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保険(その8)(三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理、富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用 節税策狭まる中での資産防衛術、節税保険に迫る「2025年問題」 今から備えるべき“4つの出口対策”) [金融]

保険については、昨年9月18日に取上げた。今日は、(その8)(三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理、富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用 節税策狭まる中での資産防衛術、節税保険に迫る「2025年問題」 今から備えるべき“4つの出口対策”)である。

先ずは、昨年10月28日付け東洋経済オンライン「三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/629019
・『経営管理体制の不備を理由に、当局から罰金の支払いを命じられたアムリン。巨額買収後間もなく赤字体質に陥った問題児を、どう立て直すのか。 損害保険大手、三井住友海上グループの“問題児”が業界をざわつかせている。イギリスの子会社であるMSアムリンが10月20日、過去の経営管理体制の不備を理由に、同国の金融監督当局(PRA)から969.5万ポンド(約16億円)の罰金処分を受けたからだ。 「期待する基準を満たせなかったことの重大さを反映している」。監督当局がそう厳しく指弾した経営管理体制の不備とは、一体何か。 それは2014~2019年の間、アムリンの取締役会や引受業務などの各部門と傘下事業会社において、意思決定の基礎となる過去の契約データといった情報が十分に共有されず、結果としてリスク査定をたびたび見誤り、さらにその責任の所在を曖昧にする体制を延々と続けてきたことにある』、「買収」前には徹底的な資産査定を行うのが普通だが、不十分だったのだろうか。
・『組織改編が失敗し慢性赤字の問題児に  三井住友海上がアムリンを買収したのは2016年。それに先立つ2014年9月、アムリンは旧持ち株会社の中に「戦略ビジネスユニット」を組成しており、同ユニットが傘下にある3つの事業会社(MS AULなど)を横断するかたちで管理・運営する組織への改編を実施している。 アムリンとしてグループガバナンス(統治)の強化を狙ったものの、MS AULなど傘下事業会社の自律性を損ない、リスク管理の甘さが目立つようになるなど組織改編は大コケ。契約時におけるずさんなリスク査定が仇となり、2017年度には約1100億円の巨額赤字を計上するに至っている。 その後もアムリンは、組織体制において実効性のある改善策を打ち出せず、慢性赤字の状態に陥るなど問題児へと転落していった。 業を煮やした三井住友海上が、アムリンのテコ入れを本格化したのは2020年に入ってからだ。アムリンの持ち株会社を事実上解散し、MS AULなど傘下事業会社に直接出資するかたちで統治する体制に改めている。 今回の罰金処分について、三井住友海上は「アムリンが当社による買収(2016年2月)以前に開始した事業運営体制に関し(中略)2019年まで十分でなかったとの指摘および課徴金の支払いについて、(監督当局から)通知を受けたもの」という声明を出している。 あくまで2020年のテコ入れによってすでに解決済みの問題であり、騒ぎ立てるようなことではないのだと必死に火消しをしているようにも映る。では一体なぜ、そんな問題児を買収したのだろうか。 「統合リスク管理のお手本のような存在だ」。三井住友海上の経営陣がイギリスのロイズ保険市場で2番手の位置にいたアムリンをそう持ち上げ、約6350億円に上る大型買収を発表したのは2015年9月のことだ。 その数カ月前には、東京海上ホールディングスがアメリカのHCC、第一生命が同プロテクティブ、明治安田生命が同スタンコープ、住友生命が同シメトラの買収を発表しており、生損保が入り乱れるかたちで海外での大型買収の発表が相次いでいた。 当時、三井住友海上のある役員は海外に向かう機中で、同業大手の役員と鉢合わせしたこともあって、買収合戦の異様な盛り上がりを実感したという。そして、後れを取ってはいけないという「焦りがなかったと言えば、うそになる」と周囲に語っていた。 その焦りが経営陣の目を曇らせたのだろう。