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大学(その11)(技術者教育の「国立高専」 東大18人 難関国立大に多数編入、岡山大学学長 予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”、“専門バカ”をつくらない「東京科学大学」に期待できるか 東工大と医科歯科大の統合が心配な理由〈dot.〉) [社会]

大学については、昨年5月2日に取上げた。今日は、(その11)(技術者教育の「国立高専」 東大18人 難関国立大に多数編入、岡山大学学長 予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”、“専門バカ”をつくらない「東京科学大学」に期待できるか 東工大と医科歯科大の統合が心配な理由〈dot.〉)である。

先ずは、本年1月30日付け日経ビジネスオンライン「技術者教育の「国立高専」 東大18人、難関国立大に多数編入」を紹介しよう。
:国立高等専門学校(以下、高専)の卒業生の4割が、大学への編入などによって進学していることをご存じだろうか。高専は15歳から5年間一貫の技術者教育を行って、高度な専門性を持つ学生を輩出することを重要なミッションにしている。1962年から各地で設置が始まり、2022年度は高専制度創設60周年の節目の年。現在は全国に51校がある。 30年ほど前は、卒業生の7割から8割はそのまま就職していた。それが、ここ20年は就職が6割、進学が4割となっていて、東京大学をはじめとする難関国立大学に編入する学生も少なくない。理系人材が求められる中で、大学側も受け入れ体制を整えている。高専生の進学状況について見ていきたい』、興味深そうだ。
・『東大18人、東工大26人など国立大学に多数編入  高専は全国に51校あり、1学年に9000人以上が学んでいる。中学校を卒業して高専に入学した学生は、5年間の一貫教育によって一般的な教養と共に産業界で活躍できる専門的な知識や技術を身に付ける。 高専卒業後の進路は就職が6割、進学が4割。就職希望者の就職率は、毎年98%台から99%台と高い数字を誇る。進学については、各高専でさらに2年間高度な教育を受けることができる専攻科に進む学生が約14%、大学に主に3年次から編入する学生が約24%だ。 ここで、2021年4月に、全国の高専51校から主な大学に編入した実数を見てみたい。 300人以上を受け入れているのが、豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学。高専の卒業生を編入で受け入れることを主な目的として設置された国立大学だ。高専からの編入が1学年の約8割を占めている。 それ以外の大学を見ると、国立大学が多いことが分かる。東京大学には18人、東京工業大学には26人が編入しているほか、旧帝大でも九州大学の57人をはじめ多くの編入生を受け入れている。 編入に当たっては高専での成績がベースになる。その上で、大学によって異なるが、推薦試験の場合は6月から7月ごろに面接が、学力試験を課す場合は8月から9月ごろに試験が行われる。 大学入試に臨むのであれば、受験勉強をする必要がある。それが、高専生の場合は、高専で5年間集中して学び、大学へは編入試験を経て3年次に進む。専門的な知識を深めた状態で3年次に編入してくる高専卒業生は、大学側にとっても「欲しい人材」になっているのだ。 国立大学が高専生の受け入れを増やしてきた一方で、私立大学でも学生確保を目指す動きがある。東京都市大学は23年度から、高専から3年次に編入する学生に対して、授業料の75%を減免する制度を始める。減免額は最大で221万4000円にも及ぶ。 私立大学の理系学部は、国立大学に比べると学費が高い。高専の卒業生に振り向いてもらえるように、今後同様の施策を打ち出す大学が他にも出てくるのではないだろうか』、「高専卒業後の進路は就職が6割、進学が4割」、「進学については、各高専でさらに2年間高度な教育を受けることができる専攻科に進む学生が約14%、大学に主に3年次から編入する学生が約24%」、「豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学。高専の卒業生を編入で受け入れることを主な目的として設置された国立大学だ。高専からの編入が1学年の約8割を占めている」、「高専の卒業生を編入で受け入れることを主な目的として設置された国立大学」が2校あるとは初めて知った。「専門的な知識を深めた状態で3年次に編入してくる高専卒業生は、大学側にとっても「欲しい人材」になっている」、「東京大学には18人、東京工業大学には26人が編入しているほか、旧帝大でも九州大学の57人をはじめ多くの編入生を受け入れている」、なるほど。
