが、この市場が安定するまで、少し待つことが重要である。安定してからでないと、利上げには移れない』、ずいぶん慎重なようだ。
・『DAY7 4つの選択肢の中から、その時の情勢に応じたアクションを取る(4つとは以下だ。 選択肢1:コールレートのマイナス金利を解消してゼロ金利にする 選択肢2:イールドカーブコントロールのターゲット期間を短期化(10年から5年、あるいは可能ならば、その中間に)する 選択肢3:イールドカーブコントロールにおけるターゲット10年物の変動許容幅を0.25%から0.5%程度に引き上げる 選択肢4:イールドカーブコントロールにおけるターゲットを10年物0%程度から、明示的に0.25%(変動許容幅プラスマイナス0.25%、つまり0%から0.5%)に引き上げる』、なるほど。 
・『「コールレートのマイナス金利解消」が先か  現時点で予想される困難の度合いは1から4に向けて高まると思われるが、DAY7の時点の状況によっては、異なる可能性がある。 個人的には、選択肢1を早く行ってもよいと考えている。つまり、DAY5よりも前に行うという選択肢もあると思う。しかし、これも状況次第である。明確な利上げであるから、観念的なインパクトはある。実際的なインパクトはゼロである。ほとんどマイナス金利は機能していないからだ。 しかし、異常な、例外的な金融政策という意味では、イールドカーブコントロールのほうが特異な政策であり、短期金利マイナスというのは、ゼロの先がマイナスだから、短期金利の引き下げが金融緩和の本質であることから考えると、もっとも正常な政策である。通常時の金融政策ということも可能である。実際、マイナス金利のほうがイールドカーブコントロールよりも先に導入されたので、外すのも後だ、という考え方もある。ただ実質的なインパクトという点ではゼロ(皆無)であるから、やはり、これからやるのが無難だろう。 一方、ターゲット期間の短期化と明示的な利上げ(選択肢2と4)の比較は難しい。個人的には、選択肢3は「利上げでない」、という言い逃れであり、日銀の揚げ足を取りたい人々から集中砲火を浴び、それが国際的なトレーダーの仕掛けの餌食になってしまい、なにより、日銀の信頼性を下げる可能性があるので、避けたほうが良いと思う。 これと同じ意味で、世界金融市場の情勢が「利上げ当然」という雰囲気であれば、選択肢4のほうがやりやすいと思う。「短期金利も長期金利もゼロでなくなった、しかし、イールドカーブはフラットではない」、ということが示されるので良いと思う。その後、ターゲットの短期化を図り、イールドカーブコントロールを最後には解消して、通常の短期金利ゼロ、普通のゼロ金利政策に戻す。これがDAY8だ』、「選択肢3は「利上げでない」、という言い逃れであり、日銀の揚げ足を取りたい人々から集中砲火を浴び、それが国際的なトレーダーの仕掛けの餌食になってしまい、なにより、日銀の信頼性を下げる可能性があるので、避けたほうが良いと思う」、ずいぶん深い考察のようだ。
・『DAY8:金融政策正常化の完成  しかし、金融緩和は続けており、ゼロ金利政策である、ということを強調する。 さて、問題はスピード感である。どのくらいの期間でDAY8の完成とするか。これが一番重要なところで、腕の見せ所である。これこそ、まさに状況次第、観察を十分にして、慎重にかつうまくやり、結果的には手早く、手遅れにならないうちに異常な緩和から脱出することが必要である』、「まさに状況次第、観察を十分にして、慎重にかつうまくやり、結果的には手早く、手遅れにならないうちに異常な緩和から脱出することが必要」、その通りだ。
・『「黒田総裁時代」にどこまで実行するか?  早ければ、最初のDAY1は次の金融政策決定会合で打ち出すことも可能ではないか。つまり、4月28日である。そして、世間の議論をGW中に行わせる。 一方、世界の金融市場は動いているのに、日本だけGWで閉まっているというリスクを考えると、4月28日の決定会合では「少しニュアンスが変わってきた」という雰囲気を打ち出すにとどめ、GW明けから、さまざまな機会をとらえて、発言のトーンを寄せていくことにする。そして、6月の決定会合で行う。これが現実的だと思う。 そして、7月にETF買い入れ終了を宣言し、売却開始を9月に示す。 DAY5の「超長期債ステルステーパリング」のタイミングは難しい。間合いを測ってやる必要があり、水面下で、政府財政当局とのすり合わせも必要だと思う。しかし、これは政府、政治から大きな反発がある可能性もあり、困難かもしれない。 その場合は、切り替えて、マイナス金利解消を先に行う。それが12月になるだろう。 この辺で、次の総裁、副総裁の人事が固まっているだろう。その後は、あまり動けないので、ステルステーパリングを目立たないように徐々に行い、極限まで絞るのは次の総裁、次の年度ということになるか。後は、まさに情勢次第である。しかし、こうすれば、黒田東彦総裁は、退任までに、ETF買い入れ終了とマイナス金利解消を自ら実現でき、デフレマインド解消に成功し、金融政策の正常化にもほぼ成功し、次の体制へ引き継げることになり、10年間の金融政策は成功裏に終わったとも主張できるのではないだろうか。) 黒田総裁自身は自分で成功したなどとは言わないし、手柄を強調したいとも思わないだろうが、日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある』、「日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある」、政治臭プンプンの判断だが、その通りなのだろう。
