SSブログ

高齢化社会(その19)(幹部は呆れ 社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった、脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる、和田 秀樹氏2題:本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"、実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる) [社会]

高齢化社会については、8月6日に取上げた。今日は、(その19)(幹部は呆れ 社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった、脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる、和田 秀樹氏2題:本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"、実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる)である。

先ずは、7月25日付け現代ビジネス「幹部は呆れ、社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/97715?imp=0
・『7月20日の決算発表では、過去最高益をマークしたと発表した日本電産。しかし、同社のカリスマ創業者・永守重信氏(77歳)はこのところ、社内の状況に強い怒りを抱いているという。 「『ゆでガエル』集団」「計画達成のためには部門長は社員の先頭になって休日返上で、率先垂範で当たること。休むなどもってのほか」……永守会長が幹部に送ったという「檄文メール」には、そんな目を疑うような文言が並んでいた。さらに、永守氏が自ら日産から引き抜いた社長・関潤氏との対立も激化している。前編記事「『休むなどもってのほか』衝撃メールにア然…日本電産・永守会長の『復活』で社内は大混乱」にひきつづき、日本電産の内情をジャーナリスト・井上久男氏がすっぱ抜く』、「永守氏」が後継含みで引き抜いたのに、失敗したのは初めてではなく、数回目だ。
・『永守会長への関社長の「反論」  永守氏が関氏を批判したのは、短期的な収益と株価を第一に考える永守氏と、「売上高10兆円」の目標達成だけでなく、全ての判断を永守氏に依存する組織風土の改革も同時並行で進めたい関氏との間に、経営方針を巡って食い違いが出始めたからだった。 ある幹部がこう語る。 「会長が『役員や幹部への賞与をカットしろ』と命じたのに対し、『業績が悪いわけではないし、これから売上高10兆円達成のために今まで以上に頑張ってもらうことを考えたら、社員に借りを作る局面ではない』と社長が反論したことも対立要因になったようだ」 要は、関氏はボトムアップで「脱永守商店」を進めなければ今後の成長はないと考えたのだが、これが永守氏には面白くなかった。氏のモットーの一つは「足下悲観、将来楽観」である。短期的に危機感を持って死に物狂いで仕事をすれば、将来は道が開けるという意味だ。 檄文を発したころから永守氏は関氏を遠ざけ、3月上旬までの4ヵ月近く、コロナが蔓延する欧州に追いやった。全体を見るCEOの仕事を事実上取り上げ、自身が経営の指揮にあたったのだ。 その間に、関氏の後継となる人材を再び外部に求めた。元三菱商事常務執行役員の吉田真也氏に白羽の矢を立てると、2月1日付で密かに顧問として次期社長含みで入社させたのである』、「檄文を発したころから永守氏は関氏を遠ざけ、3月上旬までの4ヵ月近く、コロナが蔓延する欧州に追いやった。全体を見るCEOの仕事を事実上取り上げ、自身が経営の指揮にあたったのだ。 その間に、関氏の後継となる人材を再び外部に求めた。元三菱商事常務執行役員の吉田真也氏に白羽の矢を立てると、2月1日付で密かに顧問として次期社長含みで入社させた」、創業経営者ならではの強引なやり方だ。
・『永守氏を襲った「3つの誤算」  永守氏は「大企業ブランド人材」が大好きだ。過去にはシャープ社長だった片山幹雄氏や、日産タイ法人社長だった吉本浩之氏を後継候補として採用したが、いずれも長続きせずに退任させた。 今年に入っても1月1日付でソニーモバイル社長だった岸田光哉氏、2月1日付ではソニーグループ執行役員で車載半導体に詳しい大村隆司氏を、それぞれ役員として採用している。 永守氏は体調不良を理由に関氏を退任させる方針を固め、関氏もその意向をのんだとされるが、永守氏には3つの誤算が生じた。 まずは1月に入り、米ブルームバーグが「永守会長が関社長に失望感」といった記事を配信したことを契機に、欧米の機関投資家数社が相次いで永守氏に対して「関氏を解任すれば株を売る」と通告してきたという。関氏を評価していた機関投資家は「関氏が辞めれば日本電産は市場から後継者難の会社とみなされ、将来展望が暗くなる」と考えたのだろう。 2つ目は、事業における永守氏の指導力の低下だ。これまで日本電産を支えてきた精密小型モータ事業(現小型モータ事業)は、'22年3月期の売上高が4%減の4249億円、営業利益は37%減の424億円だった。 確かに半導体不足やウクライナ危機などの要因もあったが、同事業は昨年秋から永守氏が実質指揮を執っていたにもかかわらず、業績が上向かないどころか沈んでいる。こうしたことも株価低迷に影響しているだろう』、「欧米の機関投資家数社が相次いで永守氏に対して「関氏を解任すれば株を売る」と通告してきた」、「事業における永守氏の指導力の低下だ」(「精密小型モータ事業」で、「昨年秋から永守氏が実質指揮を執っていたにもかかわらず、業績が上向かないどころか沈んでいる」)。これでは株価も下がる筈だ。
