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EC(電子商取引)(その9)(アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神、楽天証券 「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ 改悪変更の必然、コロナ禍で急成長の「越境EC」 海外で人気の日本製商品とは) [産業動向]

EC(電子商取引)については、昨年8月15日に取上げた。今日は、(その9)(アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神、楽天証券 「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ 改悪変更の必然、コロナ禍で急成長の「越境EC」 海外で人気の日本製商品とは)である。

先ずは、昨年10月16日付け東洋経済オンラインが掲載した「バズフィード・ニュース」テクノロジー担当シニアレポーター のアレックス・カントロウィッツ氏による「アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/462108
・『他の追随を許さないアメリカの巨大IT企業群、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)。この5社の株式時価総額だけで日本株全体の時価総額を上回るほどのビッグ・テックが、世界経済に大きな影響を与えていることは誰もが知るとおりだ。 そんなGAFAMの中から、「創業初日」を合い言葉にして新たなビジネスを創出し続けるアマゾンをピックアップ。創始者でありCEOであるジェフ・ベゾスが従業員たちの変革の力をどのように導いてきたのか、『GAFAMのエンジニア思考』(アレックス・カントロウィッツ著)より一部抜粋・編集してお届けする』、「「創業初日」を合い言葉にして新たなビジネスを創出し続けるアマゾン」、興味深そうだ。
・『アマゾン本社ビル1階に「最先端コンビニ」  アマゾンは、デイワン(創業初日)オフィス棟の1階に、アマゾンGOというレジのない新形式のコンビニエンスストアを運営している。 GOで何かを買うときは、入口でまずアプリをスキャンして、欲しいものを棚からとって、あとは……出ていくだけだ。しばらくすると、買った品物の代金が記載された領収書がアマゾンからスマートフォンに届く。GOには行列も順番待ちもレジも必要ない。まるで未来を見ているかのようだ。おそらく未来はこうなるのだろう。 GOでは、あらゆる方向に向いたカメラやセンサーが天井に並び、陳列棚の間を歩く人の身体とその動きをとらえている。 コンピューター・ビジョン(機械学習の1種)を利用して、GOはあなたが誰で、何を手にとり、何を棚に戻したかを把握する。それから課金する。何度も試した経験からいって、GOはほぼ間違えることがない。 GOの背景にある物語は、ハードウェアとプログラムにとどまらない。それは何よりも、目には見えないアマゾンならではの企業文化の成果なのだ。 アマゾンでは、ジェフ・ベゾスが変革を社内に行き渡らせていて、GOなどの新しい実験的企画の創造を会社のビジネスの中心にすえて、主要なアマゾン・ドットコム(ドットコム)の運用と並べて重要視している。 アマゾンに属するすべての人はヒエラルキーの最上層から最下層に至るまで、誰もがアイデアを出せる。そしてベゾスはできる限りすべてを自動化することで、変革の余地をさらに増やす。 ベゾスの仕事は、ただ創意工夫をうながすことだけではない。ベゾスはアイデアが大量に生まれるような仕組みをつくり、一度採用したアイデアに対しては成功に向けてあらゆるチャンスを与えてきた。 たとえばGOは当初、巨大な自動販売機として提案された。それがベゾスの検討を経て、人間の購買行動を変える力を持った存在に変身したのだ。 私たちがスピーカーや電子レンジ、時計に話しかけるようになったのは、ベゾスの変革の文化がきっかけだ。