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メディア(その34)(日経新聞で何が起きているのか 記者の大量退職、“物言う株主”に狙われたテレ東の運命は、日経新聞“金融専門メディア”編集長が二代連続で処分される“異常事態”、【元外交官が語る】「日本のニュース」が「世界標準の報道」からズレる理由 『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』著者・山中俊之インタビュー) [メディア]

メディアについては、7月13日に取上げた。今日は、(その34)(日経新聞で何が起きているのか 記者の大量退職、“物言う株主”に狙われたテレ東の運命は、日経新聞“金融専門メディア”編集長が二代連続で処分される“異常事態”、【元外交官が語る】「日本のニュース」が「世界標準の報道」からズレる理由 『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』著者・山中俊之インタビュー)である。

先ずは、6月24日付け文春オンライン「日経新聞で何が起きているのか 記者の大量退職、“物言う株主”に狙われたテレ東の運命は」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/55249
・『ジャーナリスト・小松東悟氏による「日経新聞で何が起きているのか」(「文藝春秋」2022年7月号)を一部転載します。 最大の焦点は「天下りの禁止」  これからピークを迎える大手企業の株主総会シーズン。そのなかで、財界が密かに注目しているのが6月16日に予定されているテレビ東京ホールディングス(HD)の株主総会だ。民放大手、いわゆるキー局のなかで格下の扱いであるテレビ東京の総会がそこまで関心を集めるのは、今回の総会のテーマが同社の筆頭株主である日本経済新聞社との関係だからだ。そして、それは日本の経済報道をリードしてきた日経が覆い隠してきた宿痾の病巣でもある。 テレビ東京HD(以下テレ東)は日経が32.6%を出資する持分法適用関連会社だが、同社の社長は1973年就任の佐藤良邦氏以来、半世紀にわたって日経からの「天下り」ばかり。実質的には植民地だ。 それがテレ東の経営効率を下げている、とかみついたのが、香港を拠点とする米国系投資会社、リム・アドバイザーズだ。アクティビスト・ファンド(いわゆる「物言う株主」)として著名な同社は4月14日、テレ東の定時株主総会に合わせて株主提案書を送りつけた。そこには、普段は日経からの指弾を恐れている財界人が溜飲を下げるような批判が並んでいた。 リムの提案は以下の7項目だ。 1 日経からの天下りの禁止 2 顧問等の廃止 3 社外取締役の選任 4 取締役報酬の個別開示 5 資本コストの開示 6 政策保有株式の売却 7 剰余金の処分 これらの論点はいずれも相互に関連しているが、最大の焦点は「天下りの禁止」である。 テレ東の取締役トップ3である小孫茂会長、石川一郎社長、新実傑専務はいずれも日経で取締役を経験した人物だ。さらに、この6月からは同じく日経出身の吉次弘志・常務執行役員が常務取締役に就任する。そうなれば社内取締役7人のうち4人が日経、プロパーは3人のみになる。) ほかの民放大手にも全国紙の資本が入っており、新聞社から経営者を迎える慣行はある。しかし、テレ東以外の局ではプロパーの社長も出ており、出資比率3割強の日経によるテレ東への強権支配は異様といっていい。 こうした要求を突き付けられ、テレ東はもちろん日経もパニック状態となった。翌日には、東洋経済オンラインのスクープにより株主提案の内容は市場の知るところとなった』、「テレビ東京の」「総会のテーマが同社の筆頭株主である日本経済新聞社との関係・・・それは日本の経済報道をリードしてきた日経が覆い隠してきた宿痾の病巣」、「テレ東以外の局ではプロパーの社長も出ており、出資比率3割強の日経によるテレ東への強権支配は異様」、興味深そうだ。
