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司法の歪み(その17)(有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉、なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している、「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由) [社会]

司法の歪みについては、2021年10月8日に取上げた。久しぶりの今日は、(その17)(有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉、なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している、「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由)である。

先ずは、昨年2月3日付けAERAdo「有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022020200033.html?page=1
・『「有罪判決を受けて、また選ばれるという市長は私の他にいないでしょう。今も再審請求中で最後まで争うつもりです。せっかくなので稀有な経験を市政に反映させていきたいですね」 こう苦笑するのは、1月23日投開票の岐阜県美濃加茂市で4度目の当選を果たした、藤井浩人市長(37)だ。 藤井氏が28歳で美濃加茂市選挙に初当選したのは2013年。当時は、全国最年少市長だった。 だが、そのキャリアは1年あまりで暗転する。藤井氏が美濃加茂市議時代に愛知県の浄水設備会社の社長から、現金30万円を受け取ったとして2014年6月、受託収賄罪の容疑で愛知県警と岐阜県警に逮捕された。 藤井氏は一貫して無罪を主張し、市長職にとどまった。 そして、一審の名古屋地裁で無罪判決とされた。しかし、2016年11月の控訴審では一転して有罪判決が言い渡される。 そこで、同年12月に市長を辞職し、出直し選挙に出馬し、圧勝。 事件については最高裁に上告したが、2017年12月に棄却され確定、公民権も3年停止となり、辞職を余儀なくされた。 藤井氏は市長時代の幹部、伊藤誠一氏を「後継」として推し、後を託した。 2020年12月に執行猶予が満了、公民権停止も終わった藤井氏は21年末、市長選に出馬を表明する。 市長選は藤井氏が後継を託した現職の伊藤氏と一騎打ちとなった。藤井氏は出馬に至った心境をこう振り返る。 「伊藤氏に後をお願いしたのは私です。尊敬する方でもあり、出馬するのは複雑な心境でした。なぜ出馬したのか、それは選挙の最大の争点、市役所の移転、建設場所の問題です。市内のホテルを取り壊しそこに建てると伊藤氏は説明したが、市民からは反対意見も多かった。私には事件の経験がある。被告という立場でしたが、徹底的に情報公開して、警察や検察、裁判所のおかしいところなど問題をどんどん発信してきた」 藤井氏はそのおかげで地裁では無罪判決を勝ち取り、最高裁まで戦い、再審請求もできた、という』、「美濃加茂市長」をめぐる冤罪問題については、このブログでも元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏による記事を、2017年5月18日、12月14日、12月19日、2018年3月23日に紹介した。「市長選は藤井氏が後継を託した現職の伊藤氏と一騎打ちとなった」、「伊藤氏」は「藤井氏」が出馬するにも拘らず、選挙に出て、「藤井氏」に敗れたようだ。
・『「2016年の出直し選挙で勝てたのも、自身の情報公開で事件が冤罪だと市民に理解していただけたからです。市役所の移転計画は、4か所の候補地があるのに、なぜホテルを取り壊して建て替えが必要なのか。そのプロセス、過程が判然としない。一部の意見、偏った情報で進んでいるのではないかと市民が不信感を抱いていたので、出馬を決意した」 名古屋高裁への再審請求を公表したのは、昨年11月30日と選挙が差し迫っていた。 「再審請求をすれば、また裁判があって、市政に支障をきたさないか」との声が市民から寄せられた。藤井氏はこう話す。 「これも市長時代から、自分の事件についても積極的に情報公開してきたことで、市民にも事件の概要はご理解いただいていた。多くの方が無罪をとも言ってくださった。再審請求についても、司法制度を詳しく説明することで、不安が払しょくされ、私の思いが通じたと思います」 藤井氏のホームページには、有罪判決を隠すどころか、<前科者と呼ばれても政治家として闘うワケ 私は誰に嵌められたのか>と堂々と書いている。 その姿勢が評価されたのか、選挙の結果はダブルスコアに近い大差での圧勝だった。 「市役所は新しくしなければならないと思うが、建設場所や規模、予算などは白紙にして市民に意見を聞いて、考えたい」 最近、藤井氏が気になったというのが2019年の参院選で2900万円をばらまいて、公職選挙法違反(買収)に問われ、有罪が確定している河井克行、案里夫妻の事件だ。 河井夫妻からカネを受け取った被買収の広島県議ら地方議員ら99人を検察が不起訴としていた。しかし、後に検察審査会では99人の地方議員のうち35人を起訴相当と議決した。 藤井氏と同じ市長という立場で、河井夫妻から150万円を受け取り辞職に追い込まれた、元三原市長の天満祥典氏も起訴相当だった。藤井氏は河井事件と自身の事件とで、矛盾した対応をする検察にこう怒る。) 「私の支援者の中には『藤井君より桁違いのカネもらって、罪に問われない、不起訴はおかしい』と言ってきた方もいらっしゃる。その通りです。国民から選ばれた検察審査会こそ正義がある。検察の不起訴って、法の下の平等ってなんでしょうか」 市長に返り咲いても、事件は再審請求で徹底的に争うと公言する。 