報道の自由度(その4)(報道の自由度ランキング 日本は70位に後退 G7で最下位 ウクライナや韓国を下回る その要因は?、日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは) [メディア]
報道の自由度については、2020年4月28日に取上げた。久しぶりの今日は、(その4)(報道の自由度ランキング 日本は70位に後退 G7で最下位 ウクライナや韓国を下回る その要因は?、日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは)である。
先ずは、本年5月4日付けハフポスト日本版編集部「報道の自由度ランキング、日本は70位に後退。G7で最下位、ウクライナや韓国を下回る。その要因は?」を紹介しよう。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6635c397e4b0e44cfb119834
・『国境なき記者団(RSF)は「世界中で報道の自由が、政治当局によって脅かされています」と指摘している。 国際的な非政府・非営利組織の「国境なき記者団(RSF)」は5月3日、2024年の「報道の自由度ランキング」を発表した。 1位にノルウェー、2位にデンマーク、3位にスウェーデンがランクイン。日本は2023年から順位を下げ、70位だった。 RSFは、「世界全体的に政治指標が低下している」と指摘。「メディアの自主性に対する支持と尊重が憂慮すべきレベルで低下し、国家や他の政治主体からの圧力が増大している」と分析した。 また、RSFは「2023年10月以降、ジャーナリストとメディアに対する違反行為が相次いでいる」と指摘。イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害されたという。 RSF編集ディレクターのアンヌ・ボカンデ氏は「国家やその他の政治勢力が報道の自由を守るために果たす役割が減少している」と警告した。 また、2024年は世界人口の半数以上が投票に行く「世界史上最大の選挙の年」だ。RSFは「ディープフェイクは現在、選挙の行方を左右する主要な位置を占めている」と指摘。偽情報などへの規制がない場合、生成AIが政治目的の偽情報の武器として使用される懸念があることを示した』、「イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害された」、戦争ではジャーナリストの犠牲が避けられないとはいえ、犠牲者数の多さには驚かされる。
・『日本が70位に後退した理由は? 日本の報道の自由度は、2023年の68位から70位に順位を下げた。この順位は先進国が集まるG7で最下位、戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ。 日本についてRSFは、新聞やテレビなどの従来のメディアが依然として大きな影響力を持っているとした上で、以下のように分析している。 「日本は議会制民主主義国家であり、メディアの自由と多元主義の原則は一般に尊重されている。しかし、伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」 加えて、政府や企業が主要メディアの運営に日常的に圧力をかけていることや、2020年以降、政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘した。 また、記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している』、「日本」の「70位」は、「戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ」、「伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」、「政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘」、「記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判」、なるほど。
次に、5月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/343385
・『日本のジャーナリストには本当に「報道の自由」がないのか? 「はあ?これほど好き勝手に政権批判ができているのに、報道の自由がないわけないだろ!こんなランキング信用できるか!」「報道ステーションやってた古舘さんが、民主党政権の時に圧力をかけられたって言っていたけれど、2010年のランキングは11位。めちゃくちゃ矛盾しているじゃん」 フランスの非政府組織(NGO)の国境なき記者団が毎年発表している「報道の自由度ランキング」で、日本が「70位」になったことに不満を爆発させる人が続出している。 ただ、文句を言いたくなる気持ちもわからんでもない。 例えば、日本よりも「報道の自由がある」という評価のコンゴ共和国(69位)は、外務省の海外安全情報によれば、一部地域で反政府勢力や犯罪集団等が活動して治安が悪い。当然、取材・言論活動をするジャーナリストにも危険が伴う。 そんなコンゴ共和国より「報道の自由がない」と言われても、「うんうん、確かにそうだな」と納得する人は少ないだろう。 日本ではジャーナリスト殺害はおろか、逮捕・拘禁されることなどない。