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ウクライナ(その5)(プーチン氏「ドイツ戦車の脅威が再来 しかも十字の印を付けている」(有料記事だが、今月あと2本までは無料)、ウクライナは「核攻撃を受けても戦い続ける」が 欧米の「及び腰」にプーチンの勝機、「プーチンは負け 核のボタンを押す」…識者による鼎談が明かす「ウクライナ戦争の結末」のヤバすぎる姿) [世界情勢]

ウクライナについては、2月2日に取上げた。今日は、(その5)(プーチン氏「ドイツ戦車の脅威が再来 しかも十字の印を付けている」(有料記事だが、今月あと2本までは無料)、ウクライナは「核攻撃を受けても戦い続ける」が 欧米の「及び腰」にプーチンの勝機、「プーチンは負け 核のボタンを押す」…識者による鼎談が明かす「ウクライナ戦争の結末」のヤバすぎる姿)である。

先ずは、本年2月14日付け日経ビジネスオンラインが掲載した在独ジャーナリストの熊谷 徹氏による「プーチン氏「ドイツ戦車の脅威が再来。しかも十字の印を付けている」」を紹介しよう。これは、有料記事だが、月3本までは無料で読める。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/021300365/
・『ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2023年2月に行った演説で、ロシアは単にウクライナと戦っているだけではなく、ドイツをはじめとする西側陣営と戦争しているという点を強調した。戦争の長期化を示唆するものであり、停戦・平和交渉への道のりは遠い。 プーチン大統領は2月2日、ロシア南部の都市ボルゴグラードで、意味深長な演説を行った。 この日、ボルゴグラードでは、独ソ戦の最中の1943年に、同市をめぐる攻防戦で、当時のソ連軍がナチス・ドイツ軍を破ったことを記念する式典が行われた。 当時スターリングラードと呼ばれたこの町をめぐる戦いは、第2次世界大戦で最も激しい戦闘の1つだった。アドルフ・ヒトラーがこの工業都市の攻略にこだわった理由の1つは、「スターリンの町」という名前がついていたからだ。 だがヒトラーの第6軍は、冬将軍の訪れとともにソ連軍の大反攻に遭い、逆に包囲された。ドイツ兵たちは、廃虚と化した町で袋のネズミとなった。約15万人のドイツ軍将兵が戦死、または飢餓や病気、寒さで死亡。約11万人が捕虜とされシベリアの収容所へ送られた(そのうち、戦後ドイツに帰ることができたのは約6000人にすぎない)。 これはヒトラーにとって、独ソ戦を開始してから最初の敗北だった。ドイツ軍が得意とした戦車の密集陣による破竹の進撃は、ここスターリングラードで潰(つい)えた。ソ連軍も約50万人の戦死者を出した。スターリングラードの戦いは、第2次世界大戦でソ連が反攻作戦を始め、45年にベルリンを陥落させるきっかけを作った重要な転換点だった。 戦後にソビエト共産党の書記長になるニキータ・フルシチョフもスターリングラードで政治委員として戦った。同氏がソ連の最高指導者の座に上り詰めることができた背景には、この激戦地で兵士たちを鼓舞し、戦いを勝利に導いた功績がある。 つまりスターリングラードという地名は、ソ連がドイツを打ち破った場所として、ロシア人にとって極めて重要な意味を持つ。このためロシア政府は毎年2月2日に限って、この町の名前をスターリングラードに改称し、記念式典を開いて町の大通りで軍事パレードを挙行する。 プーチン大統領は、この激戦地で死亡した兵士、市民を追悼する式典で「我々はいま再び、新しい顔を持つナチズムのイデオロギーによって脅かされている。我々はまたもや、ウクライナでヒトラーの後継者たちの攻撃を受けている」と発言した。同大統領は、ウクライナ侵攻を「ナチスとの戦い」として正当化した』、「スターリングラード」で「約15万人のドイツ軍将兵が戦死、または飢餓や病気、寒さで死亡。約11万人が捕虜とされシベリアの収容所へ送られた(そのうち、戦後ドイツに帰ることができたのは約6000人にすぎない)」、「ドイツに帰国できたのは約6000人にすぎない」、シベリアに抑留され日本人は57.5千人、死亡者5.8千人(Wikipedia)よりも酷い結果だ。
・『「我々は再びドイツ戦車に脅かされている」  プーチン大統領はこの場で初めて、レオパルド2A6型戦闘戦車14両をウクライナに供与するドイツの決定を公式に批判した。オラフ・ショルツ独首相は1月25日、ドイツによる供与だけでなく,レオパルド2を保有する欧州諸国がこの戦闘戦車をウクライナに送ることも承認した。プーチン大統領は「信じがたいことだが、我々は再びドイツ戦車の脅威を受けている。しかもその戦車は、側面に十字のマークを付けている」と述べ、ロシアが再びドイツに脅かされていると強調した。 第2次世界大戦中にナチス・ドイツ軍が使った戦車には、黒の十字に白の縁(ふち)を付けたマーク(バルケンクロイツ=棒十字)が描かれていた。一方、今日のドイツ連邦軍もレオパルドやゲパルト対空戦車、マルダー装甲歩兵戦闘車などの側面に黒十字を描いている。 ドイツ連邦軍が現在、国章として使っている黒十字(タッツェンクロイツと呼ばれる)は先端が末広がりになっており、ナチス・ドイツの戦車に付けられた国章と同一ではない。しかしプーチン大統領が言うように、「十字のマーク」であることには変わりない。またウクライナ軍の一部の戦車部隊は、ロシア軍の戦車と区別できるように、自軍の戦車の側面に白い十字章を描いている。第2次世界大戦のごく初期にナチス・ドイツ軍は、白の十字を戦車に描いていた時期がある』、「プーチン大統領は「信じがたいことだが、我々は再びドイツ戦車の脅威を受けている。しかもその戦車は、側面に十字のマークを付けている」と述べ、ロシアが再びドイツに脅かされていると強調」、政治的宣伝としては効果抜群だ。
