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メディア(その31)(新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい、朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き、スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も) [メディア]

メディアについては、3月20日に取上げた。今日は、(その31)(新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい、朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き、スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も)である。

先ずは、4月14日付け東洋経済オンライン「新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/581186
・『人材流出が加速する新聞業界。元日経の論客・磯山友幸氏は、管理強化で「きちんとした会社」になった新聞社の問題点を指摘する。 朝日新聞社は4月6日、他社媒体の編集権に”介入”したとして、峯村健司記者に懲戒処分を下した。他方、日本経済新聞に関しては若手記者の退職が相次いでいるという厳しい内情が報道されるなど、目下、新聞業界が何かと騒がしい。 個々の事件にはそれぞれの経緯や原因があるものの、底流には新聞社という組織ジャーナリズムの担い手の構造問題も存在していそうだ。新聞社は今、どんな課題を抱えているのか。部数減が止まらない中、どうすれば報道機関として復権できるのか。 業界内外の論客に聞くインタビューシリーズの第一回は、フリージャーナリストの磯山友幸氏。2011年に日本経済新聞社を辞め、現在はネットメディアやテレビのコメンテーターとして活躍している。新聞社を辞めた理由について「個人で仕事ができる時代になったから」と語る磯山氏の目に、今の新聞社はどう映るのか(Qは聞き手の質問、Aは磯山氏の回答)』、「朝日新聞社」の問題は、第二の記事で取上げる。「日本経済新聞に関しては若手記者の退職が相次いでいる」、とは困ったことだ。
・『「他流試合」で成長していたのに  Q:日本経済新聞社では記者の退職が相次いでいるようです。 A:退職理由として編集局長のパワハラなんかが報道されているが、それは「最後の一押し」的な要素であって、本質的なものではないと思う。新聞記者をとりまく環境の変化が背景にあるのではないか。 この20年ほどで日経記者の自由度は著しく下がった。象徴的な例を挙げると、記者が雑誌など自社以外の媒体でアルバイト原稿を書くことが認められにくくなっている。 1990年代、日経の記者たちは自由にバイト原稿を書いていた。私がバイトを始めたきっかけも当時の部長が外でやっていたバイトを「代わりにやれ」と頼まれたことだった。その部長は、「おまえ、外の締め切りは絶対に守れよ。遅れたら信用を失うぞ」と。社内の原稿について言われないようなことまで言う(笑)。 Q:それくらい自由だったということですね。 A:上司は部下に「他流試合をしろ」と積極的にけしかけていた。稼ぐためというより、記者として成長するため。新聞は一本の原稿で書ける文字量がせいぜい1000字。雑誌なら1本3000~4000字になり、論理の組み立て方などを書き手が自分で考えなければならない。編集者からの注文も多い。 だから記者はおのずと鍛えられる。私自身、原稿が下手な後輩記者には「もっと外で書け」と、知り合いの雑誌編集者を紹介したりしていた。しばらく他流試合をやらせていると、原稿はみるみる上達した。 新聞社は記者個人の力量に大きく依存している。人脈も知識も、会社というよりは記者個人につながっているものだ。記者が輝かないと新聞社は輝かない。だから会社は記者のバイトを黙認してきたし、外で鍛えられた記者がいい仕事をすることが会社の利益につながっていた。記者と会社がウィンウィンの関係を築けていたわけだ。 Q:状況が変わってきたのは、なぜでしょうか。 A:新聞社が記者を遊ばせておけなくなったからだ。新聞の発行部数は1997年を境に減少し、2007年にアップルがiPhoneを発売すると、紙の新聞を読んでいた人々がスマートフォンで情報を得るようになった。このあたりから新聞の発行部数はつるべ落としとなり、業績は悪化の一途をたどる。 