せいぜい尾行されてスキャンダルがあれば、週刊誌にリークされるというような「嫌がらせ」がある程度だ。 例えば、情報番組で政権批判をしていたあるコメンテーターは、ある政府機関に尾行され、若い女性と会ったり買い物をしたりしているところまで撮影されてしまった。その後、政府機関は、彼の行動を写真付きで「レポート」にまとめて、某週刊誌編集部に持ち込んだ。ほどなくして、この週刊誌は「パパ活疑惑」として報道。そのコメンテーターの「権力に立ち向かう正義の人」というイメージは地に堕ちてしまったというわけだ。 ちなみに、この「レポート」は筆者も参加しているニコニコチャンネル「国際ジャーナリスト山田敏弘氏の消されるチャンネル」の中で公開しているので、興味のある方はご覧になっていただきたい。 では、テレビで政権批判をしたところで、そんな「嫌がらせ」程度しかない日本では、メディアやジャーナリストは「萎縮」することなく「報道の自由」を謳歌しているのかというと、そうとも言い難い。日本がコンゴ共和国よりも「報道の自由がない」と評価されるのには、それなりの根拠があるのだ』、「情報番組で政権批判をしていたあるコメンテーターは、ある政府機関に尾行され、若い女性と会ったり買い物をしたりしているところまで撮影されてしまった。その後、政府機関は、彼の行動を写真付きで「レポート」にまとめて、某週刊誌編集部に持ち込んだ。ほどなくして、この週刊誌は「パパ活疑惑」として報道。そのコメンテーターの「権力に立ち向かう正義の人」というイメージは地に堕ちてしまったというわけだ」、ずいぶん脇の甘い「コメンテーター」だ。「日本がコンゴ共和国よりも「報道の自由がない」と評価されるのには、それなりの根拠があるのだ」、どういうことだろう。
・『「記者クラブ」が批判されているのに、スルーする大手メディア 実は、今回のランキングは、単にジャーナリストが殺されたり、逮捕や拘禁されたりという言論弾圧だけを指標化としているわけではなく、「自己検閲」も問題にしている。 つまり、現在の日本は本来、好き勝手に政府の批判ができるような国なのに、メディアやジャーナリストが保身や同調圧力、商業主義や権力への迎合という自己都合で、報道すべきことを報道していないーー。という「言論機関の自殺行為」について、国境なき記者団が、言論弾圧と同じくらい問題視しているのだ。 それがうかがえるのが、今回のランキングにおける「日本」のカントリーシートにある以下の文言だ。 《The system of kisha clubs (reporters’ clubs), which allows only established news organisations to access press conferences and senior officials, pushes reporters toward self-censorship and constitutes blatant discrimination against freelancers and foreign reporters.》 つまり、既存の報道機関のみ、記者会見や政府高官へのアクセスを許可する「The system of kisha clubs(記者クラブのシステム)」こそが、記者に「自己検閲」を促し、フリーランスや外国人記者に対する露骨な差別にもつながる諸悪の根源だと国境なき記者団は批判しているのだ。 という話をすると、マスコミの皆さんは「言論の自由を守る我々が、自己検閲などするわけがないだろ」と不愉快になるだろうが、このランキングのニュースですらゴリゴリに「自己検閲」をしている。「報道しない自由」を行使して、まったく触れていない記者クラブメディアもあれば、日本テレビのように報道しておきながら「記者クラブ」にまったく触れないところもある。 天下の朝日新聞になると、さすがに「黙殺」はしていないが、「記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらの差別につながっているとした」(朝日新聞デジタル、24年5月3日)という感じで、記者クラブに対する「既存の報道機関のみ記者会見や高官へのアクセスを許可する」という指摘をバッサリと割愛している。 「それは新聞なので文字数が」とかなんとか言い訳が聞こえてきそうだが、「非記者クラブメディア」が以下のように、国境なき記者団の指摘を読者にわかりやすく伝えている。これと比べると、「ああ、やっぱり自分たちに都合の悪い話だからね」と思われてもしようがない腰の引け方だ。 《記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している》(ハフィントンポスト日本版、2024年5月4日)』、「記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している・・・「報道しない自由」を行使して、まったく触れていない記者クラブメディアもあれば、日本テレビのように報道しておきながら「記者クラブ」にまったく触れないところもある。 天下の朝日新聞になると、さすがに「黙殺」はしていないが、「記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらの差別につながっているとした」(朝日新聞デジタル、24年5月3日)という感じで、記者クラブに対する「既存の報道機関のみ記者会見や高官へのアクセスを許可する」という指摘をバッサリと割愛している」、なるほど、
