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キシダノミクス(その6)(アベノミクス以上にアベノミクスな内容…「骨太の方針2022」でわかった新しい資本主義の古臭さ これが"本気"なら大規模な政策転換だが…、岸田首相は賃上げと株主還元のどちらが先なのか 「新しい資本主義」と「資産所得倍増」は相性が悪い、岸田政権「黄金の3年」で今すぐ着手すべき経済政策とは?) [国内政治]

キシダノミクスについては、6月26日に取上げた。今日は、(その6)(アベノミクス以上にアベノミクスな内容…「骨太の方針2022」でわかった新しい資本主義の古臭さ これが"本気"なら大規模な政策転換だが…、岸田首相は賃上げと株主還元のどちらが先なのか 「新しい資本主義」と「資産所得倍増」は相性が悪い、岸田政権「黄金の3年」で今すぐ着手すべき経済政策とは?)である。

先ずは、6月16日付けPRESIDENT Onlineが掲載した経済ジャーナリストの磯山 友幸氏による「アベノミクス以上にアベノミクスな内容…「骨太の方針2022」でわかった新しい資本主義の古臭さ これが"本気"なら大規模な政策転換だが…」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/58679?page=1
・『アベノミクス以上にアベノミクスな内容になった  今後1年の政府の経済財政運営の方針である「経済財政運営と改革の基本方針2022」、いわゆる「骨太の方針」が閣議決定された。就任前から岸田文雄首相が強力に打ち出していた「分配重視」の政策がどう具体的な政策として盛り込まれるのかが注目されたが、「分配」はすっかり影をひそめ、「成長」一辺倒といっていい内容となった。 見出しや注記も加えた報告書全体に出てくる「分配」という語句は16カ所。これに対して「成長」という語句が登場するのは68カ所にのぼる。安倍晋三首相が言い続けた「経済好循環」を「成長と分配の好循環」と言い換え、分配には成長が必要だと、当初の主張から大きく舵を切ったように見える。 アベノミクスによる成長重視戦略で格差が拡大したとして、「いわゆる新自由主義的政策は取らない」と大見えを切っていた就任当初の岸田首相の「新しさ」は姿を消した。結局は、アベノミクス以上にアベノミクスな内容になった』、「「いわゆる新自由主義的政策は取らない」と大見えを切っていた就任当初の岸田首相の「新しさ」は姿を消した。結局は、アベノミクス以上にアベノミクスな内容になった」、残念な結果だ。
・『金融所得課税の強化は「完全に引っ込めた」  岸田氏が当初、「格差」対策の分配策として打ち出した金融所得に対する課税強化は、今回の骨太の方針にはまったく盛り込まれなかった。税制改革については、「適正・公平な課税の実現の観点から制度及び執行体制の両面からの取組を強化する」という一文が書かれているが、これは菅義偉内閣が閣議決定した「骨太の方針2021」を引き継いだもので、ここから金融所得課税の強化をやると読むのは難しい。 「7月の参議院選挙を控えて完全に引っ込めたということです」と岸田首相の側近は解説する。何せ、金融所得課税強化を打ち出したことで、市場関係者が一斉に反発。国会で課税強化に触れるたびに「岸田ショック」と呼ばれる株価下落が市場で起きた。「分配」を優先するとした岸田首相には市場関係者や改革派の経営者が一斉に反発。日経CNBCが2月8日に報じたアンケート結果では、「個人投資家の95%が岸田政権『不支持』」という衝撃の結果が出た。 自民党支持者には、株式投資を行っている個人投資家層が少なくない。「株価が下落すると、支持者からお叱りの電話がかかってくる」という自民党議員の声も聞かれる。安倍内閣は過剰なほど株価の動向に敏感で、株価上昇につながる政策を打ち出すことに必死だった。そうした姿勢が「金持ちだけがより豊かになった」というアベノミクス批判につながった』、「金融所得に対する課税強化は、今回の骨太の方針にはまったく盛り込まれなかった」、「7月の参議院選挙を控えて完全に引っ込めたということです」、残念だ。
・『市場に擦り寄る「資産所得倍増プラン」  今回の骨太の方針で「分配」を封印したのは、そうした「市場の反発」に配慮したためだろう。しかも、反発される政策を盛り込まなかっただけでなく、「市場に擦り寄る」政策を盛り込んだ。「『貯蓄から投資』のための『資産所得倍増プラン』」である。 「政策を総動員し、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進める」とし、「本年末に総合的な『資産所得倍増プラン』を策定する」としている。 もちろん、岸田首相の「分配重視へ」という当初の政策転換姿勢に喝采を送っていた人たちも少なからずいた。野党幹部からも「分配政策は我々の十八番。それを岸田自民党に奪われる」と危機感を露わにする声も聞かれた。それが、5月5日にロンドンで市場関係者を前に「Invest in Kishida(岸田に投資を)」と呼びかけ、露骨に市場に擦り寄ったことで、こうした支持層からも疑念の目が向けられている。「岸田首相の周りは新自由主義者だらけだ」と批判する声も上がる。 かといって、「市場」が岸田支持に回ったか、というとどうもそうではない。ロンドン演説への海外投資家の反応も冷ややかだった。「選挙前だから言っているだけで、岸田首相の本心ではないのではないか」といった見方が市場関係者の間には根強くある』、「ロンドン演説への海外投資家の反応も冷ややかだった。「選挙前だから言っているだけで、岸田首相の本心ではないのではないか」といった見方が市場関係者の間には根強くある」、なるほど。
