日産・三菱自・ルノー問題(その4)(「あなた評判悪いよ」発言も噴出…日産・内田社長の“塩対応”に不信感募った株主総会、日産「ルノー支配が終焉」でも不安が拭えない理由、不可解人事に業績面でも…、ルノー 日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇、日産「99%減益」の真因 アメリカ事業に2つの課題 インセンティブ濫発とHV不在のダブルパンチ) [企業経営]
日産・三菱自・ルノー問題については、2020年9月25日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その4)(「あなた評判悪いよ」発言も噴出…日産・内田社長の“塩対応”に不信感募った株主総会、日産「ルノー支配が終焉」でも不安が拭えない理由、不可解人事に業績面でも…、ルノー 日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇、日産「99%減益」の真因 アメリカ事業に2つの課題 インセンティブ濫発とHV不在のダブルパンチ)である。
先ずは、昨年7月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「「あなた評判悪いよ」発言も噴出…日産・内田社長の“塩対応”に不信感募った株主総会」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325522
・『注目を集めていた日産の株主総会が開催 日産自動車の第124回定時株主総会が、神奈川県・横浜の日産グローバル本社で6月27日に開催された。 今回の株主総会はとりわけ注目を集めていた。最高執行責任者(COO)として日産再生を推進してきたナンバー2のアシュワニ・グプタ氏が突然、取締役と代表執行役を株主総会で退任すると発表されていたことや、6月20日には日産元会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで日産などを相手取り、名誉を傷つけられたとして10億ドル(約1400億円)の損害賠償を提訴するなどしていたからだ。 また、今回の株主総会は、日産にとって積年の課題であった資本提携先の仏ルノーとの資本関係見直し議論が2月に「対等出資」で合意したものの、最終契約が遅れているといった不透明なガバナンスに対する経営側の説明も注目されていた。 筆者は、ここ10年ほど日産の一般株主として株主総会に出席し、その全てを見届けているが、今回はルノーとの新提携の行方に大きな関心を寄せていた。 この合意内容は、ルノーが保有する43%の日産株を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資(代わりに日産がルノーのEV分社のアンペアに最大15%出資検討)するというもの。つまり、1999年に日産を救済する形でルノーと資本提携して以来、24年もの間続いていたルノーと日産の「親子資本関係」が対等の立場になり、「新生日産」対する期待が高まっていたのだ。 だが、残念ながら今株主総会の内容は、筆者を含め一般株主の期待を裏切るような対応をする経営側への不信と、内田体制へ一抹の不安を感じるようなもので終始してしまった。) まずは、グプタCOOが今株主総会をもって退任・退社することが決まったが、内田議長はこの件に関する質問に対し「Nissan NEXTの事業構造改革に貢献してくれたグプタ氏は次のステップに向かう」との発言にとどめた。質問者の「グプタ氏に、この4年間を振り返って話してもらいたい」という問いかけにも無視するかのように、グプタ氏から一切の発言はなかった(発言させなかった)。 そもそも、現在53歳のグプタ氏は、インド人でホンダ現地法人に採用されて頭角を現しその後ルノーに転じた人物であり、日本語も堪能で「切れ者」と知られてきた。 2019年6月に日産と三菱自動車工業が資本提携した際、COOとして三菱自工に送り込まれたが、19年12月に日産の西川廣人前社長が辞任し内田体制がスタートしたタイミングで日産COOに呼び戻された。そして、これまで内田社長の右腕として事業構造改革の旗を振ってきた逸材だ。 5月11日の23年3月期連結決算発表では、内田社長と並んでグプタCOOもいつものように発言していたが、翌12日に突然日産は、6月27日の定時株主総会でグプタ氏が任期満了で取締役を退任すると発表したのだ。 さらに6月16日にはグプタCOOが27日付で退社すると発表するとともに、グプタCOOの取締役退任を巡る内部告発など、自社ガバナンスに関連する報道や情報管理について第三者機関による調査を進めていることも明らかにした。どうも日産経営陣に内紛があったようだ。) また今回、取締役全員(12人)任期満了につき10人を選任する第2号議案が示されたが、グプタCOOとともに退任したのが豊田正和社外取締役だ。 豊田氏は、経済産業省出身で通商政策のベテランだ。経産省では最終的にナンバー2の経産審議官を務めて、日産には18年から社外取締役に就任している。指名委員会委員長で筆頭社外取締役の重職にあった人物だ。 ルノーが仏政府の意向が反映される会社であるのに対して、日産が日本政府・経産省をバックにした政治レベルでの交渉ができる会社であることは、豊田社外取締役の存在とそのキャリアから推して知るべしだ。 だが、今年2月の資本関係見直しでは、EV特許など知的財産の扱いなどに異を唱えて反対した取締役がいたことで、合意までにかなりの日時を要した。「全会一致なき合意」ともやゆされたほどである。今回の株主総会での取締役選任は、こうした紆余(うよ)曲折があり、従来の12人から10人に減員する形で決着を見たのだ。 そして株主総会後の取締役会で新経営体制を発表し、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の下に当面、COOは置かないものとし、取締役会議長の木村康氏、副議長のジャンドミニク・スナール氏(ルノー会長)は続投することを決めた。豊田氏の後任の指名委員会委員長にはアンドリュー・ハウス氏が、筆頭社外取締役にはベルナール・デルマス氏が就いた。 新体制でルノー寄りになるのか、日産の経営自由度を強めるのか、まだ予断は許されないと、筆者は受けとめている』、「グプタ氏は、インド人でホンダ現地法人に採用されて頭角を現しその後ルノーに転じた人物であり、日本語も堪能で「切れ者」と知られてきた。 2019年6月に日産と三菱自動車工業が資本提携した際、COOとして三菱自工に送り込まれたが、19年12月に日産の西川廣人前社長が辞任し内田体制がスタートしたタイミングで日産COOに呼び戻された。そして、これまで内田社長の右腕として事業構造改革の旗を振ってきた逸材だ。 5月11日の23年3月期連結決算発表では、内田社長と並んでグプタCOOもいつものように発言していたが、翌12日に突然日産は、6月27日の定時株主総会でグプタ氏が任期満了で取締役を退任すると発表したのだ・・・グプタCOOの取締役退任を巡る内部告発など、自社ガバナンスに関連する報道や情報管理について第三者機関による調査を進めていることも明らかにした。どうも日産経営陣に内紛があったようだ・・・内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の下に当面、COOは置かないものとし、取締役会議長の木村康氏、副議長のジャンドミニク・スナール氏(ルノー会長)は続投することを決めた。豊田氏の後任の指名委員会委員長にはアンドリュー・ハウス氏が、筆頭社外取締役にはベルナール・デルマス氏が就いた。 新体制でルノー寄りになるのか、日産の経営自由度を強めるのか、まだ予断は許されないと、筆者は受けとめている」、なるほど。
・『不信感を招く答弁に終始した内田社長 株主総会は10時から、開始され所要時間は1時間46分だった。議長役の内田社長が早口で事業構造改革の報告、将来に向けた取り組みなどを説明した。質疑応答では、従来の先着順から今回は抽選式となったが、14人の質問者に内田社長がほとんど全て一人で答えた(唯一、壇上に並んだ取締役で発言したのは報酬委員会委員長の井原慶子氏だった)。 内田社長は「日産はこの提訴に関して把握しておらず、ノーコメント。適切な対応を取っていく」と述べたにとどめた。ゴーン被告は、日本から保釈中に逃亡し、日本だけでなくフランスからも逮捕状が出されている身であり、日産トップの発言として生ぬるいものを感じた。 また、内田社長は「ルノーとの基本合意から、次のステップであるフレームの最終契約に時間を要しているが、方向として前向きに早い段階で形にして説明していきたい」と、最終契約のタイミングに対する明言は避けた。 このほか、事業構造改革で黒字化を果たしたが、株価は依然大きく低迷しており、今回の会社側の第1号議案の剰余金処分案の期末配当10円に対し、株主提案である第3号議案では15円増配が主張された。 その理由として、役員報酬の増額の妥当性を指摘し、役員報酬増額よりも株主還元をすべきとした。 このため、先述した報酬委員会委員長の井原慶子氏から説明があったわけだが、回答内容が抽象的なもので、株主サイドから井原委員長に「株価が上がったら役員報酬を上げるでいいんですよ」と諭すような発言もあったほどだ。) 結果的に会社側の第1号議案が議決され株主提案は否決されたが、一連の質疑では内田議長の素っ気ない対応が目立ち不信感をあおったというのが感想だ。質問者から面と向かって「内田さん、あなた評判悪いよ」と、こんな発言まで飛び出した。 内田社長は、就任時には緊張感を強くにじませる一方、その後の筆者のインタビューでは笑顔を見せ余裕を感じさせるなど「表情で分かりやすい人」という印象だったが、今回の株主総会では壇上で下まぶたのクマが濃くなり、経営陣の内紛をにじませたかのように見えた。 日産は、株主総会の翌日、7月1日付のエグゼクティブコミッテイに関する役員人事を発表した。内田社長は「絶え間なく変化する市場環境に対応するため、よりフラットで柔軟な経営体制を実現し、各事業地域および機能軸でのリーダーシップをさらに強化する。新エグセクティブコミッティは、最終年度となる構造改革Nissan NEXTの進捗を加速させ、日産の成長を実現するための次期中計の策定に一丸となって取り組んでいく」と述べた。 