貧すれば鈍す。私が日経を退職した2011年の前後になるとすっかり文化が変わり、社内でそれまで黙認されてきた記者のバイトに対し「けしからん」という空気が充満するようになった。どの記者が外で書いているのかを調べようとする動きも出てきた。 そうこうしているうち外で活躍したことのない人が上に立つようになった。外の世界を知らない人が上に立つと、記者の「枠外」の行動を許さなくなる。組織の体質もコンプライアンス重視へと変わっていく。 この傾向は1990年代以降の日本企業全体にもいえる。外の営業などでバリバリ稼いでいた人がコンプラ違反で次々失脚した。外で勝負していた人はたいてい、スネに傷の1つや2つを持っているからだ。 結果的に傷のない、外の世界を知らない人が管理職に登りつめた。やれることはコストカットくらいで、成長に向けた勝負ができない。これこそ日本企業がハマったワナだ。時代の要請がある中で、仕方ない面はあるが、これによって失われたものも多いだろう』、「しばらく他流試合をやらせていると、原稿はみるみる上達した」、「記者が輝かないと新聞社は輝かない。だから会社は記者のバイトを黙認してきたし、外で鍛えられた記者がいい仕事をすることが会社の利益につながっていた」、「2011年の前後になるとすっかり文化が変わり、社内でそれまで黙認されてきた記者のバイトに対し「けしからん」という空気が充満するようになった」、「外で活躍したことのない人が上に立つようになった。外の世界を知らない人が上に立つと、記者の「枠外」の行動を許さなくなる。組織の体質もコンプライアンス重視へと変わっていく」、「これによって失われたものも多いだろう」、なるほど。
・『「きちんとした会社」になった功罪  Q:新聞社も例外ではなかったと。 A:僕が日経を辞める時、「日経の看板がなくなってどうやって仕事をするんだ」と忠告してくれる上司がいた。引き留めようとしてくれたのかもしれないが、迷いはなかった。インターネットやスマホの普及で、新聞社には500年ぶり大変革期がきていると確信していたから。 Q:どういう意味でしょう? A:現存する世界最古の新聞「レラツィオン」が発刊されたのは1605年。大量に印刷して短時間で読者に届けられる技術の確立が新聞発行を可能にしたわけだが、背景にはルネサンス以降の「個」の確立もあった。個々人が互いの情報に価値を見いだす社会に変わろうとしていた。 だから新聞という情報媒体の信頼の基礎も「個人」にあった。読み手が重視したのは会社組織ではなく、伝達者がどのような人物か、だった。 新聞がその性質を大きく変えたのは19世紀以降のこと。近代国家が成立する過程で電信が発達し近代郵便制度が整ったことで、情報の信頼の基盤は「個人」から「朝日新聞社」や「中外物価新報(日本経済新聞の前身)」といった「組織」に変わり始めた。 日本の新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降、高度経済成長期に入り、自宅で新聞を購読する人が急増してから。記者に対し、世間の相場より高い給料を払う、「きちんとした会社」になったのはこのころだ。 Q:「~新聞」の記者という職業が高いステータスになったと。 A:そうだ。ただ前述のとおり、記者個人の力量こそが本来的な価値であるこの業界に、そもそもそういった組織形態はなじまない。1970年代以降の高度経済成長期にはフィットしたのかもしれないが、あくまで一時的な姿だったと考えるのがいいのではないか。 今、ネットとSNSの普及で、情報の発信者は組織から個人へと戻り始めている。新聞の「原点回帰」と言っていい。私が日経を辞めたのも「個人」として活躍できる時代が来たと踏んだからだ。今はさらに、そのハードルは下がっているのではないか。 Q:新聞社は今後どうなるでしょう? A:個人が輝く職場へと戻さなければならないのに、管理強化の流れは変わっていない。輪転機が激しく回っていた時代の分業体制を引きずっていて、個々人をいかに生かすかより、いかに組織を回すかに重心が置かれている。記者の多様な働き方を認めていかないと、記者が新聞社を離れる流れは止められないだろう』、「日本の新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降、高度経済成長期に入り、自宅で新聞を購読する人が急増してから。記者に対し、世間の相場より高い給料を払う、「きちんとした会社」になったのはこのころだ」、「新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降」、そんな最近だったとは初めて知った。「個人が輝く職場へと戻さなければならないのに、管理強化の流れは変わっていない。輪転機が激しく回っていた時代の分業体制を引きずっていて、個々人をいかに生かすかより、いかに組織を回すかに重心が置かれている。記者の多様な働き方を認めていかないと、記者が新聞社を離れる流れは止められないだろう」、なるほど。