・『「記者クラブ」に属するマスコミ人が言葉を濁すワケ では、なぜ権力の監視や、社会正義のために戦うマスコミの皆さんが、「記者クラブ制度」という話題になると、途端に自己検閲をしたり、ムニャムニャと言葉を濁すのか。 それは、後ろめたいからだ。 記者クラブは何十年にわたって、海外のジャーナリストや報道の専門家から、報道の自由を侵害している諸悪の根源だと指摘され続けている。例えば、2016年、日本のマスコミを調査した国連の特別報告者、デビッド・ケイ氏が外国特派員協会で会見を行って、「いわゆる『記者クラブ』制度はアクセスと排除を重んじ、フリーランスやオンラインジャーナリズムに害を与えている」として記者クラブの廃止を訴えた。 世界には山ほど「プレスクラブ」があるにも関わらず、なぜ日本の「The system of kisha clubs」だけが叩かれるのか。というのも、誰でも加盟できるプレスクラブと違って、閉鎖的なムラ社会がゆえ「アクセスジャーナリズム」(記者が権力側に気に入られることで情報を得る取材手法)の温床になってしまうからだ。 数年前、財務官僚がテレビ朝日の女性記者を夜な夜な呼び出してセクハラをしていたことが大きな問題になった。なぜ権力の監視をするはずのジャーナリストが、権力に食い物にされるのかと不思議に思うだろうが、これも記者クラブの弊害だ。 クラブの記者は所属する会社の代表として、「ムラ社会の権力者」(情報を握る政府高官)から、特ダネをいただくため気に入ってもらうことがミッションだ。だから逆らえないのだ。そして何よりも、フリージャーナリストや外国人記者など「よそ者」がいないので、この手の「権力者との癒着」が上司から部下、先輩から後輩という感じで綿々と受け継がれてしまうのだ』、「世界には山ほど「プレスクラブ」があるにも関わらず、なぜ日本の「The system of kisha clubs」だけが叩かれるのか。というのも、誰でも加盟できるプレスクラブと違って、閉鎖的なムラ社会がゆえ「アクセスジャーナリズム」・・・の温床になってしまうからだ・・・クラブの記者は所属する会社の代表として、「ムラ社会の権力者」(情報を握る政府高官)から、特ダネをいただくため気に入ってもらうことがミッションだ。だから逆らえないのだ。そして何よりも、フリージャーナリストや外国人記者など「よそ者」がいないので、この手の「権力者との癒着」が上司から部下、先輩から後輩という感じで綿々と受け継がれてしまうのだ」、なるほど。
・『民主党政権時代はなぜ「報道の自由がある」と評価された? このような「The system of kisha clubsこそが諸悪の根源」という視点を持つと、「好き勝手に政府を叩ける国」が、なぜジャーナリストが殺害・逮捕されるような国よりも「報道の自由がない」などと評価されてしまうのか、という謎の答えが見えてくる。 例えば、今回は「70位」が注目されているが、日本への評価は、この10年ほど、ずっとこんなものだ。15年は61位で、16年にはなんと過去最低の72位まで転落。そこから18年〜21年は多少持ち直して、66〜67位あたりをキープしたが22年は再び71位まで下げ、23年に68位になったがやっぱり落ち込んで今年は70位になったという流れだ。 では、その前にはどうだったのかというと、民主党政権の2010年に11位、12年に22位イギリスやアメリカを上回るほどだった。しかし、自民党が2012年12月に政権奪回した直後の13年に53位へと急落している。 では、なんで民主党政権の時だけ「報道の自由がある」と評価されたのか。これは別に民主党がメディアに特段優しかったわけでもないし、その後の自民党政権が急に言論弾圧を始めたわけでもない。 この時期だけ閉鎖的な記者クラブに「開放」という動きがあったからだ。当時、主要新聞社の労働組合が加盟している「新聞労連」が2010年3月4日、「記者会見の全面開放宣言~記者クラブ改革へ踏み出そう~」という声明を引用させていただこう。 ====================== 記者会見については、昨年9月の民主、社民、国民新の3党による連立政権の発足後、外務省や総務省などの省庁で「大臣会見のオープン化」が広がっています。本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。 (中略) まず、記者クラブに所属していない取材者にとってニーズが強く、記者クラブ側にとっても取り組みやすいと思われる記者会見の全面開放をただちに進めることから始めましょう。 ==================== この「記者クラブ全面開放」は、民主党政権崩壊とともに幻で終わった。だから12年に22位だったのが、13年に自民党が政権奪還すると急に53位に転落したのである』、「民主党政権の2010年に11位、12年に22位イギリスやアメリカを上回るほどだった。しかし、自民党が2012年12月に政権奪回した直後の13年に53位へと急落している・・・民主、社民、国民新の3党による連立政権の発足後、外務省や総務省などの省庁で「大臣会見のオープン化」が広がっています。本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。 (中略) まず、記者クラブに所属していない取材者にとってニーズが強く、記者クラブ側にとっても取り組みやすいと思われる記者会見の全面開放をただちに進めることから始めましょう・・・「「記者クラブ全面開放」は、民主党政権崩壊とともに幻で終わった。だから12年に22位だったのが、13年に自民党が政権奪還すると急に53位に転落したのである」、なるほど。
