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脳科学(その3)(養老孟司氏 「どうせ自分は変わる」が心をラクにする、人はなぜ「マスクをしていない人」を許せないのか 脳内で起こっているカラクリを精神科医が解説、「愛国心」「陰謀論」はどこからくる? 脳科学者・中野信子が答えます 中野信子の人生相談 ヒトはなぜ戦争をやめられないのか編) [科学]

脳科学については、5月26日に取上げた。今日は、(その3)(養老孟司氏 「どうせ自分は変わる」が心をラクにする、人はなぜ「マスクをしていない人」を許せないのか 脳内で起こっているカラクリを精神科医が解説、「愛国心」「陰謀論」はどこからくる? 脳科学者・中野信子が答えます 中野信子の人生相談 ヒトはなぜ戦争をやめられないのか編)である。

先ずは、5月27日付け日経ビジネスオンライン「養老孟司氏、「どうせ自分は変わる」が心をラクにする」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00426/042800008/
・『解剖学者の養老孟司先生の「子どもが自殺するような社会でいいのか」という問題提起から始まった連載も、今回が最終回。前回(「なぜ『他人が自分をどう思うか』を気に病むのか?」)に続き、課題解決の方策を探ります。 前回、指摘されたのは、家事の手伝いなどで、子どもに役割を与えることの重要性。そして、自然との接点を増やすことでした。「自然」は、「感覚」と並んで、子どもたちが死にたくならない社会をつくるうえでの大事なキーワードです(「感覚」の意味については、「なぜ子どもは『theの世界』を生きるのか?」、「『正義』が対立を呼ぶのは感覚に戻せないから」参照)。 今回は、農業の話から発展して、システム化が進む社会と発達障害の関係、ネコの効用。そして、今まさに「死にたい」と思う人へのメッセージです。 養老孟司氏(以下、養老):世の中はもう、いずれにせよシステム化していきます。要するに、どこもきちんとしたものになっていく。ですからできるだけそうなってない場所を、子どものために確保しておく必要がある。  Q:それは自然環境ということですか。 養老:いや、街のなかに空き地がなくなって、子どもの遊ぶ場所がなくなる、という話です。子どもたちが集合して、好き勝手に動き回っているという空間が消えちゃった。そんな意見が、僕の育っていく過程ではありました。完全に無視されましたけど。空き地はしっかり塀で囲って、「何々不動産管理地」というふうになっていきましたね。 こういうのは、やはり社会全体で考えるしかないですね。僕はやっぱり、ある程度古い形の生き方を地域的に復活させていくしかないと考えています。 例えば僕の知り合いは、学校になじめない子、例えば注意欠如・多動症(ADHD *)の子を引き取って、農業をしているんです。 * 注意欠如・多動症:ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder) (養老孟司氏の略歴はリンク先参照)』、「街のなかに空き地がなくなって、子どもの遊ぶ場所がなくなる、という話です。子どもたちが集合して、好き勝手に動き回っているという空間が消えちゃった」、「僕はやっぱり、ある程度古い形の生き方を地域的に復活させていくしかないと考えています」、なるほど。
・『畑にいれば、発達障害は「障害」にならない  Q: 発達障害に農業ですか。 養老:「畑に連れていってしまえば、多動もくそもないよ」といっていました。結局、置かれた状況次第なんですね。教室のなかだと多動が目立つけど、畑だったら全然目立たない。 もしかすると、今も昔もADHDの子のパーセンテージは同じで、今の社会では目立つようになっているだけかもしれないということですね。日本で初めてADHD専門外来を立ち上げた医師の岩波明先生も、仕事の管理化が進んだことと、発達障害に注目が集まることを関連付けていました(「発達障害は病気ではなく『脳の個性』 治すべきものではない」)。 養老:田舎で育って、畑にいたら誰も気にしなかったのが、「きちんとしなさい」と座らせようとするから気になる。それができないからって、別に異常なわけではないですよ。  実際そういうふうに「ちゃんとしろ、座っていろ、きちんとしろ」といわれた子たちが、いわゆる二次障害(*)でうつを引き起こしたりしているんですね。うつから自殺という流れもあると思うんです。 * 二次障害:最初のADHDやASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)から派生して生じる、うつ病、不安障害、ひきこもりなどの障害  養老:僕の知り合いは、もう学校に行かないと決めた子を預かっているんです。