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デジタルトランスフォーメーション(DX)(その2)(【スクープ】セブンで出向社員が出向元へ127億円発注!「DXバブル」の裏でコンプラ違反疑惑、100億円のシステム開発を破綻させる抵抗勢力の正体 机を片付けない子供と同じだぞ) [企業経営]

デジタルトランスフォーメーション(DX)については、昨年4月21日に取上げた。今日は、(その2)(【スクープ】セブンで出向社員が出向元へ127億円発注!「DXバブル」の裏でコンプラ違反疑惑、100億円のシステム開発を破綻させる抵抗勢力の正体 机を片付けない子供と同じだぞ)である。

先ずは、本年2月7日付けダイヤモンド・オンライン「【スクープ】セブンで出向社員が出向元へ127億円発注!「DXバブル」の裏でコンプラ違反疑惑」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/295251
・『『週刊ダイヤモンド』2月12日号の第1特集は「セブンDX敗戦」です。巨大流通帝国、セブン&アイ・ホールディングスが巨費を投じて進めてきたデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略が水泡に帰しました。一方、セブン&アイによる「DXバブル」を巡って、ITベンダーやコンサルティング会社が繰り広げた激しい受注競争が、法令順守違反の疑惑を生み出していました』、「セブンDX敗戦」とは興味深そうだ。
・『1200億円投資の「DXバブル」ベンダーの受注競争は過熱  セブン&アイ・ホールディングスの“DX敗戦”の柱は、2021年のDX戦略の「司令塔」であるグループDX戦略本部の解体とそのトップだったリクルート出身の米谷修氏の“失脚”、そして目玉のDX施策の白紙撤回である。 それまでセブン&アイでは20年から米谷氏をトップとするDX部門が中心となってグループ横断でDX施策を展開してきた。大型プロジェクトも目白押しで、グループ全体のDXへの投資は総額で1200億円にも上った。これは流通企業の売り上げに対するIT投資の平均的な比率の2倍超にも及ぶ巨大な投資だった。 この「DXバブル」に群がったのがITベンダーやコンサルティング会社である。激しい受注競争はベンダーやコンサルの序列をも大きく変える熾烈なものとなった。 その一方で、激しい「利権争い」が統制不全を招きかねない事態を生んだ。ダイヤモンド編集部が入手した内部資料が明らかにするのは、DXバブルを巡るITベンダーの「やりすぎ」ともいえる案件受注である。 セブン&アイに出向した社員の在籍する部署が、出向元に巨額の発注を繰り返していたのだ』、「グループ全体のDXへの投資は総額で1200億円・・・これは流通企業の売り上げに対するIT投資の平均的な比率の2倍超にも及ぶ巨大な投資」、確かに巨額だ。「セブン&アイに出向した社員の在籍する部署が、出向元に巨額の発注を繰り返していた」、コンプライアンス違反の酷い話だ。
・『出向者が出向元に計127億円発注 内部資料「コンプラリスクを懸念」「DX戦略本部内の統制」 内部資料にはそう題したA4サイズのペーパーが存在する。それは、ベンダーからの出向社員による出向元への発注金額を部門別に示したものだ。 例えば、グループDX戦略本部には、PwCから出向してきた2人が所属。そのPwCに対して案件を発注し、5億7000万円を支払っている。 金額が大きいのが、IT統括部・GMSシステムという部門である。同部門はアクセンチュアから社員1人受け入れており、アクセンチュアに発注することで、60億1600万円も支払っていた。NTTデータから出向で1人を受け入れるITインフラ部という部署は、NTTデータに26億5700万円を支払っていた。 内部資料が示すのは、その驚くべき総額である。計10部門で31人を受け入れており、出向元への支払額を合計すると127億5000万円にも上るのだ。 同じペーパーには、直近の稟議の数と、ITベンダーに対するシステムの導入や業務委託を提案・依頼する際の提案依頼書(RFP)の実施状況が記されている。内部資料の作成時点では、RFPは任意で実施されていたとし、全体の稟議の610件のうちRFPが実施されたのはわずか18件程度としている。その実施率はわずか3%ほどだ。 