・『記者クラブでは、「無知」でも優秀な記者になれる 自民党政権でアクセスジャーナリズムが深刻になったことがうかがえるエピソードがある。安倍元首相の番記者を長く務めてスクープも連発した某ジャーナリストの方が、報道番組に出演して旧統一教会との関係を知っていたのかと問われて、こう答えた。 「いや残念ながら記者時代、私はまったく把握していなかったんですね」 これは、世界のジャーナリズムの常識からしても「異常」と言わざるを得ない。 週刊誌の世界では、安倍元首相と教団の関係は第一次安倍政権時代から記事になっている。岸信介と国際勝共連合との「共闘関係」は、タブーでもなんでもなく「史実」なので、ちょっと政治を取材した経験のあるジャーナリストならば誰でも知っている常識だ。ネットでも山ほど情報があふれていて、安倍元首相を殺害した山上徹也被告もそれを見て犯行を決意したと言われている。 そんな「常識」を安倍元首相に24時間張り付いていたはずの番記者は知らなかった。 いや、知識不足を批判しているのではなく、ここで大切なのは「知らなくても務まる」ということだ。先ほどから申し上げているように、「記者クラブ制度」が引き起こすアクセスジャーナリズムというのは、わかりやすくいえば、「権力者に気にいってもらってネタをもらう」ということだ。 つまり、この方がスクープを連発したのは、安倍元首相に気に入ってもらってネタをもらえたからだ。気に入ってもらうのに、「旧統一教会との関係」なんて安倍元首相の嫌がる話は知らなくていい。これが、「優秀なマスコミ記者の流儀」なのだ。 「The system of kisha clubs」が存続する限り、日本の権力癒着型取材は変わらないだろう。 テレビや新聞というオールドメディアは、高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく。あと数年もすれば、日本の順位もいよいよ80位台に突入していくのではないか』、「「記者クラブ制度」が引き起こすアクセスジャーナリズムというのは、わかりやすくいえば、「権力者に気にいってもらってネタをもらう」ということだ。 つまり、この方がスクープを連発したのは、安倍元首相に気に入ってもらってネタをもらえたからだ。気に入ってもらうのに、「旧統一教会との関係」なんて安倍元首相の嫌がる話は知らなくていい。これが、「優秀なマスコミ記者の流儀」なのだ・・・テレビや新聞というオールドメディアは、高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく。あと数年もすれば、日本の順位もいよいよ80位台に突入していくのではないか」、「高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく」、というのはやむを得ないにしても、困ったことだ。ただ、マスコミとしては、本来の批判精神を活かして権力に対峙していくことで、人気を獲得していく道もあるのではなかろうか。
先ずは、本年5月4日付けハフポスト日本版編集部「報道の自由度ランキング、日本は70位に後退。G7で最下位、ウクライナや韓国を下回る。その要因は?」を紹介しよう。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6635c397e4b0e44cfb119834
・『国境なき記者団(RSF)は「世界中で報道の自由が、政治当局によって脅かされています」と指摘している。 国際的な非政府・非営利組織の「国境なき記者団(RSF)」は5月3日、2024年の「報道の自由度ランキング」を発表した。 1位にノルウェー、2位にデンマーク、3位にスウェーデンがランクイン。日本は2023年から順位を下げ、70位だった。 RSFは、「世界全体的に政治指標が低下している」と指摘。「メディアの自主性に対する支持と尊重が憂慮すべきレベルで低下し、国家や他の政治主体からの圧力が増大している」と分析した。 また、RSFは「2023年10月以降、ジャーナリストとメディアに対する違反行為が相次いでいる」と指摘。イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害されたという。 RSF編集ディレクターのアンヌ・ボカンデ氏は「国家やその他の政治勢力が報道の自由を守るために果たす役割が減少している」と警告した。 また、2024年は世界人口の半数以上が投票に行く「世界史上最大の選挙の年」だ。RSFは「ディープフェイクは現在、選挙の行方を左右する主要な位置を占めている」と指摘。偽情報などへの規制がない場合、生成AIが政治目的の偽情報の武器として使用される懸念があることを示した』、「イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害された」、戦争ではジャーナリストの犠牲が避けられないとはいえ、犠牲者数の多さには驚かされる。