・『日経に牙をむいた元記者たち  パンドラの箱を開けたのはリムの日本投資担当者である松浦肇氏。実は日経新聞出身だ。1995年に入社し、主に証券部で数々のスクープを放ったが、ニューヨーク特派員を最後に退職。現地で産経新聞の編集委員を務めた後、金融界に転じた。 実父の松浦晃一郎氏は駐仏大使やユネスコ事務局長を務めた大物外交官。「日英仏のトリリンガルで、米コロンビア大学で複数の修士号を取得するなど経歴的にはピカピカ。だが、本人は坊主頭で筋骨隆々、むしろ野武士を思わせる人物だ。これまでの投資先を見る限り、本気で『世直し』のためにアクティビストをやっているふしがある」(元同僚)。 その野武士が、テレ東の新たな社外取締役候補として連れてきたのはこれまた日経OB。自らが師と仰ぐ阿部重夫氏だ。在職中に日本新聞協会賞を2回受賞した古豪である。 阿部氏は退社後に複数の媒体で編集長を務めた。月刊誌『選択』編集長時代には、2003年に当時の鶴田卓彦社長が退陣に追い込まれた際に日経の内情を徹底的に暴いた。 この事件は、当時日経新聞ベンチャー市場部長だった大塚将司氏が、社員株主として鶴田卓彦社長解任動議を提出した騒動に端を発する。子会社ティー・シー・ワークスでの融通手形操作によって巨額の損失が発生したことと、不適切に会社経費を使用した疑惑によるものだ。鶴田氏はスキャンダルにまみれて退場したが、大塚氏も1度は懲戒解雇された後味の悪い展開だった。『選択』2003年3月号は、日経の企業風土を端的に描いた。 〈組合は御用組合、融資銀行は日経に気兼ねしてモノ申せない。株主投票は記名式で、秘書室は開封して×をつけた株主をチェックする。逆らった社員には人事の報復が待つ。まさにコーポレートガバナンスの北朝鮮である。だから企業から『企業統治のお説教だけは日経から聞きたくない』と言われるのだ〉』、普段は「企業統治のお説教」を垂れている「日経」が、「株主投票は記名式で、秘書室は開封して×をつけた株主をチェックする。逆らった社員には人事の報復が待つ。まさにコーポレートガバナンスの北朝鮮」、「コーポレートガバナンスの北朝鮮」とは言い得て妙だ。
・『鶴田元側近の「OK戦争」  鶴田事件当時の経営風土が今も変わらぬことを象徴するのが、日経とテレ東それぞれの最高実力者だ。 日経のトップである岡田直敏会長、テレ東の小孫茂会長は、鶴田事件の前後に秘書室長を務めていた。ともに鶴田氏の毎夜のクラブ通いに付き添い、ゆがんだ統治構造にどっぷりつかり、それに順応してきた。 2人はともに1976年に日経に入社した。20人ほどしか採用されなかったという少ない同期のなかで、早くからお互いを意識していた。小孫氏は日経の多数派だった早稲田大学出身で、岡田氏はこのころは珍しかった東大法学部卒。記者としての力量に自負が強い小孫氏は、事務処理能力がとりえで入社当初から経営者になりたがっていた岡田氏のことを軽んじていたという。 性格は対照的だ。寡黙な岡田氏に比して小孫氏は気性が激しく、ゴルフ場でもキャディーを怒鳴りつける悪癖で知られる。大企業トップには珍しいキャラクターの持ち主というほかない。「最近は怒鳴るのは我慢し静かな口調でおどすので、よけいに怖い」(テレ東関係者)。 一方の岡田氏は「そもそも人づきあいが苦手で、記者時代も取材対象への食い込みを競うスクープ合戦とは無縁。さしたる功績もなかったが、企画づくりの手際はよかった。日経新聞の仕事はニュースの解説だと思っているようだ」(日経のベテラン記者A氏)。これでは水と油だろう。 日経の本流である経済部のエリートコースを歩んだ2人は社長レースでもデッドヒートを繰り広げた。社内で「OK戦争」と言われる全社を巻き込んだ争いの結果は岡田氏に軍配が上がり、小孫氏は涙をのんでテレ東に転出した。それまでテレ東社長の座は、歴代の日経トップが論功行賞のために側近を「天下り」させるポストだった。そこに岡田氏に敗れた小孫氏が派遣されたことは、日経の人事抗争に上場会社であるテレ東を巻き込む結果となった。岡田氏が意に添わぬ人材をテレ東に放逐する一方で、小孫氏は同社の独立王国化を図ってきた。 たとえば2020年度にはテレ東本社ビルの貸し主である住友不動産の株を政策保有株(いわゆる持ち合い株)として大幅に買い増した。これは、政策保有株の存在は企業経営を歪めると紙面で繰り返し論じてきた日経の方針と相容れないはずだが、テレ東が押し切ったかたちだ。 日経に遺恨を抱える「天下り」に勝手なことをされるテレ東こそいい面の皮だ。「ニュース番組に、テレ東側は望んでいない日経記者の出演を押し付けられることも増えた」とテレ東関係者は語る。 今回、リムがコーポレートガバナンス(企業統治)について疑義をつきつけたことに、テレ東の現場社員は内心声援を送っている。同社経営陣は対決姿勢をとっているが、これはまさに天に唾するもの。読者にガバナンスの重要性を説いてきた企業の独善性を自ら暴露した』、「今回、リムがコーポレートガバナンス(企業統治)について疑義をつきつけたことに、テレ東の現場社員は内心声援を送っている。同社経営陣は対決姿勢をとっているが、これはまさに天に唾するもの。読者にガバナンスの重要性を説いてきた企業の独善性を自ら暴露した」、「読者にガバナンスの重要性を説いてきた企業の独善性を自ら暴露した」、とは手厳しい。
