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スタートアップ(その8)(東大発ベンチャー破産で政財官界に拡がる波紋…政府が進める「投資促進」に陰り、カネ集めに大異変「ベンチャー選別時代」の勝ち筋 数字と図表で徹底解剖!ベンチャー最前線①、日本でまともな「ベンチャー企業」が育たない理由...本当の問題は資金調達ではない) [イノベーション]

スタートアップについては、5月31日に取上げた。今日は、(その8)(東大発ベンチャー破産で政財官界に拡がる波紋…政府が進める「投資促進」に陰り、カネ集めに大異変「ベンチャー選別時代」の勝ち筋 数字と図表で徹底解剖!ベンチャー最前線①、日本でまともな「ベンチャー企業」が育たない理由...本当の問題は資金調達ではない)である。

先ずは、8月17日付け日刊ゲンダイ「東大発ベンチャー破産で政財官界に拡がる波紋…政府が進める「投資促進」に陰り」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/309862
・『官界通(同=官) 「東大発のベンチャー企業」として注目された医療系新興企業テラの自己破産が8月5日に確定し、23日に東証スタンダード市場への上場が廃止される。社員30人の小さな企業の行き詰まりだが、政官財の各界に波紋が広がっている。 政界通(以下=政) そうだ、安倍政権以来、政府が「貯蓄から投資へ」のキャッチフレーズで力を入れている投資促進策に、陰りが出ている。 財界通(同=財) テラは2004年に設立された若い企業。東大医科学研究所の技術をもとに医療機関へがん治療のノウハウを提供し、09年3月に上場した。売上高がどんどん増え、株価も初値の300円から10倍を超える4000円台まで急騰し、一般投資家に「夢」を与えた。 官 だが、創業者社長が社内規定に反して持ち株を大量売却したり、有価証券報告書の記載に不備があって金融庁に処分されたり、情報開示や企業統治が不十分で信頼を失った。 政 でも、新型コロナウイルスの治療薬開発に医薬品企業と提携し、メキシコで臨床研究を始めると起死回生を目指していたぞ。) 財 その発表で低迷していた株価がまた急騰したが、東証に提携の経過が不明確で提携先の情報確認が不十分と指摘され、昨秋に特設注意市場銘柄へ移されて夢はしぼんだ。増資もうまくいかず金融機関からの融資も止まり、破産手続きに追い込まれた。 官 投資家にすれば「何で、そんなずさんな企業を上場させたのだ」となるが、上場支援した証券会社のチェックも取引所の上場審査も型通り。上場後のチェックも、人手不足やコストを理由に不十分というのが実情だ。 政 それじゃあ、株券が紙切れ同然になった投資家が気の毒だ。 官 決算内容をチェックして「OK」としてきた会計事務所が問題になるが、意図的に情報隠しを手伝っていなければ、責任は問えない。 政 結局は「投資家の自己責任」か。それでは「投資よりも貯蓄のほうが安心」という日本人の傾向は、変わらないな』、「上場支援した証券会社のチェックも取引所の上場審査も型通り。上場後のチェックも、人手不足やコストを理由に不十分」、「会計事務所が問題になるが、意図的に情報隠しを手伝っていなければ、責任は問えない」、「結局は「投資家の自己責任」か。それでは「投資よりも貯蓄のほうが安心」という日本人の傾向は、変わらないな」、残念ながらその通りだ。

次に、9月10日付け東洋経済オンライン「カネ集めに大異変「ベンチャー選別時代」の勝ち筋 数字と図表で徹底解剖!ベンチャー最前線①」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/617065
・『アメリカを震源とする株式市場の低迷が、世界のベンチャー企業に影を落とし始めている。 9月12日発売の『週刊東洋経済』では、「すごいベンチャー100 2022年最新版」を特集。注目のベンチャー100社の総力取材記事に加え、ベンチャー市場の最新トピックスも網羅する。 足元では、輝く「ユニコーン」(評価額10億ドル以上で創業10年以内の未上場企業)としてもてはやされた企業の評価額が急落し、相次いで人員削減を迫られている。ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家は、利益を出すことを起業家たちに要求している』、「ベンチャーキャピタル」が足元の苦境の余り、「利益を出すことを起業家たちに要求」というのは困ったものだ。もっと長い目での成長を促してほしいものだ。