・『高専の役割の変化と社会からの要請  なぜ高専からの進学が増えたのか。東京都八王子市にある国立高等専門学校機構本部に進学の現状について聞いた。教育総括参事で教授の下田貞幸氏によると、高専の役割が変化してきた面があると指摘する。 「高専の制度は60年前、即戦力の中堅技術者を養成する目的でスタートしました。『大学を卒業するまで待っていられない』『ある程度知識も技術もある即戦力が早く欲しい』という企業からの声や、社会からの要請が出発点でした。 今は社会の要請が変わってきました。即戦力や中堅技術者といった言葉は使っていません。高度な知識や技術を身に付けるともに、社会の課題を解決する、社会を良くするために学ぶ場に位置づけられています。起業する学生も増えていますね」 かつては高専を卒業すると、就職する学生が7割から8割を占め、進学は2割に満たないくらいだった。それが、約30年前から20年前にかけて、各高専に専攻科ができたことで、進学する学生の割合が増えた。 併せて、高専生を編入で受け入れる大学が増えて、その人数も多くなってきた。大学側も高専の卒業生への期待が大きくなっているという。 「高専では15歳から専門教育が始まって、5年生の時点で大学卒業と同じ程度の力をつけることを目指して教育しています。実習や実験も多く経験していますし、卒業研究も5年生で取り組みます。 一通りのことをやった上で大学に編入すると、1年生から大学に入学している学生に比べて手も動き、知識もあるので、大学で研究のリーダー的な存在になっている学生も結構います。そういう意味で、大学側からは『高専から学生が欲しい』という声をよく聞くようになりました。 東京大学に編入できるような学生は、高専の中でもトップクラスであることは確かですね。そもそも高専には、中学校卒の段階で優秀な学生が来てくれている場合が多いです。そういう学生が育って、より高度な勉強や研究がしたいという意識を持つことで、東京大学や東京工業大学などトップクラスの大学への編入を目指すケースが出てきています」』、「一通りのことをやった上で大学に編入すると、1年生から大学に入学している学生に比べて手も動き、知識もあるので、大学で研究のリーダー的な存在になっている学生も結構います。そういう意味で、大学側からは『高専から学生が欲しい』という声をよく聞くようになりました」、なるほど。
・『半数以上が大学に編入する高専も  高専全体では編入する学生の割合は約4割だが、それを超える高専もある。最も割合が高いのは、6割を超えている群馬県の群馬工業高専と新潟県の長岡工業高専だ。次いで、6割に近い兵庫県の明石工業高専が続く。千葉県の木更津工業高専と奈良県の奈良工業高専は5割を超え、九州では久留米工業高専が4割以上となっている。下田氏が次のように解説する。 「大都市圏の高専は大学に進む割合が高いですね。おそらく、大学の数が多いからではないでしょうか。長岡工業高専については、長岡技術科学大学が近くにあることも要因の一つだと思います」 さらに、高専の専攻科から、各大学の大学院に進む学生も多い。専攻科修了生の約4割が大学院に進学している。次の表は、21年4月の大学院への入学者数だ。 多い順に見ていくと、奈良先端科学技術大学院大学、東北大学、筑波大学、九州大学など、国立大学の大学院に多数進学していることが分かる。修了生は高専と専攻科で学んだことを、大学院でさらに深めていく。高度な知識と技術を持つ人材が、高専から育っているのだ』、「高専の専攻科から、各大学の大学院に進む学生も多い。専攻科修了生の約4割が大学院に進学している」、「修了生は高専と専攻科で学んだことを、大学院でさらに深めていく。高度な知識と技術を持つ人材が、高専から育っているのだ」、頼もしい限りだ。