・『人材投資を促進する政策を「分配」と称している  今回の骨太の方針で「分配」を「成長」に切り替えるにあたって使われた「レトリック」は、人への投資は「分配」だというものだ。 岸田首相の「看板」である「新しい資本主義」について書いた「第2章 新しい資本主義に向けた改革」の冒頭で、「人への投資と分配」を掲げている。個人に直接分配する政策というよりも、人材投資を促進する政策を「分配」と称している。賃上げや最低賃金の引き上げと言った直接の「分配」にも触れているが、これは安倍内閣、菅内閣を通じて行ってきた政策だ。 DX(デジタルトランスフォーメーション)分野やスタートアップ企業の人材など、骨太の方針の各所に「人材確保」「人材育成」という語句があふれている。もちろん、人材を育成することが、競争力を高め、経済の付加価値を高め、分配の原資を膨らませていく。だが、これが「新しい資本主義」だと言われても困惑する。新しい資本主義は市場原理に従った競争を批判する立場だったはずだが、いつの間にかアベノミクスと同じ土俵に上がっている』、「個人に直接分配する政策というよりも、人材投資を促進する政策を「分配」と称している」、「いつの間にかアベノミクスと同じ土俵に上がっている」、失望した。
・『もう一つの文書で掲げた「労働移動の円滑化」  これを端的に示しているのが、骨太の方針と同時に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画~人・技術・スタートアップへの投資の実現~」という文書だ。 岸田首相が昨年末に設置した「新しい資本主義実現会議」がまとめたものだ。「実現会議」と言いながら計画を作るのに半年以上もかけていること自体が噴飯物。閣議決定も通常国会の会期末ギリギリだった。実現するためには法案を作って、国会審議を通す必要があり、議論は早くて秋の臨時国会から。どんなに早くても何かが実現するのは2023年4月からの施行、通常ならば2024年4月からの施行ということになる。 話を戻そう。その実行計画の冒頭に驚くべき記載がある。 「新自由主義は、成長の原動力の役割を果たしたと言える」と新自由主義を評価しているのだ。その上で、「資本主義を超える制度は資本主義でしかあり得ない。新しい資本主義は、もちろん資本主義である」と宣言している。 問題は中味だ。ここでも、「人への投資と分配」が新しい資本主義の柱として書かれているが、骨太には明確には触れられていないことがある。賃金の引き上げと並んで掲げられているのが「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」である。「学びなおし」や「兼業推進」「再就職支援」などを行い、「教育訓練投資を強化して、企業の枠を超えた国全体としての人的資本の蓄積を推進することで、労働移動によるステップアップを積極的に支援していく」としている』、「「新自由主義は、成長の原動力の役割を果たしたと言える」と新自由主義を評価」、「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」、これも「新自由主義」的だ。
・『安倍内閣が実現できなかった政策  つまり、生産性の低い産業分野から生産性の高い分野への労働移動を促すことで、ステップアップ、つまり賃金を上げていくような社会を作るべきだとしているのだ。 実は、これはアベノミクスが当初からやりたくてできなかった政策である。労働移動を促進するためには、本来は滅ぶべき企業、いわゆる「ゾンビ企業」を救済するのではなく、それを潰して、強い企業へ集約していくことが重要だという議論が当初からあった。その際、がんじがらめになっている解雇規制を緩和することが必要だとしたことで、左派野党から猛烈な反発を食らう。「安倍内閣は解雇促進法を作ろうとしている」といった攻撃に負け、安倍内閣は労働法制の改革を断念している。 その後も「働き方改革」の流れの中で、労働移動を促進する制度整備を取ろうとしたが、なかなか本格的に手をつけられずに終わった経緯がある』、「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」は私としてはかっては反対だったが、現在のように失業率が低く、「雇用調整助成金を大規模に給付」しているなかでは賛成に切り替える。