「私が冤罪に陥れられた事件の事実を警察、検察、裁判所が正面から受け入れようとしない。警察には長時間、過酷な取り調べで真実を言っても聞く耳を持たなかった。私を有罪にするストーリーに沿った都合のいい話だけをしろ、という傲慢さだった。私が容疑を認めないと検察は贈賄側と連日、打合せを繰り返し、でっち上げを法廷で証言させる。私は名古屋地裁で無罪となったが、有罪とした名古屋高裁は一度も私の被告人質問を認めなかった。つまり、話を聞かないまま、判決を出した。このまま引き下がることはできません。警察、検察、裁判所はある意味、国民の最後の砦ですから、正義がないと困ります。市長としてのこの経験をもとにしっかりと地方行政が腐敗しないよう取り組みたい」』、「有罪とした名古屋高裁は一度も私の被告人質問を認めなかった」、「このまま引き下がることはできません。警察、検察、裁判所はある意味、国民の最後の砦ですから、正義がないと困ります。市長としてのこの経験をもとにしっかりと地方行政が腐敗しないよう取り組みたい」、「このまま引き下がることはできません」の意味は不明だが、今後の活躍を期待したい。

次に、5月16日付けPRESIDENT Onlineが掲載した郷原総合コンプライアンス法律事務所代表弁護士の郷原 信郎氏による「なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/69468
・『日本の刑事事件では、起訴されると有罪になる確率は99.5%を超える。なぜこれほど高いのか。弁護士の郷原信郎さんは「検察の捜査能力が高いわけではなく、内情は起訴内容に都合のいい自白を引き出すまで、被告人の身柄を延々と拘束する『人質司法』が横行している。そこには、特捜部等の判断で事件化される『立件型事件』特有の構図がある」という――。 ※本稿は、郷原信郎『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA)の第1章「刑事司法が『普通の市民』に牙をむくとき」を加筆、再編集したものです』、「被告人の身柄を延々と拘束する『人質司法』」と、「特捜部等の判断で事件化される『立件型事件』特有の構図」、をクローズアップしたのは興味深い。
・『大阪地検特捜部による「人質司法」の非道  大阪市に本社を置く総合ディベロッパー・プレサンスコーポレーション元社長の山岸忍氏は、大阪地検特捜部に逮捕されたが、無実を訴えていた同氏の保釈は6回にわたって却下され、248日にわたって勾留された。典型的な「人質司法」だった。2021年11月に一審無罪判決に対して検察は控訴を断念、無罪が確定した山岸氏は、取調べ担当検察官らの不法行為について国賠訴訟を提起している。 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件等の不祥事の際には、検察は、「引き返す勇気」を強調していたが、山岸氏の事件では、逮捕、勾留容疑について、当初の見立てが誤っていたことが明らかになっても、検察は、引き返そうとしないどころか、山岸氏の無罪の訴えを、「人質司法」で封じ込めようとする「非道」を続けた。山岸氏のように、検察と戦い勝利するケースは、極めて稀だ。 そのような刑事司法の脅威に、突然さらされるのは、普通に仕事をし、暮らしている企業人や市民だ。読者の貴方にとっても、決して他人事ではない。拙著『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA)第1章では、銀行出身の経営コンサルタント、人材紹介サービスの起業家など「普通の市民」が、検察捜査の脅威にさらされ、圧し潰されいく“恐ろしい現実”を描いている』、「プレサンスコーポレーション事件」の話は、初めて知った。「保釈は6回にわたって却下され、248日にわたって勾留された。典型的な「人質司法」だった。2021年11月に一審無罪判決に対して検察は控訴を断念、無罪が確定した山岸氏は、取調べ担当検察官らの不法行為について国賠訴訟を提起している」、「国賠訴訟を提起」は当然だ。
・『「発生型事件」と「立件型事件」  日本では、日々、現場警察官の犯罪捜査、犯人検挙、検察官の捜査・処理などによって犯人が検挙され、事件の真相が解明され、大部分の事件については「適切な刑事処分」が行われている。しかし、その中でも、警察・検察の誤った判断によって事件が立件され、逮捕・起訴が行われることもあり得る。そのような場合に、裁判所が、被告人の無罪主張に十分に耳を傾け、「疑わしきは被告人の利益に」という原則にしたがっていると言えるのか、そこには多くの疑問がある。 刑事裁判の展開も、窃盗、強盗、殺人などのように被害の「発生」によって捜査が開始される「発生型事件」と贈収賄、経済犯罪などのように、捜査機関が刑事事件としての「立件」の判断をする「立件型事件」とでは、かなり状況が異なる。) 「発生型犯罪」では、人が殺された、物が盗まれた、強奪された、という被害が現実に発生し、被害者がいる。 警察は、犯罪発生を受けて捜査を開始し、犯人を特定し、逮捕し、犯罪を立証する証拠を収集する。それを受けて、検察官は十分な証拠があると判断すれば起訴し、公判で有罪判決を得るための立証を行う。犯罪発生から、検挙、起訴、裁判という流れになるのは必然であり、捜査機関側には、事件が発生している以上、捜査をやるかやらないかの選択や裁量の余地はない。 しかし、贈収賄、経済犯罪、脱税などのような「立件型事件」はそうではない。捜査を開始する契機となるネタ、端緒には様々なものがあり、一方で、捜査に投入できる人員、予算は限られている。多くの端緒の中のどれを捜査の対象とするのか、どれだけの捜査のリソースを投入するのかは、その捜査機関の幹部の価値判断、政策判断による。同程度に犯罪の疑いがあっても、捜査機関内部での「検討と判断」の結果、捜査に着手しないこともあるし、内偵捜査だけで強制捜査などの本格的な捜査には至らないこともある。 「発生型」「立件型」いずれでも、捜査機関が判断を間違えることはあり得るが、「判断の誤り」の可能性が生じた場合の構図が大きく異なる』、なるほど。