どれもアマゾンの音声AI「アレクサ」が組み込まれている機器である。 本をモニターで読むようになり、会社をクラウド上でつくるようになり、インターネットで思うままに買い物をするようになったのもアマゾンの影響だ。おそらくもうすぐ、レジに寄らずにどの店からも出ていくようになるだろう。 「変革はベゾスの燃料、彼の知性を刺激するものです。変革は彼の体に組み込まれ、アマゾンという企業の基礎になっています」と、アマゾンのワールドワイド・コンシューマー部門CEOでベゾスの片腕のジェフ・ウィルクは言う。「彼がいちばん楽しそうに見えるのは、創意工夫や洞察、革新、それから先進的な思考に出合ったときですからね」』、「変革はベゾスの燃料、彼の知性を刺激するものです。変革は彼の体に組み込まれ、アマゾンという企業の基礎になっています」、「変革」を「アマゾン」内にビルトインするとは大したものだ。
・『2004年「パワポ」を全社で禁止  アマゾン内のすべての新プロジェクトは文書で始まる。2004年に、ジェフ・ベゾスがパワーポイントの使用を全社で禁止したからだ。ベゾスによればパワーポイントは「アイデアをもっともらしく言いつくろうことができる」ため、欠点があったり不完全なコンセプトでも、プレゼンテーションの時点では気づかないことが多いという。代わりに、新しい製品やサービスについてのアイデアを完全な文と段落で構成された文章にするようにとアマゾニアン(アマゾンで働く人々)に求めた。 新プロジェクトの文書は、未来を舞台に提案する製品がどんなものかについて、まだ誰も何もしていないうちに事細かに説明するものだ。 アマゾニアンたちは、これを「さかのぼって作業する」と呼ぶ。まず完成品を思い描いて、そこからさかのぼって取り組んでいくわけだ。 この文書は上限6ページで、行間を空けずに11ポイントのカリブリ・フォントで印字され、提案する新製品やサービスについて伝えたいことがすべて詳細に書かれる。 6ページ文書を書くのはSF小説を書くのに似ていると、ある元アマゾニアンは言った。 「それは、未来を舞台にした将来そうなると信じているものの物語、存在しないものについての物語です」 実際、6ページ文書にはフィクションも含まれる。提案する製品を世界に向けて発表するプレスリリースや、その製品の導入を歓迎する経営陣の声などが創作されることも多い。 6ページ文書が承認されると、提案者に予算が与えられ、人員を集めて、描いた夢を形づくることになる。そして変革をうながすために、6ページ文書を書いた本人をそのアイデアを実現するための責任者にする。それが重要なのだ。 この仕組みのなかで、アマゾニアンはプロジェクトの成功に向けて励む。6ページ文書を通してつねに改善し、調整し、創意工夫する。そしてベゾスは、彼らの活動をうながす役割を果たす』、「「パワポ」を全社で禁止」、とは画期的だ。確かに「パワーポイントは「アイデアをもっともらしく言いつくろうことができる」ため、欠点があったり不完全なコンセプトでも、プレゼンテーションの時点では気づかないことが多いという」、コンサルタントらの「パワポ」のプリゼンテーションは、聞いた直後は圧倒されるが、少し時間が経つと「本当かな」と疑問が沢山出てくるのが通常だ。「代わりに、新しい製品やサービスについてのアイデアを完全な文と段落で構成された文章にするようにとアマゾニアン(アマゾンで働く人々)に求めた」、「6ページ文書を書いた本人をそのアイデアを実現するための責任者にする」、「ベゾスは、彼らの活動をうながす役割を果たす」、「文書は上限6ページ」にまとめるのは大変だろう。