・『「本気」ならば、大規模な政策転換だ  そんな時に、新型コロナウイルスの蔓延が起き、雇用調整助成金を大規模に給付せざるを得なくなった。余剰人員の人件費を政府が肩代わりする制度だから、これによって企業に人を抱えさせることとなった。新型コロナにもかかわらず日本は失業率がまったくと言って良いほど上がらなかった。失業率が一時14%まで上がったが、その後の好景気で新型コロナ前の失業率に戻った米国とは対照的だった。米国はこの間、大きく労働移動が起き、ポストコロナ型産業へのシフトが進んだが、日本は労働移動を阻害する政策をとったために産業構造の転換はまったく進んでいない状況になった。 岸田内閣は2022年3月末までだった雇用調整助成金の特例措置を6月末まで延長。さらに選挙後の9月末まで延ばした。労働移動を促進するというのが「本気」ならば、これも大規模な政策転換である。新しい資本主義は、アベノミクスができなかったことに挑む、アベノミクスよりもアベノミクスな資本主義ということになるのだろうか』、「新型コロナウイルスの蔓延が起き、雇用調整助成金を大規模に給付せざるを得なくなった。余剰人員の人件費を政府が肩代わりする制度だから、これによって企業に人を抱えさせることとなった。新型コロナにもかかわらず日本は失業率がまったくと言って良いほど上がらなかった」、「労働移動を促進するというのが「本気」ならば、これも大規模な政策転換である」、「アベノミクスよりもアベノミクスな資本主義ということになるのだろうか」、その通りだ。

次に、6月17日付け東洋経済オンラインが掲載した大和証券 シニアエコノミストの末廣 徹氏による「岸田首相は賃上げと株主還元のどちらが先なのか 「新しい資本主義」と「資産所得倍増」は相性が悪い」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/595662
・『政府は6月7日、「新しい資本主義」の実行計画である「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ」を閣議決定した。内容はすでに報じられているように、「成長戦略重視」という印象が強い。 2021年10月26日に行われた政府主導の「新しい資本主義実現会議」の第1回では、事務方から「新しい資本主義(ステークホルダー論)をめぐる識者の議論の整理」という資料が提出され、既存の資本主義の問題点などについて議論されていた。 例えば、下記のような著名人の主張が並べられ、新自由主義や株主至上主義の問題点が指摘された。 ・ティロル(Jean Tirole、2014年ノーベル経済学賞受賞)は、ステークホルダー全体を考慮した企業統治を考える必要性を提唱し、そのための経営者に対するインセンティブと制御の構造を研究すべきとの論⽂を2001年にEconometricaに発表。 ・ラジャンとジンガルス(Raghuram Rajan & Luigi Zingales)は、現代の企業において価値を⽣み出す源泉が何であるかという別の視点から「株主価値最⼤化」の企業統治の仕組みに疑問を提起。 ・ヘンダーソン(Rebecca Henderson、ハーバード・ビジネススクール教授)は、気候変動や格差といった問題に対しては、「株主価値の最⼤化」という考え⽅を離れ、資本主義の再構築を⾏うことが必要と主張。 ・投資家サイドの代表的論客のラリー・フィンク(Larry Fink、世界最⼤の資産運⽤会社ブラックロックのCEO)。彼は2018年1⽉、投資対象企業すべてのCEOに宛てた書簡において、⻑期的な利益を達成するために広い範囲のステークホルダーの利益を追求すべき旨を明記』、「「新しい資本主義実現会議」の第1回」、はまともな内容だったようだ。
・『「新しい資本主義」は着地前に流れが変わった  ところが、これらのスタート時にみられたコンセプトと比べると、今回、出来上がった実行計画は、前政権までの「成長戦略」にかなり近い着地となった印象である。 そうした結果を受けて、実現会議のメンバーでもあり、「新しい資本主義」によって「株主至上主義の是正」を訴えてきた原丈人氏は、朝日新聞のインタビュー(5月30日朝刊掲載)において、実行計画に対して「資産所得倍増の前に分配政策を」と「不満」を訴えた。 2月にBloombergが行ったインタビューでは、原氏は「(岸田首相と)よく会っている。いろいろな助言はしている」とし、「新しい資本主義実現会議」と原氏の財団を「車の両輪」に例えていたことを考慮すると、実行計画策定の段階で、流れが大きく変わったのだろう。岸田政権の「新しい資本主義」の着地点が明確でないことは、原氏のような識者のクレームからも明らかだ。 突如として政策の中心となった「貯蓄から投資へ」というスローガンについては、過去にも改善すべき問題(日本人の高い現預金保有比率)という認識は広がっていたものの、かねて政策対応については、批判的な意見も少なくなかった。 元官庁エコノミストの小峰隆夫・大正大学教授は2020年11月に、ブログ「経済学の基礎で考える日本経済」というシリーズで、「『貯蓄から投資へ』の論理を問う」という論評をアップし、下記のように問題点を指摘している。