日産の新執行役は、内田誠代表執行役社長兼CEO、スティーブン・マー執行役最高財務責任者(CFO)、坂本秀行執行役副社長、星野朝子執行役副社長、中畔邦雄執行役副社長で、それぞれを補佐する専務執行役クラスがメンバーに就任した。) 日産の前期(23年3月期)の業績は、売上高10兆5967億円、営業利益3771億円、当期純利益2219億円で増収増益となった。20年3月期、21年3月期と連続で赤字だったが、22年3月期で黒字転換を果たし、23年3月期でも半導体不足や原材料費高騰など厳しい環境下ながら順調な回復を示した。 また、今期(24年3月期)見通しも売上高が前期比17%増の12兆4000億円、営業利益が38%増の5200億円、当期利益が42%増の3150億円と、日産の“復活”を示す業績見込みだ。内田社長は「今期が新中計の『Nissan NEXT』に最終年度であり、かつ日産創立90周年にもあたる。継続的な新車投入、事業基盤強化、イノベーション投資の積極展開を進める」としている。 ただし、日産の経営課題として北米と並ぶ主力地域である中国事業での低迷が顕在化しており、前期の自動車事業の営業利益率は1%未満にとどまっている。今中計の最終年度である23年度の売上高営業利益率5%以上の実現は未達に終わりそうで、まだ不安定な業績動向でもある。 今回の株主総会でも指摘されたように、またも日産経営陣で内紛か、内田体制は大丈夫かとの懸念が出る中で、クルマ業界・モビリティ業界は大きく変化のスピードを上げてきている。ルノーとの新たなアライアンス関係の方向・活用も含めて日産の価値向上へ急がねばならない状況なのだ』、「一連の質疑では内田議長の素っ気ない対応が目立ち不信感をあおったというのが感想だ。質問者から面と向かって「内田さん、あなた評判悪いよ」と、こんな発言まで飛び出した。 内田社長は、就任時には緊張感を強くにじませる一方、その後の筆者のインタビューでは笑顔を見せ余裕を感じさせるなど「表情で分かりやすい人」という印象だったが、今回の株主総会では壇上で下まぶたのクマが濃くなり、経営陣の内紛をにじませたかのように見えた・・・日産の経営課題として北米と並ぶ主力地域である中国事業での低迷が顕在化しており、前期の自動車事業の営業利益率は1%未満にとどまっている。今中計の最終年度である23年度の売上高営業利益率5%以上の実現は未達に終わりそうで、まだ不安定な業績動向でもある」、せっかく「ルノー」の支配を脱したのに、「内田社長」にはもっと積極的なビジョンなどを語ってもらいたかった。
次に、昨年12月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「日産「ルノー支配が終焉」でも不安が拭えない理由、不可解人事に業績面でも…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335379
・『ルノーとの資本関係見直し後 初の3社首脳会見 日産自動車が創立90周年を迎える。 日産の源流は、1918(大正7)年の快進社(日本初となる4気筒搭載のダット41型乗用車を生産・発売)にさかのぼるが、鮎川義介が設立した持ち株会社の日本産業と戸畑鋳物が出資して自動車製造を設立した33(昭和8)年12月26日が創立記念日となっている。その翌年の34(昭和9)年6月に行われた株主総会で日本産業の100%出資となり、社名も日産自動車株式会社に変更され今日に至っている。 日産は創立90周年にあたり、大きな節目として12月14日に横浜のグローバル本社で「日産自動車創立90周年記念レセプション」を開催する予定だ。 くしくも、日産が創立90周年を迎えようとする12月6日に仏ルノーと日産、三菱自動車工業の3社首脳が資本関係見直し後、初の記者会見をパリで開いた。これは、ルノーの日産に対する出資比率43.4%を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資する資本関係見直しが11月に完了したことを受けたものだ。 日産にとって四半世紀も続いたルノー支配の不利な関係が対等になって、日仏連合が新しい段階に入った、ということである。 日産の内田誠社長は会見で、「新たな3社のパートナーシップが各社にメリットをもたらすと確信している」ことを強調した。 一方、ルノーグループのルカ・デメオCEOは、ルノーが上場を目指すEV・車載ソフトの新会社アンペアに日産が最大6億ユーロ(約940億円)、三菱自が最大2億ユーロ(約313億円)の出資を決めたことに触れて「両社の信頼を得て、支援を受けられることに感謝する」と述べた。 また、ジャンドミニク・スナール会長は「アライアンスは消えるのではなく、プロジェクト単位の運営に集中するということだ」とあえて連携を深めることに言及した。) かつてトヨタと共に20世紀の日本の自動車産業をリードしてきたのが日産だった。 むしろ、トヨタが愛知・豊田市を本拠としていたのに対し、首都東京・銀座(当時)に本社を置く日産が日本車を代表したリーディング企業でもあったのだ。「販売のトヨタ」に対し「技術の日産」が、野球で王・長嶋のONに比較されたTNのライバル関係のキャッチフレーズだった。 しかし、日産の凋落によって、次第に日産とトヨタの両大手のライバル関係は格差がつき、90年代後半にその差ははっきりとした。それは日産が抱えていた労働組合問題が経営の混乱を招いた結果だった。 90年代末には、瀕死(ひんし)の日産は外資のルノーとの資本提携に活路を求めた。そして、ルノー・日産の日仏国際提携は、2016年に日産が三菱自を傘下に収めたことでルノー・日産・三菱自の3社連合に変化した。 だが、この3社連合は、ルノーの傘下に日産(ルノーが日産に43.4%出資)、日産の傘下に三菱自(日産が三菱自に34%出資)という親・子・孫の複雑な資本関係であった。さらにルノーは、かつてのルノー公団として現在も仏政府が筆頭株主という国策が絡んだ企業であり、連合の動向は常に微妙な状況にあった。 日産はルノーと対等に議決権を行使できるようになったことで、1999年以来の親子関係がついに変わる。今後は経営の自由度が増し、積極投資や日仏連合での主導権、リーダーシップへの変化が期待されるところだ。 そこで、内田誠・日産社長体制の評価だが、日産は赤字から脱しこの24年3月期に中間配当としては4年ぶりの配当を行ったものの、1株あたり5円とごくわずかであり依然多くの経営課題を抱えている。 カルロス・ゴーン長期政権後期のグローバル拡大戦略のゆがみによる業績悪化と経営陣の混乱の中で、19年12月に抜てきの形でスタートしたのが内田誠体制だ。) 日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った。19年度の日産の純損失・赤字は6712億円に膨らんでいた。内田社長を支えるCOOに三菱自COOから復帰させたアシュワニ・グプタ(ルノー出身)氏と、副COOには中国事業統括の前任だったプロパーの関潤氏を采配する経営布陣だったが、すぐに関氏は退任して日本電産(現ニデック)社長に転じてしまった。なお、関氏はその後、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)入りしてしまう。 19年の内田日産体制のスタートから4年が経過する中で、内田社長は不退転の覚悟で、不採算事業・余剰設備の整理や選択と集中を進めてきた。収益性重視・コスト最適化を企図した事業構造改革として中期経営計画の「NISSAN NEXT」を20年5月策定し、この23年度末までの4カ年計画で営業利益率5%、マーケットシェア6%レベルの達成を掲げた。 今期業績予想は、営業利益6200億円の上方修正を既に発表しており、これに基づくと23年度の営業利益率は4.8%となる。中間期としての配当復活と共に一定の評価はすべきだろう。 だが、内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている。 また、今年6月の株主総会でアシュワニ・グプタCOOが突然の退任、社外取締役の経産省出身の豊田正和氏も退任し、不可解な経営陣の混乱も示唆された。) これまで、内田CEO・グプタCOOの両輪で事業構造改革を急いできた日産だ。当面は、内田社長に権限を集中させ、迅速な経営判断を行える体制で次期中計に臨むことになるものの、この次期中計の公表も延期しており一抹の不安が残る。 内田体制も5年目に入る。ポスト内田の最有力候補と目されたクプタ前COOの突然の退任もあり、日産にとっては、内田社長の後継者選任も含めて、来年から始まる日産100周年に向けた道筋が最も大事な時期だ。 三菱自を含む日仏3社連合は、ゴーン氏が支配した無理なグローバル拡大戦略のツケとコロナ禍による市場低迷で、ここ数年、構造改革に躍起になってきた。3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える。 ライバルだったトヨタは「この指とまれ」(豊田章男会長)と、日本連合としてのグループ連携を強めている。日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい』、「日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい」、その通りだ。
