安倍元首相暗殺事件(その6)(「本部は都内超一等地から地方へ…」旧統一教会が"宗教サークル"に転落すると地方で巻き起こる迷惑千万 宗教法人格の剥奪が生み出す"新たなリスク"、日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る2題(本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束、「自民党に教団を切る覚悟はあるのか」韓国に住む日本人信者は怒りをぶちまけた)、《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 新聞エンマ帖) [国内政治]
安倍元首相暗殺事件については、昨年12月21日に取上げた。今日は、(その6)(「本部は都内超一等地から地方へ…」旧統一教会が"宗教サークル"に転落すると地方で巻き起こる迷惑千万 宗教法人格の剥奪が生み出す"新たなリスク"、日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る2題(本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束、「自民党に教団を切る覚悟はあるのか」韓国に住む日本人信者は怒りをぶちまけた)、《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 新聞エンマ帖)である。
先ずは、昨年12月26日付けPRESIDENT Onlineが掲載した浄土宗僧侶/ジャーナリストの鵜飼 秀徳氏による「「本部は都内超一等地から地方へ…」旧統一教会が"宗教サークル"に転落すると地方で巻き起こる迷惑千万 宗教法人格の剥奪が生み出す"新たなリスク"」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/64764
・『旧統一教会の宗教法人格剥奪が生み出す“新たなリスク” 2022年は宗教界にとって、大きな出来事が相次いだ。戦後宗教史における節目を迎えた年、といっても過言ではないだろう。 安倍晋三元首相の暗殺をきっかけにして多くの政治家の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への関与が明らかになった。旧統一教会へ「質問権」が初めて行使され、「被害者救済法」が成立。今後、考えうる宗教法人の「解散請求」に向けて大きく舵を切った形だ。 悪質な宗教へメスを入れることは必要だ。しかし、長期的視座でみれば、昨今の防衛拡充とも影響し合い、危うさも孕む。「安倍元首相暗殺」という衝撃をきっかけに、「政治と宗教との関係」は一歩、接近した。 奈良の選挙の応援にかけつけた安倍氏が、7月8日に狙撃された事件はその後、旧統一教会の不当な献金問題をあぶり出す呼び水となった。 山上徹也容疑者の母が旧統一教会にのめり込んで多額の献金を重ね、家族は破綻。その恨みを、過去に旧統一教会へのビデオメッセージを出していた安倍氏に向けたのだ。政治と宗教との不適切な関係があぶり出される中、多くの「2世信者」らが被害の声を上げ始める。ようやく政府は重い腰を上げるに至った。 文部科学省は旧統一教会にたいし、宗教法人法に基づく調査を決定。1996年の改正宗教法人法施行以後、初めて「質問権」が行使された。このことで旧統一教会にたいする解散命令請求への第一歩が、踏み出された。 不法行為による宗教法人の解散は、各地でテロと殺人を繰り返したオウム真理教と、霊感商法で摘発された明覚寺の2例のみ。いずれも刑事事件に発展したケースだ。 しかし、民事上の不法行為での宗教法人解散はこれまで例がない。旧統一教会が解散となれば今後、多数の訴訟を抱えるような宗教法人に、メスが入っていく可能性は捨てきれない。 来年以降の流れでいえば、旧統一教会に著しい法令違反が認められれば、文部科学省が裁判所に解散命令を請求する。裁判所が解散命令を出せば宗教法人格を失い、宗教団体(任意団体)へと転落する。すると社会的信用を失うだけではなく、税制優遇などが受けられなくなる。つまり法人税、固定資産税、都市計画税、相続税などが課税されることになる』、「裁判所が解散命令を出せば宗教法人格を失い、宗教団体(任意団体)へと転落する。すると社会的信用を失うだけではなく、税制優遇などが受けられなくなる。つまり法人税、固定資産税、都市計画税、相続税などが課税される」、「税制優遇などが受けられなくなる」のはダメージが大きそうだ。
・『本部が渋谷区松濤から地方都市へ移転する可能性も大 確かに、法人格の剥奪は国民の納得が得られるひとつの手段ではある。しかし、同時に別の問題も生み出すリスクも考えなければならない。 現在、旧統一教会は都内の一等地、渋谷区松濤に本部を構える。固定資産税などが加算された場合、地方都市などに移転する可能性も大いにあり得る。すると、移転地で新たなトラブルも発生しかねない。 サークルのような任意団体になれば、水面下での活動になり、より実態がつかめなくなってしまう。また、信者がより原理化、先鋭化しかねない。ちなみにオウム真理教は解散後、3つの分派に分かれ、そのうち2つが地方都市に拠点を移し、公安調査庁は各団体がいまだ教祖麻原彰晃の影響下にあるとみて、観察を続けている。 臨時国会の会期末には、いわゆる「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(被害者救済法)」が成立した。旧統一教会をめぐっては、信者から多額の献金を集め、経済的困窮や家庭崩壊に陥らせる事例が相次いでいた。政府は不法行為の防止と被害者救済のための制度改革に乗り出し、迅速に被害者救済法を成立させた。 同法のポイントはいくつかある。まず、「不当な寄付の勧誘行為」を以下のように定義(第4条、要約)している。 ①しつこく勧誘されるなどして、帰ってほしいと伝えても退去しないケース ②同様に帰りたい意思を示しているのに返してくれないケース ③勧誘することを告げず、寄付者が退去しにくい場所に連れて行く行為 ④勧誘を受けた相談を第三者にした特に、威迫する言動を交えて妨害行為をすること ⑤恋愛関係を利用して、寄付しなければ関係解消するなどの告知をすること ⑥霊感商法 さらに、第5条では、 ⑦借金させたり、不動産を売却させたりして寄付させること を禁止している。 こうした行為にたいして、勧誘を受けた者が「困惑」した場合、寄付の取り消しができるとした。 同法の適用範囲は宗教法人だけではない。各種団体やNPO法人などにも広げている。つまり、法人格を有していない宗教団体にも適用されるので、仮に旧統一教会が法人格を剥奪されても同法は適用されることになる。なお、命令に違反した場合は1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金が科される。 旧統一教会だけではなく、同法に抵触しうる既存法人は潜在的にかなりある。 ⑥霊感商法は「先祖供養」「病気治し」などを熱心に実施する新宗教の中には、民事訴訟を抱える教団も少なくない。また⑦借金をさせてでも寄付させることも、仏教寺院の中にも行っているケースが散見される。「一括でお布施を払えなければ、ローンで払え」「カネがないなら親戚から借りてこい」などと要求する寺が、かなり存在していることを私も把握している。同法が、被害者の防衛策としてきちんと運用され、機能することを期待したい。 不当な行為が積み重なっていけば、「宗教法人解散請求」が視野に入る。人々を苦しめる悪質な組織は即刻、「退場」してもらわなければならない』、「宗教法人解散請求」は遠慮せず、必要であれば即刻行うべきだ。
・『日本も反カルト法の整備に乗り出す時だ 一方で、この法案には抜け穴もある。例えば「個人対個人」の寄付行為が、適用されない。教団幹部があくまでも個人的な寄付であることを建前にして「集金」し、組織に再寄付するようなことは容易に想像できる。 また、マインドコントロール(洗脳)下による寄付については、「配慮義務」にとどめ、「禁止」としなかった。これは、「マインドコントロールの定義をすることが難しい」ということが理由だ。創価学会を支持母体に持つ公明党への配慮が感じられる。 しかし、法案整備にあたってはまず「カルト」や「マインドコントロール」の定義こそを、議論すべきではなかっただろうか。真っ当な宗教と、一線を引いて適切に運用させるためにも、この2つの定義こそが重要であったと思う。 日本では「カルト」を、「反社会的な宗教集団」のように漠然と捉えていて、明確な定義は存在しない。例えばフランスでは、日本以上に深刻な宗教問題を抱え、2001年に反セクト(カルト)法という法律を整備するに至っている。セクトとは、おおもとの宗教から派生した宗教教団をさし、「社会にたいして、強硬的かつ断続的な姿勢を持つ過激主義的宗教グループ」(マックス・ウェーバー/エルンスト・トレルチ)のことである。 そのセクトの定義(1995年、フランス国民議会「アラン・ジュスト報告書」)は、 ①精神の不安定化 ②法外な金銭的要求 ③住み慣れた生活環境からの断絶 ④肉体の損傷 ⑤子供の囲い込み ⑥反社会的な言説 ⑦公共の秩序を乱す ⑧訴訟の多さ ⑨通常の経済回路からの逸脱 ⑩公権力を取り込もうとする企てがある としている。 フランスは厳格な政教分離をとっている国として知られている。同時にカルトにたいしては毅然きぜんとした対応を示しているといえる。日本も、反カルト法の整備に乗り出す時機にきているかもしれない』、「「カルト」や「マインドコントロール」の定義こそを、議論すべきではなかっただろうか。真っ当な宗教と、一線を引いて適切に運用させるためにも、この2つの定義こそが重要であったと思う」、その通りだ。
・『「政治の宗教への介入」は再び暗い時代の第一歩か 一方で、歴史的な視座に立てば「政治の宗教への介入」は、あまりよい結果を生んでこなかったのも事実だ。先の日本における戦争も、宗教が根っこにある。 折しも日本政府は防衛費の増額や、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を決めた。日本は安全保障上も大きな岐路に立っている。国家は宗教を精神的な支柱として戦争に利用し、同時に宗教も政治情勢(有事)を利用しながら教線拡大を目論んできた。その構造は今も変わっていない。 わが国における国家と宗教が、今すぐに暴走を始めることはないだろう。しかし、ひとたび有事の局面になれば「信教の自由」が奪われ、殺伐の社会が訪れることは歴史が証明している。政治と宗教の接近は、日本が再び暗い時代への一歩を踏み出したことの暗示だと、考えるべきである』、「政治と宗教の接近は、日本が再び暗い時代への一歩を踏み出したことの暗示だと、考えるべき」、「政治と宗教の接近」しても、「信教の自由」が守られるよう、監視してゆく必要がある。
次に、12月28日付け日刊ゲンダイ「日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る:本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/316537
・『安倍晋三元首相が銃撃された事件は、韓国はもちろん、世界各国に衝撃を与えた。しかし、その後の世論の関心は、日本と韓国で大きな開きがある。 日本では、旧統一教会と政界との結びつきが連日報道され、内閣支持率にも大きな影響を与えている。一方で、韓国ではこうした問題は注目されず、メディアを通してもほとんど話題になっていない』、「韓国ではこうした問題は注目されず、メディアを通してもほとんど話題になっていない」、これほどの違いがあるとは驚かされた。