実はアムリンの買収交渉の過程では、2014年の組織改編をめぐってイギリスの監督当局が当時懸念を示していたことを、三井住友海上の国際部門は「把握していたものの、さして問題ではないと軽視していたようだ」(日本の金融庁幹部)』、「「統合リスク管理のお手本のような存在だ」。三井住友海上の経営陣がイギリスのロイズ保険市場で2番手の位置にいたアムリンをそう持ち上げ、約6350億円に上る大型買収を発表」、「買収合戦の異様な盛り上がり」で「後れを取ってはいけないという「焦り」「が経営陣の目を曇らせた」、「2014年の組織改編をめぐってイギリスの監督当局が当時懸念を示していたことを、三井住友海上の国際部門は「把握していたものの、さして問題ではないと軽視」、どうみても「三井住友海上」の対応のお粗末さが目につく。
・『2022年度に黒字転換を描くが…  イギリスの監督当局とすれば、三井住友海上が買収前からアムリンの問題点を認識していながら、それが顕在化して以降も遅々としてテコ入れを進めず、軽視するような態度をとられ続けたことになる。 さらに言えば、三井住友海上は10年前の2012年にも、イギリスの監督当局から罰金処分を受けている。そのときの理由もアムリンと同じく、欧州現地法人の経営管理体制の不備だった。 3年以上も前の組織体制の話を持ち出して罰金処分を課された裏側には、三井住友海上の稚拙なリスク管理と「海外監督当局との対話の乏しさ」(金融庁幹部)が隠れているわけだ。 買収前には毎年300億円前後の最終利益を上げながら、買収後は一転して赤字を垂れ流し続けるアムリンを、どう立て直していくつもりなのか。 三井住友海上は2025年度に400億円の最終利益を稼ぎ出す青写真を描いており、2022年度は約30億円の黒字転換を見込んでいる。 しかしながら、アメリカで9月に発生したハリケーン「イアン」の被害拡大によって、2022年度の黒字予想はもはや風前の灯火だ。アメリカのHCCを軸に海外事業で2500億円超の利益を稼ぎ出す東京海上とは、埋めがたい差がついてしまっている。 それでも海外事業の中核会社としてアムリンを位置付ける三井住友海上に、果たして勝算はあるのか。2022年度の最終赤字が現実となれば、株主からの売却圧力は一気に強まることになる』、「10年前の2012年にも、イギリスの監督当局から罰金処分を受けている。そのときの理由もアムリンと同じく、欧州現地法人の経営管理体制の不備だった」、背景に「三井住友海上の稚拙なリスク管理と「海外監督当局との対話の乏しさ」があるようでは、抜本的な立て直し策が不可欠だ。

次に、11月4日付けダイヤモンド・オンライン「富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用、節税策狭まる中での資産防衛術」を紹介しよう。
https://dw.diamond.ne.jp/articles/-/29876
・『『週刊ダイヤモンド』11月12日・19日合併号の第一特集は「円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術」です。急激な円安や金利高、インフレの加速、ロシアによるウクライナ侵攻など社会を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。そうした中で、富裕層たちはいかにして節税および資産防衛を行っているのでしょうか。国税当局による節税策の封じ込めが激しさを増す中、富裕層が陥りやすいわなを含め、資産防衛術を赤裸々に明かします』、興味深そうだ。
・世界中でふさがれる節税手法 今の注目ポイントは?  コロナ禍以降、生命保険、暗号資産、世界の法人税下限の統一化、30万円以下の一括償却など、いわゆる節税手段がどんどんふさがれてきています。これに加えて生前贈与と相続の一体課税が行われるということも喧伝されています。 ありとあらゆる節税手段に、このようなふたをする動きは「税務当局の本気度がうかがえる状況」なのではないかと思います。コロナ禍で国の借金が膨らんでいますし、アフターコロナを見据え、大規模金融緩和や多額の財政出動という「広げた風呂敷」を畳むフェーズに入ってきているのでしょう。 「所得税・法人税は防衛費など大義名分がないと上げづらい。しかし消費税を上げたら選挙で不利」という状況下で、最初に上げやすいのが富裕層に対する税金である、贈与税・相続税となるのは当然の流れです。こういう情勢の今、富裕層の間でよく行われている節税手法にはどんなものがあるのでしょうか』、「富裕層の間でよく行われている節税手法」、私には縁遠いが、一応、みてみよう。