・『「永守神話はもう終わった」  市場はすでに、効率性よりも滅私奉公を求める永守氏流の経営は時代遅れだとみなしている。衰えを隠せない77歳の永守氏がCEOに復活したことを、「老害化」だと見ている投資家も多いのだ。 実際、ブルームバーグ報道後の1月27日に株価は1万円を割り始め、永守氏のCEO復帰を発表した翌日の4月22日の株価は前日比10円安の8960円だった。かつては永守氏が復帰すると株価は上がったものだが、今回は全く反応しなかった。 こうした状況から社内では「永守神話はもう終わった」という人もいるほどだ。しかし、永守氏はその責任を、精密小型モータ事業本部長だった宮部俊彦・副社長執行役員にすべて押し付け、副社長のポストをはく奪したうえで、執行役員からも外してメキシコの現地法人に左遷した。 宮部氏は'83年入社の生え抜きで、滅私奉公で尽くしてきた幹部。人望も厚かったが、非情な人事に社員たちは震え上がった。 そして3つ目の誤算は、関氏の解任に永守氏の側近が反対したことだ。創業メンバーで今も副会長として残っている小部博志氏や、受付嬢から這い上がり、人事部長などを務めた生え抜きの平田智子執行役員らは、反対しただけでなく関氏を慰留した。 これまで、永守氏が外部から採用した社長候補を追い出す時には誰も反対しなかったが、今回は様相が変わった』、「関氏の解任に永守氏の側近が反対したことだ。創業メンバーで今も副会長として残っている小部博志氏や、受付嬢から這い上がり、人事部長などを務めた生え抜きの平田智子執行役員らは、反対しただけでなく関氏を慰留」、やはり「永守神話はもう終わった」ようだ。
・『仲良しクラブは許さん  こうした流れを見た永守氏は、態度を軟化させ、COO降格受け入れを条件に関氏を慰留したという。ある幹部が語る。 「関さんが結局残ることにしたのは、会長に頼まれたからではなく、現場から辞めないでくれと切望されたから。これからもっと厳しい経営状況になるかもしれないのに、自分だけ逃げるわけにはいかないと考え直した、と聞いています」 苦学して防衛大に進んだ関氏は義理人情に厚く、現場からの信頼も厚い。それが永守氏は気に食わないのだ。元役員は「自分のこれまでの社内での人気が取られたように感じて、嫉妬しているのだろう」とも言う。 株主総会後の記者会見で後継者問題について聞かれた永守氏は、「会社は仲良しクラブになったら終わり。羊の集団でもリーダーが狼に変われば、羊はみな狼に変わる」と述べるとともに、「逃げない限りCEO候補として育てる」とも言い、関氏を復活させることに含みを持たせた。しかし、これは永守氏の本心ではないと見る向きが多い。ある幹部が語る。 「最近の会長は、すぐに人のせいにする。今後の業績悪化を想定して、『責任要員』として関氏を残しているのだろう。副社長降格もあり得るが、そうなると関氏はさすがに辞めるのではないか」 こうした見立てが日本電産の幹部層では広がっており、一部役員からは「関社長が辞めるのであれば、私も一緒に責任を取って辞める」といった声まで出ているそうだ。 旧態依然とした永守氏の思考と経営に、上層部から現場に至るまで、多くの社員が離反し始めた。永守氏が自らの足元を省みることができなければ、日本電産が「EV時代の雄」として飛躍することは難しいだろう』、「永守氏が自らの足元を省みることができなければ、日本電産が「EV時代の雄」として飛躍することは難しいだろう」、その通りだ。

次に、8月8日付け現代ビジネスが掲載したライフネット生命創業者・立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口 治明氏による「脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/98079?imp=0
・『脳卒中で倒れ、歩くことも、言葉を発することもできなくなってしまった出口治明氏。それでもなお、悲観的になることなく「立命館アジア太平洋大学(APU)」の学長に復職するためチャレンジを続けようと考えたのはなぜか? 強靭な精神力で、長きにわたるリハビリに取り組み病気を克服。発症からおよそ1年3ヵ月後、ついにAPU入学式の祝辞に登壇し現場復帰を飾る』、あの「出口」氏が「脳卒中で倒れ、歩くことも、言葉を発することもできなくなってしまった」、「長きにわたるリハビリに取り組み」、「ついにAPU入学式の祝辞に登壇し現場復帰を飾る」とは、興味深そうだ。
・『1年3ヶ月ぶりの復帰  2022年3月下旬、僕は電動車いすに乗って、別府のAPUキャンパスへ復帰しました。およそ1年3ヵ月ぶりです。 多くの教職員の出迎えを受け、僕が不在の間、学長代行を務めてもらった米山裕(ひろし)副学長から復帰祝いの花を手渡されると、目頭に熱いものがこみあげてきました。 そして4月1日、APUは「2022年春入学式」を行い、新たに918名の入学者を迎え入れました。 入学者の内訳は33ヵ国・地域出身からなる学部生が国内学生675名、国際学生219名。16ヵ国・地域出身の大学院生が国内学生1名、国際学生23名です。また、交換留学生・科目等履修生の受け入れ数は18ヵ国・地域から国内学生45名、国際学生35名の計80名となっています。 この入学式で、僕は次のように祝辞を述べました。 祝辞 皆さん、入学おめでとうございます。心から歓迎いたします。 僕は、去年、脳出血で倒れましたが、早く別府市で皆さんと会いたい想いで、この1年間リハビリをがんばってきました。 今日、別府で皆さんに会えることを心待ちにしてきました。 ぜひ、皆さんは、APUでたくさんの人と出会い、本を読み、広い世界を旅して、いろんなことにチャレンジしてください。 僕もチャレンジを続けます。いっしょにチャレンジしましょう。 世界に平和な一日が一刻も早く訪れますように。 2022年4月1日 立命館アジア太平洋大学学長 出口治明 祝辞の内容はAPUのスタッフと一緒に考えました。実は久しぶりの登壇であがってしまい、言い忘れてしまったところがあるのが残念でした。しかしリハビリの甲斐あって、1年と少し前は「あー」とか「はい」くらいしか声を出せなかった僕が、大勢の聴衆の前でこれくらいしゃべれるようになりました』、「1年と少し前は「あー」とか「はい」くらいしか声を出せなかった僕が、大勢の聴衆の前でこれくらいしゃべれるようになりました」、やはり「リハビリ」の効果は大きいようだ。
・『障害が「生みだされて」いる  突然の脳出血で右半身の麻痺と言語障害が出て、リハビリ生活を送った経験から僕が学んだこと、はじめて気が付いたことはたくさんあります。今後はこれらについて世の中に発信し、問題提起をしていこうと考えています。 身体に障害が出ると肉体的に以前と同じようには動けなくなりますが、障害者の制約となるのは個人の身体機能だけではありません。バリアフリーの不備をはじめ、社会や環境の在り方によってもさまざまな「障害」が生みだされてくるのです。 たとえば出勤のため、車いすで山手線を利用するとしましょう。山手線の車両は11両編成で、各車両には片側4つの乗降口がついています。 つまり、11両×4つで合計44の乗降口が駅に着くと開閉しますが、駅職員の介助なしに車いすの乗客が自力で乗り降りできるのは6号車と7号車の4番ドアのわずか2ヵ所しかありません。車両と駅プラットフォーム間のすき間や段差といった問題があり、その対策が必要だからですが、車いすの使用者は移動が制限されてしまいます。せめて自力で車いすが利用できる乗降口を2倍の4車両とし、いずれは10車両へと拡大してほしい。赤ちゃんも同じことです』、障害者からの視点での「世の中に発信し、問題提起」、には期待できそうだ。