・『あまり知られていない進学率の高さ  以上のように、高専からの大学編入や、その先の大学院への進学を選ぶ学生の割合は高い。にもかかわらず、学生の親世代も含め、一般にはあまり知られていないのではないだろうか。 高専のパンフレットを見ると、「卒業後の多彩なキャリアパス」として、学生の約4割が進学していることが書かれている。ただ、その記述はあっさりしている。下田氏によると、中学生に説明する際に、進学率のことはそれほど打ち出していないという。 「そういう道もありますよ、というくらいの説明しかしていないと思います。どこまで伝わっているのかは分かりません。そもそも高専自体がマイナーな存在です。中学3年生が全国で約100万人いる中で、高専に進むのは1%弱です。高校の普通科に比べると、まだまだ認識されているとは言えないですね。 高専は各都道府県の第2、第3の都市に設置されているケースが多いので、寮に入って親元を離れる学生が多いです。それも一つの要因なのか、新型コロナウイルス禍では志願者数が減りました。各高専では、それまで寮では2人部屋や3人部屋が主流だったところを、コロナ対応のために個室に変えるといった対応を取った場合もあります」 高専では現在、デジタル分野の教育に力を入れている。サイバーセキュリティー分野では、サイバー攻撃を防ぐ側として活躍できるよう、高度なレベルの教育を行っている。また、22年からは半導体人材の育成にも動き出した。AI(人工知能)やデータサイエンスなども含めて、各分野について拠点校が指定されている。女子学生が9割以上を占める、ビジネス関連の学科を置いている高専もある。 「高専について理解してもらうために、教員が中学校に出向いて説明に回っています。他にも、小・中学校への出前授業や、科学技術フェアなどを開催して、高専の教育内容を知ってもらう機会をつくっています。教育内容と合わせて、高専の卒業生には多彩なキャリアパスがあることも、もっと知っていただきたいですね」 全国の高専生の4割を占める進学率は、今後も下がることはなさそうだ。15歳から専門的な知識と技術を身に付けた高専生への注目度は、今後企業だけでなく、大学からもより高まっていくのではないだろうか』、「専門的な知識と技術を身に付けた高専生への注目度は、今後企業だけでなく、大学からもより高まっていくのではないだろうか」、同感である。

次に、1月31日付けFLASH「岡山大学学長、予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”」を紹介しよう。
https://smart-flash.jp/sociopolitics/219986/1
・『深緑色のシカゴ川を前景に、高層ビル群が聳え立つ一枚の風景写真。趣味にしてはハイレベルだが、これが“公金”を私的に流用して作られたものだったとしたらーー。 「許せませんよ。これほど“不正まみれ”の学長が、逃げ切ろうとしているのですから」 と憤るのは、長い歴史と伝統を誇る医学部で有名な、名門・岡山大学の関係者だ。現在、岡山大学の学長を務めるのは、槇野博史氏(74)。医学部出身で、2011年から岡山大学病院の病院長を務め、2017年から現職となった。 「病院長時代から、公私混同がひどく、2000万円もの大学のお金を、趣味の写真に注ぎ込んできたんです。トップとして君臨する現在、これを正面から批判できる大学関係者はいませんよ…」(同前) 2000万円の内訳はこうだ。まず、2011年から2016年にかけて、自身が撮影した写真を特注のパネルに加工した。これが、500万円也。 「パネルは病院内の廊下の壁にずらっと展示され、ご丁寧に『槇野博史』と名前が入っています。製作費はすべて病院運営費などから支出されています。本人は『患者の心を癒やすため』と言い訳していたそうですが……」(病院関係者) さらに槇野学長は、大学の予算で2冊の写真集を自費出版したうえ、別の出版社から発行させた自身が著者である写真集を7冊、それぞれ数百部から2000部ほど大学に購入させているのだ。 「悪質なのは、事務部のチェックが入る50万円を超えないように、業者に分割納品させていることです」(同前) 実際、本誌が入手した明細によると、自費出版した写真集『シカゴ物語』の印刷製本費165万9000円は、49万7700円を3回と16万5900円を1回という不可思議な分割払いがされている。 「これら写真集の発行や買い取りを合計すると、約1500万円ほど。本人は学生への教育目的だと語っていましたが、素人カメラマンの旅行日記が教育に使えるわけもなく、学生に配られた形跡もありません」(前出・大学関係者) こうした“悪事”は、2016年の学長選挙のころに一度、公益通報によって、大学幹部らに発覚した。