それを教育委員会が認めてくれて、所属していた学校に通っていることにしてくれています。でも、していることは農作業です。動物の世話なんかもいいと思いますけどね。 「なんとかなる」というNPOもあります。僕はここの特別顧問をしているのですが、少年院を出た子たちを預かっているんです。親代わりに預かるところが必要なんですね。鳶(とび)の会社の社長さんが運営しています。でもね、今まで50人くらい預かったけど、なかなかうまくいかないといっていました。 子どもたちを社会に適応させてくのって、大変なんです。まず預かって、身元を保証して、その上で社会適応させていくというのが。「最大の障害は何ですか?」と聞いたら、「スマホだ」と。 Q: スマホですか?』、「田舎で育って、畑にいたら誰も気にしなかったのが、「きちんとしなさい」と座らせようとするから気になる。それができないからって、別に異常なわけではないですよ。  実際そういうふうに「ちゃんとしろ、座っていろ、きちんとしろ」といわれた子たちが、いわゆる二次障害でうつを引き起こしたりしているんですね。うつから自殺という流れもあると思うんです」、管理社会の悲劇だ。
・『「きちんと」した社会は生きにくい  養老:少年院にいる間はスマホが使えないんですよ。出ると一番、それを欲しがる。スマホを見ると、いろんな広告が載っているでしょう。時給のいい求人広告なんかに釣られていなくなる。それが一番多いといっていました。それでまた、オレオレ詐欺の手先に使われたりして。やはりそう簡単じゃないですね。 社会がある一定の形を取ると、そこに適応できない人がどうしても出てきてしまう。それをどうするかというのは、社会を「きちんと」つくっていくほうの人には、関係のないことですから。 Q: システム化を進めていくほうの人には関係のないこと、ですか。 養老:しょうがないからボランティアで何とかするしかないっていう状況です。こうしたセーフティーネットが、社会に欠けています。 仕事が合理化されてしまうと、まともな人でも仕事がなくなるという時代ですから。コンピューターが仕事をしてしまって人が要らなくなるということは、世界中で議論されていますよね。  Q:マニュアルに従って仕事ができる人でさえ、仕事がなくなるといわれる時代です。 養老:ましてマニュアルが読めない、読んでも無視するってことになると、それならコンピューターのほうがましだって話になってしまいます。 あとはやっぱり、大人が満足してなといけないですね。  大人自身が』、「少年院を出た子たちを預かっている」施設で「「最大の障害は何ですか?」と聞いたら、「スマホだ」」、「スマホを見ると、いろんな広告が載っているでしょう。時給のいい求人広告なんかに釣られていなくなる。それが一番多いといっていました。それでまた、オレオレ詐欺の手先に使われたりして。やはりそう簡単じゃないですね」、スマホに免疫がない「少年院」出身の少年たちに接するのも大変なようだ。
・『ネコを見ていると、働く気にならなくていい  養老:居心地の悪いところから立ち去る。資質に合わない努力はしない。このあいだ話した坂口恭平さん(前回「なぜ『他人が自分をどう思うか』を気に病むのか?」参照)が、うつ病にならないための指針としてそう書いています(*)。ネコみたいに生きられればいいんですけどね。大人がある程度自足していれば、子どもにぶつかることはないと思います。 Q: そもそも大人が満足していないことも問題であると。 養老:親と子の口論の末に自殺するなんて話も聞きましたが、本来ならどこかで折り合いをつけなきゃいけないはずです。お互いのせいにしないで。 Q: 私が正しい、あなたは間違っているということで、けんかになる。ここにも「自己」が絡んできそうですね。 養老:そういうときには世の中のせいにしたほうがいいと思いますよ。人間関係は難しいから。距離が近過ぎるんでしょうね。  Q:そこに例えばですけど、ネコみたいな「自然」が入ってくると、ちょっとは変わりそうでしょうか。単純過ぎる解決策かもしれませんが。 養老:そこまでひどいけんかに、ならないかもしれませんね。ネコを見ていると、「なんで自分はこんなに必死になっているんだ」と思えるから。少なくともペットを飼っているほうが血圧は低いという研究はありますよね。 僕も、まる(*)が死んでから忙しくなっちゃったんですよ。まるを見ていたら働く気がしなかったのに。 * まる:養老先生と暮らしていた雄のスコティッシュ・フォールド。顔がまるいから「まる」 Q: 急に働く気に。 養老:まるがいなくなって、ブレーキが利かなくなっちゃったんです』、「ネコを見ていると、「なんで自分はこんなに必死になっているんだ」と思えるから。少なくともペットを飼っているほうが血圧は低いという研究はありますよね」、確かに「ネコ」には、飼い主の気持ちを落ち着かせてくれる効果があるようだ。