・『アマゾンを支える20万台のロボット  アマゾンが変革に集中するために活用しているのが、ロボットだ。 ベゾスは、より創造的な仕事をする自由を従業員に与えるために、できる限りあらゆるものを自動化しようとする。 アマゾンは過去8年にわたって、人間とロボットの協働の方法を探ってきた。2012年3月には、配送センターで使われるロボットのメーカー「キバ・システムズ」を買収し、それ以来驚くべきスピードでロボットの配備を進めてきた。 現在は約80万人の人間の従業員に加えて、20万台以上のロボットを「雇用」している。近隣のニューアーク・リバティ国際空港のコード名をとってEWR9と名づけられた倉庫では、約2000人が数百台のロボットと働いている。 さらにロボット技術の進歩によって、アマゾンは配送センター以外の配送業務の中核部分も自動化しようとしている。) EWR9では、これまで存在しなかった職種を次から次へと耳にすることになった。 ロボティクスフロア・テクニシャン、アメニティー・プロフェッショナル(ロボットが落とした商品を掃除する)、ICQAメンバー(棚の品物を数えて、システム上の数と合っていることを確認する)、クォーターバック(上階からロボティクスフロアを監視する)など。 アマゾンは20万台のロボットを増やしたと同時に、人間の仕事も30万個増やしたのだ。 アマゾンの自動化推進は必ずしもアソシエイトを解雇することにはつながらないが、彼らに対してつねに変わりつづけることを強制する。変わりつづけることは退屈しない反面、消耗するものだ。アマゾンでは、ある日やっていた仕事が次の日にはコンピューターやロボットに置きかえられても不思議ではない。 つねに変わりつづけることは、変化にうまく対応できない人には過酷かもしれないとベゾスも認めている』、「現在は約80万人の人間の従業員に加えて、20万台以上のロボットを「雇用」」、4人で1台とは、ロボットの割合はかなり高いようだ。
・『「花形職種」にも自動化の波  アマゾンは「ハンズオフ・ザ・ホイール(ハンドルから手を放す)」構想のもとで、社内の多種多様な事務作業を自動化している。 アマゾンには、フルフィルメントセンターでの処理をスムーズに進めるため「ベンダーマネジャー」という職位がある。 たとえばある洗剤メーカーを担当するベンダーマネジャーは、各フルフィルメントセンターに「どのくらいの量の洗剤を配置するか」「必要な時期はいつか」「1ユニットいくらで仕入れるか」などを割り出す。それから、メーカーと価格交渉をして発注する。 この職位は以前、社内であこがれのものだった。面白くて人間関係が築けて、世界トップクラスのブランドと接するきっかけになる仕事だったからだ。 しかしアマゾンではつねに、変化が近くに潜んでいる。 アマゾン幹部たちは「予測・値付け・購入」を含む旧来のベンダーマネジャーの仕事を自動化することに決めた。 アマゾンのベンダーマネジャーは、決定の際に単に機械学習アルゴリズムの予測を参考にするだけでなく、自動化システムに仕事をやらせるように指示された。 このようにして、ベンダーマネジャーの仕事は大幅に変わった。ベンダーマネジャーは、いまや実行者というより監査人だ。 ハンズオフ・ザ・ホイールのおかげで、アマゾンの小売部門は現在、以前よりもずっと堅実で効率的に運営されている。アマゾン・マーケットプレイスもこのコンセプトに沿って運営されていて、中間業者としてのアマゾンが販売を請け負うのではなく、アマゾンのサイト上にベンダーが直接リストアップされる』、「ベンダーマネジャー・・・の職位は以前、社内であこがれのものだった。 アマゾンのベンダーマネジャーは、決定の際に単に機械学習アルゴリズムの予測を参考にするだけでなく、自動化システムに仕事をやらせるように指示された」、中核的な仕事も自動化するとはさすがだ。
・『急増する2つの職種  いまではベンダーマネジャーという仕事の人気も少し下がって、多くのベンダーマネジャーがアマゾン内の別の職位に移った。主に、プログラムマネジャーとプロダクトマネジャーという2種類の職種のどちらかだ。 どちらも、アマゾン内で創意工夫を担当する仕事である。新しいことを構想し、実現までの面倒を見る。プロダクトマネジャーは個別の商品開発を担当し、プログラムマネジャーは複数の関連するプロジェクトに関わることが多い。 リンクトインのデータによれば、この2つは現在アマゾン内で最も急速に増えている職種だ。 小売り部門の仕事を自動化することで、アマゾンは新しい変革の機会を開いている。ウィルクによれば、それはずっと前から計画されてきたという。 「こういうつまらない繰り返される仕事をしていた人たちは、いまや解放されて変革に関わる仕事に就いています。