・『ウクライナ戦争を独ソ戦と重ね合わせる  なぜプーチン大統領は、この演説でドイツ戦車に言及したのだろうか。ロシア人にとって、ソ連が約2700万人という多大な犠牲者を出しながらもナチス・ドイツを打ち破った事実は、市民たちを結びつける社会的つながりとなっている。ロシア人のアイデンティティーの源の1つと言ってもおかしくない。この国ではいまも独ソ戦のことを大祖国戦争と呼ぶ。 当時、ソ連の独裁者だったヨシフ・スターリンに対して一部のロシア市民が好意的な感情を抱くのはそのためだ。ボルゴグラードでは今年、ナチス・ドイツ軍壊滅80周年を記念してスターリンの胸像を設置し、除幕式を執り行った。つまりプーチン大統領は、ウクライナでの戦争を第2次世界大戦でのナチスとの戦争に重ね合わせることによって、ウクライナ侵攻に対するロシア国民の支持を強固にしようとしているのだ。 プーチン大統領は2022年2月24日に侵攻を開始して以来、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権をネオナチと呼び、同国を非ナチ化して武装解除することが戦争の目的だと説明していた。最近は、「ウクライナは悪魔に支配されている。同国を非悪魔化することが必要だ」という表現も使っている。) つまりプーチン大統領は「ウクライナ侵攻はネオナチとの戦いだ」という庶民にも分かりやすいレトリックを使用する。同大統領はボルゴグラードでの演説で「ドイツの戦車」に言及することで、この戦争が単にウクライナ・ロシア間の戦争ではなく、西側陣営とロシアとの戦争でもあるという点を一段と強調した。 さらにプーチン大統領は「ドイツのような欧州諸国がロシアとの新たな戦争に突入し、戦場で勝てると考えているとしたら、それは誤りだ。彼らは、ロシアに対する今日の戦争が過去の戦争とは全く異なることを分かっていない。我々は、ロシア軍の戦車を彼らの国境に向けて送ることはないが、別の手段を持っている。我々がこの戦争に勝つことに、疑いの余地はない」と発言。欧米諸国がウクライナに戦闘戦車を供与すれば、対抗措置を取る可能性を示唆した。 ドイツのメディアの中には、「別の手段」という表現について、プーチン大統領が戦術核兵器などを使用する可能性を示唆したものと見る向きもある』、「プーチン大統領は、ウクライナでの戦争を第2次世界大戦でのナチスとの戦争に重ね合わせることによって、ウクライナ侵攻に対するロシア国民の支持を強固にしようとしているのだ」、「プーチン大統領は「ウクライナ侵攻はネオナチとの戦いだ」という庶民にも分かりやすいレトリックを使用する。同大統領はボルゴグラードでの演説で「ドイツの戦車」に言及することで、この戦争が単にウクライナ・ロシア間の戦争ではなく、西側陣営とロシアとの戦争でもあるという点を一段と強調した」、「我々は、ロシア軍の戦車を彼らの国境に向けて送ることはないが、別の手段を持っている。我々がこの戦争に勝つことに、疑いの余地はない」、「「別の手段」という表現について、プーチン大統領が戦術核兵器などを使用する可能性を示唆したものと見る向きも」、なるほど。
・『近づくロシア軍の大攻勢  ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからまもなく1年になるが、収束の見通しは立っていない。ゼレンスキー大統領は「ロシア軍が2月中にも大攻勢を開始するかもしれない」という見方を繰り返し打ち出している。 ウクライナ政府が数カ月前から、ドイツや米国などに対し戦闘戦車や装甲歩兵戦闘車、長距離ミサイルなどの供与を強く求めてきたのは、そのためだ。これを受けて欧米諸国は、ロシア軍の反攻作戦が始まったときにウクライナ軍が対抗できるよう、ドイツ製のレオパルド2型戦闘戦車やマルダー装甲歩兵戦闘車だけではなく、米国製のM1エイブラムス戦闘戦車、M2ブラッドレー歩兵戦闘車、英国製のチャレンジャー2型戦闘戦車、フランス製のAMX-10RC型偵察戦闘車など、重火器の供与を拡充すると決めた。 ウクライナ軍は現在約1500両の戦闘戦車を保有するが、全てロシアか旧ソ連製だ。敵国ロシアからの補給は受けられないので、砲弾や交換部品が急速に不足している。このためウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は「レオパルド2など西側の戦闘戦車が300両、西側の装甲歩兵戦闘車が600~700両、榴(りゅう)弾砲が500門必要だ」と語っている。 