・『日本が70位に後退した理由は? 日本の報道の自由度は、2023年の68位から70位に順位を下げた。この順位は先進国が集まるG7で最下位、戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ。 日本についてRSFは、新聞やテレビなどの従来のメディアが依然として大きな影響力を持っているとした上で、以下のように分析している。 「日本は議会制民主主義国家であり、メディアの自由と多元主義の原則は一般に尊重されている。しかし、伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」 加えて、政府や企業が主要メディアの運営に日常的に圧力をかけていることや、2020年以降、政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘した。 また、記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している』、「日本」の「70位」は、「戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ」、「伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」、「政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘」、「記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判」、なるほど。
次に、5月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/343385
・『日本のジャーナリストには本当に「報道の自由」がないのか? 「はあ?これほど好き勝手に政権批判ができているのに、報道の自由がないわけないだろ!こんなランキング信用できるか!」「報道ステーションやってた古舘さんが、民主党政権の時に圧力をかけられたって言っていたけれど、2010年のランキングは11位。めちゃくちゃ矛盾しているじゃん」 フランスの非政府組織(NGO)の国境なき記者団が毎年発表している「報道の自由度ランキング」で、日本が「70位」になったことに不満を爆発させる人が続出している。 ただ、文句を言いたくなる気持ちもわからんでもない。 例えば、日本よりも「報道の自由がある」という評価のコンゴ共和国(69位)は、外務省の海外安全情報によれば、一部地域で反政府勢力や犯罪集団等が活動して治安が悪い。当然、取材・言論活動をするジャーナリストにも危険が伴う。 そんなコンゴ共和国より「報道の自由がない」と言われても、「うんうん、確かにそうだな」と納得する人は少ないだろう。 日本ではジャーナリスト殺害はおろか、逮捕・拘禁されることなどない。せいぜい尾行されてスキャンダルがあれば、週刊誌にリークされるというような「嫌がらせ」がある程度だ。 例えば、情報番組で政権批判をしていたあるコメンテーターは、ある政府機関に尾行され、若い女性と会ったり買い物をしたりしているところまで撮影されてしまった。その後、政府機関は、彼の行動を写真付きで「レポート」にまとめて、某週刊誌編集部に持ち込んだ。ほどなくして、この週刊誌は「パパ活疑惑」として報道。そのコメンテーターの「権力に立ち向かう正義の人」というイメージは地に堕ちてしまったというわけだ。 ちなみに、この「レポート」は筆者も参加しているニコニコチャンネル「国際ジャーナリスト山田敏弘氏の消されるチャンネル」の中で公開しているので、興味のある方はご覧になっていただきたい。 では、テレビで政権批判をしたところで、そんな「嫌がらせ」程度しかない日本では、メディアやジャーナリストは「萎縮」することなく「報道の自由」を謳歌しているのかというと、そうとも言い難い。日本がコンゴ共和国よりも「報道の自由がない」と評価されるのには、それなりの根拠があるのだ』、「情報番組で政権批判をしていたあるコメンテーターは、ある政府機関に尾行され、若い女性と会ったり買い物をしたりしているところまで撮影されてしまった。その後、政府機関は、彼の行動を写真付きで「レポート」にまとめて、某週刊誌編集部に持ち込んだ。ほどなくして、この週刊誌は「パパ活疑惑」として報道。そのコメンテーターの「権力に立ち向かう正義の人」というイメージは地に堕ちてしまったというわけだ」、ずいぶん脇の甘い「コメンテーター」だ。「日本がコンゴ共和国よりも「報道の自由がない」と評価されるのには、それなりの根拠があるのだ」、どういうことだろう。
・『「記者クラブ」が批判されているのに、スルーする大手メディア 実は、今回のランキングは、単にジャーナリストが殺されたり、逮捕や拘禁されたりという言論弾圧だけを指標化としているわけではなく、「自己検閲」も問題にしている。 つまり、現在の日本は本来、好き勝手に政府の批判ができるような国なのに、メディアやジャーナリストが保身や同調圧力、商業主義や権力への迎合という自己都合で、報道すべきことを報道していないーー。という「言論機関の自殺行為」について、国境なき記者団が、言論弾圧と同じくらい問題視しているのだ。 それがうかがえるのが、今回のランキングにおける「日本」のカントリーシートにある以下の文言だ。 《The system of kisha clubs (reporters’ clubs), which allows only established news organisations to access press conferences and senior officials, pushes reporters toward self-censorship and constitutes blatant discrimination against freelancers and foreign reporters.》 