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株式・為替相場(その16)(「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に、「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"、「円安は国益」の評価が一変した真の原因 円安効果の2つの間違い) [金融]

株式・為替相場については、4月1日に取上げた。今日は、(その16)(「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に、「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"、「円安は国益」の評価が一変した真の原因 円安効果の2つの間違い)である。

先ずは、4月20日付けYahooニュースが転載した東洋経済オンライン、みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト の唐鎌 大輔氏による「「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d77c99f9f5f9979b404339d518940107eeff6808?page=1
・『約20年ぶりの円安相場が継続中だ。その背景としては日米金融政策格差というオーソドックスな論点に加えて、「円の需給環境」が重要である。 需給環境と一口に言ってもその意味するところは幅広い。象徴的には、①資源高を主因とする貿易赤字拡大であり、②日本企業による対外直接投資の増大も円売り圧力をそうとうに強めている。 ①は毎月経常的に発生する円売り切り、外貨買い切りのアウトライト(単独取引)であるのに対し、②は企業買収時にまとまったボリュームで発生する円の売り切りである。過去10年間では後者の勢いが強まった結果、今や日本の対外純資産残高の半分が直接投資になっている。かつて、多かったのは証券投資だった。 証券投資であればリスク回避ムードが強まった際には手元に資金を回収するため、保有している海外の有価証券を売って円を買い戻す(≒外貨売り・円買いを行う)動きが起きる。 しかし、直接投資として買収した海外の会社を機動的に売却する動きは想像しがたい。「リスクオフの円買い」の迫力が薄れたのは貿易黒字が消滅したこともあるが、中長期的には対外直接投資の増大も大きく寄与していると考えられる。なお、①や②の動きは基礎収支(経常収支+直接投資)の流出として総括されるものでもある』、「今や日本の対外純資産残高の半分が直接投資になっている」、かつての「証券投資」中心から大きく変わったようだ。
・『本当に怖いのは「企業部門による円売り」ではない  対外直接投資が顕著に増加した背景には、人口動態による国内市場の縮小という見通しがある。経済が低成長ないしは縮小する日本よりも成長する海外に活路を見出すという合理的な経営判断があったといえる。それは投資の期待収益率という点で、日本を回避して海外を選んだという意味であり、「企業部門による資本逃避」である。 だが、それでも海外成功が国内経済に還元されることも期待されるため、一概に悪いことばかりではない。現に第1次所得収支黒字(対外債権から生じる利子や配当)が日本の経常黒字を支えていることは周知のとおりだ。また、貿易赤字にしても、資源高で一時的に歪んでいる部分はあるにせよ、理論的には最適な国際分業の結果であり、「黒字が善で赤字が悪」とはかぎらない。 つまり、①や②のような「企業部門による円売り」は必ずしも悪いことばかりではない。これに対し、本当に怖いのはそうした「企業部門による円売り」ではなく「家計部門による円売り」である。 家計部門が円建て資産の保有をリスクと考え始めて海外投資を増やすことは、単なる防衛行為なので、日本経済にとっての恩恵は乏しいものになる。現状、そのような動きがすぐに起こる雰囲気はない。岸田政権の支持率もまだ非常に高い。それは人口動態において大きなボリュームを占める高齢者層に寄り添った政策運営が展開されているからだとの解説は多い。実際、「年金生活者へ5000円支給」などの案が浮上してくるあたり、その見方は的外れとは言えない。 新型コロナ対策に関し、いつまでも新規感染者数に拘泥し、すぐに行動制限に手を付けようとするのも、若年層に比べて行動範囲の限られる高齢者層が多い世の中では決定的な批判にさらされにくいからだろう。政治家にとって高齢者に配慮することは選挙対策上、有利なのである。 