しかし、すでに学長に内定していたため、形だけの調査と口頭での注意でうやむやにされたという。 「パネルは病院内から撤去され、以後は写真集の購入もなくなりましたが…。槇野氏は、八方美人で口がまわるタイプ。学長の地位もそうやって手に入れたんです」(同前) 前任の森田潔氏は、付属病院の経営を大学から切り離し、地域医療のために大学と病院が連携するという、岡山大学メディカルセンター構想を進めていた。 「これを『引き継ぎます』と宣言したのが槇野学長です。こうして、森田前学長の信任を得ることで学長選を勝ち抜いた槇野学長ですが、いざ就任すると、古巣の病院を守るため『やっぱり難しい』と計画を撤回。あまりに見事な二枚舌でした」(大学幹部) こうした槇野学長の横暴を受け、「岡山大学を正常化する会」という有志の会が設立された。会のホームページには、なんと森田前学長が実名で寄稿し、槇野学長を批判する事態になっている。 さらに槇野学長は、とある重大な“秘密”を抱えたまま、大学を去ろうとしている。 「3億円にものぼる、不正経理です。2014年度分の決算時、7億円の赤字があった岡山大学病院の収支を少しでもよく見せようとして、製薬会社などから治験のために振り込まれた受託研究費を、通常の診療で使用する検査試薬代3億円につけ替える粉飾決算をおこなったのです。本来は研究に使われるはずのお金を、勝手に経費の穴埋めに流用したということです」(病院関係者) 本件は、2021年に公益通報により発覚。その後、あずさ監査法人による監査がおこなわれ、2022年6月3日に監査結果が報告された。そこでは、この経理操作について、「会計原則に違反する」「公的研究費の適正な使用に対する違反」など、厳しい言葉が並び、不正経理が認定されている。しかし、いまだに岡山大学は問題を公表していない。 「まさに槇野学長が病院長を務めていた時代の不正ですよ。自分の身を守るために半年以上、この監査結果の存在自体を“隠蔽”し続けているのです」(大学職員) 公益通報に詳しい拝師徳彦弁護士はこう語る。 「不正会計や公金流用の問題は、その経緯などを調査したうえ、再発防止に向けた適切な対処をおこない、その内容も速やかに公表すべきです」 はたして、槇野学長はどう弁明するつもりなのか。1月下旬の朝、瀟洒な自宅から出てきた槇野学長に声をかけた。しかし、槇野学長は本誌記者の声かけに対して、一瞥することもなく、小走りに送迎車に乗り込み“逃走”したのだーー。 あらためて大学に確認すると、写真パネルについては「正式な会議において承認を受けている」とし、病院運営費は「病院収入が主たる財源」だという。写真集については「教育活動に活用するために、使途の制限のない奨学寄附金を使用した」ため、問題がないと回答。不正会計の“隠蔽”については、すでに関係者の処分をおこなっており「学内調査及びそれに基づく対応が終了したため、速やかに公表する予定です」という。 「取材を受けたから、慌てて公表することにしたのでしょう。戒告以上の懲戒処分があったのなら公表されるはずですが、なんの発表もないということは、誰も責任を取っていないということでしょう」(前出・大学職員) 大学のガバナンスに詳しい京都大学大学院教育学研究科駒込武教授はこう嘆く。 「3億円にものぼる不正会計とは驚きです。次元が違うにせよ、写真集も問題です。現在の国立大学は、学長を中心とした理事会組織に権限が集中しすぎています。しかし、政府や文部科学省は大学経営の効率化を求めるあまり、歯止めをかけられていません」 2015年に似たような不正会計が発覚した秋田大学は、記者会見を開いたうえで、学長の報酬の10分の1を返納するという懲戒処分をおこなっている。一方、岡山大学では来る4月、槇野氏が推す人物が学長に就任することが決まっているーー』、「3億円にものぼる、不正経理です。2014年度分の決算時、7億円の赤字があった岡山大学病院の収支を少しでもよく見せようとして、製薬会社などから治験のために振り込まれた受託研究費を、通常の診療で使用する検査試薬代3億円につけ替える粉飾決算をおこなったのです。本来は研究に使われるはずのお金を、勝手に経費の穴埋めに流用」、「槇野学長が病院長を務めていた時代の不正」、「現在の国立大学は、学長を中心とした理事会組織に権限が集中しすぎています。しかし、政府や文部科学省は大学経営の効率化を求めるあまり、歯止めをかけられていません」、「政府や文部科学省」が求めるガバナンスは、「学長を中心とした理事会組織に権限」を「集中」させるというもので、「学長」自らが問題を起こすことは想定外だ。お粗末極まりない。