意味するのは、セブン&アイに出向してきた社員が、出向元のベンダーにRFPのプロセスを経ずに案件を発注できてしまうということだ。内部資料は「コンプライアンス上のリスクが懸念される」と警鐘を鳴らしている。 全体の1割をも占める127億円という数字は、DXバブルが、コンプラリスクを懸念させるほどにITベンダーの競争を過熱させていた事実を如実に表している。取引先にとって、セブン&アイは金払いの極めて良い“上客”だったのだ』、「計10部門で31人を受け入れており、出向元への支払額を合計すると127億5000万円」、しかも「ITベンダーに対するシステムの導入や業務委託を提案・依頼する際の提案依頼書(RFP)の実施状況」は、「実施率はわずか3%ほど」と「出向してきた社員が、出向元のベンダーにRFPのプロセスを経ずに案件を発注できてしまう」、極めて大きな問題だ。
・『セブン「DX敗戦」を極秘資料で解明 経営陣混迷…「DX失敗の教科書」  『週刊ダイヤモンド』2月12日号の第1特集は「セブンDX敗戦」です。実は、2021年秋、セブン&アイのある幹部役員がひっそりとグループを去っています。その幹部役員とは社外から招かれ、グループのDX部門のトップとして戦略を主導した米谷修氏です。まさにDX戦略の最重要人物ともいえる存在です。 しかし、セブン&アイは、役員人事にもかかわらず、その幹部の退任をいまだに公表していません。なぜでしょうか。それは、そのキーマンの退任こそが、大号令をかけて進めてきた同社のDX戦略が瓦解してしまったこと表しているからです。 では、セブン&アイの内部で一体何が起きていたのでしょうか。特集では、ダイヤモンド編集部が入手した社外秘の内部資料や動画を基に、DX戦略を巡る創業家役員も絡む人事や組織の混迷、ITベンダーやコンサルティング会社も巻き込んで繰り広げられた苛烈な暗闘の全容を明らかにしていきます。 今回の“DX敗戦”の主要な柱は、DX部門の解体と部門トップの失脚、そして目玉のDX施策の白紙撤回です。創業家役員によってDX戦略に引導が渡された「見せしめ御前会議」の様子を社外秘の動画を基に完全再現。DX部門がグループ内部から集中砲火を浴びるきっかけになった、グループ内の著しい「待遇格差」についても紹介します。 内部資料からは、改革の“抵抗勢力”によるDX戦略の「解体作戦」の実態も浮かびあがります。セブンの社外秘の内部資料で、宿命のライバル、イオンのDX戦略が「ベタ褒め」されている理由も紹介します。 また、セブン&アイのDX大号令はITベンダーやコンサルにとって千載一遇のチャンスとなりました。特集では、「DXバブル」に沸いたベンダー・コンサルの激しい受注競争で起きた序列の変化や、“恩人”の野村総研を巡り創業家役員が激怒した“大事件”の顛末も取り上げます。 さらに、内部資料には、バブルに群がったベンダー・コンサルの実名と実額がこれでもかとばかりに登場します。NTTデータ、野村総合研究所、アクセンチュア…。特集では、取引ベンダー主要53社の受注額ランキングに加え、ITベンダー人月単価の実額も完全公開します。また、IT業界座談会を緊急開催し、業界で日常的にDXに関わる「インサイダー」たちに「セブンDX敗戦」を読み解いてもらいました。 セブン&アイにとって今回の“DX敗戦” は、ECサイト「オムニ7」、スマホ決済「セブンペイ」に続く「第三の敗戦」になります。特集では、”負の遺産“となってきたオムニ7が23年にも閉鎖するとの特報に加え、デジタル戦略での失敗連鎖の裏にある「二族経営」の呪縛について解説していきます。 “流通のカリスマ”鈴木敏文前会長兼最高経営責任者(CEO)の息子で、セブン&アイでデジタル戦略を主導した鈴木康弘元最高情報責任者(CIO)もインタビューに登場。IT導入を巡る「血みどろの戦い」を生み出すセブン&アイの“病理”を激白しています。 DXブームに沸く中、セブン&アイのDX敗戦は、必読の「DX失敗の教科書」ともいえます。ぜひご一読ください』、「戦略を主導した米谷修氏」「の退任をいまだに公表していません」、信じ難い内向き姿勢だ。「創業家役員によってDX戦略に引導が渡された「見せしめ御前会議」、責任があるのは「米谷修氏」だけなのか、他の役員は責任がないのか、これが流通最大手とは到底思えないようなお粗末さだ。「セブン&アイ」側としても、再発防止のためにも、今回の問題の総括をきちんとすべきだろう。