・『法人は養老保険とオペリの二者択一に ドル建ての保険は有望か  まずは法人、つまりもうかっている法人の経営者についてです。現在、法人側の税金対策に関してはほぼ手詰まりの状況です。 度重なる当局の対応により、生命保険を使った手軽な決算対策がほぼできなくなっています。日本生命保険などがこぞって節税商品として販売していた法人保険や、その後の名義変更プランがふさがれたのはかなり大きかったと思います。 一方で、飛行機などのオペレーティングリースに関しては、コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻によって「事業リスク」が大きく顕在化しました。商品が出れば売れた時代から「より事業リスクの低いものを選んで買う」という状況に変化しています。 さらに、飛行機はドル建ての商品が多いので、円安になったために、「10年前、節税のために飛行機を買い、満期の今、為替の差益が30~40%程度も出てしまってどうしよう」という、うれしいような悲しいような状態になっている法人も多数あります。 また、昨年の税制改正によりドローンなどを30万円分一括償却して節税する手法もほぼ、ふさがれました。法人の決算対策という意味での節税に関しては、「生命保険のオーソドックスな養老保険の福利厚生プランで支払い保険料の半額を損金にする」か、または「オペレーティングリースにする」か、などといったところに限定されてしまったといえます。広まっていない手法は一部残されていますが、事業リスクが高過ぎて節税手法としては使い物にならないものも多いのです。 また、ちょっとひねったところでは、この円安下でドル建ての養老保険に法人で加入することで福利厚生プランにして半額損金を取っていく、という手段もあります。 契約形態は契約者を法人、被保険者を従業員、満期保険金受取人を法人、死亡保険金受取人を従業員の遺族とすることで、支払った保険料の半分が損金となる、といった仕組みです。これは従来の福利厚生プランと同じ仕組みで、通貨が円ではなくドルというだけです。ただ、ドル建ての養老保険になるので円建てよりも解約返戻率も高く、「経費で落としながらお金をためる」という使い方が可能になります。 一般的には5~10年後に満期保険金が法人に支払われる形です。もちろんドル建てなので為替リスクがありますが、当然リターンもあります。事業で為替に関して何らかの影響がある法人であれば、リスク回避の意味合いもあるので、ドル建てでお金をためておくということで本業のヘッジができる可能性もあります。もちろんドルを持たない輸出入企業以外の法人でも、通貨分散の一環として加入してもいいのではないでしょうか』、「ドル建ての養老保険になるので円建てよりも解約返戻率も高く、「経費で落としながらお金をためる」という使い方が可能になります。 一般的には5~10年後に満期保険金が法人に支払われる形です。もちろんドル建てなので為替リスクがありますが、当然リターンもあります。事業で為替に関して何らかの影響がある法人であれば、リスク回避の意味合いもあるので、ドル建てでお金をためておくということで本業のヘッジができる可能性もあります」、なるほど。
・『富裕層“御用達”税理士たちが赤裸々に実態を暴露  『週刊ダイヤモンド』11月12日・19日合併号の第一特集は「円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術」です。 国税当局による相次ぐ「節税策つぶし」により、富裕層の節税や資産防衛は苦しさを増しています。そうした中で、急激な円安、インフレ、金利高、そしてロシアによるウクライナ侵攻など、社会情勢が不安定化しています。 そこで、富裕層“御用達”の税理士や資産コンサルの方々に、赤裸々トークを繰り広げてもらいました。今の海外節税の動向や海外移住、事業承継税制、ホールディングス化、国税による税務調査の実態など興味深い話が尽きません。詰まるところ、節税封じのはてに、「詐欺」が残ったと喝破しています。 加えて、富裕層に人気の金投資や航空機投資のやり方、注意すべき節税保険の実態、金融庁が大なたを振るった仕組み債の中身、コインランドリーや足場レンタルといった富裕層に人気の節税術の実態にも迫りました。 そして、富裕層を悩ます大問題の一つである、相続。こちらに関しては、生前贈与と生命保険、不動産の3大節税術を解説しています。併せて、大きな金額を節税できる不動産で陥りがちなわなも徹底解説しています。 節税策が閉じられていく中、富裕層がいかにして資産防衛を図っているのか、本特集をぜひご覧ください』、具体策は雑誌版にあるようだ。

