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台湾(その4)(台湾が韓国をGDPで間もなく逆転!なぜ「永遠のライバル」に勝てるのか、台湾めぐる「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」 実際にリスクを高めるのは?、バイデン大統領の「台湾防衛」発言に透ける真意 日本として対応を平時から議論しておくべき) [世界情勢]

台湾については、2021年11月27日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(台湾が韓国をGDPで間もなく逆転!なぜ「永遠のライバル」に勝てるのか、台湾めぐる「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」 実際にリスクを高めるのは?、バイデン大統領の「台湾防衛」発言に透ける真意 日本として対応を平時から議論しておくべき)である。

先ずは、昨年3月24日付けダイヤモンド・オンラインが財訊を転載した「台湾が韓国をGDPで間もなく逆転!なぜ「永遠のライバル」に勝てるのか」を紹介しよう。
・『台湾と韓国の間には共通点が多い。かつて「アジア四小龍」にそれぞれ数えられ、いずれも電子産業を柱とする。似ているが故にお互いライバルと意識してきた両国だ。経済という点では長く韓国が優勢だったが、ここにきて台湾が逆転しそうだという。『半導体・電池・EV 台湾が最強の理由』(全6回)の#4では、台湾人が快哉を叫ぶ「逆転レース」について伝える』、「台湾のGDP」が「韓国」を間もなく逆転しそうとは初めて知った。
・『1人当たりGDPで韓国を上回る日が近い  台湾の1人当たりGDP(国内総生産、名目)は2003年に韓国に逆転されて以来、追い付くことができない状態が長く続いてきた。その状況がここにきて、大きく変化している。国際通貨基金(IMF)の推計によると、台湾の1人当たりGDPは3年後の25年に4万2801ドルに達し、韓国の4万2719ドルを小幅で上回る見通しだ。 このIMFの推計は非常に保守的な数値である。台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)所管のシンクタンク、中華経済研究院は、台湾が21年にすでに僅差で韓国を上回っているという試算を出している。その差は数百ドルにすぎないが、台湾人にとっては奮い立たせられる数字だ。 (台湾韓国一人当たりGDP推移のグラフはリンク先参照) 21年は株式市場においても、台湾の上場企業の時価総額が年初から23.7%伸びたのに対し、韓国は3.6%の小幅成長にとどまっている。台湾と韓国の競争におけるスター選手というべき企業の時価総額を比べると、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が5305億ドルであるのに対し、韓国のサムスン電子は3879億ドル(3月22日の終値ベース)となっている。 長期にわたり台韓間には、国際政治における恩讐があったと同時に、産業競争においても度々角突き合わせてきた経緯があった』、「台湾韓国一人当たりGDP推移のグラフ」を見ると、2003年に「韓国」の方が大きかったが、差は急速に縮小している。
・『韓国は対中輸出が大幅減速 台湾は米中対立が追い風に  (経済の活力を奪い合う台湾vs韓国の図はリンク先参照) 両国がアジア四小龍と呼ばれた時代、台湾は経済と貿易の自由化を進め、国営事業を民営化し、電子産業を発展させることに全力を挙げた。中小企業が急速に成長した時期でもある。韓国はこの時期、鉄鋼や自動車といった重工業を重視し、財閥を支援した。しかし1997年のアジア通貨危機により、過剰債務を抱えていた財閥は大きな痛手を被り、韓国経済は失速した。 ところが2000年代になると、台湾では90年ごろから起きていた中小企業の中国への流出で産業の空洞化が進んだ一方、韓国では金融経済システムの国際化が進み、財閥企業による規模のメリットを生かした経営が成功した。 