つまり、既存の報道機関のみ、記者会見や政府高官へのアクセスを許可する「The system of kisha clubs(記者クラブのシステム)」こそが、記者に「自己検閲」を促し、フリーランスや外国人記者に対する露骨な差別にもつながる諸悪の根源だと国境なき記者団は批判しているのだ。 という話をすると、マスコミの皆さんは「言論の自由を守る我々が、自己検閲などするわけがないだろ」と不愉快になるだろうが、このランキングのニュースですらゴリゴリに「自己検閲」をしている。「報道しない自由」を行使して、まったく触れていない記者クラブメディアもあれば、日本テレビのように報道しておきながら「記者クラブ」にまったく触れないところもある。 天下の朝日新聞になると、さすがに「黙殺」はしていないが、「記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらの差別につながっているとした」(朝日新聞デジタル、24年5月3日)という感じで、記者クラブに対する「既存の報道機関のみ記者会見や高官へのアクセスを許可する」という指摘をバッサリと割愛している。 「それは新聞なので文字数が」とかなんとか言い訳が聞こえてきそうだが、「非記者クラブメディア」が以下のように、国境なき記者団の指摘を読者にわかりやすく伝えている。これと比べると、「ああ、やっぱり自分たちに都合の悪い話だからね」と思われてもしようがない腰の引け方だ。 《記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している》(ハフィントンポスト日本版、2024年5月4日)』、「記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している・・・「報道しない自由」を行使して、まったく触れていない記者クラブメディアもあれば、日本テレビのように報道しておきながら「記者クラブ」にまったく触れないところもある。 天下の朝日新聞になると、さすがに「黙殺」はしていないが、「記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらの差別につながっているとした」(朝日新聞デジタル、24年5月3日)という感じで、記者クラブに対する「既存の報道機関のみ記者会見や高官へのアクセスを許可する」という指摘をバッサリと割愛している」、なるほど、
・『「記者クラブ」に属するマスコミ人が言葉を濁すワケ では、なぜ権力の監視や、社会正義のために戦うマスコミの皆さんが、「記者クラブ制度」という話題になると、途端に自己検閲をしたり、ムニャムニャと言葉を濁すのか。 それは、後ろめたいからだ。 記者クラブは何十年にわたって、海外のジャーナリストや報道の専門家から、報道の自由を侵害している諸悪の根源だと指摘され続けている。例えば、2016年、日本のマスコミを調査した国連の特別報告者、デビッド・ケイ氏が外国特派員協会で会見を行って、「いわゆる『記者クラブ』制度はアクセスと排除を重んじ、フリーランスやオンラインジャーナリズムに害を与えている」として記者クラブの廃止を訴えた。 世界には山ほど「プレスクラブ」があるにも関わらず、なぜ日本の「The system of kisha clubs」だけが叩かれるのか。というのも、誰でも加盟できるプレスクラブと違って、閉鎖的なムラ社会がゆえ「アクセスジャーナリズム」(記者が権力側に気に入られることで情報を得る取材手法)の温床になってしまうからだ。 数年前、財務官僚がテレビ朝日の女性記者を夜な夜な呼び出してセクハラをしていたことが大きな問題になった。なぜ権力の監視をするはずのジャーナリストが、権力に食い物にされるのかと不思議に思うだろうが、これも記者クラブの弊害だ。 クラブの記者は所属する会社の代表として、「ムラ社会の権力者」(情報を握る政府高官)から、特ダネをいただくため気に入ってもらうことがミッションだ。だから逆らえないのだ。そして何よりも、フリージャーナリストや外国人記者など「よそ者」がいないので、この手の「権力者との癒着」が上司から部下、先輩から後輩という感じで綿々と受け継がれてしまうのだ』、「世界には山ほど「プレスクラブ」があるにも関わらず、なぜ日本の「The system of kisha clubs」だけが叩かれるのか。というのも、誰でも加盟できるプレスクラブと違って、閉鎖的なムラ社会がゆえ「アクセスジャーナリズム」・・・の温床になってしまうからだ・・・クラブの記者は所属する会社の代表として、「ムラ社会の権力者」(情報を握る政府高官)から、特ダネをいただくため気に入ってもらうことがミッションだ。だから逆らえないのだ。そして何よりも、フリージャーナリストや外国人記者など「よそ者」がいないので、この手の「権力者との癒着」が上司から部下、先輩から後輩という感じで綿々と受け継がれてしまうのだ」、なるほど。