理想的な状況を目指すうえでは、このような指摘は正しいように思われる。 第1に、(「貯蓄から投資へ」は)やや上から目線的な姿勢が気になる。(中略)家計も馬鹿ではないから、自らの判断で、住宅投資を行い、貯蓄を現預金、証券投資、保険などに振り向けているはずだ。直接金融にしたいというのであれば、家計にスローガンで呼びかけるのではなく、家計が自らの自由な判断で直接金融を選択するような金融環境を整備するのが王道であろう。 第2に、注文を付ける相手が違うのではないかという気もする。家計がリスク性の低いポートフォリオを選択するのは、老後や不時に備える意識が強いからだ。(中略)また、投資を呼びかけるのであれば、家計ではなく企業であろう。日本では90年代末頃から、一貫して企業部門が貯蓄超過という異常な事態が続いている。是正するとすればこちらではないか』、「今回、出来上がった実行計画は、前政権までの「成長戦略」にかなり近い着地となった印象」、「「株主至上主義の是正」を訴えてきた原丈人氏は、朝日新聞のインタビュー・・・において、実行計画に対して「資産所得倍増の前に分配政策を」と「不満」を訴えた」、「突如として政策の中心となった「貯蓄から投資へ」というスローガン」、については、「元官庁エコノミストの小峰隆夫氏」の批判は正鵠を突いている。
・『政府がばらまくたびに貯蓄が増えていく  特に、第2の論点について、企業の積極的な分配を促すことが先であるという点は、原丈人氏の指摘と近いように思われる。企業の貯蓄超過という問題もある。 また、日本の貯蓄・投資バランスをみると、赤字を拡大させている主体は政府部門であり、家計や企業の貯蓄は増え続けている。政府が家計への支援を行うたびに家計の貯蓄(消費以外を指す、株式なども含む)が増え続け、特にコロナ禍の下では消費機会がなかったので貯蓄が強制的に増えてしまっている状況である。 そもそも「資産所得倍増計画」においては「貯蓄」とは何なのか、「投資」とは何なのか、という定義も釈然としない状況だが、おそらく「預貯金」から「株式などリスク資産」という意味で「貯蓄から投資へ」を使っているのだろうとすると、急に「貯蓄」が増えてしまえば、「株式などリスク資産」の比率はなかなか増やせない。 実際に、家計の株式等の保有額は減っているわけではない。したがって、家計は株式等を減らしていたり、投資に対して後ろ向きになっているという感覚はないだろう。むしろ強制貯蓄は今後の物価高で取り崩されるバッファーと考えているかもしれない。「貯蓄から投資へ」と言われてもピンとこない面もあるだろう』、「家計は株式等を減らしていたり、投資に対して後ろ向きになっているという感覚はないだろう。むしろ強制貯蓄は今後の物価高で取り崩されるバッファーと考えているかもしれない。「貯蓄から投資へ」と言われてもピンとこない面もあるだろう」、その通りだ。
・『「資産所得倍増」と「賃上げ」の相性は悪い  今回の「貯蓄から投資へ」は「資産所得倍増プラン」と同時に進められることから、事態は一段と複雑である。例えば、「資産所得倍増」には株式投資における配当収益が含まれると予想されるため、企業の株主還元の姿勢が重要となる。 しかし、一方で企業は「分配」の観点で政府から「賃上げ要請」を受けている。企業は「賃上げ」と「株主還元」のどちらを優先すべきか悩んでしまう状況だ。政府は早急にこれらの優先順位をつけなければ、中途半端になってしまう。 この点については、原氏は「資産所得倍増の前に分配政策を」という主張で一貫している。今後、岸田政権がどちらを重視していくかが注目される。本年末までに総合的な「資産所得倍増プラン」の詳細を策定するという。 もっとも、上記策定に際し、いわゆる骨太方針(「経済財政運営と改革の基本方針2022」では、「家計の安定的な資産形成に向けて、金融リテラシーの向上に取り組むとともに、家計がより適切に金融商品の選択を行えるよう、将来受給可能な年金額等の見える化、デジタルツールも活用した情報提供の充実や金融商品取引業者等による適切な助言や勧誘・説明を促すための制度整備を図る」とされるにとどまっている。見える化、デジタル化は重要だが、それ自体で資産形成に大きな変化は期待できない。 これまでの政権運営を考慮すると、賃上げと株主還元にトレードオフの関係がある中で、企業にどちらを優先的に求めるのかについて、あまり明確なメッセージが出てこない可能性が高いと、筆者は予想している』、「賃上げと株主還元にトレードオフの関係がある中で、企業にどちらを優先的に求めるのかについて、あまり明確なメッセージが出てこない可能性が高いと、筆者は予想」、なるほど。