・『人はどうせ変わる。それが希望になる  Q: 最後に、今すごく苦しくて、死んでしまいたいと思っている子どもたちに、先生から何か伝えるとしたら、どんな言葉になりますか。 養老:どうせ自分は変わるよ、ということです。 Q: どうせ自分は変わる? 養老:変わる。変わるに決まっているんですよ。今の状況が永久に続くってことはあり得ないので。今の状況が続かないと考えるときに、つい「周りが変わる」と思っちゃうんだけど、そうじゃないんです。「感じている自分」が、変わるんです。 Q: 「今、死にたいと思っている自分」が。 養老:変わる。変わるに決まっている。ですから、「今現在の自分」を、絶対視しない。これは当たり前のことなんですけどね。大人がそれを教えないといけないんです。僕なんか84歳までにどれだけ変わったか。 それを妨害するのが、「個性」とか「自己」を重視する今の風潮です。その人らしさとかね。いくらその人らしくしてみたところで、いずれ変わっちゃうんだから。らしくなくなっちゃっても、別にいいんですよ。 Q: 先日おっしゃっていた、「自己なんて本当はないんだ」ということを、子どもに教えるということですか。 養老:そうです。かなり乱暴ですけどね。でもお坊さんに聞いたら、みんなそう言うと思います。仏教は昔から「我というのを避ける」ということを言っていますから。 できるだけ自分が自分であるようにする、自分に素直であるようにするということを、「わがまま」っていうんです。「我がまま」ですから。  Q:「わがまま」って、「私のまま」「自分そのまま」ということだったんですね。 養老:日本人の社会は、それを注意してきたんですよ。「我がまま」では駄目だと。  Q:自分が変わるのが当たり前なんだから、自分が自分らしくあるなんてことはあり得ない。そして今の苦しみも続かないと。 養老:そうです。必ず変わるんですよ』、「「今、死にたいと思っている自分」が。 養老:変わる。変わるに決まっている。ですから、「今現在の自分」を、絶対視しない。これは当たり前のことなんですけどね。大人がそれを教えないといけないんです。僕なんか84歳までにどれだけ変わったか。 それを妨害するのが、「個性」とか「自己」を重視する今の風潮です。その人らしさとかね。いくらその人らしくしてみたところで、いずれ変わっちゃうんだから。らしくなくなっちゃっても、別にいいんですよ」、さすが「養老」先生だけあって、視点がユニークで、教えられるところも多い。

次に、6月12日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の和田 秀樹氏による「人はなぜ「マスクをしていない人」を許せないのか 脳内で起こっているカラクリを精神科医が解説」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/591828
・『欧米ではすでに盛んだった「マスク着用の是非」、ようやく日本でも議論されるようになってきました。マスクには健康上のデメリットもあり、特に子どもたちへの悪影響も深刻です。そのようなことを知ったうえで、マスクを外したいと思ってもなかなかできない――。そこには「他人の目」という同調圧力の壁があるかもしれません。 『マスクを外す日のために今から始める、ウィズコロナの健やかな生き方』を緊急出版した医師、和田秀樹さんが「他人を許せない人」の脳で起きているカラクリをわかりやすく解説します。 コロナ下、さまざまな「警察組織」が登場しました。 その総称は「自粛警察」。「マスク警察」や「帰省警察」「ワクチン接種警察」などの“部署”に分かれているようです。 「自粛警察」という言葉自体は、2011年3月の東日本大震災の頃からあるそうで、今、確認されている最初の用例は、東日本大震災後のツイッターへの投稿だとか。その意味は、言うまでもないでしょうが、政府などの自粛要請に応じない個人や飲食店などを「許せない」と、私的に「取り締まる」人々や行為を指します』、興味深そうだ。