・『似て非なるカルト この温度差は、旧統一教会に対する社会の見方の違いからきている。キリスト教の影響力が強い韓国社会では、旧統一教会の教義は「異端」とされ、一般的な宗教団体としては認知されていない。 個人崇拝や多額の献金を要求する新興宗教を、韓国では「サイビ宗教」と呼ぶ。「サイビ」を漢字で記すと「似而非」。「宗教とは似て非なるカルト集団」という意味合いだ。韓国社会で旧統一教会は、まさに「サイビ宗教」として認識されている。 多くの韓国人にとって理解できないのは、なぜこうした「サイビ宗教」が、安倍元首相をはじめとした大物政治家と関係を持ち、自民党とのパイプを築くことができたのかという点だ。とりわけ安倍氏は、日韓関係において韓国内では「有名人」だったことから、その人物の背後に「サイビ宗教」が存在したことに驚きを示す声も少なくない。) 韓国では、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念された2020年2月、南部の大邱市で感染者が急増し、全国的な広がりを見せる事態となった。この原因となったのが、キリスト教系新興宗教「新天地」の集団感染だ。信者に感染者が出たにもかかわらず検査を拒否し、集団礼拝にも参加したことが発覚したが、教団側はこうした情報を公開しようとしなかった。 1984年に創設された「新天地」は、教祖を「救世主」とあがめ、韓国内に約20万人の信者を持つ。旧統一教会と同様、既存のキリスト教団体からは「異端」として排除されており、信者がのめり込んで家庭崩壊に至る など「サイビ宗教」の典型とされている。 韓国では「新天地」が政権と癒着しているということはない。「サイビ宗教」と政界が結びつくことなど、韓国人にとっては「想像もできない話」(韓国メディアの記者)なのだ。 だが、韓国内で旧統一教会は宗教団体として認識されていない一方、別の形での存在感を示している。それが企業活動だ。=つづく』、「韓国社会では、旧統一教会の教義は「異端」とされ、一般的な宗教団体としては認知されていない。 個人崇拝や多額の献金を要求する新興宗教を、韓国では「サイビ宗教」と呼ぶ。「サイビ」を漢字で記すと「似而非」。「宗教とは似て非なるカルト集団」という意味合いだ。韓国社会で旧統一教会は、まさに「サイビ宗教」として認識されている」、「「サイビ宗教」と政界が結びつくことなど、韓国人にとっては「想像もできない話」、なるほど。
第三に、この続き、1月8日付け日刊ゲンダイ「日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る:「自民党に教団を切る覚悟はあるのか」韓国に住む日本人信者は怒りをぶちまけた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/316929
・『安倍晋三元首相の銃撃をきっかけに、旧統一教会の霊感商法や高額献金の問題がクローズアップされ、国会では昨年12月10日、被害者救済を図るための新たな法律が成立した。 新法では、献金のために借金や生活に不可欠な資産の処分で資金を調達させたり、「霊感」で不安に付け込んだりすることなどを禁止している。献金した本人ではなくても、子どもなどが本来受け取るはずだった養育費など、一定の範囲で本人に代わって取り消しや寄付金返還を求めることも可能になった。 最大の課題は、教団のマインドコントロールによって信者が献金することを、どのように規制するかだった。「法律の条文で規制すべき」という野党側と、信教の自由や財産権の問題から難色を示す与党側との意見の隔たりは大きかった。 だが、世論に後押しされる形で与野党が歩み寄り、新法の成立にこぎ着けた。内容が不十分との批判もあるが、旧統一教会にとって大きな圧力となったのは間違いない』、「内容が不十分との批判もあるが、旧統一教会にとって大きな圧力となったのは間違いない」、とりあえずの対応としては、やむを得ない。
・『交錯する不安と怒り 韓国人の元信者は「資金源だった日本からの献金が減れば、教団の運営自体が立ち行かなくなる。(教団が所有する)不動産などが売却される可能性もある」と指摘する。日本での法規制は、旧統一教会の根幹を直撃する問題なのだ。 旧統一教会への「包囲網」といった動きに、信者の抱える不満は大きい。韓国に住む日本人の男性信者は「自民党は教団と本気で手を切るつもりなのか。本当に、その覚悟はあるのか」と、怒りをぶちまけた。マスコミが教団を「ロシアのような戦争犯罪集団と同じ扱い」にしていると、怒り心頭な様子だった。 男性信者に「覚悟とはどういった意味か」と聞いてみた。自民党が教団に握られている弱みを暴露される、という意味かと思えたからだ。 その問いに、男性信者は「教団は世界各国に基盤を持っており、さまざまな人脈がある。安倍首相が、当選直後のトランプ米大統領と会談できたのも、そうした人脈のおかげだからです」とした上で、こう言い切った。「教団が自民党や日本のためにしてきたことはたくさんある。そうした協力を得ることができなくなることへの『覚悟』という意味です」 自民党や日本のために、教団が「してきたこと」とは何なのか。それを尋ねても、明確な答えはなかった。(おわり)(共同通信編集委員兼論説委員・佐藤大介)』、「教団が自民党や日本のためにしてきたことはたくさんある。そうした協力を得ることができなくなることへの『覚悟』という意味です」、どう考えても、「教団」側人間の思い上がりに過ぎないようだ。
第四に、1月14日付け文春オンライン「《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 新聞エンマ帖」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/60076