・『潜在成長率の底上げとデフレ脱却を同時に  「貯蓄から投資へ」に関して、小峰教授は「家計がリスク性の低いポートフォリオを選択するのは、老後や不時に備える意識が強いからだ」とも指摘している。日本の将来や成長への不安を取り除くこと、つまり、潜在成長率の底上げが重要だという点に疑いの余地はないだろう。 また、筆者は2016年に行った分析(下記参考文献)では、「インフレ期待」も株式投資比率にとっては重要なことがわかっている。 これは、個人投資家に行ったアンケート調査の結果を用いて、株式保有比率(金融資産に対する株式等の比率)を被説明変数とし、インフレ予想(1年、3年、5年)を説明変数とした回帰分析を行ったものだ。 株式保有比率に対して「1年先のインフレ予想」は影響を与えていないと考えられる一方、「3年先までのインフレ予想」や「5年先までのインフレ予想」の回帰係数は統計的に有意にプラスとなった。つまり、「デフレ脱却」によって個人のインフレ予想が高くなれば、自然と株式保有比率は上がってくる可能性が高い。株式は預金や債券よりも「インフレに強い資産」と言われるため、自然な結論である。 むろん、政策によって非合理的な「安全志向(現金・預金志向)」は取り除いていく必要はあり、そのためには成長期待が重要なのである。 最終的には「潜在成長率の底上げ」と「デフレ脱却」の両方が「貯蓄から投資へ」の正しい処方箋といえよう。なお、これらは同時に進んでいくことが望ましいことは言うまでもない。 「デフレ脱却」を優先した現在の金融政策は実質所得の目減りという問題を引き起こし、家計や企業のマインドが低下して潜在成長率に対してネガティブに働いているように見える。 むろん、潜在成長率だけが上がっていくと、供給過剰によってデフレ圧力を強めてしまうという問題もあるのだが、どちらかと言えば潜在成長率の上昇を優先すべきだと筆者は考えている。日本は潜在成長率が高い経済だと人々が考えれば、自ずと「貯蓄から投資へ」も進んでいくだろう』、「「潜在成長率の底上げ」と「デフレ脱却」の両方が「貯蓄から投資へ」の正しい処方箋といえよう」、「「デフレ脱却」を優先した現在の金融政策は実質所得の目減りという問題を引き起こし、家計や企業のマインドが低下して潜在成長率に対してネガティブに働いているように見える」、「どちらかと言えば潜在成長率の上昇を優先すべきだと筆者は考えている」、なるほど。 

第三に、7月13日付けダイモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「岸田政権「黄金の3年」で今すぐ着手すべき経済政策とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306327
・『参議院選挙で圧勝して、国政選挙がない「黄金の3年」を手にしたとされる岸田政権。しかし、大きな政策を実行に移すつもりだったら、今すぐ動き出さなくては間に合わない。政権にとって「3年」は決して長くないのだ』、「政権にとって「3年」は決して長くないのだ」、との指摘は新鮮だ。
・『参院選を大勝でクリアした岸田首相 「黄金の3年」をどう使う?  さる7月10日に行われた参議院選挙は、単独で改選過半数を超える63議席を獲得する自由民主党の大勝となった。野党側に勝てそうな要素が全く見えない選挙だったから、与党側の勝利に不思議の感はないが、岸田政権としては政権運営における大きな関門をくぐり抜けたと言っていいだろう。 今後、岸田文雄首相自身が衆議院を解散しないかぎり、向こう3年にわたって大きな国政選挙がない。政権が、選挙への影響を気にせずに意図する政策を実現しやすい環境だという意味で、この期間を「黄金の3年(間)」と呼ぶ向きもある。 本稿では、対象を経済政策と経済・資本市場に絞るが、この3年間に何が実現するだろうか。また、何をするべきなのだろうか。 確かにスケジュール的にも選挙結果という重い事実の上でも、岸田首相は大きな政策的フリーハンドを得た。この「政治的資本」をどう使うかは、ご本人にとってだけでなく、国民にとっても大きな問題だ』、「岸田首相は大きな政策的フリーハンドを得た。この「政治的資本」をどう使うかは、ご本人にとってだけでなく、国民にとっても大きな問題だ」、その通りである。
・『アベノミクスの見直し 中でも金融緩和政策はどうなる?  岸田氏の「黄金の3年」における経済政策にあって、大きなテーマが二つあると筆者は考えている。そのうちの一つは「アベノミクス」、特にその中でも金融緩和政策をどう扱うかだ。 この問題にあっては、安倍晋三元首相が殺害され不在となったことの影響が大きいと言わざるを得ない。事件の背景を含む詳細は解明されていないし、まだ日がたっていないので、事件の意味や安倍氏の政治・政策全体に対するコメントは控えて、「心よりご冥福をお祈り申し上げる」としか言えない。ただ、向こう1〜2年の経済政策にあって、彼の「不在」の影響は大きい。 元々岸田氏は、昨年の自民党総裁選挙の直前辺りまでの発言を見ると、(1)アベノミクスの金融緩和政策の修正と、(2)財政再建の二つを指向していたように思われる。 他方、安倍氏は、インフレ目標の達成およびそのための金融緩和の重要性を強調し、加えて、積極的な財政政策を主張していた。彼は、デフレ脱却のためには金融政策だけでは不十分な場合があり、こうした場合に積極的な財政政策の後押しが必要なことを理解していたと思われる。 この点の理解が不足していて、金融緩和だけで十分だと思っていたり、いわゆる「財政再建」と当面の金融政策の目標が矛盾することを理解していなかったりする議員・官僚・有識者は少なくなかった。そのため、党の有力者である安倍氏の存在は今後の政策にとって重要だった』、その通りだ。