機械には難しすぎる仕事にね」 現在の社会には、技術志向の人間は創造的に考えず、創造的な人間は技術的に考えないという思い込みがある。片方にアーティストやミュージシャンをおき、他方にプログラマーや数学者をおく。右脳対左脳というやつだ。 しかしアマゾンでは、ベゾスが両者を統合する方法を教えてくれる。彼に後押しされてアマゾニアンは未来を想像し、SFを書き、プログラミングし、自動化し、次を想像するのだ』、「多くのベンダーマネジャーがアマゾン内の別の職位に移った。主に、プログラムマネジャーとプロダクトマネジャーという2種類の職種のどちらかだ。 どちらも、アマゾン内で創意工夫を担当する仕事」、社内で陳腐化した職種から、「創意工夫」を要する仕事」へと従業員をシフトさせたというのは、素晴らしいことだ。これでは、日本企業との生産性格差は開く一方だ。

次に、本年2月13日付け東洋経済オンライン「楽天証券、「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ、改悪変更の必然」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/576808
・『利用者の多くに「改悪」と受け止められた還元率の引き下げ。その背景には、のっぴきならない事情があった。 「ビジネスとしての正常化をはかるため、こうした手を打つことになった」 2月2日、決算説明会に登壇した楽天証券の楠雄治社長は苦い表情を浮かべた。ポイント還元の見直しで、「ネット上でも散々コメントが出ている」(楠社長)からだ。 楽天証券は投資信託購入時のポイント還元を見直す。従来は楽天グループ傘下のクレジットカードを用いて投信を積立購入すると、購入額の1%をポイントとして還元していた。だが2022年9月以降、一部を除いて還元率を0.2%とする。 楽天グループの電子マネー・楽天キャッシュを経由すれば0.5%還元、投信の保有費用である信託報酬が0.4%以上のファンドについては従来どおり1%還元など、いくつか例外はある。が、利用者の多くには“改悪”と受け止められた』、「ポイント還元」が「購入額の1%」から「0.2%」では、手厚過ぎた分を是正したつもりだろうが、「“改悪”と受け止められた」のもやむを得ないだろう。
・『昨年末から始まっていた見直し  楽天証券ではポイント関連施策の見直しが相次いでいる。2021年12月にも、投信の残高に応じて毎月付与してきたポイントを見直し、4月以降は一定額に到達するたびに1度だけ付与する形式にする。 手厚いポイント還元は口座獲得の原動力となってきた。競合するSBI証券やマネックス証券、松井証券などと比べても高い還元率で、2021年12月には700万口座を達成。単体の証券会社としては業界トップの水準まで登り詰めた。 ポイント還元率を見直せば、新規顧客の獲得が鈍る可能性が高い。それどころか、既存の顧客が競合他社へ流れる可能性もある。実際、すでにSBI証券やマネックス証券が足元で投信やポイント関連施策の増強を表明。顧客争奪戦が激しさを増している。 楽天証券としてもこうした批判や顧客流出は一定程度覚悟していたはず。それでも見直しに動いたのには、のっぴきならない事情がある。 楽天証券の過去4年間の営業利益率をみると、2018年から減少傾向が続いている。つまり、収益が増えても利益が増えにくいという問題にぶち当たっているということだ。 この間、外部環境はかつてないほどの追い風だった。とくに2020年夏以降はコロナ禍の金融緩和で巨額のマネーが資本市場に流入し、株価が上昇。日経平均株価やアメリカのS&P500なども急上昇した。コロナ禍の10万円給付などを機に新たに投資を始める人も増え、多くの証券会社が増収増益を連発した』、「楽天証券の過去4年間の営業利益率をみると、2018年から減少傾向」、「手厚いポイント還元」を「顧客流出」を「一定程度覚悟」した上で、「見直しに動いた」のはやむを得なかったようだ。