・『「立件型」の冤罪には「真犯人」はいない  「発生型」であれば、もし、犯人ではない人間が逮捕され、それを検察が起訴したとすれば、別に真犯人がいるということになる。その場合、警察、検察の捜査や公判での立証活動は、逮捕・起訴された者にとっては「冤罪えんざい」であるとともに、真犯人の検挙を妨げる行為だったことになる。それゆえ、被疑者が無実だと訴え、被告人が無罪を主張しても、そして、犯人であることへの疑問が生じても、警察、検察は誤認逮捕、誤認起訴であることは容易に認めようとしない。 しかし、被害があり、事件は存在しているのであるから、警察が犯人検挙に向けて捜査をすること、検察が誰かを犯人として起訴すること自体は当然であり、「捜査をしない」ということでは済まない。捜査を行ったこと自体には問題はなく、「犯人の特定」に問題があったということだ。 一方、「立件型」の場合は、被害が発生したわけでもなく、誰かが被害を訴えているわけでもない。「その事件を刑事事件として立件し捜査の対象とする」と捜査機関側が判断して捜査を始めたものだ。 もし仮に、その前提事実が異なっていて、捜査機関が判断を誤った疑いが生じた場合、それは犯罪自体が存在しなかった疑いが生じるのであり、別に真犯人がいるということではない』、「「立件型」の場合は、被害が発生したわけでもなく、誰かが被害を訴えているわけでもない。「その事件を刑事事件として立件し捜査の対象とする」と捜査機関側が判断して捜査を始めたものだ。 もし仮に、その前提事実が異なっていて、捜査機関が判断を誤った疑いが生じた場合、それは犯罪自体が存在しなかった疑いが生じるのであり、別に真犯人がいるということではない」、なるほど。
・『「立件型」では、有罪判決断念で捜査機関の面子がつぶれる  しかし、実際には、「立件型」の事件の場合、捜査機関側は被疑者が無実だと訴え、被告人が無罪を主張し、捜査機関側の当初の判断が誤っていた可能性が生じても、誤りを認めようとはしない。有罪判決に持ち込むために異常なまでの拘こだわりを見せる。不利な状況になっても、決して諦めない。まさに、山岸氏の事件がその典型例だ。 それは、有罪判決を断念することで、その事件を「立件」したこと自体が間違っていたと認めることになり、捜査機関側の面子がつぶれ、立件の判断をしたことの責任が問われることになるからだ。 このように、同じ刑事事件でも、「発生型」と「立件型」では、事件をめぐる構造が大きく異なる。しかも、一般的に言えば「発生型」の事件は、犯罪の世界とかなり親和性を持っている人間が犯人とされる場合が多いが、「立件型」の事件は、それまで犯罪とは全く縁がなかった「普通の市民」が突然に犯罪の疑いを受けることも多い』、「「立件型」では、有罪判決断念で捜査機関の面子がつぶれる」、みっともともないが、やむを得ない。「有罪判決に持ち込むために異常なまでの拘こだわりを見せる。不利な状況になっても、決して諦めない」、こうした「捜査機関側」の無用なこだわりは止めてほしいものだ。
・『無罪主張をすれば、身柄拘束が延々と続く  立件の判断が不合理で理不尽なものであっても、捜査機関側は、一度立件したら、決して引き返そうとしない。検察官は、有罪判決を得ることに拘り続ける。そこで、無罪主張を抑え込むための手段として使われるのが、犯罪事実を否認し、無罪主張をしようとする被告人は、身柄拘束が延々と続くという「人質司法」だ。 裁判所も、「人質司法」を容認して保釈を認めず、捜査機関や検察官の主張を何とか認めようとし、被告人の訴えに耳を傾けようとしない。 特捜検察が関わった「立件型」事件での「人質司法」の代表的事例が、冒頭でも述べた山岸氏の冤罪事件だ。 山岸氏はある土地の売買をめぐり、業務上横領容疑で大阪地検特捜部に逮捕、起訴された。自身の横領容疑についての逮捕から裁判までの経過を描いた迫真のノンフィクション『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』(文藝春秋)には、248日に及ぶ勾留中の記録が克明に綴られている』、「捜査機関側は」ともかく、「裁判所も、「人質司法」を容認して保釈を認めず、捜査機関や検察官の主張を何とか認めようとし、被告人の訴えに耳を傾けようとしない」、中立であるべき「裁判所」が「捜査機関側」に偏っているのでは、公正は期待できない。
・『検察官はデタラメな意見書を書いて保釈を妨害していた  山岸氏の保釈請求は、検察の強硬な反対意見で、却下され続けた。「人質司法」で耐えられない状況に追い込んで、無罪主張を断念させようとしているとしか思えないやり方だった。その検察の反対意見を受け入れ、裁判所は保釈を却下し続けた。 国賠訴訟の対象にはなっていないが、堀木博司という当時の大阪地検特捜部の検察官が、人間の心を持っているとは思えない冷酷非道な意見書を書いて保釈を妨害していたことが、山岸氏の著書で赤裸々に描かれている。保釈請求が却下されたワンシーンを以下に抜粋する。山岸氏にとっては、実に勾留から約半年が経過した5度目の保釈請求だったという。 極めつけは、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達している〉という請求書の記載への反論だった。 弁護人が誇張なくありのまま記載したわたしの現状について、検察官は、〈裏付け資料がない〉〈3月から5月まで平日毎日弁護人と接見している。4月30日と5月25日には合計4時間以上も接見している〉などと言って、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達しているとは到底思えない〉と冷笑した』、「〈3月から5月まで平日毎日弁護人と接見している。4月30日と5月25日には合計4時間以上も接見している〉などと言って、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達しているとは到底思えない〉と冷笑した」、確かに「冷酷非道な意見書」だ。
