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人権(その9)(参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」、「同性愛は精神障害」冊子にドン引き 人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪) [社会]

人権については、6月1日に取上げた。今日は、(その9)(参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」、「同性愛は精神障害」冊子にドン引き 人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪)である。

先ずは、6月25日付けNewsweek日本版が掲載したライターのヒラマツマユコ氏による「参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/06/post-98961_1.php
・『<性産業で働く人々の「誰も耳を傾けてくれなかった問題」の政策化や、当事者の政治参加は実現するのか> 7月10日に行われる参議院議員選挙で、立憲民主党から比例代表候補として出馬している要友紀子(かなめ ゆきこ)氏。彼女は、性産業で働く人々の健康と安全のために活動する団体SWASH(Sex Work And Sexual Health)の代表であり、アジア太平洋地域24カ国のセックスワーカー団体のネットワーク組織APNSW(Asia Pacific Network of Sex Workers)の理事としても活動している。 20年以上にわたり性産業で働く人々の人権擁護や支援をする中で、関連するさまざまな問題を国や社会に問いかけてきた。最近では、コロナ禍における給付金支給の対象からセックスワーカーや性産業事業者が除外されたことに抗議したり、現場の人々(当事者ら)の意見を十分に聞かず可決を急いだ議員立法「AV出演・被害防止法案(AV新法)」に提言し緊急集会を開いたりといった活動が記憶に新しい。 そんな彼女に参院選出馬の背景、国政/有権者それぞれに届けたい声などについて、ライターのヒラマツマユコが話を聞いた(Qは聞き手の質問、Aはヒラマツ氏の回答)。 Q:セックスワーカーの支援と政治との結びつきについて、ピンとこない読者もいるかもしれません。そもそも「セックスワーカーを支援することは、女性が性的に搾取されない社会を作ることに反しているのではないか」という指摘がありますが。 A:私は常に「当事者の政治参加」と「当事者の命と健康をどう守るか」という話をしてきました。「セックスワークがある社会」に対する評価は一切していません。その土俵に乗るつもりもありません。 むしろセックスワークの是非論を焦点化することで、置き去りにされる人命と人権があるのが問題だと考えています。実際に、誰がどんな問題で困っているのかを見る必要があるというだけです。実際に性産業という市場があり、そこで働いている人たちがいるので、その人たちの人命と人権は守られなければいけないですよね。 Q:立憲民主党の候補者募集に応募し、出馬した経緯は? A:今国会で成立した「困難女性支援法」と「売春防止法」の改正に関しては、2018年からロビー活動をしてきました。 その一環で、厚生労働省が行った「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」に参加したいと何度も要望書を出しました。性産業で働く女性たちの中にも「困難な問題を抱える女性」はたくさんいますし、切実に取り入れるべき意見を届けたいという思いでした。 しかし、何度か行われた検討会に入れてもらえる機会は一度もありませんでした。国会に提出される段階になってあらためて、直接議員から話を聞きたい、現場の人たちにも説明をしてほしいとメールや電話でたびたび問い合わせたところ、提出の直前にやっと1時間ほど女性議員から説明を受けることができました。しかし提出が決まっている内容についての説明に過ぎませんでした。 私たちセックスワーカーの声が無視されていると感じました。これが1つめの大きな絶望です』、「参院選」で「要友紀子」氏は立憲民主党の候補者で14位の得票で落選(Wikipedia)。やはり、「セックスワーカー」の「支援」では比例の順位はかなり低くならざるを得ないようだ。「セックスワークの是非論を焦点化することで、置き去りにされる人命と人権があるのが問題だと考えています。実際に、誰がどんな問題で困っているのかを見る必要があるというだけです。実際に性産業という市場があり、そこで働いている人たちがいるので、その人たちの人命と人権は守られなければいけないですよね」、確かにその通りだ。