・『影響は「まだ反映されていない」  日本のベンチャーにとってもひとごとではない。「評価額の下落は少しではない、半額だ」「想定した評価額に届かず、資金調達を諦めて事業を縮小した」。一部ベンチャーの経営陣からは苦しい声が聞こえ始めている。 スタートアップ情報プラットフォームのINITIALによれば、2022年1~6月の国内ベンチャーの資金調達額は4160億円と、上半期として過去最高となった。大型調達が連発され、年間で初めて8000億円を超えた2021年を上回るペースではある。 とはいえ、レイターステージ(株式上場が視野に入る段階)のベンチャーが対象のファンドを運営するシニフィアンの朝倉祐介氏は、「大型調達ほど時間がかかるため、2021年から検討し2022年に入って完了したものもある。そもそもアメリカに比べ日本はレイターの比率が低いため、市況の変化がまだ反映されていない」と指摘する』、「日本はレイターの比率が低い」、アーリーの「比率が低い」の間違いではないのだろうか。
・『上場目前の企業に打撃  一部ではすでに影響が出始めている。 AI契約審査SaaS(Software as a Service)のリーガルフォースは、6月に137億円の大型調達を行ったが、「昨年であれば評価額はもっと高くつけられたと思う」(角田望社長)と語る。 SaaSを中心に、上場企業の時価総額や未上場企業の評価額は、これまで売上高倍率で30倍程度という高い水準だった。だが現状は「20倍、15倍という水準まで下がっている」(コーラルキャピタルの澤山陽平・創業パートナー)。 上場を直前で取りやめた企業も出ている。インフルエンサーや企業のマーケティング支援を手がけるエニーマインドグループやチャットボットのジールスは、既存投資家などからの調達に切り替えた。 内視鏡AIによるがん診断を手がけるAIメディカルサービスも80億円を調達したが、関係者によれば当初は上場を目指していたという。 投資家側を見ると、2021年は海外勢の動きが目立っていた。日本での投資を始めたソフトバンク・ビジョン・ファンドや、上場株と未上場株の両方に投資する「クロスオーバーファンド」が押し寄せた。 だが、「海外のクロスオーバーは2021年末以降、一気に引いた」と複数のファンドやベンチャー関係者が口をそろえる。 運用資金の多い海外勢はレイターへの投資を牽引してきたが、出し手が減れば調達できないベンチャーが続出する可能性がある』、市場環境による「調達」困難化は日常茶飯事と割り切るしかない。
・『調達は「早い者勝ち」に  香港を拠点とするクロスオーバーファンド、タイボーン・キャピタル・マネジメントで日本株投資責任者を務める持田昌幸氏は、「上場株が値下がりしている中、流動性の低い未上場株を高く買う理由は正直ない。ただ、高くても魅力的なベンチャーはあるので、投資は続ける」と話す。 さらに持田氏は、「レイターの投資家が減っている中、ベンチャーにとって資金調達は“早い者勝ち”。『評価額を下げたくないから、当面はコストを絞ってしのぐ』と思っても、競合が先に調達してしまうとその後の出し手がいなくなる。起業家のセンスが問われる段階になってきた」と話す。 別のある海外投資家は、「CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)など、金融収益ではなく事業のシナジーを重視する投資家が株主に多いと、株価が割高になったままだ。反面、アメリカでは格安の会社がいくつも出ているので、無理して日本のベンチャーに投資する必要はない」と明かす』、「調達は「早い者勝ち」」との考え方はおかしい。本来、株式公開による「調達」は、ゴールではなく、スタート地点の筈だ。どうも、日本のベンチャー企業やベンチャー・キャピタルには、間違った考え方が依然として根強いようだ。