ウクライナ軍が戦闘戦車と装甲歩兵戦闘車を希望したもう1つの理由は、同国がロシアに占領された地域を奪還する上で、これらの兵器が不可欠だからだ。ゼレンスキー大統領は「クリミア半島とドンバス地方など、ロシア軍が不法に占拠した地域からロシア兵を完全に撤退させるまで、停戦や和平交渉の席には着かない」という姿勢を取っている。 在欧米国陸軍の司令官を14~17年に務めたベン・ホッジス将軍(ドイツのフランクフルト在住)は、22年11月25日のリモート講演会で、筆者に対して「ウクライナ軍は、23年4月に大攻勢を開始してクリミア半島を奪回するだろう」という予測を示した。筆者が「欧米は『戦闘戦車』の供与に踏み切るか? ウクライナ戦争決める鍵」の回で指摘したように、大量の戦闘戦車を投入しなければ、ウクライナ軍がロシア軍を駆逐することは不可能だ。ウクライナが侵略戦争を終わらせるための前提を作る上で、戦闘戦車は重要な鍵を握っている』、「大量の戦闘戦車を投入しなければ、ウクライナ軍がロシア軍を駆逐することは不可能だ。ウクライナが侵略戦争を終わらせるための前提を作る上で、戦闘戦車は重要な鍵を握っている」、なるほど。
・『ウクライナの抵抗精神を過小評価したロシア  ウクライナ戦争はある意味で、これまでの戦争の常識を覆す戦いである。ウクライナの人口は約4200万人。ロシアの人口は約1億4500万人。つまりロシアはウクライナの約3.5倍の人口を持つ。ウクライナ軍兵士の数は約20万人。これに対しロシア軍の総勢は、予備役も加えると約120万人と、ウクライナの約6倍だ。さらにロシアは多数の核兵器を保有している上、戦闘戦車や戦闘機を製造するための強大な軍事産業のインフラを抱えている。いわばウクライナは、巨人ゴリアテと戦うダビデのような存在だ。 過去における大半の戦争では、人口や兵士の数が多い国(あるいは陣営)が、少ない国(同)に勝っている。特に長期間続く消耗戦では、人口や兵士の多い国が有利だ。 だがロシアはウクライナ侵攻の緒戦で、重大な誤算を犯した。14年のクリミア半島制圧・併合のときのように、短期間でウクライナを制圧し、ゼレンスキー政権を転覆できると考えたのだ。さらにプーチン大統領は、クリミア半島併合のときと同様に、ウクライナ軍が頑強に抵抗することなく、欧米諸国もウクライナを強力に支援することはないと予想した。このため、ロシア軍が昨年2月にウクライナ戦線に投入した兵士の数は、約20万人にすぎなかった。 プーチン大統領の予想は完全に外れた。22年のウクライナ軍は、豊富な実戦経験を積み、14年とは異なる軍隊に成長していた。ウクライナ軍の兵士たちは、ウクライナ東部ドンバス地方における親ロ派武装勢力との内戦で、実戦経験を積み重ねてきた。同国はすでに9年前からロシアとの戦争を続けていたのだ。 ロシアは制空権を確保しないまま、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の空港に空挺(くうてい)部隊を送り込もうと試みた。輸送機はウクライナ軍に撃墜され、乗っていた兵士たちは全員死亡した。 さらにプーチン大統領は、ウクライナ人の激しい抵抗精神を過小評価した。ウクライナでは学生、会社員、オペラ歌手、弁護士、IT(情報技術)エンジニアらが進んで軍事教練を受け、命を賭けて前線で戦っている。仮にロシア軍が昨年2月にキーウを陥落させて、ゼレンスキー政権を崩壊させていたとしも、ウクライナ人たちは地下に潜ってロシア軍に対する激しい抵抗運動を続けたはずだ。ロシア軍に対してウクライナ人が抱く憎しみと怒りは、それほどまでに根深い』、「ロシアはウクライナ侵攻の緒戦で、重大な誤算を犯した。14年のクリミア半島制圧・併合のときのように、短期間でウクライナを制圧し、ゼレンスキー政権を転覆できると考えたのだ。さらにプーチン大統領は、クリミア半島併合のときと同様に、ウクライナ軍が頑強に抵抗することなく、欧米諸国もウクライナを強力に支援することはないと予想した。このため、ロシア軍が昨年2月にウクライナ戦線に投入した兵士の数は、約20万人にすぎなかった。 プーチン大統領の予想は完全に外れた。22年のウクライナ軍は、豊富な実戦経験を積み、14年とは異なる軍隊に成長していた。ウクライナ軍の兵士たちは、ウクライナ東部ドンバス地方における親ロ派武装勢力との内戦で、実戦経験を積み重ねてきた。同国はすでに9年前からロシアとの戦争を続けていたのだ」、「ロシアは制空権を確保しないまま、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の空港に空挺(くうてい)部隊を送り込もうと試みた。輸送機はウクライナ軍に撃墜され、乗っていた兵士たちは全員死亡した。 さらにプーチン大統領は、ウクライナ人の激しい抵抗精神を過小評価した。ウクライナでは学生、会社員、オペラ歌手、弁護士、IT(情報技術)エンジニアらが進んで軍事教練を受け、命を賭けて前線で戦っている」、虎の子の「空挺部隊」が「全員死亡」とは情けない限りだ。
