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医療事故(その1)(「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス、「群馬大医学部附属病院」腹腔鏡手術後に「8人死亡」4題:(執刀医暴走の全貌を明かす、「ずっとおかしいと思っていたんです…」群馬大医学部附属病院で18人が死亡 遺族へ告げられなかった信じ難い事実、内部情報を漏らしたのは誰だ…病院側の呆れた「最大の関心事」)) [社会]

今日は、医療事故(その1)(「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス、「群馬大医学部附属病院」腹腔鏡手術後に「8人死亡」4題:(執刀医暴走の全貌を明かす、「ずっとおかしいと思っていたんです…」群馬大医学部附属病院で18人が死亡 遺族へ告げられなかった信じ難い事実、内部情報を漏らしたのは誰だ…病院側の呆れた「最大の関心事」)を取上げよう。

先ずは、2019年11月21日付けヨミドクター(読売新聞)「「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス」を紹介しよう。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20191121-OYTET50023/
・『11月19日、京都大学医学部付属病院が発表し、メディアで大きく報道された多重ミスによる患者死亡が大きな波紋を呼んでいます。外部委員も入れて調査した結果、これは発表せざるをえないとなって発表されたものと思いますが、あまりの 杜撰ずさん さに開いた口が塞がりません。 私は、京大病院が発表した書面を何度も読み返しましたが、これでは、亡くなった患者さんは本当に浮かばれません』、興味深そうだ。
・『「医師を呼んで」の声むなしく、放置  医療は人間が行うので、医療現場にミスはつきものです。ミスはあってはいけませんが、問題はミスをしたら、それにいち早く気づき、適正な措置が取れるかどうかです。こちらも重大なのですが、今回は全くそれが見られませんでした。しかも、患者さんは「医師を呼んでほしい」と何度も訴えたというのに放っておかれたのです』、「問題はミスをしたら、それにいち早く気づき、適正な措置が取れるかどうかです。こちらも重大なのですが、今回は全くそれが見られませんでした」、酷い話だ。
・『誤った点滴が第1のミス  亡くなられた患者さんは、心不全と腎臓機能の低下で入院中の男性です。造影剤を使ったCT(コンピューター断層撮影)検査の際の点滴で、本来使うべき炭酸水素ナトリウムの6.7倍の濃度の薬剤を投与されたのです。この患者さんは、直後から痛みやしびれなどを訴えたのに、投与はそのまま続けられました。 これが最初のミスです。このような医療過誤は何度も起きています。ですので、ここで検査医と看護師は気づくべきでした。しかし、チェックはされず、検査後は造影剤によるアレルギーと考えて、投与が続けられたのです』、「検査医と看護師は気づくべきでした。しかし、チェックはされず、検査後は造影剤によるアレルギーと考えて、投与が続けられた」、ここまではあり得ることだ。
・『異常があったのに投与を継続  しかも投与は3時間も続きました。本来なら1時間で終えるべきところなのに、担当医師は全量投与を指示しています。これが、第2のミスです。驚くべきことに、この病棟では炭酸水素ナトリウムを使用した経験がなかったというのです。 こうして、患者さんは病棟のトイレで倒れ、心停止となりました。そのため、慌てて駆けつけた医師らによって心臓マッサージが行われましたが、このとき、口から大量出血しました。これは、患者さんが、血液が固まるのを抑える抗凝固薬を服用していたからです。このことを医師たちは知らず、集中治療室に移し、開胸手術まで行っています。 これが、第3の致命的ミスです。 これほどミスが重なり、また、患者さんの訴えを無視した例を私は知りません』、「患者さんが、血液が固まるのを抑える抗凝固薬を服用していたからです。このことを医師たちは知らず、集中治療室に移し、開胸手術まで行っています」、「患者」の「常用薬」をチェックするのは基本中の基本でこれを怠ったのはお粗末という他ない。
・『私の息子は造影検査で右半身まひ  私はこれまで、医療過誤を告発する本を何冊か書いてきています。また、自分の息子も、大学生のときに医療過誤にあい、障害を持つ身となったので、医療ミスに関しては、一家言があります。息子の場合も、造影検査がアダになりました。 手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。 医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意です。しかし患者側が、そうした医師や看護師を見分けることは困難です』、「自分の息子・・・手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。 医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意」、患者の立場では不運という他ない。
