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金融政策(その46)(その時 現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身、日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる、多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?) [経済政策]

金融政策については、本年3月29日に取上げた。今日は、(その46)(その時 現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身、日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる、多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?)である。

先ずは、昨年6月16日付け現代ビジネスが掲載した鷲尾 香一氏による「その時、現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/111599
・『2人の経済学の天才が激突  6月15日から2日間にわたって行われている日銀政策決定会合だが、マーケットは概ね「大規模緩和の継続」を予想している。 筆者もその見通しには同意するが、ちょうどひと月前の5月15日に開かれた政府・経済経済財政諮問会議で、今後の植田和男日本銀行総裁の政策に大きな影響を与えるのではないかと感じるやり取りがあった。 前編『ノーベル経済学賞「有力日本人候補」が日銀・植田総裁に噛みついた!いったい何があったのか…?』でお伝えしたとおり、植田総裁の経済学のライバルで、プリンストン大学の清滝信宏教授が植田総裁の意見に噛みついたのだ。 本稿では、植田総裁と清滝氏の二人の世界的知性がぶつかり合った会議の中身について詳しくお伝えしていこう』、興味深そうだ。
・『ライバルの直言は「緩和はさっさとやめろ」  5月15日の経済財政諮問会議に出席した植田総裁は、物価の見通しについて、「現在は2%を上回っているが、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけて、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していく」とした。 つまり、これまで通り秋口から物価は下がっていくという見通しを示し、対規模緩和を継続した4月の政策決定会合の内容を改めて説明した。 これに対して、経済財政諮問会議に有識者の1人として出席した清滝教授は、植田総裁と真っ向から対立する意見を出したのだ。 清滝教授は、世界経済の現状を「インフレが進行しており、欧米では政策金利の大幅な引上げにもかかわらず、2%を超えるインフレが数年は続くと予想されている」とした上で、日本についても「円安と輸入物価の高騰から、目標値を超えるインフレが続いている」と分析。 その上で、たとえ物価が植田総裁の見通し通りに1〜2%に下がったとしても「インフレ率が1~2%程度に定着すれば、量的・質的緩和は解除すべきである」と指摘した。 植田総裁が量的緩和の解除に慎重なのは、国内で金利が上がりはじめれば日本国債を大量に保有する金融機関に含み損が発生し、アメリカのシリコンバレー銀行のように経営難に陥る地銀が出かねないという懸念もあるからだ。住宅ローンを組む多くの人にも大きなダメージとなりかねない。 低金利に慣れ切った今の日本で金融政策を正常化すると、大きな痛みを伴いかねないのだ。 しかし、グローバル標準の経済学者である清滝教授は発言がたちどころにマーケットに影響する植田総裁と違って、なれ合い的な“日本の空気”など気にする必要などないのだろう。 長期的な視野に立って、最適であろう経済学の知見とセオリーをストレートに述べて「緩和は、さっさと解除しろ」と指摘したのだ』、「長期的な視野に立って、最適であろう経済学の知見とセオリーをストレートに述べて「緩和は、さっさと解除しろ」と指摘」、植田総裁にとっては、耳が痛い話だ。
