SSブログ

パンデミック(経済社会的視点)(その24)(重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある、尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題、コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、5月28日に取上げた。今日は、(その24)(重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある、尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題、コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい)である。

先ずは、7月23日付けPRESIDENT Onlineが掲載した複十字病院 認知症疾患医療センター長の飯塚 友道氏による「重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/59630
・『新型コロナウイルスが脳に感染した場合、致命的な影響を与えることが最新の研究でわかってきた。複十字病院認知症疾患医療センター長の飯塚友道さんは「新型コロナウイルスは嗅覚神経や血管を通じて脳に感染することがある。急死したケースでは、肺炎ではなく脳感染によって中枢神経がダメージを受けていた可能性がある」という――。(第2回) ※本稿は、飯塚友道『認知症パンデミック』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。なお、脚注はリンク先参照』、「脳に感染」、「急死」とは恐ろしい話だ。
・感染者に致命的な影響を与える“脳感染”  本稿では、新型コロナウイルスの感染が直接脳に与える影響について考えていきたいと思います。恐ろしいことに、このウイルスが思いのほか脳に感染して様々な症状を引き起こし、ときに致命的な影響を与えることがわかってきました。 新型コロナウイルス感染により神経症状が出現するという現象については、2019年に中国・武漢で最初に報告されました(*1)。2020年1月16日から同年2月19日までのデータでは、平均年齢53歳の214人の患者のうち78人の患者(36%)で神経症状がみられました。 重症の感染者ではより頻度が高く、46%です。ほとんどの神経症状は病気の初期に起こりました。神経症状は実に多様で、中枢神経系の症状(めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調)、末梢まっしょう神経系の症状(味覚障害、嗅覚障害、視力障害および神経痛)、骨格筋損傷がみられました。重症の感染者の神経症状は急性脳血管疾患、意識障害、骨格筋損傷などでした。 この武漢の中枢神経障害のデータは、その後の各国からの報告よりは比較的低い頻度でした。当初は重症化する肺炎に注目が集まっていたのが一因かもしれませんが、それ以降は脳障害に関する報告が増加します。感染と神経症状との関連については、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)という細胞膜に存在するタンパク質が新型コロナウイルスの受容体として同定されました。 ウイルスの感染には細胞表面に存在する受容体との結合が必要です。ACE2は神経系および骨格筋などに存在しますので、この受容体の神経症状における役割は大きいと考えられます。その後も神経症状には注目が集まり、米国ワシントン州の病院からの2020年2月20日から同年5月4日の入院患者404人の神経学的症状の報告があります(*2)』、「神経症状は実に多様で、中枢神経系の症状(めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調)、末梢まっしょう神経系の症状(味覚障害、嗅覚障害、視力障害および神経痛)、骨格筋損傷がみられました。重症の感染者の神経症状は急性脳血管疾患、意識障害、骨格筋損傷などでした。 この武漢の中枢神経障害のデータは、その後の各国からの報告よりは比較的低い頻度でした」、「重症の感染者の神経症状」はやはり恐ろしいものだ。
・『中枢神経に関連する症状が多数報告されている  この病院は米国で新型コロナウイルス患者の死亡例を報告した最初の病院で、神経学的所見は295人でみられ73%にのぼりました。そのうち中枢神経症状は204人(52%)でみられ、多い順に精神症状、頭痛、めまいでした。 米国ミシガン州からの報告もあり、こちらは2020年3月1日から同年5月31日の間に集中治療室に入院した比較的重度の148人の患者を対象としています(*3)。せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ、その持続期間は4~17日で中央値は10日でした。 さらに、入院中にせん妄を発症していた患者の中で退院後の調査をしたところ、24%は自宅に退院した後にもせん妄が出現しました。