・『真面目な人ほど攻撃的になりやすい  「他県ナンバーのクルマを傷つける」や「マスクをしていない人を罵倒する」といった暴力的な事例は一時より減ったようですが、その「許せない精神」は今も健在です。 私の知人は、母親が亡くなった際、東京ナンバーのクルマで帰省したところ、駐車線から5センチほどはみだしていただけで、警察に通報されたそうです。私自身、クルマで動くことが多いため、今も県境を越えたときは、冷たい視線を感じて、けっこう窮屈な思いをしています。 さて、心理学の知見では、「まじめな人ほど、ルール違反の行為に接したとき、自らの損失を省みず、攻撃的になる」傾向があることがわかっています。そうした行動には、セロトニン不足が関係しているようです。 セロトニンが不足すると、感情状態のバランスが欠け、自分が正しいと思うこと(=自分なりの正義)に反する行為を許せなくなる傾向が強まるのです。そのため、ふだんなら見逃しているレベルの「事犯」でも、セロトニンが不足していると、反射的に激しく注意したりしてしまうのです。 そもそも、「日本人のセロトニン分泌量は、世界最少クラス」という研究もあるくらいですから、日本人には、何らかのきっかけでセロトニン不足が生じると、自粛警察官化する傾向があるといってもいいでしょう。 とりわけ、コロナ下では、ステイホームが要求されていたため、日光を浴びる時間が短くなり、セロトニンが不足しがちです。その結果、ふだんは隠れている“自粛警察性”が現れやすくなったとも思えます』、「「日本人のセロトニン分泌量は、世界最少クラス」という研究もあるくらいですから、日本人には、何らかのきっかけでセロトニン不足が生じると、自粛警察官化する傾向があるといってもいいでしょう。 とりわけ、コロナ下では、ステイホームが要求されていたため、日光を浴びる時間が短くなり、セロトニンが不足しがちです。その結果、ふだんは隠れている“自粛警察性”が現れやすくなったとも思えます」、「自粛警察官化」は「セロトニン不足」はが引き金とは初めて知った。
・『「怒り」はどこから生まれてくるのか  では、他者を「許せなくなる」ような負の感情は、どのように制御すればいいのか。まずは、「負の感情」、具体的には「怒り」がどのようにして生まれてくるのか、そこからお話ししましょう。 人間の感情は、大脳皮質(前頭葉など)と、脳の深いところにある大脳辺縁系(古脳)の相互作用から生じます。 たとえば、「マスクをしていない人が、大声で話している」姿を見かけると、辺縁系がすばやく、かつ単純に反応して、イラッときます。ときには頭に血がのぼり、文句の一言もいいたくなるでしょう。それも、辺縁系の反応です。辺縁系は、瞬間的に交感神経を興奮させ、直情的な怒りといった原始的感情を生み出すのです。 その辺縁系のなかでも、感情に関しては、「扁桃体」という部位が主役を務めています。扁桃体は、目や耳から情報が入ってくると、それが「生存」に関わるかどうかを瞬時に判断します。たとえば人が「ヘビだ!」と気づくと、0.04秒後には、扁桃体が興奮すると報告されています。そして、人は恐怖を覚え、とっさに飛びのくことになるのです。 というように、扁桃体の反応は、とにかくスピード優先です。一方、それにブレーキをかけるのが、大脳皮質です。そのアクセルとブレーキの関係は、「怒り」をめぐって、最もわかりやすく現れます。 たとえば、先ほど述べたような、マスクをしていない人に対しても、大脳皮質はゆっくりと反応します。扁桃体の働きによって、瞬間的にはカッときても、その後すぐに大脳皮質が「文句をいうと、あとあと厄介ではないか」のように考えて、衝動的反応にストップをかけるのです。 要するに、辺縁系は感情のアクセル役、大脳皮質は感情のブレーキ役といえます。人間の感情状態は、この2つの遅速の決定システムによって決まってくるのです。 これは、怒り以外の感情の場合でも同様で、たとえば、おいしそうなものを目にしたとき、辺縁系の「早いシステム」は「わっ、食べたい!」と反応します。しかし、その後、大脳皮質が遅れて反応し、「食べると太るから、やめておこう」というようにブレーキをかけるという具合です。 しかし、ストレスが過剰にかかっている場合は、大脳皮質の冷静な反応が、辺縁系の直情的反応に負けやすくなります。あなたも、疲れているとき、つい人に当たってしまったことはないでしょうか。それは、疲労から、大脳皮質が辺縁系を抑え込められなかったときに起きる現象です。 新型コロナの影響で、自粛生活が続いたり、経済的な困難があったりすると、誰しもイライラがつのります。この項からは、ストレスがたまり、「イライラする」ときの対処法を紹介していきましょう。) 医学的にいうと、イライラしているのは、自律神経系の交感神経が優勢な状態といえます。 交感神経が活発に働くと、血圧や心拍数が上がり、呼吸数が増えます。一方、副交感神経の働きが鈍って、精神的にリラックスできなくなります。消化器系の機能が落ちるため、食べ物をおいしく感じられなくなり、なかなか眠れなくもなります。そうしたことが重なって、さらにイライラするという悪循環を招きがちです。 そうしたイライラを防ぐには、まずは食べ物から「セロトニン」を補給することです。