・『ルノーとの資本関係見直し後 初の3社首脳会見 日産自動車が創立90周年を迎える。 日産の源流は、1918(大正7)年の快進社(日本初となる4気筒搭載のダット41型乗用車を生産・発売)にさかのぼるが、鮎川義介が設立した持ち株会社の日本産業と戸畑鋳物が出資して自動車製造を設立した33(昭和8)年12月26日が創立記念日となっている。その翌年の34(昭和9)年6月に行われた株主総会で日本産業の100%出資となり、社名も日産自動車株式会社に変更され今日に至っている。 日産は創立90周年にあたり、大きな節目として12月14日に横浜のグローバル本社で「日産自動車創立90周年記念レセプション」を開催する予定だ。 くしくも、日産が創立90周年を迎えようとする12月6日に仏ルノーと日産、三菱自動車工業の3社首脳が資本関係見直し後、初の記者会見をパリで開いた。これは、ルノーの日産に対する出資比率43.4%を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資する資本関係見直しが11月に完了したことを受けたものだ。 日産にとって四半世紀も続いたルノー支配の不利な関係が対等になって、日仏連合が新しい段階に入った、ということである。 日産の内田誠社長は会見で、「新たな3社のパートナーシップが各社にメリットをもたらすと確信している」ことを強調した。 一方、ルノーグループのルカ・デメオCEOは、ルノーが上場を目指すEV・車載ソフトの新会社アンペアに日産が最大6億ユーロ(約940億円)、三菱自が最大2億ユーロ(約313億円)の出資を決めたことに触れて「両社の信頼を得て、支援を受けられることに感謝する」と述べた。 また、ジャンドミニク・スナール会長は「アライアンスは消えるのではなく、プロジェクト単位の運営に集中するということだ」とあえて連携を深めることに言及した。) かつてトヨタと共に20世紀の日本の自動車産業をリードしてきたのが日産だった。 むしろ、トヨタが愛知・豊田市を本拠としていたのに対し、首都東京・銀座(当時)に本社を置く日産が日本車を代表したリーディング企業でもあったのだ。「販売のトヨタ」に対し「技術の日産」が、野球で王・長嶋のONに比較されたTNのライバル関係のキャッチフレーズだった。 しかし、日産の凋落によって、次第に日産とトヨタの両大手のライバル関係は格差がつき、90年代後半にその差ははっきりとした。それは日産が抱えていた労働組合問題が経営の混乱を招いた結果だった。 90年代末には、瀕死(ひんし)の日産は外資のルノーとの資本提携に活路を求めた。そして、ルノー・日産の日仏国際提携は、2016年に日産が三菱自を傘下に収めたことでルノー・日産・三菱自の3社連合に変化した。 だが、この3社連合は、ルノーの傘下に日産(ルノーが日産に43.4%出資)、日産の傘下に三菱自(日産が三菱自に34%出資)という親・子・孫の複雑な資本関係であった。さらにルノーは、かつてのルノー公団として現在も仏政府が筆頭株主という国策が絡んだ企業であり、連合の動向は常に微妙な状況にあった。 日産はルノーと対等に議決権を行使できるようになったことで、1999年以来の親子関係がついに変わる。今後は経営の自由度が増し、積極投資や日仏連合での主導権、リーダーシップへの変化が期待されるところだ。 そこで、内田誠・日産社長体制の評価だが、日産は赤字から脱しこの24年3月期に中間配当としては4年ぶりの配当を行ったものの、1株あたり5円とごくわずかであり依然多くの経営課題を抱えている。 カルロス・ゴーン長期政権後期のグローバル拡大戦略のゆがみによる業績悪化と経営陣の混乱の中で、19年12月に抜てきの形でスタートしたのが内田誠体制だ。) 日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った。19年度の日産の純損失・赤字は6712億円に膨らんでいた。内田社長を支えるCOOに三菱自COOから復帰させたアシュワニ・グプタ(ルノー出身)氏と、副COOには中国事業統括の前任だったプロパーの関潤氏を采配する経営布陣だったが、すぐに関氏は退任して日本電産(現ニデック)社長に転じてしまった。なお、関氏はその後、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)入りしてしまう。 19年の内田日産体制のスタートから4年が経過する中で、内田社長は不退転の覚悟で、不採算事業・余剰設備の整理や選択と集中を進めてきた。収益性重視・コスト最適化を企図した事業構造改革として中期経営計画の「NISSAN NEXT」を20年5月策定し、この23年度末までの4カ年計画で営業利益率5%、マーケットシェア6%レベルの達成を掲げた。 今期業績予想は、営業利益6200億円の上方修正を既に発表しており、これに基づくと23年度の営業利益率は4.8%となる。中間期としての配当復活と共に一定の評価はすべきだろう。 だが、内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている。 また、今年6月の株主総会でアシュワニ・グプタCOOが突然の退任、社外取締役の経産省出身の豊田正和氏も退任し、不可解な経営陣の混乱も示唆された。) これまで、内田CEO・グプタCOOの両輪で事業構造改革を急いできた日産だ。当面は、内田社長に権限を集中させ、迅速な経営判断を行える体制で次期中計に臨むことになるものの、この次期中計の公表も延期しており一抹の不安が残る。 内田体制も5年目に入る。ポスト内田の最有力候補と目されたクプタ前COOの突然の退任もあり、日産にとっては、内田社長の後継者選任も含めて、来年から始まる日産100周年に向けた道筋が最も大事な時期だ。 三菱自を含む日仏3社連合は、ゴーン氏が支配した無理なグローバル拡大戦略のツケとコロナ禍による市場低迷で、ここ数年、構造改革に躍起になってきた。3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える。 ライバルだったトヨタは「この指とまれ」(豊田章男会長)と、日本連合としてのグループ連携を強めている。日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい』、「日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った」、「内田氏」が「日商岩井」出身とは初めて知った。「内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている・・・3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える・・・日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい」、その通りだ。
第三に、4月8日付けBloombeg「ルノー、日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-08/SBMFGHT0G1KW00#:~:text=%E4%BB%8F%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%8C%E6%97%A5%E7%94%A3,%E6%9D%A5%E3%81%A737%EF%BC%85%E4%B8%8A%E6%98%87%E3%80%82
・『ルノー、利益率とフリーキャッシュフローの改善続く-日産は苦戦 アライアンス発足以降、ルノーの時価総額は日産を下回り続けていた 仏ルノーグループが日産自動車を時価総額で上回った。日産とのアライアンス(企業連合)緩和などの動きを投資家が評価している。 ルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は黒字化を果たし、ラインナップの見直しに取り組んでいる。こうした中で、ルノーの株価は年初来で37%上昇。数十年前のアライアンス発足以来、ほぼ全ての期間でルノーの時価総額は日産を下回ってきたが、いまやルノーは約150億ユーロ(約2兆5000億円)と評価され、日産を2000億円程度上回った。 スタイフェルのアナリスト、ピエール・イブ・ケメナー氏は、「そつがない経営で、利益率とフリーキャッシュフローの改善が続いている」と指摘した。 デメオCEOの下、ルノーはロシアから撤退し、電気自動車(EV)事業と従来型のエンジン車事業を分離、クアルコムやボルボ、中国・浙江吉利などとの新たな協力関係を成立させた。競争の激しい欧州EV市場で勝ち抜くべく、価格2万5000ユーロの「R5 E-Tech」を投入する。これらが好感され、ルノーは欧州自動車株のうち年初来の上昇率が最も高い。 一方、日産はラインナップの陳腐化や北米でのハイブリッド製品の欠如、中国での競争激化で苦戦している』、「ルノーはロシアから撤退し、電気自動車(EV)事業と従来型のエンジン車事業を分離、クアルコムやボルボ、中国・浙江吉利などとの新たな協力関係を成立させた。競争の激しい欧州EV市場で勝ち抜くべく、価格2万5000ユーロの「R5 E-Tech」を投入する。これらが好感され、ルノーは欧州自動車株のうち年初来の上昇率が最も高い。 一方、日産はラインナップの陳腐化や北米でのハイブリッド製品の欠如、中国での競争激化で苦戦している」、「日産」がモタモタしている間に、「ルノー」に株価でも抜かれるとは情けない限りだ。
第四に、8月7日付け東洋経済オンライン「日産「99%減益」の真因、アメリカ事業に2つの課題 インセンティブ濫発とHV不在のダブルパンチ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/791289
・『「昔の悪い日産に戻ってしまった。経営が本質的な問題解決に取り組まないから、何度も同じ過ちを繰り返す」。日産自動車の元幹部はそう肩を落とす。 日産自動車が7月25日に発表した2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算の営業利益はわずか10億円。前年同期の1285億円から99%の減益となった。円安という強い追い風があったにもかかわらず、だ。今年5月に掲げたばかりの通期6000億円の営業利益計画も5000億円に下方修正した。 新たな業績予想では、為替前提を従来の1ドル145円から155円へと円安方向に見直した。が、その後、日銀が利上げに動いたことで為替は1ドル145円前後まで上昇している。円安修正の動きが続けば、再度の下方修正に追い込まれる可能性がある』、「2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算の営業利益はわずか10億円。前年同期の1285億円から99%の減益となった。円安という強い追い風があったにもかかわらず、だ・・・円安修正の動きが続けば、再度の下方修正に追い込まれる可能性がある」、なるほど。