そして現在の状況は、台韓経済の3回戦目に突入したといえるわけだ。ここで台湾が逆転しようとしている背景にあるのは、韓国経済が壁に突き当たっていることだ。 中華経済研究院の王健副院長は、「韓国経済を支える財閥企業はスケールメリットという点で秀でているが、景気悪化の局面では対応に遅れる面がある」と指摘している。 また経営規模の大きさという点では、韓国の財閥よりも中国企業の方が大きい。そのため、中国企業によって韓国の財閥から市場が奪われ、技術力の面でも逆転されるという現象が起きている。韓国経済は対中輸出に依存して成長を遂げてきたが、もはや対中輸出の大きな伸びは望めなくなっている。 韓国経済が壁に突き当たっているのとは対照的に、台湾は米中対立を受けた世界的なサプライチェーンの見直しを経済成長の追い風としている。蔡英文総統が17年に産業革新を推進する政策を導入したことも相まって、台湾企業が中国から回帰しているだけでなく、米グーグルや米マイクロソフトといったグローバル企業も台湾に投資するようになっている。 新型コロナウイルスの感染拡大があっても、台湾では都市封鎖が行われず、企業活動が継続でき、輸出の伸びは韓国よりも高かった。この間、台湾ドルの上昇が進んでおり、本来なら輸出には不利な為替環境だ。しかし台湾ドル高のマイナス要素に企業の競争力が勝っており、通貨高は1人当たりGDPを膨らませる結果となっている。 台湾経済は目下繁栄の局面にあるが、王副院長は「台湾が有利なうちに、産業の転換を図り、医療や宇宙産業のような次世代の重要産業を育成しなければならない。またさまざまな金融的手段で企業が資金調達し、十分な研究開発資金を獲得することを妨げてはいけない」と指摘する。 韓国では大手100社の研究開発費がコロナ禍のさなかの20年に前年比3.3%伸びている。その投資分野は半導体やITだけでなく、次世代自動車や水素エネルギー、航空宇宙産業など幅広い。財閥企業はこの転換期に巨額の投資を断行しており、台湾に多い中小企業を圧倒する資本力を見せつけている。 韓国の次期大統領である尹錫悦(ユン・ソンヨル)氏は親米派のため、これまで米国の支援を得てきた台湾のアジアにおける立ち位置が変わる可能性もある。 台湾と韓国の競争はこれからもまだ続く。これまでの歴史を振り返り、世界経済の変化を理解することで、台湾経済の進むべき道はおのずと見えてくる』、「台湾」と「韓国」とも各々の主要マーケットの状況の違いなどに応じて、伸びたり、伸び悩んだりすることだろう。いずれにしても、「台湾」が「韓国」より有利な状況がしばらく続きそうだ。

次に、5月24日付けNewsweek日本版が掲載した在英ジャーナリストの木村正人氏による「台湾めぐる「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」、実際にリスクを高めるのは?」を紹介しよう。
・『<バイデン米大統領は日本で、「台湾を守るため軍事的に関与する気はあるのか」という質問に「そうだ」と明確に回答。この発言の意図とは?> [ロンドン発]来日中のジョー・バイデン米大統領と岸田文雄首相は23日、東京・元赤坂の迎賓館で会談した。中国の軍事力が急拡大する中、共同記者会見で「あなたはウクライナ紛争に軍事的に関与したくなかった。もし同じ状況になったら、台湾を守るために軍事的に関与する気はあるのか」と記者に問われたバイデン氏は「そうだ」と明確に答えた。 「それがわれわれの約束だ。われわれは『一つの中国』政策に合意している。しかし軍事力で(台湾を)奪うことを許すわけにはいかない。それを容認すれば(東アジア)地域を混乱させることになる。ウクライナと同じような事態を誘発しかねない。アメリカの責任はさらに重くなった」とバイデン氏は説明した。 米ホワイトハウスは即座に「われわれの政策は変わっていない」とバイデン発言のトーンを弱めた。例によってバイデン氏のアドリブ発言か否か、意図は何か、真相は藪の中だ。 