第三に、12月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「節税保険に迫る「2025年問題」、今から備えるべき“4つの出口対策”」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/315016
・『業績好調な非上場企業の経営者であれば、多くが節税のために活用してきたであろう法人契約の生命保険。だが、2019年に税務取り扱いの大幅な変更があり、当時、駆け込み加入した保険の解約返戻金が2025年にピークを迎える。節税保険の加入を単なる「課税の繰り延べ」にしないための、出口戦略として有効な4つの手法について解説する』、興味深そうだ。
・『2025年にピークを迎える節税保険の解約払戻金  もうかっている非上場企業の経営者では大抵の方がお世話になってきた法人契約の生命保険。この所謂「節税保険」について2019年2月に大幅な税務取り扱いの変更があり、実質的に節税効果が期待できなくなりました。2019年2月14日に「節税保険の税務通達を見直す」という事前アナウンスがあり(バレンタインデーショックと呼ばれました)、その後、2019年6月末に新たな通達が出されました。 実はこの時、「新たな税務通達が出されるまでに節税保険に入っておけば、保険料を全損で経理処理ができるので、今のうちに新規に契約しておこう」ということで、2019年2月から6月にかけて節税保険の駆け込み加入がものすごい勢いでありました。 そして4年が経過し、2019年に駆け込み加入した節税保険の解約返戻金が2025年にピークに迎えるのです。その金額は一説には合計3.9兆円といわれているようです。保険業界全体の個人保険の新規年間保険料が大体1.3兆円ですので、その3倍である3.9兆円はかなり大きな金額といえるのではないでしょうか。 一般的にはこの手の法人保険はどの会社も加入者の年齢によって差はありますが、大体2025年をピークに解約返戻金が減っていくので、その前後に解約する必要があるのです。よって、節税保険の出口戦略は、経営者にとっての2025年問題だと考えています。 通常、こういった保険に加入する非上場企業は継続的にもうかっています。利益が出ている最中に2025年を迎え、「節税保険を解約したら多額の法人税がかかってしまって結局、課税の繰り延べにしかならない…」「何かいい出口戦略はないか」というのがよくある社長のセリフです。 継続的に利益を出し続けている会社でも「課税の繰り延べにならず、結果的に節税となる方法」はあります。その代表的なものが、保険の解約返戻金を社長の退職金と相殺することです。 仮に保険の解約返戻金が1億円として、会社が社長に退職金1億円を払えば、1億円の益金(解約返戻金)と1億円の損金(退職金)が相殺されることになり、保険を解約しても法人は税金を払わずに済み、社長個人は退職金を受け取れ、結果的に節税になります。 しかし、節税のためとはいえ、社長が退職を決断するのはなかなか難しいでしょう。そういった場合でも節税保険の出口として使える手法があるのでいくつか取り上げたいと思います』、どうやるのだろう。
・『生命保険の保全手続きとオペレーティングリース  第一に生命保険の保全手続きを使う方法です。 法人保険は「全部解約するか継続か」の2択ではありません。 全部を解約せず「一部減額」という形で、徐々に切り崩していくことも可能です。例えば解約返戻金のたまりが5000万円だとしても、何年かにかけて徐々に減額していくことで設備投資などの損金と相殺させるということが可能です。 5000万円のうちの1000万円を解約し、その1000万円で設備投資することで利益はゼロになり、課税の繰り延べが節税になったといえます。もちろん設備投資も即時償却から減価償却まで幅広いので、どのような設備投資を行うかは会社次第です。 それ以外にも保全変更の種類によっては、経理処理(益金計上)をしないで解約返戻金の進行をストップさせ、解約返戻金を高止まりさせたまま保険料を払わずに契約のみ継続させる手法も、保険会社によっては取り扱っています。いずれにせよ、生命保険は解約か継続かだけではないと認識いただきたいと思います。 第二にオペレーティングリースです。 オペレーティングリース自体は保険と比べて不確実性の高い金融商品ですので、万人向きではありません。しかし昨今、決算対策手法が限られる中、選択肢としては貴重な存在です。オペレーティングリースとは「船舶や飛行機、コンテナなどのリース事業に出資し、リース期間中に生じる損を経費として計上し、リース料や最終的なリース物件を売却することで投資金額を回収するもの」です。 メリットとしては、大きく次の2つがあります。 (1)2~3年で投資金額のほぼ全額を経費化できること(よくあるのは投資額の初年度7割損金、2年目2割損金…など) (2)支払うお金は投資時の1度だけで、保険のように毎年払わずに済むこと 一方、デメリットは事業リスクが保険と異なり高いことが挙げられるでしょう。 リーマンショック、コロナショック、ロシアのウクライナ侵攻など、各事業体のリスク(飛行機が飛ばないからリース料が入ってこないとか、賃借人である航空会社の破綻とか)が保険と比べて高いのが特徴です。そしてお金が戻ってくる償還期間も7~10年くらいが多く、短期的に投資資金を回収するという法人には向きません。 また、メリットにもデメリットにもなり得ますが、多くが基本米ドル建てで投資する必要があるので為替リスクがあります。 とはいえ、今、償還を迎えるものは円安のため為替差益が出ることになります。また、最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります(リーマンショック時は償還時に大幅な為替差損で大変なことになりましたが)。 節税保険の解約返戻金を今後、オペレーティングリースに投資することで課税を繰り延べることはできても、10年後の償還時の計画的なタックスプランニングは必要です』、「オペレーティングリース」は「最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります」、極めて大口のようだ。
・『意外と知られていない事前確定届出給与  第三に事前確定届出給与です。 これは課税の繰り延べではなく、節税保険の出口となる手法です。事前確定届出給与とは「事前に自社の株主総会で金額を確定し税務署に届け出る役員の賞与的給与」です。社長や役員の賞与は一般社員と異なり経費化できないので、支払わないことが一般的ですが、事前に税務署に届け出れば、役員の賞与も経費で落とせるのです。メリットは、社員と同様、自分たち社長や役員にも賞与を支払えること。 デメリットは、社長個人が受け取った賞与は「所得税、住民税などの対象になる」ので、年収がプロ野球選手のような高額所得の社長は税金も多額になり、選択肢にはなりません。 一方で会社の役員に「社長の妻や子供や母親がいるケース」でかつ「年間の役員報酬が1000万円前後の方」のような会社の場合、事前確定届出給与で例えば「取締役の妻に1000万円程度の役員報酬を払っている」ケースでは、課税される金額も社長に比べ低いものになりますので効果的です。 事前確定届出給与を決議するタイミングは「期末の決算報告時の株主総会」が一般的ですので、事前確定届出給与を支給したい事業年度の前の期における株主総会決議を経る必要があります。 例えば12月末決算の会社の場合、同年2月の定時株主総会でこの議案を通しておけば、その期中は任意のタイミング(これも株主総会で決議)で支給できます。ただし、社長の思い付きですぐに事前確定届出給与が使えるわけではないですし、日付と金額が少しでもずれると経費化できない厳格なルールがあるのでご注意ください。 国税庁のHPにも掲載されているにもかかわらず、意外に事前確定届出給与は企業経営者に知られていません。わざわざ事前確定届出給与にするくらいなら、新年度から社長の毎月の役員報酬を上げたほうが手間が少ないので、社長に案内しない税理士も多いようですが、検討すべきだと思います。 そして、第四は「地主が法人化しているケース」などで使える出口戦略です。具体的には大規模修繕費用と節税保険の解約返戻金を相殺する手法です。 地主は表向き農家ですが、実際はマンションやアパートなどの収益不動産を複数棟保有しているケースが多く、保有物件の外壁の塗り替えなどの大規模修繕を十数年に1度繰り返す必要があります。その費用は不動産の規模にもよって異なりますが、最低数百万円はかかります。規模が大きければ千万や億単位の費用がかかります。 これらの大規模修繕のための資金として保険の解約返戻金を充当し、解約返戻金の利益と大規模修繕の損金を相殺させるのです。 地主の多くは「大規模修繕ってお金がかかるから、10年後に備えて法人で農協の定期積立貯金を毎月一定額しているんだよね」とよくおっしゃいます。この定期積立貯金は経費で落ちませんが、節税保険であれば全額損金(2019年7月以降に新規で加入された方は4割損金の法人保険が多い)で落ちます。したがって、計画的な修繕に充てられる非常に効果的な手法です。 ただし、大規模修繕と一言で言っても、原状回復に関しては損金となりますが、設備のグレードアップなどの資本的支出(エレベーターの交換など)に関しては減価償却となりますので、ご注意ください。 