・『北米事業の採算が急悪化 業績悪化の最大の原因は、近年稼ぎ頭だった北米事業の採算が急悪化したことにある。現地での在庫が膨らんだことで販売奨励金(インセンティブ)などの販売コストが急増し、収益を圧迫。北米事業の第1四半期のセグメント営業利益は前期の1320億円から209億円の赤字に転落した。 日産のスティーブン・マーCFOは「ローグの2024年モデルの切り替えが遅れた」と販売コスト増の背景を説明する。ローグは日産のアメリカ市場における主力SUV(スポーツ用多目的車)で、日本市場の「エクストレイル」に相当する。 競合の他メーカーが2024年モデルの販売を始めてからも、在庫がたまっていた2023年モデルのローグを売り続けたことで販売コストが膨らんだ。今年1~3月(前第4四半期)に9万台あったローグの販売台数は、4~6月(今第1四半期)は5万台と苦戦している。 調査会社によれば、6月の日産の1台当たりインセンティブ額は約4000ドル(約60万円)と1年前の2倍近い水準まで上昇している。これはトヨタ自動車の2.5倍、ホンダの1.6倍に相当する。) 決算発表の場でインセンティブ上昇について問われた内田誠社長は「われわれのインセンティブは業界平均レベルだと思っている。販売の質の向上を維持するという観点から、ほとんどはキャッシュ(値引き)ではなくお客様のローンの支援に当てている」と答え、特段問題視しなかった。 だが、日産がアメリカ市場で「インセンティブ漬け」になったのはこれが初めてではない。カルロス・ゴーン時代の拡大戦略の中にあった2016年にも1台当たりインセンティブ額が4000ドルを超えた。これを原資に現地ディーラーは安売りを濫発、日産車のブランドは大きく毀損した。 日産に16年間勤務し北米事業の経験もあるブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、「40年以上変わらない構造問題だ。日産には『こんなに売れるわけがない』とみんながわかっていても過大な計画を立ててボリュームを伸ばそうとする歴史がある。『できない』と言った瞬間、『君はいらない』と言われてしまう」と嘆く。 日産関係者によれば、「そもそも今回、ローグのモデルチェンジが遅れたのもストレッチした生産計画とブランド力低下によって旧モデルが売れ残ったのが原因。特殊要因があったわけではない」。 日産の在庫は、コロナ禍や半導体不足で供給制約が起きた2019年以降、減少していた。供給制約が解消された途端に無理して数を追う悪弊が顔を出した。コロナ禍が隠していた日産の構造問題が再び噴き出した形とも言える』、「ローグのモデルチェンジが遅れたのもストレッチした生産計画とブランド力低下によって旧モデルが売れ残ったのが原因・・・供給制約が解消された途端に無理して数を追う悪弊が顔を出した。コロナ禍が隠していた日産の構造問題が再び噴き出した形とも言える」、なるほど。
・『人気のHVを投入できない日産 足元での日産のアメリカ市場での苦戦にはもう1つ深刻な課題がある。ハイブリッド車(HV)の不在だ。 世界2位の自動車市場であるアメリカ市場では現在、電気自動車(EV)の販売が失速しHVの販売が伸びている。インフレや金利上昇で割高なEVが敬遠され、トヨタ車を筆頭に価格が手ごろで燃費もいいHV人気が高まっているためだ。 実際、HVのラインナップをそろえるトヨタ自動車やホンダはインセンティブを抑制しつつアメリカ市場での販売を伸ばしている。一方、4~6月の日産の販売台数は23万台。インセンティブを積んでなお前年同期比3.1%減と低迷する。 日産も「e-POWER」と名づけた独自HVシステムを持っている。走行にエンジンと小型モーターを併用する一般的なハイブリッドシステムと異なり、e-POWERはエンジンを発電のみに使い、起こした電力でモーターを駆動させて走るシリーズ方式のハイブリッド技術だ。 これまで日産はe-POWERをアメリカ市場で展開してこなかった。その理由を「EV投入を優先してきたため」と説明しており、2026年度に投入する予定としている。 だが、「e-POWERは高速域での燃費に課題が大きい。そのまま投入しても商品としての魅力が弱く、日本以外では売れない」(日産の元技術系幹部)という声がある。 道路環境の違いから、北米では高い速度域をキープして走る運転が多い。こうした高速一定走行はエンジンをそのまま駆動に使った方が高効率で、エンジンで発電しその電気でモーターを動かすe-POWERはむしろ燃費が低下するのだ。) 「海外で売る気なら、例えば三菱自動車のアウトランダーのように高速域ではエンジン直結で走行する機構を入れるか、他社のハイブリッド技術を受け入れる必要がある」(同元幹部) 日産は、2000年代にトヨタのハイブリッドシステム(THS)の技術協力を受けて、HVの「アルティマ ハイブリッド」を投入したこともあるが、「ゴーンさんはトヨタからもらうことに我慢ができなかった」(日産幹部)。EVを優先する戦略を進めたこともあり、1世代でトヨタとの協業関係は終わった。 ホンダとの戦略的パートナーシップの第1段として次世代の車載ソフトウェアの共同研究契約を締結。ホンダとの戦略的パートナーシップでは、協業領域として車両の相互補完も打ち出している。「まだ細部の詰めが残っている段階であり、具体的なモデル名などの公表は差し控えるが、ガソリン車やEVなどの相互供給を検討している」(ホンダの三部敏宏社長)としている』、「ホンダとの戦略的パートナーシップでは、協業領域として車両の相互補完も打ち出している。「まだ細部の詰めが残っている段階であり、具体的なモデル名などの公表は差し控えるが、ガソリン車やEVなどの相互供給を検討している」、なるほど。
・『再拡大戦略に走る日産 日産は北米事業の今後について、「(在庫適正化などの)課題に対して明確な対策を打ち、新型車の投入を進めることで業績を回復していく」(マーCFO)と説明する。この夏に新型「キックス」などを投入するが、競合他社も新型車を投入する中でどこまで市場競争力があるかは不明瞭だ。 日産は今年3月に2026年度までの中期経営計画「The Arc」を公表、2023年度比で100万台増販を掲げ、再び販売台数の拡大を目指している。台数が伸びるのは悪くない。だが、重要なのは質を伴った拡大だ。 数々の構造課題を解決せずに拡大戦略を掲げ続ければ、日産の傷口はさらに広がりかねない』、「日産も「e-POWER」と名づけた独自HVシステムを持っている。走行にエンジンと小型モーターを併用する一般的なハイブリッドシステムと異なり、e-POWERはエンジンを発電のみに使い、起こした電力でモーターを駆動させて走るシリーズ方式のハイブリッド技術だ。 これまで日産はe-POWERをアメリカ市場で展開してこなかった。その理由を「EV投入を優先してきたため」と説明しており、2026年度に投入する予定としている。 だが、「e-POWERは高速域での燃費に課題が大きい。そのまま投入しても商品としての魅力が弱く、日本以外では売れない」(日産の元技術系幹部)という声がある・・・日産は今年3月に2026年度までの中期経営計画「The Arc」を公表、2023年度比で100万台増販を掲げ、再び販売台数の拡大を目指している。台数が伸びるのは悪くない。だが、重要なのは質を伴った拡大だ。 数々の構造課題を解決せずに拡大戦略を掲げ続ければ、日産の傷口はさらに広がりかねない』、「「e-POWERは高速域での燃費に課題が大きい。そのまま投入しても商品としての魅力が弱く、日本以外では売れない」(日産の元技術系幹部)という声がある・・・日産は今年3月に2026年度までの中期経営計画「The Arc」を公表、2023年度比で100万台増販を掲げ、再び販売台数の拡大を目指している。台数が伸びるのは悪くない。だが、重要なのは質を伴った拡大だ。 数々の構造課題を解決せずに拡大戦略を掲げ続ければ、日産の傷口はさらに広がりかねない」、今後、立て直しが上手くいくか、要注目だ。
先ずは、昨年7月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「「あなた評判悪いよ」発言も噴出…日産・内田社長の“塩対応”に不信感募った株主総会」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/325522
・『注目を集めていた日産の株主総会が開催 日産自動車の第124回定時株主総会が、神奈川県・横浜の日産グローバル本社で6月27日に開催された。 今回の株主総会はとりわけ注目を集めていた。最高執行責任者(COO)として日産再生を推進してきたナンバー2のアシュワニ・グプタ氏が突然、取締役と代表執行役を株主総会で退任すると発表されていたことや、6月20日には日産元会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで日産などを相手取り、名誉を傷つけられたとして10億ドル(約1400億円)の損害賠償を提訴するなどしていたからだ。 また、今回の株主総会は、日産にとって積年の課題であった資本提携先の仏ルノーとの資本関係見直し議論が2月に「対等出資」で合意したものの、最終契約が遅れているといった不透明なガバナンスに対する経営側の説明も注目されていた。 筆者は、ここ10年ほど日産の一般株主として株主総会に出席し、その全てを見届けているが、今回はルノーとの新提携の行方に大きな関心を寄せていた。 この合意内容は、ルノーが保有する43%の日産株を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資(代わりに日産がルノーのEV分社のアンペアに最大15%出資検討)するというもの。つまり、1999年に日産を救済する形でルノーと資本提携して以来、24年もの間続いていたルノーと日産の「親子資本関係」が対等の立場になり、「新生日産」対する期待が高まっていたのだ。 だが、残念ながら今株主総会の内容は、筆者を含め一般株主の期待を裏切るような対応をする経営側への不信と、内田体制へ一抹の不安を感じるようなもので終始してしまった。) まずは、グプタCOOが今株主総会をもって退任・退社することが決まったが、内田議長はこの件に関する質問に対し「Nissan NEXTの事業構造改革に貢献してくれたグプタ氏は次のステップに向かう」との発言にとどめた。質問者の「グプタ氏に、この4年間を振り返って話してもらいたい」という問いかけにも無視するかのように、グプタ氏から一切の発言はなかった(発言させなかった)。 