・『外資が問題視する「天下り」  テレ東が無傷だったのは、アクティビストも日経を恐れていたからだ。それが証拠に、TBSHD、テレビ朝日HD、フジ・メディアHDなどほかのキー局はすでにアクティビストからリストラや増配などを厳しく求められてきた。PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回るのが共通点で、現預金や不動産を豊富に持っているわりに利益水準は低い。要は資産を有効に使えていないのだ。 2022年3月末時点でテレ東HDの純資産は898億円に及ぶが、足元の時価総額は約540億円。PBRは0.6倍にすぎない。同業他社と同じメタボ体質ということになる。テレ東だけが無事だったのは、日経を敵に回して記事で報復されるのは、一般企業はもちろんアクティビストにとってもリスクだからだ。 テレ東は5月12日にリムによる株主提案に対する「取締役会意見」を公表したが、事前に予想された通り一切要求に応じない「ゼロ回答」だった。株式市場関係者をあきれさせたのは、資本コストの開示を拒否したことだ。資本コストとは企業の資金調達に伴うコストのこと。資本コストを超えた事業収益率をあげていないビジネスは投資家の期待に応えているとはいえない。 テレ東は「競争に影響を与える情報である資本コストを広く一般に開示すると、当社が今後実施する成長投資へ向けた交渉等において、不利益が生じる恐れがある」として開示を拒絶した。同時に「当社グループは放送事業の免許を受け、災害報道等では国民に広く早く、かつ切れ目なく情報をお届けする義務があり(中略)相応の余裕資金や自己資本が必要です」と正当化した。 災害報道うんぬんの事情はどこのテレビ局でも同じ。他局と比べてテレ東の情報開示に関する姿勢はひときわ消極的で、経済報道を看板とする企業とは思えない。) 政策保有株については「段階的かつ可及的に速やかに売却していくことが適当」としながらも「様々な経緯を踏まえて現在の状態になっている」と開き直った。 日本の株式市場で大株主や主要取引先からの「天下り」禁止は大きなテーマになっている。リムは2021年には平和不動産、2022年には鳥居薬品に、取引先や親会社からの天下りの禁止を求める株主提案を行った。 コーポレートガバナンスに詳しいギブンズ外国法事弁護士事務所のスティーブン・ギブンズ氏は、一般論としつつ、「大株主の企業で出世できなかった人間を『天下り』させるのは、子会社の経営効率を悪化させる。これはまさに、大株主には利益となる一方、子会社の一般株主には不利益をもたらす『利益相反』に当たる」と話す。 こうした議論は外国人を中心に機関投資家の賛同を得やすくなっており、松浦氏はそこに勝機を見出しているのだろう。 5月20日にテレ東はオンライン形式で2022年3月期の決算説明会を開催した。その場では投資家、アナリストから「日経との提携による売り上げ、営業利益の比率はどれだけあるのか」「6月からの人事案では社内取締役の過半数が日経出身となるが、狙いは何か」といった質問が飛んだ。リムの株主提案を受け、日経との関係に投資家からも厳しい目が向けられている。 リムのテレ東株の所有比率は1%台と見られる。今後の焦点は6月16日のテレビ東京HDの定時株主総会でリムの提案がどれだけの賛成票を集めるかだ。日経が3割強の株を押さえていることを考えれば、いずれかの議案で10%以上の賛成票を集められればリムとしては満足だろう。その場合は来年以降も繰り返し株主提案をつきつけ、テレ東のガバナンス改善を求めるとみられる』、6月16日付けの「テレビ東京HDの定時株主総会」の決議通知によれば、会社側提案が可決、株主側提案は否決されたようだ。
・『現場を殺す「デジタルシフト」  アクティビスト襲来という「外患」の前に、日経は「内憂」も抱えていた。岡田氏が進めてきたデジタル路線の行き詰まりと記者の大量離脱だ。 ジャーナリスト・小松東悟氏による「日経新聞で何が起きているのか」は、「文藝春秋」2022年7月号と「文藝春秋digital」に掲載されています』、「デジタル路線の行き詰まりと記者の大量離脱」、とは穏やかではないが、ここではこれ以上は分からないので、今後、分かれば改めてお知らせしたい。