ロシアとの核戦争にエスカレートするのを避けるため「米軍をウクライナに派兵するつもりは全くない」と早々と宣言したバイデン氏はロシア軍のウクライナ侵攻にお墨付きを与える格好となった。台湾問題でも直接の軍事介入を頭から否定すれば、同じ間違いを繰り返す。バイデン氏は少なくとも口先では「戦略的曖昧さ」から「戦略的明確さ」に舵を切った。 一方、岸田氏は「中国人民解放軍海軍の活動や、中露の合同軍事演習を注視している。東シナ海や南シナ海での武力行使による現状変更には断固として反対する」と表明した。しかし日米両国の台湾問題に対する基本的な立場は変わらず、「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安全保障と繁栄に欠かせない要素だ」とこれまでの方針を繰り返すにとどめた』、「ロシアとの核戦争にエスカレートするのを避けるため「米軍をウクライナに派兵するつもりは全くない」と早々と宣言したバイデン氏はロシア軍のウクライナ侵攻にお墨付きを与える格好となった。台湾問題でも直接の軍事介入を頭から否定すれば、同じ間違いを繰り返す。バイデン氏は少なくとも口先では「戦略的曖昧さ」から「戦略的明確さ」に舵を切った」、「ウクライナ」での過ちを繰り返さなかったのはまずまずだ。
・『昨年10月にもバイデン氏は「台湾防衛」発言  バイデン氏は昨年10月、米ボルチモアでのタウンホールイベントでも、中国から攻撃された場合、アメリカは台湾を防衛するのかと問われ、「イエス。われわれはその約束をしている」と発言した。中国は台湾を祖国にとって欠かすことのできない一部とみなしており、そこにアメリカが安全保障を拡大することは不必要な挑発と訝る声もあった。 英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のマイケル・クラーク前所長は当時、「台湾の将来を決めるのは台湾の人々だけだという理由でアメリカが台湾の防衛に尽力していると明確に表明することは道徳的に正しいことだが、中国に対するアメリカの抑止力の信頼性を高めることにはならない」という道徳的な正義とリアルポリティクスのジレンマに言及している。) 1979年に米中関係が正常化された際、台湾に対するアメリカの立場は台湾関係法で定められた。台湾に防衛的武器を提供するとともに、台湾の人々の安全、社会・経済システムを危うくするような力に対抗するアメリカの能力を維持することが約束された。しかし「中国が侵攻してきた場合、台湾を防衛する約束をしていないのは明らかだ」(クラーク氏)。 歴代の米大統領がこの「戦略的曖昧さ」を伝統的に維持してきたのは、台湾問題を巡りアメリカが中国との戦争に巻き込まれるリスクを回避したいからだ。2001年にジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)は台湾への50億ドル武器売却を承認し、台湾防衛のため「必要なことは何でもする」と発言したが、その後、中国との関係を強化するため、この立場を和らげている』、「台湾に対するアメリカの立場は台湾関係法で定められた。台湾に防衛的武器を提供するとともに、台湾の人々の安全、社会・経済システムを危うくするような力に対抗するアメリカの能力を維持することが約束された。しかし「中国が侵攻してきた場合、台湾を防衛する約束をしていないのは明らかだ」、「歴代の米大統領がこの「戦略的曖昧さ」を伝統的に維持してきたのは、台湾問題を巡りアメリカが中国との戦争に巻き込まれるリスクを回避したいからだ」、なるほど。
