イーロン・マスク(その3)(イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏、「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」 『イーロン・ショック』より #5、「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 『イーロン・ショック』より #8、、「イーロン・マスクはヤバい人」東大教授たちが語 [イノベーション]
イーロン・マスクについては、本年6月28日に取上げた。今日は、(その3)(イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏、「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」 『イーロン・ショック』より #5、「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 『イーロン・ショック』より #8、、「イーロン・マスクはヤバい人」東大教授たちが語る天才実業家の正体、「8000人の社員がたったの5週間で…」楽天・三木谷浩史 元Twitterジャパン・笹本裕が見た“イーロン・ショック”の衝撃、三木谷浩史×笹本裕×大西康之「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」(後編))である。
先ずは、本年8月7日付け東洋経済オンラインが掲載したKDDI総合研究所リサーチフェロー・情報セキュリティ大学院大学客員准教授の小林 雅一氏による「イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏」を紹介しよう。
・『ChatGPTを開発したOpenAIは2015年にイーロン・マスクとサム・アルトマンをはじめ6名の起業家、技術者らによって設立された。OpenAIと命名したのはマスクである。 ところが2018年、マスクは突然OpenAIを去っている。一体、何があったのか。 マスク、アルトマン、そしてグーグルを巻き込んだシリコンバレーの覇権争いの内幕に迫る。(小林雅一『イーロン・マスクを超える男サム・アルトマン』から一部を抜粋して再構成しています)』、興味深そうだ。
・『イーロン・マスクに憧れていたサム・アルトマン 2015年、アルトマンは30歳を目前にして何か新しいことに挑戦したくなった。 カリフォルニア州の知事選に立候補することも頭をよぎったが、自身のキャリアを振り返ると、むしろ子供の頃からの夢である「人間のように考えるマシン」、この分野の専門用語で「AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)」を今こそ自分の手で実現すべきだ、という結論に至った。 AGIとは要するに、人類と同等か、あるいはそれを凌ぐほどの汎用的な知能を備えたスーパーAIだ。 そのための新たなプロジェクトを立ち上げるに際し、アルトマンはまず最初にイーロン・マスクを誘うことにした。 アルトマンがマスクと最初に会ったのは、その数年前のことだ。そのとき彼はマスクの案内で宇宙開発企業スペースXの工場を見学しながら3時間ほど話し込んだ。 当時のアルトマンは人生で初めて起業したループトを売却して間もない駆け出しの起業家だったが、彼より一回り以上年上のマスクは既にテスラとスペースXのビジネスを軌道に乗せた規格外の経営者だった。人類を火星に移住させる夢を滔々と語るマスクはアルトマンにとって憧れの的だった。 このマスクにアルトマンはメールを出し、その中で「AGIを実現するためのマンハッタン計画を始めようとしているけど興味ある?」と尋ねた。マスクは「イエス」と答えた。 マスクとアルトマンは「人類に貢献する安全なAGI」を実現するため、何らかのプロジェクトを立ち上げることで合意に達した』、「人類を火星に移住させる夢を滔々と語るマスクはアルトマンにとって憧れの的だった。 このマスクにアルトマンはメールを出し、その中で「AGIを実現するためのマンハッタン計画を始めようとしているけど興味ある?」と尋ねた。マスクは「イエス」と答えた。 マスクとアルトマンは「人類に貢献する安全なAGI」を実現するため、何らかのプロジェクトを立ち上げることで合意に達した」、なるほど。