・『民主党政権時代はなぜ「報道の自由がある」と評価された? このような「The system of kisha clubsこそが諸悪の根源」という視点を持つと、「好き勝手に政府を叩ける国」が、なぜジャーナリストが殺害・逮捕されるような国よりも「報道の自由がない」などと評価されてしまうのか、という謎の答えが見えてくる。 例えば、今回は「70位」が注目されているが、日本への評価は、この10年ほど、ずっとこんなものだ。15年は61位で、16年にはなんと過去最低の72位まで転落。そこから18年〜21年は多少持ち直して、66〜67位あたりをキープしたが22年は再び71位まで下げ、23年に68位になったがやっぱり落ち込んで今年は70位になったという流れだ。 では、その前にはどうだったのかというと、民主党政権の2010年に11位、12年に22位イギリスやアメリカを上回るほどだった。しかし、自民党が2012年12月に政権奪回した直後の13年に53位へと急落している。 では、なんで民主党政権の時だけ「報道の自由がある」と評価されたのか。これは別に民主党がメディアに特段優しかったわけでもないし、その後の自民党政権が急に言論弾圧を始めたわけでもない。 この時期だけ閉鎖的な記者クラブに「開放」という動きがあったからだ。当時、主要新聞社の労働組合が加盟している「新聞労連」が2010年3月4日、「記者会見の全面開放宣言~記者クラブ改革へ踏み出そう~」という声明を引用させていただこう。 ====================== 記者会見については、昨年9月の民主、社民、国民新の3党による連立政権の発足後、外務省や総務省などの省庁で「大臣会見のオープン化」が広がっています。本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。 (中略) まず、記者クラブに所属していない取材者にとってニーズが強く、記者クラブ側にとっても取り組みやすいと思われる記者会見の全面開放をただちに進めることから始めましょう。 ==================== この「記者クラブ全面開放」は、民主党政権崩壊とともに幻で終わった。だから12年に22位だったのが、13年に自民党が政権奪還すると急に53位に転落したのである』、「民主党政権の2010年に11位、12年に22位イギリスやアメリカを上回るほどだった。しかし、自民党が2012年12月に政権奪回した直後の13年に53位へと急落している・・・民主、社民、国民新の3党による連立政権の発足後、外務省や総務省などの省庁で「大臣会見のオープン化」が広がっています。本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。 (中略) まず、記者クラブに所属していない取材者にとってニーズが強く、記者クラブ側にとっても取り組みやすいと思われる記者会見の全面開放をただちに進めることから始めましょう・・・「「記者クラブ全面開放」は、民主党政権崩壊とともに幻で終わった。だから12年に22位だったのが、13年に自民党が政権奪還すると急に53位に転落したのである」、なるほど。
・『記者クラブでは、「無知」でも優秀な記者になれる 自民党政権でアクセスジャーナリズムが深刻になったことがうかがえるエピソードがある。安倍元首相の番記者を長く務めてスクープも連発した某ジャーナリストの方が、報道番組に出演して旧統一教会との関係を知っていたのかと問われて、こう答えた。 「いや残念ながら記者時代、私はまったく把握していなかったんですね」 これは、世界のジャーナリズムの常識からしても「異常」と言わざるを得ない。 週刊誌の世界では、安倍元首相と教団の関係は第一次安倍政権時代から記事になっている。岸信介と国際勝共連合との「共闘関係」は、タブーでもなんでもなく「史実」なので、ちょっと政治を取材した経験のあるジャーナリストならば誰でも知っている常識だ。ネットでも山ほど情報があふれていて、安倍元首相を殺害した山上徹也被告もそれを見て犯行を決意したと言われている。 そんな「常識」を安倍元首相に24時間張り付いていたはずの番記者は知らなかった。 いや、知識不足を批判しているのではなく、ここで大切なのは「知らなくても務まる」ということだ。先ほどから申し上げているように、「記者クラブ制度」が引き起こすアクセスジャーナリズムというのは、わかりやすくいえば、「権力者に気にいってもらってネタをもらう」ということだ。 つまり、この方がスクープを連発したのは、安倍元首相に気に入ってもらってネタをもらえたからだ。気に入ってもらうのに、「旧統一教会との関係」なんて安倍元首相の嫌がる話は知らなくていい。これが、「優秀なマスコミ記者の流儀」なのだ。 「The system of kisha clubs」が存続する限り、日本の権力癒着型取材は変わらないだろう。 テレビや新聞というオールドメディアは、高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく。あと数年もすれば、日本の順位もいよいよ80位台に突入していくのではないか』、「「記者クラブ制度」が引き起こすアクセスジャーナリズムというのは、わかりやすくいえば、「権力者に気にいってもらってネタをもらう」ということだ。 つまり、この方がスクープを連発したのは、安倍元首相に気に入ってもらってネタをもらえたからだ。気に入ってもらうのに、「旧統一教会との関係」なんて安倍元首相の嫌がる話は知らなくていい。これが、「優秀なマスコミ記者の流儀」なのだ・・・テレビや新聞というオールドメディアは、高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく。あと数年もすれば、日本の順位もいよいよ80位台に突入していくのではないか」、「高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく」、というのはやむを得ないにしても、困ったことだ。ただ、マスコミとしては、本来の批判精神を活かして権力に対峙していくことで、人気を獲得していく道もあるのではなかろうか。