・『もう「大規模緩和」の効果はない?  ちなみに、清滝教授がノーベル経済学賞に最も近い日本人と言われるゆえんは、1997年に日本のバブル崩壊を説明する「清滝・ムーアモデル」を英経済学者のジョン・ムーア氏と共同で示したことによる。この理論は、リーマンショックでも実証され、金融危機の対応にも貢献したという。 日本のバブル崩壊では、土地や株などの資産価格が暴落した。銀行は不動産などを担保に融資をおこなうが、担保価値が下がることで金融機関の融資もまた停滞する。これが不況を招き、さらに資産価値が下落するという負のスパイラルが不況を長期化させる。 これを精密に分析して解明したのが「清滝・ムーアモデル」で、「失われた20年」とか「失われた30年」と言われる日本の長期停滞を言い当てた。 日本停滞の根本原因を知り尽くす清滝教授だけに、経済財政諮問会議で次のような苦言も呈している。) 「量的・質的金融緩和は持続的成長につながらない」 「1%以下の金利でなければ採算が取れないような投資をいくらしても経済は成長しない」 つまり、量的緩和による低金利は、生産性の低い投資を企業に促し、逆に収益体質を脆弱化している、そのため、むしろ“デフレになりやすくなっている”と言うのである。緩やかなインフレを目指した大規模緩和をこれ以上継続する効果に疑問符を付けたというわけだ。 ライバルの経済学者の直言は、同じく経済学のセオリーを知り尽くす植田総裁の政策にこれからどのように影響するだろうか。 さらに連載記事『業火は日本の金融界にも飛んでくる…!米銀破綻が経営を直撃しかねない「危ないニッポンの銀行」の実名』では、日銀の政策変更も影響しかねない金融機関の実態についてお伝えしていこう』、「量的緩和による低金利は、生産性の低い投資を企業に促し、逆に収益体質を脆弱化している、そのため、むしろ“デフレになりやすくなっている”と言うのである。緩やかなインフレを目指した大規模緩和をこれ以上継続する効果に疑問符を付けたというわけだ」、確かに説得力に富む主張だ。私にはどちらが正しいのか判断することは残念ながら出来ないが、こうした本格的な論戦が始まったことは、日本もようやく欧米の水準に近づいたといえるのかも知れない。

次に、3月20日付け現代ビジネス「日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/107785
・『欧米で急拡大している、金融機関に対する信用不安。このまま連鎖倒産が続けば、やがて2008年のリーマン・ショック級の世界的大不況が訪れると予想する人もいる。はたして、日本経済はこれからどこに向かうのだろうか。 前編記事『リーマン級「大不況」がやってくる…「SVB破綻」でこれから起こりうる「ヤバすぎる事態」』に引き続き、これからの世界経済を予想してみたい』、興味深そうだ。
・『「氷山の一角」なのか  3月8日、SVBが保有する国債の売却損と新たな増資計画を発表すると、同行に対する信用不安が一気に拡大。SVBの動きを危惧した著名投資家やベンチャーキャピタリストたちがツイッターで警告した結果、それがスラックなどプライベートなSNSでどんどん拡散されていった。 そして翌9日、SVBの株価が急落してから10日の破綻までは、まさに「あっという間」だった。かつてのように銀行に押しかけた人も見られたが、今回はオンラインで引き出そうとする預金者が続出。フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)時代ならではのスピード感といえる。 12日には、早くも次なる衝撃が金融界を襲う。暗号資産業界との関係が深い、総資産1100億ドル(約15兆円)のシグネチャー銀行(ニューヨーク州)も預金流出に見舞われ、「連鎖破綻」したのだ。 両行の破綻を受け、金融機関に対する信用不安がさらに広まることを恐れたバイデン大統領の動きは素早く、必死に火消しをはかっている。だが、はたして金融不安は完全に消失したといえるのか。 マーケットにとっていちばんよくないのは、何が起こっているのかわからないことだ。最悪のケースが脳裏に浮かび、機関投資家の売り浴びせのネタになってしまいかねない。そう、かつてのリーマン・ショックの時のように―。 中国の交通銀行香港法人元社長の洪灝氏が「SVBの事件は投資家と消費者の信頼を確実に低下させた。SVBは少数派なのか、それとも氷山の一角なのか」などとコラムに記すなど、疑心暗鬼が渦巻く中、シリコンバレーの投資家の一人は、不安な胸中をこう明かす。 「これから何週間か、何ヵ月かの間に、ベンチャーキャピタルやテック企業、スタートアップ関連の銀行が破綻する可能性があるのではないかと危惧しています」』、「SVBが保有する国債の売却損と新たな増資計画を発表すると、同行に対する信用不安が一気に拡大。SVBの動きを危惧した著名投資家やベンチャーキャピタリストたちがツイッターで警告した結果、それがスラックなどプライベートなSNSでどんどん拡散されていった。 そして翌9日、SVBの株価が急落してから10日の破綻までは、まさに「あっという間」だった・・・フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)時代ならではのスピード感」、なるほど。