・『金融政策の転換に動くのは党人事・内閣改造の後か  一方、岸田氏は総裁選で安部氏のグループからも協力を得るために、表面的には安倍元首相・菅前首相の経済政策を継承する方向転換を見せた。ところが、時に生じる株価に対してネガティブな発言や、今年既に行われた日本銀行の政策委員の人事などを見ると、アベノミクスから距離を取ろうとしているように見える。 この状況にあって、首相OBにして党内の有力者である安倍氏は、岸田氏の政策転換を阻止しようとする、いわば「重し」の役割を果たしていた。 岸田氏にとっては、参院選の勝利と同時に生じた安倍氏の不在は、経済政策に対するより大きな自由を得たことを意味するのではないか。 ただし、安倍氏の死去はあまりにも劇的なものだったので、当面すぐには「アベノミクスの修正」と受け取られるような政策を打ち出しにくいと予想される。 動き出すのは、今後に予想される党人事および内閣改造の後だろう。内閣改造では、財務大臣、経済産業大臣、あとはもう一つの問題との関連で厚生労働大臣に誰を充てるのかに注目したい』、「動き出すのは、今後に予想される党人事および内閣改造の後だろう」、妥当な判断だ。
・『当面は「物価高」への対処が重要 日銀・黒田総裁の方針を支持  当面の経済問題としては、資源価格上昇や円安から来る輸入物価上昇が波及したと見られる「物価高」への対処だろう。消費者物価指数で上昇率が2%を超え、電気代や食品など普通の国民の生活に近い物価はさらに上昇している状況は国民の不満につながりやすい。 今回の物価上昇は、元々海外から輸入される資源の価格上昇に起因する。例えば原油・LNG(液化天然ガス)などの価格上昇だ。これらには、(1)日本人の所得を海外に流出させる効果があることと(この効果自体はデフレ的だ)、(2)エネルギー価格の上昇が止まると1年程度で「対前年比」の物価上昇率に対する影響が消えること、の二側面がある。 そして現在の物価高は、需要が旺盛で起こっている物価高ではないし、物価上昇に見合うほどの賃金上昇を伴うものでもない。 さて、当面の景気は、非製造業はコロナ自粛の解消を背景にやや好調だが、製造業は中国のロックダウンの影響などもあり好調とはいえない。 円安は、企業の収益にはプラスで、これが国内の設備や人への投資につながる状況になれば、やがては賃金上昇にもつながるはずだ。ただ、しばらくは時間が掛かる(たぶん、1〜2年くらい)。 当面の経済状況にあっては、金融引き締めによる需要の抑制は適切ではない。また、利上げによる円高で物価上昇を緩和しようとする政策も、経済が好循環に向かう可能性に水を差す要因になり得る。 将来いずれかの時点では金融政策の引き締め方向への転換があるとしても、当面はアベノミクスの根幹である金融緩和政策を維持するべきだろう。筆者は、日銀の黒田東彦総裁の現在の方針を支持している』、私は「黒田東彦総裁の現在の方針」にはかねてから反対してきた。
・『日銀総裁人事に注目 筆者が推す「次期総裁候補」は?  岸田政権の経済政策にあって影響が最大となりそうなものは、来春に交代する予定の日銀の正副総裁3人の人事だ。任期は5年なので、向こう5年間にわたる金融政策の方向性を大きく左右する。この人事にあって岸田首相が従来の金融緩和路線の修正にかじを切る可能性は小さくないと筆者は考えている。 この人事においては、安倍元首相の存在感と影響力が大きいはずだったのだが、同氏の死去によって岸田首相は自分の意思を通しやすくなった。 世間の注目を集めている人事であり、うわさベースでは既に後任の総裁候補の名前が幾つか挙がっている。次は日銀プロパーの総裁の順番ではないかとの連想から、中曽宏前副総裁、雨宮佳彦現副総裁などだ。 デフレ脱却を確実なものとするためには、「インフレ目標が未達の段階で金融引き締めに政策転換しない(と目される)総裁、副総裁」の任命が適切だ。だが、そうならない可能性が否定できない。日本の経済および資本市場における「岸田リスク」としては、最大のものだろう。 なお、筆者が推す次期日銀総裁候補は、前出の2人と同じ副総裁経験者である若田部昌澄現副総裁だ。「若田部総裁」であれば、アベノミクスの根幹部分であるマイルドなインフレの定着を目指した金融政策の継承を強いメッセージとして発することができる。副総裁の経験を積んでいるし、学識も57歳という年齢も申し分ない。 他の副総裁経験者が総裁になる場合と比較すると、株価的には日経平均株価換算で数千円単位の株高材料だろう。もっとも、人事的慣例から見て「若田部総裁」の実現確率は残念ながら大きくはなさそうだ。 しかし、アベノミクスを継承する場合の人事として、岸田首相にはぜひ頭に入れておいてほしい選択肢だ。株式市場が恐れている最大の「岸田リスク」をポジティブなサブプライズに変えることができる』、「若田部現副総裁」はリフレ派で「山崎氏」とは肌が合うのかも知れないが、私はもともと異次元緩和に反対で、「出口」戦略に転換すべきとの立場なので、「中曽宏前副総裁、雨宮佳彦現副総裁」はいずれも異次元緩和を進める立場だったので、反対だ。