・『「戦略的曖昧さ」は中国の拡張主義を助長するだけ?  経済的な米中逆転が目前に迫る中、「戦略的曖昧さ」は中国の拡張主義を促すだけだという反省が米国内でも強まってきた。ドナルド・トランプ米大統領時代、台湾との防衛・安全保障協力を強化する国防権限法が可決されるなど、アメリカは台湾への支援を強化している。しかしアメリカの安全保障パートナー国の立場は微妙だ。 台湾問題を巡って米中が敵対し、アメリカか中国かの二者択一を迫られるのを避けるため「戦略的曖昧さ」を望む東アジアの国々も少なくない。昨年3月、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)は少なくとも27年までに台湾への脅威が顕在化すると証言している。 中国は今のところ24年の台湾総統選を注視している。アメリカが台湾防衛という「戦略的明確さ」をとれば、台湾独立派が勢いづき、中台関係の緊張が一段と増すかもしれない。 ウクライナの場合、「戦略的曖昧さ」というより、核戦争を回避するため直接軍事介入はしないという「戦略的明確さ」が侵攻を思いとどまらせるという抑止力を帳消しにしたとの見方もある。しかしロシア軍のウクライナ侵攻は、ポスト冷戦の国防・安全保障環境を一変させた。これまでの常識が通用しなくなったのだ。 道徳的な正義に重きを置くバイデン氏はウラジーミル・プーチン露大統領を「人殺しの独裁者」「悪党」「戦争犯罪人」「虐殺者」と呼んできた。バイデン氏は3月のワルシャワ演説で「責められるべきはプーチン氏だ」「この男は権力の座にとどまらせてはいけない」と体制転換を目指すとみなすことができる発言をした。 体制転換にゴールを引き上げると戦争の終わりが見えなくなる。このためホワイトハウスは火消しに追われた。しかし今、重要なのは「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」のどちらが中国の台湾侵攻というリスクを軽減できるのかを慎重に分析することだ』、「今、重要なのは「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」のどちらが中国の台湾侵攻というリスクを軽減できるのかを慎重に分析することだ」、その通りだ。
・『台湾有事は日本有事  5月5日、英首相官邸で行われた日英首脳会談で、岸田氏とボリス・ジョンソン英首相は昨年10月に交渉を始めた日英円滑化協定が大枠合意に至ったことを歓迎し、この協定が自衛隊と英軍の共同運用・演習の円滑化を通じ日英安全保障・防衛協力をさらに深化させ、日英両国が世界の平和と安定に一層寄与することを確認している。 英政府は「共同作業・演習・運用を可能にする」協定と位置付け、「イギリスは欧州で初めて日本とこのような協定を結ぶ国となる。インド太平洋地域へのコミットメントを強化し、世界の平和と安全の守りをさらに強化する。訓練、共同演習、災害救援活動を実施するためにともに派遣される」と表明した。 これについて、英首相報道官は「日英両国が原則合意した円滑化協定はこれまでわれわれが一緒にやっていて、これからも継続していきたいすべての活動を反映している。日本の自衛隊と英軍の共同訓練や共同運用を可能にすることや、来るべき数年の間に著しく重要になるインド太平洋地域で拡大していくイギリスの活動も含まれている」と説明した。 「現在、原則合意の段階だ。円滑化協定が最終的に決定された時点で、もっと多くのことが語られるだろう」。台湾有事の際にどう機能するのかという質問には「どんな仮想的な状況が含まれるかについてはコメントしたくないが、自衛隊と英軍の部隊が一緒に作戦行動することは含まれている」とだけ語った。 台湾有事になると、アメリカの反撃を止めるため、沖縄本島から西は中国の軍事影響下に入る。すなわち台湾有事は日本有事なのだ。「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」のいずれをとるにせよ、台湾有事のリスクがゼロになるわけではない。バイデン発言の真意がどこにあるのかはともかく、日本はすでに台湾有事を日本有事として備えているのだろうか』、「台湾有事になると、アメリカの反撃を止めるため、沖縄本島から西は中国の軍事影響下に入る。すなわち台湾有事は日本有事なのだ。「戦略的曖昧さ」と「戦略的明確さ」のいずれをとるにせよ、台湾有事のリスクがゼロになるわけではない。バイデン発言の真意がどこにあるのかはともかく、日本はすでに台湾有事を日本有事として備えているのだろうか」、現在、その「備え」を準備しつつある段階だ。