・『「権力監視」の機能をどう維持する?  Q:新聞社をはじめ、マスコミは中央官庁や自治体にネットワークを張りめぐらせ、行政や議会をチェックする機能も担っています。 (磯山氏の略歴はリンク先参照) その機能を今後どう維持していくか。これも非常に重要な問題だ。政府の発表を検証する記者がいなくなれば、国民は政府が発表する公式見解を鵜呑みにしてしまうかもしれない。新聞社が縮小していくことの最大のマイナスポイントはここだ。 人を張り付けて「面」で押さえるメディアは、社会的な機能として必要だ。1社だけで維持できないなら、各社が共同出資して1つか2つの会社に機能を集約するなど、何からの手は打たないといけない。 権力者にとって、いちばんやっかいな相手がメディアであるはずだ。もともと記者クラブができたのも強い権力者に対して結束して立ち向かうためだった。それが近年は権力者側にコントロールされる記者が増えている。組織ジャーナリズムの悪い側面が目立ちはじめている。 新聞社の経営問題とは別に、社会的な機能としてのメディアをどう維持していくか。真剣に考えなければならない局面に来ている』、「「権力監視」の機能を含めて、社会的な機能としてのメディアをどう維持していくか。真剣に考えなければならない局面に来ている」、全く同感である。

次に、4月18日付けNEWSポストセブン「朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き」を紹介しよう。
https://www.news-postseven.com/archives/20220419_1745629.html?DETAIL
・『新聞・メディア業界に大きな衝撃を与えたのが朝日新聞の峯村健司・編集委員(外交、米国・中国担当)による、『週刊ダイヤモンド』の安倍晋三・元首相インタビュー記事への介入問題だ。 峯村氏は中国の安全保障政策に関する報道で「ボーン・上田記念国際記者賞」、昨年は無料通信アプリLINEが日本の利用者の個人情報に中国人技術者がアクセスできる状態にしていたことをスクープして新聞協会賞を受賞した朝日のエース記者。その峯村氏が今年3月、『週刊ダイヤモンド』が行なった安倍氏へのインタビューについて同誌の副編集長に電話を入れ、「安倍(元)総理がインタビューの中身を心配されている。私が全ての顧問を引き受けている」と発言し、「とりあえず、ゲラ(*校正用の記事の試し刷り)を見せてください」「ゴーサインは私が決める」などと要求した。 週刊ダイヤモンド編集部は要求を拒否し、朝日新聞に対して「編集権の侵害」と抗議。朝日は調査を経て、「政治家と一体化して他メディアの編集活動に介入したと受け取られ、記者の独立性や中立性に疑問を持たれる行動だった」とダイヤモンド側に謝罪。4月7日付朝刊社会面で峯村記者の行為は「報道倫理に反する」と編集委員を解任し、停職1か月の処分を下したことを大きく記事化した。 なぜ、朝日の編集委員が“安倍氏の代理人”を務めたのか。安倍氏は首相退陣後も新聞・テレビに積極的に登場し、ロシアのウクライナ侵攻後は、特に核共有についての議論提起に力を入れている。 首相を辞めてもなお、メディアにそれだけの発信力があるのは、連続在任7年8か月の長期政権下で大メディアを取り込んできたからだ。 安倍氏のメディア戦略は自ら新聞・テレビの最高幹部と会食を重ねて“懐柔”をはかる一方で、「中立・公平」を口実に報道内容に細かく注文をつけて“圧力”をかけるアメとムチの手法で行なわれた。 巧妙だったのはNHKの岩田明子氏、TBS時代の山口敬之氏、テレビコメンテーターでは政治評論家の田崎史郎氏など、主要なメディアに“安倍応援団”の記者をつくり、巧みに官邸寄りの情報を発信させたことだ。 2013年10月に放送されたNHKスペシャル『ドキュメント消費税増税 安倍政権 2か月の攻防』では、安倍氏がどんな覚悟と勇気をふるって消費税増税を決断したかが描かれ、岩田氏が総理執務室で安倍氏を独占インタビューする。まさにNHKが首相の宣伝番組の制作プロダクションになったかのようだった。) そうして大新聞・テレビが次第に権力に刃向かう牙を抜かれ、安倍政権の“宣伝機関”へと傾斜を強めていくなかで、批判的な姿勢を保ってきたのが朝日だった。