・『医療過誤の報道は減ったけれど……  最近、医療過誤の報道がめっきり減っています。しかし、医療過誤そのものが減ったわけではありません。医療過誤は、毎日、全国どこかの病院で間違いなく起きています。その死亡者数は、交通事故の死亡者数をはるかに上回るはずです。「はずです」と書かざるを得ないのは、驚くべきことに、日本には医療過誤の正確な統計がないからです。 昨年の交通事故死者数は3532人で、毎日平均10人ほどの方が亡くなられています。これに対し、医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。 というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです。2016年、アメリカで最も権威ある医学部を持つジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが発表しています』、「日本には医療過誤の正確な統計がない」、厚労省の怠慢だ。「医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。 というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです」、なるほど。
・『日本の医療過誤の把握は不十分  日本では、01年度から厚生労働省が全国の病院から医療事故の情報を収集するようになりました。現在、日本で医療過誤の統計を公表しているのは、日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。 しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。 ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は400~500件となっています。この数字をそのまま受け取る、医療関係者はいません』、「日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。 しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。 ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は400~500件となっています」、「両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており」、これでは、信頼性はあと1つだ。
・『京大のように自ら発表する例は珍しい  このような点を考えると、今回の京大病院のように、医療機関が自ら発表する例は 稀まれ です。たいていの場合、医療過誤は 隠蔽いんぺい されるので、院長自らが「患者さんご本人、そしてご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果となったことは誠に申し訳なく、心よりお 詫わ び申し上げる」とコメントするのも異例です。 ミスを犯しても、ほとんどの場合、医者は認めません。患者側から民事訴訟を起こされても、ほぼ勝訴するからです。通常の民事裁判では、訴えた側が8割方勝訴するのに、医療過誤裁判では8割方訴えられた医者側が勝訴します。 医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません。ただし、最近は、よほどのことでないと警察は介入せず、刑事告訴しても受理されません。 遺族の方の悲しみは察するに余りありますが、今後、どのように対応されるのでしょうか?』、「医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません」、「民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません」とは初めて知った。

次に、4月15日付け現代ビジネスが掲載した読売新聞論説委員の高梨 ゆき子氏による「遺族の深き慟哭…「群馬大医学部附属病院」腹腔鏡手術後に「8人死亡」…執刀医暴走の全貌を明かす」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108354?imp=0
・『群馬大学医学部附属病院で腹腔鏡手術を受けた患者8人が、相次いで死亡していた。 2014年、読売新聞のスクープ記事から、医学界を揺るがす大スキャンダルが明らかになる。亡くなった患者・8人の手術は、いずれも早瀬(仮名)という40代の男性医師が執刀していた。院内調査によって、開腹手術でも10人が死亡していたことが発覚。技量の未熟な早瀬が、超一流外科医でも尻込みすると言われた高難度の最先端手術に挑んだのはなぜなのか。 「白い巨塔」の病理と、再生への道のりを、話題書『大学病院の奈落』(高梨ゆき子)より取り上げる』、信じられないような医療事故だ。