現実はその政策が慢性化することで成長率が停滞し、日本銀行が動けなくなり、円安につながっているわけだが、その理解はまだ浸透していない。 現状が続くかぎり、円建て資産の相対的な価値は確実に蝕まれていく。保守的な国民気質なのか、金融リテラシーの欠如なのか、そうした世代が金融資産の大半を握っているせいか、原因は1つではないのだろうが、日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている』、「日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている」、しかし、個人が目覚めたらそれだけ変化する余地が大きいことを意味している。
・『家計の外貨建て投資も徐々に増えている  2021年12月末時点で日本の家計金融資産は2023兆円と2000年3月末対比で620兆円も増えている。しかし、その増分の半分以上(343兆円)が円建て現預金である。リスク資産の代表格である株式・出資金の比率は10%前後でほとんど変わっていない。円建て資産の構成を見る限り、NISA導入(2014年)など挟んでも、「貯蓄から投資へ」はまったく奏功していない。 しかし、構成比こそ小さいが、外貨性資産は0.9%から3.4%へ明確に増えており、金額だけで言えば、投資信託は7倍強、対外証券投資は5倍弱増えている。全体の比率の中では円貨性現預金に圧倒されてしまっているが、海外資産への関心は確実に高まっている。 20年ぶりの円安・ドル高、実質実効為替レートで見れば半世紀ぶりの円安、戻らなくなった購買力平価(PPP)、消滅した貿易黒字、対外直接投資の激増などなど、もはや円建て資産を取り巻く客観的事実は10年前とは確実に変わっており、20年前とはさらに違う。これほどわかりやすい環境変化が重なれば保守的だった日本人も動き出すかもしれない。根強いリスク回避性向がいつまでも同じとはかぎらない。) 近年、日本でもアメリカ株投資が1つのブームのように取り上げられ、2021年12月28日付日本経済新聞には『若者の投資は消費感覚』と題した大手ネット証券会社社長のインタビューが掲載されていた。着実なリターンが期待できるからこその潮流と言えるだろう。 対照的に日本株の人気は目を覆いたくなるような惨状にある。1月下旬(2022年1月27~31日)に実施された日経CNBCの視聴者調査では『岸田政権を支持しますか』の問いに95.7%が『支持しない』と答えたことが話題になった。事実として、図表1に示すように、国内株ではなく海外株に流れる国内投資マネーの動きは投資信託における株式売買動向からも明らかである。 今はまだ2000兆円を超える家計金融資産のごく一部にすぎない動きだが、日本の家計部門のリスク回避性向が強すぎると言われていることを思えば、アメリカ株ブームは安全資産への異常な執着が修正される前振れとも理解できるかもしれない。書店に行けば、アメリカ株投資の本が平積みでたくさん並んでいる。このような光景は今まであまり目にしないものだった。当然、すべてではないにしても、そうしたアメリカ株投資は円売りを伴うはずである』、「日本の家計部門のリスク回避性向が強すぎると言われていることを思えば、アメリカ株ブームは安全資産への異常な執着が修正される前振れとも理解できるかもしれない」、その通りだ。
・『円売りは急に走り出す可能性  国際比較をしても日本の金融資産構成は修正される余地が見える。図表2に示すように、40%弱が株式に寄せられているアメリカは極端としても、日本と同様に間接金融が力を持つユーロ圏でも20%弱が株式に割り当てられている。そのユーロ圏の半分程度の日本はやはりそうとうに保守的と言わざるをえず、現預金が50%を超えていることも世界的には異例である。 しかし、年初来3カ月半で円の対ドル相場は10%近く、2021年初めからでは20%近くも下落している。その間、資産をドルで保有していれば、単なる外貨預金であったとしても、その損失はカバーできたことになる。得られる金利も当然、円よりは高い。) もちろん、外貨預金の為替差損益は雑所得なのでそこから所得税も勘案するなど、細かな修正は必要だが、大半の日本人が安全資産の代表格と見ているであろう「円の普通・定期預金」は昨年来、資産防衛の観点からはかなりひどい選択肢だったといえる。 今は日本人の多くは海外資産との比較で自国通貨建ての保有資産の価値を判断しないだろうが、「安い日本」の傾向が強まり、そのことが巷間語られる中、同じものに消費や投資をするにしても、必要な金額は漸増傾向にあるはずだ。 分散投資することなく抱えていた円建て資産は一般物価上昇の中で少しずつ減価していくという構図であり、その度合いがある限度を超えれば、「円の普通・定期預金」が特に安全ではなかったことに気づくのかもしれない。国際経済に組み込まれている以上、必然の帰結である』、「「円の普通・定期預金」が特に安全ではなかったことに気づく」のは時間の問題だ。