・『一人の障害を持つ者として  一方、障害者の移動はコストが高くつくという別の問題もあります。たとえば僕はいま、自宅と大学の往復(タクシー代)に毎日1万円ほど費用がかかっています。これだけ移動にかかる負担が重ければ、行きたいところがあっても出かけるのをやめてしまう人もいるでしょう。 こうした物理的、あるいは環境的な障壁が、障害者の行動や、ひいては人生の足かせになっています。また、それらの障壁が存在する背景には、「障害をもっているのだから仕方がない」といった、人々の意識の面での障壁もあると思います。 しかし、やりたいことや行きたいところはいっぱいあるのに、なぜ障害があるからといって我慢しなければいけないのか。こんな理不尽な話はありませんが、そうした現状があることを自分の身をもって感じました。 昔に比べれば、バリアフリーの整備はかなり進んでいます。障害者やバリアフリーに関する法律が整備され、鉄道駅のエレベーター設置や段差解消をはじめ、公共交通施設や地域の一体的なバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入が推進されてきました。しかし、まだまだ取り組むべき課題はたくさんありますから、社会的な障壁の解消推進に、一人の障害を持つ者として挑戦していきたい』、「社会的な障壁の解消推進に、一人の障害を持つ者として挑戦していきたい」、楽しみだ。
・『「知識は力」そして「迷ったらやる」  僕が患った脳卒中はかつて日本人の死亡原因の1位でしたが、近年は死亡率が減少し、がん、心疾患、老衰に次ぐ4位になっています。 ただし、これは医学の進歩によって亡くなる患者が減少したことが大きく、厚生労働省の患者調査によると、脳血管疾患で継続的な治療を受けていると推測される総患者数は2017年の段階で111万5000人にものぼります。 脳血管や循環器系の疾患は、加齢とともに患者数が増加する傾向があります。病気を予防できるのが一番ですが、これから高齢者人口が増えていけば、どうしても脳卒中などで障害を持つ人は出てくるでしょう。となれば、その対策は急務です。 しかもさまざまな社会的障壁を取り除くことは、障害者や高齢者の社会参加を促すだけでなく、障害の有無や年齢などにかかわらず、あらゆる人々が生きやすい、暮らしやすい社会づくりにつながっていくでしょう。 APUだけでなく、僕自身のチャレンジもまだまだ続きます。 「知識は力なり」をモットーに、これからも「迷ったらやる」を実行していきます』、「脳血管疾患で継続的な治療を受けていると推測される総患者数は2017年の段階で111万5000人」、今後、増加すると見込まれるので、出口氏の情報発信は大いに役立ってくれるだろう。

第三に、8月27日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の 和田 秀樹氏による「本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60709
・『高齢者は運転免許を返納したほうがいいのか。精神科医の和田秀樹さんは「高齢者が特に事故を起こしやすいというデータはなく、免許返納を求める根拠はない。高齢者から免許を奪うことは老いを一気に加速させ、生きる楽しみも奪ってしまうことになる」という――。 ※本稿は、和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス)の一部を再編集したものです』、私も子どもたちから、「免許返納」をうるさく言われているので、ありがたい援軍を得た感じだ。
・『高齢者にとって免許更新のハードルは高くなっている  70歳を過ぎると、運転免許の更新のたびに高齢者講習を受けなければいけません。 74歳までの前期高齢者で普通自動車免許所持の方は実車ありの2時間の講習ですが、75歳を過ぎた後期高齢者になると、この講習にくわえ、運転技能検査と認知機能検査が必要になります。 認知機能検査ではっきりと認知機能の低下が認められれば医師の診断書の提出や臨時適性検査を義務付けられ、そこでもし認知症と判断されれば本人がいくら希望しても免許は取り消しあるいは停止となります。 ところが現状はどうかといえば、まず高齢者講習は居住地に近い自動車教習所か試験場で受けることになります。膨大な層をなす団塊世代が該当しますから、この予約がなかなか取れません。後期高齢者に義務付けられている認知機能検査も予約制ですが、これもなかなか取れません。 コロナのせいもあって予約人数を制限している教習所もかなり多いといいます。高齢者にとって免許更新のハードルはだんだん高くなっているのです』、私が昨年、免許を更新した時は「高齢者講習」は問題なく取れたが、「認知機能検査」も「なかなか取れません」というのは困ったことだ。なお、妻は「自主返納」した。
・『「返納したほうが…」と弱気になってはいけない  「何だか面倒くさくなってきたな」ついそんな気持ちになってしまう人もいるでしょう。 「あちこちの教習所に電話してもなかなか都合の合う日の予約が取れない。最近はたまにしか運転しないんだから、免許なんかなければないでやっていけるかな」 ふとそう考えてしまいます。 しかも講習通知書の裏面には免許返納の手続きの説明が印刷されてあります。 「そうか、身分証明書代わりの『運転経歴証明書』というのがあるのか」 あれこれ迷ってしまい、家族に「返納したほうが安心だよ」と言われると、つい弱気になってしまうかもしれません。) でも、都会暮らしでふだん運転することがないとしても、ここで弱気になってはいけません。ふと車で長い旅行に出たくなったり、旅行先でレンタカーを借りたりすることもあるからです。自由な時間を楽しみ尽くすというのが、これからの人生のテーマです。そのためにも、移動手段の選択肢を減らしてはいけません。 まして地方に住んでいて、週に1度の買い物や通院に車を使っているような人は、免許返納をしてはいけません。不便になるだけでなく、生活の自由度が大きく低下して、老いを一気に加速させる可能性があるからです』、私も「都会暮らしでふだん運転することがない」が、年数回は温泉旅行に行くので、クルマは必須だ。