そもそも、現在53歳のグプタ氏は、インド人でホンダ現地法人に採用されて頭角を現しその後ルノーに転じた人物であり、日本語も堪能で「切れ者」と知られてきた。 2019年6月に日産と三菱自動車工業が資本提携した際、COOとして三菱自工に送り込まれたが、19年12月に日産の西川廣人前社長が辞任し内田体制がスタートしたタイミングで日産COOに呼び戻された。そして、これまで内田社長の右腕として事業構造改革の旗を振ってきた逸材だ。 5月11日の23年3月期連結決算発表では、内田社長と並んでグプタCOOもいつものように発言していたが、翌12日に突然日産は、6月27日の定時株主総会でグプタ氏が任期満了で取締役を退任すると発表したのだ。 さらに6月16日にはグプタCOOが27日付で退社すると発表するとともに、グプタCOOの取締役退任を巡る内部告発など、自社ガバナンスに関連する報道や情報管理について第三者機関による調査を進めていることも明らかにした。どうも日産経営陣に内紛があったようだ。) また今回、取締役全員(12人)任期満了につき10人を選任する第2号議案が示されたが、グプタCOOとともに退任したのが豊田正和社外取締役だ。 豊田氏は、経済産業省出身で通商政策のベテランだ。経産省では最終的にナンバー2の経産審議官を務めて、日産には18年から社外取締役に就任している。指名委員会委員長で筆頭社外取締役の重職にあった人物だ。 ルノーが仏政府の意向が反映される会社であるのに対して、日産が日本政府・経産省をバックにした政治レベルでの交渉ができる会社であることは、豊田社外取締役の存在とそのキャリアから推して知るべしだ。 だが、今年2月の資本関係見直しでは、EV特許など知的財産の扱いなどに異を唱えて反対した取締役がいたことで、合意までにかなりの日時を要した。「全会一致なき合意」ともやゆされたほどである。今回の株主総会での取締役選任は、こうした紆余(うよ)曲折があり、従来の12人から10人に減員する形で決着を見たのだ。 そして株主総会後の取締役会で新経営体制を発表し、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の下に当面、COOは置かないものとし、取締役会議長の木村康氏、副議長のジャンドミニク・スナール氏(ルノー会長)は続投することを決めた。豊田氏の後任の指名委員会委員長にはアンドリュー・ハウス氏が、筆頭社外取締役にはベルナール・デルマス氏が就いた。 新体制でルノー寄りになるのか、日産の経営自由度を強めるのか、まだ予断は許されないと、筆者は受けとめている』、「グプタ氏は、インド人でホンダ現地法人に採用されて頭角を現しその後ルノーに転じた人物であり、日本語も堪能で「切れ者」と知られてきた。 2019年6月に日産と三菱自動車工業が資本提携した際、COOとして三菱自工に送り込まれたが、19年12月に日産の西川廣人前社長が辞任し内田体制がスタートしたタイミングで日産COOに呼び戻された。そして、これまで内田社長の右腕として事業構造改革の旗を振ってきた逸材だ。 5月11日の23年3月期連結決算発表では、内田社長と並んでグプタCOOもいつものように発言していたが、翌12日に突然日産は、6月27日の定時株主総会でグプタ氏が任期満了で取締役を退任すると発表したのだ・・・グプタCOOの取締役退任を巡る内部告発など、自社ガバナンスに関連する報道や情報管理について第三者機関による調査を進めていることも明らかにした。どうも日産経営陣に内紛があったようだ・・・内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の下に当面、COOは置かないものとし、取締役会議長の木村康氏、副議長のジャンドミニク・スナール氏(ルノー会長)は続投することを決めた。豊田氏の後任の指名委員会委員長にはアンドリュー・ハウス氏が、筆頭社外取締役にはベルナール・デルマス氏が就いた。 新体制でルノー寄りになるのか、日産の経営自由度を強めるのか、まだ予断は許されないと、筆者は受けとめている」、なるほど。
・『不信感を招く答弁に終始した内田社長 株主総会は10時から、開始され所要時間は1時間46分だった。議長役の内田社長が早口で事業構造改革の報告、将来に向けた取り組みなどを説明した。質疑応答では、従来の先着順から今回は抽選式となったが、14人の質問者に内田社長がほとんど全て一人で答えた(唯一、壇上に並んだ取締役で発言したのは報酬委員会委員長の井原慶子氏だった)。 内田社長は「日産はこの提訴に関して把握しておらず、ノーコメント。適切な対応を取っていく」と述べたにとどめた。ゴーン被告は、日本から保釈中に逃亡し、日本だけでなくフランスからも逮捕状が出されている身であり、日産トップの発言として生ぬるいものを感じた。 また、内田社長は「ルノーとの基本合意から、次のステップであるフレームの最終契約に時間を要しているが、方向として前向きに早い段階で形にして説明していきたい」と、最終契約のタイミングに対する明言は避けた。 このほか、事業構造改革で黒字化を果たしたが、株価は依然大きく低迷しており、今回の会社側の第1号議案の剰余金処分案の期末配当10円に対し、株主提案である第3号議案では15円増配が主張された。 その理由として、役員報酬の増額の妥当性を指摘し、役員報酬増額よりも株主還元をすべきとした。 このため、先述した報酬委員会委員長の井原慶子氏から説明があったわけだが、回答内容が抽象的なもので、株主サイドから井原委員長に「株価が上がったら役員報酬を上げるでいいんですよ」と諭すような発言もあったほどだ。) 結果的に会社側の第1号議案が議決され株主提案は否決されたが、一連の質疑では内田議長の素っ気ない対応が目立ち不信感をあおったというのが感想だ。質問者から面と向かって「内田さん、あなた評判悪いよ」と、こんな発言まで飛び出した。 内田社長は、就任時には緊張感を強くにじませる一方、その後の筆者のインタビューでは笑顔を見せ余裕を感じさせるなど「表情で分かりやすい人」という印象だったが、今回の株主総会では壇上で下まぶたのクマが濃くなり、経営陣の内紛をにじませたかのように見えた。 日産は、株主総会の翌日、7月1日付のエグゼクティブコミッテイに関する役員人事を発表した。内田社長は「絶え間なく変化する市場環境に対応するため、よりフラットで柔軟な経営体制を実現し、各事業地域および機能軸でのリーダーシップをさらに強化する。新エグセクティブコミッティは、最終年度となる構造改革Nissan NEXTの進捗を加速させ、日産の成長を実現するための次期中計の策定に一丸となって取り組んでいく」と述べた。 日産の新執行役は、内田誠代表執行役社長兼CEO、スティーブン・マー執行役最高財務責任者(CFO)、坂本秀行執行役副社長、星野朝子執行役副社長、中畔邦雄執行役副社長で、それぞれを補佐する専務執行役クラスがメンバーに就任した。) 日産の前期(23年3月期)の業績は、売上高10兆5967億円、営業利益3771億円、当期純利益2219億円で増収増益となった。20年3月期、21年3月期と連続で赤字だったが、22年3月期で黒字転換を果たし、23年3月期でも半導体不足や原材料費高騰など厳しい環境下ながら順調な回復を示した。 また、今期(24年3月期)見通しも売上高が前期比17%増の12兆4000億円、営業利益が38%増の5200億円、当期利益が42%増の3150億円と、日産の“復活”を示す業績見込みだ。内田社長は「今期が新中計の『Nissan NEXT』に最終年度であり、かつ日産創立90周年にもあたる。継続的な新車投入、事業基盤強化、イノベーション投資の積極展開を進める」としている。 ただし、日産の経営課題として北米と並ぶ主力地域である中国事業での低迷が顕在化しており、前期の自動車事業の営業利益率は1%未満にとどまっている。今中計の最終年度である23年度の売上高営業利益率5%以上の実現は未達に終わりそうで、まだ不安定な業績動向でもある。 今回の株主総会でも指摘されたように、またも日産経営陣で内紛か、内田体制は大丈夫かとの懸念が出る中で、クルマ業界・モビリティ業界は大きく変化のスピードを上げてきている。ルノーとの新たなアライアンス関係の方向・活用も含めて日産の価値向上へ急がねばならない状況なのだ』、「一連の質疑では内田議長の素っ気ない対応が目立ち不信感をあおったというのが感想だ。質問者から面と向かって「内田さん、あなた評判悪いよ」と、こんな発言まで飛び出した。 内田社長は、就任時には緊張感を強くにじませる一方、その後の筆者のインタビューでは笑顔を見せ余裕を感じさせるなど「表情で分かりやすい人」という印象だったが、今回の株主総会では壇上で下まぶたのクマが濃くなり、経営陣の内紛をにじませたかのように見えた・・・日産の経営課題として北米と並ぶ主力地域である中国事業での低迷が顕在化しており、前期の自動車事業の営業利益率は1%未満にとどまっている。今中計の最終年度である23年度の売上高営業利益率5%以上の実現は未達に終わりそうで、まだ不安定な業績動向でもある」、せっかく「ルノー」の支配を脱したのに、「内田社長」にはもっと積極的なビジョンなどを語ってもらいたかった。
次に、昨年12月13日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「日産「ルノー支配が終焉」でも不安が拭えない理由、不可解人事に業績面でも…」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/335379