・『AI開発で先頭を走っていたグーグル 2014年に英国の気鋭スタートアップ「ディープマインド」を買収するなど、当時AI開発で先頭を走っていたのはグーグルだった。 ディープマインドは優れたAI研究者で神経科学者、またチェスの名手でもあるデミス・ハサビスらによって、2010年にロンドンに共同設立された。2014年、グーグルに推定4億ポンド(約700億円)で買収された後も組織としての独立性は維持され、事実上はハサビスらの指揮の下で「ビデオゲームで遊ぶAI」などの研究開発に取り組んできた。 ハサビスらの開発チームは、ゲームAIの研究で培った「ディープラーニング」や「強化学習」などの先端技術を囲碁に応用して「アルファ碁(AlphaGo)」と呼ばれるAIを開発した。 アルファ碁は2016年3月、それまで世界タイトルを通算18回も獲得したトップ棋士、韓国のイ・セドルを4勝1敗で下した。当時、囲碁の世界チャンピオンを(アルファ碁のような)AIが打破するのは少なくともあと10年はかかると見られていたのに、あっさり勝ってしまったのである。) 中国を起源に2500年以上もの歴史を有し、伝統的ボードゲームの王者と見られた囲碁がAIによって制覇されたことは、大きな衝撃をもって受け止められた。人間の様々な知的活動がいずれコンピュータのようなマシンによって代替される予兆とも見られた。このニュースはメディアで大々的に報じられ、世界的なセンセーションを巻き起こした』、「グーグルに推定4億ポンド(約700億円)で買収された後も組織としての独立性は維持され、事実上はハサビスらの指揮の下で「ビデオゲームで遊ぶAI」などの研究開発に取り組んできた。 ハサビスらの開発チームは、ゲームAIの研究で培った「ディープラーニング」や「強化学習」などの先端技術を囲碁に応用して「アルファ碁(AlphaGo)」と呼ばれるAIを開発した。 アルファ碁は2016年3月、それまで世界タイトルを通算18回も獲得したトップ棋士、韓国のイ・セドルを4勝1敗で下した。当時、囲碁の世界チャンピオンを(アルファ碁のような)AIが打破するのは少なくともあと10年はかかると見られていたのに、あっさり勝ってしまったのである」、なるほど。
・『AI脅威論者となったイーロン・マスクとグーグルの因縁 時間は前後するがディープマインドの設立から2年後となる2012年、ハサビスはシリコンバレーのつてを頼って大富豪マスクと面会するチャンスを得た。スペースXの工場を訪れたハサビスは、組み立てラインが見渡せるカフェテリアでマスクと昼食を共にしながら、自分たちの会社を売り込んだ。つまりディープマインドへの投資を求めたのである。 このワーキング・ランチで、マスクは「(スペースXが)火星に打ち上げるロケットを開発するのは、地球の人口増加や世界戦争、小惑星との衝突などの危機に備えるためだ。いざとなれば人類を火星に移住させるのさ」と壮大な計画を語った。 これに対しハサビスは「それもいいでしょう。でも、(AGIのような)スーパー・インテリジェンスが人類を滅ぼす危険性も忘れてはいけませんよ」と述べた。 これを聞いたマスクは一瞬息を?んだ。そんな可能性もあるのか、と驚いたのであろう。ハサビスの警告に衝撃を受けたマスクはディープマインドへの投資を約束すると共に、これ以降「AI脅威論」の提唱者として知られるようになる。 このワーキング・ランチから数週間後、グーグル共同創業者・CEOのラリー・ペイジと会ったマスクはディープマインドについて彼に紹介した後で、(恐らくハサビスの受け売りで)いつの日か登場するであろう超越的な人工知能、つまりAGIが人類を滅ぼす可能性に言及するが、ペイジはその話に乗ってこなかった。 ペイジは「超越的なAIやそれを搭載したロボットがいつの日か人類にとって代わる存在になったとしても、それは(人間のような生物からAIロボットなど人工物へと)進化が次の段階に移行するに過ぎない」と考えていたのだ。 一方ハサビスらディープマインドの研究チームは、マスクや著名投資家ピーター・ティールらから調達した資金を使って、1970年代に世界的に流行した「スペースインベーダー」「ポン」「ブレイクアウト」など古典的なビデオゲームで遊ぶAIを開発した。 このゲームAIが人間のプレイヤーを凌ぐ腕前を見せるようになると、ラリー・ペイジの強い関心を惹いた。彼の肝入りでグーグルが2014年1月にディープマインドを買収すると、当然ながらマスクは機嫌を損ねた。 彼がディープマインドに投資していた金額は500万ドル(約4億円)だが、この会社がグーグルに買収されたことで、マスクは自分が投資した以上の金額をリターンとして受け取った。 