・『ブレーキとアクセルの踏み間違いの原因  高齢者の運転は危険だというイメージがあります。暴走して事故を起こすたびにマスコミに大きく報道されます。高速道路での逆走、交差点や駐車場でのブレーキとアクセルの踏み間違いなど、たしかに不自然で認知症が原因だと思われてしまいます。 でも私は、こういった普段はしないような不自然な事故の原因のほとんどが薬による意識障害ではないかと考えています。というのは、こういう事故を起こした人のほとんどは普段は暴走や逆走をしていないからです。 いっぽう、高齢になると複数の薬を常用している人が多く、代謝も落ちていますから副作用が出やすくなっているのです。低血圧や低血糖、低ナトリウム血症などになると意識障害も起こしやすくなります。 事故を起こしたドライバーがそのときの状況を「よく覚えていない」と言うことがありますが、これも認知症より意識障害を疑っていい証言でしょう』、私は「低血圧や低血糖、低ナトリウム血症など」には無縁なので問題ないが、「意識障害を起こしやすく」なるというのは、恐ろしい話だ。
・『「高齢者は事故を起こしやすい」は本当か  そもそも、高齢になれば事故を起こす確率が高くなるというデータなどありません。 警察庁交通局が発表する交通事故状況(平成30年版)によれば、原付以上の免許を持っている人口10万人当たりの年齢層別事故件数でいちばん多いのは16歳から19歳の年齢層でおよそ1500件、次いで20歳から24歳が876件です。 25歳から29歳でも624件です。高齢者はといえば、70代で500件前後、80代前半でも604件です。その他の年齢層の30代から60代が概ね450件前後ですから高齢者が特別、事故率が高いとは言えません。) さすがに85歳以上となると645件と増加しますが、この数字だって24歳以下の若年層よりは低いのです。本気で事故を減らそうと考えるなら、高齢者より若年層に講習でも受けさせたほうが効果的でしょう。 ブレーキとアクセルの踏み間違いは慌てたりうっかりしたときには若い人でもあります。事実、ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がないのです』、「ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がない」、嬉しい事実だ。
・『周囲には「たかが運転」、高齢者には「されど運転」  そしていちばん見逃してならないのは、免許を返納することで高齢者が要介護になるリスクが高まるということです。筑波大などの研究チームは、運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果をまとめています。 言うまでもなく、運転ができなくなることで家に閉じこもりがちの生活になり、運動機能も脳機能も衰えてしまったからです。自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまうことにしかならないのです。 たかが運転ぐらいでと思うかもしれませんが、それくらい高齢者は危ういバランスを保ちながら生活しています。 運転をやめることで外出の機会が減り、人と会ったり話したりすることも減ると、活動量もどんどん減ってしまいます。とくに外出の手段が限られる地方に暮らす高齢者ほど、車の運転をやめてはいけません。たったそれだけのことでも、維持できるさまざまな機能や楽しみや意欲があります。免許返納は、それをすべて自分から手放すことになりかねないのです』、「運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果」、「自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまうことにしかならないのです」、当面、「運転」を続けるつもりだ。

第四に、この続きを、8月30日付けPRESIDENT Onlineが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の和田 秀樹氏による「実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60904
・『「年をとると忘れやすくなる」というのは本当なのか。老年医学の専門家である和田秀樹さんは「若者と年配者の記憶力に大差はない。しかし『高齢者は忘れやすい』という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失いやすい」という――。(第2回) ※本稿は、和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『記憶力が衰えるのは「覚えようとする意欲」が低下するから  「80代になると、認知症の有病率が60代の12倍になる」ということが知られていますが、脳の健康寿命を延ばすには、60代から70代にかけて、とにかく「脳」を使い続けることが必要です。 高齢者の場合、筋肉を使わないでいると、たちまち「廃用現象」が起きて衰えてしまうのですが、それは脳に関しても同じこと。頭を使わないで暮らしていると、脳はいよいよ衰えてしまうのです。 たとえば、老化の象徴のようにいわれる「記憶力」に関していうと、たしかに「年をとると、記憶力が落ちる」というのは、一般的に“常識”といえるでしょう。しかし、ここではっきりいっておきますが、脳機能上は、75歳くらいまでは、記憶力はさほど衰えません。急激に衰えるのは、「覚えようとする意欲」です』、「脳機能上は、75歳くらいまでは、記憶力はさほど衰えません。急激に衰えるのは、「覚えようとする意欲」、後期高齢者になった私は衰え出すようだ。