・『三畳一間の部屋に閉じ込められ、何もできない  こんな無責任な言い草があるだろうか。検察官は、自分がやっていることがわかっていないのだ。〈断固として保釈を許可すべきでない〉とコピペで張り付けただけの意見書のせいで、わたしがどれだけ苦しんでいるか、まったく認識していない。だからこんないい加減なことが言えるのだ。暴力を振るった加害者が、「被害者は全然痛がっていませんよ」と言うようなものである。 前年12月16日に逮捕されてから、半年弱である。その間、わたしは狭い三畳一間の部屋に閉じ込められ、どこにも行けず、やりたいこともできず、好きなものも食べられず、一日の行動を逐一管理されて過ごしている。 就寝の時間も起床の時間も運動の時間も食事の時間も、自分では決められない。テレビも見られない。電話もメールもできない。会いたい人と会うことができない。話したい人と話すことができない。(中略) この堀木意見書が提出された翌日、大阪地方裁判所は保釈請求を却下、準抗告も特別抗告も棄却されてしまった。(山岸忍『負けへんで! 東証一部上場企業社長vs地検特捜部』第三章「通らぬ保釈請求と持ち株売却」より一部抜粋)』、「三畳一間の部屋に閉じ込められ、何もできない」、しかし、「この堀木意見書が提出された翌日、大阪地方裁判所は保釈請求を却下、準抗告も特別抗告も棄却されてしまった」、裁判官もいい加減だ。
・『これは「権力ヤクザ」による監禁犯罪である  山岸氏によると、堀木検事は自身がそれまでに提出した(保釈請求に反対する)意見書の文面を「コピペ」しながら、情緒的で論理性を欠いた意見書の提出による対応に終始したという。それをもって、裁判所も保釈申請を却下し、山岸氏は結果、248日もの拘留を強いられ、「拘禁症状」も心身に表れるなど、大きな負担を強いられることとなった。 このような悪辣あくらつなやり方で、山岸氏を痛めつけ続けた堀木検事は、このような意見書を裁判所に提出したことの責任は全く問われず、今は、東京地検特捜部に所属し、保釈に対してデタラメな内容を書き並べた意見書を書いて強硬に保釈に反対するという「非道」を繰り返している。 プレサンス事件で典型的に表れた特捜検察のやり方は、まさに「権力ヤクザ」そのものであり、「人質司法」を悪用した“監禁犯罪”と言っても過言ではない。)』、「堀木検事は自身がそれまでに提出した(保釈請求に反対する)意見書の文面を「コピペ」しながら、情緒的で論理性を欠いた意見書の提出による対応に終始したという。それをもって、裁判所も保釈申請を却下し、山岸氏は結果、248日もの拘留を強いられ、「拘禁症状」も心身に表れるなど、大きな負担を強いられることとなった」、「悪辣あくらつなやり方で、山岸氏を痛めつけ続けた堀木検事は、このような意見書を裁判所に提出したことの責任は全く問われず、今は、東京地検特捜部に所属し、保釈に対してデタラメな内容を書き並べた意見書を書いて強硬に保釈に反対するという「非道」を繰り返している」、「プレサンス事件で典型的に表れた特捜検察のやり方は、まさに「権力ヤクザ」そのものであり、「人質司法」を悪用した“監禁犯罪”と言っても過言ではない」、同感である。

第三に、2月3日付けデイリー新潮「「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/02041057/?all=1
・『半世紀を優に超えて歌手や俳優として活躍する杉良太郎(78)は、60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた。「特別矯正監」「特別防犯対策監」などに任じられている杉は、どのように矯正施設の改革に携わってきたのか。その思いを本人が語った。 15歳の時に刑務所の慰問を始め、国内外で福祉活動を続けて64年が過ぎました。人からはよく「なぜ」「どうして」と聞かれますが、そういう質問が一番困ります。自分でも明確な答えを持ち合わせていないからですが、おそらくこれは私の性分。生まれる前、母親の胎内にいた頃に染みついた、一種の性(さが)だと思います。母は「人に親切、慈悲、情け」が口癖のような人でしたから。 現在は法務省・特別矯正監(永久委嘱)、厚生労働省・健康行政特別参与、警察庁・特別防犯対策監(永久委嘱)として福祉活動だけではなく対策活動を行う機会も増えています。すでに全国の税関、刑務所は視察を終えており、警察はこの2月、すべての都道府県警察本部を訪問し終えます。その後は各警察署にも足を運び、現場に近い声を聞いて対策に生かす考えです』、「杉良太郎」氏が、「60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた」とは初めて知った。
・『名誉矯正監になった理由  なぜ、全国を回る必要があるのか。例えば警察組織にしてもそれぞれの地域特有の県民性や地域性があります。だから、治安の維持という使命は同じでも、アプローチの仕方は微妙に異なる。それは私が矯正監として接している、受刑者や刑務官たちも同じです。 私が矯正施設で見るのは、彼らがどんな所で生まれ育ち、なぜ犯罪を起こしたのかという、根っこのところ。私が矯正監に任命されるまでには、幾つかの段階がありました。まず、15歳から始めた慰問を続けるうちに一日所長として視察するようになった。すると当時、5~6人の閣僚が集まる席があって、「何十年も取り組んでいる杉さんが一日だけの所長っていうのはおかしいんじゃないの?」という話になり、その後「一日所長じゃなく、何かポジションを作れないのか」と、法務大臣に伝えたという。そんなことはまったく知りませんでしたが、名誉矯正監や名誉所長という肩書きを受けてくれないか、と打診をいただきました。 そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました』、「そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました」、なるほど。