・『手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す! 月刊「文藝春秋」の名物連載「新聞エンマ帖」(2023年2月号)を一部転載します。 岸田政権「勝ちに不思議の勝ちあり」 政治報道の浅薄さに振り回された1年だったと思う。プロ野球の故・野村克也監督は「勝ちに不思議の勝ちあり」と言ったが、前半戦はまさにそうだった。 夏の参院選で岸田文雄自公政権がなぜ勝てたのか、紙面を読んでも全然分からない。「新しい資本主義」など首相のお題目が紙面を席捲したが、中身のなさは首相の説明も記事も同じだった。「野党第一党」を賭けた立憲民主党と日本維新の会の戦いを囃し立てたが、結局は「二弱」のオチだった。それで首相が「黄金の3年間」を手にしたと書かれても、狐につままれた思いしか残らない。 その後の政権の「連敗」ぶりは今更書くまでもないが、内閣支持率が30%台に急落するや、すぐにでも政権が倒れそうな紙面へ早変わり。そのあげく、昨年12月2〜4日にNNNと読売新聞が行なった世論調査で内閣支持率が3%上昇して39%になると、「“下げ止まり”の理由は?」(日テレNEWS)とくる。 いやはや、何とも腰の定まらぬ有り様だが、まだ終わらない。 NHKが9日から3日間行なった調査では、内閣支持率が33%から36%へと回復し、防衛力整備の水準を5年間で43兆円にする方針にも、賛成51%が反対36%を上回った。財源を巡り法人税など増税を検討する方針にさえ、61%対34%と賛成が倍あった。 反転攻勢の兆しかと思いきや、それが1週間後の17、18日に毎日が実施した調査でまた変わる。内閣支持率が発足以来最低の25%を記録したうえ、防衛費増額の賛否も48%対41%と拮抗する。ただ、詮無いのは財源問題だ。 増税と経費削減、国債発行の3つで賛否を聞くが、それぞれ23%対69%、20%対73%、33%対52%で反対が圧倒した。思いつく財源の在処がおしなべて否定された後で、それならいったいどうしろというのだろう。 当初は世論にも賛成論が少なくなかったのに、首相の拙速さと説明不足が仇となって反対論の急増を招くのは、確かに安倍晋三氏の国葬の時と同様の道行きではある。その意味では「負けに不思議の負けなし」とも言えるが、新聞の調査がうつろいやすい世論の反応を伝えるだけで良いものか。 しかもその数字に基づき、黄金の3年間とか下げ止まりとか危険水域とか退陣はいつかとか、浅薄な政局観を月替わりや週替わりで垂れ流す。防衛論議をはじめ、世論は政策や政権のどこを評価してどこに反省を迫っているのか。そこを問い冷静に分析を施さない限り、世論調査はただ世論を迷わせるだけである』、「新聞の調査がうつろいやすい世論の反応を伝えるだけで良いものか。 しかもその数字に基づき、黄金の3年間とか下げ止まりとか危険水域とか退陣はいつかとか、浅薄な政局観を月替わりや週替わりで垂れ流す。防衛論議をはじめ、世論は政策や政権のどこを評価してどこに反省を迫っているのか。そこを問い冷静に分析を施さない限り、世論調査はただ世論を迷わせるだけである」、同感である。
・『教団関連の質問はゼロ 物忘れしやすいことの例えである「鶏は三歩歩けば忘れる」との言葉を思い出した。 きっかけは旧統一教会問題に端を発した被害者救済法成立を受けた岸田文雄首相の記者会見と社説である。成立から数時間後の12月10日夜の会見では、13人の記者から教団関連の質問はゼロ。「終わったことはすぐに忘れる」という現場の記者の記憶力にも驚くが、翌11日朝刊の社説にはもっと驚いた。 それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっているのだ。朝日が「教団と政治 解明まだだ」との見出しで、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長と教団との関係が解明されていないことをかろうじて指摘したが、この点を同じように問題視してきていた毎日は情けない。「献金被害の救済法成立 むしろ議論はこれからだ」と題した長行の社説を掲げたが、自民と教団との関係には全く言及がないのだ。 「新聞エンマ帖」全文は、「文藝春秋」2023年2月号と、「文藝春秋 電子版」に掲載されています』、「被害者救済法成立を受けた岸田文雄首相の記者会見と社説である・・・翌11日朝刊の社説にはもっと驚いた」、「それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっているのだ。朝日が「教団と政治 解明まだだ」との見出しで、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長と教団との関係が解明されていないことをかろうじて指摘したが、この点を同じように問題視してきていた毎日は情けない。「献金被害の救済法成立 むしろ議論はこれからだ」と題した長行の社説を掲げたが、自民と教団との関係には全く言及がないのだ」、「社説」は一般の記者ではなく、ベテランの論説委員が担当するのに、「それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっている」、とは驚かされた。忘れているのか、不勉強なのかは分からないが、全く「情けない」限りだ。
先ずは、昨年12月26日付けPRESIDENT Onlineが掲載した浄土宗僧侶/ジャーナリストの鵜飼 秀徳氏による「「本部は都内超一等地から地方へ…」旧統一教会が"宗教サークル"に転落すると地方で巻き起こる迷惑千万 宗教法人格の剥奪が生み出す"新たなリスク"」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/64764
・『旧統一教会の宗教法人格剥奪が生み出す“新たなリスク” 2022年は宗教界にとって、大きな出来事が相次いだ。戦後宗教史における節目を迎えた年、といっても過言ではないだろう。 安倍晋三元首相の暗殺をきっかけにして多くの政治家の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への関与が明らかになった。旧統一教会へ「質問権」が初めて行使され、「被害者救済法」が成立。今後、考えうる宗教法人の「解散請求」に向けて大きく舵を切った形だ。 悪質な宗教へメスを入れることは必要だ。しかし、長期的視座でみれば、昨今の防衛拡充とも影響し合い、危うさも孕む。「安倍元首相暗殺」という衝撃をきっかけに、「政治と宗教との関係」は一歩、接近した。 奈良の選挙の応援にかけつけた安倍氏が、7月8日に狙撃された事件はその後、旧統一教会の不当な献金問題をあぶり出す呼び水となった。 山上徹也容疑者の母が旧統一教会にのめり込んで多額の献金を重ね、家族は破綻。その恨みを、過去に旧統一教会へのビデオメッセージを出していた安倍氏に向けたのだ。