・『若者と年配者の記憶力にはあまり差がない  米タフツ大学のアヤナ・トーマス博士らのグループは、次のような実験を行いました。18〜22歳の若者、60〜74歳の年配者を各64人ずつ集め、多数の単語を覚えてもらったあとに、別の単語リストを見せて、それらの単語がもとのリストにあったかどうかを尋ねたのです。 その際、まえもって「これは、ただの心理学実験です」と説明していたときには、若者と年配者の正解率は、ほとんど変わりませんでした。ところが、テストまえに「この記憶試験では、高齢者のほうが成績が悪い」と告げておくと、年配者グループの正解率のみが大幅に低下したのです。 要するに、この実験では、フラットな状態では、若者と年配者の記憶力に大差はないが、「高齢者のほうが成績が悪い」という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失い、一気に“記憶力”を減退させたというわけです』、「この実験では、フラットな状態では、若者と年配者の記憶力に大差はないが、「高齢者のほうが成績が悪い」という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失い、一気に“記憶力”を減退させた」、「記憶する意欲」がカギのようだ。
・『努力をすれば誰でも記憶力は維持できる  若い頃のことを思い出してください。たとえば、英単語を覚えるとき、単語帳や単語カードをせっせとつくって、通学電車の中などで、それらを繰くって何度も復習し、頭に叩き込んだことを。そもそも、それくらいの努力をしなければ、人は、物事を覚えることはできないのです。あなたは老後、いや中年以降、そんな努力をしたことがあったでしょうか。 むろん、そのような努力をしている人は、ごくごく少数派です。努力をしなければ、「最近、物覚えが悪くなった」「覚えても、すぐに忘れてしまう」のも、当たり前のことなのです。また、努力を怠ると、前述したように、人間の体や脳では、「廃用現象」が起きはじめます。使わない筋肉が衰えていくのと同じように、使わない記憶力は衰えていくのです。 俳優の伊東四朗さんは、70歳を過ぎて「百人一首」の暗記にチャレンジしたそうです。さすがの名優も、70歳を超えると、思うようにセリフを覚えられなくなってきた。そこで、記憶力を鍛え直すため、「百人一首」の暗記を始めたと聞きます。 脳科学の立場からいえば、これは「廃用現象」を防ぐ賢明な方法です。私にも経験がありますが、「百人一首」ほど、覚えにくいものはありません。“古語度”が高く、意味が取りにくい。記憶の入力、定着ともに難しい素材です。だからこそ、伊東さんは、その暗記にチャレンジしたのでしょう。記憶力を維持し、脳を鍛え直すには、格好の素材と判断したのだと思います』、「脳」でも「廃用現象」が起きるのであれば、やはり「鍛え直す」必要がありそうだ。
・『21世紀に入ってから立証された脳科学の新常識  「脳は、いくつになっても鍛えることができる」――これは、脳科学的には、21世紀になってから立証された新たな常識です。 20世紀までは、専門家の間でも、「脳の神経細胞は、成人になってからは減る一方で、増えることはない」と信じられていました。それで、専門家も「大人になると、記憶力は衰える」と思い込んでいたのです。ところが、ミレニアムの2000年、この“常識”は否定されました。 ロンドン大学の認知神経学の研究者、エレノア・マグワイアー博士が、「脳の神経細胞は、大人になっても増えることがある」と報告したからです。これは、それまでの脳科学の常識をくつがえす大発見でした。 マグワイアー博士は日頃、ロンドン市中を走るタクシー運転手の「記憶力」に関心をもっていました。「彼らは、なぜロンドン市街の複雑な裏道、路地を記憶できるのか?」と不思議に思っていたのです。そこで博士は、タクシー運転手と一般人の脳の比較研究を始めました。すると、タクシー運転手の脳の「海馬」が、一般人よりも大きく発達していることがわかったのです。 海馬は、大脳辺縁系にあって、記憶の入力を司る部位です。ベテラン運転手ほど、その発達の度合いは大きく、タクシー運転歴30年を超える大ベテランは、海馬の体積が3%も増えていることがわかったのです』、「ロンドン」の「タクシー運転歴30年を超える大ベテランは、海馬の体積が3%も増えていることがわかった」、確かにあんなに複雑な道路を覚える訓練を続けていたら、「海馬の体積が3%も増えている」のは理解できる。
・『ベテランタクシー運転手は記憶力が向上していた  ベテラン運転手は、頭の中に道路地図を詳細にインプットしたうえで、乗客から行き先を告げられると、瞬時にルートを思い浮かべ、時間帯による道路の混み具合や工事の有無なども勘案しながら、スムーズに走れるルートを導き出します。 そうした、記憶し、記憶を引き出すという作業を日々、繰り返すうちに、ベテラン運転手の海馬の神経細胞は増え、大きく発達することになったのです。つまり、「成人になってからでも、脳の神経細胞は鍛え方しだいで増える」ことがわかったのです。 その後の研究で、脳の神経細胞以上に、脳を鍛えると、神経細胞同士をつなぐシナプスの数が増えることがわかってきました。その複合効果で、年をとってからでも、若い頃よりも記憶の容量を大きくするのは、そう難しいことではないことがわかってきたのです。 というようにお話ししても、「実感からして、やっぱり記憶力は落ちているよ」という人もいるでしょう。そういう人は、試しに何かの“丸暗記”を始めてみるといいでしょう。伊東四朗さんのように百人一首でもいいし、子供のときのように国と首都の名前でもOKです。ちょっとトレーニングするだけで、記憶力がはっきりとよみがえってくることを実感できるはずです』、「脳の神経細胞以上に、脳を鍛えると、神経細胞同士をつなぐシナプスの数が増えることがわかってきました。その複合効果で、年をとってからでも、若い頃よりも記憶の容量を大きくするのは、そう難しいことではないことがわかってきた」、やはり「脳」を鍛え続ける方がいいようだ。