・『遺族は何も知らなかった  立っているだけで汗がにじむようなあの日、群馬大学病院で不可解な手術死が続発している、という重大な情報の端緒をつかんだ。 社会部で厚生労働省を担当したことから医療の分野にかかわり始め、のちに医療部に移って臨床現場の取材を手がけるようになっていた私は、この年四月、週刊誌で報じられていた千葉県がんセンターの医療事故について強い関心を抱いていた。それは膵臓の腹腔鏡手術に関するもので、千葉県が調査を進めていた。 このとき耳にした群馬大学病院の情報は、断片的でにわかに信じがたい内容ながら、そのケースを思い起こさせた。取材を進め、いよいよ死亡した患者の遺族にたどり着いて接触してみようとしたころには、10月も半ばを過ぎていた。 群馬大学病院が内部調査に着手してから、すでに数ヵ月が経過していることはわかっていた。遅くとも秋口には文部科学省に大学から内々のお伺いを立てた感触もある。遺族にもすでに、病院側から連絡を入れておいてしかるべき状況だ。しかし実際には、そうはなっていなかった。 10月下旬に設けた急ごしらえの取材班で手分けして、最終的に8人すべての患者の遺族に接触できたが、取材に応じたのは6組。最初に接触した時点で、この6組の遺族は誰もが、まだ群馬大学病院から何の連絡も受けていないと語った。患者が亡くなって遺体の姿で退院して以来、病院側からはまったく接触がないという。このほかにも、遺族たちへの取材で、その証言にはいくつも共通点があると気づくのに時間はかからなかった』、「群馬大学病院」の秘密主義には心底驚かされた。
・『あいまいな態度  記事を書く前日の11月12日午後――群馬大学病院の病院長、野島美久は、病院と同じ敷地内にある臨床研究棟の教授室を突然訪ねた私たちの姿に驚き、訪問の目的を聞くやいなや表情を曇らせた。野島は、やや狼狽した様子を見せたものの、しばらくすると腹をくくったとでもいうような様子で口を開いた。 「私はこれからすぐ、大学本部に行かなければならない用事があるのです」 群馬大学の本部は、医学部と附属病院がある前橋市昭和町から車で10分ほどの同市荒牧町に置かれている。野島は電話で事務方を呼び出し、取材に応対するよう指示を出すと、私たちを振り切るようにして足早に臨床研究棟を後にした。 取材に応じた総務課長の小出利一は、当初、肝臓の腹腔鏡手術をめぐり、この病院で起きたことについて、こちらの質問をはぐらかすようにあいまいに話をそらした。 事実関係を問いただすと、小出は、このような言葉を投げかけてきた。 「お話しするとしたら、あなたたちにするより先に亡くなった患者さんのご家族に話すべきことですよね」 病院は死亡した患者の遺族に対し、一切連絡をしていないという。どうりで誰も知らないはずである。 「ただ、病院は、8人の診療に問題がある可能性があるということで、すでに調査の俎上に載せているんですよね?」 「ちゃんと調べきって、伝えなければいけないタイミングで遺族にはきちんと伝えますよ、それは……」 約2時間にわたった取材で、小出は、一つ一つ突きつけられた事実を前に次第に重い口を開き、病院が把握していることについて認め始めた。その間、小出は、病院は遺族に説明して公表するつもりだった、ということを何度も口にした。 「それはいつですか。今月?」 「今月中は無理だと思いますけど。わからないですけど……。これからアポイントメントを取るんでしょうから……」 その時期となると、途端に歯切れが悪くなった――』、「病院長」には逃げられて、代わりに「取材に応じた総務課長」は、「約2時間にわたった取材で、小出は、一つ一つ突きつけられた事実を前に次第に重い口を開き、病院が把握していることについて認め始めた」、なるほど。
・『「大丈夫、大丈夫」と  遺族への取材から、問題の輪郭は実感を伴う形で見えつつあった。 60代前半の克喜さん(仮名)とその家族は、執刀医の早瀬稔(仮名)から、このような説明をされたという。 「腹腔鏡手術は、おなかに5ヵ所くらい小さい穴を開ければよいので、開腹手術のように腹部を大きく切り開くのと違って臓器が空気に触れないですから、患者さんのためにも楽だし、回復が早いですよ」 腹腔鏡手術は、腹部に数ヵ所開けた小さな切り口から細いカメラや手術器具を挿し入れ、モニター画面に映し出された体内の映像を見ながら、臓器の切除や縫合をする手術である。開腹手術に比べて腹部の切開創が小さくて済み、体への負担が少ないことがメリットといわれる。手術後に残る傷痕が目立たないということも、一般の患者には大きな魅力として受け止められているかもしれない。大腸や胃の手術ではすでによく知られており、素人にも耳慣れたものになっていた。 早瀬は説明のなかで、開腹手術についても触れなかったわけではない。ただ、それは腹腔鏡手術の説明とはかなり様子が違っていた。 「開腹手術だと傷が大きくなりますので術後の痛みも強いですし、患者さんにとっては大変です。大きな傷痕も残りますしね」 克喜さんの妻は振り返った。 「腹腔鏡手術のデメリットは聞きませんでした。そっちのほうがいいですよ、と勧めている感じで」』、「腹腔鏡手術のデメリットは聞きませんでした」、というのはやはり問題だ。