・『AV新法の件では、当事者団体10団体を集め「AV新法の対話集会」というものを衆議院会館で開催したのですが、聞きに来てくれた議員は川田龍平氏1人で、代理で秘書が出席という人が4~5人いるだけでした。国会議員700人近くにメールで声をかけ、関係が深そうな議員の事務所は直接訪ねたにも関わらずです。これが2つめの絶望です。 この3つの法律に関して「話を聞いてもらえない」「進捗を開示してもらえない」「何もコミットできなかった」という絶望体験がありました。 2~3年後にこれら法律の見直しのタイミングがきますが、10団体以上ある当事者団体が全くコミットできないのはまずいという危機感が強く、応募の決断につながりました。今回、当事者として出馬しているのは私だけですが、セックスワークに理解がある候補者は他に何人もいるので、それだけでもまずはいい流れだと感じています。 Q:性産業従事者の声を聞こうとしない多くの議員もそうですが、職業差別をしている人たちの大半は無自覚だと思います。まず、自覚をしてもらうためにはどうしたらいいでしょうか? A:SNSでの発信以外でも、マスコミの取材依頼がいくつも来ていて、なるべく答えるようにしていますが、まずはそうしたメディアに載った私のコメントを読んでほしいです。 もし当選することができたら、議員さんたちと人間として知り合って、仲良くなって対話をしたいです。やっぱり、全く知らない友達でもない人の話ってそんな聞きたいと思わないじゃないですか。だからこそ「外からギャンギャン言ってる人」ではなく、「内側の人」になることが有意義だと考えています。議員になる意味ってそこだと思います。私が意外と穏やかな人間であることも知ってもらえると嬉しいです(笑)。 Q:政治への関心はいつ頃から持ち始めたのでしょうか。 A:1989年の土井ブーム(*1)には影響を受けましたね。女性政治家が多数登場するところを小学生のときに見た経験は大きいです。 その後、田嶋陽子さんの流行があり、彼女の本も読んでいました。女性として政治参加が当たり前だと思えるようになったきっかけで明確なのは、この2つだと思います。 その後、20代からSWASHの活動をしていて、政治には関心があるほうだったと思いますが、当時は実績がないので選挙に立候補するという選択はできませんでした。 それからひたすら活動をしていく中で、セックスワークの問題はいろいろな社会課題と複雑に重なっていて、既存の社会活動・人権活動とも関わりがあるのだと実感していきます。 路上生活者の問題、シングルマザーの困窮、セクシュアルマイノリティや人種差別問題、学費問題、学歴主義社会、そういった社会的弱者や貧困の問題は全てセックスワークにも密接に関わっています。全てが人権の問題です』、「セックスワークの問題はいろいろな社会課題と複雑に重なっていて、既存の社会活動・人権活動とも関わりがあるのだと実感」、なるほど。
・『私の掲げている政策は「セックスワークのシングルイシュー(*2)」のように思われることもあるようですが、全くそんなことはありません。先ほど述べたようなさまざまな社会課題は当然どれも重要です。当選したらそういった課題にも1つずつ取り組んでいきます。 (注釈)*1:1989年の参院選にて、土井たか子委員長の率いる社会党は改選22議席の2倍超の46人が当選。全国で22人の女性議員が誕生し「マドンナ旋風」と呼ばれ、大きな話題となった。 (注釈)*2:一つの事柄に焦点を絞って、賛成・反対を問うという政治手法。 Q:「性産業のことは性産業で働く人たちが決めるという、当たり前のことを普及させたい」など11の政策目標を掲げていますが、最も重要だと考えているものは? A:やはり命に直結することの優先順位は高いと思います。 セックスワークの場合、店舗型風俗は法律で厳しく制限されているので、新規開業がほとんどできず衰退の傾向にありますが、データによればこの店舗型では凶悪犯罪がほとんど起きていません。スタッフがいて、最低限の監視の目があり、何かあったときには駆け付けられることなどが理由です。 一方で、店舗型の規制が厳しくなった代わりに増えている無店舗型風俗(デリヘルなど)では、仕事場となるホテルなどで殺人や暴行などの事件が多数起きています。規制を厳しくすることで、追いやられた当事者や事業者が更なる危険にさらされるというケースは、データでも実証されています。 