・『また「リーマン・ショック」が起こる  さらなる連鎖が杞憂で済めばいいのだが、じつは今後、銀行破綻が波及すると指摘する人物は、冒頭のドレクスラー氏以外にもいる。世界三大投資家として知られるジム・ロジャーズ氏がその一人だ。 「2008年のリーマン・ショック以降、14年もの間、アメリカではリセッション(景気後退)が起こってきませんでした。 しかし、いまのアメリカのようにインフレ抑制のために金利を上げれば、ベアマーケット(下落相場)を誘発し、財務的に脆弱な銀行が破綻するのは、これまでもあったこと。バイデン大統領は今回銀行を救済しましたが、それがうまくいくとは思えません。 著書『捨てられる日本』の中で、『私の人生で最大の下落相場が5年以内に到来する』と断言していますが、破綻が他の銀行にも及べば、リーマン・ショックの時のような世界的な金融危機が早晩、起きると見ています」 そうなると、いよいよ日本も、「対岸の火事」と見過ごすことはできなくなる』、「『私の人生で最大の下落相場が5年以内に到来する』と断言していますが、破綻が他の銀行にも及べば、リーマン・ショックの時のような世界的な金融危機が早晩、起きると見ています」 そうなると、いよいよ日本も、「対岸の火事」と見過ごすことはできなくなる」、なるほど。
・『世界的大不況の可能性も  ここで、「利上げによる米国債の価格下落で結果的に破綻する銀行が出たことにショックを受けた」と語るのは、金融アナリストでマリブジャパン代表の高橋克英氏だ。気がかりだと同氏がまず指摘するのは、ほかでもない、「米国債の今後の動向」だという。 「今回は2行が問題になりましたが、保有比率はともかく、アメリカの利上げ以降、世界中の金融機関で米国債が評価損の状態にあるといえます。 SVBと同様、米国債を保有する金融機関が含み損を処理しようと一斉に売りに転じれば、歯止めが利かなくなる恐れがあります」 下落が下落を呼べば、金融機関が持つ米国債の含み損がさらに拡大するのは必然。やがて信用不安を招くと資金調達も困難となり、破綻の連鎖から一気に世界的大不況へと発展しかねない。 当然、日本市場も大きな影響を免れない。結果的にアメリカ発の銀行破綻ラッシュが日本に襲いかかってくることも決してありえない話ではないのだ』、「保有比率はともかく、アメリカの利上げ以降、世界中の金融機関で米国債が評価損の状態にあるといえます。 SVBと同様、米国債を保有する金融機関が含み損を処理しようと一斉に売りに転じれば、歯止めが利かなくなる恐れがあります」 下落が下落を呼べば、金融機関が持つ米国債の含み損がさらに拡大するのは必然。やがて信用不安を招くと資金調達も困難となり、破綻の連鎖から一気に世界的大不況へと発展しかねない」、こうしたリスクがこれまでのところ顕在化してないのはラッキーだ。
・『地銀や日銀にも影響か  「アメリカとまったく同じことが起こりえる」 こういって日本の地方銀行に注目するのは、経済評論家で百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏だ。日本は日銀による異次元緩和政策でずっと金利が低く抑えられてきた。そうした状況下で預金の貸し出し先がない日本の銀行は、国債を買い続けてきた。 「その中でも特に購入額が多いのが、地銀なのです。中には保有する全有価証券のうち、国債が占める割合が4割近くに達する地銀もあります。 今後、もし日銀が長年続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、今回破綻したアメリカの銀行と同じように、地銀も大きな含み損を抱えることになる。 そして信用不安を引き起こし、『このまま預けておいたらまずいんじゃないか』と思った人たちが預金を引き出したら、立ち行かなくなる地銀が出てくるでしょう。 こうした構造的な類似性が今回明らかになったといえるのです」 同じことは、560兆円の国債を保有する日銀にもいえる。日本の行方には「進むも地獄退くも地獄」の厳しい事態が待ち受けていると、経済評論家の加谷珪一氏は見ている。 「インフレをコントロールしようと利上げをすると、日銀の含み損が拡大し、バランスシートが棄損します。