・『欧米の強力な軍事支援が戦場での勢力を拮抗させた  ダビデが、巨人ゴリアテに屈しないもう1つの理由は、欧米諸国から流れ込む大量の兵器と弾薬だ。欧米諸国は、プーチン大統領が予想しなかったほどの勢いで、ウクライナに兵器や弾薬などを供与している。特に米国や英国が大量に供与した歩兵携帯用の対戦車ミサイル、ジャベリンは、キーウに向けて進撃するロシアの戦闘戦車を次々に破壊した。 ロシアと欧米どちらの戦闘戦車にとっても、建物や灌木(かんぼく)の陰など、見通しがきかない場所から飛んでくる携帯式対戦車ミサイルは頭痛の種だ。第2次世界大戦後期に、ドイツ軍の歩兵が使う携帯式対戦車ロケット弾「パンツァーファウスト」にソ連の戦車兵が悩まされたのと同様である。 このため近年の戦闘戦車は、リアクティブ・アーマー(爆発反応式装甲)という補助装甲を付けている。ロシアのT80型戦闘戦車などが車体にびっしりと取り付けている大量の四角い箱が、それだ。リアクティブ・アーマーの内部には、少量の爆薬が入っている。リアクティブ・アーマーは、敵のミサイルやロケットが表面に当たると、内部の爆薬を爆発させることで、ミサイルやロケット弾の貫通力を減殺する。 だが、ジャベリンは、ロシア軍のリアクティブ・アーマーを無効化する力を持っている。ジャベリンは地表に平行して水平に飛ぶのではなく、放物線を描いて飛び、リアクティブ・アーマーが比較的少ない砲塔の屋根や機関室など車体上部を狙う。さらに、ジャベリンのミサイルの爆発は2段階に分かれる。アクティブ・アーマーの減殺反応が終わった後に、2回目の爆発が起き、火流と破片が戦闘戦車の装甲板を突き破って内部を破壊する。 ウクライナ軍兵士たちは、ジャベリンが持つ威力に感銘を受け、この兵器に「サンクト・ジャベリン(聖ジャベリン)」という、聖者のようなあだ名を付けた。ネット上には、ジャベリンの発射筒を抱えた聖女のイラストがアップされている。 ジャベリンは、欧米が大量に供与する軍事支援の氷山の一角にすぎない。ドイツのキール国際経済研究所のウクライナ・サポート・トラッカーによると、昨年1月24日~11月20日に米独仏など27カ国がウクライナに送った兵器、弾薬、装備などの軍事援助の総額は約380億ユーロ(約5兆円)にのぼる。そのうち米国、英国とドイツの3カ国が77.4%を負担している。 特に米国は昨年5月9日、ウクライナへの武器供与に関する22年レンドリース法を施行させ、約230億ユーロ(約3兆円)分の武器をウクライナに送った。米国政府が今回もレンドリース法という名前を付けたことに、バイデン政権がウクライナ戦争に大きな歴史的意義を見いだしていることが感じられる。 米国が前回レンドリース法を施行したのは第2次世界大戦中の1941年のこと。米国政府はナチス・ドイツ軍と戦っていたソ連、フランス、英国などに武器や食料など、約500億ドル(2021年の貨幣価値に換算すると約7190億ドル=約93兆円)を供与した。米国製のM4シャーマン戦車やM3リー戦車、ジープ、トラックなどはロシアやウクライナの戦場において、ソ連の戦車と肩を並べてナチス・ドイツ軍と戦った。 1940年代に米国は欧州諸国とソ連を強く支援し、ナチス・ドイツ軍が抱く欧州征服の野望を打ち砕いた。現在バイデン政権は、当時と同じように、独裁者の侵略戦争を潰えさせる必要があると考えている。もちろん、プーチン大統領とヒトラーを同列に並べることはできない。しかし武力によって隣国支配を試み、欧州全体の秩序を揺るがしている点は、共通である。第2次世界大戦、東西冷戦の終結により、欧州で死滅したと思われていた、帝国主義が息を吹き返しつつある。 30年代に英仏はナチス・ドイツに対する宥和政策を取った結果、第2次世界大戦という惨事を招いた。欧州諸国はいまなお、独力で欧州の紛争を解決する力を持っていない。したがって米国は、帝国主義の芽を早いうちに摘み取り、欧州の秩序を回復する必要があると考えている。バイデン政権が大西洋のかなたで戦うウクライナに対し、巨額の支援を行っているのは、そのためだ。ウクライナ戦争の行方は、今後数十年間の欧州の行方を左右する。つまりこの戦争は、世界史の中で特筆すべき意味を持っている。 つまり人口や兵士の数でロシアに大きく劣るウクライナは、欧米諸国からの軍事支援、特に米国からの強力な支援があるからこそ、人口や兵士の数がはるかに多いロシアに対抗することができる。いわば、ダビデとゴリアテの間で、力の均衡状態が生まれている。ロシアがウクライナ侵攻を始めたときの米国大統領がジョー・バイデン氏であったことは、ウクライナにとって大きな僥倖(ぎょうこう)である。同氏は欧州との関係を重視する。前任者のドナルド・トランプ氏は、NATO(北大西洋条約機構)に懐疑的な姿勢を取っていた』、「ロシアがウクライナ侵攻を始めたときの米国大統領がジョー・バイデン氏であったことは、ウクライナにとって大きな僥倖・・・である。同氏は欧州との関係を重視する。前任者のドナルド・トランプ氏は、NATO・・・に懐疑的な姿勢を取っていた」、その通りだ。