第三に、2月5日付けAERAdot「“専門バカ”をつくらない「東京科学大学」に期待できるか 東工大と医科歯科大の統合が心配な理由〈dot.〉」を紹介しよう。
・『 2024年度中をめどに統合を目指す東京工業大学(東工大)と東京医科歯科大学(医歯大)の統合計画案(統合案)は、1月19日に新しい統合大学名「東京科学大学」(仮称)が公表され、いよいよ現実味を帯びてきた。ネット上では「薄っぺらな軽すぎる大学名」「Fラン大学」などと揶揄され、両大学の統合を歓迎しないコメントが散見されるなど、大学の統合話にしては話題になっている。そこで、この統合案の妥当性を長い間、高等教育現場にいた者として考えてみることにした』、興味深そうだ。
・『Big Ten同士の統合は果たして実現するのか  統合案は1月中に、大学や学部の新設、大学内の教育的組織改革(改組)などの認可を判断する大学設置・学校法人審議会(設置審)に提出することも発表された。一般的に、設置審にかけるまでには文部科学省(文科省)との事前協議で計画案が了承されなければならないので、統合案は文科省からゴーサインが出されたものと考えられる。したがって今後、特別に問題がなければ両大学の統合は認可される公算が大きい。しかし、以前、勤務先の大学の学部と大学院の改組(博士課程設置など)で設置審の認可を受けた経験からすれば、両大学の統合には、いくつか問題があるように思う。詳しい統合案を読んでいないことを前提に以下、検証を試みたい。 この統合は、優れた大学として文科省から認められた指定国立大学法人同士なので、いやが上にも注目される。指定国立大学法人は、東北大学、筑波大学、東京大学、医歯大、東工大、一橋大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の10校で、北海道大学を除く旧帝国大学6校に筑波大学、医歯大、東工大、一橋大学の4校が加わって、まさにBig Ten Conference(米国カレッジスポーツ)状態となっているといえば揶揄に聞こえるかもしれない。 このなかで、名古屋大学は、正確には国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学で、岐阜大学はこの法人機構に所属し1法人機構2大学(傘下という意味でアンブレラ方式)となっている。そのほかの指定国立大学法人は1法人1大学方式である。ちなみに、国立大学法人は大学数でいえば86校あり、その組織形態のなかには上記の東海国立大学機構以外にも、北海道国立大学機構(小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学)、奈良国立大学機構(奈良教育大学、奈良女子大学)がある。なお、大学の再編・統合はそのほかでも進んでいる。 今回の東工大と医歯大の統合は、前述のように指定国立大学法人同士であり、しかも1法人1大学を目指すという点で注目に値するが、以下に述べるように統合には疑問を感じる』、「疑問」とは具体的にはどういうことだろう。
・『言い尽くされた理念目標に目新しさは感じられない  ここで2022年10月14日に両大学で締結された4項目からなる基本合意のうち2項目目と3項目目の概要について言及したい。 2項目目には「多様な社会課題に立ち向かうために、理工学、医歯学、さらには情報学、リベラルアーツ・人文社会科学などを収斂させて獲得できる総合知に基づく『コンバージェンス・サイエンス』を展開します」と書かれている。また、3項目目には「教養教育と専門教育を有機的に関連させ、現代社会が直面する諸課題に対峙して、真に解決すべき 課題を設定し、解決へと導く役割を担う高度専門人材を輩出します」と謳っている。しかし、これらのことは他大学の改組の際にも言い尽くされてきた理念目標であり目新しさはどこにも感じられない。ちなみに俯瞰的・総合的教育研究を目指して、1974年に初めて広島大学に総合科学部が誕生し、その後にも他大学に同じような理念目標を掲げた学部が誕生している。 今回の東工大と医歯大の統合で、この2項目目と3項目目をどう達成するのか、特に人文社会系の教育研究をどう取り入れるのか、両大学とも理系の単科大学であることを考えると極めて心配になる』、「人文社会系の教育研究をどう取り入れるのか、両大学とも理系の単科大学であることを考えると極めて心配になる」、同感である。