また、23%は認知症を疑わせる持続した認知機能障害がみられ、12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断されています。せん妄は70歳以上の高齢者で出現しやすいことは知られていますが、平均年齢58歳の中高年でもせん妄を起こし、それが退院後も遷延するという現象が注目されました。 そして、スペインからの報告ですが、2020年3月に入院した新型コロナウイルス感染と診断されたすべての患者を体系的に見直しました(*4)。平均年齢66歳の841人の患者のうち、57%が何らかの神経症状を発症しました。 たとえば、筋肉痛、頭痛、めまいなどの非特異的症状のほとんどが、感染初期段階で存在していました。嗅覚障害と味覚障害は早期に発症しやすく(最初の臨床症状として60%)、軽症例で頻度が高い傾向がありました。意識障害やせん妄は、主として高齢患者や重度例で発症しました』、「米国ミシガン州からの報告」では、「集中治療室に入院した比較的重度の148人の患者を対象」、「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ、その持続期間は4~17日で中央値は10日でした。 さらに、入院中にせん妄を発症していた患者の中で退院後の調査をしたところ、24%は自宅に退院した後にもせん妄が出現しました。また、23%は認知症を疑わせる持続した認知機能障害がみられ、12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断されています。せん妄は70歳以上の高齢者で出現しやすいことは知られていますが、平均年齢58歳の中高年でもせん妄を起こし、それが退院後も遷延するという現象が注目」、「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ」、かなり高い割合だ。「12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断」、本当に影響は深刻だ。
・『重症患者の約7割にせん妄が出ることが判明した  急性期にはコロナ感染症例の約20~70%が何らかの中枢神経障害を起こしており、脳血管障害、頭痛、意識障害、せん妄、めまいなどを引き起こしています。 特に集中治療室の重症患者の約70%にせん妄が出現することも判明しました。これに関しては感染予防のため、患者の日用品を院内に持ち込むことができなかったり、家族の面会が制限されたりしたことの影響もあったでしょう。 医療スタッフ側としては防護服の不足などの理由で、せん妄防止のためのプロトコルがあっても普段のようには実行できなかったという事情があり、それがせん妄が多く見られた要因とも考えられます。それから退院後も続く症状があり、そこではせん妄や認知機能障害があります。 米国のメイヨー・クリニックでは感染症で入院中の患者について、神経損傷の生物学的指標であるバイオマーカーを調べています(*5)。ここでは血液中の神経線維フィラメント軽鎖(NfL)というタンパク質を分析しました。このNfLは神経軸索にしかないタンパク質ですので、これが血中に漏れ出ていることは神経軸索が損傷していることを意味します。 142人の入院患者から採取した血清ではNfLは正常値よりも上昇していました。さらに、血清NfLの検出量は疾患の程度と関係していて、レムデシビルで治療された患者100人においては血清NfLが減少する傾向も見られました。このように重症度、治療の有無と神経損傷には関係があり、感染すると神経系に損傷を与えることの間接的な証拠になります。逆にNfLが低ければ、レムデシビルの治療が有効であることが実証できます』、「142人の入院患者から採取した血清ではNfLは正常値よりも上昇していました。さらに、血清NfLの検出量は疾患の程度と関係していて、レムデシビルで治療された患者100人においては血清NfLが減少する傾向も見られました。このように重症度、治療の有無と神経損傷には関係があり、感染すると神経系に損傷を与えることの間接的な証拠になります」、なるほど。
・『ウイルスはどのようにして脳に感染するのか 新型コロナウイルスの脳への感染ルートですが、まず鼻粘膜上皮にはこのウイルスの受容体であるACE2が存在し、そこにウイルスが到達するとACE2と結合して嗅覚神経細胞内に侵入し、嗅覚障害を起こすと想定されています。 実際、症状が出現した人の85%で嗅覚障害がみられています(*6)。その約半数では防御機構が感染を抑えて早期に嗅覚が回復しますが、残りの患者ではウイルスが嗅覚神経から脳内に侵入し、最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします。その場合の多くは呼吸困難の自覚がありません。 また、このウイルスは血管内皮細胞に存在するACE2受容体にも結合し、血管内皮で炎症を引き起こします。感染治療中に発症する脳卒中は、この血管内皮炎によって生じる血栓が原因であると考えられます。ACE2受容体の同定からさらに、ニューロピリン-1(NRP1)というタンパク質も新型コロナウイルスの受容体であることがわかりました(*7)。 NRP1は呼吸器系、鼻粘膜上皮、神経系に豊富に存在します。