・『1万人以上の顔と名前を覚えている政治家の記憶術  私の知人に、70歳近くなっても、「1万人以上の人の顔と名前を記憶している」人がいます。その人(仮にT氏としておきます)の職業は、ホテルのドアマンではなく、「政治家」です。 むろん、T氏にとっては、有権者の顔と名前を覚えることが、当選への第一歩というわけですが、その秘訣ひけつを聞いたところ、「秘訣なんて、ありませんよ。それこそ、あらゆる方法を使って、覚えています」という答えが返ってきました。以下、その“あらゆる方法”の中から、参考になりそうな方法を紹介してみましょう。 ①名刺交換するとき、相手の名前を声に出して読み上げる これは、Tさんならずとも、多くの人が実践している方法でしょう。名刺をもらったとき、「○○さんですね。よろしくお願いします」と、相手の名前を声に出して読み上げると、目と口と耳という3つの器官から、相手の名前を入力することができるというわけです。 ②相手の顔の特徴的な部分に、相手の名前を“書き込む” 私が感心したTさん独特の手法は、「相手の顔の特徴的な部分に、名前を書き込む」という記憶法でした。出会ったとき、まず相手の顔のパーツから、最も印象的な特徴を見つける。おでこの広い人だったらおでこ、口の大きな人は口という具合です。そして、頭の中で、その特徴的なパーツの上に、その人の名前(漢字)を重ねてみるというのです。 広いおでこの上に「田中」さんとか、大きな鼻に「佐藤」さんなどという文字をイメージするのです。すると、その人と再会したとき、顔の特徴に注目するだけで、パーツ上に書いた文字の“残像”が浮かび上がってくるそうです』、①はたぶん多くの方もやっていると思うが、②の「相手の顔の特徴的な部分に、名前を書き込む」という記憶法はユニークだ。現役時代に知っていれば・・・と残念だ。
・『クラブのママが「俳優の○○さんに似てますね」という理由  と書きながら、思い出したのですが、以前、クラブのママから、こんな“種明かし”をされたことがあります。 クラブのホステスが、お客に向かって「俳優の○○さんに似ていらっしゃいますね」というのは、お客の気持ちをくすぐるためだけでなく、お客の顔と名前を覚えるためでもあるというのです。なるほど、初対面の人の顔を覚えるため、その人の顔を単純化し、分類するのは有効な方法といえます。漠然とした印象ではなく、「○○に似ている」と分類し、それを言語化してみる。そうすれば、相手の顔と名前を記憶に定着できる確率が大いに高まるというわけです。 ここで、年配者に限らず、誰でも使える記憶のコツについて、おさらいしておきましょう。 心理学では、記憶を「記銘」(入力)、「保持」(貯蔵)、「想起」(出力)の3段階に分けて考えます。「記銘」だけでなく、「保持」「想起」を心がけることも、“脳力”維持にとっては、重要です。「保持」に必要なのは、平たくいえば「復習」すること。記憶を定着させるには、とにかく「復習」することが大切です。 目や耳から脳に入力された情報は、まず「海馬」に一時保存されます。その後、海馬に保存された情報のうち、「必要性が高い」と認められた事柄だけが、「側頭葉」へ転写されるのです。側頭葉は、いわばハードディスクのようなもので、そこに転写されて初めて、記憶として定着します。一方、海馬に一時保存されたものの、その後「必要なし」と判断された情報は、側頭葉へ転写されることなく、海馬からも消えてしまいます』、「記憶を定着させるには、とにかく「復習」することが大切です。 目や耳から脳に入力された情報は、まず「海馬」に一時保存されます。その後、海馬に保存された情報のうち、「必要性が高い」と認められた事柄だけが、「側頭葉」へ転写されるのです。側頭葉は、いわばハードディスクのようなもので、そこに転写されて初めて、記憶として定着します」、なるほど。
・『“あれあれ、それそれ現象”を防ぐにはどうしたらいいか  では、脳が何をもって、その情報が必要かどうかを判断しているかというと、その情報が送り込まれてくる回数が最大の要因とされます。つまり、何回も復習すると、脳は重要な情報と判断し、側頭葉に転写して、長期記憶として定着させるというわけです。そして、記憶の仕上げは、「想起する」(思い出す)ことです。 高齢になると、人と話をしているとき、固有名詞がのど元まで出てきているのに、なかなか言葉にできないことが増えますが、専門的には、そうした“あれあれ、それそれ現象”を「舌端ぜったん現象」と呼びます。そうした現象を防ぐには、たびたび思い出しておくことが必要なのですが、では、どうやって想起すればいいのでしょうか? これは、人に話すのがいちばんです。とりわけ、人に教えることは、ひじょうに効果的な記憶の定着法です。復習(保持に役立ちます)になるうえ、理解も深まり、かつ想起することにもなるからです』、「“あれあれ、それそれ現象”を「舌端ぜったん現象」と呼びます」、「舌端ぜったん現象」とは初めて知った。「どうやって想起すればいいのでしょうか? これは、人に話すのがいちばんです。とりわけ、人に教えることは、ひじょうに効果的な記憶の定着法です」、なるほど。
・『人に教えることによって記憶の定着が格段に進む  実際、中学校や高校には、「模擬授業」を行っている学校があります。生徒のひとりが教師役となり、他の生徒に対して授業を行うという授業方法です。この方法は、教わる側ではなく、教える側の生徒にとって、ひじょうに効果的な学習法です。 「教える」側に回ると、ただ授業を受けているときよりも、理解や記憶の定着が格段に進むからです。人に教えるためには、深く理解し、細かな点まで記憶しなければなりません。そのため、人に教えなければならないと思うと、目的意識を一段と高めて、重要ポイントを頭の中で整理することになります。 人に教えるという目的があると、集中力も高まります。加えて、人に話し、質問に答えることが自然と反復学習となって、より深く記憶に残ることになります。というわけで、いちいち教壇に立つ必要はありませんが、老後は、覚えたこと、見知ったこと、読んだことをどんどん人に話すといいでしょう。家族や友人知人、相手は 誰だってOKです。人に教えれば教えるほど、理解が進み、記憶の定着もよくなるはずです』、「老後は、覚えたこと、見知ったこと、読んだことをどんどん人に話すといいでしょう。家族や友人知人、相手は誰だってOKです。人に教えれば教えるほど、理解が進み、記憶の定着もよくなるはずです」、さっそく実践してみたい。