「森友学園」の国有地売却問題や加計学園の獣医学部新設問題を追及し、財務省の公文書改竄をスクープして安倍氏を追い詰めた。 しかし、今回の報道介入問題で、朝日内部の“安倍応援団”の存在が浮かび上がった。元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が語る。 「NHK政治部の岩田記者は安倍首相の懐刀なんて言われていたが、話すことは結局、安倍さんの宣伝と受け取られかねない面があった。峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」 朝日の峯村氏への処分もおかしいと続けた。 「朝日の綱領のひとつに『不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す』とあるが、朝日新聞の読者は中道から左派の人が多い。政府に批判的な読者が多く、安倍さんは保守の右派で再軍備を主張しているから朝日の立場とは違う。 朝日にはかつて社会党の土井たか子さんの事務所内に自分が主導する市民団体を設置するほどの記者もいたのに、処分などされなかった。なぜ峯村さんだけ処分するのか。安倍さんとつながっていたからなら、不偏不党の処分とは言えないのでは」 峯村氏の行為は「反安倍」という朝日の看板がすでに朽ちかけていることを示している。だからこそ、朝日は慌てて処分に踏み切ったのではないか。そんな内情を思わせる指摘だ』、「峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」、その通りなのだろう。それにしても、超一流の新聞記者、「峯村氏」がこんな罠にはまるとは解らないものだ。

第三に、4月16日付け東洋経済オンライン「スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/581882
・『日経グループを想定外の激震が襲っている。 4月14日、民放キー局のテレビ東京ホールディングス(HD、東証プライム市場上場)が、アクティビスト(物言う株主)から6月の定時株主総会に向けた株主提案を受けていたことが東洋経済の取材でわかった。仕掛けたのは、香港の投資会社であるリム・アドバイザーズだ。 リムが行った提案の中で最大のポイントは、筆頭株主である日本経済新聞社(日経)から経営陣がテレ東HDに「天下り」する慣行を廃止すること。その実行を担保するための社外取締役候補として「日経が最も恐れる男」の起用を提案している。リムは日経とテレ東という経済報道の巨人に挑戦状をたたきつけた格好だ』、「テレ東という経済報道の巨人に挑戦状をたたきつけた格好だ」、これは興味深そうだ。
・『歴代のテレ東社長は日経の出身者  まず、「天下り」の実態を見ておこう。日経はテレ東HDに32.0%を出資する筆頭株主。現在の同社経営陣のトップ3はいずれも日経本体の取締役経験者だ。1973年就任の佐藤良邦氏以来、テレ東HD(2010年から持株会社体制へ移行)社長は40年近く日経出身者が占め続けてきた。 また、テレ東HDで特別顧問の職にある高橋雄一氏は日経からテレ東社長に転じ、2020年にテレ東HD会長を退任した人物だ。今回、リムは報酬つきの顧問制度を撤廃することも求めている。 日本の放送法では民放キー局などを傘下に抱える持ち株会社に、特定株主が3分の1以上出資できないと定めている。日経はほぼその上限の株式を保有している。「日経幹部にとってテレ東は最も格の高い天下り先」(日経元記者)という。) 近年、TBSホールディングス、テレビ朝日ホールディングス、フジ・メディア・ホールディングスなどの民放大手は続々とアクティビストの標的になってきた。 これらの企業はいずれもPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る。一方で、現預金、持ち合い株、不動産といったノンコアの資産を豊富に抱えている。アクティビストから見れば、株主提案など経営陣への圧力により増配といった果実を得やすい、実においしい状態なのだろう。 (外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 石川一郎社長が就任(2020年6月)してからの株価推移をみると、テレ東HDは一人負け状態だ。 2021年12月末時点でテレ東HDの純資産は900億円に及ぶが、足元の時価総額は約550億円。PBRは0.6倍に過ぎず、345億円ものキャッシュを抱えるテレ東HDもアクティビストからすれば格好の獲物のはず。だが、長らく同社は太平無事だった。「日経は企業に圧倒的な影響力を持つ『ご意見番』。テレ東を突き上げて彼らを敵に回すのは、アクティビストにとっても怖いこと」(投資ファンド関係者)だからだともいえる』、「「日経は企業に圧倒的な影響力を持つ『ご意見番』。テレ東を突き上げて彼らを敵に回すのは、アクティビストにとっても怖いこと」、今回はこうした制約が弱くなったのかも知れない。