政治と宗教との不適切な関係があぶり出される中、多くの「2世信者」らが被害の声を上げ始める。ようやく政府は重い腰を上げるに至った。 文部科学省は旧統一教会にたいし、宗教法人法に基づく調査を決定。1996年の改正宗教法人法施行以後、初めて「質問権」が行使された。このことで旧統一教会にたいする解散命令請求への第一歩が、踏み出された。 不法行為による宗教法人の解散は、各地でテロと殺人を繰り返したオウム真理教と、霊感商法で摘発された明覚寺の2例のみ。いずれも刑事事件に発展したケースだ。 しかし、民事上の不法行為での宗教法人解散はこれまで例がない。旧統一教会が解散となれば今後、多数の訴訟を抱えるような宗教法人に、メスが入っていく可能性は捨てきれない。 来年以降の流れでいえば、旧統一教会に著しい法令違反が認められれば、文部科学省が裁判所に解散命令を請求する。裁判所が解散命令を出せば宗教法人格を失い、宗教団体(任意団体)へと転落する。すると社会的信用を失うだけではなく、税制優遇などが受けられなくなる。つまり法人税、固定資産税、都市計画税、相続税などが課税されることになる』、「裁判所が解散命令を出せば宗教法人格を失い、宗教団体(任意団体)へと転落する。すると社会的信用を失うだけではなく、税制優遇などが受けられなくなる。つまり法人税、固定資産税、都市計画税、相続税などが課税される」、「税制優遇などが受けられなくなる」のはダメージが大きそうだ。
・『本部が渋谷区松濤から地方都市へ移転する可能性も大 確かに、法人格の剥奪は国民の納得が得られるひとつの手段ではある。しかし、同時に別の問題も生み出すリスクも考えなければならない。 現在、旧統一教会は都内の一等地、渋谷区松濤に本部を構える。固定資産税などが加算された場合、地方都市などに移転する可能性も大いにあり得る。すると、移転地で新たなトラブルも発生しかねない。 サークルのような任意団体になれば、水面下での活動になり、より実態がつかめなくなってしまう。また、信者がより原理化、先鋭化しかねない。ちなみにオウム真理教は解散後、3つの分派に分かれ、そのうち2つが地方都市に拠点を移し、公安調査庁は各団体がいまだ教祖麻原彰晃の影響下にあるとみて、観察を続けている。 臨時国会の会期末には、いわゆる「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(被害者救済法)」が成立した。旧統一教会をめぐっては、信者から多額の献金を集め、経済的困窮や家庭崩壊に陥らせる事例が相次いでいた。政府は不法行為の防止と被害者救済のための制度改革に乗り出し、迅速に被害者救済法を成立させた。 同法のポイントはいくつかある。まず、「不当な寄付の勧誘行為」を以下のように定義(第4条、要約)している。 ①しつこく勧誘されるなどして、帰ってほしいと伝えても退去しないケース ②同様に帰りたい意思を示しているのに返してくれないケース ③勧誘することを告げず、寄付者が退去しにくい場所に連れて行く行為 ④勧誘を受けた相談を第三者にした特に、威迫する言動を交えて妨害行為をすること ⑤恋愛関係を利用して、寄付しなければ関係解消するなどの告知をすること ⑥霊感商法 さらに、第5条では、 ⑦借金させたり、不動産を売却させたりして寄付させること を禁止している。 こうした行為にたいして、勧誘を受けた者が「困惑」した場合、寄付の取り消しができるとした。 同法の適用範囲は宗教法人だけではない。各種団体やNPO法人などにも広げている。つまり、法人格を有していない宗教団体にも適用されるので、仮に旧統一教会が法人格を剥奪されても同法は適用されることになる。なお、命令に違反した場合は1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金が科される。 旧統一教会だけではなく、同法に抵触しうる既存法人は潜在的にかなりある。 ⑥霊感商法は「先祖供養」「病気治し」などを熱心に実施する新宗教の中には、民事訴訟を抱える教団も少なくない。また⑦借金をさせてでも寄付させることも、仏教寺院の中にも行っているケースが散見される。「一括でお布施を払えなければ、ローンで払え」「カネがないなら親戚から借りてこい」などと要求する寺が、かなり存在していることを私も把握している。同法が、被害者の防衛策としてきちんと運用され、機能することを期待したい。 不当な行為が積み重なっていけば、「宗教法人解散請求」が視野に入る。人々を苦しめる悪質な組織は即刻、「退場」してもらわなければならない』、「宗教法人解散請求」は遠慮せず、必要であれば即刻行うべきだ。
・『日本も反カルト法の整備に乗り出す時だ 一方で、この法案には抜け穴もある。例えば「個人対個人」の寄付行為が、適用されない。教団幹部があくまでも個人的な寄付であることを建前にして「集金」し、組織に再寄付するようなことは容易に想像できる。 また、マインドコントロール(洗脳)下による寄付については、「配慮義務」にとどめ、「禁止」としなかった。これは、「マインドコントロールの定義をすることが難しい」ということが理由だ。創価学会を支持母体に持つ公明党への配慮が感じられる。 しかし、法案整備にあたってはまず「カルト」や「マインドコントロール」の定義こそを、議論すべきではなかっただろうか。真っ当な宗教と、一線を引いて適切に運用させるためにも、この2つの定義こそが重要であったと思う。 日本では「カルト」を、「反社会的な宗教集団」のように漠然と捉えていて、明確な定義は存在しない。例えばフランスでは、日本以上に深刻な宗教問題を抱え、2001年に反セクト(カルト)法という法律を整備するに至っている。セクトとは、おおもとの宗教から派生した宗教教団をさし、「社会にたいして、強硬的かつ断続的な姿勢を持つ過激主義的宗教グループ」(マックス・ウェーバー/エルンスト・トレルチ)のことである。 そのセクトの定義(1995年、フランス国民議会「アラン・ジュスト報告書」)は、 ①精神の不安定化 ②法外な金銭的要求 ③住み慣れた生活環境からの断絶 ④肉体の損傷 ⑤子供の囲い込み ⑥反社会的な言説 ⑦公共の秩序を乱す ⑧訴訟の多さ ⑨通常の経済回路からの逸脱 ⑩公権力を取り込もうとする企てがある としている。 フランスは厳格な政教分離をとっている国として知られている。同時にカルトにたいしては毅然きぜんとした対応を示しているといえる。日本も、反カルト法の整備に乗り出す時機にきているかもしれない』、「「カルト」や「マインドコントロール」の定義こそを、議論すべきではなかっただろうか。真っ当な宗教と、一線を引いて適切に運用させるためにも、この2つの定義こそが重要であったと思う」、その通りだ。