次に、5月9日付け日経ビジネスオンラインが掲載した日経クロステック/日経コンピュータ編集委員の木村 岳史氏による「100億円のシステム開発を破綻させる抵抗勢力の正体、机を片付けない子供と同じだぞ」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00322/042000042/
・『この「極言暴論」やもう1つのコラム「極言正論」を書き続けていることもあり、理想に燃えてDX(デジタルトランスフォーメーション)などの変革に挑んでいる人たちと議論する機会が結構ある。匿名やオフレコを条件に話を聞くのだが、その際に必ず出てくるのが社内の抵抗勢力の存在だ。理想に燃える人たちは抵抗勢力が改革を妨げていることに怒り嘆くのだが、その話を聞けば聞くほど「そりゃ、あなたの認識のほうがおかしいよ」と言ってあげたくなるケースもある。 いや、実際にそう言ったこともある。どこの会社か特定できないようにするために、枝葉の話を省いて書くと次のようになる。要は基幹系システムの刷新を伴う業務改革の話だ。ある意味、DXの王道といってよい。IT部門で改革派を自認するその人は、利用部門の抵抗勢力に手を焼いていた。「利用部門の連中はDXに賛同すると言いながら、自分たちの業務のやり方を変えることにはいろいろ理由をつけて反対するんですよ。けしからん話です」と憤っていた。 私から言わせれば、典型的な駄目パターンである。駄目なのは利用部門じゃなくて、改革派のこの人である。「利用部門が抵抗するのは当たり前じゃないですか」と私が言うと、その人は少しムッとして「木村さんらしくもない。当たり前じゃなくて、それじゃ駄目でしょ!」と力説する。さらに続けて「いいですか。業務プロセスを全体で最適化すれば、利用部門の業務が効率化されて現場の仕事が楽になるのですよ。それを何度言っても理解しようとしない」と嘆いていた。 その人がこの記事を読んでいれば気分を害すのは間違いないが、あえて書く。これは理想に燃える改革派の人が陥る最もアカン発想パターンである。そもそも自分も含めた「人」に対する洞察がなっていない。人はたとえ仕事が楽になると分かっていたとしても、今までの仕事のやり方を変えるのを嫌がるものなのだ。要するに、変えるのが面倒くさい。だから、いろいろと理由をつけてサボタージュしようとするわけだ。 そんな話をこの人にすると、当初は「そんなばかな」と言下に否定していた。仕方がないので「あなたの作業机はいつも片付いていますか?」と聞いてみた。いきなり何を言い出すんだと不審の目を向けられたが、返答は「いいえ、机を片付けるのは苦手です」だった。これはもう説得するチャンスである。「机の上を片付ければ作業効率が上がるのを分かっているのに、なぜ片付けられないのでしょうか。要は面倒くさいからでしょ」と問うと、その人は「うーん」となって何となく納得したようだった。 実は、この問答を契機に私も少し反省した。極言暴論ではDXなどの変革を阻もうとする抵抗勢力の存在を何度も描いてきたが、あまりに強大に見積もり過ぎていたのかもしれない。抵抗勢力の大半は、単なる「面倒くさがり屋さん」にすぎないはずだ。なのに、そんな軟弱な抵抗勢力によって改革が頓挫する。かつてのBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)もそうだったし、ERP(統合基幹業務システム)のビッグバン導入の際もそうだった。この問題はもう少し深く考えてみる必要がある』、「いいですか。業務プロセスを全体で最適化すれば、利用部門の業務が効率化されて現場の仕事が楽になるのですよ。それを何度言っても理解しようとしない」と嘆いていた」、「これは理想に燃える改革派の人が陥る最もアカン発想パターンである。そもそも自分も含めた「人」に対する洞察がなっていない。人はたとえ仕事が楽になると分かっていたとしても、今までの仕事のやり方を変えるのを嫌がるものなのだ」、「抵抗勢力の大半は、単なる「面倒くさがり屋さん」にすぎないはずだ。なのに、そんな軟弱な抵抗勢力によって改革が頓挫する」、「この問題はもう少し深く考えてみる必要がある」、なるほど。