・『「第2次世界大戦後、最も困難な10年」  プーチン大統領もゼレンスキー大統領も、後に引くことはできない。プーチン大統領は、ウクライナの非ナチ化と非武装化を達成するまで「特殊軍事作戦」を続けると言明している。同大統領は2022年10月27日の演説で「欧米が世界を支配する時代は終わった。現在我々が経験しているのは、世界に新しい秩序を生む革命の時代だ。支配階層は限界に突き当たり、被支配階層は抑圧をもはや受け入れない」と語った。 プーチン大統領が発した「欧米に抑圧されるロシア」という言葉には強い被害者意識が表れている。同大統領が「ソ連の崩壊は20世紀最大の破局だ」と述べたことが思い出される。ソ連の国家保安委員会(KGB)出身のプーチン大統領は、失われた帝国に強いノスタルジーを抱いている。「被支配階層は、抑圧をもはや受け入れない」という言葉は、ロシア革命の指導者ウラジーミル・イリイチ・レーニンの言葉だ。つまりプーチン大統領は、この戦争がロシア・ウクライナ間の戦争であるだけでなく、西側陣営とロシアの戦いであると強調した。 さらに同大統領は「第2次世界大戦後、最も危険で不透明、かつ困難な10年間が訪れる」と述べ、戦争が長期化するとの見方を示した。この言葉から、同大統領が長い戦いを覚悟していることが感じられる。 筆者が住んでいるドイツをはじめとする欧州諸国も後には引けない。ロシアの侵略行為がウクライナで終わる保証がないからだ。仮にプーチン大統領が引退または失脚しても、同大統領以上に国粋主義的な政治家が大統領になる可能性がある。ロシアの政治家の中には、ポーランドやバルト3国への侵攻を露骨に提案する者がいる。 これまで長年にわたって中立を維持してきたフィンランドとスウェーデンが、伝統と決別し、NATOへの加盟を申請したことは、ロシアが持つ攻撃性に対する懸念が強まっていることを示している。 ドイツでは、11年に廃止した兵役義務の復活について議論が始まっている。フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は昨年6月、「若者に対し、1年間にわたり社会奉仕に携わる義務を導入すべきだ。兵役か社会福祉業務(介護業務など)に就かせる」と提唱した。欧州の安全保障をめぐる状況がさらに悪化した場合、ドイツが社会奉仕義務を導入する可能性が高い』、「ドイツでは、11年に廃止した兵役義務の復活について議論が始まっている。フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は昨年6月、「若者に対し、1年間にわたり社会奉仕に携わる義務を導入すべきだ。兵役か社会福祉業務(介護業務など)に就かせる」と提唱」、「ドイツ」もそこまできているとは初めて知った。
・『欧州でポーランドの地位が上昇  ドイツのメディア報道で最近「ドイツの安全は、ウクライナによって防衛されている」という表現が目立つ。万一ウクライナがロシアに征服された場合、侵略行為が他の国へ飛び火する危険があるという意味だ。NATO加盟国がロシアに攻撃された場合、ドイツも同盟国を守るために戦わなくてはならない。 いま欧州で、ウクライナを最も強力に支援している国はポーランドだ。昨年、約220両のロシア製戦闘戦車T72をウクライナに供与したほか、レオパルド2戦闘戦車をウクライナに供与する許可をドイツ政府に申請した。これは、ウクライナへのレオパルド2供与をためらうドイツのショルツ首相に圧力をかけるためだった。ショルツ首相は結局ポーランドなどの圧力に屈して、自国および他の欧州諸国が保有するレオパルド2のウクライナへの供与に青信号を出した。つまりポーランドは、ショルツ首相が清水の舞台から飛び降りる上で、重要な役割を果たした。 ポーランドがウクライナを積極的に支援する理由の1つは、ウクライナがロシアに占領された場合、ポーランドの東国境がロシアの勢力圏と接することになるからだ。東西冷戦の時代には、ソ連の勢力圏に接する「最前線国家」は西ドイツだった。NATOとワルシャワ条約機構との間で戦端が開かれたならば、東西ドイツが戦場となった。ポーランドは、かつての西ドイツのような最前線国家になるのを防ぐため、ウクライナを強力に支援している。 米軍が今年、欧州に駐留する第5軍団の総司令部をドイツからポーランドに移す。このことは、ポーランドが持つ戦略的な重要性を浮き彫りにする。ドイツの論壇では、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなって、欧州の安全保障の「重心」が、ドイツやフランス、英国からポーランドなど東欧諸国に移動していくとの見方が浮上している』、「ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなって、欧州の安全保障の「重心」が、ドイツやフランス、英国からポーランドなど東欧諸国に移動していくとの見方が浮上」、「ポーランドが持つ戦略的な重要性を浮き彫りに」、その通りだ。