ウイルスの細胞内侵入を媒介するACE2の役割に加えて、NRP1はウイルスの感染性を高める作用をしていて、同じウイルスの受容体でも役割は異なるようです。 感染した脳のどこに新型コロナウイルスが多く存在するかを調べるために、脳でのこのウイルスのRNA量を測定した報告もあります(*8)』、「ウイルスの受容体であるACE2が存在し、そこにウイルスが到達するとACE2と結合して嗅覚神経細胞内に侵入し、嗅覚障害を起こすと想定されています。 実際、症状が出現した人の85%で嗅覚障害がみられています(*6)。その約半数では防御機構が感染を抑えて早期に嗅覚が回復しますが、残りの患者ではウイルスが嗅覚神経から脳内に侵入し、最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、「嗅覚障害」程度ならまだしも、「最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、恐ろしいことだ。
・『中枢神経への感染が強ければ、死亡リスクが高まる  新型コロナウイルス感染で亡くなった33人の脳でRT-PCR(DNAではなくRNAを検出するPCR検査)によりウイルスRNA量を評価したところ、11人から中枢神経、特に嗅覚神経と脳幹でウイルスRNAが多く検出されました。 ここで注目すべきは、中枢神経におけるウイルスRNAの量は亡くなるまでの罹病りびょう期間と逆相関していたことです。罹病時間の短さは高いRNA量と関連し、罹病期間の長さは低いRNA量と関連していました。つまり、中枢神経への感染が強いことは死亡リスクを高めることになります。新型コロナウイルス感染は肺炎で死亡するイメージがありましたが中枢神経、特に脳幹への感染は致命的と考えられます。 このように、新型コロナウイルスによる脳感染の実態が徐々にわかってきました。ここで新型コロナウイルス感染患者における呼吸症状と脳病変との関連についての総説を紹介します(*9)。 2021年2月までの新型コロナウイルス感染患者の脳に関する27の報告によると、神経病理学的変化は134人の患者のうち78人の脳幹で観察されました。実に亡くなった方の半数以上で脳幹病変が存在したことになります。 新型コロナウイルスについては、脳幹の血管障害または低酸素病変をもつ患者と比較して、脳幹にグリア細胞浸潤(グリオーシス)とリンパ球浸潤を示した患者のほうがはるかに高く検出されました。これは重要な所見です。 新型コロナウイルス感染症の脳幹病変は重症肺炎に伴う低酸素による非特異的かつ間接的な所見との見解もありますが、脳幹病変を示した患者でウイルス検出が多かったことは、感染の脳幹への直接的な影響を示唆しています』、「脳幹病変を示した患者でウイルス検出が多かったことは、感染の脳幹への直接的な影響を示唆しています」、なるほど。
・『肺炎ではなく脳感染が急死の原因だった可能性がある  これらの報告から現在のところ、神経系への新型コロナウイルスの侵入経路として次の二つが考えられます。まず神経経路ですが、一般的にウイルスは末梢神経に沿って逆行性に神経組織に入ることができます。 新型コロナウイルスの場合、嗅覚神経からのルートで脳に侵入する可能性が最も有力ですが、他の脳神経である、視神経や三叉神経などを介して脳に侵入することも想定されます。脳幹の心呼吸中枢にウイルス感染が起こると肺炎の重症度にかかわらず、呼吸不全を引き起こす可能性があるとも指摘されています。 次に血液循環経路ですが、ウイルスは血行性で中枢神経系に入る可能性もあり、その場合はまず、脳室にある脈絡叢における血液脳脊髄液関門の上皮細胞に感染します。脈絡叢は脳脊髄液を産生する部位ですが、血管が豊富な部位でもあります。そこから神経細胞やグリア細胞に感染していくのです。新型コロナウイルスに脳が直接感染してダメージを与え、それには炎症だけでなく血管障害も関わっているようです。 脳への侵襲、特に脳幹にある呼吸や心拍・血圧を制御する生命中枢へのダメージは発生する割合としては少ないのですが、致命的で恐ろしいものです。病院に向かっている途中に急変し、到着時には心肺停止に陥るという報道もありました。 いくら肺炎が急速に進行したとしても、肺炎が原因で数十分単位で死に至ることは通常は考えられないことです。数分から数十分で死に至る可能性のある疾患のほとんどは、脳出血や心筋梗塞など脳あるいは心臓の急性病変に由来するものです。 したがって新型コロナウイルス感染での急死には、脳幹の生命中枢への直接的ダメージが関与していたと考えると納得がいくのです』、「新型コロナウイルス感染での急死には、脳幹の生命中枢への直接的ダメージが関与していたと考えると納得がいくのです」、「新型コロナウイルス感染」の恐ろしさを再認識させられた。

次に、7月25日付け日刊ゲンダイ「尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308759