安全な場所を確保することは急務です。痴漢やその他の暴力などもそうですが、どういう条件が揃うと起こりにくいのかというデータは必ずあるので、人命を最優先に1つずつ整備していく必要があります。 Q:AV新法をめぐっては、塩村あやか氏、井戸まさえ氏、堤かなめ氏など、賛否両論の立憲民主党議員・元議員の発言が取り沙汰されました。要さんは「当事者の声を聞いて議論を進めるべきだ」という姿勢を取っていますが、当選した場合に党内でどんな対話をしていきたいですか? 大前提として、フェミニストにもいろいろな考えの人がいます。大まかに言うと、性産業そのものへの規制を厳しくし、市場自体をなくしていくべきという考え方のフェミニスト(北原みのり氏や井戸まさえ氏など)をラディカルフェミニストと呼ぶことがあります。 彼女たちの話しか聞いたことがない人は、当然強い影響を受けると思います。だからこそ私が入ることで、そうじゃないフェミニストの話も聞く機会ができ、誰が何で困っているのかをきちんと見つめて、バランスを取ろうと考えてくれる議員も増えるのではないでしょうか』、「店舗型の規制が厳しくなった代わりに増えている無店舗型風俗・・・では、仕事場となるホテルなどで殺人や暴行などの事件が多数起きています。規制を厳しくすることで、追いやられた当事者や事業者が更なる危険にさらされるというケースは、データでも実証されています。 安全な場所を確保することは急務です」、その通りだ。
・『Q:セックスワーカー当事者へ届けたいメッセージはありますか? A:自分が「嫌だな」「おかしいな」と思っても、「風俗で働いているからしょうがないんだ」と無意識のうちに諦めてしまっていることが、きっとたくさんあると思います。 でも、私の選挙活動をどこかで見聞きすることで、自分たちがこの仕事をしているせいじゃない、政治のせいなんだと気付いてもらえるような語りかけをしていきたいです。 私が掲げている政策は、みんながこれまで「諦めさせられてきたこと」ばかりです。「盗撮されたけど警察が取り合ってくれなかった」「風俗店の火災で死人が出たけど、理由は老朽化じゃなくて改装制限なんだ」「殺人事件が起こったときに、なんで被害者を実名報道するんだ」といったことは、どれも私たちが声を上げなかったのではなく、誰も耳を傾けてくれなかった問題です。 これらを政策として唱えることで、「変えてほしい」「私たちは困っている」と言っていいんだ、ということに気付いてもらいたいです。 Q:そうした周縁化されている労働者の声を国政に届けることが重要なミッションだと思いますが、セックスワーカー以外の人へ伝えたいことは? A:セックスワークへの差別と向き合い続けて分かったのは、セックスワークへの差別は全ての差別とつながっているということです。 障がい者問題や優生思想、クラブでのダンス規制、同性婚が認められないことなど、具体的に揚げていったらキリがないくらい、関わりのある問題はたくさんあります。 セックスワークが差別されるということは、他にも差別がたくさんあるということなんです。そうして、あらゆる問題がつながっているということを、少しでも多くの人に知ってほしいと思います。 選挙活動をし始めて一層強く感じたのは、選挙制度を変えたいという気持ちです。選挙でしか政治を変えられないという日本の現状が、そもそもおかしいです。 選挙に出るってとても大変ですし、お金だけあっても出られるわけではない。そして選挙戦はどれだけの数の人と会うかが最も重要で、とにかく顔と名前を覚えてもらうために握手をする、もはや政策は関係ないという状況です。 政治を動かすためには選挙に出るしかなくて、それなのに出馬しても政策ではほとんど選んでもらえないなんて、そんな仕組みはやめた方がいいですよね』、「セックスワークへの差別は全ての差別とつながっているということです。 障がい者問題や優生思想、クラブでのダンス規制、同性婚が認められないことなど、具体的に揚げていったらキリがないくらい、関わりのある問題はたくさんあります。 セックスワークが差別されるということは、他にも差別がたくさんあるということなんです。そうして、あらゆる問題がつながっているということを、少しでも多くの人に知ってほしいと思います」、同感である。

次に、7月7日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「「同性愛は精神障害」冊子にドン引き、人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/306014