・『刑務官に「何が欲しいか」と聞くと…  それまでは受刑者の更生を促進する活動が中心でしたが、刑務官や職員の方の規律や指揮監督、処遇といったあらゆる角度から矯正施設の問題に取り組むようになりました。とくに現場の声を聞くことを大切にし、その後も全国の矯正施設を回り続けました。「なるべく若い人たちの意見を聞きたい」と思っても、所長や部長などの上司が横にいると、彼らはなかなか率直な気持ちを言えません。だから、看守長ぐらいまでの中堅クラスにメンバーを限定し、話を聞いていきました。 多くは30代半ばから後半ぐらいです。処遇から教育、経理や医務といったすべての部門から出席してもらいます。最初はまったく意見が出ませんでしたが、こちらから「日頃、仕事をする中での不満を聞かせてほしい」と促したら、多くの声が上がるようになりました。 例えば、勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と。「じゃあ、うれしくないものはうれしくないと言いなさい」と話した。それで「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。 当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです』、「勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と・・・「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。 当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです」、素人ならではの発想が上手くいった例だろう。
・『自己犠牲の精神  刑務官がしっかり受刑者を指導・監督できるようになるには、広い知識や見聞、人間的な包容力を持つことも大切です。塀の中しか知らないような世間知らずでは務まりません。長期休暇を活用して、旅行も含めて見聞を広め、体験を重ねることも重要なのです。 また、この仕事は成果が見えにくいという側面があるので、職員にはやりがいとプライドを持たせることが必要です。自身の職業へのプライド、誇りがなければ、海千山千の受刑者にはなかなか対峙できません。そこで、専門官を作るなど、刑務官の心理面での育成につながることも考えました。 刑務官たちが最も喜んだのは、彼らが住む官舎の改善でした。これを言うと大抵の人に驚かれますが、刑務官を含めた職員たちに「刑務所と自分たちの官舎と、どっちを先にリフォームしてほしい?」と尋ねると、100人が100人とも「刑務所を先にお願いします」と答えます。職場を優先してほしいというわけです。 世間的にはこうしたイメージは薄いかもしれませんが、職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです』、「職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです」、なるほど。
・『刑務官は6畳と4畳半の2間で子どもを育てている  官舎というと「公務員住宅だから、さぞ良いところに住んでいるんだろう」といったイメージが強いと思います。赤坂や青山の国会議員宿舎などの印象があるからでしょうが、とくに地方にある国家公務員宿舎の多くは、想像以上に老朽化が進んでいるのが現状です。 施設課長が「居住環境を改善しないと職員が居着かない」と訴えてきたことがあります。そこで実際に足を運び、「どうしていままでこの事実を誰も口にしなかったのか?」と、気付けなかった自分にもがくぜんとしたことがあります。 視察に行く前に、法務省の職員に「間取りは幾つ?」と聞いたら「二間あります」という。私は「8畳と6畳の二間かな」と想像しましたが、実際には6畳と4畳半でした。いまどき4畳半なんて一間に含まれるのかと驚きましてね。受刑者には三食が付き、夜中でもガードマンが見回ってくれるから安心で安全な住環境にある。一方で、彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった。 すぐに全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました』、「彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった」、「全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました」、なかなか上手い仕掛けだ。
・『「これ、廃墟じゃないですか」  実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです。そこで私は「ご自分が住めないところに、職員に住めと言うのはいかがなものでしょう」と窘(たしな)めるように続けた。率直な印象として「ひどいな、こんな住宅がまだあるのか」というほど老朽化が進んでいたので、いまも少しずつ住宅の建て替えやリフォームを進めているところです。 警察官とは違って、刑務所の職員にはなかなか陽が当たらない。子どもに「お父さんは何の仕事?」と聞かれて「刑務官だよ、とは言いにくい」と話す職員はいまも少なくありません。「自分の子どもに胸を張れない」というのです。だから私は全国の施設を回って「プライドを持て」と、指導したり勇気づけたりしてきたのです』、「実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです」、巧みな誘導だ。