・『円安はすぐに止められるが、金融正常化が難しい  最後に、政府、政治としては「円安を止めたい」という短期的な意図があると思われる。だが私は、DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う。 むしろ問題は、その後、うまく正常化へ脱出できるかである。したがって、DAY5以降は、次の体制に任せるのはもちろんのこと、DAY4も先送りして構わないし、最悪DAY3も次の体制で構わない。ともかく、DAY1とDAY2を実現し、正常化に向かうというニュアンスだけで十分だ。 最重要の哲学は、中央銀行としての信認を失わない、ということである。その中での方針は、金融緩和政策の正常化を行うが、金融緩和自体の縮小は行わない、ということである。そして、最優先の短期の目的は、急激な円安進行を止め、異常な為替市場を正常化することである。そして、この短期の目的は、長期の金融政策正常化にとっても整合的であり、かつ望ましく、さらに正常化にとって必須である。 これにより、黒田日銀における異次元緩和は軟着陸の着地に成功することになると期待される』、説得力溢れた提言だ。日銀の金融政策担当部局である企画局も目を皿のようにして読んでいるのだろう。審議委員にして中から変えてほしいところだ。

第三に、4月24日付け現代ビジネスが掲載した大蔵省出身で一橋大学名誉教授の野口 悠紀雄氏による「ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果」を紹介しよう。
・『急激な円安のため、日本の国際的地位が急低下している。それだけでなく、輸入物価高騰を増幅し、国民生活と企業を圧迫している。円安に対する評価が変ってきたいまこそ、金融政策を基本から転換しなければならない』、興味深そうだ。
・『1人あたりGDPで韓国に抜かれる?  急激な円安が進んでいる。しかも、他国通貨に比べて下落率が大きい。最近では、ロシアのルーブルより下落率が大きい(日本経済新聞4月8日)。4月20日には一時、1ドル129円台を付けた。 こうなっているのは、アメリカが金融緩和政策からの脱却を急ぎ、各国もそれに対して必死で利上げを行っているにもかかわらず、日本銀行は金利を抑えているからだ。 急激な円安のため、日本の国際的地位が大きく低下している。このまま進んで、1ドル=130円台になると、重大な局面が訪れそうだ。日本の一人あたりGDPが、韓国やイタリアに抜かれる可能性が高いのである。 まず韓国との関係を見よう。2021年においては、日本の1人当たりGDPは、韓国より15.7%ほど高かった(図表1参照)。 (図表1はリンク先参照) ところが、2022年になって円安が進んだ結果、この状況がすでに大きく変っている。2022年4月12日のレートで計算すると、韓国との差は7.2%と、大幅に縮まっている。 円安がさらに進んで1ドル135円になり、ウォンのレートが変らないとすれば、日本の1人あたりGDPは、韓国より低くなる。 賃金や生産性などの指標では、日本はすでに韓国に抜かれている。それだけでなく、最も基本的な指標である一人当たりGDPでも抜かれることになる。つまり、豊かさを示すほとんどすべての指標において、日本は韓国を下回ることになるのだ』、「豊かさを示すほとんどすべての指標において、日本は韓国を下回ることになる」、寂しい限りだ。
・『G7中で日本が最下位に  台湾との間でも、似たことが起こる。2021年においては、日本一人当たりGDPは、台湾より21.9%ほど高かった。2022年4月12日のレートでは、この値が9.1%になった。1ドル135円になれば、台湾の値は日本とあまり変らなくなる。 最近の円レートの動向から見ると、1ドル135円は十分あり得る値だ。したがって、日本が韓国や台湾よりも貧しくなるという事態は、十分あり得ることなのである。 G7の中ではどうか? 2021年では、最下位はイタリアで、日本はこれより14.4%高かった。ところが、2022年4月12日のレートでは、この値が6.7%になった。1ドル135円になれば、イタリアの方が高くなる。すると、日本はG7の中で、もっとも貧しい国になる。 G7は先進国の集まりということになっている。そこにとどまれるかどうかの議論が出てきても、反論するのは難しいだろう』、「G7」で最貧国というのも不名誉な話だ。