・『自民党の同性愛差別にドン引き 成長しない日本の象徴  自民党内で議員に向けて配布された冊子が炎上している。 「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合で配布された冊子「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT ー家族と社会に関わる諸問題ー」の中にあった記述に対して、「吐き気がする」「差別意識が強い」などと批判が寄せられているのだ。その記述とはこうだ。 「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」 「同性愛の原因について、家庭環境、特に親子関係に問題がある」 「同性愛を擁護する教育をすれば同性愛者は増える」 「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」 同性愛者を迫害して、強制収容所送りにしたナチス・ドイツを彷彿とさせる過激な主張の数々に、さすがにドン引きしたという自民党支持者も多いだろう。しかし筆者は驚きよりも「既視感」の方が強かった。 実は今回、自民党議員たちが学んだ「同性愛」についての認識というのは、今から100年以上前の日本人が主張していたこととほぼ同じなのだ。 あまり知られていないが、明治から大正にかけての日本はLGBTの人々が相次いで自殺や心中をして大きな社会問題になっていた。これを受けて、「読売新聞」(1915年8月12日)にある医学博士が「病的な愛」という記事を寄稿している。その一部を抜粋しよう。 <近頃の新聞記事を見るとまたしても「男同志の情死」とか「女同志の情死」とかと、同性間の恋愛問題が伝えられます。人は誰しも愛の感情を持つていますが、それが同性間に於て行はれるは確かにその人が病的な精神状態にある事は争はれません> 先ほどの冊子の「同性愛は精神障害」という主張と丸かぶりである。裏を返せば、この国の「保守」と呼ばれる人々のLGBTへの認識というものは100年前から1ミリも変わっていない、という厳しい現実があるということだ』、「この国の「保守」と呼ばれる人々のLGBTへの認識というものは100年前から1ミリも変わっていない」、残念ながらその通りだ。
・『2022年の「保守」と1915年の日本人の主張は瓜二つ  事実、共通点は他にもある。 自民党内で配布された冊子では、同性愛は後天的な病であって、家庭環境が原因だと主張しており、次のように具体的な「同性愛者のつくられ方」を示している。 「同性愛者の母は、子供と密接な関わりを持つ親密な母や子供に対して過度に統制的で抑圧的な母が多く、同性愛者の父は子供との距離感があったり、敵対的、或いは子供に対して否定的な父が多い」 「これはさすがに偏見では」とあきれる人も多いだろうが、実はこれも100年前の日本では「常識」として語られていた。先ほどの医学博士も、幼い時に父親を亡くした女児は、母親との結びつきが強くなって同性愛へ走る傾向があるとして、こんな解説もしている。 <異性の居ない處(ところ)に里子にやられるとか三、四歳から同性者と共に寄宿せしめるような場合に其人は同性の愛の傾向を有するに至ります。又両親が欠けるか不幸な教育を受けた人々はヒステリーや神経質に陥る事は事実で、また是等ヒステリーや神経質のものには同性の愛情を有つている者も多いのです> さて、そこで気になるのは、なぜ2022年の「保守」と1915年の日本人の主張がこうも瓜二つになるのかということだろう。 今回の炎上騒動で、さまざまな専門家が指摘しているように、「同性愛は精神障害」というのは現在、科学的に否定されている。WHO(世界保健機関)や米国精神医学会、日本精神神経学会なども同性愛を「治療」の対象から除外しているのだ。 にもかかわらず、自民党議員の中には、そんな「科学の進歩」から頑なに目を背ける人たちがいる。 なぜ100年前の日本人が主張していた「同性愛は精神障害」という古い話を延々と引っ張り続けているのかというと、それが「保守政党」というものだからだ』、「なぜ100年前の日本人が主張していた「同性愛は精神障害」という古い話を延々と引っ張り続けているのかというと、それが「保守政党」というものだからだ」、学説の進化に背を向けぱなしというのは滑稽でもある。