・『ポイント原資も重い負担に  ただ、楽天証券では収益が増えても利益があまり増えなかった。理由はいたって単純で、収益が伸びるのと同時に費用が増えていたからだ。中でも広告宣伝費は2019年からの3年間で44億円から98億円まで増えた。 また、利益が伸び悩んだ理由としては「ポイントとカード決済に関する手数料、こういったところが非常に大きなインパクトになっていた」(楠社長)のだ。 さらに、ポイントを付与してきた投資信託という商品が、証券会社にとって極端に利益の薄い商品だという問題もあった。 例えば楽天証券で最も売れているS&P500連動の投信は、信託報酬が年率約0.096%しかない。このうち販売会社である楽天証券は、年率約0.034%を受け取ることになる。) 現状では、仮に投資信託を毎月3万円分楽天カードで積立購入したとすると、楽天ポイントは1回につき300ポイント付与されている。一方で楽天証券がこの3万円分の投信について得られる収益は年間10円ほどだ。長期保有が前提の投資信託とはいえ、投じたコストの回収に時間がかかりすぎていた』、もともとの「ポイント付与」が甘過ぎたのではあるまいか。
・『激化する顧客争奪戦の行方  SBIホールディングスの北尾吉孝社長は1月31日に開いた業績説明会で「楽天は自分たちのポイント制度を改悪しちゃった。だからどんどんウチ(SBI)へ移ってくる。ウチはそれに追い打ちをかけるように、お客様が(口座)移管前の他社に支払った手数料をSBI証券で全額負担する」と発言。 SBI証券では三井住友カードで投信を購入すると0.5%以上のポイント還元が受けられるサービスを以前から提供しているほか、マネックス証券も「マネックスカード」で投資信託を購入すると、購入額の1.1%のポイントを付与するサービスを2月7日に発表した。いずれも見直し後の楽天証券より高い還元水準だ。 激化する顧客獲得競争はどこへ向かうのか。株式や投資信託などの金融商品は、どの証券会社で購入しても基本的に同じ商品。それだけに、1999年に実施された株式の取引手数料自由化以降、ネット証券を中心に各社は手数料の引き下げと、サービスの使い勝手向上にしのぎを削ってきた。 ただ、過剰な価格競争や還元施策は証券会社の経営を揺るがしかねない。他社との競争に向き合いつつ、利益を確保できるビジネスモデルを確立できるか。経営陣には今後も難しい舵取りが求められそうだ』、「楽天証券」から「SBI証券」、「マネックス証券」にどの程度顧客が移動するか、当面の注目点だ。

第三に、2月15日付けダイヤモンド・オンライン「コロナ禍で急成長の「越境EC」、海外で人気の日本製商品とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/294353
・『インターネットを介して商品を買ったり、サービスを受けたりするEC(電子商取引)は、インターネットの普及とともに私たちの生活に根付いてきた。さらに近年では、コロナ禍の巣ごもり需要で国内ECが活況を迎えている。それと同時に、日本製品を海外ユーザーに向けて販売する「越境EC」も、大きな注目を集めているという』、興味深そうだ。
・『2027年の越境EC 市場規模は500兆円か  日本国外の人々をターゲットに、EC事業を展開する「越境EC」が今、急速に市場を拡大している。越境ECのプラットフォーム「Cafe24」で、日本の越境ECサイトの運営をサポートするCafe24 Japan代表取締役社長・正代誠氏は、越境ECの概要についてこう語る。 「越境ECとは、インターネット上で日本の商品やサービスを海外マーケットに向けて販売する電子商取引を指します。現地にリアル店舗を出さずに、海外市場に進出できるのが特徴です。越境ECには日本の企業が運営する『海外向けECモール』への出店や、『販売国のECモール』への出品、海外向けにネットショップを立ち上げるなどの方法がありますね」 経産省が発表した『電子商取引に関する市場調査』によると、中国の消費者が日本の越境ECサイト経由で商品を購入した金額は、2020年の1年間で約1兆9499億円。前年比では17.8%増を記録した。 「同じ調査では、世界の越境ECの市場規模は約89兆円になり、その規模は今後7年間で500兆円を超える見込みです。