・『記憶力が落ちていく3つのケース  とはいえ、年齢を重ねると、認知症にかからなくても、記憶力が落ちていくことはあります。それは、おおむね、次の3通りのケースです。 ひとつめは、自分で「記憶力が落ちた」と決めつけ、記憶する意欲をなくした場合です。前述したように、若い頃は誰しもそれなりに記憶しようと努力するものです。ところが、中高年になると、大半の人はそうした努力をしなくなってしまう。それなのに、「昔は簡単に記憶できた」ような“美しい錯覚”に陥り、「記憶力が落ちた」と慨嘆する。 そうした「マイナスの自己暗示」は、百害あって一利なし、です。それは、年配者に限った現象ではなく、たとえば20代の若い人でも、「高校生時代と比べると、記憶力が落ちた」といったマイナス暗示をかけると、記憶力は落ちていきます。 記憶力が落ちるふたつめの原因は、強すぎるストレスです。PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉を、耳にしたことがあると思います。 強度のストレスにより、海馬などに異常が現れる障害で、もとはベトナム戦争や湾岸戦争の帰還兵に多く見られた症状でした。戦場での恐怖や死に対する極度のストレスにより、妄想や幻覚にも悩まされ、復員後も普通の生活が送れなくなる元兵士が続出したのです。そして、彼らの脳内をMRIという機械で調べたところ、海馬がかなり萎縮していることがわかりました。幼児期に虐待を受けた人も、同様の症状が起きることがわかっています』、「PTSD」などで「萎縮」した「海馬」は、「ストレス」がなくなって、カウンセラーなどのアドバイスに従って、時間をかければ元に戻るのだろう。
・『定年退職後は人生最大級のストレスにさらされる時期  なぜ、強すぎるストレスは、脳に悪影響を与えるのでしょうか? ストレスにさらされると、副腎皮質(腎臓の近くにある内分泌器官)から「コルチゾン」という物質が分泌されます。 コルチゾンは、脳内のさまざまな部位に悪影響を与えるのですが、その攻撃を真っ先に受けるのが、海馬なのです。海馬の神経細胞が損傷すると、人は新しい情報を受け入れられなくなってしまいます。これは、「昔の苦しい体験を思い出したくない」「悲しいことは忘れたい」という脳の自己防衛的な働きでもあります。 逆にいうと、脳を活性化させ、記憶力をよくするには、まずは落ちついた精神状態を保てる環境づくりが必要なのです。「定年退職して、今はストレスとは無縁」という人もいるかもしれませんが、じつは老後は、人生最大級のストレスにさらされる時期です。その原因は、配偶者の死、自らの病気、失業などです。 とりわけ、私は、最愛の妻を亡くした高齢男性が一気にボケてしまうケースを多数見てきました。人生最大級のストレスによって、海馬が傷つくことが原因というケースが多かったのだとみています』、「最愛の妻を亡くした高齢男性が一気にボケてしまうケースを多数見てきました」、私もどうするかを事前に考えることで備えておこう。
・『記憶力の低下には男性ホルモンの減少が影響している  記憶力が落ちる理由の最後のひとつは、生物学的な理由です。中高年以降、男性ホルモンが減少していきますが、それが記憶力の低下につながることは意外に知られていません。男性ホルモンの減少は、記憶に影響する神経伝達物質のアセチルコリンを減らすことにつながっているとみられているのです。 また、セロトニンなどが減ってうつ病になると、周囲に対する関心や注意が減るため、記憶力が急激に衰えます。とくに老年性のうつ病では、記憶力低下が著しく、認知症と誤診されることも珍しくありません。 ここからは、記憶力以外の“脳力”、思考力や判断力について、お話ししていきましょう。思考力や判断力を司っているのは大脳の前方にある前頭葉ですが、“使っているようで使っていない”のが、この前頭葉です。平穏無事な暮らしを送っている人ほど、その傾向は強まります。日常、さしたる問題がなければ、毎日、同じことをしていればいい。すると、前頭葉を使う機会は、ほとんどなくなってしまうのです』、恐ろしいことだ。私にとっては、このブログ作成が数少ない「前頭葉を使う機会」だ。
・『「なぜ?」と考える習慣をもつといい  前頭葉を働かさずにいると、前述した「廃用現象」が起きます。使わない機能、器官は衰えていくのですが、加齢するほどに、その傾向は強まります。前頭葉も急速に衰え、スカスカになっていくのです。一方、人間は、たとえば、トラブルに直面すると、「なんとか切り抜けなければ」と前頭葉を駆使することになります。 とはいえ、むろん、自分からトラブルの種をまく必要はありません。前頭葉を錆びつかせないためには、毎日「なぜ?」と考える習慣をもつといいでしょう。それだけでも、前頭葉を働かせることになります。たとえば、新聞を読み、テレビを見て、「なぜ、こんな事件が起こるのだろう?」と考えてみる。世の中には、「なぜ?」と思える事柄が、いくらでも転がっているはずです。 たとえば、ロシアのウクライナ侵攻に関して、「なぜ、ロシアは侵攻したのか?」「なぜ、ウクライナは善戦できたのか?」などと考えてみる。そうして、自分で疑問を設定し、観察力や推理力を働かせることが、前頭葉の錆びつきを防ぐのです。 また、前頭葉は「想定外の出来事」が大好きですので、「結果がわからない」「失敗するかもしれない」というチャレンジも、前頭葉を刺激します。たとえば、株の売買やギャンブルをしているとき、前頭葉はフルに働いています。株やギャンブルでは、想定外の出来事が次々と起きます。むろん、大きな失敗は困りますが、「小失敗は許容範囲」くらいのつもりで、取り組んでみるのもいいと思います。 人生、安全策ばかりでは、前頭葉がどんどん衰えていきます。「山より大きな猪は出ない」くらいのつもりで、年をとっても、起業を志すなど、不確実性の海に乗り出すことも、“脳力”を保つ秘訣のひとつです』、「株の売買やギャンブルをしているとき、前頭葉はフルに働いています」、このブログに加え、「株の売買」ももう少し真剣にやってみることにしよう。
タグ:「株の売買やギャンブルをしているとき、前頭葉はフルに働いています」、このブログに加え、「株の売買」ももう少し真剣にやってみることにしよう。 恐ろしいことだ。私にとっては、このブログ作成が数少ない「前頭葉を使う機会」だ。 「最愛の妻を亡くした高齢男性が一気にボケてしまうケースを多数見てきました」、私もどうするかを事前に考えることで備えておこう。 「PTSD」などで「萎縮」した「海馬」は、「ストレス」がなくなって、カウンセラーなどのアドバイスに従って、時間をかければ元に戻るのだろう。 「老後は、覚えたこと、見知ったこと、読んだことをどんどん人に話すといいでしょう。家族や友人知人、相手は誰だってOKです。人に教えれば教えるほど、理解が進み、記憶の定着もよくなるはずです」、さっそく実践してみたい。 「“あれあれ、それそれ現象”を「舌端ぜったん現象」と呼びます」、「舌端ぜったん現象」とは初めて知った。「どうやって想起すればいいのでしょうか? これは、人に話すのがいちばんです。とりわけ、人に教えることは、ひじょうに効果的な記憶の定着法です」、なるほど。 