・『「政治の宗教への介入」は再び暗い時代の第一歩か 一方で、歴史的な視座に立てば「政治の宗教への介入」は、あまりよい結果を生んでこなかったのも事実だ。先の日本における戦争も、宗教が根っこにある。 折しも日本政府は防衛費の増額や、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を決めた。日本は安全保障上も大きな岐路に立っている。国家は宗教を精神的な支柱として戦争に利用し、同時に宗教も政治情勢(有事)を利用しながら教線拡大を目論んできた。その構造は今も変わっていない。 わが国における国家と宗教が、今すぐに暴走を始めることはないだろう。しかし、ひとたび有事の局面になれば「信教の自由」が奪われ、殺伐の社会が訪れることは歴史が証明している。政治と宗教の接近は、日本が再び暗い時代への一歩を踏み出したことの暗示だと、考えるべきである』、「政治と宗教の接近は、日本が再び暗い時代への一歩を踏み出したことの暗示だと、考えるべき」、「政治と宗教の接近」しても、「信教の自由」が守られるよう、監視してゆく必要がある。
次に、12月28日付け日刊ゲンダイ「日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る:本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/316537
・『安倍晋三元首相が銃撃された事件は、韓国はもちろん、世界各国に衝撃を与えた。しかし、その後の世論の関心は、日本と韓国で大きな開きがある。 日本では、旧統一教会と政界との結びつきが連日報道され、内閣支持率にも大きな影響を与えている。一方で、韓国ではこうした問題は注目されず、メディアを通してもほとんど話題になっていない』、「韓国ではこうした問題は注目されず、メディアを通してもほとんど話題になっていない」、これほどの違いがあるとは驚かされた。
・『似て非なるカルト この温度差は、旧統一教会に対する社会の見方の違いからきている。キリスト教の影響力が強い韓国社会では、旧統一教会の教義は「異端」とされ、一般的な宗教団体としては認知されていない。 個人崇拝や多額の献金を要求する新興宗教を、韓国では「サイビ宗教」と呼ぶ。「サイビ」を漢字で記すと「似而非」。「宗教とは似て非なるカルト集団」という意味合いだ。韓国社会で旧統一教会は、まさに「サイビ宗教」として認識されている。 多くの韓国人にとって理解できないのは、なぜこうした「サイビ宗教」が、安倍元首相をはじめとした大物政治家と関係を持ち、自民党とのパイプを築くことができたのかという点だ。とりわけ安倍氏は、日韓関係において韓国内では「有名人」だったことから、その人物の背後に「サイビ宗教」が存在したことに驚きを示す声も少なくない。) 韓国では、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念された2020年2月、南部の大邱市で感染者が急増し、全国的な広がりを見せる事態となった。この原因となったのが、キリスト教系新興宗教「新天地」の集団感染だ。信者に感染者が出たにもかかわらず検査を拒否し、集団礼拝にも参加したことが発覚したが、教団側はこうした情報を公開しようとしなかった。 1984年に創設された「新天地」は、教祖を「救世主」とあがめ、韓国内に約20万人の信者を持つ。旧統一教会と同様、既存のキリスト教団体からは「異端」として排除されており、信者がのめり込んで家庭崩壊に至る など「サイビ宗教」の典型とされている。 韓国では「新天地」が政権と癒着しているということはない。「サイビ宗教」と政界が結びつくことなど、韓国人にとっては「想像もできない話」(韓国メディアの記者)なのだ。 だが、韓国内で旧統一教会は宗教団体として認識されていない一方、別の形での存在感を示している。それが企業活動だ。=つづく』、「韓国社会では、旧統一教会の教義は「異端」とされ、一般的な宗教団体としては認知されていない。 個人崇拝や多額の献金を要求する新興宗教を、韓国では「サイビ宗教」と呼ぶ。「サイビ」を漢字で記すと「似而非」。「宗教とは似て非なるカルト集団」という意味合いだ。韓国社会で旧統一教会は、まさに「サイビ宗教」として認識されている」、「「サイビ宗教」と政界が結びつくことなど、韓国人にとっては「想像もできない話」、なるほど。
第三に、この続き、1月8日付け日刊ゲンダイ「日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る:「自民党に教団を切る覚悟はあるのか」韓国に住む日本人信者は怒りをぶちまけた」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/316929
・『安倍晋三元首相の銃撃をきっかけに、旧統一教会の霊感商法や高額献金の問題がクローズアップされ、国会では昨年12月10日、被害者救済を図るための新たな法律が成立した。 新法では、献金のために借金や生活に不可欠な資産の処分で資金を調達させたり、「霊感」で不安に付け込んだりすることなどを禁止している。献金した本人ではなくても、子どもなどが本来受け取るはずだった養育費など、一定の範囲で本人に代わって取り消しや寄付金返還を求めることも可能になった。 最大の課題は、教団のマインドコントロールによって信者が献金することを、どのように規制するかだった。「法律の条文で規制すべき」という野党側と、信教の自由や財産権の問題から難色を示す与党側との意見の隔たりは大きかった。 だが、世論に後押しされる形で与野党が歩み寄り、新法の成立にこぎ着けた。内容が不十分との批判もあるが、旧統一教会にとって大きな圧力となったのは間違いない』、「内容が不十分との批判もあるが、旧統一教会にとって大きな圧力となったのは間違いない」、とりあえずの対応としては、やむを得ない。