これまで述べてきたように、セロトニンは脳内の神経伝達物質であり、これが不足すると、ちょっとしたことでイライラしやすくなります』、「辺縁系は感情のアクセル役、大脳皮質は感情のブレーキ役といえます。人間の感情状態は、この2つの遅速の決定システムによって決まってくるのです」、「ストレスが過剰にかかっている場合は、大脳皮質の冷静な反応が、辺縁系の直情的反応に負けやすくなります。あなたも、疲れているとき、つい人に当たってしまったことはないでしょうか。それは、疲労から、大脳皮質が辺縁系を抑え込められなかったときに起きる現象です」、「イライラを防ぐには、まずは食べ物から「セロトニン」を補給することです。これまで述べてきたように、セロトニンは脳内の神経伝達物質であり、これが不足すると、ちょっとしたことでイライラしやすくなります」、なるほど。 
・『セロトニンの材料となる肉を食べよう  その量を増やすには、日の光を浴びるほかに、原料となる食べ物を摂取するのが有効な策です。セロトニンの原料はトリプトファンというアミノ酸なので、アミノ酸を含む食べ物、具体的には、肉類を食べるのがいちばんです。 そもそも、栄養不足は、それ自体がイライラを招く原因になります。たとえば、朝食抜きの生活を続けると、血中ぶどう糖濃度が低下し、メンタル面が不安定になりがちです。栄養不足は、さまざまな理由から、イライラの原因になるのです。 また、イライラを防ぐには、睡眠を十分にとることも重要です。ふだんは温厚な人でも、睡眠不足が続くと、イライラしはじめるのは、経験的にご存じのことでしょう。睡眠欲求が満たされないと、人は神経過敏となり、ふだんは気にならないようなことにも、イライラしはじめるのです。 ただし、睡眠に関しては個人差が大きく、「6時間眠れば十分」という人もいれば、「8時間は必要」という人もいます。私の場合は、夜6時間寝て、1時間昼寝するという睡眠法が最適のようです。 コロナ下で生活が不規則になりがちですが、自分に合った睡眠時間を守って、脳の疲れをしっかりとることも意識してみてください』、「セロトニンの原料はトリプトファンというアミノ酸なので、アミノ酸を含む食べ物、具体的には、肉類を食べるのがいちばんです」、「栄養不足は、さまざまな理由から、イライラの原因になるのです。 また、イライラを防ぐには、睡眠を十分にとることも重要です」、「自分に合った睡眠時間を守って、脳の疲れをしっかりとることも意識してみてください」、「自分に合った睡眠時間を守」ることから先ずは始めよう。

第三に、6月21日付け文春オンラインが掲載した脳科学者の中野 信子氏による「「愛国心」「陰謀論」はどこからくる? 脳科学者・中野信子が答えます 中野信子の人生相談 ヒトはなぜ戦争をやめられないのか編」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/55242
・『みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えする連載「あなたのお悩み、脳が解決できるかも?」。今回は、いま世界中の人々が直面する「ヒトはなぜ戦争をやめられないのか」という難題に、中野さんが脳科学の観点から回答します(Qは聞き手の質問、Aは中野氏の回答)。 Q 「戦争」をするか、「平和」でいるか。損得を考えれば、得なのは後者。ではなぜ、ヒトは戦争をやめられないの? A:これは私たちヒトの一大テーマですね。「平和」のほうがみんなが得をするに決まっている。穀物もエネルギーも安定的に供給され、移動の安全も確保され、今のようにロシアの上空を飛行できないなんてこともない。国境のセキュリティは緩和できるし、出入国も簡単になる──。それなのになぜ?  この平和を成り立たせているのは、国家間でも個人間でも、利害の異なる者同士が「お互いに相手を信頼(することに)している」という前提です。 「疑う」ことは、「信頼する」よりコストがかかるし、脳に負荷がかかります。もし夫が家に帰ってくるたびに頭の天辺からつま先までセキュリティスキャンしなければいけないとなれば、一緒に住み続けられないですよね。「自分に害意を持たない」と信じることのできる仲間を持つ。それこそが家族でいるメリットです。 しかし、夫婦どちらかに「自分の利益を優先したい」という思いが生まれることがあります。たとえば、夫が「妻の利益は本来は自分のものである。パワーバランスの現状変更をしたほうが得だ」と考え行動に移したら、妻はまるく収まるならここは従っておこうと当初は思うかもしれません。 しかしこれが長期にわたると、「自分があまりに損をしている。これは経済的DVだ」と認識し、夫に害意を持つようになる。かくして戦闘状態が始まります。 