・『円預金が10%動くだけで100兆円の円売りに  もちろん、そうした家計部門からの資本逃避(いわゆるキャピタルフライト)ともいえるような動きが早晩加速するという確信はない。しかし、その可能性に警鐘を鳴らす時期には来たと筆者は考えている。そうなるだけの客観的な諸条件が揃い始めていることは、再三、東洋経済オンラインでも論じてきた。日本人は何事も一定の「空気」が醸成されてからでなければ動けないところがあるが、一度定められた方向には皆が走り出し、その展開が非常に早く進む傾向にある。 「円の普通・定期預金」の10%が動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは過去5年平均(18兆円程度)の経常黒字に換算すれば5~6年分に相当する。今の世の中、海外投資はさほど難しいことではなく、十分想定に値する数字だ。 今後「円で保有していること自体が損であり、リスクである」という認識が支配的になった時、家計部門の円売り主導で円相場は一段と値を下げるのではないか。それは最近のロシアで、かつてはギリシャなどで起きたことだ。真の円安リスクはそうした動きであろう』、「日本人は何事も一定の「空気」が醸成されてからでなければ動けないところがあるが、一度定められた方向には皆が走り出し、その展開が非常に早く進む傾向にある。「円の普通・定期預金」の10%が動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは過去5年平均(18兆円程度)の経常黒字に換算すれば5~6年分に相当する。今の世の中、海外投資はさほど難しいことではなく、十分想定に値する数字だ』、こうしたキャピタルフライトの可能性が現実化しつつあるようだ。

次に、4月24日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/55829
・『リーマン後も遅れを見せた日本経済の回復  2008年秋、リーマンショックと呼ばれる金融危機が世界を襲った時、当時の麻生太郎首相は当初「日本への影響は軽微だ」と言い続けてきた。日本はバブル崩壊後の金融危機から立ち直りつつあった頃だったため、世界の金融バブルにはあまり関与せず、問題の金融商品であるサブプライム・ローンなどで損失を被った金融機関も少なかったからだ。 ところが、である。輸出産業を中心に日本企業の売り上げが急減、その余波で国内消費も落ち込んで、日本経済は大打撃を受けた。その後、東日本大震災に襲われたこともあり、日本経済の回復は遅れに遅れた。米国や欧州の経済がその後、急速に戻していったのを横目に、結局、日本経済は世界の先進国の中で最も影響を受けたと言っていいだろう。 それと似たような事が再び起きている。 2020年から世界を揺さぶった新型コロナウイルスの蔓延まんえんでは、まさに世界経済が凍りついた。欧州や米国では感染者や死者が溢れ、ロックダウン(都市封鎖)に踏み切るなど深刻な状況が続いた。一方の日本は感染者も死者数も欧米に比べれば桁違いに少なく、世界の中でも最も影響が軽微とも言えた』、確かに「サブプライム」問題では、直接の被害を被った日本の「金融機関」は「少なかった」が、その「余波」の影響を強く「日本」は受けた。
・『コロナ禍からの回復で、日本は大きな後れを取った  ところが、である。経済への打撃は予想以上に大きい。米国は2020年4-6月期にGDP(国内総生産)が年率実質で31.4%減と大きく落ち込んだが、7-9月期に急回復。その後も2021年10-12月期まで6四半期連続でプラス成長が続いている。一方の日本は2020年4-6月期に28.6%のマイナスで、7-9月期に急回復したところまでは同じだが、その後、プラス成長とマイナス成長を繰り返す一進一退が続いている。年率換算の成長率だけを見ていると違いがなかなか見えないが、GDPの実額の推移を見てみると、その違いは一目瞭然だ。 米国は2020年10-12月期に新型コロナ前の水準に戻り、その後も成長を続けた結果、2021年10-12月期はコロナ前を10%以上上回る過去最高を更新している。昨年末のクリスマス商戦は活況を呈し、米国では物価が急上昇していた。 一方の日本のGDPの実額は2021年10-12月期になっても、消費税率引き上げ前の2019年7-9月期を超えていない。新型コロナの影響をようやく吸収するかどうか、といったレベルだ。つまり、新型コロナ禍からの回復という観点で、日本経済は米国経済に大きく後れを取っているのだ』、「新型コロナ禍からの回復という観点で、日本経済は米国経済に大きく後れを取っている」、その通りだ。