・『くびがかかる米国の抵抗勢力とは本気度が違う  先ほど書いた「抵抗勢力の大半は、単なる面倒くさがり屋さんにすぎない」について、読者の中には「なぜそんなふうに言えるのだ。根拠を示せ」と思う人がいるかもしれない。確かに直接的な根拠を示すのは難しいが、外国企業、特に米国企業や新興国の企業のケースと比較して考えてみるとよいだろう。米国企業などの場合、抵抗勢力は本気で抵抗する。何せ自分の仕事がなくなるかもしれない。つまり、改革の内容いかんによっては失業の危機に直面するからな。 例えば米国企業がかつて続々とERPを導入したのは、一般管理費の削減を狙ったからだ。身も蓋もなく言ってしまえば、リストラによる人件費などの削減だ。主に間接部門の業務のやり方をERPに合わせてしまえば、業務が効率化されて人員を大きく削減できる。ついでに言えば、それまでの独自システムを保守運用してきたIT部員の多くも用済みとなり、解雇に踏み切れる。日本企業はよくERPのライセンス料が高過ぎると不満を言うが、米国企業の経営者からすれば「高過ぎる」料金を支払っても十分に元が取れるわけだ。 一方、リストラ対象となる間接部門の人たちや、ERP導入に汗をかいたら給料アップどころか解雇されかねないIT部員は、おいそれと「ERP導入による業務改革」には賛同しない。転職が当たり前で特定企業で長く働かない米国人とはいえ、会社都合でくびになりたくはない。だから本気の抵抗勢力となる。そんな抵抗勢力を説得したり懐柔したり、あるいは排除したりして改革を実現することが、CEO(最高経営責任者)やCIO(最高情報責任者)らの力量といえる。 そういえば以前、米国企業を買収した日本企業の経営者からこんな話を聞いたことがある。買収後にその米国企業の基幹系システムを、本社が導入しているERPに置き換えることにした。その際、「なぜ何の問題もないシステムを変更するのか」と声高に唱える米国側の経営陣やIT部門の抵抗に手を焼いたそうだ。ただし、この件は大ごとにはならなかった。何せ親会社になったのは日本企業だ。基幹系システムはERPに入れ替えても、リストラしなかったからだ。 ちなみに、ERP導入の効用として日本で言いはやされている「経営(事業)の見える化」なるものはどうだったかというと、米国企業の導入事例でも効果抜群だった。ただし、あくまでもリストラによる一般管理費の削減がERP導入の主たる目的であり、経営の見える化は「おまけで付いてきた」ようなものだ。リストラというと日本では感じが悪いので、この経営の見える化が強調されているが、米国企業の経営者にとっての一番の効用は直接的なコスト削減効果である。 さて、日本企業のERP導入の場合はどうだったのか。大概の企業ではERPを導入する際に、業務改革と経営の見える化を目的に掲げる。で、問題は業務改革のほうで、日本企業でも「現場で創意工夫してカイゼンしてきた業務のやり方をなぜ変える必要があるのか」などといった理屈を立てて、利用部門の多くが抵抗勢力となる。場合によってはIT部門までが「コンサルタントの言うことを真に受けてはいけない」などと訳の分からないことを言って抵抗勢力の一員となったりもする。 こうした日本企業の抵抗勢力たちは、米国企業などのそれと同じくリストラの恐怖におびえているだろうか。もちろん、そんなことはあるわけない。私の知る限り、システム刷新による業務効率化で人員削減に踏み切った日本企業を聞いたことがない。もちろん配置転換などはあるにしても、終身雇用が原則で労働法制上も解雇が難しい日本企業においては、解雇とシステム刷新がリンクすることはあり得ない』、「ERP導入の効用として日本で言いはやされている「経営(事業)の見える化」なるものはどうだったかというと、米国企業の導入事例でも効果抜群だった。ただし、あくまでもリストラによる一般管理費の削減がERP導入の主たる目的であり、経営の見える化は「おまけで付いてきた」ようなものだ。リストラというと日本では感じが悪いので、この経営の見える化が強調されているが、米国企業の経営者にとっての一番の効用は直接的なコスト削減効果である」、「経営の見える化は「おまけで付いてきた」ようなもの」とはその通りなのだろう。