次に、9月16日付け文春オンライン「日経新聞“金融専門メディア”編集長が二代連続で処分される“異常事態”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/57331
・『「編集長が二代連続で処分され、『うちの会社のコンプライアンスは大丈夫なのか?』と疑問の声が挙がっています」 こう嘆息するのは、日本経済新聞社の現役社員・A氏である。
・『けん責処分の理由は?  社内に波紋が広がったのは、8月23日のこと。 「社内のイントラ(社員間の情報共有ツール)で、『日経フィナンシャル』編集長と論説委員を兼務するX氏の同日付のけん責処分が発表されたのです。会社からはX氏の処分理由について具体的な説明はなく、『部下へのパワハラではないか』などの憶測を呼びました」(同前) 日経フィナンシャルは、紙の新聞の部数減に歯止めがかからない中、デジタル化を推し進める日経の渾身の一手だった。 「一昨年、社運を賭けて始まった新媒体で、“金融の未来を読むデジタルメディア”として華々しく売り出しました」(同前) その価格設定もなかなかの強気だ。 「金融業界でバリバリ働くビジネスマンをターゲットにしたコンテンツが満載で、月額6000円の購読料は日経本紙よりも高額。ですが、会員数はすでに1万6000人を超えました。岡田直敏会長が社長時代に始めた肝煎りの事業。創刊1年目で黒字に転換したことで長谷部剛現社長から社長賞も授与されています」(同前)』、「月額6000円の購読料」で「会員数はすでに1万6000人を超えました」、とは大したものだ。
・『X氏は将来の社長候補  花形メディアを率いるX氏は有名私大を卒業後の1993年に入社。経済部で金融や財界を担当した後、ロンドンやシンガポール、ニューヨークへの駐在を経て、20年11月に編集長に就任した。 「帰国子女で英語がペラペラ。国際金融に明るく、大手メガバンク幹部らにも深く食い込んでいる。社内では王道の経済部出身で海外経験も豊富。同世代にライバルも少なく、将来の社長候補の1人と目されている」(日経社員B氏) そんなX氏に一体何があったのか。小誌が入手した「処罰辞令」のイントラ画面の写しには、X氏の名前とともにこう記されている。〈就業規則第七十七条一項十一号により、けん責とする〉』、「将来の社長候補の1人と目されている」人物が、「けん責」とは大変だ。
・『店の店主と揉めて…  就業規則を読むと、同条文には「他人に暴行、脅迫を加え、または迷惑をかけたとき」とある。 「X氏は取材熱心で毎晩のように取材先と会食を重ねているのですが、そこで店の店主と揉めてトラブルとなってしまったのです。後日、その店から日経本社にクレームが入って事態が露見。今回の処分となりました」(同前) 実は日経フィナンシャルの編集長が処分されるのはこれが初めてではない。 「2年前に初代編集長が後輩記者に悪質なセクハラをしたとして、就任後わずか半年で突然解任され、退社した。その後を託されたのがX氏でした。編集長が二代連続で処分され、社内では“異常事態”といわれています」(同前)』、「編集長が二代連続で処分され」、いくら「編集長」のプレッシャーが強いとはいえ、「“異常事態”」だ。
・『日経広報室の回答は  X氏の周辺を取材するとこんな声も聞こえてくる。 「Xさんは仕事面ではいわゆる“できる男”で経歴もピカピカなのですが、普段から部下に対して歯に衣着せずにものを言うタイプで緊張感が漂っている。その矛先が今回はお店の人に向いてしまったのでは。お酒はなんでもよく飲みますし、飲むととにかく長いんです」(日経社員C氏) 日経広報室に問い合わせると、こう回答した。 「ご質問の社員は、社内規定に基づき処分しました。事実関係は公表していません」 酒席での失態に、反省しきりだというⅩ氏。金融の未来は読めても、自身の未来は読めなかった……』、日経でのけん責処分の重さは分からないが、一般的にはそれほど重い処分ではなく、リカバリー可能なのではなかろうか。

第三に、8月18日付けダイヤモンド・オンライン「【元外交官が語る】「日本のニュース」が「世界標準の報道」からズレる理由 『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』著者・山中俊之インタビュー」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306523