第三に、5月25日付け東洋経済オンライン「バイデン大統領の「台湾防衛」発言に透ける真意 日本として対応を平時から議論しておくべき」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/591896
・『台湾をめぐる政策について、アメリカはそのスタンスを変えたのか。今後、日本が適切に対応するためには、アメリカの真意を知っておくことが不可欠だ。 「あいまい戦略」を踏み越えたのか――。 来日したアメリカのバイデン大統領の発言が波紋を広げている。5月23日、日米首脳会談後の記者会見でウクライナに軍事的に関わらなかったと指摘されたうえで、台湾有事が起きた場合にアメリカが軍事的に関与するかと問われ、「する。それがわれわれの約束だ」と発言。あわせて「われわれの台湾政策はまったく変わっていない」とも述べた。 直後にホワイトハウスは「台湾政策に変更はない。バイデン氏は一つの中国政策と台湾海峡の安定と平和への関与を再確認した」と説明した。これを受けて、一部にはバイデン氏が失言したと捉える向きもあるなど、日米双方の当局者の間で混乱が生じている。 しかし今後、日本が適切な対応を行うためには、アメリカの真意を知っておくことは不可欠だ。本当にアメリカは台湾を守るために軍事的関与を行うのか。アメリカは、これまで台湾を防衛する意思があるかどうかを明らかにしない「あいまい戦略」を取ってきたが、こうした台湾をめぐる政策についてアメリカは姿勢を変えたのだろうか』、興味深そうだ。
・『本当にバイデン氏の失言なのか?  バイデン氏の発言に中国外交部の汪文斌副報道局長は「中国側に妥協や譲歩の余地は一切ない」と述べ、強烈な不満と断固とした反対の意思を表明した。 一方の台湾外交部は歓迎と謝意を述べたうえで、「台湾が自由と民主主義、安全を守る意思は不変だ。引き続き防衛能力の強化に努め、日米などと協力してアジア太平洋地域の平和と安定を守っていく」と自国の防衛力向上の姿勢を改めて示した。 バイデン氏は2021年8月にアメリカが日本や韓国の防衛義務があるとしたうえで、「台湾も同じだ」と発言。同年10月にも台湾が中国から攻撃を受けた場合に台湾を防衛するかを問われて「もちろんだ。責任がある」と言及した。 いずれも発言後に米政府高官や報道担当者が「政策に変更はない」との趣旨を表明し、これを受けて多くのメディアはバイデン氏の「発言撤回」や「訂正」だと伝えた。 今回はバイデン氏自身も「我々の台湾政策はまったく変わっていない」と言及。これを後から「釈明した」と捉える見方も存在するほか、ホワイトハウスが改めて「政策は変わっていない」と強調したことから、再びバイデン氏が「失言」したとの見方が出ている。 ただ、バイデン氏の台湾防衛関与への発言をほかの高官やホワイトハウスなどは「修正する」とも「撤回する」とも言っておらず、あくまでアメリカの台湾政策に変更はないと改めて示しただけ。一般的な受け止め方としてバイデン氏の発言の軌道修正を図っているとも捉えられる一方で、バイデン氏の発言を否定しないことを暗に示しているとみることもでき、受け手側に解釈が委ねられている』、「一般的な受け止め方としてバイデン氏の発言の軌道修正を図っているとも捉えられる一方で、バイデン氏の発言を否定しないことを暗に示しているとみることもでき、受け手側に解釈が委ねられている」、なるほど。
・『「一つの中国」政策を掲げつつも実態には変化も?  アメリカの台湾政策は「一つの中国政策」(One China Policy)と称されている。これは過去に米中間で交わされた3つのコミュニケや、1979年に制定された「台湾関係法」、1982年にレーガン大統領が表明した「6大保証(6つの保証)」で構成されている。 この「一つの中国政策」の大まかなポイントは2つある。 1つは1978年の米中コミュニケでアメリカが「中国は一つであり、台湾は中国の一部であるとの中国の立場を『認知(acknowledge)』する」という限定的な立場を表明していること。もう1つは台湾関係法と6大保証によって台湾の安全へのコミットメントを確認していることだ。 