すると今度は日本円が機関投資家の売り仕掛けに遭い、円安が進んでインフレが加速する。住宅ローン金利も上がって破産者も増えるでしょう。 もちろん国債を発行する政府の利払いも増えるので、財源の手当てが必要になります。金利が1%上がれば1000兆円ある国債発行残高に対して、金利の支払いだけで10兆円になってしまいます。 そうなれば増税でまかなうしかありませんが、消費税5%分に相当する巨額をどうやって工面するというのか。考えただけでも絶望的です」』、「今後、もし日銀が長年続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、今回破綻したアメリカの銀行と同じように、地銀も大きな含み損を抱えることになる。 そして信用不安を引き起こし、『このまま預けておいたらまずいんじゃないか』と思った人たちが預金を引き出したら、立ち行かなくなる地銀が出てくるでしょう。 こうした構造的な類似性が今回明らかになったといえるのです」 同じことは、560兆円の国債を保有する日銀にもいえる。日本の行方には「進むも地獄退くも地獄」の厳しい事態が待ち受けていると、経済評論家の加谷珪一氏は見ている。 「インフレをコントロールしようと利上げをすると、日銀の含み損が拡大し、バランスシートが棄損します。すると今度は日本円が機関投資家の売り仕掛けに遭い、円安が進んでインフレが加速する。住宅ローン金利も上がって破産者も増えるでしょう。 もちろん国債を発行する政府の利払いも増えるので、財源の手当てが必要になります。金利が1%上がれば1000兆円ある国債発行残高に対して、金利の支払いだけで10兆円になってしまいます。 そうなれば増税でまかなうしかありませんが、消費税5%分に相当する巨額をどうやって工面するというのか。考えただけでも絶望的です」」、もともとの異次元緩和政策が抱えていた問題点が露呈することになる。
・『待ち受ける恐怖の悪循環  だからといってインフレを放置すれば、物価高はますます加速する一方、預貯金の価値はどんどん目減りしていく。 つまり、いずれにしても利上げをしなければならない「恐怖の悪循環」に陥ってしまうのだ。 では、それを免れるにはどうすればいいか。おそらくいま、どの金融機関も利上げによる悪影響を必死で調査しているはずだ。加谷氏は「4月に入ってからも、しばらくは不安が市場を駆け巡り、株価が乱高下する展開が続く」と見ている。 そこで「いま大切なのは、できるだけ負債を持たないこと」と前出のジム・ロジャーズ氏はアドバイスを送る。 「今後は負債を持つ人ほど苦しむことになるでしょう。金や銀に投資する人がいるかもしれませんが、現在は高値に止まっていますので、私は購入していません」 金融機関に対する信用不安は、その幻想が崩れた瞬間、突然やってくる。 いま多くの人々は「まさか日銀が潰れることはない」と信じているが、日銀だけが例外ということはありえない。 「シリコンバレーで起きている銀行破綻ラッシュは、『安易に出口に向かってはいけない』ということを示唆しているのです」(前出・鈴木氏) 次期日銀総裁の植田和男氏はその就任直後から、一瞬の判断ミスも許されない緊急事態に直面することになる。金融緩和路線を維持するのか、修正するのか。舵取りの困難さはこれまで以上に大きくなったといえる。 「週刊現代」2023年3月25日号より さらに関連記事『リーマン級「大不況」がやってくる…「SVB破綻」でこれから起こりうる「ヤバすぎる事態」』では、すべての発端となったSVBの破綻の背景を詳細に解説する』、「金融機関に対する信用不安は、その幻想が崩れた瞬間、突然やってくる。 いま多くの人々は「まさか日銀が潰れることはない」と信じているが、日銀だけが例外ということはありえない」、強く同意する。

第三に、4月3日付け現代ビジネスが掲載した経済評論家の加谷 珪一氏による「多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126867?imp=0
・『日銀が政策転換を実施したにもかかわらず、外国為替市場では円安が進んでいる。首をかしげている人も多いようだが、市場原理を知る人にとっては不思議なことではない。大規模緩和策からの撤退が始まったことで、際限のない円安リスクは回避できたが、大きな方向性としては依然として円安傾向が続く』、興味深そうだ。