・『医官の処遇改善  刑務所に勤務する医師である、医官の離職も深刻な問題でした。以前の規則では、彼らが診療の対象にできるのは受刑者に限られていました。国家公務員だからというだけで、刑務官がちょっと体調を崩した時でも診察すらできない。以前はこんな非常識なことがまかり通っていたんです。だから私は、刑務官はもとより、近所に住む町の人々も診られるようにすべきだと訴えたことがありました。 医官は刑務所の近くに住んでいます。同じ地域の人々の理解や信頼は、人間的な触れ合いや結びつきから生まれてきます。高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです』、「高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです」、素人的発想が役人的慣行を打破した好例だ。
・『「長く刑務所にいたい」という受刑者たち  さまざまな刑務所の改革には、受刑者の処遇改善も不可欠です。ところが衣食住の快適さが増すと、居心地の良さから「長くここに置いて下さい」と訴える受刑者が増えてしまった。当たり前ですが、刑務所は「置いて下さい」なんて言われる場所じゃありません。 とくに高齢の受刑者ほどその傾向が強い。理由の多くは「出所したら死ぬしかない」「保険証がないから医者に診てもらえない」というもので、実際、持病があったり、身寄りがなくて出所しても身を置く場所がないんです。一方で刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね。 刑務所にもさまざまな種類がありますが、最近は医療刑務所が非常に大きな役割を持つ時代だと感じます。違法な薬物に関する治療もありますが、心臓や脳の病気をはじめ、がんを患う受刑者も珍しくはありません。 麻薬や薬物の常習者の更生には、専門の病院や施設で徹底的に対応する必要があります。専門医も必要ですが、何よりものすごい手間がかかるんですよ』、「刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね」、これは由々しい問題だ。
・『受刑者の認知症問題  加えて最近の医療刑務所の守備範囲はかなり広がっていますが、喫緊の課題の一つが、仮に受刑者が刑務所内で認知症を発症したらどうするか、という問題です。自分が誰だか認識できない受刑者にはどう罪を償わせればいいのか。こういった贖罪のあり方の本質に関わる問題への対処など、刑務官の役割やありようは大きく変化しています。 心臓病や胃がんという具合に脳の機能に影響がない時はいいですが、アルツハイマー型認知症などの場合は罪を犯した事実やその罪名どころか、自分の名前すら覚えていないこともあります。入る刑務所もA級(犯罪傾向の進んでいない者)とB級(再犯や累犯、反社会的勢力といった犯罪傾向の進んでいる者)、L級(刑期が10年以上の者)などの等級によって分かれますが、長期で入っている人は症状がどんどん進んでしまいます。 認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます』、「認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます」、これは審議会などで有識者の意見を参考にすべきだろう。
・『資格取得まで導いても出所すると…  かねて私は、刑務官が受刑者の介護に苦労していることを知って、「これは本来の刑務所の姿じゃない」と感じていました。だから刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました。 ところが、ここで新たな問題が出てきました。仮に500人の介護資格を手にした受刑者がいたとして、その中の何人が出所後に介護職に就くのか。私の感覚ではせいぜい30人ぐらいだと思います。そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない。 よく耳にする話に「出所後に雇ってくれるところがないので働けない」「収入が得られないから再犯してしまう」というものがありますが、「働きたくない」「仕事は苦手」という人たちの再犯率を下げることが、いかに難しいかということがお分かりいただけるでしょう』、「刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました」、「そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない」、確かに悩ましい問題だ。
・『欧米では寄付が節税対策に  私は平成8年に「名誉矯正監」を、平成20年に「特別矯正監」を拝命し、それに伴って私の役割も変わってきました。最も大きなものは、改善すべき点を明確にして必要な予算を獲得することです。平成28年4月に発生した熊本地震の後には刑務所や少年院などすべての刑事施設を、地震や津波、河川の氾濫といった災害が起きた際、市民が避難場所として利用できるようにしました。 本来、こうした取り組みは政治の役割かもしれません。しかし、特別矯正監という立場だからこそできることがある。だから私は全国の矯正施設を回り、目で見て耳で聞いて問題点を炙(あぶ)り出している。それがいまの私の役割だからです。東日本大震災で炊き出しなどの支援活動をした時など、これまでには「売名だ」とか「偽善では」と言われました。しかし、私はただ自分にできること、すべきだと思ったことを行動に移してきたに過ぎません。 ところで、日本と欧米のボランティアや寄付のありようには大きな違いがあります。文化や習慣も異なるからでしょうが、実は税制面でも大きな差があります。 例えばアメリカでは、個人が100万円をチャリティーとして寄付すると、手続きをすることでほぼ全額が所得から控除される。つまりは税金対策にもなるわけです。日本で杉良太郎が1億円を寄付するのと、ハリウッドスターが1億円を寄付するのとでは本質的な意味合いがまったく異なる。それを多くの日本人はご存じない。 いま、私がどこかの慈善団体に1億円を寄付したとしても、控除されて戻ってくる額はごくわずかです。もちろん、私はそれも寄付しますが、アメリカで1億円を寄付したら、日本よりも還付される額ははるかに多いんです』、日本の寄付金控除は極めて僅かだが、その拡大は別途検討すべき課題だ。