・『第7波の感染拡大が止まらない。24日の新型コロナウイルスの新規感染者数は17万人を超え、日曜日として過去最多を更新した。感染拡大は、8月中旬まで続く可能性が高い。不安を強めている国民も多いはずだ。ところが、新型コロナ政府分科会の尾身茂会長から、専門家とは思えない驚きの発言が飛び出した。 耳を疑った視聴者もいたのではないか──。24日のNHK日曜討論で尾身氏は「従来までは国、自治体が国民にお願いし、国民が従うというフェーズだった。今は、いろんなことを学んできたので一般市民が主体的に自分で判断していろいろと工夫するフェーズに入った」と強調した。 「一般市民が自分で判断」とは聞こえがいいが、要するに「自助で何とかしろ」ということだ。コロナ禍の2年半、コロナ対策は的外れなものが多く、後手対応も目立った。政府に従った国民は多大な犠牲を強いられた。その張本人である政府分科会の責任者が、今度は「一般市民が主体的に」とは、視聴者が呆気に取られても不思議はない』、従来から「尾身会長」の発言は、無責任で評判が良くなかったが、今回のは最悪だ。
・『第7波は“お手上げ”ということなのか  さらに、驚きの発言は続く。「このまま放っておくと、体力が悪い、体の脆弱な高齢者の死亡者数は第6波を超える可能性がある」と危機感を示した。第6波では高齢者を中心に1万2000人超の死者を出した。第7波では、それを超える犠牲者数になる可能性があると明言したのだ。 なのに、肝心の「感染対策」については、こう続けた。 「重症者数、感染者数、一般医療の制限をどこまで我々が許容するか、国民的なコンセンサスが必要だ」 感染に伴うさまざまな「犠牲」は、国民の「許容度」の問題だというのである。無責任な発言は、もはや第7波は“お手上げ”ということなのか。 「世論に委ねるかのような尾身氏の発言は、もはや科学ではありません。たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です。これまでの6度の波に対して政府分科会は有効な対策を打ち出せませんでした。過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学) 科学を忘れた尾身氏が居座れば、第7波はとんでもない事態になりかねない』、「たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です」、「過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」、その通りだ。

第三に、7月31日付け東洋経済オンラインが掲載した医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広氏による「コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/604781
・『新型コロナウイルスの第7波が猛威を振るっている。若年者を対象としたオミクロン株対策を論じたい。 まず、強調したいのは、オミクロン株の流行の中心が若年層であることだ。東京都によれば、7月27日、2万9012人の感染が確認されたが、このうち1万6764人(58%)は30歳代以下だった』、興味深そうだ。
・『隔離期間の長さが若者の機会損失を生む  ただ、若年者はコロナに罹っても重症化することは少ない。「感染しても大丈夫」とお考えの人も多いだろう。ところが、話はそう簡単ではない。コロナに罹ると若年者は機会損失を被る。機会損失とは、感染により活動を停止せざるをえなくなることだ。 コロナが特殊なのは、感染症法により、感染者は、入院、施設、あるいは自宅での療養が義務化されていることだ。その期間も法定されており、症状があれば発症から10日間、無症状なら陽性確認から1週間だ。この期間は、人前に出ることはできない。 すでに数多くの機会損失が出ている。例えば、東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという。 6月13日、東京大学教養学部学生自治会は、大学に対して「新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合等の代替措置に関する要望書」を提出したが、同月30日の回答では、「実質的に学生からの申し出のみによる審査・決定となり、審査の信頼性が担保できない状況となった」と、学生の訴えを却下した。これは、学生の言い分が信頼できないと言っているのと同じであろう。 この対応は、いくつかのメディアで報じられた。7月28日、東洋経済オンラインは「東大『期末試験はコロナ救済なし』で陥るジレンマ 陽性・濃厚接触者は登校自粛なのに…学生が猛反発」という記事を掲載した。この中で、東京大学は、2年生の前期試験までの成績で、進級する学部/学科が決まる進学振り分け制度を採用しているため、「コロナ以外の病気や事故で欠席した学生との公平性を担保する必要がある」と、学生自治会への回答とは異なる内容の説明をしている。 さらに、同日、学生に対して、「教養学部前期課程における定期試験代替措置とその廃止について」という通知を出し、「進学選択実施における学生間の成績の公平性がきわめて強く求められます」と述べている。進学振り分けでの平等性を担保したいなら、欠席した学生には、補講・追試で単位を認定するも、その科目の点数を、進学時の平均点の算定から除外するなど、やりようはあるはずだ。 現に、東京大学は今年3月の入学試験の合格判定で、コロナ感染により2次試験を受験できなかった13人は共通テストの成績や高校が作成した調査票などで合否判定し、共通テストを受験できなかった4人は2次試験の成績、および調査票などを用いて評価し、救済している。今回の東京大学の説明は、額面通りには受け取れない』、「東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという」、ウィズコロナとは全く逆行する施策だ。「入学試験」では「救済措置」があるのとも整合的でない。