・『正反対の認識  医師からの説明は終始、「腹腔鏡がメインだった」と、克喜さんの息子も断言した。 克喜さんの病名は、肝門部胆管がん。胆管は、肝臓で作られた消化液の一種である胆汁が、十二指腸に流れる通り道となる。肝臓からの出口部分に当たる「肝門部」にできた胆管のがんが「肝門部胆管がん」である。手術で克喜さんのがんを取り除くには、肝臓の三分の一と胆管の一部を切り取ったうえで、消化機能を維持するために、胆管の切り口を腸とつなぎ合わせる必要がある。肝門部胆管がんは、構造が複雑な部分にできたがんで、消化器がんのなかでも手術の難易度が高いことで知られている。開腹したとしてもきわめて難しい手術であり、専門家の間で、「腹腔鏡手術を行うべきではない」という意見が大勢を占めている。にもかかわらず、克喜さんの家族は、そうした実情とはむしろ正反対の認識を持っていた。 「まだ60代前半で若いし、手術すれば悪いところは全部取れて、元気になりますよ」 遺族は、早瀬の前向きな言葉を記憶している。 克喜さんの妻は話した。 「先生は、主人の場合は大丈夫、大丈夫と。がんとわかってショックで落ち込んでいた私たちに、笑顔で大丈夫ですよ、と。だから安心して手術を受けたんです」 肝門部胆管がんは、予後の悪いがんとしても知られている。早瀬は、深刻な病気におののく患者とその家族に少しでも希望を持ってもらおうと、あえて明るい言葉を選んだのかもしれない。しかし、肝門部胆管がんの手術方法として「危険」とさえ言う医師もいる腹腔鏡手術に踏み切るにしては、患者と家族に与えた認識は、現実とかけ離れている。それどころか、事実に反している、と言ってもよいかもしれない。 「低侵襲でリスクの低い手術を受けたはずなのに、なぜこんなに早く亡くなることになったのか」 克喜さんが亡くなったとき、家族は強い疑問を抱いた。) ほかの遺族も、自分たちの家族が受けた手術が実際どういう位置づけのものなのか、事実を聞いた様子がなかったという点で共通していた。 60代後半だった裕美さん(仮名)の遺族は、当時の様子をこう説明している。 「腹腔鏡のほうが、おなかを開けて切るより出血が少なく、傷口が小さくて済むというメリットがあるので、体力的にもおなかを切り開いてやるより、そっちの方向でいきたいと思います、と言われました」 裕美さんには別の持病があり、すでに数年間の闘病生活を送っていた。肝切除の手術を受けたのは、ほかのがんが肝臓に転移したためである。 「手術で悪いものを取れるなら取ったほうがいい。いまならまだ手術できます」 早瀬からは、このように提案されたと裕美さんの娘は記憶している。当時、裕美さんの病状は、それまでの闘病生活のなかで最も悪い状態だと家族には感じられた。体がだるく、神経マヒで耳が聞こえにくいうえに、目はかすみ、味もしないと訴え、座るのがやっとだった。しかし、「いまなら手術できる」という言葉に追い立てられるように、裕美さん本人も手術を願い出た。苦痛のなかで、藁わらにもすがる気持ちだったのだろう。家族も、弱った体で手術を受けさせることに不安を感じたものの、「お願いします」と同意したという。 裕美さんの娘は語った。 「腹腔鏡手術しか選択肢はないんじゃないかと思っていました。あのときは助けたいという一心で、お願いしますと言ってしまったんです」 ほかにも、これと似た話をした遺族がいる。 70代前半で亡くなった武仁さん(仮名)の妻である。 「腹腔鏡手術しかないと思っていました。ほかに手術の方法があったんですか?」 手術が腹腔鏡を使ったものだったということさえ認識していなかった遺族もいた。 術後一ヵ月余り、70代前半で亡くなった圭子さん(仮名)の遺族だ。 家族にことのほか愛され、慕われていた圭子さんの大病は、仲がよく、結束の固い一家にとって一大事だったに違いなかった。それなのに、圭子さんの娘たち夫婦も孫も誰一人、「腹腔鏡」という言葉さえ思い出せなかった。圭子さんの娘が保管していた手術同意書の術式名にも、「腹腔鏡」という文字はない。 患者や家族への説明では、「保険適用外で安全性や有効性が確立していない腹腔鏡手術だった」という事実が伏せられていたのではないか。遺族の証言は、インフォームド・コンセント(正しい情報提供に基づいた合意)に重大な問題があることを強く疑わせた。 後編記事【「ずっとおかしいと思っていたんです…」群馬大医学部附属病院で18人が死亡、遺族へ告げられなかった信じ難い事実】に続く』、「肝門部胆管がんは、構造が複雑な部分にできたがんで、消化器がんのなかでも手術の難易度が高いことで知られている。開腹したとしてもきわめて難しい手術であり、専門家の間で、「腹腔鏡手術を行うべきではない」という意見が大勢を占めている」、こんな難しいケースに「腹腔鏡手術」に慣れてない医師に手術をさせるのを、病院が組織として放置していたというのは、恐ろしいことだ。

第三に、この続きを、4月15日付け現代ビジネスが掲載した読売新聞論説委員の高梨 ゆき子氏による「「ずっとおかしいと思っていたんです…」群馬大医学部附属病院で18人が死亡、遺族へ告げられなかった信じ難い事実」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108355?imp=0
・出だし省略 『学長選直前の不祥事  遺族たちが病院内部に調査の動きがあることを知ったのは、10月下旬になってから、私たちの取材によってであったことはすでに書いた。 記者の訪問に、遺族の誰もが驚きを隠せなかった。あきらめかけ、いっそ忘れたいと思っていたつらい記憶が呼び覚まされ、平静ではいられなかった人もいた。 「こんなテレビドラマみたいなことがあるんですね……」 思わず、まるでひとごとのような感想を漏らした人さえいる。 多くの遺族が、取材前に予想していたより落ち着いて、前向きな様子で応じてはくれたが、おそらく思いがけない事実を突然、見知らぬ相手から突きつけられ、どれだけ心を波立たせたことだろうか。その衝撃は察するにあまりある。 しかし、遺族は、心の奥底にくすぶっていた疑念と符合するものを感じたようだ。 「やっぱりそうだったんですね」「ずっとおかしいと思っていたんです」 そんな言葉を漏らした遺族もいた。 このとき、家族が亡くなって以来、ずっと抱え続けてきた疑問の答えが、ようやく得られるのかもしれないという期待も抱いたのではないだろうか。知らされるべき事実が、当事者には何も明かされてこなかったのだから』、「遺族は、心の奥底にくすぶっていた疑念と符合するものを感じたようだ。 「やっぱりそうだったんですね」「ずっとおかしいと思っていたんです」 そんな言葉を漏らした遺族もいた」、なるほど。