・『ウクライナの意向を無視した和平交渉はあり得ない  したがって欧州諸国の首脳の間では、「ロシアと停戦・和平交渉を行う場合には、ウクライナの頭ごなしに行ってはならない。ウクライナ軍がロシア軍を領土から駆逐した後に、ウクライナが受け入れられる条件に基づいて停戦・和平交渉を進める以外に道はないと考えている。さもないとロシアによる不法な領土の占領を、欧米が追認する形になる」という意見が強い。 日本で時折聞かれる「ウクライナは譲歩して、ロシアとの和平交渉のテーブルに着くべきだ」という意見を言うのは、ドイツでは極右勢力か親ロシア派などの少数派である。 停戦・和平交渉においてウクライナは、ロシアに再び攻撃または侵略された場合に備えて、安全保障措置(セキュリティー・ギャランティー)を欧米諸国に求めるだろう。NATOに正式加盟する道を事実上閉ざされているウクライナとしては、NATO加盟に準ずる何らかの「保険」を要求するに違いない。欧米諸国は、ロシアの攻撃が再開されたときに、再びウクライナに多額の軍事援助を行うことを、条約の形で義務付けられるだろう。 日本のビジネスパーソンから「ビジネスへの影響を減らすために、一刻も早く戦争が終わってほしい」という声をよく聞く。しかし欧州の現実を見ると、戦争が短期間で収束する可能性は低いと言わざるを得ない』、「NATOに正式加盟する道を事実上閉ざされているウクライナとしては、NATO加盟に準ずる何らかの「保険」を要求するに違いない。欧米諸国は、ロシアの攻撃が再開されたときに、再びウクライナに多額の軍事援助を行うことを、条約の形で義務付けられるだろう」、なるほど。

次に、2月21日付けNewsweek日本版が掲載した在英ジャーナリストの木村正人氏による「ウクライナは「核攻撃を受けても戦い続ける」が、欧米の「及び腰」にプーチンの勝機」を紹介しよう。
・『<ウクライナ侵攻1年。同国出身の専門家は「ウクライナは生き残り、ずっと強くなる」と、国内に満ちる希望と戦いの意思を語った> [ロンドン]ロシアがウクライナに侵攻して24日で1年――。有力シンクタンク、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の研究員4人がそれぞれの見解を示した。ウクライナフォーラムのオリシア・ルツェビッチ代表=同国西部リビウ出身=は「祖国があれほど激しく戦い、実際に戦場で成功を収めるというのはこれまで考えられなかったことだ」と振り返る。 「ウクライナの統治システムは腐敗した旧ソ連の遺産で、ロシアに比して腐敗は少ないものの効率的ではないとみなされてきた。しかし何とか生き残ることができた。ウクライナの経済界は中小企業も大企業も団結した。ウクライナがなくなれば市場もなくなると考えたからだ。領土防衛のため民間部門から多くの資源を投入した」(ルツェビッチ氏) 「ウクライナ国内ではウクライナは勝てる、ロシアは負けるという空気が優勢だ。ロシアがどれだけ失うか、ウクライナが勝利のためにどれだけ代償を払うかが問題だ」とルツェビッチ氏は言う。「ウクライナは生き残り、ずっと強くなる。国民を支配する感情は将来への希望だ。この戦争は支払う価値のある代償であることを理解し、恐怖心を克服している」 「クリミア半島を取り戻すまでは、たとえ核攻撃を受けても戦うという人が圧倒的に多い。西側が支援を停止してもウクライナは戦うだろう。合意なしに紛争を凍結することを支持する世論は15%。戦争を終わらせるためにロシアに譲歩するような交渉をしても良いと思っている人はわずか11%に過ぎない」とルツェビッチ氏は強調した』、「クリミア半島を取り戻すまでは、たとえ核攻撃を受けても戦うという人が圧倒的に多い。西側が支援を停止してもウクライナは戦うだろう。合意なしに紛争を凍結することを支持する世論は15%。戦争を終わらせるためにロシアに譲歩するような交渉をしても良いと思っている人はわずか11%に過ぎない」、「たとえ核攻撃を受けても戦う」、抵抗の意志の強固さには驚かされた。
・『「ロシアが支配していたすべての国の奪還」を目指すプーチン  『モスクワ・ルール ロシアを西側と対立させる原動力』の著者で、上級コンサルティング研究員のキーア・ジャイルズ氏は、ウラジーミル・プーチン露大統領のゴールについて「ロシアの利益を代弁している可能性がある中国のサジェスチョンは興味深い」と指摘する。中国のスパイ気球で米中間の緊迫が一段と高まる中、中国はロシアとの結束を強める。 中国の外交トップ、王毅・共産党政治局員はウクライナ戦争の政治的解決に関する中国の立場を発表する考えを示した。核戦争は決して戦ってはならず、勝つこともできないとも強調した。原子力発電所への攻撃に反対するなど、民間の核施設の安全を確保する努力を促し、生物化学兵器の使用に反対する共同努力を提唱するとも付け加えた。 プーチンがこの戦争に勝てないことを理解しているなら、中国が和平交渉をテーブルの上にのせ、ロシアは現在の占領地域をそのまま保持するというのがプーチンにとって勝利の方程式になる。「しかし長期的なゴールはウクライナを国でなくし、ウクライナ人を国民でなくすること、それをかつてロシアが支配していたすべての国を取り戻す第一歩にすることだ」 天然ガスや石油などエネルギーに支えられたロシア経済について、ジャイルズ氏は「経済制裁の効果は過小評価されている。短期的に見ると、確かにロシアのエネルギー販売によって制裁の効果は緩和されている。しかし長期的なインパクトを考えると、ロシアに大きなダメージを与えることになる」と解説する』、「短期的に見ると、確かにロシアのエネルギー販売によって制裁の効果は緩和されている。しかし長期的なインパクトを考えると、ロシアに大きなダメージを与えることになる」、なるほど。