・『アベノミクスの円安政策が日本を没落させる  アベノミクスが始まる直前の2012年、日本の1人あたりGDPは、アメリカとほとんど変らなかった。そして、韓国は日本の51.8%、台湾は43.2%でしかなかった(図表2参照)。 (図表2はリンク先参照) それから10年たって、上記のように、この関係は大きく変ったのだ。 アメリカの1人あたりGDPは、日本の1.73倍になった。そして、すでに見たように、韓国と台湾の1人あたりGDPが、日本とほぼ同じになっている。アベノミクスがもたらしたものが何であったかを、これほど明確に示しているものはない。 企業の時価総額世界ランキングでも、日本のトップであるトヨタ自動車(第41位、2286億ドル)より、台湾の半導体製造会社TSMC(第10位、5053億ドル)や、韓国のサムスン(第18位、3706億ドル)が、いまや上位にある(2022年4月13日現在)。日本の凋落ぶりは明白だ』、「アベノミクスがもたらしたものが何であったかを、これほど明確に示しているものはない」、その通りだ。
・『円安が物価上昇を加速する  円安は、日本の国際的地位を低下させるだけではない。現実の経済活動にきわめて深刻な影響を与えている。なぜなら、円安は物価上昇を増幅するからだ。 ウクライナ情勢を背景として、原油などの資源価格が世界的に値上がりしており、それが国内の消費者物価を高騰させている。円安が進めば、円ベースでの上昇率はさらに高まる。 4月12日に発表された輸入物価指数に、それがはっきりと現れている。3月の指数の対前月比は、契約通貨ベースでは1.0%であるのに、円ベースでは3.3%になっている。つまり、円安の進行によって、価格高騰率がが3.3倍にも増幅されているのだ。(なお、対前年同月比は、それぞれ、25.2%と33.4%)。 株価も、円安を歓迎せず、むしろ、円安で下落するようになってきている。輸入価格の高騰による原材料価格の上昇を製品価格に完全に転嫁できず、企業の利益が減少するからだ。 そして、物価は上がるのに賃金が上がらないので、国民の不満が高まる』、「株価も、円安を歓迎せず、むしろ、円安で下落するようになってきている」、円安を歓迎してきた「株式市場」も変わったようだ。
・『円安スパイラルの阻止が緊急の課題  すでに述べたように、急激な円安が進行しているのは、日銀が長期金利抑制の姿勢を強く打ち出しているからだ。このため、円安が円安を呼ぶというスパイラル現象が起きつつある。 しかし、金利抑制策は、日本経済に何のメリットも与えていない。むしろ、金融機関の経営を圧迫するなどネガティブな影響が強い。 こうした政策から一刻も早く脱却して、円安スパイラルを食い止めることが必要だ。日銀が通貨価値安定という中央銀行本来の使命に戻り、金利抑制策からの転換を明言すれば、事態は大きく変るだろう。 ただし、口先介入だけでは不十分かもしれず、為替市場への介入が必要とされるかもしれない。 為替介入には、アメリカに承諾を求める必要があるという意見があるが、自国通貨の価値を守るための介入に外国の許しが必要という考えは理解できない。 ただし、円高に向けての介入が容易でないことは事実だ。これまで行ってきたのは、円安誘導の介入だ。円を売ってドルを買うのは、簡単にできる(政府短期証券を発行して調達した円資金を用いて、為替市場でドルを買い入れる)。2000年頃には、総額35兆円を超える大規模な円売りドル買いの介入が行なわれた。 それに対して、円高介入は、外貨準備の範囲内でしかできない。だから、限度がある(2021年9月末における日本の外貨準備高は1.4兆ドル)』、なるほど。
・『日本でもようやく円安の評価が変ってきた  トルコや韓国は、通貨価値の下落によって国が破綻しかねない事態に直面した経験がある。そうした国では、自国通貨安に対する国民の危機感がきわめて強い。 日本人はそうした危機感を持っておらず、むしろ、自国通貨安を歓迎するという不思議な状況がこれまで続いてきた。 しかし、価格転嫁が不充分にしかできない現状で、やっと円安の本質が理解されるようになってきた。日本でも、通貨安が経済を破壊しかねないという認識が、日本でもようやく広まりつつある。 7月の参議院選挙では、物価問題が最大の争点となるだろう。そこでの議論を、バラマキ的な物価対策のレベルで終わらせてはならない。円安政策からの転換という本質的な問題が争点となることを期待したい』、第二の記事で小幡氏は「DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う」、としている。現実には「バラマキ的な物価対策のレベル」に止まるようで、本格的な政策論議が欠けているのは残念だ。