・『動きが鈍い病院側の思惑  病院のほうは、なかなか遺族への説明や公表に踏み切れなかった。11月に入っても、病院側の動きは鈍かった。 院内事故調査委員会の初会合から一週間後の9月4日には、第二外科肝胆膵グループによるすべての手術の休止が決まっている。予定していた手術や、地域病院からの紹介を他へ回さなければならないことになり、この頃から、近隣病院への影響も出始めていたはずである。それでも、病院側は事態の発覚を極度に恐れ、調査は内々に進められた。 院内事故調査委員会は、8月28日の初会合から11月14日の報道までに、二度にわたり開会している。顧問弁護士以外の外部委員抜きで、執刀医の早瀬稔(仮名)本人や、その上司であり第二外科の責任者でもあった教授の松岡好(仮名)をはじめ、手術に関係した第二外科の医師たちから直接の事情聴取もしていた。また、実際は、「院内ミーティング」と称し、もっと頻繁に調査のための会合は開かれていたという。しかし、家族の死の裏に重大な事実が隠されており、それをめぐって正式な調査が行われていることについて、遺族には一切、伏せられていたことに変わりはなかった。 なぜ、そのようなことになったのか。 病院当局には、事態の表面化を恐れる大きな理由があった。 2014年12月5日に予定されていた次期学長選である。2015年春、群馬大学は学長の任期満了を迎える。学長選はそれに伴うもので、次期学長の座を争っていたのは、病院長を務める野島美久と、その前任の病院長であった石川治。二人は2014年10月、学内外の有識者による選考会議から「学長適任者」に選出されており、学長選は、新旧の病院長による一騎打ちの情勢だった。 当時の病院幹部の間では、野島を推す声が大勢だったといわれている。野島本人が内心どのように考えていたのかは定かでないが、大事なときに、このように深刻な不祥事を公表すれば、学長選で不利に働くのではないかと懸念する雰囲気が、病院内には漂っていたという』、「病院当局には、事態の表面化を恐れる大きな理由があった。 2014年12月5日に予定されていた次期学長選である」、真相解明よりも「学長選」を重視するとは、余りの内向き姿勢には驚かされる。
・『責任の所在は……  腹腔鏡手術の問題を見過ごし、早期に止められなかった責任は、新旧どちらの病院長にもあった。2011年3月まで病院長を務めていたのが石川で、野島が病院長に就任したのは4月である。前述の通り、第二外科は問題の腹腔鏡手術を2010年12月に導入し、2011年3月までに二人の患者が死亡している。 だからといって、亡くなった患者の遺族にさえ説明をしていなかったのは、どうしたことだろう。それも、問題を知る人の数が増え、遺族という外部の人間にもその範囲が広がれば、情報が拡散するリスクが高まり、学長選に響くことを恐れたのではないか、と考えれば合点がいく。 関係者によると、実は、11月初めには院内調査の中間報告書がまとめられていた。それをもとにすべての患者の遺族に説明して回り、関係省庁に正式に報告して、それが完了した後で記者会見を開いて公表、という段取りが、内々に想定されてはいたようだ。それなのに、11月第二週の水曜日だった12日、私たちが病院長の野島を訪ねた段階で、八組ある遺族への面談のアポイントメントを入れる作業にさえ取りかかっていなかった。11月後半になってアポイントメントをとり始めれば、先方の都合に合わせて日程調整しているうちに、12月5日が過ぎていく。それを指折り数えていたのではないのか。 結果として、病院側は11月12日に取材を受けた直後から、遺族への電話連絡を始めた。記事に出る前に当事者に一報だけは入れておかなければと、慌てて連絡をとった形だった。厚生労働省に報告したのも、取材を受けた翌日の13日である。学長選は翌月五日に迫っていただけに、この時点での事態の発覚は、病院当局からすると最悪のタイミングだったかもしこのことが、事態の公表過程に影響を与えていたのかどうかについては、その後の調査でも解明されなかった。しかし、報道の後手に回り続けた対応は、群馬大学病院への不信感を、むしろ増幅させる結果になった』、「11月初めには院内調査の中間報告書がまとめられていた。それをもとにすべての患者の遺族に説明して回り、関係省庁に正式に報告して、それが完了した後で記者会見を開いて公表、という段取りが、内々に想定されてはいたようだ。それなのに、11月第二週の水曜日だった12日、私たちが病院長の野島を訪ねた段階で、八組ある遺族への面談のアポイントメントを入れる作業にさえ取りかかっていなかった。11月後半になってアポイントメントをとり始めれば、先方の都合に合わせて日程調整しているうちに、12月5日が過ぎていく。それを指折り数えていたのではないのか」やはり「学長選挙」の終了を待っていたようだ。

第四に、この続きを、4月21日付け現代ビジネスが掲載した読売新聞論説委員の高梨 ゆき子氏による「内部情報を漏らしたのは誰だ…群馬大医学部附属病院で腹腔鏡手術後に「8人」死亡、病院側の呆れた「最大の関心事」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108367?imp=0