・『「為替は金利差で動く」は、100%正確ではない  日銀は3月19日に開催された金融政策決定会合においてマイナス金利の解除を決定した。これは長く続いた大規模緩和策からの撤退を意味しており、秋にはゼロ金利の解除が行われ、いよいよ短期金利が上昇に向けて動き出すことになる。 日本円は過去2年間で、1ドル=100円から150円と暴落に近い状況まで下落した。この急ピッチな円安について多くの専門家は日米の金融政策に起因する金利差が原因であると説明してきた。為替の理論は簡単ではないので、筆者もテレビに呼ばれたり、一般紙からコメントを求められた時には「金利差が原因」と説明したこともある。 だが金利差で為替が動くという説明は、半分は当たっているのだが、100%正確とは言い難い。 もし為替市場が金利差で動くのであれば、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は利下げに向けて動き始めており、一方の日銀は利上げ開始するタイミングなので、円高に振れるとの予想になる。実際、多くの専門家がゼロ金利解除後は急激な円高になると説明していた。
 だが現実は正反対であり、むしろ円安が進んでいるが、筆者らにとってこれは予想された事態であり、特段、大きな驚きはない。その理由は、厳密にいうと金利差というのは、為替を動かす要因ではなく、その裏にある本質的要因を間接的に示しているにすぎないからである』、「厳密にいうと金利差というのは、為替を動かす要因ではなく、その裏にある本質的要因を間接的に示しているにすぎないからである」、どういうことなのだろう。
・『「物価見通しの差」で決まる  最終的に為替市場の動向を決めるのは、金利ではなく将来の物価見通しである。 これは経済学の分野では購買力平価という形で理論化されているが、多くの専門家がこの理論を消化できておらず、結果として為替市場の動向を見誤っている。それはどういうことだろうか。 購買力平価の理論では、二国間の為替は両国の物価見通しの差で決まるとされる。片方の国の物価が上がった場合、一物一価の原則を成り立たせるには、物価上昇分だけ当該国の通貨は減価する必要に迫られる。 これが購買力平価による理論的な為替レートである。現時点における購買力平価の為替レートは、市場の実勢レートより円高となっており、多くの論者がこれを根拠に、現在の円安は単なる投機であり、やがて円高に振れると説明している。 だが、こうした理屈で円高を主張している人が見落としている点がある。それは、購買力平価という理論は物価と為替の関係性を示したものに過ぎず、理論値が先にあり、その後で現実の為替レートがそこに収束するとは限らないという点である。 物理学の法則でもよくあることなのだが、複数主体の関係性のみを示したモデルというのは少なくない。自然科学を学んだ人であれば、これはごく当たり前のことだが、いわゆる文系的な世界にこうしたモデルが持ち込まれると、時に想定されていない「文学的解釈」が登場することがある』、「購買力平価の理論では、二国間の為替は両国の物価見通しの差で決まるとされる。片方の国の物価が上がった場合、一物一価の原則を成り立たせるには、物価上昇分だけ当該国の通貨は減価する必要に迫られる。 これが購買力平価による理論的な為替レートである。現時点における購買力平価の為替レートは、市場の実勢レートより円高となっており、多くの論者がこれを根拠に、現在の円安は単なる投機であり、やがて円高に振れると説明している。 だが、こうした理屈で円高を主張している人が見落としている点がある。それは、購買力平価という理論は物価と為替の関係性を示したものに過ぎず、理論値が先にあり、その後で現実の為替レートがそこに収束するとは限らないという点である」、なるほど。
・『なぜ日本の物価は「まだ上がる」予想なのか  このケースで言えば、先に購買力平価の理論値があり、市場のレートはそこに向かって動くとの解釈がそれにあたる。将来のことは誰にも分からないので、筆者の予想が合っているのかもわからない。だが、少なくとも購買力平価の理論では、先に理論値が決まり、そこに市場レートが収束するとは説明していない。 もし先に市場レートが円安に振れ、結果的に輸入物価の上昇を通じて全体の物価が上がった場合、先に市場レートが下がり、理論値がそれに追いつくというシナリオが十分にあり得る。理論が持つこうした中立的な解釈を無視して、無意識的に先に理論値があると考えるのは、自然科学の世界ではご法度である。 上記で説明した通り、先に市場レートが決まり、それによって物価が上昇し理論値が修正されるのだとすると、今回、発生している円安の理由はハッキリしている。市場は国内物価がさらに上がると予想しており、そのシナリオに向けて市場が先に動いているからである。 