・『資産所得倍増に沿う政策は年末が焦点 「ゼロ回答はあり得ない」と期待  経済政策としては大きなものではないが、先般岸田首相が口にした「資産所得倍増」についても簡単に触れておこう。 この路線に沿った政策は、今年の年末にかけて出てくることが確実視される。NISA(少額投資非課税制度)、つみたてNISAなどの非課税運用枠の増額と、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入年齢延長は、年末の税制関係の検討プロセスで議題に上ることが確実視できる。「富裕層も含めた資産からの所得の倍増」よりも先に「資産形成層の資産所得倍増」を目指すことが、経済格差拡大に対する対策の点で望ましいだろう。また、政策の実現性の点でもちょうど良いのではないか。 首相が口にした方針なので「ゼロ回答はあり得ない」と期待したい。 併せて、金融教育の一層の充実や、金融的なアドバイスに関わる制度的な整備など、国民の投資と資産形成のための環境整備をセットで実現してほしい』、これに関しては、特に異論はない。
・『「黄金の3年」二つ目の重要課題 分配政策と年金  さて、岸田内閣の「黄金の3年」にとって二つ目の重要課題は、年金を含む社会保障と全般的な再分配政策だろう。もともと自民党総裁選の初期には分配政策重視を公言していた岸田首相のことなので、問題意識はあるはずだ。 かつて言い出して、市場に1回目の「岸田ショック」を与えた「金融所得課税の見直し(=強化)」のようなトンチンカンな政策を再び持ち出さないことが肝心だ。そんなことをすれば「資産所得倍増」に逆行してしまう。 また、スケジュールとしては、2023年の人口推計を基に24年には、公的年金の財政検証が行われる。 財政検証では、例によって、「モデル世帯」(既に世の中の平均からズレているが)の「所得代替率」(現役世代の所得に対する年金受給額の比率)の議論が取り沙汰される。将来も所得代替率50%を維持可能であるのか否か、その計算の前提数字は現実的か――。そういった幾らか複雑で、しかも国民感情を刺激しやすい議論に政治の世界も巻き込まれることが予想される。政治家の失言が出やすいし、世間も大騒ぎしやすいテーマなので、年金は時の政権にとって「鬼門」とも言えるテーマだ。 大まかには、23年に出る人口推計の出生率は、これまでに想定されていたよりも早くかつ大きく低下している公算が大きい。その前提で将来の財政検証の計算を行うと、将来の所得代替率は50%を維持できない結果が出る可能性がある。しかし、これに対しては無理な前提を置いて(例えば実質賃上昇率の非現実的な伸びを仮定するなど)「50%維持」を取り繕うべきではない。 マクロ経済スライド方式を使った現在の年金財政のあり方自体は、大まかにはこのままで良いだろう。公的年金は、財政が逼迫していきなり破綻するような仕組みにはなっていない。 もちろん、総合的な富の再分配効果について年金を含めて総合的に検討する必要はある。ただ「分配問題」にあっては、年金制度を操作することによる高齢者向けの再分配ではなく、若者を含む現役世代の経済弱者に対する再分配を重視したい。社会保障制度を支える世代への応援であると同時に、「人への投資」でもある』、「若者を含む現役世代の経済弱者に対する再分配を重視」、これにも異論はない。
・『政権にとって「3年」は消して長くない 大きな政策には今すぐ着手すべき  本連載では、特に低所得な若者中心の現役世代に対する「再分配」かつ「サポート」として最も簡単で効果的な政策を過去に何度か提案している。それは、目下2分の1負担の国民年金・基礎年金の保険料を全額一般会計負担にすることだ。給与所得者なら厚生年金保険料と共に差し引かれている社会保険料が、1カ月当たり1万数千円減ることになり、直ちに手取り所得が増える。しかも、一時の給付金収入ではなく、継続的な手取りの増加だ。 この財源は特定の税目と結び付ける必要はない。ただ、例えば所得税を中心に増税すると、「差し引きでは」高所得な人から低所得な現役世代に「再分配」がなされることになる。 実現のためには、年金を所管する厚労大臣と財源に関わる財務大臣に強力な実行力を持った人物を充てる必要があるので、次の組閣には大いに注目したい。 付け加えると「黄金の3年」と言っても、3年目の24年には次の自民党総裁選があり、翌年には衆議院の任期満了に伴う解散総選挙が迫ってくる。こうした再分配政策に限らず「大きな政策」は、今すぐに方針を決めて、23年の通常国会では法案を通すくらいスピード感を持たないと実現できないはずだ。 「有識者による検討会議」のような時間の無駄を官僚に作られてしまうと、重要な政策は実現しないことを付言しておく。政権にとって「3年」は決して長くない』、「大きな政策」は、今すぐに方針を決めて、23年の通常国会では法案を通すくらいスピード感を持たないと実現できないはずだ」、同感である。