つまり金銭的には得をしたわけだが、世界的な大富豪マスクの目から見れば大した額ではなかっただろう。 そんなことよりも自分の方が先に注目し、目をかけてきたディープマインドという有望企業をペイジ、つまりグーグルに奪われたような気になったとしても無理はない。後にマスクがグーグルやその傘下に入ったディープマインドを殊更意識するようになる背景にはこの一件があったのだ』、「自分の方が先に注目し、目をかけてきたディープマインドという有望企業をペイジ、つまりグーグルに奪われたような気になったとしても無理はない。後にマスクがグーグルやその傘下に入ったディープマインドを殊更意識するようになる背景にはこの一件があったのだ」、なるほど。
・『人類全体に奉仕する非営利の研究団体としてOpenAIを設立する グーグルのような営利企業が人類の将来を左右するかもしれない重大なAI技術を、所詮は自らの利益のために開発・利用するのは危険ではないか。むしろ非営利の研究団体を立ち上げて、そこで単なる一企業ではなく人類全体に奉仕するAI、ひいてはAGIを開発していくべきではないか、とマスクやアルトマンらOpenAI創業時のメンバーは考えた。 たとえばAIの実力に関する現状認識、その進化のペース、さらに将来的な可能性や危険性について彼らは率直に議論した。そして、人間と同等かそれ以上の知能を持つAGIがそう遠くない将来に実現すること、それは人類に途方もない富や便益をもたらす一方で、誤った方向に進化すれば人類に深刻な災禍をもたらし、悪くすれば人類存亡の危機を引き起こす恐れもあること、これらの点で彼らの見解はほぼ一致した。) グーグルへの対抗勢力として、(マシンよりも人類を優先する)新たなAI研究機関がどうしても必要だとマスクは力説したが、「今から始めても果たしてグーグルに追いつくことができるだろうか」という疑問の声も上がった。 しかし最終的には「やってやれないことはないだろう」という結論に彼らは至った。 こうしてグーグルに対抗するという含みを持たせつつ「人類全体に寄与する安全なAGIを実現する」という基本構想で彼らは合意に達した。 マスクとアルトマンのプロジェクトは「非営利の研究団体」となる事が決まり、マスクがこれを「OpenAI」と命名した。この研究所で開発したAI技術やソースコード(コンピュータ・プログラム)を特許で囲い込むことをせず、むしろ論文発表などを通じて技術をオープン化して人類全体に貢献するという趣旨だった。 世界有数の大富豪マスクは、OpenAIプロジェクトに気前よく1億ドル(当時の為替レートで120億円)を出すと約束した』、「人間と同等かそれ以上の知能を持つAGIがそう遠くない将来に実現すること、それは人類に途方もない富や便益をもたらす一方で、誤った方向に進化すれば人類に深刻な災禍をもたらし、悪くすれば人類存亡の危機を引き起こす恐れもあること、これらの点で彼らの見解はほぼ一致した・・・マスクとアルトマンのプロジェクトは「非営利の研究団体」となる事が決まり、マスクがこれを「OpenAI」と命名した。この研究所で開発したAI技術やソースコード(コンピュータ・プログラム)を特許で囲い込むことをせず、むしろ論文発表などを通じて技術をオープン化して人類全体に貢献するという趣旨だった。 世界有数の大富豪マスクは、OpenAIプロジェクトに気前よく1億ドル(当時の為替レートで120億円)を出すと約束した」、なるほど。
・『開発の遅れに苛立つマスク OpenAIは2015年末の設立からしばらくは研究活動が迷走し、実質的な成果が出せなかった。それは事実だが、客観的に見れば設立から僅か1、2年程度で目立った成果を出せというのは無理がある。しかしマスクはそうは思わなかった。 彼は技術開発陣に面と向かって「もっと早く、もっと成果を出せ」と迫った。 「もうそろそろ大きなブレークスルーを達成しないと、シリコンバレーの笑い草になるぞ」と急き立てた。そして2017年には、(必ずしもマスクが決めたとは限らないが)元々数十人程度と少ないOpenAIの研究者の一部が早くも解雇されている。 OpenAIの開発陣に辛く当たるマスクの脳裏には、ペイジつまりグーグルに奪われた英国のスタートアップ企業「ディープマインド」の存在があった。「片や(グーグルの)ディープマインドはあれほど華々しい成果を出して世界的な脚光を浴びているのに、お前たちは一体何をやっているんだ?」とばかりにOpenAIの開発陣を責め立てたのだ。) OpenAIの大きな問題は資金不足だった。マスクはOpenAIの設立に先立って1億ドル(120億円)の資金提供を確約したが、実際にはまとめてその額を拠出したわけではない。