夫婦を例に挙げましたが、戦争もまた、どちらかに目先の得を優先させる行動が生じたときに起こると考えられます。 とはいえ「目先の得=短期的に判断する」仕組みは、人類にとって完全に不要なものでもなく、必要だから備わっているのです。飢饉、水害、地震などの被害を逃れて自らの生命を守るため、「短期的な得」を選ぶ必要がある場合があるからです。 パンデミックもそうでしょう。新型コロナパンデミックでは、各国が海外からの渡航の受け入れを禁止し、ワクチンの確保に奔走し、自国の得を優先する事態になりました。 こうした選択の重率の変化は、主として「長期的な視座の欠如」によって起こります。歴史的には「宗教」と「学問」が長期的視座を養う役割を担ってきました。しかし、現在、宗教はその権威を失いつつあり、学問も短期で成果が出ない研究は評価されない社会になってしまいました。  私が期待しているのは、芸術です。脳科学的には、美とは「利他の実践」といってよいものです。「Aを選択すると自分だけが得をし、Bを選択すると自分は得をしないかもしれないがみんなの得になる」という場合、Aを選べば汚い人、Bを選べば美しい人と言われる。脳には自然にそう判断する仕組みがあるのです。 芸術は本来、寡占したり、投機的に利用したりするものではなく、互恵関係を長く築いていく美意識を養い、長期的な視座をもたらすものとして発展してきた側面があります。芸術のもたらす視座が脳に構築する新しいパラダイムについての研究に現在、私も取り組んでいます』、「選択の重率の変化は、主として「長期的な視座の欠如」によって起こります。歴史的には「宗教」と「学問」が長期的視座を養う役割を担ってきました。しかし、現在、宗教はその権威を失いつつあり、学問も短期で成果が出ない研究は評価されない社会になってしまいました。  私が期待しているのは、芸術です。脳科学的には、美とは「利他の実践」といってよいものです」、「芸術は本来、寡占したり、投機的に利用したりするものではなく、互恵関係を長く築いていく美意識を養い、長期的な視座をもたらすものとして発展してきた側面があります」、「芸術のもたらす視座が脳に構築する新しいパラダイムについての研究に現在、私も取り組んでいます」、「芸術」が「利他の実践」とは意外だ。「中野氏」の研究の進展に期待したい。
・『Q ゼレンスキー大統領の演説は、なぜ、これほどまでに心を掴むのでしょう?  彼が煽る「愛国心」もまた危険では? A:話の上手な人とは、実は話を聞くのがうまい人です。必ずしも話を聞かなくても、相手が話してほしいと思っていることを察し、話すことができる。最も上手な話し方は、相手の傷を埋めるように話をすることです。 「理不尽な扱いを受けて悔しいね」「あなたが傷を抱えていることを僕だけは知っている。僕も同じ傷を抱えているんだよ」 ……相手の心の傷を見抜いて、「それを埋めることができるのは僕だけだよ」と語りかける。一歩間違えると女たらしの常套句のようですが、実は人を説得するのにはこの方法が有効なのです。 演説で人の心を掴むには、大所高所からモノを言うのではなく、感情に訴えるのが効果的です。聞く人の理性よりも情動を揺さぶるのです。ゼレンスキー大統領の技術は見事です。このテクニックは各国の議会における演説で存分に発揮されていました。 最初のイギリス議会ではハムレットの「生きるべきか、死ぬべきか」、アメリカ議会ではキング牧師の「私には夢がある」。その国の誰もが知るフレーズを使いました。 日本に向けた演説ではロシアの侵攻を津波にたとえ、「私たちも皆さんと同じように故郷を奪われた」と語り掛け、東日本大震災の被災者と同じ傷を持っていると訴えました。当然、スピーチライターもいるはずで、ご当地演説と揶揄する人もいたようですが、現地の事情、国民感情に寄り添う心を感じさせる内容でした。 メラビアンの法則という有名な心理学の法則があります。相手の見た目、音声、言語が矛盾している場合、人はどれに最も影響されて判断するかを調べたもので、見た目が55%、声の大きさや話すスピードが38%、会話の内容である「言語」はわずか7%でした』、「人はどれに最も影響されて判断するかを調べたもので、見た目が55%、声の大きさや話すスピードが38%、会話の内容である「言語」はわずか7%」、やはり「見た目」が重要なようだ。