・出だし省略 病院の最大の関心事  弁護団は、遺族に対し、患者のカルテや検査画像、手術の録画映像など診療記録一式を病院側に開示請求するようアドバイスした。開示された記録一式は、ある大学病院の消化器外科医に託された。二人の患者の診療内容に問題がなかったか、弁護団で独自に調査するためである。この独自調査により、目を覆うような診療の実態が生々しく伝えられることになる。群馬大学病院が調査報告書を公表するための記者会見を開いてから3日後の2015年3月6日、弁護団は記者会見し、腹腔鏡手術の二例について、独自調査の結果を報道陣の前に明らかにした。 協力医の厳しい指摘は、大きなインパクトがあった。たとえば手術手技について、手術の録画映像を見た協力医は以下のように評した。 「(執刀医の)手技はかなり稚拙である。鉗子(注・ハサミ状の医療器具)のハンドリングもよくなく、剥離操作、止血操作にしても全部悪い。相当下手。術野(注・手術中の目に見える範囲)も出血で汚染されており、血の海の中で手術をしているような状態。腹腔鏡の技量についてはかなり悪いといえる。無用に肝臓に火傷させるなど、愛護的操作がない。助手のカメラ操作も下手」 このとき、協力医の調査対象となった患者は木村さんら二人で、腹腔鏡の死亡者二人目と三人目に当たり、いずれも第二外科肝胆膵グループが腹腔鏡手術を導入した最初の年の患者である。おぼつかない技量で新しい領域に踏みこんだ危うさをうかがわせる』、「手術の録画映像を見た協力医は以下のように評した。 「(執刀医の)手技はかなり稚拙である。鉗子(注・ハサミ状の医療器具)のハンドリングもよくなく、剥離操作、止血操作にしても全部悪い。相当下手。術野(注・手術中の目に見える範囲)も出血で汚染されており、血の海の中で手術をしているような状態。腹腔鏡の技量についてはかなり悪いといえる。無用に肝臓に火傷させるなど、愛護的操作がない。助手のカメラ操作も下手」、酷い評価だ。「無用に肝臓に火傷させる」のもお粗末だ。
・『これほど死亡例を重ねるまで改善策が採られなかったことについても、協力医は痛烈に批判し、次のように述べている。 「通常の大学病院では、予期せぬ死亡があった場合、医療安全委員会が開かれて検討をする。通常は1例何か事件が起きれば、反省して改善案を検討していく。 次に同じことが起きないようにルールを作る。診療科長が何らかの処置を取るのが通常である。診療科長がしっかりマネジメントできていなかったといわざるを得ない。1年間で4人も腹腔鏡下で死亡したのであれば、通常の大学病院ではそれ自体で手術停止となる。腹腔鏡下で1例死亡したのであれば、腹腔鏡下での術式を中止することも考えられる。1例目が出た段階で検討していれば、ICG(注・肝切除の術前検査として一般的に必須とされているICG15分停滞率の測定。)を実施していない点について相当叱責された上で改善策がとられたであろう」 弁護団は記者会見で訴えた。 「病院側の調査は、教授や執刀医からの聴取が不十分で、全容が解明できていません。改めてきちんと調査をし直すべきです」) 〈中略〉 辞職する前、早瀬は、上司である教授の松岡と連名で、調査報告書に対する反論文を提出した。反論文では、公表された調査報告書で、自分たちの言い分が十分に反映されないまま「過失があった」との結論が導き出されていることに強い不満を表明し、再検討を求めた。術前評価、インフォームド・コンセントなど、問題とされていた各項目に逐一、異を唱えたこの文書は全13ページにわたっている。 カルテの記載が乏しいことについては認め、「申し訳ない」としたものの、それ以外は、彼らなりの立場から、事細かに言い分を述べている』、「「通常の大学病院では、予期せぬ死亡があった場合、医療安全委員会が開かれて検討をする。通常は1例何か事件が起きれば、反省して改善案を検討していく。 次に同じことが起きないようにルールを作る。診療科長が何らかの処置を取るのが通常である。診療科長がしっかりマネジメントできていなかったといわざるを得ない。1年間で4人も腹腔鏡下で死亡したのであれば、通常の大学病院ではそれ自体で手術停止となる。腹腔鏡下で1例死亡したのであれば、腹腔鏡下での術式を中止することも考えられる」、その通りだ。
・『インフォームド・コンセントについては、「図表を用いて、わかりやすく説明することを心がけていました。時間は一時間以上かけることとし、最後には不明な点がないか必ず確認するようにしておりました」と釈明した。死亡症例の検討も、記録はないものの実際には行っていたとの認識を示している。手術成績は、病院側の発表では「93例中死亡8例」とされていたが、実際は「103例中死亡8例」であるとし、訂正を求めた。分母となる症例数の違いは死亡率に影響を及ぼすことから、この点には強いこだわりが見られた。 特に多くの行数が費やされていたのは、腹腔鏡手術を始めるまでの準備に関する取り組みについてだ。2010年から2011年にかけて数々の関連学会に参加していたこと、先進的な取り組みで知られる岩手医科大学に二回出向いて実習したこと、動物を使った技術実習を受けたことが詳細に列挙された。当初は、一部のみ腹腔鏡を使う「腹腔鏡補助下」手術を選び、12例目以降、「完全腹腔鏡下」手術に移行したことから、「十分な体制をとっての導入だった」と訴えた。) 