・『日本の「保守」とは明治期にできた価値観・ルールを守ること  日本人の多くは「保守」と聞くと、日本古来の伝統を守ることだと思っているが、それは大きな誤解だ。この同性愛のケースを見てもわかるように、実際は「明治期にできた価値観やルール」を引っ張り続けることだ。 よく言われることだが、明治以前の日本は、同性愛を病気扱いなどせず、社会の中で当たり前のように存在が認められていた。例えば、江戸時代には武士の間では「衆道」という男色行為が流行していて、井原西鶴も浮世絵草紙「男色大鏡」の中で、「男色ほど美なるもてあそびはなき」と言った。 先ほどの冊子が正しいということことになれば、江戸時代の人々は精神障害だらけで、親子関係に問題を抱えていた人ばかりということになってしまう。 このような形で、明治以前にあった文化を「無視」していることからもわかるように、「保守」と呼ばれる人たちがよく言う「日本古来」というのは、すべて明治時代がスタートになる。 わかりやすいのは「夫婦同姓」だ。保守の人たちは夫婦が別の姓になってしまったら、日本の伝統的な家族が崩壊するというが、一般庶民が「姓」(苗字)を名乗るようになったのは、1875年に明治政府がルールをつくったからだ。さらに、結婚した夫婦が同姓になるという制度がつくられたのはもっと遅くて1898年で、たかだが120年ぽっちの新しい習慣なのだ。 このことからもわかるように、実は「保守」と呼ばれる人々というのは、「日本古来の伝統を守っている」わけではなく、「明治にできた価値観・ルールを守っている」というのが現実なのだ。 という話をすると、「近代化の礎を築いた偉大な先人たちの叡智を守って何が悪い!」と不愉快になられる「保守」の方たちも多いだろう。ただ、明治時代にできた価値観・ルールに執着し続けることは日本にとってかなり良くない。控え目に言って、「最悪」である。 今、日本で起きているパワハラ、外国人労働者への差別的な待遇、児童虐待などの人権問題にとどまらず、いつまでも経っても賃金が上がらない「安いニッポン」という経済の問題もつきつめていけば、我々が100年前の価値観・ルールに執着し続けていることが大きいからだ』、「明治以前の日本は、同性愛を病気扱いなどせず、社会の中で当たり前のように存在が認められていた。例えば、江戸時代には武士の間では「衆道」という男色行為が流行していて、井原西鶴も浮世絵草紙「男色大鏡」の中で、「男色ほど美なるもてあそびはなき」と言った」、「実は「保守」と呼ばれる人々というのは、「日本古来の伝統を守っている」わけではなく、「明治にできた価値観・ルールを守っている」というのが現実」、なるほど。
・『多様性を訴えておきながら偏見まみれ 「死」に追い込んできた日本社会  そのあたりの構造でわかりやすいのが、LGBTの自殺率の高さだ。 先ほど明治から大正にかけての日本ではLGBTの自殺や心中が続発していたことを紹介したが、なぜ当時LGBTの人々は自ら命を絶ったのかというと、肩身が狭かったからだ。 当時、西洋医学の知識が続々と入ってきたことで「性欲」について語られることが多くなり、「変態性欲」なんて言葉も生まれていた。そこで女学生同士が心中をするというような事件が続発したことで、世の中には「変態性欲に惑わされた若者たちをしっかりと矯正しなくてはいけない」というムードが高まった。前述の医学博士の記事もその一環だ。 社会の中で、同性愛の男性たちは「異常性欲者」と吊し上げられた。例えば、1923年には旭川第七師団の軍曹が、部下たちに「鶏姦し情欲を遂げていた」(読売新聞1923年8月16日)として軍法会議にかけられている。また、同性愛の女性たちも家族から「真人間になりなさい」と続々と矯正された。強引に縁談を決められて、男性のもとに嫁がされたのである。 こういう時代背景を考えれば、LGBTの人々の心中や自殺が増えていたのも納得だろう。 実際、アメリカでは宗教的な理由から、同性愛を矯正する「コンバージョン・セラピー」(転向療法)というものが存在するが、これを受けることによって、受けていない人の2倍の率でうつになり、3倍の率で自殺するという説もある。 明治から大正にかけての日本は、社会全体で「コンバージョン・セラピー」をおこなっていたようなものだ。だから、この時代のLGBTは心中や自殺をした。ある意味、「死ぬように追い込まれた」と言えなくもない。 そして、この傾向は今も変わっていない。「これからは多様性が大事」「ひとり1人が自分らしく生きられる社会へ」なんてきれい事を言っている政権与党が裏では「同性愛者は精神障害」なんて冊子を配っている。このことからもわかるように、日本ではいまだに口に出さずとも、心の中でLGBTを「心を病んだ人」と捉えたり、「まったく理解できない人々」と蔑んでいる人が山ほどいるのだ。LGBTの人たちは日常的にそういう悪意にさらされる。だから当然、うつ病や自殺者も多い。 明治時代の価値観・ルールに執着し続ける社会によって、100年前と変わることなく未だに多くのLGBTの人々が、「死ぬように追い込まれている」という厳しい現実があるのだ』、「「これからは多様性が大事」「ひとり1人が自分らしく生きられる社会へ」なんてきれい事を言っている政権与党が裏では「同性愛者は精神障害」なんて冊子を配っている」、「明治時代の価値観・ルールに執着し続ける社会によって、100年前と変わることなく未だに多くのLGBTの人々が、「死ぬように追い込まれている」という厳しい現実があるのだ」、その通りだ。