・『専門バカをつくらない、は何を意味するのか  2022年11月1日、両大学の学長の話をテレビで長時間、聴いた。両大学とも、単科大学としての危機意識を持ち、理工学と医歯学を連携させて、新領域分野を創生、地球環境問題、感染症、少子高齢社会などの新たな地球規模の問題解決を目指すという。このことは、前述の基本合意の2項目目、3項目目を易しく言い換えているのだが、この目標も、以前から言い尽くされてきた大きなテーマで、まったくもって新しさを感じない。しかも、理工学と医歯学の連携は以前から、他大学内及び他大学間でも行われてきた。だから、両大学長の説明からは統合する確固たる理由が残念ながら伝わってこず、統合の理由としては説得力に欠ける。 地球規模の問題を解決するには、理工医歯系分野だけでは解決できず、人文社会系分野を含めた俯瞰的な視点が欠かせない。東工大学長も、“専門バカ”をつくらないという趣旨の発言を表立ってしていたことからも、両大学ともその視点の重要性を認めている。しかし、その視点は両大学の統合で達成されると考えているのか甚だ疑問である。言い過ぎかもしれないが、東工大学長の公言は、単科大学の危機意識、「職業大学からの脱皮」「職工教育の反省」とも受け取れる。 しかし、人文社会系分野を含めた俯瞰的な視点が重要というなら、なぜ既存の「四4大学連合」(東工大、医歯大、一橋大学、東京外国語大学)を足掛かりに4大学統合を目指さないのか分からない。これが難しいので、今回、東工大と医歯大の統合に安易に走ったとしか思えない。さらにいえば、政府が創設した国際卓越研究大学制度(2024年度から年間数百億円(1校あたり)を支援予定)に選定され易くするための統合といわれても仕方あるまい。これでは、理系寄りの中途半端な総合大学しか誕生しない最悪のシナリオになってしまうのではないかと心配する』、「地球規模の問題を解決するには、理工医歯系分野だけでは解決できず、人文社会系分野を含めた俯瞰的な視点が欠かせない」、「既存の「四4大学連合」を足掛かりに4大学統合を目指さないのか分からない。これが難しいので、今回、東工大と医歯大の統合に安易に走ったとしか思えない」、「政府が創設した国際卓越研究大学制度・・・に選定され易くするための統合といわれても仕方あるまい」、その通りだ。
・『日本は高校からすぐに医歯学部に入学する  テレビ番組での、医歯大学長の「日本は高校からすぐに医歯学部に入学する」という発言にも私は注目。この発言は直接統合の議論に関係しないのだが、統合理由として掲げた俯瞰的教育研究がなぜ日本ではなかなか進まないのかの理由として述べられた言葉だ。あまりにも人ごとの発言ともいえるが、日本の教育を考えるうえで極めて重要な指摘である。この発言は「米国流の日本版メディカルスクール化(4年制大学卒業後に医歯学部に入学)」を意味するようにも思う。大学が率先して医歯学部入学制度を変えてほしい。日本のメディカルスクール化は日本社会の「偏差値教育」の打開につながるかもしれない。幅広い教養を備えた専門家を育成する国家的な教育改革が求められるのだが』、「日本のメディカルスクール化」はなかなかいいアイデアだが、実行するには課題が多すぎる。
・『統合案の先、将来は4大学統合の議論を  今回の東工大と医歯大の統合は、基本合意1項目目「両大学の尖った研究をさらに推進」を優先する、研究を主眼とした統合といえるのではないか。確かに、両大学の研究レベルは高く、統合することにより医療機器、医療材料、医療生命学、医療化学などの分野において格段の進歩が期待できるだろう。この統合は、世界的競争に打ち勝つ新たな挑戦ともいえる。文科省もそれを今回の統合に期待しているのかもしれない。 しかし、大学の役割はむしろ教育にあるといっても過言ではない。そのことを上で述べたつもりだ。公表されている統合案を設置審にかけるので、いまさら既存の四大学連合を足掛かりに、4大学統合を目指すのはもう無理なのだが、統合案の理念目標を達成するには将来的には4大学統合が不可欠な気がする。1法人1大学にするのか、それともアンブレラ方式にするのか、今現在、我が国の大学の再編・統合が進んでいるので、その進捗状況を見極める必要もある。いずれにしても大学の再編・統合は教育改革を見据えて考える必要があるように思う。 (和田眞氏の略歴はリンク先参照)』、「統合案の理念目標を達成するには将来的には4大学統合が不可欠な気がする」、同感である。 