・『日本で生活していると「日本の報道」に触れることはあっても「世界の報道」に触れる機会はなかなかない。しかし、じつは世界では大きく報道されているニュースでも、日本ではほとんど報道されていないものもある。今回は『ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』の著者で元外交官、世界96カ国を訪れた経験を持つ山中俊之さんに「日本人に理解してもらいたい世界の時事問題ベスト3」を聞いてみた。さらに、山中さんがおすすめする「日本目線」だけでなく「世界の目線」に触れられるメディアも必見(Qは聞き手の質問)』、興味深そうだ。
・『知っておくべき「世界の時事問題」  Q:山中さんは外交官として活躍され、その後も含めると世界96カ国を訪問されているのですが、日本と世界を比べた場合、報道されているテーマや内容に違いを感じることはありますか? 山中俊之(以下、山中):ものすごくあります。もちろん、どの国も「自分たちの国の目線」はありますし、それぞれに関心があるテーマは違うのですが、日本のメディアは「特にここが弱い」と感じることがあります。 Q:たとえば「いま、日本人にもっと知ってもらいたい時事問題」を挙げるとしたら、どんなものがあるでしょうか。 山中:一番は移民・難民問題です。ロシア・ウクライナの戦争が起こり、避難民のことはけっこう報じられましたが、世界的に見て、日本の人口あたりの難民の受け入れ率や申請して受け入れられる人数は非常に低いです。 移民・難民は世界では大問題で、アメリカ大統領選挙でも主要な論点になります。イギリスがEUから離脱する問題、いわゆるブレグジットも移民・難民の問題が根底にあります。 しかし、日本ではあまり話題になりません。避難民の話が多少あったとしても、総選挙で「難民の受け入れをどうするか」「移民についてこうしていこう」なんて話はまず論点に上がらないですね。それだけ国民の関心が低いということです』、「移民・難民は世界では大問題」だが、「日本ではあまり話題になりません」、その通りだ。
・『なぜ、日本の報道はズレるのか?  Q:世界では大きな論点になるのに、日本ではならないのはどうしてなのでしょうか? 山中:島国で、移民や難民が陸路で来ることがないのは1つの理由でしょうね。物理的に国境を越えて、やってくるのが難しいという点です。 そうした地理的環境も手伝って、日本人のマインドというか、問題意識が非常に低いというのはあるでしょう。かつてベトナム難民を相当数受け入れたことがありましたが、それ以降は大きく受け入れたことはほぼありません。 じつはこれは世界では恥ずかしいことでして、国際会議に参加したことのある人であれば、そうした日本のスタンスが話題になり、恥ずかしい思いをしたことがある人も多いはずです。 「難民を受け入れる、受け入れない」以前の話として、もう少し世界の大問題に関心を持つことは必要だと感じます。 以前、ある海外メディアの日本語版をつくっている編集者が「(海外版では載っていても)日本語版にするときに扱わないテーマがあって、それが移民・難民の問題だ」と言っていました。 このテーマを扱っても売れないんだそうです。こういったことが積み重なって、「日本の報道」と「世界の報道」との間に大きなギャップが生じていくのだと思います』、「かつてベトナム難民を相当数受け入れたことがありましたが、それ以降は大きく受け入れたことはほぼありません。 じつはこれは世界では恥ずかしいことでして、国際会議に参加したことのある人であれば、そうした日本のスタンスが話題になり、恥ずかしい思いをしたことがある人も多いはずです」、その通りだ。
・『「再生可能エネルギー」への関心が低い日本  Q:移民・難民問題とは別に、世界と比べて特に日本のメディアが報じないテーマはありますか? 山中:再生可能エネルギーに関する話題ですね。もちろん日本でも再生可能エネルギーに関する報道はありますが、世界に比べて圧倒的に少ないですし、私の肌感覚ですが、国民の意識も低いと感じます。 脱炭素を実現する動きは世界では活発に議論されていますし、EUのなかでも特にドイツは熱心に再生可能エネルギーに関して主張していますね。 といっても、社会のなかで、なんでもかんでも賛成、賛同されているわけではありません。 「自然を破壊してソーラーパネルを設置しているなんておかしいじゃないか!」「壊れたらどう対処するのか!」などの反対意見もありますし、「風力発電の騒音の問題」など賛否両論いろんな意見が出て、活発に議論されています。 日本もそうですが、世界の国々だって、旧来の電力系の会社から多くの献金を受けている政党や政治家はいますから、どの国も、ものすごく再生可能エネルギーへの移行が進んでいるわけではありません。 そこは一筋縄ではいかないんですよ。ただ、再生可能エネルギーの問題が日本に比べて盛んに報道され、活発に議論されていることは間違いありません』、「日本でも再生可能エネルギーに関する報道はありますが、世界に比べて圧倒的に少ないですし、私の肌感覚ですが、国民の意識も低いと感じます」、残念なことだ。