・『原油価格がさらに上昇したら、政府は打つ手がなくなる  そこに加わったのが、ウクライナ戦争である。ロシアのウクライナ侵攻と共に、西側先進国がそろってロシアへの制裁に踏み切ったこともあり、原油をはじめエネルギー価格は大幅に上昇している。これによって世界的なインフレの火に油が注がれることになった。 日本でもガソリン価格が高騰、政府は巨額の資金を注ぎ込んで、石油元売り会社への補助金を積み増し、小売価格を抑えようと必死になっている。戦局が膠着こうちゃく状態になっていることに加え、OPEC(石油輸出国機構)による増産期待があって、今のところ上昇ピッチは鈍化しているが、「国家」が「市場」をコントロールしようとするのは歴史的にも無謀な試みと言える。さらに本格的に原油価格が上昇した際には「打つ手」がなくなる懸念もある。 懸案になっている「トリガー条項」の凍結解除によって揮発油税にかかっている上乗せ分を撤廃することは、税収減に直結するため財務省が最後の最後まで抵抗しており、財務省の意向を無視できない岸田文雄内閣はなかなか決断しないだろう』、「政府は巨額の資金を注ぎ込んで、石油元売り会社への補助金を積み増し、小売価格を抑えようと必死になっている」、公的資金で「小売価格を抑えよう」というのが愚策の典型だ。
・『現在、日本の電源はLNGに大きく依存している  もうひとつ懸念されるのが電気料金の大幅な上昇だ。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故以来、原発稼働がままならず日本の電源はLNG(液化天然ガス)に大きく依存している。LNG輸入の8%あまりをロシア産に依存しているため、その帰趨きすうが注目される。 ロシアへの制裁では、米国がロシア産原油やLNGなどのエネルギー輸入を禁止したが、依存度の高い欧州は禁輸にまでは踏み切っていない。エネルギー代金を決済するロシアの最大手銀行なども銀行間の国際決済システムであるSWIFTから排除していないのは、ロシアから欧州へのガス供給を止めれば、たちまち西欧諸国の人たちの生活に大打撃を与えることになるためだ。ドイツの場合4割以上をパイプラインを通じたロシア産ガスに依存している。 英エネルギー大手シェルが早々にサハリンでの石油ガス開発事業「サハリン2」からの撤退を表明したが、同様に出資する三井物産と三菱商事は態度を保留している。萩生田光一経済産業相は「利権を手放せば第三国がそれを手に入れるだけで、制裁にはならない」と国会答弁しており、政府としては何とかロシアからのLNG調達を続けたい考え。日本が撤退すれば、中国が利権を獲得するのが関の山というわけだ』、「サハリン2」での「日本政府」の粘りもいつまで続くことやら。
・『輸入食料品・原材料の価格上昇も日本を襲う  だが、ウクライナでの戦争がエスカレートして、ロシアによる民間人への攻撃が激化した場合、さらなる経済政策が必要になり、ドイツなど欧州諸国がエネルギー禁輸にまで踏み切る可能性もある。そうなった時に、日本がサハリン利権を死守できるかどうか。欧米からの圧力もあって、放棄せざるを得なくなる可能性もある。そうなると日本のLNG調達コストはさらに上がり、電気料金も上昇を続けていくことになりかねない。 日本を襲うのはエネルギー価格の上昇だけではない。円安が進めば、輸入物価全体が上昇することになりかねず、輸入食料品・原材料の価格上昇が生活を圧迫することになりそうだ。 3月18日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合後の記者会見で、日銀の黒田東彦総裁は、それでも円安を容認する考えを示した。これをきっかけに東京外国為替市場では一時、1ドル=119円台にまで円安が進んだ。黒田総裁は「円安が経済・物価を共に押し上げ我が国経済にプラスに作用している基本的な構造は変わりはない」と、あくまで円安がプラスだ、としたのだ』、「黒田総裁」が「あくまで円安がプラスだ」にこだわるのも困ったことだ。