・『古いルールが現代日本を苦しめる 遠い日本復活  このほかにも日本を低迷させているさまざま問題の多くはルーツをたどっていくと、明治や大正にできあがった人権意識、慣習、社会制度につきあたる。 例えば今、日本人を悩ませている「安いニッポン」もそうだ。ご存じのように、日本人の賃金は、先進国の中でもダントツに低く、平均給与ではついにお隣の韓国にも抜かれている。 しかし、自民党は世界では常識となっている「最低賃金の引き上げ」にも腰が引けており、今回の参議院選挙でも「公約」から外した。『「年収200万円暮らし」炎上の裏で、最低賃金1000円の公約もみ消す自民党の二枚舌』の中で解説したが、これは中小企業経営者の業界団体からの選挙支援と引き換えに引っ込めたということと、この国がいまだに明治時代の「賃金」感覚を引きずっていることだ。 2012年12月、公益財団法人「連合総合生活開発研究所」が、「日本の賃金ー歴史と展望」という調査報告書を公表した。その中では明治期に確立された日本人の「賃金」について、こんな特徴があると指摘している。 <職種や技量を社会的に評価する基準を持たず企業内での賃金決定を行ってきた。労働者の意識も「就職」というより「就社」であった>  <賃金と仕事の能率・仕事の強度との関係が明確でなかった。つまり労働時間に対する標準作業量を明らかにして働くこと、1日、1週、1カ月の労働時間管理が、工場労働者に対してすらきちんとは行われず、戦前から長時間労働が常態化していた。その上、労働のあり方がホワイトカラー化したことによって、労働時間と仕事との関係がますます明確でなくなったために、正社員の長時間労働や過労死すら生まれている> 世界では「賃金」の基準は明確だ。どれだけ働いたのかという対価であり、社会の中でも最低賃金という基準が決まっている。だから、物価上昇すると、経済を循環させるために、アメリカでもEUでも東南アジアでも韓国でも、政府が最低賃金を大幅に引き上げる。「賃金を上げたら倒産が増える」なんて根拠のない話で賃上げを見送らないのだ。 しかし、日本では明治期に「賃金というものは企業内で決める」というルールが出来上がって今もそれを引きずっている。だから、年収200万に満たないワーキングプアが社会にあふれかえって、庶民がどんどん貧しくなっても、政府は「賃金は企業におまかせ」と無視してきた。明治時代につくられた価値観・ルールが「呪い」のように、2022年の日本人を苦しめているのだ。 7月10日の参議院選挙で、自民党は圧勝すると言われている。そうなると、「同性愛は精神障害」と主張して、同性婚を反対する神道政治連盟と、「中小企業が潰れるから賃金はなるべく低く」と働きかける日本商工会議所は「功労者」としてさらに発言権が増す。 ということは、これからも明治の価値観・ルールは健在ということだ。「日本復活」の道筋はまだ当分見えそうもない』、「物価上昇すると、経済を循環させるために、アメリカでもEUでも東南アジアでも韓国でも、政府が最低賃金を大幅に引き上げる」、「日本では明治期に「賃金というものは企業内で決める」というルールが出来上がって今もそれを引きずっている。だから、年収200万に満たないワーキングプアが社会にあふれかえって、庶民がどんどん貧しくなっても、政府は「賃金は企業におまかせ」と無視してきた」、「7月10日の参議院選挙で、自民党は圧勝すると言われている。そうなると、「同性愛は精神障害」と主張して、同性婚を反対する神道政治連盟と、「中小企業が潰れるから賃金はなるべく低く」と働きかける日本商工会議所は「功労者」としてさらに発言権が増す。 ということは、これからも明治の価値観・ルールは健在ということだ。「日本復活」の道筋はまだ当分見えそうもない」、このままでは救いがないが、唯一の救いは、信頼を失った岸田政権が解散・総選挙に打って出る可能性が出てきたことだ。ただ、その結果が、救いがあるものになるかは、蓋を開けてみなければ分からないのも事実だ。 