では、市場はなぜ日本の物価がさらに上がると予想しているのだろうか。 それは政策転換を表明したとはいえ、日銀は当分の間、緩和的な政策を続けざるを得ず、市場には今後も大量のマネーが供給される可能性が高いからである。日銀は600兆円もの国債を抱えており、日本の経済圏にはGDP(国内総生産)を上回る規模の余剰マネーがバラ撒かれた状態にある。これは明らかに将来のインフレ要因であり、市場は日銀が緩和策から完全撤退しない限り、インフレ圧力は弱まらないと見ている』、「今回、発生している円安の理由はハッキリしている。市場は国内物価がさらに上がると予想しており、そのシナリオに向けて市場が先に動いているからである。 では、市場はなぜ日本の物価がさらに上がると予想しているのだろうか。 それは政策転換を表明したとはいえ、日銀は当分の間、緩和的な政策を続けざるを得ず、市場には今後も大量のマネーが供給される可能性が高いからである。日銀は600兆円もの国債を抱えており、日本の経済圏にはGDP(国内総生産)を上回る規模の余剰マネーがバラ撒かれた状態にある。これは明らかに将来のインフレ要因であり、市場は日銀が緩和策から完全撤退しない限り、インフレ圧力は弱まらないと見ている」、その通りだ。
・『円高になるのはどんなケースか  結果として、日銀が政策転換を表明したとしても、事実上の緩和策は続くとの解釈になり、引き続き円安が継続するというシナリオが成立する。 もう少しわかりやすくいえば、以下のようになるだろう。 今回の政策転換によって、際限のない円安や物価上昇は回避できたかもしれない。だが、日銀は緩和的姿勢を継続せざるを得ず、正常化を進めている米国との方向性の違いは解消されないため、緩やかな円安傾向が続くことになる。 もしこの流れが大きく変化し、円高に振れることがあるとすれば、米国のリセッション懸念が高まり、予想以上のペースで利下げに踏み切る時だろう。だが今のところ米国のインフレ圧力は弱まっておらず、利下げのペースも緩やかなままとなる可能性が高い。 あくまで二国間の比較問題としては、日本の方が圧倒的に緩和的であり、円安に振れやすい。市場はこのあたりを察知しており、それが今の為替レートを成り立たせていると考えるべきだ』、「あくまで二国間の比較問題としては、日本の方が圧倒的に緩和的であり、円安に振れやすい。市場はこのあたりを察知しており、それが今の為替レートを成り立たせていると考えるべきだ」、同感である。

なお、明日の更新は休む予定で、明後日にご期待を!
タグ:(その46)(その時 現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身、日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる、多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?) 金融政策 「SVBが保有する国債の売却損と新たな増資計画を発表すると、同行に対する信用不安が一気に拡大。SVBの動きを危惧した著名投資家やベンチャーキャピタリストたちがツイッターで警告した結果、それがスラックなどプライベートなSNSでどんどん拡散されていった。 そして翌9日、SVBの株価が急落してから10日の破綻までは、まさに「あっという間」だった・・・フィンテック(ファイナンス・テクノロジー)時代ならではのスピード感」、なるほど。 現代ビジネス「日本の地銀が「大崩壊」の末路…米・銀行の「連鎖倒産」でリーマン級「大不況」がやってくる」 「量的緩和による低金利は、生産性の低い投資を企業に促し、逆に収益体質を脆弱化している、そのため、むしろ“デフレになりやすくなっている”と言うのである。緩やかなインフレを目指した大規模緩和をこれ以上継続する効果に疑問符を付けたというわけだ」、確かに説得力に富む主張だ。私にはどちらが正しいのか判断することは残念ながら出来ないが、こうした本格的な論戦が始まったことは、日本もようやく欧米の水準に近づいたといえるのかも知れない。 「長期的な視野に立って、最適であろう経済学の知見とセオリーをストレートに述べて「緩和は、さっさと解除しろ」と指摘」、植田総裁にとっては、耳が痛い話だ。 植田総裁と清滝氏の二人の世界的知性がぶつかり合った会議の中身 鷲尾 香一氏による「その時、現場は凍り付いた…!植田日銀総裁に「経済学の大天才」が噛みついた!