・『「不景気なのに物価が上がる」スタグフレーションの入口  日本の場合、円安を容認せざるを得ない理由がある。米国で起きているインフレは、経済成長と共に物価上昇が起きているため、金融の量的緩和の縮小を早々に決め、利上げに踏み切る姿勢を鮮明にしている。景気の過熱を抑える金融引き締めという従来の金融政策が機能するのだ。 ところが、日本経済は前述の通り、新型コロナからの回復が遅れ、金融緩和をやめれば景気が失速する懸念もある。金融緩和を続けざるを得ないわけだ。不景気なのに物価上昇が起きることをスタグフレーションと呼ぶが、まさに日本経済はそのとば口に立たされているように見える。 黒田総裁はスタグフレーションではないかという質問に、「そういう恐れが日米欧にあるとは思っていない」と述べて否定していたが、米欧は少なくとも現状ではスタグフレーションではないため、金融引き締めに動けるが、日本は明らかに不景気なのに物価が上昇し始めていることは歴然としている。結局、日本は金融政策の手足を縛られているとみるべきだろう』、「日本」の「金融政策」は、このままでは破綻必至だ。
・『日本が円安政策を続ければ、庶民の生活は一層苦しくなる  世界が猛烈なインフレに襲われる中で、日本が円安政策を採り続けたらどうなるか。見た目の為替レートよりも実質実効為替レートはさらに円安になるだろう。実質実効為替レートは50年ぶりの低水準だと報じられていたが、円安容認政策でさらに円は弱くなり、輸入物価が猛烈に上昇していくことになるだろう。 円安で輸入物価が上昇しても、それで日本企業が潤うわけでなければ、企業業績は改善せず、従業員の給与も上がらない。このままでは庶民の生活は一段と苦しくなるに違いない。 「新しい資本主義」を掲げて「市場」に背を向ける岸田首相は、これから荒れ狂う市場の猛烈な反撃に遭遇することになるだろう。その時、どんな政策を打とうとしているのか。新型コロナの影響が最も軽微で、ウクライナからも遠いはずの日本の経済が最も大打撃を被るとすれば、それは経済政策の無策の結果と言えるのではないか』、やはり「金融政策」を抜本的に見直し、これ以上の「円安」進行を防ぐように大転換すべきだ。「黒田総裁」にも引退してもらうべきだろう。

第三に、5月12日付けYahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン:一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏による「「円安は国益」の評価が一変した真の原因、円安効果の2つの間違い」を紹介しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d77c99f9f5f9979b404339d518940107eeff6808?page=1
・『円安が加速する中で、日本銀行は「円安は日本経済全体ではプラス」と言い続けているが、人々の受け止めはそうではなくなっている。 円安に対する評価が否定的なものに変わったのは、日本企業の海外生産比率が高まったことや輸出増大効果がなくなったからだという説明がされていることが多い。 だがこの説明には誤解がある。今回の円安局面で円安に対する人々の評価が変わってきているのには、ほかの原因がある』、どんな「原因」なのだろう。
・『なぜ円安に対する評価が 変わったのか?  これまでは、円安が日本の国益だと考える人が多かった。しかし、今回は、日本にとってマイナスだと考える人が多くなっている。 円安が日本にとってマイナスだという認識は正しい。しかし、評価が従来から変わった理由については、奇妙な説明がされている。 それによると、従来は製造業の生産が国内で行なわれていたので、円安になると輸出が増えた。それが日本経済にプラスの効果をもたらした。 ところが、最近では日本企業の海外生産比率が高まったため、この効果がなくなったというのだ。 しかし、この説明は2つの点で間違っている』、どういう間違いなのだろう。
・『海外生産比率は10年前から同じ 最近はむしろ低下傾向  第1の誤りは、海外生産比率が最近時点で高まったかのように言われている点だ。 海外生産比率についてはいくつかの調査がある。その1つの「海外事業活動基本調査」(経済産業省、2020年9月調査)によると、全体で見ても、進出企業ベースで見ても、最近時点で海外生産比率が上昇しているという傾向は見られない。 むしろ緩やかではあるが、低下傾向にある。 2019年度の製造業現地法人の海外生産比率(国内全法人ベース)は23.4%で、前年度に比べて1.7%ポイントの低下だった。 海外進出企業ベースで見ると、19年度は37.2%であり、17年度の38.7%より1.5%ポイント低下している。 これは、アベノミクスによって円安が進んだため、海外生産の有利性が減殺されたためだ。 海外生産比率がいま急に高まったわけではないことは、内閣府のレポート「企業行動に関するアンケート調査報告書」(2022年3月)でも分かる。 これによると、図表1に示すように2021年の製造業の海外現地生産比率は22.3%だ(実績見込み)。 