そしてこれからの越境EC市場をけん引するのは、インターネットの普及や経済成長が著しい東南アジアの国々といわれていますね」 日本の越境EC市場は「コロナ禍を機にスイッチが入った」と、正代氏は話す。聞けば、この2年間で多くのメーカーや卸業者が越境ECをスタートさせているそう。 「当社で越境ECサイトを開設するユーザーの傾向ですが、この2年で中小規模の事業者が越境ECを始めるケースが増えていますね。コロナ禍の今、国内ECの競合が急増してしまい価格競争が激しくなり、なかなか利益が出にくい状況になっています。そのため、自社の国内ECを生かしつつ海外にもマーケットを広げたいという相談も多くなりました。なかには、中国向けECサイトをすでに運営して成功した企業が、別の国への“横展開”を始めるケースもあります」 日本貿易振興機構が発表した「2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書2021年2月」でも、46.7%の中小企業が「今後海外向けECサイトによる輸出を拡大する」と回答している。2018年の調査時よりも9.5ポイント増加しており、中小企業が越境ECに意欲的な姿勢がうかがえる。 「この調査では、大企業にも同じアンケートを取っているのですが、大企業の市場拡大意向は28.5%にとどまり、2018年に比べて1.4ポイント減少しています。おそらく大企業は、すでにリアル店舗を海外に出店していたり、海外店を拠点にECを展開していたりするケースもあるため、積極的に市場を拡大しない方針のようです。仮説ですが、大企業はコロナ禍で海外での実店舗運営の課題に直面し、その対応に追われて海外へのEC展開は“現状維持”を選択している印象ですね」』、「「2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書2021年2月」でも、46.7%の中小企業が「今後海外向けECサイトによる輸出を拡大する」と回答している。2018年の調査時よりも9.5ポイント増加しており、中小企業が越境ECに意欲的な姿勢がうかがえる」、確かに中小企業は意欲的だ。
・『紙おむつや粉ミルクだけじゃない越境ECの意外な売れ筋商品  今後さらに躍進が期待される越境EC市場。どのような人々が日本の越境ECサイトを利用しているのだろうか。 「7~10年くらい前から、中国のユーザーがインターネットで日本製品を買うようになり、年々購入金額が増えています。当時から安定して人気が高いのは、日本製の『紙おむつ』『粉ミルク』『化粧品』。中国の工場で作られているものもありますが、子どもが口にするものや肌に直接つけるものは、日本の厳しい品質管理基準をクリアした日本製品を使いたい、というニーズが高いです。ほかの国でも、衛生面や安全面、トレーサビリティーを含めて“日本製品ならば安心”という見方は根強いですね」 また、越境ECの利用者はインバウンドとも深く関わっている。越境ECユーザーのなかには、観光で日本に訪れたときに気に入った商品を“ECサイトでリピート買い”する傾向があるという。 「特に最近は、コロナ禍による渡航制限もあって日本で大量購入しにくい状況です。そのため、インバウンドで人気だった家電も、継続してECで購入されています。日本の伝統工芸品も人気ですが、なかには奇抜な置物など『どうしてこれが海外で人気なんだろう?』と不思議に感じるヒット商品もあるんです。日本とは異なる視点で、意外なものが売れるのも越境ECの特徴ですね。その逆もまたしかりで、日本で売れているからといって、海外でも売れるとは限りません。日本で人気のジュエリーを台湾で売り出したものの、激しく苦戦を強いられているケースもあります」 正代氏は「日本と同じ“アジア圏だから”という認識のままでは、越境ECは成功しない」と、指摘する。そのため、越境ECではどの国で何を売るか、というマーケティングは必須だという。 「当社には『中国向けにECを始めたい』という相談が多く寄せられます。