・『1億円借金してまで寄付  日本テレビに「24時間テレビ 愛は地球を救う」というチャリティー番組がありますね。以前その会場へ、新聞紙に包んだ現金を会社の経理担当に持って行かせたことがありました。すると、たまたまテレビに映った彼を見た税務署の職員から「あれは杉さんの会社の人ですよね。課税の対象です」と連絡がきたことがあります。世間の多くは「寄付金は全額が控除の対象になる」と思っているようです。ところが実際は違います。日本は軽々に寄付ができない制度になっているんです。 昭和61年ごろに中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました。そこで住友銀行(当時)の磯田一郎会長に「5億円のうち4億円は用意できたけど1億円足りない。1億円、私の体を担保に貸して下さい」とお願いに行ったんです。 会長は「銀行は体を担保に金を貸さないよ。だけど杉さん、老後はどうすんの?」と。私は「お粥を啜って生きていきますから」と答えた。そうしたら会長は1億円を融資して下さった。返済額は利子を含めて1億7500万円になりましたが、会長は「金を借りてまで寄付する人は初めてだ」と仰っていましたね』、「中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました」、「住友銀行」で「1億円借金してまで寄付」、とは大したものだ。
・『刑務所を株式会社に  私は十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる。互いに見知った関係ですから何でも相談できるだけでなく、出所者は得た収入から1カ月に千円でも2千円でも被害者への送金が可能になる。いつまでも被害者のことを心に留める意識が大切ですから、その一助となる取り組みとして、近いうちに本格化させるつもりです。 そこでは受刑者が出所後に即戦力として仕事を得られるよう、畜産や農業などの知識と技術を教えたい。すでに網走刑務所では「網走監獄和牛」という名前でA5ランクの黒毛和牛を育成したり、〈おつとめごくろうさまです〉といったロゴ入りのTシャツを販売していますし、鹿児島刑務所では日本茶に加えて紅茶作りが始まっています。函館少年刑務所では〈〇(マル)獄シリーズ〉という、「獄」の文字を丸で囲ったデザインがプリントされた前掛けや手提げバッグなど数多くのグッズが人気を集めています。 ▽達成感はない(このように、私は刑務所を一種のブランドにして新たな価値を生み出そうと考えている。そこが元受刑者の再就職先になれば、彼らの勤労意欲の喚起だけでなく、働くことの意味を理解させられると思うからです。 私は法務省のほかにも、厚生労働省で予防医療や未病という概念の普及と対策活動を、警察庁で特殊詐欺対策を中心とした防犯のあり方や、犯罪加担者を減らす取り組みに従事しています。私の活動は多岐にわたりますが、すべてに共通して言えるのは、「自分ができること」や「こうすべきだ」と思ったら、それを、すぐ行動に移してきたということです。 とはいえ、私は一度も「やってよかった」というような達成感や満足を覚えたことがありません。次々と問題が出てきますし、新たなアイデアが浮かんでくるからです。私にはいまも多くの課題が残されていますから、この道はずっと続いていく。まだまだ、これからですよ。 杉 良太郎(すぎりょうたろう) 昭和19年兵庫県生まれ。同40年に歌手デビュー。同42年にNHK「文五捕物絵図」の主演で脚光を浴び、以降は長年にわたってテレビや舞台で活躍。法務大臣顕彰、文部科学大臣表彰など数々の大臣表彰にとどまらず、紫綬褒章や芸能人として初めて緑綬褒章も受けた。平成26年に内閣総理大臣より感謝状を贈呈されたほか、同28年には長年にわたる国内外での文化交流が評価され文化功労者に選出されている』、「十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる」、これは難しい課題もありそうだが、今後の展開を注目したい。
タグ:AERAdo「有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉」 司法の歪み (その17)(有罪判決でも返り咲いた37歳の美濃加茂市長が語る検察の矛盾「河井事件は不問。法は不平等」〈dot.〉、なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している、「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由) 「美濃加茂市長」をめぐる冤罪問題については、このブログでも元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏による記事を、2017年5月18日、12月14日、12月19日、2018年3月23日に紹介した。「市長選は藤井氏が後継を託した現職の伊藤氏と一騎打ちとなった」、「伊藤氏」は「藤井氏」が出馬するにも拘らず、選挙に出て、「藤井氏」に敗れたようだ。 「有罪とした名古屋高裁は一度も私の被告人質問を認めなかった」、「このまま引き下がることはできません。警察、検察、裁判所はある意味、国民の最後の砦ですから、正義がないと困ります。市長としてのこの経験をもとにしっかりと地方行政が腐敗しないよう取り組みたい」、「このまま引き下がることはできません」の意味は不明だが、今後の活躍を期待したい。 PRESIDENT ONLINE 郷原 信郎氏による「なぜ日本の刑事事件の99.5%が有罪になるのか…「捜査能力が高いから」ではない驚きの理由 何が何でも有罪にするやり方が横行している」 郷原信郎『“歪んだ法”に壊される日本 事件・事故の裏側にある「闇」』(KADOKAWA) 「被告人の身柄を延々と拘束する『人質司法』」と、「特捜部等の判断で事件化される『立件型事件』特有の構図」、をクローズアップしたのは興味深い。 