むしろ年に2000万ドル(20億円以上)程度のペースで段階的に提供していったと見られる。 もちろんピーター・ティールをはじめ他の投資家からも、同程度の資金が提供されたようだ。 それらを全部足すと恐らく年間数千万ドル(数十億円)と見られるが、この程度の予算ではOpenAIが掲げる「AGI」という壮大な目標を達成するには全然足りなかった。 OpenAIの公式ブログによれば、2017年初旬の段階で彼らは「AGIを実現するには莫大な計算機資源が必要とされ、それを確保するためには年間数十億ドル(数千億円)の資金が必要だ」と認識した。これほど巨額の資金を、OpenAIのような非営利団体として調達するのは極めて難しい、という結論に達したという』、「OpenAIの開発陣に辛く当たるマスクの脳裏には、ペイジつまりグーグルに奪われた英国のスタートアップ企業「ディープマインド」の存在があった。「片や(グーグルの)ディープマインドはあれほど華々しい成果を出して世界的な脚光を浴びているのに、お前たちは一体何をやっているんだ?」とばかりにOpenAIの開発陣を責め立てたのだ・・・2017年初旬の段階で彼らは「AGIを実現するには莫大な計算機資源が必要とされ、それを確保するためには年間数十億ドル(数千億円)の資金が必要だ」と認識した。これほど巨額の資金を、OpenAIのような非営利団体として調達するのは極めて難しい、という結論に達したという」、なるほど。
・『マスクがOpenAIとテスラの合併を提案 2017年の末頃、マスクやアルトマンら首脳陣はOpenAIを事実上、営利企業化することで合意に近づいた。この際、マスクは自身が(営利企業化した)OpenAI株式の過半数と取締役会の指揮権を握って、そのCEO(最高経営責任者)になることを要求した。有り体に言えば、「OpenAIを自分の会社にしたい」ということだ。 しかしアルトマンやブロックマンがこれに難色を示すと、マスクはOpenAIへの資金供給をストップしてしまった。 最大のスポンサーであるマスクに資金供給を止められて、OpenAIはその研究者をはじめ従業員に毎月の給料を払うこともできなくなった。困ったアルトマンがリード・ホフマンに相談すると、彼は当面のつなぎ資金を提供してくれた(ホフマンはLinkedInを創業したことなどで有名な起業家・投資家で、OpenAIの初期の取締役の一人でもある)。 ただしマスクと(残された)OpenAI首脳陣との交渉はその後も続いた。) 「OpenAIを自分の会社にする」という最初の提案を却下されたマスクは、次に元々自分の会社であるテスラとOpenAIを合併させることを提案してきた。 OpenAI首脳陣がこの合併案を拒絶すると、マスクはOpenAIを離脱することを決意した』、「OpenAIを自分の会社にする」という最初の提案を却下されたマスクは、次に元々自分の会社であるテスラとOpenAIを合併させることを提案してきた。 OpenAI首脳陣がこの合併案を拒絶すると、マスクはOpenAIを離脱することを決意した」、なるほど。
・『「のろま!」と言い捨てて退場 2018年2月のある日、マスクはアルトマンに付き添われてサンフランシスコにあるOpenAI本社の最上階を訪れ、その従業員らにお別れの挨拶をした。 イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマンなぜ、わずか7年で奇跡の対話型AIを開発できたのか(それは儀礼的で穏やかな式典になるはずだった――マスクは自分がOpenAIを去ることを告げた上で、従業員達のこれまでの努力を讃える。一方、アルトマンもマスクがこれまでしてくれたことに謝意を示し「イーロンがOpenAIを離れるのは、テスラの仕事に集中するためだ」と述べる――そういう手はず、あるいは暗黙の了解だった。 しかし、実際にはそうスムーズに事は運ばなかった。その場にいた人達の証言によれば、マスクは別れの挨拶の途中で「自分はここ(OpenAI)を去るが、ここでやっていたようなAIの開発はテスラで続けて行う。君たちはもっと速く動く(もっと早く成果を出す)必要がある」と述べたとされる。 これにOpenAIの従業員らはムカッときた。そのうちの一人であるインターン研究員がマスクに向かって「急げ、急げと言うけど、あなたの計画は無謀ですよ」と反論した。この研究員に対し、マスクは「のろまackass)!」と言い捨てて、その場を立ち去った。 