・『タレント出身大統領のメリットとデメリット  国を問わず、歌手やスポーツ選手、俳優が選挙で高い得票率をマークすることがしばしばあります。メラビアンの法則によれば、容姿をはじめとした身体性と心に響く声とを兼ね備えていると大衆の大きな支持を得やすいということになる。 ゼレンスキー大統領はもともとコメディアンで、テレビドラマで大統領になる教師の役を演じました。日本でも堺雅人さんがドラマ「半沢直樹」の終了後すぐに国政選挙に出ていたら、トップ当選していたかもしれませんね。 ただ、こうした支持の高さは維持が難しいのです。ゼレンスキー大統領の支持率も2019年の就任時は80%あったものの急降下し、ロシア侵攻前はかなり下がっていました。少し時間が経てば、大衆はそれが一時的な熱狂だったかもしれないと疑念を抱きはじめます。 ロシアからの侵攻を受け、抵抗する姿勢を示した後は再び91%という驚異的支持率になりました。就任時の高支持率も、民衆の側に立つ自らのパブリックイメージを大切にし、旧権力を民衆と自分の仮想敵として見せることに成功したからでしょう。 一般論として、大衆の心を掴むことを企図するならば、仮想敵を設定し、その敵に対して果敢に立ち向かう自分を演出するのは極めて重要です。実際、世界各国で、首長を選ぶという段になると必ず近隣諸国のいずれかを仮想敵にする傾向があるようです。 仮想敵に立ち向かうリーダーに魅了された大衆には厄介なところがあります。そのリーダーに懐疑的な人がいると、本質的にはたとえ中立的であったとしても、批判、非難が強まってしまう現象が起こりかねません。裏切り者とさえ言われる可能性も低くないでしょう。 人は長く過ごした仲間に対する愛着と同様に、長く暮らした土地にも愛着を持ちます。その場所に長くいたということは、そこで生き延びることができたという実績として脳に刻まれ、脳は人をそこに留まらせようとオキシトシンを分泌します。すると人はそこにいるのが心地よくなる。これは「愛国心」の源と考えられます。 郷土から自分たちを追い出そうとする、あるいは郷土を破壊しようとするものに対して、オキシトシンは抵抗心を起こさせます。その抵抗心は、野生の母熊が子熊を攻撃するものに対して死に物狂いで戦うような激しい攻撃性として現れることもあります。この自然な反応に対して、疑念を抱いたり、客観的過ぎる意見を言ったりしただけでも、この攻撃の対象となってしまうことがあるのです。 オキシトシンのもたらすものは厄介です。幸せを感じるときに分泌される物質ではありますが、心地よさを時には立ち止まり、冷静に分析する態度も失わずにいたいものです。 ※全文は発売中の『週刊文春WOMAN vol.14(2022年 夏号)』「特集 戦争入門―戦争に慣れないために」にて掲載。後半では、「この戦争で特徴的なのが、ネットやSNSに溢れるフェイク情報や陰謀論。どう見極めれば、自分を守れますか?」「プーチンの独裁が問題視される中、フランスでは右翼のルペンが善戦。実は、ヒトは民主主義が苦手なんですか?」といった問いに回答します』、「長く暮らした土地にも愛着を持ちます。その場所に長くいたということは、そこで生き延びることができたという実績として脳に刻まれ、脳は人をそこに留まらせようとオキシトシンを分泌します。すると人はそこにいるのが心地よくなる。これは「愛国心」の源と考えられます」、「オキシトシンのもたらすものは厄介です。幸せを感じるときに分泌される物質ではありますが、心地よさを時には立ち止まり、冷静に分析する態度も失わずにいたいものです」、確かに、「愛国心」の暴走を避けるため、「冷静に分析する態度も失わずにいたいものです」、その通りだ。
タグ:脳科学 (その3)(養老孟司氏 「どうせ自分は変わる」が心をラクにする、人はなぜ「マスクをしていない人」を許せないのか 脳内で起こっているカラクリを精神科医が解説、「愛国心」「陰謀論」はどこからくる? 脳科学者・中野信子が答えます 中野信子の人生相談 ヒトはなぜ戦争をやめられないのか編) 日経ビジネスオンライン「養老孟司氏、「どうせ自分は変わる」が心をラクにする」 「ネコを見ていると、「なんで自分はこんなに必死になっているんだ」と思えるから。少なくともペットを飼っているほうが血圧は低いという研究はありますよね」、確かに「ネコ」には、飼い主の気持ちを落ち着かせてくれる効果があるようだ。 「少年院を出た子たちを預かっている」施設で「「最大の障害は何ですか?」と聞いたら、「スマホだ」」、「スマホを見ると、いろんな広告が載っているでしょう。時給のいい求人広告なんかに釣られていなくなる。それが一番多いといっていました。それでまた、オレオレ詐欺の手先に使われたりして。やはりそう簡単じゃないですね」、スマホに免疫がない「少年院」出身の少年たちに接するのも大変なようだ。 「田舎で育って、畑にいたら誰も気にしなかったのが、「きちんとしなさい」と座らせようとするから気になる。それができないからって、別に異常なわけではないですよ。  実際そういうふうに「ちゃんとしろ、座っていろ、きちんとしろ」といわれた子たちが、いわゆる二次障害でうつを引き起こしたりしているんですね。