タグ:「イスラエル国防軍によって、100人以上のパレスチナ人記者が殺害されており、そのうち少なくとも22人は業務中に殺害された」、戦争ではジャーナリストの犠牲が避けられないとはいえ、犠牲者数の多さには驚かされる。 ハフポスト日本版編集部「報道の自由度ランキング、日本は70位に後退。G7で最下位、ウクライナや韓国を下回る。その要因は?」 (その4)(報道の自由度ランキング 日本は70位に後退 G7で最下位 ウクライナや韓国を下回る その要因は?、日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは) 報道の自由度 「日本」の「70位」は、「戦争中のウクライナ(61位)や近隣の韓国(62位)を下回る結果だ」、「伝統的な利害関係やビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女間の不平等が、ジャーナリストが監視者としての役割を完全に果たすことをしばしば妨げている」、「政府が新型コロナウイルス対策を理由に、記者会見に招待するジャーナリストの数を削減したことなども指摘」、「記者クラブ制度の問題点も指摘。 「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン 窪田順生氏による「日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ以下!マスコミを萎縮させる諸悪の根源とは」 「情報番組で政権批判をしていたあるコメンテーターは、ある政府機関に尾行され、若い女性と会ったり買い物をしたりしているところまで撮影されてしまった。その後、政府機関は、彼の行動を写真付きで「レポート」にまとめて、某週刊誌編集部に持ち込んだ。ほどなくして、この週刊誌は「パパ活疑惑」として報道。そのコメンテーターの「権力に立ち向かう正義の人」というイメージは地に堕ちてしまったというわけだ」、ずいぶん脇の甘い「コメンテーター」だ。「日本がコンゴ共和国よりも「報道の自由がない」と評価されるのには、それなりの根拠があ るのだ」、どういうことだろう。 「記者クラブ制度の問題点も指摘。「既存の報道機関のみに記者会見や高官へのアクセスを許可しており、記者に自己検閲を促している。フリーランスや外国人記者に対するあからさまな差別に当たる」と批判している・・・「報道しない自由」を行使して、まったく触れていない記者クラブメディアもあれば、日本テレビのように報道しておきながら「記者クラブ」にまったく触れないところもある。 天下の朝日新聞になると、さすがに「黙殺」はしていないが、「記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらの差別につながっているとした」(朝日新聞デジタル、24年5月3日)という感じで、記者クラブに対する「既存の報道機関のみ記者会見や高官へのアクセスを許可する」という指摘をバッサリと割愛している」、なるほど、 「世界には山ほど「プレスクラブ」があるにも関わらず、なぜ日本の「The system of kisha clubs」だけが叩かれるのか。というのも、誰でも加盟できるプレスクラブと違って、閉鎖的なムラ社会がゆえ「アクセスジャーナリズム」・・・の温床になってしまうからだ・・・クラブの記者は所属する会社の代表として、「ムラ社会の権力者」(情報を握る政府高官)から、特ダネをいただくため気に入ってもらうことがミッションだ。だから逆らえないのだ。そして何よりも、フリージャーナリストや外国人記者など「よそ者」がいないの で、この手の「権力者との癒着」が上司から部下、先輩から後輩という感じで綿々と受け継がれてしまうのだ」、なるほど。 「民主党政権の2010年に11位、12年に22位イギリスやアメリカを上回るほどだった。しかし、自民党が2012年12月に政権奪回した直後の13年に53位へと急落している・・・民主、社民、国民新の3党による連立政権の発足後、外務省や総務省などの省庁で「大臣会見のオープン化」が広がっています。本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。 (中略) まず、記者クラブに所属していない取材者にとってニーズが強く、記者クラブ側にとっても取り組みやすいと思われる記者会見の全面開放をただちに進めることから始めましょう・・・「「記者クラブ全面開放」は、民主党政権崩壊とともに幻で終わった。だから12年に22位だったのが、13年に自民党が政権奪還すると急に53位に転落したのである」、なるほど。 「「記者クラブ制度」が引き起こすアクセスジャーナリズムというのは、わかりやすくいえば、「権力者に気にいってもらってネタをもらう」ということだ。 つまり、この方がスクープを連発したのは、安倍元首相に気に入ってもらってネタをもらえたからだ。気に入ってもらうのに、「旧統一教会との関係」なんて安倍元首相の嫌がる話は知らなくていい。これが、「優秀なマスコミ記者の流儀」なのだ・・・テレビや新聞というオールドメディアは、高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく。あと数年もすれば、日本 の順位もいよいよ80位台に突入していくのではないか」、「高齢化でどんどん衰退していくので、生き残るためにより権力との癒着を強めていく」、というのはやむを得ないにしても、困ったことだ。ただ、マスコミとしては、本来の批判精神を活かして権力に対峙していくことで、人気を獲得していく道もあるのではなかろうか。
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