タグ:「専門的な知識と技術を身に付けた高専生への注目度は、今後企業だけでなく、大学からもより高まっていくのではないだろうか」、同感である。 「高専の専攻科から、各大学の大学院に進む学生も多い。専攻科修了生の約4割が大学院に進学している」、「修了生は高専と専攻科で学んだことを、大学院でさらに深めていく。高度な知識と技術を持つ人材が、高専から育っているのだ」、頼もしい限りだ。 「一通りのことをやった上で大学に編入すると、1年生から大学に入学している学生に比べて手も動き、知識もあるので、大学で研究のリーダー的な存在になっている学生も結構います。そういう意味で、大学側からは『高専から学生が欲しい』という声をよく聞くようになりました」、なるほど。 「高専の卒業生を編入で受け入れることを主な目的として設置された国立大学」が2校あるとは初めて知った。「専門的な知識を深めた状態で3年次に編入してくる高専卒業生は、大学側にとっても「欲しい人材」になっている」、「東京大学には18人、東京工業大学には26人が編入しているほか、旧帝大でも九州大学の57人をはじめ多くの編入生を受け入れている」、なるほど。 「高専卒業後の進路は就職が6割、進学が4割」、「進学については、各高専でさらに2年間高度な教育を受けることができる専攻科に進む学生が約14%、大学に主に3年次から編入する学生が約24%」、「豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学。高専の卒業生を編入で受け入れることを主な目的として設置された国立大学だ。高専からの編入が1学年の約8割を占めている」、 日経ビジネスオンライン「技術者教育の「国立高専」 東大18人、難関国立大に多数編入」 大学 (その11)(技術者教育の「国立高専」 東大18人 難関国立大に多数編入、岡山大学学長 予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”、“専門バカ”をつくらない「東京科学大学」に期待できるか 東工大と医科歯科大の統合が心配な理由〈dot.〉) FLASH「岡山大学学長、予算2000万円を“趣味の写真”に注ぎ込んでいた!3億円不正経理も責任取らず3月退任で“逃走”」 「3億円にものぼる、不正経理です。2014年度分の決算時、7億円の赤字があった岡山大学病院の収支を少しでもよく見せようとして、製薬会社などから治験のために振り込まれた受託研究費を、通常の診療で使用する検査試薬代3億円につけ替える粉飾決算をおこなったのです。本来は研究に使われるはずのお金を、勝手に経費の穴埋めに流用」、「槇野学長が病院長を務めていた時代の不正」、 「現在の国立大学は、学長を中心とした理事会組織に権限が集中しすぎています。しかし、政府や文部科学省は大学経営の効率化を求めるあまり、歯止めをかけられていません」、「政府や文部科学省」が求めるガバナンスは、「学長を中心とした理事会組織に権限」を「集中」させるというもので、「学長」自らが問題を起こすことは想定外だ。お粗末極まりない。 AERAdot「“専門バカ”をつくらない「東京科学大学」に期待できるか 東工大と医科歯科大の統合が心配な理由〈dot.〉」 「疑問」とは具体的にはどういうことだろう。 「人文社会系の教育研究をどう取り入れるのか、両大学とも理系の単科大学であることを考えると極めて心配になる」、同感である。 「地球規模の問題を解決するには、理工医歯系分野だけでは解決できず、人文社会系分野を含めた俯瞰的な視点が欠かせない」、「既存の「四4大学連合」を足掛かりに4大学統合を目指さないのか分からない。これが難しいので、今回、東工大と医歯大の統合に安易に走ったとしか思えない」、「政府が創設した国際卓越研究大学制度・・・に選定され易くするための統合といわれても仕方あるまい」、その通りだ。 「日本のメディカルスクール化」はなかなかいいアイデアだが、実行するには課題が多すぎる。 「統合案の理念目標を達成するには将来的には4大学統合が不可欠な気がする」、同感である。
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