「記憶を定着させるには、とにかく「復習」することが大切です。 目や耳から脳に入力された情報は、まず「海馬」に一時保存されます。その後、海馬に保存された情報のうち、「必要性が高い」と認められた事柄だけが、「側頭葉」へ転写されるのです。側頭葉は、いわばハードディスクのようなもので、そこに転写されて初めて、記憶として定着します」、なるほど。 ①はたぶん多くの方もやっていると思うが、②の「相手の顔の特徴的な部分に、名前を書き込む」という記憶法はユニークだ。現役時代に知っていれば・・・と残念だ。 「脳の神経細胞以上に、脳を鍛えると、神経細胞同士をつなぐシナプスの数が増えることがわかってきました。その複合効果で、年をとってからでも、若い頃よりも記憶の容量を大きくするのは、そう難しいことではないことがわかってきた」、やはり「脳」を鍛え続ける方がいいようだ。 「ロンドン」の「タクシー運転歴30年を超える大ベテランは、海馬の体積が3%も増えていることがわかった」、確かにあんなに複雑な道路を覚える訓練を続けていたら、「海馬の体積が3%も増えている」のは理解できる。 「脳」でも「廃用現象」が起きるのであれば、やはり「鍛え直す」必要がありそうだ。 「この実験では、フラットな状態では、若者と年配者の記憶力に大差はないが、「高齢者のほうが成績が悪い」という先入観を植えつけられると、年配者は記憶する意欲を失い、一気に“記憶力”を減退させた」、「記憶する意欲」がカギのようだ。 「脳機能上は、75歳くらいまでは、記憶力はさほど衰えません。急激に衰えるのは、「覚えようとする意欲」、後期高齢者になった私は衰え出すようだ。 和田秀樹『70歳の正解』(幻冬舎新書) 和田 秀樹氏による「実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる」 「運転をやめた高齢者は運転を続けた高齢者に比べて6年後には要介護と認定される人が約2.2倍になるという調査結果」、「自発的な免許返納は良識的な判断のように思われがちですが、実際には老いを加速させ、生きる楽しみを高齢者から奪ってしまうことにしかならないのです」、当面、「運転」を続けるつもりだ。 「ペダルの踏み間違いが原因の事故はどの年代でも起きていて、しかもすべての事故に占める割合は1%程度です。つまり高齢者に免許返納を求めるのは根拠がない」、嬉しい事実だ。 私は「低血圧や低血糖、低ナトリウム血症など」には無縁なので問題ないが、「意識障害を起こしやすく」なるというのは、恐ろしい話だ。 私も「都会暮らしでふだん運転することがない」が、年数回は温泉旅行に行くので、クルマは必須だ。 私が昨年、免許を更新した時は「高齢者講習」は問題なく取れたが、「認知機能検査」も「なかなか取れません」というのは困ったことだ。なお、妻は「自主返納」した。 私も子どもたちから、「免許返納」をうるさく言われているので、ありがたい援軍を得た感じだ。 和田秀樹『老人入門 いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックス) 和田 秀樹氏による「本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"」 PRESIDENT ONLINE 「脳血管疾患で継続的な治療を受けていると推測される総患者数は2017年の段階で111万5000人」、今後、増加すると見込まれるので、出口氏の情報発信は大いに役立ってくれるだろう。 「社会的な障壁の解消推進に、一人の障害を持つ者として挑戦していきたい」、楽しみだ。 障害者からの視点での「世の中に発信し、問題提起」、には期待できそうだ。 「1年と少し前は「あー」とか「はい」くらいしか声を出せなかった僕が、大勢の聴衆の前でこれくらいしゃべれるようになりました」、やはり「リハビリ」の効果は大きいようだ。 あの「出口」氏が「脳卒中で倒れ、歩くことも、言葉を発することもできなくなってしまった」、「長きにわたるリハビリに取り組み」、「ついにAPU入学式の祝辞に登壇し現場復帰を飾る」とは、興味深そうだ。 出口 治明氏による「脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる」 現代ビジネス 「永守氏が自らの足元を省みることができなければ、日本電産が「EV時代の雄」として飛躍することは難しいだろう」、その通りだ。 「関氏の解任に永守氏の側近が反対したことだ。創業メンバーで今も副会長として残っている小部博志氏や、受付嬢から這い上がり、人事部長などを務めた生え抜きの平田智子執行役員らは、反対しただけでなく関氏を慰留」、やはり「永守神話はもう終わった」ようだ。 「欧米の機関投資家数社が相次いで永守氏に対して「関氏を解任すれば株を売る」と通告してきた」、「事業における永守氏の指導力の低下だ」(「精密小型モータ事業」で、「昨年秋から永守氏が実質指揮を執っていたにもかかわらず、業績が上向かないどころか沈んでいる」)。これでは株価も下がる筈だ。 「檄文を発したころから永守氏は関氏を遠ざけ、3月上旬までの4ヵ月近く、コロナが蔓延する欧州に追いやった。全体を見るCEOの仕事を事実上取り上げ、自身が経営の指揮にあたったのだ。 その間に、関氏の後継となる人材を再び外部に求めた。元三菱商事常務執行役員の吉田真也氏に白羽の矢を立てると、2月1日付で密かに顧問として次期社長含みで入社させた」、創業経営者ならではの強引なやり方だ。 「永守氏」が後継含みで引き抜いたのに、失敗したのは初めてではなく、数回目だ。 現代ビジネス「幹部は呆れ、社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった」 (その19)(幹部は呆れ 社員は逃げ出し…日本電産 「永守帝国」の崩壊がついに始まった、脳卒中からの社会復帰…有名実業家が提言する「生きやすい社会」 障害が「生みだされて」いる、和田 秀樹氏2題:本当に危険なのは「高齢者の運転」なのか…和田秀樹が「うっかり免許返納をしないほうがいい」と訴える理由 アクセルとブレーキの踏み間違え事故を起こす"真犯人"、実は若者と老人の記憶力には差はない…「年をとるほど忘れやすくなる」という誤解が広がる本当の理由 いくつになっても脳は鍛えることができる) 高齢化社会
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。