確かに中国は人口が多い分、マーケットとしては大きいですが、すでに日本製品を卸して売っている現地企業もあれば、長年中国を対象にEC事業を展開している日本企業もあり、競合が多い。中国の越境EC市場を今から狙うよりも、ほかの国を対象にするほうが参入のハードルは低いですね」 確実に利益を出すには、現地の状況や流行、文化を把握して臨む必要があるのだ。 「実務面では、現地での物流やユーザーとの間にある“言語の壁”も大きな課題になります。もしも個人や自社での対応が難しい場合は、当社のように現地に法人を持ち、言語や他国の物流サポートを行うプラットフォームを利用する手段もありますね」 そのほか関税への理解や、国ごとに法律で定められた越境ECで販売可能な商品の把握など、越境EC独自のルールへの対応が求められる。そのため、国内ECよりも綿密に計画を立てるのが吉だという』、「特に最近は、コロナ禍による渡航制限もあって日本で大量購入しにくい状況です。そのため、インバウンドで人気だった家電も、継続してECで購入されています」、「“言語の壁”も大きな課題になります。もしも個人や自社での対応が難しい場合は、当社のように現地に法人を持ち、言語や他国の物流サポートを行うプラットフォームを利用する手段もありますね」 そのほか関税への理解や、国ごとに法律で定められた越境ECで販売可能な商品の把握など、越境EC独自のルールへの対応が求められる」、なるほど。
・『越境ECを通してインバウンド顧客を獲得  さまざまなハードルはあるものの「コロナ禍の今が越境ECの始め時だろう」と、正代氏は話す。 「コロナが落ち着いて海外渡航ができるようになると、ECのユーザーが減るのでは、と懸念する声もあります。しかし日本に実店舗がある場合は、今のうちにECサイトで海外のファンを増やしておくと、インバウンドが復活したときにファンが実店舗に来店する可能性があります。そして帰国後には、ECサイトのユーザーになってもらえるというメリットも。たとえインバウンドが増えても、ECのユーザーがゼロになることはありません」 ネット上で海外ユーザーとの関係が築ける越境ECは、アフターコロナにも適したビジネスモデルといえる。 そして地方自治体も越境ECに積極的に取り組めば、インバウンド需要を獲得できる、と正代氏。 「かつて『インバウンドが活況』といわれた頃は、彼らの多くが関西空港から入国して京都から名古屋に渡り、富士山を見て東京に行き、成田空港から帰国するという王道ルートをたどっていました。結局、インバウンドの恩恵を受けていたのは都市部ばかりで、多くの県が訪日外国人に注目されにくい傾向にありました。越境ECサイトを通じて地元の特産品や観光地をアピールし、魅力を海外に発信できれば、その県を目指す訪日外国人も増えるはず。今後は、ECサイトをインバウンドの窓口にする自治体も増えていくでしょうね」 現状では、国内ECに比べて競合が少ない越境EC市場だが、今後は競合も増え、市場規模が拡大する可能性が高い。未来の越境EC市場を生き残る鍵は「いち早く海外のファンを増やすこと」にあるという。新たなマーケットを求めて大海原へとこぎ出すチャンスは、今なのかもしれない。 ●参考URL ・市場規模の拡大予想https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html
・中小企業・大企業の市場拡大意向
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/3f6c5dc298a628be/20200024.pdf』、「現状では、国内ECに比べて競合が少ない越境EC市場だが、今後は競合も増え、市場規模が拡大する可能性が高い。未来の越境EC市場を生き残る鍵は「いち早く海外のファンを増やすこと」にあるという」、その通りなのだろう。