・『交錯する不安と怒り 韓国人の元信者は「資金源だった日本からの献金が減れば、教団の運営自体が立ち行かなくなる。(教団が所有する)不動産などが売却される可能性もある」と指摘する。日本での法規制は、旧統一教会の根幹を直撃する問題なのだ。 旧統一教会への「包囲網」といった動きに、信者の抱える不満は大きい。韓国に住む日本人の男性信者は「自民党は教団と本気で手を切るつもりなのか。本当に、その覚悟はあるのか」と、怒りをぶちまけた。マスコミが教団を「ロシアのような戦争犯罪集団と同じ扱い」にしていると、怒り心頭な様子だった。 男性信者に「覚悟とはどういった意味か」と聞いてみた。自民党が教団に握られている弱みを暴露される、という意味かと思えたからだ。 その問いに、男性信者は「教団は世界各国に基盤を持っており、さまざまな人脈がある。安倍首相が、当選直後のトランプ米大統領と会談できたのも、そうした人脈のおかげだからです」とした上で、こう言い切った。「教団が自民党や日本のためにしてきたことはたくさんある。そうした協力を得ることができなくなることへの『覚悟』という意味です」 自民党や日本のために、教団が「してきたこと」とは何なのか。それを尋ねても、明確な答えはなかった。(おわり)(共同通信編集委員兼論説委員・佐藤大介)』、「教団が自民党や日本のためにしてきたことはたくさんある。そうした協力を得ることができなくなることへの『覚悟』という意味です」、どう考えても、「教団」側人間の思い上がりに過ぎないようだ。
第四に、1月14日付け文春オンライン「《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 新聞エンマ帖」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/60076
・『手練れの業界ウォッチャーが、新聞報道にもの申す! 月刊「文藝春秋」の名物連載「新聞エンマ帖」(2023年2月号)を一部転載します。 岸田政権「勝ちに不思議の勝ちあり」 政治報道の浅薄さに振り回された1年だったと思う。プロ野球の故・野村克也監督は「勝ちに不思議の勝ちあり」と言ったが、前半戦はまさにそうだった。 夏の参院選で岸田文雄自公政権がなぜ勝てたのか、紙面を読んでも全然分からない。「新しい資本主義」など首相のお題目が紙面を席捲したが、中身のなさは首相の説明も記事も同じだった。「野党第一党」を賭けた立憲民主党と日本維新の会の戦いを囃し立てたが、結局は「二弱」のオチだった。それで首相が「黄金の3年間」を手にしたと書かれても、狐につままれた思いしか残らない。 その後の政権の「連敗」ぶりは今更書くまでもないが、内閣支持率が30%台に急落するや、すぐにでも政権が倒れそうな紙面へ早変わり。そのあげく、昨年12月2〜4日にNNNと読売新聞が行なった世論調査で内閣支持率が3%上昇して39%になると、「“下げ止まり”の理由は?」(日テレNEWS)とくる。 いやはや、何とも腰の定まらぬ有り様だが、まだ終わらない。 NHKが9日から3日間行なった調査では、内閣支持率が33%から36%へと回復し、防衛力整備の水準を5年間で43兆円にする方針にも、賛成51%が反対36%を上回った。財源を巡り法人税など増税を検討する方針にさえ、61%対34%と賛成が倍あった。 反転攻勢の兆しかと思いきや、それが1週間後の17、18日に毎日が実施した調査でまた変わる。内閣支持率が発足以来最低の25%を記録したうえ、防衛費増額の賛否も48%対41%と拮抗する。ただ、詮無いのは財源問題だ。 増税と経費削減、国債発行の3つで賛否を聞くが、それぞれ23%対69%、20%対73%、33%対52%で反対が圧倒した。思いつく財源の在処がおしなべて否定された後で、それならいったいどうしろというのだろう。 当初は世論にも賛成論が少なくなかったのに、首相の拙速さと説明不足が仇となって反対論の急増を招くのは、確かに安倍晋三氏の国葬の時と同様の道行きではある。その意味では「負けに不思議の負けなし」とも言えるが、新聞の調査がうつろいやすい世論の反応を伝えるだけで良いものか。 しかもその数字に基づき、黄金の3年間とか下げ止まりとか危険水域とか退陣はいつかとか、浅薄な政局観を月替わりや週替わりで垂れ流す。防衛論議をはじめ、世論は政策や政権のどこを評価してどこに反省を迫っているのか。そこを問い冷静に分析を施さない限り、世論調査はただ世論を迷わせるだけである』、「新聞の調査がうつろいやすい世論の反応を伝えるだけで良いものか。 しかもその数字に基づき、黄金の3年間とか下げ止まりとか危険水域とか退陣はいつかとか、浅薄な政局観を月替わりや週替わりで垂れ流す。防衛論議をはじめ、世論は政策や政権のどこを評価してどこに反省を迫っているのか。そこを問い冷静に分析を施さない限り、世論調査はただ世論を迷わせるだけである」、同感である。