うつから自殺という流れもあると思うんです」、管理社会の悲劇だ。 「街のなかに空き地がなくなって、子どもの遊ぶ場所がなくなる、という話です。子どもたちが集合して、好き勝手に動き回っているという空間が消えちゃった」、「僕はやっぱり、ある程度古い形の生き方を地域的に復活させていくしかないと考えています」、なるほど。 「「日本人のセロトニン分泌量は、世界最少クラス」という研究もあるくらいですから、日本人には、何らかのきっかけでセロトニン不足が生じると、自粛警察官化する傾向があるといってもいいでしょう。 とりわけ、コロナ下では、ステイホームが要求されていたため、日光を浴びる時間が短くなり、セロトニンが不足しがちです。その結果、ふだんは隠れている“自粛警察性”が現れやすくなったとも思えます」、「自粛警察官化」は「セロトニン不足」はが引き金とは初めて知った。 和田 秀樹氏による「人はなぜ「マスクをしていない人」を許せないのか 脳内で起こっているカラクリを精神科医が解説」 東洋経済オンライン それを妨害するのが、「個性」とか「自己」を重視する今の風潮です。その人らしさとかね。いくらその人らしくしてみたところで、いずれ変わっちゃうんだから。らしくなくなっちゃっても、別にいいんですよ」、さすが「養老」先生だけあって、視点がユニークで、教えられるところも多い。 「「今、死にたいと思っている自分」が。 養老:変わる。変わるに決まっている。ですから、「今現在の自分」を、絶対視しない。これは当たり前のことなんですけどね。大人がそれを教えないといけないんです。僕なんか84歳までにどれだけ変わったか。 中野 信子氏による「「愛国心」「陰謀論」はどこからくる? 脳科学者・中野信子が答えます 中野信子の人生相談 ヒトはなぜ戦争をやめられないのか編」 文春オンライン 「セロトニンの原料はトリプトファンというアミノ酸なので、アミノ酸を含む食べ物、具体的には、肉類を食べるのがいちばんです」、「栄養不足は、さまざまな理由から、イライラの原因になるのです。 また、イライラを防ぐには、睡眠を十分にとることも重要です」、「自分に合った睡眠時間を守って、脳の疲れをしっかりとることも意識してみてください」、「自分に合った睡眠時間を守」ることから先ずは始めよう。 「イライラを防ぐには、まずは食べ物から「セロトニン」を補給することです。これまで述べてきたように、セロトニンは脳内の神経伝達物質であり、これが不足すると、ちょっとしたことでイライラしやすくなります」、なるほど。 「辺縁系は感情のアクセル役、大脳皮質は感情のブレーキ役といえます。人間の感情状態は、この2つの遅速の決定システムによって決まってくるのです」、「ストレスが過剰にかかっている場合は、大脳皮質の冷静な反応が、辺縁系の直情的反応に負けやすくなります。あなたも、疲れているとき、つい人に当たってしまったことはないでしょうか。それは、疲労から、大脳皮質が辺縁系を抑え込められなかったときに起きる現象です」、 「オキシトシンのもたらすものは厄介です。幸せを感じるときに分泌される物質ではありますが、心地よさを時には立ち止まり、冷静に分析する態度も失わずにいたいものです」、確かに、「愛国心」の暴走を避けるため、「冷静に分析する態度も失わずにいたいものです」、その通りだ。 「長く暮らした土地にも愛着を持ちます。その場所に長くいたということは、そこで生き延びることができたという実績として脳に刻まれ、脳は人をそこに留まらせようとオキシトシンを分泌します。すると人はそこにいるのが心地よくなる。これは「愛国心」の源と考えられます」、 「人はどれに最も影響されて判断するかを調べたもので、見た目が55%、声の大きさや話すスピードが38%、会話の内容である「言語」はわずか7%」、やはり「見た目」が重要なようだ。 私が期待しているのは、芸術です。脳科学的には、美とは「利他の実践」といってよいものです」、「芸術は本来、寡占したり、投機的に利用したりするものではなく、互恵関係を長く築いていく美意識を養い、長期的な視座をもたらすものとして発展してきた側面があります」、「芸術のもたらす視座が脳に構築する新しいパラダイムについての研究に現在、私も取り組んでいます」、「芸術」が「利他の実践」とは意外だ。「中野氏」の研究の進展に期待したい。 「選択の重率の変化は、主として「長期的な視座の欠如」によって起こります。歴史的には「宗教」と「学問」が長期的視座を養う役割を担ってきました。しかし、現在、宗教はその権威を失いつつあり、学問も短期で成果が出ない研究は評価されない社会になってしまいました。
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