輸送用機器では、海外現地生産比率は40%という高さだ。繊維製品や電気機器でも3割を超えている。 海外生産比率は1980年代から2013年まで、ほぼ一貫して上昇し続けてきた。そして、比率が急激に上昇したのは、この調査でもアベノミクスの直前だ(12年の17.7%から13年の21.6%に上昇)。これは、いまから10年も前のことだ。) アベノミクスが始まった13年には、すでに製造業の海外生産比率は21年とほぼ同じ水準にまで高まっていたのだ。だから、アベノミクスで円安になっても輸出が増えないことは分かっていたはずだ。 アベノミクスで輸出が増えることを期待したのであれば、まったくの間違いだった。 そして、実際、ドル建ての日本の輸出は12年に7986億ドルになってから、それを上回ることはなかった(20年は6413億ドル)』、「海外生産比率については」、「全体で見ても、進出企業ベースで見ても、最近時点で海外生産比率が上昇しているという傾向は見られない。 むしろ緩やかではあるが、低下傾向にある」、再認識させられた。
・『90年代後半から円安のもと 貿易収支は悪化  「円安に対する評価が変わった」理由の説明には、海外生産比率の動向のほかにもう1つの誤りがある。 それは、「これまで円安は輸出を増やしてきたから日本にとって望しかった」という説明だ。 為替レートは、輸出だけでなく輸入にも影響を与える。日本にとっての問題は、輸出がどうなるかでなく、むしろ貿易収支がどうなるかだ。 これについてのデータは、本コラム「日本の経常収支『赤字定着』の危機、円安スパイラル阻止は政治の最重要課題」(2022年5月5日付)で示した。 日本の実質実効為替レートは、1970年代、80年代を通じて上昇を続け、90年代の中頃にピークになった。それ以降は円安方向への動きを続けている。 これによって輸出は増えた。しかし実際は輸入のほうがより大きく増えた。そのために貿易収支が悪化した。 なお、これはまだ日本企業の海外生産比率が10%台だった頃のことだ。だから、貿易収支が悪化した原因は海外移転ではない。原因はそうではなく、工業化に成功した中国に市場を奪われたことだ。 日本の貿易収支は80年代の中頃までは黒字が増加していた。この時期は為替レートが円高になっていった時代だ。 つまり、円高と貿易収支の黒字拡大が同時期に起きており、その後は円安と貿易収支の黒字縮小が同時に起きている。 これは相関関係であって、どちらが原因でどちらが結果かを直ちに判断することはできない。 ただし、円安になれば貿易収支の黒字が増えるという動きは、データではまったく裏付けられていないのだ』、「円高と貿易収支の黒字拡大が同時期に起きており、その後は円安と貿易収支の黒字縮小が同時に起きている」、なるほど。
・『今回の円安局面の特徴は 輸入物価高騰を転嫁できないこと  では、円安に対する人々の評価が今回変わったのは、なぜか? 今回の円安局面が従来と異なるのは、輸入物価の高騰による原材料価格の上昇を、企業が完全には製品価格に転嫁できていないことだ。 これまでは、原価の上昇を製品価格に転嫁し、最終的には消費者に転嫁してきた。つまり、企業は、円建て輸出価格の増加による売上増だけを享受できた。 そのため、利益が増えた。そのために円安が企業にとって望ましいと考えられていたのだ。 しかし今回の円安局面では、輸入価格の上昇があまりに大きいこと、また、消費需要がコロナ禍で弱っていることなどのために、完全に転嫁できないでいる。 一方で家計も賃金が増えない中で物価上昇に対する負担感が強まっている。 こうしたことが人々の円安への評価が変わった原因だ』、「これまでは、原価の上昇を製品価格に転嫁し、最終的には消費者に転嫁してきた。つまり、企業は、円建て輸出価格の増加による売上増だけを享受できた。 そのため、利益が増えた。そのために円安が企業にとって望ましいと考えられていたのだ」、「しかし今回の円安局面では、輸入価格の上昇があまりに大きいこと、また、消費需要がコロナ禍で弱っていることなどのために、完全に転嫁できないでいる。 一方で家計も賃金が増えない中で物価上昇に対する負担感が強まっている。 こうしたことが人々の円安への評価が変わった原因だ」、「今回の円安局面」の特徴がよく理解できた。