第三に、10月25日付けNewsweek日本版が掲載した経済評論家の加谷珪一氏による「日本でまともな「ベンチャー企業」が育たない理由...本当の問題は資金調達ではない」を紹介しよう。
・『<岸田政権が進める大企業によるベンチャー買収の促進策は、日本における起業を活性化させるには正しい方針だ。ただ具体的な方法については実効性に疑問が残る> 政府が、大企業によるベンチャー企業買収を促進する施策について検討を始めている。ベンチャー企業を買収した場合、株式取得額の25%を課税所得から控除する案が出ているという。岸田政権は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付けており、税制優遇することによってベンチャー企業にとっての「出口戦略」を容易にし、起業の活性化につなげる。 大企業による買収を促進する今回のプランは、的外れなベンチャー支援策ばかり繰り返してきた日本政府としては、珍しく正しい方向性といえる。日本においてベンチャービジネスが活性化しないのは、資金が集まらないことが原因であるという説が、まるで神話のように語られてきたが、これは事実ではない。 日本国内のベンチャー投資金額は年間1兆円規模に達しており、対GDP比ではドイツと同水準、イタリアの5倍もある。アメリカと比較すると10分の1以下だが、同国は世界でも類を見ないベンチャー大国であり、極めて特殊なケースと言っていい。少なくとも日本の資金調達環境が諸外国と比べて著しく劣っているわけではない。 では、なぜ日本ではベンチャー企業が育ちにくいのだろうか。最大の問題は、資金調達ではなく、むしろ資金を集めてからで、日本の商慣行が大きな壁として立ちはだかっている』、「日本国内のベンチャー投資金額は年間1兆円規模に達しており、対GDP比ではドイツと同水準、イタリアの5倍もある。アメリカと比較すると10分の1以下だが、同国は世界でも類を見ないベンチャー大国であり、極めて特殊なケースと言っていい。少なくとも日本の資金調達環境が諸外国と比べて著しく劣っているわけではない」、その通りだ。
・『日本でベンチャーが育たない本当の理由  日本ではベンチャー企業が新しい製品やサービスを開発しても、大企業は「前例がない」「新しいものはよく分からない」といって取引を拒むケースが多く、ベンチャー企業の事業継続が困難になっている。このため、多くのベンチャー企業が十分な規模に成長することができない。一方で証券業界は手数料欲しさに、成長途上の未熟な企業まで無理に上場させてしまうため、株価が急落して投資家が損失を出すなど悪循環の連続となっている。 大企業が積極的にベンチャー企業を買収すれば、規模が小さく会社の体制が脆弱であっても、創業者や出資者は利益を得ることができる。加えて大企業の組織に起業家出身者が加われば、確実に組織は活性化し、やがては会社から独立して起業家になる人物も増えてくるだろう。上場が主な出口となっている現状と比較して、さまざまな面でハードルが下がると予想される。) しかしながら、この政策には実効性という点で大きな問題がある。その理由は、大企業が税制優遇だけでベンチャーを積極的に買収する可能性は低いからである。 安倍政権時代、政府は法人税の減税を繰り返し、既にかなりの低税率となっている。加えて、日本には以前から租税特別措置(租特)と呼ばれる優遇税制があり、多くの大企業がこの制度を利用して節税している。現実問題として、大企業は税金をあまり払っていないので、減税策を提示されても、魅力的には感じないだろう。 むしろ、旧態依然とした経営の刷新を目的に政府が進める「ガバナンス強化策」において、ベンチャー企業活用を促したほうが圧倒的に効果が高いと考えられる。欧米各国でも、全ての大企業経営者が勇猛果敢にベンチャー企業の新技術を活用しているわけではない。経営者に対して、現状維持を許さない市場環境があるからこそ、ベンチャー企業の買収や新技術の採用が進むという現実を、理解しておく必要がある』、「ガバナンス強化策」で「経営者に対して、現状維持を許さない市場環境」に変えることにより、「ベンチャー企業の買収や新技術の採用が進む」、という王道で臨むべきだろう。
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