そのため、「一つの中国政策」は、「中国と台湾は不可分」という中国の立場に異を唱えない一方、「台湾の安全保障に関与する」姿勢を示すものであると説明されることが多い。 とはいえ、従来、アメリカは中国が侵攻した際に台湾を防衛する意思を明確にしない戦略的あいまいさを継続してきた。実際、1979年に制定された台湾関係法でもアメリカは台湾の防衛義務自体は負っていない。 台湾の安全への関与の範囲は、防衛兵器の提供などに限られてきた。「あいまい戦略」は台湾の独立への動きと中国の台湾侵攻の双方を牽制し、中国と台湾は不可分とする「一つの中国原則」(One China Principle)を掲げる中国にも配慮するシグナルともなっていた。) 今回、バイデン氏は「あいまい戦略」を踏み越えたかのように見える。彼自身は「政策はまったく変わっていない」と発言しており、台湾の安全に関与する範囲に台湾防衛も含まれると解釈して、これまで掲げてきた「一つの中国政策」の枠内で、台湾の安全保障への関わり方の限界がどこにあるかを模索しているとみられる。 台湾政治が専門の小笠原欣幸・東京外国語大学教授は、バイデン政権が「一つの中国政策」の看板を継承していると指摘しつつ、「バイデン大統領が『一つの中国政策』は変わらないと念押ししながら、『あいまい戦略』のぎりぎりのところをついて中国の台湾侵攻の抑止を図っているのではないか」と分析する』、「バイデン政権が「一つの中国政策」の看板を継承していると指摘しつつ、「バイデン大統領が『一つの中国政策』は変わらないと念押ししながら、『あいまい戦略』のぎりぎりのところをついて中国の台湾侵攻の抑止を図っているのではないか」と分析する」、微妙な立場だ。
・『アメリカの台湾関与強化は間違いない  アメリカ軍のアフガニスタン撤退やウクライナ戦争への未派兵によって、台湾に対する防衛意思も消極的なのではとの疑念が高まっていた。アメリカ国内では議会などを中心に「戦略的明確さ」に転換するよう求める声が出ている。 それらに応えているかは明らかでないが、過去2回の「台湾防衛」発言も含めて少なくともバイデン氏の中では台湾防衛への意思が明確なようだ。ホワイトハウスや国務省などは「アメリカの政策は変わっていない」と強調することで、中国にも対応し、連携プレーを展開している。結果として最高司令官である大統領の意思を明確に浮かびあがらせることで中国への抑止を高めているようにもみえる。 発足が宣言された新たな経済連携「IPEF(インド太平洋経済枠組み)」では創設メンバーに台湾が入らず、中国に配慮している点はなおみられる。 一方で、将来の参加余地は大いに残されたうえ、政権内で対中国・台湾政策の要とみられるサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「ハイテク分野で台湾とのパートナーシップを深めることを検討している」と語っており、アメリカ政府が防衛だけでなくあらゆる方面で台湾への関与を強化する姿勢が鮮明となっている。 一部の記事では、4月7日にアメリカ上院の公聴会で証言したアメリカ軍制服トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長の「最善の台湾防衛は、台湾人自身が行うことだ」の発言を切り取り、台湾有事が発生してもアメリカは台湾に冷淡な対応をするだろうといった主張も展開されている。ただ、ミリー氏の発言において、アメリカの姿勢が最もよく表れ、日本などアジア太平洋の同盟・友好国が注目すべきなのは次の箇所だ。) 「中国に対する最善の方法は、接近拒否抑止力を通じて、台湾攻撃が『非常に達成困難な目標』であることを、彼ら(中国側)に思い知らせることだ」 台湾有事を起こさせないようにする抑止の考えが必要だとの訴えである。バイデン氏も5月23日の会見で「ロシアのプーチン大統領はウクライナへの非道な行為で大きな代償を払うことが重要」であるとし、「ロシアが制裁を受け続けなければ中国はどう思うか」とウクライナ戦争での対応が中国への抑止につながると示唆した。 さらに「一つの中国政策には同意しているが、武力で台湾を奪うのは適切ではない」とも牽制した。アメリカの台湾への関与強化は明らかな方向性をもって進んでいると言えるだろう』、「「中国に対する最善の方法は、接近拒否抑止力を通じて、台湾攻撃が『非常に達成困難な目標』であることを、彼ら(中国側)に思い知らせることだ」 台湾有事を起こさせないようにする抑止の考えが必要だとの訴え」、もっともな考え方だ。