発生した医療事故の事実関係と直接かかわりはないが、興味深いことも記されていた。開腹手術について言及した項目に書かれたもので、内容は以下の通りだ。 本委員会の調査中に、開腹の肝切除術においても10例の死亡があることが判明した、とのみありますが、この問題には情報管理上の不備から、新聞社への意図的な情報漏洩が先にあり、その対応を迫られるようになった背景があります。少なくとも、当方が、医療安全管理部長とお話しする過程では、医療安全管理部長も開腹手術症例の件が情報漏洩することを強く心配し、間もなく、その懸念通りに情報漏洩が起きたことから、開腹手術の対応を早急に迫られたものと思います。 また、少なくとも、これまでに4回分の新聞記事(平成26年11月14日、15日、16日、および12月22日)は院長、副院長、病院長補佐レベルの病院中枢の特定関係者しか知り得ないような情報が含まれており、特定の新聞社に病院の中枢から意図的に流出されたのではないかと聞いています(情報の詳細を知る医療安全管理部長が言ったことです)。しかも、そのうち11月の1回は患者さんが特定されてしまうような個人情報をも含む情報が漏洩されており、調査中にこのような違法な漏洩がなされたことに驚いています。 これらの事実に対して、院長先生が平成27年1月7日に第二外科医会員を集めて、事情説明をした上で情報漏洩が起きた問題について謝罪されました。その上で、「きちんと調査して、原因を特定してしかるべき対処をする」ことを約束されましたが、今まで、情報漏洩が起きた問題に対して実質的な対処をされないままの状態が続いています。 事態発覚の経緯に関する恨み言に、彼らがこれだけの行数を費やしたくなる背景は、折に触れ内紛を繰り返してきた群馬大学病院の過去を抜きにして語れない。 問題が報道された当初、第二外科関係者の念頭に真っ先に浮かんだのは、ライバルである第一外科の存在だったという。群馬大学病院では、外科が第一外科と第二外科に分かれ、同種の外科診療を別々に行っており、以前から対立関係にあった。 2014四年11月に腹腔鏡手術の問題が明らかになって間もなく、早瀬の外来を受診した患者に付き添った家族の女性は、早瀬のおかしな反応が印象に残っているという。患者は肝臓がんで早瀬の腹腔鏡手術を受け、退院して通院治療を続けていた。 「報道されているのは、先生のことですか」 死亡例が相次いでいるという報道に触れ、不安に思った女性がこのように尋ねたところ、こんな話が持ち出されたというのだ。 「報道されているのはうちのグループのことですが、仲の悪い第一外科が、よくない情報を流しているんだと思います」 女性は「そんなことがあるんですか。まるでテレビドラマみたいですね」と言って受け流したものの、内心はいぶかしく思っていたという。 「先生はいったい何を言っているんだろうと思いました。患者には、そんなこと関係ないですよね」 患者側の立場からすれば奇妙な説明だったから、この出来事が記憶に刻まれたに違いない。彼女が話したエピソードには、当時の群馬大学病院内部の人びとの心理状態が映し出されているようだ。 内部関係者の間では、学長選に絡むリークではないか、という臆測も流れていた。 手術死の続発という深刻な事態が明るみに出てなお、彼らの何より最大の関心事は、事故の原因究明や再発防止策などではなく、別のところにあった。 「誰が、誰を陥れるために内部情報を漏らしたのか?」 「このことで得をするのは誰なのか?」 誰もがそこに気を取られていた。 後編記事『これが「大学病院」の闇…「第一外科vs.第二外科」18人もの患者が死亡した医療事故の裏で起きた医師たちの「権威闘争」』に続きます』、「これまでに4回分の新聞記事・・・は院長、副院長、病院長補佐レベルの病院中枢の特定関係者しか知り得ないような情報が含まれており、特定の新聞社に病院の中枢から意図的に流出されたのではないかと聞いています」、「問題が報道された当初、第二外科関係者の念頭に真っ先に浮かんだのは、ライバルである第一外科の存在だったという。群馬大学病院では、外科が第一外科と第二外科に分かれ、同種の外科診療を別々に行っており、以前から対立関係にあった」、「群馬大学病院」は信じられないような極めて深刻な問題を抱えているようだ。閉鎖性がその重要な背景にありそうだ。ここまで来ると、文科省や厚労省の監督責任も厳しく問われるべきだ。
タグ:高梨 ゆき子氏による「「ずっとおかしいと思っていたんです…」群馬大医学部附属病院で18人が死亡、遺族へ告げられなかった信じ難い事実」 「肝門部胆管がんは、構造が複雑な部分にできたがんで、消化器がんのなかでも手術の難易度が高いことで知られている。開腹したとしてもきわめて難しい手術であり、専門家の間で、「腹腔鏡手術を行うべきではない」という意見が大勢を占めている」、こんな難しいケースに「腹腔鏡手術」に慣れてない医師に手術をさせるのを、病院が組織として放置していたというのは、恐ろしいことだ。 「腹腔鏡手術のデメリットは聞きませんでした」、というのはやはり問題だ。 「病院長」には逃げられて、代わりに「取材に応じた総務課長」は、「約2時間にわたった取材で、小出は、一つ一つ突きつけられた事実を前に次第に重い口を開き、病院が把握していることについて認め始めた」、なるほど。 「群馬大学病院」の秘密主義には心底驚かされた。 信じられないような医療事故だ。 