・『教団関連の質問はゼロ 物忘れしやすいことの例えである「鶏は三歩歩けば忘れる」との言葉を思い出した。 きっかけは旧統一教会問題に端を発した被害者救済法成立を受けた岸田文雄首相の記者会見と社説である。成立から数時間後の12月10日夜の会見では、13人の記者から教団関連の質問はゼロ。「終わったことはすぐに忘れる」という現場の記者の記憶力にも驚くが、翌11日朝刊の社説にはもっと驚いた。 それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっているのだ。朝日が「教団と政治 解明まだだ」との見出しで、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長と教団との関係が解明されていないことをかろうじて指摘したが、この点を同じように問題視してきていた毎日は情けない。「献金被害の救済法成立 むしろ議論はこれからだ」と題した長行の社説を掲げたが、自民と教団との関係には全く言及がないのだ。 「新聞エンマ帖」全文は、「文藝春秋」2023年2月号と、「文藝春秋 電子版」に掲載されています』、「被害者救済法成立を受けた岸田文雄首相の記者会見と社説である・・・翌11日朝刊の社説にはもっと驚いた」、「それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっているのだ。朝日が「教団と政治 解明まだだ」との見出しで、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長と教団との関係が解明されていないことをかろうじて指摘したが、この点を同じように問題視してきていた毎日は情けない。「献金被害の救済法成立 むしろ議論はこれからだ」と題した長行の社説を掲げたが、自民と教団との関係には全く言及がないのだ」、「社説」は一般の記者ではなく、ベテランの論説委員が担当するのに、「それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっている」、とは驚かされた。忘れているのか、不勉強なのかは分からないが、全く「情けない」限りだ。
タグ:安倍元首相暗殺事件 (その6)(「本部は都内超一等地から地方へ…」旧統一教会が"宗教サークル"に転落すると地方で巻き起こる迷惑千万 宗教法人格の剥奪が生み出す"新たなリスク"、日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る2題(本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束、「自民党に教団を切る覚悟はあるのか」韓国に住む日本人信者は怒りをぶちまけた)、《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 新聞エンマ帖) PRESIDENT ONLINE 鵜飼 秀徳氏による「「本部は都内超一等地から地方へ…」旧統一教会が"宗教サークル"に転落すると地方で巻き起こる迷惑千万 宗教法人格の剥奪が生み出す"新たなリスク"」 「裁判所が解散命令を出せば宗教法人格を失い、宗教団体(任意団体)へと転落する。すると社会的信用を失うだけではなく、税制優遇などが受けられなくなる。つまり法人税、固定資産税、都市計画税、相続税などが課税される」、「税制優遇などが受けられなくなる」のはダメージが大きそうだ。 「宗教法人解散請求」は遠慮せず、必要であれば即刻行うべきだ。 「「カルト」や「マインドコントロール」の定義こそを、議論すべきではなかっただろうか。真っ当な宗教と、一線を引いて適切に運用させるためにも、この2つの定義こそが重要であったと思う」、その通りだ。 「政治と宗教の接近は、日本が再び暗い時代への一歩を踏み出したことの暗示だと、考えるべき」、「政治と宗教の接近」しても、「信教の自由」が守られるよう、監視してゆく必要がある。 日刊ゲンダイ「日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る:本拠地・韓国では想像もつかない「サイビ宗教」と日本の政治の結束」 「韓国ではこうした問題は注目されず、メディアを通してもほとんど話題になっていない」、これほどの違いがあるとは驚かされた。 「韓国社会では、旧統一教会の教義は「異端」とされ、一般的な宗教団体としては認知されていない。 個人崇拝や多額の献金を要求する新興宗教を、韓国では「サイビ宗教」と呼ぶ。「サイビ」を漢字で記すと「似而非」。「宗教とは似て非なるカルト集団」という意味合いだ。韓国社会で旧統一教会は、まさに「サイビ宗教」として認識されている」、「「サイビ宗教」と政界が結びつくことなど、韓国人にとっては「想像もできない話」、なるほど。 日刊ゲンダイ「日本マネーが支える韓国「統一教」に迫る:「自民党に教団を切る覚悟はあるのか」韓国に住む日本人信者は怒りをぶちまけた」 「内容が不十分との批判もあるが、旧統一教会にとって大きな圧力となったのは間違いない」、とりあえずの対応としては、やむを得ない。 「教団が自民党や日本のためにしてきたことはたくさんある。そうした協力を得ることができなくなることへの『覚悟』という意味です」、どう考えても、「教団」側人間の思い上がりに過ぎないようだ。 文春オンライン「《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 新聞エンマ帖」 「新聞の調査がうつろいやすい世論の反応を伝えるだけで良いものか。 しかもその数字に基づき、黄金の3年間とか下げ止まりとか危険水域とか退陣はいつかとか、浅薄な政局観を月替わりや週替わりで垂れ流す。防衛論議をはじめ、世論は政策や政権のどこを評価してどこに反省を迫っているのか。そこを問い冷静に分析を施さない限り、世論調査はただ世論を迷わせるだけである」、同感である。 「被害者救済法成立を受けた岸田文雄首相の記者会見と社説である・・・翌11日朝刊の社説にはもっと驚いた」、「それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっているのだ。朝日が「教団と政治 解明まだだ」との見出しで、安倍晋三元首相や萩生田光一政調会長と教団との関係が解明されていないことをかろうじて指摘したが、この点を同じように問題視してきていた毎日は情けない。 「献金被害の救済法成立 むしろ議論はこれからだ」と題した長行の社説を掲げたが、自民と教団との関係には全く言及がないのだ」、「社説」は一般の記者ではなく、ベテランの論説委員が担当するのに、「それまでメディアが厳しく追及してきた自民党と教団との深い関係への言及が薄まっている」、とは驚かされた。忘れているのか、不勉強なのかは分からないが、全く「情けない」限りだ。
コメント 0