その「空気よまない直言」のヤバすぎる中身」 現代ビジネス 「『私の人生で最大の下落相場が5年以内に到来する』と断言していますが、破綻が他の銀行にも及べば、リーマン・ショックの時のような世界的な金融危機が早晩、起きると見ています」 そうなると、いよいよ日本も、「対岸の火事」と見過ごすことはできなくなる」、なるほど。 「保有比率はともかく、アメリカの利上げ以降、世界中の金融機関で米国債が評価損の状態にあるといえます。 SVBと同様、米国債を保有する金融機関が含み損を処理しようと一斉に売りに転じれば、歯止めが利かなくなる恐れがあります」 下落が下落を呼べば、金融機関が持つ米国債の含み損がさらに拡大するのは必然。やがて信用不安を招くと資金調達も困難となり、破綻の連鎖から一気に世界的大不況へと発展しかねない」、こうしたリスクがこれまでのところ顕在化してないのはラッキーだ。 「今後、もし日銀が長年続けてきたゼロ金利政策の出口戦略として金利を断続的に上げ始めたら、今回破綻したアメリカの銀行と同じように、地銀も大きな含み損を抱えることになる。 そして信用不安を引き起こし、『このまま預けておいたらまずいんじゃないか』と思った人たちが預金を引き出したら、立ち行かなくなる地銀が出てくるでしょう。 こうした構造的な類似性が今回明らかになったといえるのです」 同じことは、560兆円の国債を保有する日銀にもいえる。日本の行方には「進むも地獄退くも地獄」の厳しい事態が待ち受けていると、経済評論 家の加谷珪一氏は見ている。 「インフレをコントロールしようと利上げをすると、日銀の含み損が拡大し、バランスシートが棄損します。すると今度は日本円が機関投資家の売り仕掛けに遭い、円安が進んでインフレが加速する。住宅ローン金利も上がって破産者も増えるでしょう。 もちろん国債を発行する政府の利払いも増えるので、財源の手当てが必要になります。金利が1%上がれば1000兆円ある国債発行残高に対して、金利の支払いだけで10兆円になってしまいます。 そうなれば増税でまかなうしかありませんが、消費税5%分に相当する巨額をどうやって工面するというのか。考えただけでも絶望的です」」、もともとの異次元緩和政策が抱えていた問題点が露呈することになる。 「金融機関に対する信用不安は、その幻想が崩れた瞬間、突然やってくる。 いま多くの人々は「まさか日銀が潰れることはない」と信じているが、日銀だけが例外ということはありえない」、強く同意する。 加谷 珪一氏による「多くの人が意外と知らない「マイナス金利解除」でも円安が止まらない「根本的な理由」 「為替は金融差で動く」は本当か?」 「厳密にいうと金利差というのは、為替を動かす要因ではなく、その裏にある本質的要因を間接的に示しているにすぎないからである」、どういうことなのだろう。 「購買力平価の理論では、二国間の為替は両国の物価見通しの差で決まるとされる。片方の国の物価が上がった場合、一物一価の原則を成り立たせるには、物価上昇分だけ当該国の通貨は減価する必要に迫られる。 これが購買力平価による理論的な為替レートである。現時点における購買力平価の為替レートは、市場の実勢レートより円高となっており、多くの論者がこれを根拠に、現在の円安は単なる投機であり、やがて円高に振れると説明している。 だが、こうした理屈で円高を主張している人が見落としている点がある。それは、購買力平価という理論は物価と為替の関係性を示したものに過ぎず、理論値が先にあり、その後で現実の為替レートがそこに収束するとは限らないという点である」、なるほど。 「今回、発生している円安の理由はハッキリしている。市場は国内物価がさらに上がると予想しており、そのシナリオに向けて市場が先に動いているからである。 では、市場はなぜ日本の物価がさらに上がると予想しているのだろうか。 それは政策転換を表明したとはいえ、日銀は当分の間、緩和的な政策を続けざるを得ず、市場には今後も大量のマネーが供給される可能性が高いからである。 日銀は600兆円もの国債を抱えており、日本の経済圏にはGDP(国内総生産)を上回る規模の余剰マネーがバラ撒かれた状態にある。これは明らかに将来のインフレ要因であり、市場は日銀が緩和策から完全撤退しない限り、インフレ圧力は弱まらないと見ている」、その通りだ。 「あくまで二国間の比較問題としては、日本の方が圧倒的に緩和的であり、円安に振れやすい。市場はこのあたりを察知しており、それが今の為替レートを成り立たせていると考えるべきだ」、同感である。
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