高梨 ゆき子氏による「遺族の深き慟哭…「群馬大医学部附属病院」腹腔鏡手術後に「8人死亡」…執刀医暴走の全貌を明かす」 現代ビジネス 「医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません」、「民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません」とは初めて知った。 (その1)(「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス、「群馬大医学部附属病院」腹腔鏡手術後に「8人死亡」4題:(執刀医暴走の全貌を明かす、「ずっとおかしいと思っていたんです…」群馬大医学部附属病院で18人が死亡 遺族へ告げられなかった信じ難い事実、内部情報を漏らしたのは誰だ…病院側の呆れた「最大の関心事」)) 医療事故 「「通常の大学病院では、予期せぬ死亡があった場合、医療安全委員会が開かれて検討をする。通常は1例何か事件が起きれば、反省して改善案を検討していく。 次に同じことが起きないようにルールを作る。診療科長が何らかの処置を取るのが通常である。診療科長がしっかりマネジメントできていなかったといわざるを得ない。1年間で4人も腹腔鏡下で死亡したのであれば、通常の大学病院ではそれ自体で手術停止となる。腹腔鏡下で1例死亡したのであれば、腹腔鏡下での術式を中止することも考えられる」、その通りだ。 「手術の録画映像を見た協力医は以下のように評した。 「(執刀医の)手技はかなり稚拙である。鉗子(注・ハサミ状の医療器具)のハンドリングもよくなく、剥離操作、止血操作にしても全部悪い。相当下手。術野(注・手術中の目に見える範囲)も出血で汚染されており、血の海の中で手術をしているような状態。腹腔鏡の技量についてはかなり悪いといえる。無用に肝臓に火傷させるなど、愛護的操作がない。助手のカメラ操作も下手」、酷い評価だ。「無用に肝臓に火傷させる」のもお粗末だ。 高梨 ゆき子氏による「内部情報を漏らしたのは誰だ…群馬大医学部附属病院で腹腔鏡手術後に「8人」死亡、病院側の呆れた「最大の関心事」」 11月後半になってアポイントメントをとり始めれば、先方の都合に合わせて日程調整しているうちに、12月5日が過ぎていく。それを指折り数えていたのではないのか」やはり「学長選挙」の終了を待っていたようだ。 「11月初めには院内調査の中間報告書がまとめられていた。それをもとにすべての患者の遺族に説明して回り、関係省庁に正式に報告して、それが完了した後で記者会見を開いて公表、という段取りが、内々に想定されてはいたようだ。それなのに、11月第二週の水曜日だった12日、私たちが病院長の野島を訪ねた段階で、八組ある遺族への面談のアポイントメントを入れる作業にさえ取りかかっていなかった。 「病院当局には、事態の表面化を恐れる大きな理由があった。 2014年12月5日に予定されていた次期学長選である」、真相解明よりも「学長選」を重視するとは、余りの内向き姿勢には驚かされる。 「遺族は、心の奥底にくすぶっていた疑念と符合するものを感じたようだ。 「やっぱりそうだったんですね」「ずっとおかしいと思っていたんです」 そんな言葉を漏らした遺族もいた」、なるほど。 ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は400~500件となっています」、「両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており」、これでは、信頼性はあと1つだ。 「日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。 しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。 「日本には医療過誤の正確な統計がない」、厚労省の怠慢だ。「医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。 というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです」、なるほど。 「自分の息子・・・手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。 医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意」、患者の立場では不運という他ない。 「患者さんが、血液が固まるのを抑える抗凝固薬を服用していたからです。このことを医師たちは知らず、集中治療室に移し、開胸手術まで行っています」、「患者」の「常用薬」をチェックするのは基本中の基本でこれを怠ったのはお粗末という他ない。 「検査医と看護師は気づくべきでした。しかし、チェックはされず、検査後は造影剤によるアレルギーと考えて、投与が続けられた」、ここまではあり得ることだ。 「問題はミスをしたら、それにいち早く気づき、適正な措置が取れるかどうかです。こちらも重大なのですが、今回は全くそれが見られませんでした」、酷い話だ。 ヨミドクター(読売新聞)「「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス」
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