タグ:EC(電子商取引) (その9)(アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神、楽天証券 「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ 改悪変更の必然、コロナ禍で急成長の「越境EC」 海外で人気の日本製商品とは) 東洋経済オンライン アレックス・カントロウィッツ氏による「アマゾンが17年前から「パワポ禁止」する深い理由 花形職種も容赦なく自動化する「変革」の精神」 「「創業初日」を合い言葉にして新たなビジネスを創出し続けるアマゾン」、興味深そうだ。 「変革はベゾスの燃料、彼の知性を刺激するものです。変革は彼の体に組み込まれ、アマゾンという企業の基礎になっています」、「変革」を「アマゾン」内にビルトインするとは大したものだ。 「「パワポ」を全社で禁止」、とは画期的だ。確かに「パワーポイントは「アイデアをもっともらしく言いつくろうことができる」ため、欠点があったり不完全なコンセプトでも、プレゼンテーションの時点では気づかないことが多いという」、コンサルタントらの「パワポ」のプリゼンテーションは、聞いた直後は圧倒されるが、少し時間が経つと「本当かな」と疑問が沢山出てくるのが通常だ。「代わりに、新しい製品やサービスについてのアイデアを完全な文と段落で構成された文章にするようにとアマゾニアン(アマゾンで働く人々)に求めた」、「6ページ 「現在は約80万人の人間の従業員に加えて、20万台以上のロボットを「雇用」」、4人で1台とは、ロボットの割合はかなり高いようだ。 「ベンダーマネジャー・・・の職位は以前、社内であこがれのものだった。 アマゾンのベンダーマネジャーは、決定の際に単に機械学習アルゴリズムの予測を参考にするだけでなく、自動化システムに仕事をやらせるように指示された」、中核的な仕事も自動化するとはさすがだ。 「多くのベンダーマネジャーがアマゾン内の別の職位に移った。主に、プログラムマネジャーとプロダクトマネジャーという2種類の職種のどちらかだ。 どちらも、アマゾン内で創意工夫を担当する仕事」、社内で陳腐化した職種から、「創意工夫」を要する仕事」へと従業員をシフトさせたというのは、素晴らしいことだ。 これでは、日本企業との生産性格差は開く一方だ。 東洋経済オンライン「楽天証券、「1%ポイント還元」の重すぎた代償 付与率が0.2%に引き下げへ、改悪変更の必然」 「ポイント還元」が「購入額の1%」から「0.2%」では、手厚過ぎた分を是正したつもりだろうが、「“改悪”と受け止められた」のもやむを得ないだろう。 「楽天証券の過去4年間の営業利益率をみると、2018年から減少傾向」、「手厚いポイント還元」を「顧客流出」を「一定程度覚悟」した上で、「見直しに動いた」のはやむを得なかったようだ。 もともとの「ポイント付与」が甘過ぎたのではあるまいか。 「楽天証券」から「SBI証券」、「マネックス証券」にどの程度顧客が移動するか、当面の注目点だ。 ダイヤモンド・オンライン「コロナ禍で急成長の「越境EC」、海外で人気の日本製商品とは」 「「2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査報告書2021年2月」でも、46.7%の中小企業が「今後海外向けECサイトによる輸出を拡大する」と回答している。2018年の調査時よりも9.5ポイント増加しており、中小企業が越境ECに意欲的な姿勢がうかがえる」、確かに中小企業は意欲的だ。 「特に最近は、コロナ禍による渡航制限もあって日本で大量購入しにくい状況です。そのため、インバウンドで人気だった家電も、継続してECで購入されています」、「“言語の壁”も大きな課題になります。もしも個人や自社での対応が難しい場合は、当社のように現地に法人を持ち、言語や他国の物流サポートを行うプラットフォームを利用する手段もありますね」 そのほか関税への理解や、国ごとに法律で定められた越境ECで販売可能な商品の把握など、越境EC独自のルールへの対応が求められる」、なるほど。 「現状では、国内ECに比べて競合が少ない越境EC市場だが、今後は競合も増え、市場規模が拡大する可能性が高い。未来の越境EC市場を生き残る鍵は「いち早く海外のファンを増やすこと」にあるという」、その通りなのだろう。
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