・『東大と京大の対応は対照的  京都大学の対応は違う。4月1日に発表した『感染予防マニュアル令和4年度前期授業等の実施における配慮について(第8版)』に、感染した学生に対して「部局長及び授業等の担当教員の判断により、履修上の配慮を行うこと」「孤立しないよう連絡を取る」「担当教員と学生との双方向の連絡体制を確保する」とある。東京大学と京都大学への学生への対応は対照的で興味深い。 実は、東京大学の対応には、感染症法の主旨を無視している疑いがある。それは、コロナ感染で入院や自宅療養が求められるのは、感染症法に基づく法的措置だからだ。その目的は、感染を拡大させないための防疫だ。だからこそ、軽症や無症状者にも適応される。社会の防疫のために、国民に犠牲を強いるのだから、機会損失を被った人を救済する義務があるだろう。 では、政府は、どのように対応しているのだろう。もちろん、政府も、問題は認識している。文部科学省は、「学生1人ひとりの立場に立って、きめ細かな対応」「不安の中にある学生に寄り添った対応」、「判断の理由や根拠も含めて学生1人ひとりに伝え、学生の理解を得るよう努めること」を求める通知を各大学に出しているが、説得力がない。 それは、文科省自体が「学生1人ひとりの立場に立って、きめ細かな対応」を放棄しているからだ。例えば、教員職員免許法に基づいて文科省が実施する教員資格認定試験の令和4年度の受験要項には、発熱や倦怠感などのコロナ感染を示唆する症状、および濃厚接触者、自宅待機者を挙げ、「以下に該当する場合は、受験を見合わせてください。これらを理由とした欠席者向けの再試験は実施しません」と記されている。 この状況は、感染症法を所管する厚生労働省も変わらない。同省は医師国家試験など22の国家資格試験を実施しているが、入院中、宿泊または自宅療養中、一部の濃厚接触者の受験は認めず、再試験も実施していない。 厚労省は、その理由として、NHKの取材に対し、「短期間で追試の問題を作成するのは困難だ。広く機会を与える観点から柔軟な形で行われている大学入試などとは異なり、(医療関係職種の国家試験では)従来から心身の不調を理由とした追試は実施していない」(NHK NEWSWEB/追試はないの? コロナ禍の国家試験/2022年2月7日配信)と説明している。コロナと「心身の不調」を一緒に、議論していることには呆れざるをえない。要は面倒臭いことはしたくないと言っているだけだ。こんな無責任なことはない』、「京都大学」は「履修上の配慮」を行うようだが、「東大」の官僚主義的対応は、「文科省」、「厚労省」と同じで、情けない。
・『感染症2類相当から5類への変更は行われず  無責任なのは、官邸も同様だ。岸田首相は「ウィズコロナでも経済引き上げる」(7月25日、経済財政諮問会議)など、ウィズコロナを強調する。ところが、松野官房長官は7月13日の記者会見で「(コロナを5類に変更することを)現実的でない」と発言している。 2類感染症とはポリオ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザなど、感染した場合、重症化・死亡するリスクが高い病原菌だ。だからこそ、隔離が必要だ。こんな感染症とは、「ウィズ」の状態を維持できるはずがない。コロナを感染症法2類相当から5類に変更すれば、多くの問題は解決するが、政府は臨時国会まで動くつもりはなさそうだ) わが身は自分で守るしかない。どうすればいいのか。私は、ワクチン接種をお奨めしたい。ところが、若年世代のワクチン接種率は低い。7月25日現在、70歳代以上の3回目接種率は90%を超えるのに対し、12~19歳は33%だ。 6月16日、福島県相馬市が発表した調査結果が興味深い。相馬市はワクチン接種が全国で最も迅速に進んでいる自治体の1つだ。6月15日現在、中高生1834人中1066人(58.1%)が3回目接種を終えている。全国平均より27.1%高い。 相馬市によれば、4月1日から6月15日のオミクロン株流行期間に中高生65人が感染しているが、3回目接種完了者、未完了者の感染率は0.67%、7.16%だった(表)。相馬市では、3回目接種により、中高生の感染を91%予防したことになる。 (外部配信先では表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)』、政府が「若年世代のワクチン接種率」を低いままにしているのは、おかしい。「相馬市」に倣って接種率向上に努めるべきだ。
・『コロナに対しては徐々に免疫が形成される  この結果は、医学的にも納得がいく。コロナはインフルエンザのように、1回のワクチンで完全な免疫はできない。何度も感染し、何度もワクチンを打つことで、徐々に免疫が形成される。人生経験が短い若年世代は、新型コロナ流行前から存在した、従来型コロナに感染した経験が少なく、免疫をもっていなかったのだろう。ただ、高齢者と比べて、ワクチンへの反応性は高いから、ワクチンを追加接種することで、免疫力が急速に向上する。 以上、これから夏本番を迎える若者に伝えたい情報だ。科学的に合理的な対応を採りながら、夏を満喫していただきたい』、同感である。