・『過大評価し過ぎた日本企業の抵抗勢力  そんな訳なので、冒頭で書いた通り「日本企業における抵抗勢力は単なる面倒くさがり屋さん」と一般化してよさそうだ。もちろん、中には「うちの部門の業務プロセスは世界一」などと根拠レスに思い込んで変革に反対する人がいるかもしれない。ただ「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと外国人におだてられて夜郎自大になっていた昭和の世ならともかく、これだけ日本企業の生産性の低さが笑いものになっている現代において、そんな人はほぼ絶滅したはずだ。 「抵抗勢力は単なる面倒くさがり屋さん」説を裏付ける格好の事例があったな。ある大手製造業では旧システムもERPを導入していたが、利用部門の要求を聞き入れ過ぎて5000本ものアドオンを開発・保守していた。「これではあまりに非効率」ということで、ERPを切り替える際に「アドオンは原則廃止」を打ち出した。ただ、絶対に必要ということならば、その可否を判定する委員会に申請せよ、というルールにしたそうだ。するとあら不思議。申請するのは面倒くさいからか、新たにつくったアドオンは100本で済んだという。 ついでにIT部門が抵抗勢力になる場合も検討しておこう。このケースは、経営者がDXの推進に当たってコンサルティング会社に支援を依頼した際などに発生する。で、コンサルタントは独自の基幹系システムをERPに変え、それに合わせて全社的な業務改革に取り組むことを提案する。まあ、王道の提案だ。IT部門としては、頭越しにERP導入を進言されたことに腹を立てるとともに、新しい技術(=ERP)に対応できるのかと不安になり、先ほど書いた訳の分からない理由で抵抗することになった。 「不安」と書いたが、もちろん解雇される不安ではない。というか、そもそも不安と呼べる類いのものではない。技術者ならば少し勉強すれば新しい技術に対応できるに決まっている。要するに、今までなじんできたCOBOLなどの環境で今までと変わらないやり方で作業をしていたいだけなのだ。新しい技術を勉強するのも面倒くさいし、新しい環境に変わるのも面倒くさいわけだ。IT部門の抵抗勢力も、利用部門と同じく面倒くさがり屋さんなのだ。 要するに、こういうことだ。業務改革にあれこれと理由をつけて反対してくる抵抗勢力は、「机の上が片付いていないほうが作業がはかどる」とか「下手に片付けると必要な物がどこにあるのか分からなくなる」とか、理由にならない理由をつけて机を片付けようとしない人たちと同じなのだ。もう少し言うと、勉強机を片付けられない子供と同じレベルなのだ。そんなとき親はどうするのかといえば、「とっとと片付けないと、今日の晩ご飯は抜き!」と叱るだけ。まさにそれだけの話である。 自分自身の反省も踏まえて書くのだが、DXあるいは単なるシステム刷新の際に反対したりサボタージュしたりする連中を、抵抗勢力と命名することで「過大評価」し過ぎているのではないか。経営者が宿敵の役員のシマである部門に手を突っ込むといった、上層部の権力闘争が絡む案件ならともかく、単に業務をシステムに合わせるだけのことを面倒くさがって嫌がる連中を、抵抗勢力などと「持ち上げる」ものだから、かえってつけ上がるのだ。 駄々をこねて勉強机を片付けようとしない子供と同じなのだから、そんな面倒くさがり屋さんに対しては「やれ!」と言えば済む話である。もしくは、独自のやり方にこだわる理由や言い分を聞いてあげて、誰が見ても確かにその通りだと思えることだけを新システムに組み込めばよい。あるいはシステムに業務のやり方を合わせることで作業が効率化して利用部門の人も楽ができると確信しているのならば、押し通せばよいではないか。後で利用部門から感謝されるぞ。なのに、なぜできないのか。そこが問題なのである』、「旧システムもERPを導入・・・5000本ものアドオンを開発・保守」、「ERPを切り替える際に「アドオンは原則廃止」を打ち出した。ただ、絶対に必要ということならば、その可否を判定する委員会に申請せよ、というルールにしたそうだ。するとあら不思議。申請するのは面倒くさいからか、新たにつくったアドオンは100本で済んだ」、絞る気になれば絞れるもののようだ。「業務改革にあれこれと理由をつけて反対してくる抵抗勢力は、「机の上が片付いていないほうが作業がはかどる」とか「下手に片付けると必要な物がどこにあるのか分からなくなる」とか、理由にならない理由をつけて机を片付けようとしない人たちと同じなのだ。もう少し言うと、勉強机を片付けられない子供と同じレベルなのだ。そんなとき親はどうするのかといえば、「とっとと片付けないと、今日の晩ご飯は抜き!」と叱るだけ。まさにそれだけの話である」、同感である。