・『政策再考のためにも正確な理解を  バイデン氏が明確に台湾防衛への意思を示したことなど、台湾関与への強化が鮮明であることで中国の姿勢が強硬になる恐れもある。今後、米中関係や東アジアの安全保障が新たな局面を迎える可能性があり、日本もアメリカの姿勢を理解し、これまでの台湾をめぐる国際関係の経緯を踏まえて外交・安保政策を考える必要がある。 よくある議論に「日本は台湾を国として認めていないので台湾を中国の一部と認めている。内政問題である台湾有事に巻き込まれないようにすべきだ」というものがある。 ただ、日本は中国が掲げる「一つの中国原則」のうち、「中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府である」ことのみを「承認」している。一方で「台湾は中国の不可分の一部である」ことについては、中国の立場を「十分理解し尊重する」とするにとどまっており、日本政府は「一つの中国原則」を完全に承認しているわけではない。 台湾有事が現実のものとなれば、日本も大きな影響を受ける。中国による台湾への攻撃で、東アジアのサプライチェーンは機能しなくなり、経済の混乱は避けられない。 また日本はアメリカと安全保障条約を締結し、アメリカ軍基地も受け入れている。中国が台湾侵攻作戦を発動すれば台湾だけでなく、在日アメリカ軍基地への攻撃など日本有事に発展する可能性は高い。日本が台湾有事にどう関わることになるかを議論する前提として、日本の台湾への立場を理解することも重要だ。 日本では、アメリカが「一つの中国」を認めていると誤解していることも多い。日本のメディアでは、提携先の海外英字紙の翻訳記事でacknowledgeを「認める」と誤訳して、あたかもアメリカが中国の「一つの原則」を認めているかのように表現するケースがある。加えて、中国が掲げる「一つの中国原則」とアメリカが掲げる「一つの中国政策」が同じものであるかのように混同した表記や説明もみられる。 「日本が、台湾への情緒的共感に傾斜した対中政策を続けると、アメリカにはしごを外される」と主張する言説もある。そうした主張者は、現在の日本の台湾への関わり方が中国を刺激することを強調し、台湾有事の抑止に貢献することを否定している』、「日本のメディアでは、提携先の海外英字紙の翻訳記事でacknowledgeを「認める」と誤訳して、あたかもアメリカが中国の「一つの原則」を認めているかのように表現するケースがある。加えて、中国が掲げる「一つの中国原則」とアメリカが掲げる「一つの中国政策」が同じものであるかのように混同した表記や説明もみられる」、確かに正しい理解が不可欠だ。
・『誤った解釈での言説では外交政策の議論が困難に  しかし、現状を変更しようと軍事力を増強しているのは中国側であり、アメリカの台湾関与姿勢は明確だ。誤った表記や解釈の下で繰り返される言説は、日本の外交・安保政策の議論を困難にする。 日本でも中国の武力行使を絶対に許さない世論の形成や、実際的な台湾有事での対応を平時から議論しておくことが中国への抑止力の貢献につながる。平和を維持するために日本ができることは何か、改めてこれまでの正確な経緯を振り返り、社会全体で議論することが求められる』、「現状を変更しようと軍事力を増強しているのは中国側であり、アメリカの台湾関与姿勢は明確だ。誤った表記や解釈の下で繰り返される言説は、日本の外交・安保政策の議論を困難にする」、「平和を維持するために日本ができることは何か、改めてこれまでの正確な経緯を振り返り、社会全体で議論することが求められる」、同感である。
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