・『上場企業の「天下り」を問題視  そうした中、あえて株主提案を突きつけたリムは、日本企業の「天下り」体質を目の敵にしているファンドだ。 2021年には平和不動産、2022年には鳥居薬品に、取引先や親会社からの天下りの禁止を求める株主提案を行っている。両社への提案書では、利益相反や、トップに迎える人材の適格性を問うている。 リムはすでに1%余りのテレ東HD株を保有しているもようだ。その圧力が作用したのか、テレ東HDは2022年2月に増配と自社株買い、さらに人事諮問委員会、報酬諮問委員会の設置を五月雨で発表している。リムはそれでも不十分と見て、今回の株主提案を放ったのだろう。 関係者を驚かせたのは、リムが社外取締役の候補として思いも寄らない人物を挙げたことだ。 テレ東HDには現在、5人の社外取締役がいる。日経の岡田直敏会長のほかには、大橋洋治・ANAホールディングス相談役、岩沙弘道・三井不動産会長、澤部肇・TDK元会長、奥正之・三井住友フィナンシャルグループ名誉顧問と、財界の重鎮が並ぶ。 そうした人たちではガバナンス強化に不十分とみて、リムが社外取締役の候補として挙げたのは阿部重夫氏。1973年に日経記者となり、欧州総局ロンドン駐在編集委員や『日経ベンチャー』編集長などを務めて1998年に退社した。 彼の名前は日経グループのガバナンスを語るときには欠かせない。2003年に当時の鶴田卓彦社長による支配を崩壊させた立役者の一人だからだ。同年1月には、日経新聞のベンチャー市場部長(当時)だった大塚将司氏が社員株主として鶴田氏の解任動議を提出した。子会社での融通手形操作によって巨額の損失が出ていたことと、会社の接待費を不適切に使用した疑惑がその理由だった。 内外の批判を受けて、鶴田氏は会長、さらに相談役に退いたが、この過程で大きなインパクトを与えたのが、阿部氏が編集長を務めていた月刊誌『選択』での報道だ。鶴田体制の実態を暴露した連載では、赤坂のクラブの密室でのやりとりまで生々しく再現。日経社内を震撼させた』、「阿部氏が編集長を務めていた月刊誌『選択』での報道」、『選択』はスクープものを売り物にしており、「阿部氏」がその「編集長」になっていたとは、まさに本件の最適任者だ。
・『「リベンジではなく、リデンプション」  現在ウェブメディア「ストイカ・オンライン」の編集代表を務める阿部氏には、日経社内に今でも多くの“信奉者”がいる。現役のメディア人、かつグループの内部情報を豊富に持つ阿部氏は日経経営陣にとって最も恐ろしい人物のはずだ。 株主提案の取締役候補を引き受けた理由を阿部氏に質問すると、「これはリベンジではなく、リデンプションです」という短い回答があった。リデンプションとは「義務の履行」を意味する言葉。そこには、日経グループという“古巣”の改革に向けた静かな意気込みが見てとれる。 東洋経済の取材に対し、テレ東HDは「当社は、LIM JAPAN EVENT MASTER FUND(リム)から2022年6月に開催予定の第12回定時株主総会における株主提案書を受領しました。内容については精査中です」と回答した。一方のリムは「個別の投資先に関してはお答えできない」とする。 今後の注目点は、6月16日に予定されるテレ東HDの株主総会に向けてリムの提案にどれだけの支持が集まるかだ。 リムの平和不動産への株主提案は2021年6月の総会で否決されたものの、2022年に入って同社は指名委員会等設置会社への移行を決めた。鳥居薬品の2022年3月の総会に当たり、議決権行使助言会社のISS社は天下り廃止の議案への賛成を推奨していた。「天下り批判」は機関投資家の支持を得やすく、そこがリムの狙い目だろう。 【2022年4月16日9時35分追記】初出時の総会の記述を修正しました。 テレ東HDに対する株主提案には、企業が純粋な投資目的でなく、取引先との関係維持などのために持っている政策保有株の放出も盛り込まれている。同社は100億円を超える政策保有株を持っており、その中には、住友不動産株のように2020年度に新たに買い増した例もある。また、リムはテレ東HDに対し、過剰資本解消のため2021年度の純利益をすべて配当に回すよう求めている。 