「プレサンスコーポレーション事件」の話は、初めて知った。「保釈は6回にわたって却下され、248日にわたって勾留された。典型的な「人質司法」だった。2021年11月に一審無罪判決に対して検察は控訴を断念、無罪が確定した山岸氏は、取調べ担当検察官らの不法行為について国賠訴訟を提起している」、「国賠訴訟を提起」は当然だ。 「「立件型」の場合は、被害が発生したわけでもなく、誰かが被害を訴えているわけでもない。「その事件を刑事事件として立件し捜査の対象とする」と捜査機関側が判断して捜査を始めたものだ。 もし仮に、その前提事実が異なっていて、捜査機関が判断を誤った疑いが生じた場合、それは犯罪自体が存在しなかった疑いが生じるのであり、別に真犯人がいるということではない」、なるほど。 「「立件型」では、有罪判決断念で捜査機関の面子がつぶれる」、みっともともないが、やむを得ない。「有罪判決に持ち込むために異常なまでの拘こだわりを見せる。不利な状況になっても、決して諦めない」、こうした「捜査機関側」の無用なこだわりは止めてほしいものだ。 「捜査機関側は」ともかく、「裁判所も、「人質司法」を容認して保釈を認めず、捜査機関や検察官の主張を何とか認めようとし、被告人の訴えに耳を傾けようとしない」、中立であるべき「裁判所」が「捜査機関側」に偏っているのでは、公正は期待できない。 「〈3月から5月まで平日毎日弁護人と接見している。4月30日と5月25日には合計4時間以上も接見している〉などと言って、〈被告人の精神的肉体的負担が限界に達しているとは到底思えない〉と冷笑した」、確かに「冷酷非道な意見書」だ。 「三畳一間の部屋に閉じ込められ、何もできない」、しかし、「この堀木意見書が提出された翌日、大阪地方裁判所は保釈請求を却下、準抗告も特別抗告も棄却されてしまった」、裁判官もいい加減だ。 「堀木検事は自身がそれまでに提出した(保釈請求に反対する)意見書の文面を「コピペ」しながら、情緒的で論理性を欠いた意見書の提出による対応に終始したという。それをもって、裁判所も保釈申請を却下し、山岸氏は結果、248日もの拘留を強いられ、「拘禁症状」も心身に表れるなど、大きな負担を強いられることとなった」、 「悪辣あくらつなやり方で、山岸氏を痛めつけ続けた堀木検事は、このような意見書を裁判所に提出したことの責任は全く問われず、今は、東京地検特捜部に所属し、保釈に対してデタラメな内容を書き並べた意見書を書いて強硬に保釈に反対するという「非道」を繰り返している」、「プレサンス事件で典型的に表れた特捜検察のやり方は、まさに「権力ヤクザ」そのものであり、「人質司法」を悪用した“監禁犯罪”と言っても過言ではない」、同感である。 デイリー新潮「「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」 杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由」 「杉良太郎」氏が、「60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた」とは初めて知った。 「そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました」、なるほど。 「勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と・・・「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。 当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。 「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです」、素人ならではの発想が上手くいった例だろう。 「職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです」、なるほど。 「彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった」、「全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました」、なかなか上手い仕掛けだ。 「実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです」、巧みな誘導だ。 「高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです」、素人的発想が役人的慣行を打破した好例だ。 「刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね」、これは由々しい問題だ。 「認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます」、これは審議会などで有識者の意見を参考にすべきだろう。 「刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました」、「そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない」、確かに悩ましい問題だ。 日本の寄付金控除は極めて僅かだが、その拡大は別途検討すべき課題だ。 「中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました」、「住友銀行」で「1億円借金してまで寄付」、とは大したものだ。 「十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる」、これは難しい課題もありそうだが、今後の展開を注目したい。
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