タグ:同感である。 政府が「若年世代のワクチン接種率」を低いままにしているのは、おかしい。「相馬市」に倣って接種率向上に努めるべきだ。 「京都大学」は「履修上の配慮」を行うようだが、「東大」の官僚主義的対応は、「文科省」、「厚労省」と同じで、情けない。 「東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという」、ウィズコロナとは全く逆行する施策だ。「入学試験」では「救済措置」があるのとも整合的でない。 「脳に感染」、「急死」とは恐ろしい話だ。 飯塚 友道氏による「重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある」 PRESIDENT ONLINE 上 昌広氏による「コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい」 東洋経済オンライン 「たとえ、一定の犠牲に対し、国民が許容していたとしても、それを“よし”とはせず、科学的に最善の感染対策を考えるのが専門家の仕事です」、「過去をはるかに上回る第7波がやって来て、職務放棄したようにしか見えません。尾身氏は会長職を退くべきだと思います」、その通りだ。 従来から「尾身会長」の発言は、無責任で評判が良くなかったが、今回のは最悪だ。 日刊ゲンダイ「尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題」 「新型コロナウイルス感染での急死には、脳幹の生命中枢への直接的ダメージが関与していたと考えると納得がいくのです」、「新型コロナウイルス感染」の恐ろしさを再認識させられた。 「脳幹病変を示した患者でウイルス検出が多かったことは、感染の脳幹への直接的な影響を示唆しています」、なるほど。 「ウイルスの受容体であるACE2が存在し、そこにウイルスが到達するとACE2と結合して嗅覚神経細胞内に侵入し、嗅覚障害を起こすと想定されています。 実際、症状が出現した人の85%で嗅覚障害がみられています(*6)。その約半数では防御機構が感染を抑えて早期に嗅覚が回復しますが、残りの患者ではウイルスが嗅覚神経から脳内に侵入し、最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、「嗅覚障害」程度ならまだしも、「最終的には脳幹に達し、重度の呼吸不全を引き起こします」、恐ろしいことだ。 「142人の入院患者から採取した血清ではNfLは正常値よりも上昇していました。さらに、血清NfLの検出量は疾患の程度と関係していて、レムデシビルで治療された患者100人においては血清NfLが減少する傾向も見られました。このように重症度、治療の有無と神経損傷には関係があり、感染すると神経系に損傷を与えることの間接的な証拠になります」、なるほど。 「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ」、かなり高い割合だ。「12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断」、本当に影響は深刻だ。 「米国ミシガン州からの報告」では、「集中治療室に入院した比較的重度の148人の患者を対象」、「せん妄は平均年齢58歳の73%の患者で認められ、その持続期間は4~17日で中央値は10日でした。 さらに、入院中にせん妄を発症していた患者の中で退院後の調査をしたところ、24%は自宅に退院した後にもせん妄が出現しました。また、23%は認知症を疑わせる持続した認知機能障害がみられ、12%は退院後2カ月以内にうつ状態と診断されています。せん妄は70歳以上の高齢者で出現しやすいことは知られていますが、平均年齢58歳の中 「神経症状は実に多様で、中枢神経系の症状(めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調)、末梢まっしょう神経系の症状(味覚障害、嗅覚障害、視力障害および神経痛)、骨格筋損傷がみられました。重症の感染者の神経症状は急性脳血管疾患、意識障害、骨格筋損傷などでした。 この武漢の中枢神経障害のデータは、その後の各国からの報告よりは比較的低い頻度でした」、「重症の感染者の神経症状」はやはり恐ろしいものだ。 (その24)(重症患者の7割にせん妄が出ている…新型コロナの「脳感染」が引き起こす肺炎より恐ろしい症状 肺炎が重症化していなくても呼吸不全を起こす場合がある、尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題、コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい) パンデミック(経済社会的視点)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。