・『日本は「個人の影響力」を軽視している  Q:地球環境を考えれば、再生可能エネルギーの問題を考えることの大切さは日本人も理解していると思うのですが、そこへの関心が低かったり、活発な議論にならないのはどうしてなんでしょうか。 山中:アメリカやヨーロッパでも関心のある人とそうでない人の差はあるので、そこは日本も同じだと思います。ただし、報道のされ方というか、討論番組のつくりにはちょっと違いを感じます。 Q:「番組のつくり」が違うとはどういうことですか? 山中:日本のテレビでも討論番組はそれなりにあるんですが、あそこに出てきている人たちは、立派な肩書きがある人ばかりのように感じるんですよ。 政治家や弁護士はもちろん、さまざまな活動をしている人が出演する場合でも、NPO法人の代表、一般社団法人の代表みたいな人が多いですよね。 Q:確かにそうですね。 山中:一方、アメリカやヨーロッパでは、こうした社会課題に対して個人で精力的に活動している人がどんどん番組に出て、活発に議論しているんです。 個人的な印象ですが、日本はそうした個人の活動家の影響力をやや軽視しているように感じます。 海外では、そうした人たちが株主総会にもシェアホルダーとしてガンガン入ってきて「企業の意思決定に影響力を及ぼしていこう」という動きが活発です。企業側の人たちにとっても、無視できない影響力を持ってきているんです。 日本企業の役員たちでも、そうした動きに敏感な人たちは積極的に対応しているのですが、まだまだ「そんなに重視しなくていいよ」「適当にあしらっておけ」「めんどくさい連中」くらいにしか捉えていない人もたくさんいます。 その辺りからも「個人の影響力が軽視されている」と感じますね。 でも、日本でも少しずつ、そうした影響力を無視できないようになっていくと思います。株式総会のシェアホルダーとしてやってきて「環境問題に詳しい人が取締役に1人も入っていないじゃないか!」「そんな決議は賛成できない」と言い出す人は出てくるでしょう。 もちろん、そうした人がたくさんの株を持っていることは稀でしょうから、最終的に提案は通らないでしょうけど、でも、少しずつ議論は活発にはなっていくと思います』、「討論番組のつくり」、「日本のテレビでも討論番組・・・に出てきている人たちは、立派な肩書きがある人ばかり」、「政治家や弁護士・・・NPO法人の代表、一般社団法人の代表みたいな人が多い」、「アメリカやヨーロッパでは、こうした社会課題に対して個人で精力的に活動している人がどんどん番組に出て、活発に議論」、「日本はそうした個人の活動家の影響力をやや軽視しているように感じます。 海外では、そうした人たちが株主総会にもシェアホルダーとしてガンガン入ってきて「企業の意思決定に影響力を及ぼしていこう」という動きが活発です」、「海外では、そうした人たちが株主総会にもシェアホルダーとしてガンガン入ってきて「企業の意思決定に影響力を及ぼしていこう」という動きが活発です。企業側の人たちにとっても、無視できない影響力を持ってきているんです。 日本企業の役員たちでも、そうした動きに敏感な人たちは積極的に対応しているのですが、まだまだ「そんなに重視しなくていいよ」「適当にあしらっておけ」「めんどくさい連中」くらいにしか捉えていない人もたくさんいます」、彼我の違いは大きいようだ。