・『武器供与「西側にはもっとできることがある」  「問題はロシア経済が著しく劣化しても弾力性を保っていることだ。国民が政治プロセスに影響を与える手段を持つ西側諸国にとっては破滅的でも、生活水準が急落するような圧力に対してロシアは弾力性を持っている。ロシアは歴史的に国民が政府を転覆させることなく、大きな苦難にさらされてきたことを考える必要がある」(ジャイルズ氏) 西側の武器供与について、ロシア・ユーラシアプログラムのジェームズ・ニクシー部長は「一般論としてウクライナは生き残るための十分な武器を供給されているが、勝つための十分な武器は供給されていない。これはかなり意識的な決定だ。西側諸国にもっとできることがあるのは明らかだ」と指摘する。 パトリシア・ルイス国際安全保障プログラム部長は「ウクライナはロシアを撃退するのに十分な武器を与えられているが、エスカレートさせると思われるほどではない。1年前にエスカレートさせるとみなされていたものが、今日そうみなされるとは限らない。時が変われば、計算も変わる。戦争は非常にダイナミックだ」と語る。 「戦争が不可避でない限り、民主主義政府は国民を戦争に連れて行きたくない。プーチンは全くそれを気にかけず、ロシア国民をリスクにさらしている。西側の政治指導者は慎重かつ注意深く、可能な限り最善の結果を得るために調整する必要がある。欧州をさらに大きな戦争に巻き込むことは、他に選択肢がない場合にのみ行うことだ」(ルイス氏)』、「「戦争が不可避でない限り、民主主義政府は国民を戦争に連れて行きたくない。プーチンは全くそれを気にかけず、ロシア国民をリスクにさらしている。西側の政治指導者は慎重かつ注意深く、可能な限り最善の結果を得るために調整する必要がある」、その通りだ。
・『「戦闘機供与もいずれは実現する。しかし長い苦痛を伴う」  これに対し、ジャイルズ氏は「少し前までは危険すぎるという理由で排除されていたことが今では完全に許容されている。このプロセスは今後も続く。ウクライナに提供すべき新しい能力について議論されるたびに同じプロセスをたどるのはロシアの抑止作戦が成功しているからだ。戦闘機供与もいずれは実現するだろう。しかし長い苦痛を伴う」と予測する。 「ロシアを怒らせたり邪魔したりしてはいけない、そんなことをすると核エスカレーションの危険が避けられないと国民や政策決定者に思い込ませる。ロシアにとって見事な成功だ。プーチンが核兵器を口にする時、100%情報操作だ。人々はいつも核兵器がいつ使われるのか心配している。ロシアの国家メッセージの本質的な部分だ」(ジャイルズ氏) 「ロシアが非常に効果的な抑止キャンペーンを行っている時、誰もが情報に気を取られ、実際にロシアの核兵器がどんな状態に置かれているのかを注視していない。プーチンの演説やソーシャルメディアを通じてレトリックや脅迫が撒き散らされる。10年前からロシアの邪魔をすれば核戦争に発展するというメッセージは根強いものがある」(同) 「西側がロシアを分析する際に抱えている根本的な問題はロシアが変わって、脅威ではなくなるという数十年来の思い込みだ。その楽観主義が破滅的な判断ミスにつながっている」とジャイルズ氏は懸念を深める。 戦争の行方はジョー・バイデン米大統領らがロシア軍を的確に叩ける武器をウクライナに渡すかどうかにかかっている。核兵器を威嚇に使うプーチンの顔色をうかがいながら、西側の小出しの武器供与が続く。西側の備蓄や生産力に問題があるのは確かだが、その間にウクライナの兵士や市民の命がすり潰されていく。消耗戦になればプーチンの勝機が膨らむ』、「核兵器を威嚇に使うプーチンの顔色をうかがいながら、西側の小出しの武器供与が続く。西側の備蓄や生産力に問題があるのは確かだが、その間にウクライナの兵士や市民の命がすり潰されていく。消耗戦になればプーチンの勝機が膨らむ」、「核兵器を威嚇」はいつもの手だとして度外視して、「西側」は思い切った「武器供与」をする必要があるのではなかろうか。
タグ:日経ビジネスオンライン ウクライナ (その5)(プーチン氏「ドイツ戦車の脅威が再来 しかも十字の印を付けている」(有料記事だが、今月あと2本までは無料)、ウクライナは「核攻撃を受けても戦い続ける」が 欧米の「及び腰」にプーチンの勝機、「プーチンは負け 核のボタンを押す」…識者による鼎談が明かす「ウクライナ戦争の結末」のヤバすぎる姿) 熊谷 徹氏による「プーチン氏「ドイツ戦車の脅威が再来。しかも十字の印を付けている」」 「スターリングラード」で「約15万人のドイツ軍将兵が戦死、または飢餓や病気、寒さで死亡。約11万人が捕虜とされシベリアの収容所へ送られた(そのうち、戦後ドイツに帰ることができたのは約6000人にすぎない)」、「ドイツに帰国できたのは約6000人にすぎない」、シベリアに抑留され日本人は57.5千人、死亡者5.8千人(Wikipedia)よりも酷い結果だ。 「プーチン大統領は「信じがたいことだが、我々は再びドイツ戦車の脅威を受けている。しかもその戦車は、側面に十字のマークを付けている」と述べ、ロシアが再びドイツに脅かされていると強調」、政治的宣伝としては効果抜群だ。 「プーチン大統領は、ウクライナでの戦争を第2次世界大戦でのナチスとの戦争に重ね合わせることによって、ウクライナ侵攻に対するロシア国民の支持を強固にしようとしているのだ」、「プーチン大統領は「ウクライナ侵攻はネオナチとの戦いだ」という庶民にも分かりやすいレトリックを使用する。