上場企業のガバナンスの透明性確保は、日経グループのメディアが繰り返し訴えてきたことだ。リムの株主提案はその言論の一貫性を問うたものだけに、真剣に対応せざるをえない。5月半ばまでになされるだろうテレ東HDの取締役会意見の表明が待たれる』、5月12日付けで「テレ東HDの取締役会」が出した声明、株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ では、株主提案にはいずれも反対している。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9413/tdnet/2119630/00.pdf
さて、6月16日に株主総会ではどうなるだろうか。
タグ:「朝日新聞社」の問題は、第二の記事で取上げる。「日本経済新聞に関しては若手記者の退職が相次いでいる」、とは困ったことだ。 東洋経済オンライン「新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい」 メディア (その31)(新聞社をダメにした「外を知らない経営者」の過ち 「個人が輝く職場」に戻さなければ復権は難しい、朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き、スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も) 「しばらく他流試合をやらせていると、原稿はみるみる上達した」、「記者が輝かないと新聞社は輝かない。だから会社は記者のバイトを黙認してきたし、外で鍛えられた記者がいい仕事をすることが会社の利益につながっていた」、「2011年の前後になるとすっかり文化が変わり、社内でそれまで黙認されてきた記者のバイトに対し「けしからん」という空気が充満するようになった」、「外で活躍したことのない人が上に立つようになった。外の世界を知らない人が上に立つと、記者の「枠外」の行動を許さなくなる。組織の体質もコンプライアンス重視へと 「日本の新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降、高度経済成長期に入り、自宅で新聞を購読する人が急増してから。記者に対し、世間の相場より高い給料を払う、「きちんとした会社」になったのはこのころだ」、「新聞社が組織として隆盛したのは1970年代以降」、そんな最近だったとは初めて知った。「個人が輝く職場へと戻さなければならないのに、管理強化の流れは変わっていない。輪転機が激しく回っていた時代の分業体制を引きずっていて、個々人をいかに生かすかより、いかに組織を回すかに重心が置かれている。記者の多様な働き方 「「権力監視」の機能を含めて、社会的な機能としてのメディアをどう維持していくか。真剣に考えなければならない局面に来ている」、全く同感である。 NEWSポストセブン「朝日新聞編集委員が安倍晋三氏インタビュー記事介入で処分 OBたちの嘆き」 日新聞の峯村健司・編集委員 「峯村さんも“オレは安倍さんに安全保障についてレクしている、安倍さんに食い込んでいる”と社内にアピールしたかったのかもしれないが、記者が向き合う相手は読者以外いないはずだ」、その通りなのだろう。それにしても、超一流の新聞記者、「峯村氏」がこんな罠にはまるとは解らないものだ。 東洋経済オンライン「スクープ!日経「テレ東天下り」に物言う株主がNO 株主提案には「日経が最も恐れる男」の名前も」 「テレ東という経済報道の巨人に挑戦状をたたきつけた格好だ」、これは興味深そうだ。 「「日経は企業に圧倒的な影響力を持つ『ご意見番』。テレ東を突き上げて彼らを敵に回すのは、アクティビストにとっても怖いこと」、今回はこうした制約が弱くなったのかも知れない。 「阿部氏が編集長を務めていた月刊誌『選択』での報道」、『選択』はスクープものを売り物にしており、「阿部氏」がその「編集長」になっていたとは、まさに本件の最適任者だ。 5月12日付けで「テレ東HDの取締役会」が出した声明、株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ では、株主提案にはいずれも反対している。 https://ssl4.eir-parts.net/doc/9413/tdnet/2119630/00.pdf。 さて、6月16日に株主総会ではどうなるだろうか。
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