・『日本のメディアは政治関連のウェイトが高すぎる  山中:最後にもう1つ挙げるとしたら、やはり「新冷戦」というか「世界の安全保障」についてでしょうね。ロシア・ウクライナの戦争が起こったことで世界は再び分断に向かっているとは思うんです。 これからロシアが中国とさらに結びついていく可能性はありますし、少なくとも、軍事力によるバーゲニングパワー(国際間の交渉・折衝における対抗力)は強まったと思います。 実際に軍事行動を起こさないまでも、軍事行動を起こすギリギリのところまでいってから妥協点をみいだす。そんな外交手段、外交圧力がもっともっと起こってくるかもしれません。 2008年にロシアがジョージアに侵攻しましたが、それ以前の国際政治の専門家が現代の状況を見たら、この現状に驚嘆すると思います。それくらい軍事力による外交は起こりやすくなっているのが実態です。 核兵器はもともとバーゲニングパワーですし、軍事力全般を含め、外交におけるそのウエートは高まったと言わざるを得ません。 それは国家間の緊張を高めてしまうだけでなく、国の予算が軍事力に割かれるようになって、福祉や教育への割り振りが少なくなってしまうなど、私たちの日常生活にも直接影響してきます。そうしたことに、もっと私たちは目を向けていかなければならないと思います。 Q:日本で生活していると、どうしても「日本目線の報道」にしかなかなか触れることができないのですが、少しでもグローバルな情報、視点をキャッチするために「これはチェックしておいた方がいい」というメディアはありますか。 山中:できれば、英語メディアを取り入れたいです。「ニューヨーク・タイムズ」は、玉石混合のネット情報とは一線を画する信頼性の高さで購読者数が世界で増加しています。 世界での影響力という点では、「エコノミスト」や「タイム」といった雑誌を目を通すことにも意味があります。日本語版で出ているものとしては、「ニューズウィーク」が良いと思います。英語メディア以外では、世界各国の報道が日本語で見れるNHK BS1の「ワールドニュース」がお奨めです。 私はよく新聞記者の方ともディスカッションさせていただくのですが、日本の報道は政治に寄りすぎているように感じます。もっと世界情勢や経済、ビジネスの最先端などの報道がされてもいいのにと常々思っています。 首相が何を言ったとか、何をしたとか、選挙がどうなっている、などもいいのですが、政治家の失言やスキャンダルも含めて、政治の話題が多すぎますよね。 そういう意味でも、ときには世界のメディアに触れて、いつもとは違った目線で世界や社会を見つめることが非常に大切だと思います。)(著者紹介はリンク先参)』、「軍事力による外交は起こりやすくなっているのが実態です。 核兵器はもともとバーゲニングパワーですし、軍事力全般を含め、外交におけるそのウエートは高まったと言わざるを得ません。 それは国家間の緊張を高めてしまうだけでなく、国の予算が軍事力に割かれるようになって、福祉や教育への割り振りが少なくなってしまうなど、私たちの日常生活にも直接影響してきます。そうしたことに、もっと私たちは目を向けていかなければならないと思います」、「「ニューヨーク・タイムズ」は、玉石混合のネット情報とは一線を画する信頼性の高さで購読者数が世界で増加しています。 世界での影響力という点では、「エコノミスト」や「タイム」といった雑誌を目を通すことにも意味があります。日本語版で出ているものとしては、「ニューズウィーク」が良いと思います。英語メディア以外では、世界各国の報道が日本語で見れるNHK BS1の「ワールドニュース」がお奨めです」、「ときには世界のメディアに触れて、いつもとは違った目線で世界や社会を見つめることが非常に大切だと思います」、このブログでもこうした「世界のメディア」の注目記事は出来るだけ紹介するようにしている。
タグ:6月16日付けの「テレビ東京HDの定時株主総会」の決議通知によれば、会社側提案が可決、株主側提案は否決されたようだ。 「今回、リムがコーポレートガバナンス(企業統治)について疑義をつきつけたことに、テレ東の現場社員は内心声援を送っている。同社経営陣は対決姿勢をとっているが、これはまさに天に唾するもの。読者にガバナンスの重要性を説いてきた企業の独善性を自ら暴露した」、「読者にガバナンスの重要性を説いてきた企業の独善性を自ら暴露した」、とは手厳しい。 「軍事力による外交は起こりやすくなっているのが実態です。 核兵器はもともとバーゲニングパワーですし、軍事力全般を含め、外交におけるそのウエートは高まったと言わざるを得ません。 それは国家間の緊張を高めてしまうだけでなく、国の予算が軍事力に割かれるようになって、福祉や教育への割り振りが少なくなってしまうなど、私たちの日常生活にも直接影響してきます。