タグ:PRESIDENT ONLINE 末廣 徹氏による「岸田首相は賃上げと株主還元のどちらが先なのか 「新しい資本主義」と「資産所得倍増」は相性が悪い」 「賃上げと株主還元にトレードオフの関係がある中で、企業にどちらを優先的に求めるのかについて、あまり明確なメッセージが出てこない可能性が高いと、筆者は予想」、なるほど。 東洋経済オンライン 「家計は株式等を減らしていたり、投資に対して後ろ向きになっているという感覚はないだろう。むしろ強制貯蓄は今後の物価高で取り崩されるバッファーと考えているかもしれない。「貯蓄から投資へ」と言われてもピンとこない面もあるだろう」、その通りだ。 「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」は私としてはかっては反対だったが、現在のように失業率が低く、「雇用調整助成金を大規模に給付」しているなかでは賛成に切り替える。 「若田部現副総裁」はリフレ派で「山崎氏」とは肌が合うのかも知れないが、私はもともと異次元緩和に反対で、「出口」戦略に転換すべきとの立場なので、「中曽宏前副総裁、雨宮佳彦現副総裁」はいずれも異次元緩和を進める立場だったので、反対だ。 「岸田首相は大きな政策的フリーハンドを得た。この「政治的資本」をどう使うかは、ご本人にとってだけでなく、国民にとっても大きな問題だ」、その通りである。 「「新自由主義は、成長の原動力の役割を果たしたと言える」と新自由主義を評価」、「スキルアップを通じた労働移動の円滑化」、これも「新自由主義」的だ。 「金融所得に対する課税強化は、今回の骨太の方針にはまったく盛り込まれなかった」、「7月の参議院選挙を控えて完全に引っ込めたということです」、残念だ。 「「いわゆる新自由主義的政策は取らない」と大見えを切っていた就任当初の岸田首相の「新しさ」は姿を消した。結局は、アベノミクス以上にアベノミクスな内容になった」、残念な結果だ。 その通りだ。 「個人に直接分配する政策というよりも、人材投資を促進する政策を「分配」と称している」、「いつの間にかアベノミクスと同じ土俵に上がっている」、失望した。 「今回、出来上がった実行計画は、前政権までの「成長戦略」にかなり近い着地となった印象」、「「株主至上主義の是正」を訴えてきた原丈人氏は、朝日新聞のインタビュー・・・において、実行計画に対して「資産所得倍増の前に分配政策を」と「不満」を訴えた」、「突如として政策の中心となった「貯蓄から投資へ」というスローガン」、については、「元官庁エコノミストの小峰隆夫氏」の批判は正鵠を突いている。 磯山 友幸氏による「アベノミクス以上にアベノミクスな内容…「骨太の方針2022」でわかった新しい資本主義の古臭さ これが"本気"なら大規模な政策転換だが…」 「「潜在成長率の底上げ」と「デフレ脱却」の両方が「貯蓄から投資へ」の正しい処方箋といえよう」、「「デフレ脱却」を優先した現在の金融政策は実質所得の目減りという問題を引き起こし、家計や企業のマインドが低下して潜在成長率に対してネガティブに働いているように見える」、「どちらかと言えば潜在成長率の上昇を優先すべきだと筆者は考えている」、なるほど。 これに関しては、特に異論はない。 「ロンドン演説への海外投資家の反応も冷ややかだった。「選挙前だから言っているだけで、岸田首相の本心ではないのではないか」といった見方が市場関係者の間には根強くある」、なるほど。 「新型コロナウイルスの蔓延が起き、雇用調整助成金を大規模に給付せざるを得なくなった。余剰人員の人件費を政府が肩代わりする制度だから、これによって企業に人を抱えさせることとなった。新型コロナにもかかわらず日本は失業率がまったくと言って良いほど上がらなかった」、「労働移動を促進するというのが「本気」ならば、これも大規模な政策転換である」、「アベノミクスよりもアベノミクスな資本主義ということになるのだろうか」、その通りだ。 「動き出すのは、今後に予想される党人事および内閣改造の後だろう」、妥当な判断だ。 私は「黒田東彦総裁の現在の方針」にはかねてから反対してきた。 ダイモンド・オンライン 「「新しい資本主義実現会議」の第1回」、はまともな内容だったようだ。 「政権にとって「3年」は決して長くないのだ」、との指摘は新鮮だ。 「大きな政策」は、今すぐに方針を決めて、23年の通常国会では法案を通すくらいスピード感を持たないと実現できないはずだ」、同感である。 山崎 元氏による「岸田政権「黄金の3年」で今すぐ着手すべき経済政策とは?」 「若者を含む現役世代の経済弱者に対する再分配を重視」、これにも異論はない。 (その6)(アベノミクス以上にアベノミクスな内容…「骨太の方針2022」でわかった新しい資本主義の古臭さ これが"本気"なら大規模な政策転換だが…、岸田首相は賃上げと株主還元のどちらが先なのか 「新しい資本主義」と「資産所得倍増」は相性が悪い、岸田政権「黄金の3年」で今すぐ着手すべき経済政策とは?) キシダノミクス
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