このように、法人保険の出口戦略は特別なことをしなくても「普通に」いくつも存在します。しかしあらかじめ準備をせず、土壇場になって「来月決算だし、法人保険ピークだし、解約しなきゃ」というような場合では打つ手は限られてきてしまいます。本業のみならず、タックスプランニングによる「守り」の強化も、経営者にとって大事なことではないでしょうか』、「事前確定届出給与」は「会社の役員に「社長の妻や子供や母親がいるケース」でかつ「年間の役員報酬が1000万円前後の方」のような会社の場合、事前確定届出給与で例えば「取締役の妻に1000万円程度の役員報酬を払っている」ケースでは、課税される金額も社長に比べ低いものになりますので効果的です」、「法人保険の出口戦略は特別なことをしなくても「普通に」いくつも存在します。しかしあらかじめ準備をせず、土壇場になって「来月決算だし、法人保険ピークだし、解約しなきゃ」というような場合では打つ手は限られてきてしまいます。本業のみならず、タックスプランニングによる「守り」の強化も、経営者にとって大事なことではないでしょうか」、その通りなのだろう。
タグ:保険 (その8)(三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理、富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用 節税策狭まる中での資産防衛術、節税保険に迫る「2025年問題」 今から備えるべき“4つの出口対策”) 東洋経済オンライン「三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理」 「買収」前には徹底的な資産査定を行うのが普通だが、不十分だったのだろうか。 「「統合リスク管理のお手本のような存在だ」。三井住友海上の経営陣がイギリスのロイズ保険市場で2番手の位置にいたアムリンをそう持ち上げ、約6350億円に上る大型買収を発表」、「買収合戦の異様な盛り上がり」で「後れを取ってはいけないという「焦り」「が経営陣の目を曇らせた」、「2014年の組織改編をめぐってイギリスの監督当局が当時懸念を示していたことを、三井住友海上の国際部門は「把握していたものの、さして問題ではないと軽視」、 どうみても「三井住友海上」の対応のお粗末さが目につく。 「10年前の2012年にも、イギリスの監督当局から罰金処分を受けている。そのときの理由もアムリンと同じく、欧州現地法人の経営管理体制の不備だった」、背景に「三井住友海上の稚拙なリスク管理と「海外監督当局との対話の乏しさ」があるようでは、抜本的な立て直し策が不可欠だ。 ダイヤモンド・オンライン「富裕層が円安で「ドル建て養老保険」活用、節税策狭まる中での資産防衛術」 「富裕層の間でよく行われている節税手法」、私には縁遠いが、一応、みてみよう。 「ドル建ての養老保険になるので円建てよりも解約返戻率も高く、「経費で落としながらお金をためる」という使い方が可能になります。 一般的には5~10年後に満期保険金が法人に支払われる形です。もちろんドル建てなので為替リスクがありますが、当然リターンもあります。事業で為替に関して何らかの影響がある法人であれば、リスク回避の意味合いもあるので、ドル建てでお金をためておくということで本業のヘッジができる可能性もあります」、なるほど。 具体策は雑誌版にあるようだ。 ダイヤモンド・オンライン 江幡吉昭氏による「節税保険に迫る「2025年問題」、今から備えるべき“4つの出口対策”」 どうやるのだろう。 「オペレーティングリース」は「最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります」、極めて大口のようだ。 「事前確定届出給与」は「会社の役員に「社長の妻や子供や母親がいるケース」でかつ「年間の役員報酬が1000万円前後の方」のような会社の場合、事前確定届出給与で例えば「取締役の妻に1000万円程度の役員報酬を払っている」ケースでは、課税される金額も社長に比べ低いものになりますので効果的です」、 「法人保険の出口戦略は特別なことをしなくても「普通に」いくつも存在します。しかしあらかじめ準備をせず、土壇場になって「来月決算だし、法人保険ピークだし、解約しなきゃ」というような場合では打つ手は限られてきてしまいます。本業のみならず、タックスプランニングによる「守り」の強化も、経営者にとって大事なことではないでしょうか」、その通りなのだろう。
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