タグ:(その16)(「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に、「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"、「円安は国益」の評価が一変した真の原因 円安効果の2つの間違い) 株式・為替相場 Yahooニュースが転載した東洋経済オンライン 唐鎌 大輔氏による「「本当に怖い円安」は家計の海外資金逃避で起きる 「円売り」が企業から個人にも広がれば大規模に」 「今や日本の対外純資産残高の半分が直接投資になっている」、かつての「証券投資」中心から大きく変わったようだ。 「日本では個人金融資産の95%以上がいまだに円貨性の資産で保有され、50%以上がほぼ何の収益も生まない現預金に留め置かれている」、しかし、個人が目覚めたらそれだけ変化する余地が大きいことを意味している。 「日本の家計部門のリスク回避性向が強すぎると言われていることを思えば、アメリカ株ブームは安全資産への異常な執着が修正される前振れとも理解できるかもしれない」、その通りだ。 「「円の普通・定期預金」が特に安全ではなかったことに気づく」のは時間の問題だ。 「日本人は何事も一定の「空気」が醸成されてからでなければ動けないところがあるが、一度定められた方向には皆が走り出し、その展開が非常に早く進む傾向にある。「円の普通・定期預金」の10%が動くだけでも100兆円規模の円売りになる。それは過去5年平均(18兆円程度)の経常黒字に換算すれば5~6年分に相当する。今の世の中、海外投資はさほど難しいことではなく、十分想定に値する数字だ』、こうしたキャピタルフライトの可能性が現実化しつつあるようだ。 PRESIDENT ONLINE 磯山 友幸氏による「「日本人だけが貧しくなっていく」これから日本を襲う"原油価格高騰×円安"のダブルパンチ 「新しい資本主義」を掲げる岸田首相を待つ"猛烈な反撃"」 確かに「サブプライム」問題では、直接の被害を被った日本の「金融機関」は「少なかった」が、その「余波」の影響を強く「日本」は受けた。 「新型コロナ禍からの回復という観点で、日本経済は米国経済に大きく後れを取っている」、その通りだ。 「政府は巨額の資金を注ぎ込んで、石油元売り会社への補助金を積み増し、小売価格を抑えようと必死になっている」、公的資金で「小売価格を抑えよう」というのが愚策の典型だ。 「サハリン2」での「日本政府」の粘りもいつまで続くことやら。 「黒田総裁」が「あくまで円安がプラスだ」にこだわるのも困ったことだ。 ・『「不景気なのに物価が上がる」スタグフレーションの入口  日本の場合、円安を容認せざるを得ない理由がある。米国で起きているインフレは、経済成長と共に物価上昇が起きているため、金融の量的緩和の縮小を早々に決め、利上げに踏み切る姿勢を鮮明にしている。景気の過熱を抑える金融引き締めという従来の金融政策が機能するのだ。 ところが、日本経済は前述の通り、新型コロナからの回復が遅れ、金融緩和をやめれば景気が失速する懸念もある。金融緩和を続けざるを 黒田総裁はスタグフレーションではないかという質問に、「そういう恐れが日米欧にあるとは思っていない」と述べて否定していたが、米欧は少なくとも現状ではスタグフレーションではないため、金融引き締めに動けるが、日本は明らかに不景気なのに物価が上昇し始めていることは歴然としている。結局、日本は金融政策の手足を縛られているとみるべきだろう』、「日本」の「金融政策」は、このままでは破綻必至だ。 やはり「金融政策」を抜本的に見直し、これ以上の「円安」進行を防ぐように大転換すべきだ。「黒田総裁」にも引退してもらうべきだろう。 Yahooニュースが転載したダイヤモンド・オンライン 野口悠紀雄氏による「「円安は国益」の評価が一変した真の原因、円安効果の2つの間違い」 どんな「原因」なのだろう。 どういう間違いなのだろう。 「海外生産比率については」、「全体で見ても、進出企業ベースで見ても、最近時点で海外生産比率が上昇しているという傾向は見られない。 むしろ緩やかではあるが、低下傾向にある」、再認識させられた。 「円高と貿易収支の黒字拡大が同時期に起きており、その後は円安と貿易収支の黒字縮小が同時に起きている」、なるほど。 「これまでは、原価の上昇を製品価格に転嫁し、最終的には消費者に転嫁してきた。つまり、企業は、円建て輸出価格の増加による売上増だけを享受できた。 そのため、利益が増えた。そのために円安が企業にとって望ましいと考えられていたのだ」、「しかし今回の円安局面では、輸入価格の上昇があまりに大きいこと、また、消費需要がコロナ禍で弱っていることなどのために、完全に転嫁できないでいる。 一方で家計も賃金が増えない中で物価上昇に対する負担感が強まっている。 こうしたことが人々の円安への評価が変わった原因だ」、「今回の円安局
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