そうしたことに、もっと私たちは目を向けていかなければならないと思います」、 (その34)(日経新聞で何が起きているのか 記者の大量退職、“物言う株主”に狙われたテレ東の運命は、日経新聞“金融専門メディア”編集長が二代連続で処分される“異常事態”、【元外交官が語る】「日本のニュース」が「世界標準の報道」からズレる理由 『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』著者・山中俊之インタビュー) メディア 「日本でも再生可能エネルギーに関する報道はありますが、世界に比べて圧倒的に少ないですし、私の肌感覚ですが、国民の意識も低いと感じます」、残念なことだ。 「かつてベトナム難民を相当数受け入れたことがありましたが、それ以降は大きく受け入れたことはほぼありません。 じつはこれは世界では恥ずかしいことでして、国際会議に参加したことのある人であれば、そうした日本のスタンスが話題になり、恥ずかしい思いをしたことがある人も多いはずです」、その通りだ。 ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門 ダイヤモンド・オンライン「【元外交官が語る】「日本のニュース」が「世界標準の報道」からズレる理由 『世界96カ国で学んだ元外交官が教える ビジネスエリートの必須教養 「世界の民族」超入門』著者・山中俊之インタビュー」 日経でのけん責処分の重さは分からないが、一般的にはそれほど重い処分ではなく、リカバリー可能なのではなかろうか。 「編集長が二代連続で処分され」、いくら「編集長」のプレッシャーが強いとはいえ、「“異常事態”」だ。 「将来の社長候補の1人と目されている」人物が、「けん責」とは大変だ。 「月額6000円の購読料」で「会員数はすでに1万6000人を超えました」、とは大したものだ。 文春オンライン「日経新聞“金融専門メディア”編集長が二代連続で処分される“異常事態”」 「デジタル路線の行き詰まりと記者の大量離脱」、とは穏やかではないが、ここではこれ以上は分からないので、今後、分かれば改めてお知らせしたい。 「ときには世界のメディアに触れて、いつもとは違った目線で世界や社会を見つめることが非常に大切だと思います」、このブログでもこうした「世界のメディア」の注目記事は出来るだけ紹介するようにしている。 「「ニューヨーク・タイムズ」は、玉石混合のネット情報とは一線を画する信頼性の高さで購読者数が世界で増加しています。 世界での影響力という点では、「エコノミスト」や「タイム」といった雑誌を目を通すことにも意味があります。日本語版で出ているものとしては、「ニューズウィーク」が良いと思います。英語メディア以外では、世界各国の報道が日本語で見れるNHK BS1の「ワールドニュース」がお奨めです」、 普段は「企業統治のお説教」を垂れている「日経」が、「株主投票は記名式で、秘書室は開封して×をつけた株主をチェックする。逆らった社員には人事の報復が待つ。まさにコーポレートガバナンスの北朝鮮」、「コーポレートガバナンスの北朝鮮」とは言い得て妙だ。 日本企業の役員たちでも、そうした動きに敏感な人たちは積極的に対応しているのですが、まだまだ「そんなに重視しなくていいよ」「適当にあしらっておけ」「めんどくさい連中」くらいにしか捉えていない人もたくさんいます」、彼我の違いは大きいようだ。 「テレビ東京の」「総会のテーマが同社の筆頭株主である日本経済新聞社との関係・・・それは日本の経済報道をリードしてきた日経が覆い隠してきた宿痾の病巣」、「テレ東以外の局ではプロパーの社長も出ており、出資比率3割強の日経によるテレ東への強権支配は異様」、興味深そうだ。 「日本はそうした個人の活動家の影響力をやや軽視しているように感じます。 海外では、そうした人たちが株主総会にもシェアホルダーとしてガンガン入ってきて「企業の意思決定に影響力を及ぼしていこう」という動きが活発です」、「海外では、そうした人たちが株主総会にもシェアホルダーとしてガンガン入ってきて「企業の意思決定に影響力を及ぼしていこう」という動きが活発です。企業側の人たちにとっても、無視できない影響力を持ってきているんです。 「討論番組のつくり」、「日本のテレビでも討論番組・・・に出てきている人たちは、立派な肩書きがある人ばかり」、「政治家や弁護士・・・NPO法人の代表、一般社団法人の代表みたいな人が多い」、「アメリカやヨーロッパでは、こうした社会課題に対して個人で精力的に活動している人がどんどん番組に出て、活発に議論」、 文春オンライン「日経新聞で何が起きているのか 記者の大量退職、“物言う株主”に狙われたテレ東の運命は」
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