・『ルノーとの資本関係見直し後 初の3社首脳会見 日産自動車が創立90周年を迎える。 日産の源流は、1918(大正7)年の快進社(日本初となる4気筒搭載のダット41型乗用車を生産・発売)にさかのぼるが、鮎川義介が設立した持ち株会社の日本産業と戸畑鋳物が出資して自動車製造を設立した33(昭和8)年12月26日が創立記念日となっている。その翌年の34(昭和9)年6月に行われた株主総会で日本産業の100%出資となり、社名も日産自動車株式会社に変更され今日に至っている。 日産は創立90周年にあたり、大きな節目として12月14日に横浜のグローバル本社で「日産自動車創立90周年記念レセプション」を開催する予定だ。 くしくも、日産が創立90周年を迎えようとする12月6日に仏ルノーと日産、三菱自動車工業の3社首脳が資本関係見直し後、初の記者会見をパリで開いた。これは、ルノーの日産に対する出資比率43.4%を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資する資本関係見直しが11月に完了したことを受けたものだ。 日産にとって四半世紀も続いたルノー支配の不利な関係が対等になって、日仏連合が新しい段階に入った、ということである。 日産の内田誠社長は会見で、「新たな3社のパートナーシップが各社にメリットをもたらすと確信している」ことを強調した。 一方、ルノーグループのルカ・デメオCEOは、ルノーが上場を目指すEV・車載ソフトの新会社アンペアに日産が最大6億ユーロ(約940億円)、三菱自が最大2億ユーロ(約313億円)の出資を決めたことに触れて「両社の信頼を得て、支援を受けられることに感謝する」と述べた。 また、ジャンドミニク・スナール会長は「アライアンスは消えるのではなく、プロジェクト単位の運営に集中するということだ」とあえて連携を深めることに言及した。) かつてトヨタと共に20世紀の日本の自動車産業をリードしてきたのが日産だった。 むしろ、トヨタが愛知・豊田市を本拠としていたのに対し、首都東京・銀座(当時)に本社を置く日産が日本車を代表したリーディング企業でもあったのだ。「販売のトヨタ」に対し「技術の日産」が、野球で王・長嶋のONに比較されたTNのライバル関係のキャッチフレーズだった。 しかし、日産の凋落によって、次第に日産とトヨタの両大手のライバル関係は格差がつき、90年代後半にその差ははっきりとした。それは日産が抱えていた労働組合問題が経営の混乱を招いた結果だった。 90年代末には、瀕死(ひんし)の日産は外資のルノーとの資本提携に活路を求めた。そして、ルノー・日産の日仏国際提携は、2016年に日産が三菱自を傘下に収めたことでルノー・日産・三菱自の3社連合に変化した。 だが、この3社連合は、ルノーの傘下に日産(ルノーが日産に43.4%出資)、日産の傘下に三菱自(日産が三菱自に34%出資)という親・子・孫の複雑な資本関係であった。さらにルノーは、かつてのルノー公団として現在も仏政府が筆頭株主という国策が絡んだ企業であり、連合の動向は常に微妙な状況にあった。 日産はルノーと対等に議決権を行使できるようになったことで、1999年以来の親子関係がついに変わる。今後は経営の自由度が増し、積極投資や日仏連合での主導権、リーダーシップへの変化が期待されるところだ。 そこで、内田誠・日産社長体制の評価だが、日産は赤字から脱しこの24年3月期に中間配当としては4年ぶりの配当を行ったものの、1株あたり5円とごくわずかであり依然多くの経営課題を抱えている。 カルロス・ゴーン長期政権後期のグローバル拡大戦略のゆがみによる業績悪化と経営陣の混乱の中で、19年12月に抜てきの形でスタートしたのが内田誠体制だ。) 日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った。19年度の日産の純損失・赤字は6712億円に膨らんでいた。内田社長を支えるCOOに三菱自COOから復帰させたアシュワニ・グプタ(ルノー出身)氏と、副COOには中国事業統括の前任だったプロパーの関潤氏を采配する経営布陣だったが、すぐに関氏は退任して日本電産(現ニデック)社長に転じてしまった。なお、関氏はその後、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)入りしてしまう。 19年の内田日産体制のスタートから4年が経過する中で、内田社長は不退転の覚悟で、不採算事業・余剰設備の整理や選択と集中を進めてきた。収益性重視・コスト最適化を企図した事業構造改革として中期経営計画の「NISSAN NEXT」を20年5月策定し、この23年度末までの4カ年計画で営業利益率5%、マーケットシェア6%レベルの達成を掲げた。 今期業績予想は、営業利益6200億円の上方修正を既に発表しており、これに基づくと23年度の営業利益率は4.8%となる。中間期としての配当復活と共に一定の評価はすべきだろう。 だが、内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている。 また、今年6月の株主総会でアシュワニ・グプタCOOが突然の退任、社外取締役の経産省出身の豊田正和氏も退任し、不可解な経営陣の混乱も示唆された。) これまで、内田CEO・グプタCOOの両輪で事業構造改革を急いできた日産だ。当面は、内田社長に権限を集中させ、迅速な経営判断を行える体制で次期中計に臨むことになるものの、この次期中計の公表も延期しており一抹の不安が残る。 内田体制も5年目に入る。ポスト内田の最有力候補と目されたクプタ前COOの突然の退任もあり、日産にとっては、内田社長の後継者選任も含めて、来年から始まる日産100周年に向けた道筋が最も大事な時期だ。 三菱自を含む日仏3社連合は、ゴーン氏が支配した無理なグローバル拡大戦略のツケとコロナ禍による市場低迷で、ここ数年、構造改革に躍起になってきた。3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える。 ライバルだったトヨタは「この指とまれ」(豊田章男会長)と、日本連合としてのグループ連携を強めている。日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい』、「日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい」、その通りだ。
・『ルノーとの資本関係見直し後 初の3社首脳会見 日産自動車が創立90周年を迎える。 日産の源流は、1918(大正7)年の快進社(日本初となる4気筒搭載のダット41型乗用車を生産・発売)にさかのぼるが、鮎川義介が設立した持ち株会社の日本産業と戸畑鋳物が出資して自動車製造を設立した33(昭和8)年12月26日が創立記念日となっている。その翌年の34(昭和9)年6月に行われた株主総会で日本産業の100%出資となり、社名も日産自動車株式会社に変更され今日に至っている。 日産は創立90周年にあたり、大きな節目として12月14日に横浜のグローバル本社で「日産自動車創立90周年記念レセプション」を開催する予定だ。 くしくも、日産が創立90周年を迎えようとする12月6日に仏ルノーと日産、三菱自動車工業の3社首脳が資本関係見直し後、初の記者会見をパリで開いた。これは、ルノーの日産に対する出資比率43.4%を15%に引き下げ、相互に15%ずつ出資する資本関係見直しが11月に完了したことを受けたものだ。 日産にとって四半世紀も続いたルノー支配の不利な関係が対等になって、日仏連合が新しい段階に入った、ということである。 日産の内田誠社長は会見で、「新たな3社のパートナーシップが各社にメリットをもたらすと確信している」ことを強調した。 一方、ルノーグループのルカ・デメオCEOは、ルノーが上場を目指すEV・車載ソフトの新会社アンペアに日産が最大6億ユーロ(約940億円)、三菱自が最大2億ユーロ(約313億円)の出資を決めたことに触れて「両社の信頼を得て、支援を受けられることに感謝する」と述べた。 また、ジャンドミニク・スナール会長は「アライアンスは消えるのではなく、プロジェクト単位の運営に集中するということだ」とあえて連携を深めることに言及した。) かつてトヨタと共に20世紀の日本の自動車産業をリードしてきたのが日産だった。 むしろ、トヨタが愛知・豊田市を本拠としていたのに対し、首都東京・銀座(当時)に本社を置く日産が日本車を代表したリーディング企業でもあったのだ。「販売のトヨタ」に対し「技術の日産」が、野球で王・長嶋のONに比較されたTNのライバル関係のキャッチフレーズだった。 しかし、日産の凋落によって、次第に日産とトヨタの両大手のライバル関係は格差がつき、90年代後半にその差ははっきりとした。それは日産が抱えていた労働組合問題が経営の混乱を招いた結果だった。 90年代末には、瀕死(ひんし)の日産は外資のルノーとの資本提携に活路を求めた。そして、ルノー・日産の日仏国際提携は、2016年に日産が三菱自を傘下に収めたことでルノー・日産・三菱自の3社連合に変化した。 だが、この3社連合は、ルノーの傘下に日産(ルノーが日産に43.4%出資)、日産の傘下に三菱自(日産が三菱自に34%出資)という親・子・孫の複雑な資本関係であった。さらにルノーは、かつてのルノー公団として現在も仏政府が筆頭株主という国策が絡んだ企業であり、連合の動向は常に微妙な状況にあった。 日産はルノーと対等に議決権を行使できるようになったことで、1999年以来の親子関係がついに変わる。今後は経営の自由度が増し、積極投資や日仏連合での主導権、リーダーシップへの変化が期待されるところだ。 そこで、内田誠・日産社長体制の評価だが、日産は赤字から脱しこの24年3月期に中間配当としては4年ぶりの配当を行ったものの、1株あたり5円とごくわずかであり依然多くの経営課題を抱えている。 カルロス・ゴーン長期政権後期のグローバル拡大戦略のゆがみによる業績悪化と経営陣の混乱の中で、19年12月に抜てきの形でスタートしたのが内田誠体制だ。) 日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った。19年度の日産の純損失・赤字は6712億円に膨らんでいた。内田社長を支えるCOOに三菱自COOから復帰させたアシュワニ・グプタ(ルノー出身)氏と、副COOには中国事業統括の前任だったプロパーの関潤氏を采配する経営布陣だったが、すぐに関氏は退任して日本電産(現ニデック)社長に転じてしまった。なお、関氏はその後、台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)入りしてしまう。 19年の内田日産体制のスタートから4年が経過する中で、内田社長は不退転の覚悟で、不採算事業・余剰設備の整理や選択と集中を進めてきた。収益性重視・コスト最適化を企図した事業構造改革として中期経営計画の「NISSAN NEXT」を20年5月策定し、この23年度末までの4カ年計画で営業利益率5%、マーケットシェア6%レベルの達成を掲げた。 