・『丸投げ経営者からは「お墨付き」をもらっておけ  例えばこんな話がある。日本の大手製造業が外国企業に買収され、基幹系システムを本社となった外国企業と同じERPに置き換えることになった。先ほど紹介した日本企業が米国企業を買収した話とは、ちょうど逆のパターンだ。で、米国企業のCIOがやって来た際に、日本側のIT部長が現行の独自システムの優位性をプレゼンし、ERPへの移行をやめるように訴えた。IT部長はこの独自システムに思い入れが強く、単なる面倒くさがり屋さんとは違うのでプレゼンには熱が入ったと聞く。 そのプレゼンを熱心に聞いていたCIOは「素晴らしい。皆さんがいかに会社のために貢献してきたのかがよく分かりました」と称賛した。そのうえで次のように言い放ったそうだ。「ただし、私の決定は覆りません。直ちにシステム刷新に向けた準備を始めてください。この議論は以上です」。で、どうなったかというと、気の毒なIT部長が魂の抜け殻のようになったのを別にすれば、大した抵抗も問題も発生せずにERPへ移行できたという。 もう1つ「軽め」の話も紹介しよう。ある小売企業のCIOが話していたが、システム導入に当たって「この機能はこれでよいですか」とお伺いを立てるから、文句を言う人が現れるとのことだ。もちろん基幹系システムの話ではないが、ある意味で本質を突いている。IT部門からそう聞かれれば、利用部門は「うちのやり方にマッチしない」機能などを探し出すわけであり、「ここはこう直してもらいたい」「あんな機能もぜひ欲しい」と言い出すに決まっているのである。 そうではなくて、そのCIOによると「この機能はこれでいきます」と言い切ってしまえば済む話だという。面倒くさがり屋さんたちはいちいち調べて文句を言ってはこない。導入後に「なんでこんな面倒なことをやらないといけないんだよ」といった不平が出るかもしれないが、放置しておいて無問題。やがて使い方に慣れ、本質的な意味で有用なシステムであれば、そのうち「こりゃ便利だ」と喜んで使うようになるという。 結局のところ、やはり人間はたとえ楽になると分かっていたとしても、今までのやり方を変えるのを嫌がる生き物なのである。だからシステム刷新では「現行通り」を要求する。面倒くさいことをやりたくないがために、「うちの業務のやり方は優れている」とか「その機能がないと業務が回らない」などと言い出す。そんな低次元なわがままを深刻に捉え、何とか利用部門のご機嫌を取ろうとするから、50億円、100億円をかけたシステム開発プロジェクトが炎上して破綻する。これが「抵抗勢力問題」の本質である。 じゃあ、どうすればよいのか。経営者がDXや業務改革のためにリーダーシップというか「強権」を発動すれば済む話だ。もしそれをやらずに丸投げするような経営者なら、CIOやプロジェクトマネジャー(PM)が「経営者のお墨付き」をもらっておけばよい。そのお墨付きとは「DXによる全体最適に向け全業務を見直す。その権限をCIO(あるいはPM)に与える」というものだ。それを振り回してはアカンが、面倒くさがり屋さんたちのわがままを抑止するには十分な効果があるだろう。 もちろん、これだけでDXや業務改革が成功するなどと言ってはいないからな。さすがに私はそこまで脳内お花畑ではない。ただ、変えるのが面倒くさい、新しいことをやるのが面倒くさいという人間の本質を頭にたたき込み、対処法を準備しておけと言っているのだ。そうすれば抵抗勢力に振り回されずに、変革に向けた真の課題の解決に集中できるだろう……。えっ、そんな面倒くさいことするより、ご用聞きとして利用部門の言いなりになったほうが楽だって? あらら、面倒くさがり屋さんがここにもいたか』、「丸投げするような経営者なら、CIOやプロジェクトマネジャー(PM)が「経営者のお墨付き」をもらっておけばよい。そのお墨付きとは「DXによる全体最適に向け全業務を見直す。その権限をCIO(あるいはPM)に与える」というものだ」、「面倒くさがり屋さんたちのわがままを抑止するには十分な効果があるだろう」、「変えるのが面倒くさい、新しいことをやるのが面倒くさいという人間の本質を頭にたたき込み、対処法を準備しておけと言っているのだ。そうすれば抵抗勢力に振り回されずに、変革に向けた真の課題の解決に集中できるだろう……」、確かに効果がありそうだ。
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