タグ:人権 (その9)(参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」、「同性愛は精神障害」冊子にドン引き 人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪) Newsweek日本版 ヒラマツマユコ氏による「参院選出馬の要友紀子「セックスワーク差別は全ての人権問題とつながっている」」 「参院選」で「要友紀子」氏は立憲民主党の候補者で14位の得票で落選(Wikipedia)。やはり、「セックスワーカー」の「支援」では比例の順位はかなり低くならざるを得ないようだ。「セックスワークの是非論を焦点化することで、置き去りにされる人命と人権があるのが問題だと考えています。実際に、誰がどんな問題で困っているのかを見る必要があるというだけです。 実際に性産業という市場があり、そこで働いている人たちがいるので、その人たちの人命と人権は守られなければいけないですよね」、確かにその通りだ。 「セックスワークの問題はいろいろな社会課題と複雑に重なっていて、既存の社会活動・人権活動とも関わりがあるのだと実感」、なるほど。 「店舗型の規制が厳しくなった代わりに増えている無店舗型風俗・・・では、仕事場となるホテルなどで殺人や暴行などの事件が多数起きています。規制を厳しくすることで、追いやられた当事者や事業者が更なる危険にさらされるというケースは、データでも実証されています。 安全な場所を確保することは急務です」、その通りだ。 「セックスワークへの差別は全ての差別とつながっているということです。 障がい者問題や優生思想、クラブでのダンス規制、同性婚が認められないことなど、具体的に揚げていったらキリがないくらい、関わりのある問題はたくさんあります。 セックスワークが差別されるということは、他にも差別がたくさんあるということなんです。そうして、あらゆる問題がつながっているということを、少しでも多くの人に知ってほしいと思います」、同感である。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「「同性愛は精神障害」冊子にドン引き、人権感覚が100年前の“悪い保守”の大罪」 「この国の「保守」と呼ばれる人々のLGBTへの認識というものは100年前から1ミリも変わっていない」、残念ながらその通りだ。 「なぜ100年前の日本人が主張していた「同性愛は精神障害」という古い話を延々と引っ張り続けているのかというと、それが「保守政党」というものだからだ」、学説の進化に背を向けぱなしというのは滑稽でもある。 「明治以前の日本は、同性愛を病気扱いなどせず、社会の中で当たり前のように存在が認められていた。例えば、江戸時代には武士の間では「衆道」という男色行為が流行していて、井原西鶴も浮世絵草紙「男色大鏡」の中で、「男色ほど美なるもてあそびはなき」と言った」、「実は「保守」と呼ばれる人々というのは、「日本古来の伝統を守っている」わけではなく、「明治にできた価値観・ルールを守っている」というのが現実」、なるほど。 「「これからは多様性が大事」「ひとり1人が自分らしく生きられる社会へ」なんてきれい事を言っている政権与党が裏では「同性愛者は精神障害」なんて冊子を配っている」、「明治時代の価値観・ルールに執着し続ける社会によって、100年前と変わることなく未だに多くのLGBTの人々が、「死ぬように追い込まれている」という厳しい現実があるのだ」、その通りだ。 「物価上昇すると、経済を循環させるために、アメリカでもEUでも東南アジアでも韓国でも、政府が最低賃金を大幅に引き上げる」、「日本では明治期に「賃金というものは企業内で決める」というルールが出来上がって今もそれを引きずっている。だから、年収200万に満たないワーキングプアが社会にあふれかえって、庶民がどんどん貧しくなっても、政府は「賃金は企業におまかせ」と無視してきた」、 「7月10日の参議院選挙で、自民党は圧勝すると言われている。そうなると、「同性愛は精神障害」と主張して、同性婚を反対する神道政治連盟と、「中小企業が潰れるから賃金はなるべく低く」と働きかける日本商工会議所は「功労者」としてさらに発言権が増す。 ということは、これからも明治の価値観・ルールは健在ということだ。「日本復活」の道筋はまだ当分見えそうもない」、このままでは救いがないが、唯一の救いは、信頼を失った岸田政権が解散・総選挙に打って出る可能性が出てきたことだ。ただ、その結果が、救いがあるものになるかは、蓋を開けてみなければ分からないのも事実だ。
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