今期業績予想は、営業利益6200億円の上方修正を既に発表しており、これに基づくと23年度の営業利益率は4.8%となる。中間期としての配当復活と共に一定の評価はすべきだろう。 だが、内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている。 また、今年6月の株主総会でアシュワニ・グプタCOOが突然の退任、社外取締役の経産省出身の豊田正和氏も退任し、不可解な経営陣の混乱も示唆された。) これまで、内田CEO・グプタCOOの両輪で事業構造改革を急いできた日産だ。当面は、内田社長に権限を集中させ、迅速な経営判断を行える体制で次期中計に臨むことになるものの、この次期中計の公表も延期しており一抹の不安が残る。 内田体制も5年目に入る。ポスト内田の最有力候補と目されたクプタ前COOの突然の退任もあり、日産にとっては、内田社長の後継者選任も含めて、来年から始まる日産100周年に向けた道筋が最も大事な時期だ。 三菱自を含む日仏3社連合は、ゴーン氏が支配した無理なグローバル拡大戦略のツケとコロナ禍による市場低迷で、ここ数年、構造改革に躍起になってきた。3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える。 ライバルだったトヨタは「この指とまれ」(豊田章男会長)と、日本連合としてのグループ連携を強めている。日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい』、「日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った」、「内田氏」が「日商岩井」出身とは初めて知った。「内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている・・・3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える・・・日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい」、その通りだ。
第三に、4月8日付けBloombeg「ルノー、日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇」を紹介しよう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-08/SBMFGHT0G1KW00#:~:text=%E4%BB%8F%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%8C%E6%97%A5%E7%94%A3,%E6%9D%A5%E3%81%A737%EF%BC%85%E4%B8%8A%E6%98%87%E3%80%82
・『ルノー、利益率とフリーキャッシュフローの改善続く-日産は苦戦 アライアンス発足以降、ルノーの時価総額は日産を下回り続けていた 仏ルノーグループが日産自動車を時価総額で上回った。日産とのアライアンス(企業連合)緩和などの動きを投資家が評価している。 ルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は黒字化を果たし、ラインナップの見直しに取り組んでいる。こうした中で、ルノーの株価は年初来で37%上昇。数十年前のアライアンス発足以来、ほぼ全ての期間でルノーの時価総額は日産を下回ってきたが、いまやルノーは約150億ユーロ(約2兆5000億円)と評価され、日産を2000億円程度上回った。 スタイフェルのアナリスト、ピエール・イブ・ケメナー氏は、「そつがない経営で、利益率とフリーキャッシュフローの改善が続いている」と指摘した。 デメオCEOの下、ルノーはロシアから撤退し、電気自動車(EV)事業と従来型のエンジン車事業を分離、クアルコムやボルボ、中国・浙江吉利などとの新たな協力関係を成立させた。競争の激しい欧州EV市場で勝ち抜くべく、価格2万5000ユーロの「R5 E-Tech」を投入する。これらが好感され、ルノーは欧州自動車株のうち年初来の上昇率が最も高い。 一方、日産はラインナップの陳腐化や北米でのハイブリッド製品の欠如、中国での競争激化で苦戦している』、「ルノーはロシアから撤退し、電気自動車(EV)事業と従来型のエンジン車事業を分離、クアルコムやボルボ、中国・浙江吉利などとの新たな協力関係を成立させた。競争の激しい欧州EV市場で勝ち抜くべく、価格2万5000ユーロの「R5 E-Tech」を投入する。これらが好感され、ルノーは欧州自動車株のうち年初来の上昇率が最も高い。 一方、日産はラインナップの陳腐化や北米でのハイブリッド製品の欠如、中国での競争激化で苦戦している」、「日産」がモタモタしている間に、「ルノー」に株価でも抜かれるとは情けない限りだ。
第四に、8月7日付け東洋経済オンライン「日産「99%減益」の真因、アメリカ事業に2つの課題 インセンティブ濫発とHV不在のダブルパンチ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/791289
・『「昔の悪い日産に戻ってしまった。経営が本質的な問題解決に取り組まないから、何度も同じ過ちを繰り返す」。日産自動車の元幹部はそう肩を落とす。 日産自動車が7月25日に発表した2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算の営業利益はわずか10億円。前年同期の1285億円から99%の減益となった。円安という強い追い風があったにもかかわらず、だ。今年5月に掲げたばかりの通期6000億円の営業利益計画も5000億円に下方修正した。 新たな業績予想では、為替前提を従来の1ドル145円から155円へと円安方向に見直した。が、その後、日銀が利上げに動いたことで為替は1ドル145円前後まで上昇している。円安修正の動きが続けば、再度の下方修正に追い込まれる可能性がある』、「2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算の営業利益はわずか10億円。前年同期の1285億円から99%の減益となった。円安という強い追い風があったにもかかわらず、だ・・・円安修正の動きが続けば、再度の下方修正に追い込まれる可能性がある」、なるほど。
・『北米事業の採算が急悪化 業績悪化の最大の原因は、近年稼ぎ頭だった北米事業の採算が急悪化したことにある。現地での在庫が膨らんだことで販売奨励金(インセンティブ)などの販売コストが急増し、収益を圧迫。北米事業の第1四半期のセグメント営業利益は前期の1320億円から209億円の赤字に転落した。 日産のスティーブン・マーCFOは「ローグの2024年モデルの切り替えが遅れた」と販売コスト増の背景を説明する。ローグは日産のアメリカ市場における主力SUV(スポーツ用多目的車)で、日本市場の「エクストレイル」に相当する。 競合の他メーカーが2024年モデルの販売を始めてからも、在庫がたまっていた2023年モデルのローグを売り続けたことで販売コストが膨らんだ。今年1~3月(前第4四半期)に9万台あったローグの販売台数は、4~6月(今第1四半期)は5万台と苦戦している。 調査会社によれば、6月の日産の1台当たりインセンティブ額は約4000ドル(約60万円)と1年前の2倍近い水準まで上昇している。これはトヨタ自動車の2.5倍、ホンダの1.6倍に相当する。) 決算発表の場でインセンティブ上昇について問われた内田誠社長は「われわれのインセンティブは業界平均レベルだと思っている。販売の質の向上を維持するという観点から、ほとんどはキャッシュ(値引き)ではなくお客様のローンの支援に当てている」と答え、特段問題視しなかった。 だが、日産がアメリカ市場で「インセンティブ漬け」になったのはこれが初めてではない。カルロス・ゴーン時代の拡大戦略の中にあった2016年にも1台当たりインセンティブ額が4000ドルを超えた。これを原資に現地ディーラーは安売りを濫発、日産車のブランドは大きく毀損した。 日産に16年間勤務し北米事業の経験もあるブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、「40年以上変わらない構造問題だ。日産には『こんなに売れるわけがない』とみんながわかっていても過大な計画を立ててボリュームを伸ばそうとする歴史がある。『できない』と言った瞬間、『君はいらない』と言われてしまう」と嘆く。 日産関係者によれば、「そもそも今回、ローグのモデルチェンジが遅れたのもストレッチした生産計画とブランド力低下によって旧モデルが売れ残ったのが原因。特殊要因があったわけではない」。 日産の在庫は、コロナ禍や半導体不足で供給制約が起きた2019年以降、減少していた。供給制約が解消された途端に無理して数を追う悪弊が顔を出した。コロナ禍が隠していた日産の構造問題が再び噴き出した形とも言える』、「ローグのモデルチェンジが遅れたのもストレッチした生産計画とブランド力低下によって旧モデルが売れ残ったのが原因・・・供給制約が解消された途端に無理して数を追う悪弊が顔を出した。コロナ禍が隠していた日産の構造問題が再び噴き出した形とも言える」、なるほど。