同大統領はボルゴグラードでの演説で「ドイツの戦車」に言及することで、この戦争が単にウクライナ・ロシア間の戦争ではなく、西側陣営とロシアとの戦争でもあるという点を一段と強調した」、 「我々は、ロシア軍の戦車を彼らの国境に向けて送ることはないが、別の手段を持っている。我々がこの戦争に勝つことに、疑いの余地はない」、「「別の手段」という表現について、プーチン大統領が戦術核兵器などを使用する可能性を示唆したものと見る向きも」、なるほど。 「大量の戦闘戦車を投入しなければ、ウクライナ軍がロシア軍を駆逐することは不可能だ。ウクライナが侵略戦争を終わらせるための前提を作る上で、戦闘戦車は重要な鍵を握っている」、なるほど。 「ロシアはウクライナ侵攻の緒戦で、重大な誤算を犯した。14年のクリミア半島制圧・併合のときのように、短期間でウクライナを制圧し、ゼレンスキー政権を転覆できると考えたのだ。さらにプーチン大統領は、クリミア半島併合のときと同様に、ウクライナ軍が頑強に抵抗することなく、欧米諸国もウクライナを強力に支援することはないと予想した。このため、ロシア軍が昨年2月にウクライナ戦線に投入した兵士の数は、約20万人にすぎなかった。 プーチン大統領の予想は完全に外れた。22年のウクライナ軍は、豊富な実戦経験を積み、14年とは異なる軍隊に成長していた。ウクライナ軍の兵士たちは、ウクライナ東部ドンバス地方における親ロ派武装勢力との内戦で、実戦経験を積み重ねてきた。同国はすでに9年前からロシアとの戦争を続けていたのだ」、 「ロシアは制空権を確保しないまま、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の空港に空挺(くうてい)部隊を送り込もうと試みた。輸送機はウクライナ軍に撃墜され、乗っていた兵士たちは全員死亡した。 さらにプーチン大統領は、ウクライナ人の激しい抵抗精神を過小評価した。ウクライナでは学生、会社員、オペラ歌手、弁護士、IT(情報技術)エンジニアらが進んで軍事教練を受け、命を賭けて前線で戦っている」、虎の子の「空挺部隊」が「全員死亡」とは情けない限りだ。 「ロシアがウクライナ侵攻を始めたときの米国大統領がジョー・バイデン氏であったことは、ウクライナにとって大きな僥倖・・・である。同氏は欧州との関係を重視する。前任者のドナルド・トランプ氏は、NATO・・・に懐疑的な姿勢を取っていた」、その通りだ。 「ドイツでは、11年に廃止した兵役義務の復活について議論が始まっている。フランク・ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は昨年6月、「若者に対し、1年間にわたり社会奉仕に携わる義務を導入すべきだ。兵役か社会福祉業務(介護業務など)に就かせる」と提唱」、「ドイツ」もそこまできているとは初めて知った。 「ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなって、欧州の安全保障の「重心」が、ドイツやフランス、英国からポーランドなど東欧諸国に移動していくとの見方が浮上」、「ポーランドが持つ戦略的な重要性を浮き彫りに」、その通りだ。 「NATOに正式加盟する道を事実上閉ざされているウクライナとしては、NATO加盟に準ずる何らかの「保険」を要求するに違いない。欧米諸国は、ロシアの攻撃が再開されたときに、再びウクライナに多額の軍事援助を行うことを、条約の形で義務付けられるだろう」、なるほど。 Newsweek日本版 木村正人氏による「ウクライナは「核攻撃を受けても戦い続ける」が、欧米の「及び腰」にプーチンの勝機」 「クリミア半島を取り戻すまでは、たとえ核攻撃を受けても戦うという人が圧倒的に多い。西側が支援を停止してもウクライナは戦うだろう。合意なしに紛争を凍結することを支持する世論は15%。戦争を終わらせるためにロシアに譲歩するような交渉をしても良いと思っている人はわずか11%に過ぎない」、「たとえ核攻撃を受けても戦う」、抵抗の意志の強固さには驚かされた。 「短期的に見ると、確かにロシアのエネルギー販売によって制裁の効果は緩和されている。しかし長期的なインパクトを考えると、ロシアに大きなダメージを与えることになる」、なるほど。 「「戦争が不可避でない限り、民主主義政府は国民を戦争に連れて行きたくない。プーチンは全くそれを気にかけず、ロシア国民をリスクにさらしている。西側の政治指導者は慎重かつ注意深く、可能な限り最善の結果を得るために調整する必要がある」、その通りだ。 「核兵器を威嚇に使うプーチンの顔色をうかがいながら、西側の小出しの武器供与が続く。西側の備蓄や生産力に問題があるのは確かだが、その間にウクライナの兵士や市民の命がすり潰されていく。消耗戦になればプーチンの勝機が膨らむ」、「核兵器を威嚇」はいつもの手だとして度外視して、「西側」は思い切った「武器供与」をする必要があるのではなかろうか。
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