タグ:(その41)(始まってしまった円売り投機ゲーム 日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者 為替市場のコメントに価値判断は禁物、日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる、ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果) 確かに「この2カ月、日銀は、突然袋叩きにあっている」、「窮地脱出のためのアクションプラン」とは興味深そうだ。 小幡 績 氏による「日銀金融正常化への「8段階の行動計画」を示そう 円安は異常な金融政策が終わればすぐに止まる」 東洋経済オンライン 「効果がないと分かっていても何かをしなければならないほど、日銀は追い詰められつつあるように見える」、これは大変だ。 「円安に不満を漏らしながら金融緩和を継続するという姿勢は自己矛盾しており、まずは緩和に傾斜し過ぎた政策姿勢の修正が必要」、「YCCの修正なのか、マイナス金利の解除なのか定かではないが、仮に対応するならば政策の「小出し」だけは避けるべきだ」、その通りだ。 「ファンダメンタルズに照らして円売りに正当性がある。元々正当性のある行為(円売り)に、政策当局者がゲームのきっかけを与えているのだから、円安は当然勢いづく」、「そもそも政府・日銀による為替市場へのコメントは無味乾燥を貫徹すればいい。円安の善悪などの価値判断はせず、「円安にはプラスもあればマイナスもある」と述べ続ければよかった」、その通りだ。 「2016年9月の・・・YCC導入を経て表舞台から・・・消えた日銀だが、信託大会挨拶を受けた円安進行は、再び日銀が表舞台に引きずり出されたのだと感じさせるものだった」、「信託大会挨拶」はやはり相当なインパクトがあったようだ。 唐鎌 大輔氏による「始まってしまった円売り投機ゲーム、日銀を引きずり込む泥沼のゆくえ 当局の覚悟を試す市場参加者、為替市場のコメントに価値判断は禁物」 異次元緩和政策 JBPRESS 小幡版「8段階のアクションプラン」とは? DAY 1デフレ、デフレマインド脱却宣言をする 「企業サイドが先行し、消費者もデフレマインドからついに脱却した」、異論はない。 DAY2金融政策の正常化、ただし、金融緩和は継続する、という意向を示唆する 「危機対応の特別な金融緩和、非常事態モードは解消」、それが「ETF買い終了」につながるのだろうが、とにかく「ETF買い」のような恥ずかしいことから止めるのは大賛成だ。 DAY3正常化の第1歩を踏み出す。「ETF(上場投資信託)の買い入れを終了する」と宣言 「一時的な措置として、日経平均先物、TOPIX(東証株価指数)先物について、売買する選択肢を導入する」、「移行期間に何か波乱が起きたときの「万が一の措置」」があるのであれば、安心だ。 DAY4正常化の第2歩として、保有するETFの規模縮小を開始する 「ETF保有額の縮小は必ず行わなければならないプロセスであり、時間をかける必要があるから、現在始めるのが妥当」、その通りだ。 DAY5超長期債のステルステーパリング 「日銀の金融政策に対するクレディビリティ」「を確保する」のが、「現在の日銀にもっとも重要なことである」、その通りだ。 DAY6様子見 ずいぶん慎重なようだ。 DAY7 4つの選択肢の中から、その時の情勢に応じたアクションを取る 「選択肢3は「利上げでない」、という言い逃れであり、日銀の揚げ足を取りたい人々から集中砲火を浴び、それが国際的なトレーダーの仕掛けの餌食になってしまい、なにより、日銀の信頼性を下げる可能性があるので、避けたほうが良いと思う」、ずいぶん深い考察のようだ。 DAY8:金融政策正常化の完成 「まさに状況次第、観察を十分にして、慎重にかつうまくやり、結果的には手早く、手遅れにならないうちに異常な緩和から脱出することが必要」、その通りだ。 「日銀という中央銀行が「金融政策に失敗していない」「今後も信頼を得続ける」という最重要のことを死守するためには「失敗だった」というのは避ける必要がある」、政治臭プンプンの判断だが、その通りなのだろう。 説得力溢れた提言だ。日銀の金融政策担当部局である企画局も目を皿のようにして読んでいるのだろう。 審議委員にして中から変えてほしいところだ。 現代ビジネス 野口 悠紀雄氏による「ついに来た! 1ドル135円で日本は韓国・イタリアより貧しい国に これがアベノミクスによる没落効果」 「豊かさを示すほとんどすべての指標において、日本は韓国を下回ることになる」、寂しい限りだ。 「G7」で最貧国というのも不名誉な話だ。 「アベノミクスがもたらしたものが何であったかを、これほど明確に示しているものはない」、その通りだ。 「株価も、円安を歓迎せず、むしろ、円安で下落するようになってきている」、円安を歓迎してきた「株式市場」も変わったようだ。 第二の記事で小幡氏は「DAY1だけですぐに円安は止まると予想する。現在の円安進行、そして、今後の円安の加速化リスクというのは、直接的な金利差というよりも、今後の政策スタンスの違いから来ていると考えられるので、姿勢を示すだけですぐにも円安方向の動きは変化すると思う」、としている。現実には「バラマキ的な物価対策のレベル」に止まるようで、本格的な政策論議が欠けているのは残念だ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。