・『人気のHVを投入できない日産 足元での日産のアメリカ市場での苦戦にはもう1つ深刻な課題がある。ハイブリッド車(HV)の不在だ。 世界2位の自動車市場であるアメリカ市場では現在、電気自動車(EV)の販売が失速しHVの販売が伸びている。インフレや金利上昇で割高なEVが敬遠され、トヨタ車を筆頭に価格が手ごろで燃費もいいHV人気が高まっているためだ。 実際、HVのラインナップをそろえるトヨタ自動車やホンダはインセンティブを抑制しつつアメリカ市場での販売を伸ばしている。一方、4~6月の日産の販売台数は23万台。インセンティブを積んでなお前年同期比3.1%減と低迷する。 日産も「e-POWER」と名づけた独自HVシステムを持っている。走行にエンジンと小型モーターを併用する一般的なハイブリッドシステムと異なり、e-POWERはエンジンを発電のみに使い、起こした電力でモーターを駆動させて走るシリーズ方式のハイブリッド技術だ。 これまで日産はe-POWERをアメリカ市場で展開してこなかった。その理由を「EV投入を優先してきたため」と説明しており、2026年度に投入する予定としている。 だが、「e-POWERは高速域での燃費に課題が大きい。そのまま投入しても商品としての魅力が弱く、日本以外では売れない」(日産の元技術系幹部)という声がある。 道路環境の違いから、北米では高い速度域をキープして走る運転が多い。こうした高速一定走行はエンジンをそのまま駆動に使った方が高効率で、エンジンで発電しその電気でモーターを動かすe-POWERはむしろ燃費が低下するのだ。) 「海外で売る気なら、例えば三菱自動車のアウトランダーのように高速域ではエンジン直結で走行する機構を入れるか、他社のハイブリッド技術を受け入れる必要がある」(同元幹部) 日産は、2000年代にトヨタのハイブリッドシステム(THS)の技術協力を受けて、HVの「アルティマ ハイブリッド」を投入したこともあるが、「ゴーンさんはトヨタからもらうことに我慢ができなかった」(日産幹部)。EVを優先する戦略を進めたこともあり、1世代でトヨタとの協業関係は終わった。 ホンダとの戦略的パートナーシップの第1段として次世代の車載ソフトウェアの共同研究契約を締結。ホンダとの戦略的パートナーシップでは、協業領域として車両の相互補完も打ち出している。「まだ細部の詰めが残っている段階であり、具体的なモデル名などの公表は差し控えるが、ガソリン車やEVなどの相互供給を検討している」(ホンダの三部敏宏社長)としている』、「ホンダとの戦略的パートナーシップでは、協業領域として車両の相互補完も打ち出している。「まだ細部の詰めが残っている段階であり、具体的なモデル名などの公表は差し控えるが、ガソリン車やEVなどの相互供給を検討している」、なるほど。
・『再拡大戦略に走る日産 日産は北米事業の今後について、「(在庫適正化などの)課題に対して明確な対策を打ち、新型車の投入を進めることで業績を回復していく」(マーCFO)と説明する。この夏に新型「キックス」などを投入するが、競合他社も新型車を投入する中でどこまで市場競争力があるかは不明瞭だ。 日産は今年3月に2026年度までの中期経営計画「The Arc」を公表、2023年度比で100万台増販を掲げ、再び販売台数の拡大を目指している。台数が伸びるのは悪くない。だが、重要なのは質を伴った拡大だ。 数々の構造課題を解決せずに拡大戦略を掲げ続ければ、日産の傷口はさらに広がりかねない』、「日産も「e-POWER」と名づけた独自HVシステムを持っている。走行にエンジンと小型モーターを併用する一般的なハイブリッドシステムと異なり、e-POWERはエンジンを発電のみに使い、起こした電力でモーターを駆動させて走るシリーズ方式のハイブリッド技術だ。 これまで日産はe-POWERをアメリカ市場で展開してこなかった。その理由を「EV投入を優先してきたため」と説明しており、2026年度に投入する予定としている。 だが、「e-POWERは高速域での燃費に課題が大きい。そのまま投入しても商品としての魅力が弱く、日本以外では売れない」(日産の元技術系幹部)という声がある・・・日産は今年3月に2026年度までの中期経営計画「The Arc」を公表、2023年度比で100万台増販を掲げ、再び販売台数の拡大を目指している。台数が伸びるのは悪くない。だが、重要なのは質を伴った拡大だ。 数々の構造課題を解決せずに拡大戦略を掲げ続ければ、日産の傷口はさらに広がりかねない』、「「e-POWERは高速域での燃費に課題が大きい。そのまま投入しても商品としての魅力が弱く、日本以外では売れない」(日産の元技術系幹部)という声がある・・・日産は今年3月に2026年度までの中期経営計画「The Arc」を公表、2023年度比で100万台増販を掲げ、再び販売台数の拡大を目指している。台数が伸びるのは悪くない。だが、重要なのは質を伴った拡大だ。 数々の構造課題を解決せずに拡大戦略を掲げ続ければ、日産の傷口はさらに広がりかねない」、今後、立て直しが上手くいくか、要注目だ。
タグ:日産・三菱自・ルノー問題 (その4)(「あなた評判悪いよ」発言も噴出…日産・内田社長の“塩対応”に不信感募った株主総会、日産「ルノー支配が終焉」でも不安が拭えない理由、不可解人事に業績面でも…、ルノー 日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇、日産「99%減益」の真因 アメリカ事業に2つの課題 インセンティブ濫発とHV不在のダブルパンチ) ダイヤモンド・オンライン 佃 義夫氏による「「あなた評判悪いよ」発言も噴出…日産・内田社長の“塩対応”に不信感募った株主総会」 「グプタ氏は、インド人でホンダ現地法人に採用されて頭角を現しその後ルノーに転じた人物であり、日本語も堪能で「切れ者」と知られてきた。 2019年6月に日産と三菱自動車工業が資本提携した際、COOとして三菱自工に送り込まれたが、19年12月に日産の西川廣人前社長が辞任し内田体制がスタートしたタイミングで日産COOに呼び戻された。そして、これまで内田社長の右腕として事業構造改革の旗を振ってきた逸材だ。 5月11日の23年3月期連結決算発表では、内田社長と並んでグプタCOOもいつものように発言していたが、翌12 日に突然日産は、6月27日の定時株主総会でグプタ氏が任期満了で取締役を退任すると発表したのだ・・・グプタCOOの取締役退任を巡る内部告発など、自社ガバナンスに関連する報道や情報管理について第三者機関による調査を進めていることも明らかにした。どうも日産経営陣に内紛があったようだ・・・内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)の下に当面、COOは置かないものとし、取締役会議長の木村康氏、副議長のジャンドミニク・スナール氏(ルノー会長)は続投することを決めた。豊田氏の後任の指名委員会委員長にはアンドリュー・ハウス氏が 、筆頭社外取締役にはベルナール・デルマス氏が就いた。 新体制でルノー寄りになるのか、日産の経営自由度を強めるのか、まだ予断は許されないと、筆者は受けとめている」、なるほど。 「一連の質疑では内田議長の素っ気ない対応が目立ち不信感をあおったというのが感想だ。質問者から面と向かって「内田さん、あなた評判悪いよ」と、こんな発言まで飛び出した。 内田社長は、就任時には緊張感を強くにじませる一方、その後の筆者のインタビューでは笑顔を見せ余裕を感じさせるなど「表情で分かりやすい人」という印象だったが、今回の株主総会では壇上で下まぶたのクマが濃くなり、経営陣の内紛をにじませたかのように見えた・・・ 日産の経営課題として北米と並ぶ主力地域である中国事業での低迷が顕在化しており、前期の自動車事業の営業利益率は1%未満にとどまっている。今中計の最終年度である23年度の売上高営業利益率5%以上の実現は未達に終わりそうで、まだ不安定な業績動向でもある」、せっかく「ルノー」の支配を脱したのに、「内田社長」にはもっと積極的なビジョンなどを語ってもらいたかった。 佃 義夫氏による「日産「ルノー支配が終焉」でも不安が拭えない理由、不可解人事に業績面でも…」 「日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい」、その通りだ。 「日商岩井から日産に転じた経歴を持つ内田氏は、当時、全くのダークホースだった。日産入りしてから購買・調達畑を歩み、直前では専務執行役員・中国事業統括で中国・武漢に駐在していたが、社長の白羽の矢が立ち、コロナ禍が始まる中で急きょ、日本の本社に呼び戻された。 内田日産体制は、最悪の状態からスタートを切った」、「内田氏」が「日商岩井」出身とは初めて知った。 「内情は円安による為替差益の押し上げが400億円もあり、日産全体の純利益の34%も占める中国事業が一転して厳しい状況となっている・・・3社とも、この23年で業績を回復しており、ルノー・日産の資本関係見直しで3社連合は大きな転機を迎える。 日産にとって創立90周年という大きな節目を経て、次の100周年に向かう。主力となっている中国事業の立て直しなど多くの課題も抱えているが、ルノーのEV新会社・アンペアにも日産は三菱自と共に出資しており、3社連合を改めて強化して成長機会と捉える・・・ 日産も、CASE時代が本格化するこの時期に「他のやらぬことをやる」創業の精神で3社連合をリードして生き抜いていくことを期待したい」、その通りだ。 Bloombeg「ルノー、日産を時価総額で逆転-年初来で株価37%上昇」 「ルノーはロシアから撤退し、電気自動車(EV)事業と従来型のエンジン車事業を分離、クアルコムやボルボ、中国・浙江吉利などとの新たな協力関係を成立させた。競争の激しい欧州EV市場で勝ち抜くべく、価格2万5000ユーロの「R5 E-Tech」を投入する。これらが好感され、ルノーは欧州自動車株のうち年初来の上昇率が最も高い。 一方、日産はラインナップの陳腐化や北米でのハイブリッド製品の欠如、中国での競争激化で苦戦している」、「日産」がモタモタしている間に、「ルノー」に株価でも抜かれるとは情けない限りだ。 東洋経済オンライン「日産「99%減益」の真因、アメリカ事業に2つの課題 インセンティブ濫発とHV不在のダブルパンチ」 「2025年3月期第1四半期(4〜6月)決算の営業利益はわずか10億円。前年同期の1285億円から99%の減益となった。円安という強い追い風があったにもかかわらず、だ・・・円安修正の動きが続けば、再度の下方修正に追い込まれる可能性がある」、なるほど。 「ローグのモデルチェンジが遅れたのもストレッチした生産計画とブランド力低下によって旧モデルが売れ残ったのが原因・・・供給制約が解消された途端に無理して数を追う悪弊が顔を出した。コロナ禍が隠していた日産の構造問題が再び噴き出した形とも言える」、なるほど。 「ホンダとの戦略的パートナーシップでは、協業領域として車両の相互補完も打ち出している。「まだ細部の詰めが残っている段階であり、具体的なモデル名などの公表は差し控えるが、ガソリン車やEVなどの相互供給を検討している」、なるほど。
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