後日、OpenAI経営陣の一人が「のろまトロフィー」なるものをわざわざ業者に発注して作らせ、このインターン研究員に贈ったという。「あまり気にするな」という慰めと同時に「よくぞ言ってくれた」という感謝も込められているのかもしれない。 マスクと袂を分かったアルトマンは、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOに近づき、マイクロソフトの巨額融資を引き出して、ChatGPTの開発に邁進していくことになる』、「マスクは別れの挨拶の途中で「自分はここ(OpenAI)を去るが、ここでやっていたようなAIの開発はテスラで続けて行う。君たちはもっと速く動く(もっと早く成果を出す)必要がある」と述べたとされる。 これにOpenAIの従業員らはムカッときた。そのうちの一人であるインターン研究員がマスクに向かって「急げ、急げと言うけど、あなたの計画は無謀ですよ」と反論した。この研究員に対し、マスクは「のろまackass)!」と言い捨てて、その場を立ち去った・・・マスクと袂を分かったアルトマンは、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOに近づき、マイクロソフトの巨額融資を引き出して、ChatGPTの開発に邁進していくことになる」、「マスク」氏は気が短すぎて、摩擦を起こしているようだ。
次に、8月14日付け文春オンラインが掲載した元Twitterジャパン社長の笹本 氏による「「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」 『イーロン・ショック』より #5」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/72500
・『「要するに、彼(イーロン・マスク氏)に聞き入れてもらえるような能力が自分にはなかったということなのだと思います」。2014年からTwitterジャパンの代表取締役を務める笹本裕氏が同社を退職した理由には、世界的経営者イーロン・マスク氏との不協和があった。退職の真相を、笹本氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)』、興味深そうだ。
・『私が退職を決めた理由 私の興味関心は、とにかく日本とアジアの事業でした。 だから、少なくともアジア圏の事業について聞く耳を持ってもらえないのであれば、自分の存在は不要だなと思いました。 これは批判ではなく、イーロンは「アメリカをなんとかしないといけない」ということに99パーセント頭が行ってしまっていました。だから、もう少しイーロンが日本やアジアの事業に気を配ってくれていれば、という気持ちはあります。 エンジニアの配置についても疑問がありました。 スーパーアプリを開発するならやはり、すでにLINEやWeChatといったスーパーアプリが存在するアジアで開発するべきだと私は思っていました。アメリカにスーパーアプリはありません。ないところでそれを開発しようとしても、それに共感できるエンジニアは少ない。 だから新たなTwitterを創造していくなら、たとえば、東京にプロダクトデザインをする人たちを置いて、シンガポールにソフトウェアのデザインをする人を置く。そしてインドに開発体制を置く。私はこの3拠点制を提案していたのですが、少し時期尚早だったのかもしれません。 イーロンは「まずアメリカを回さないといけない」ということで頭がいっぱいだった。それがちょっと残念でした。「破壊と創造を一緒に動かしていくなら、私の提言が受け入れられてもよかったのにな」と。 私が辞めるに至ったのは、そういう戦略の違いがあったからです。私の力不足でもあるのですが。要するに、彼に聞き入れてもらえるような能力が自分にはなかったということなのだと思います』、「スーパーアプリを開発するならやはり、すでにLINEやWeChatといったスーパーアプリが存在するアジアで開発するべきだと私は思っていました。アメリカにスーパーアプリはありません。ないところでそれを開発しようとしても、それに共感できるエンジニアは少ない。 だから新たなTwitterを創造していくなら、たとえば、東京にプロダクトデザインをする人たちを置いて、シンガポールにソフトウェアのデザインをする人を置く。そしてインドに開発体制を置く。私はこの3拠点制を提案していたのですが、少し時期尚早だったのかもしれません・・・イーロンは「まずアメリカを回さないといけない」ということで頭がいっぱいだった。それがちょっと残念でした。「破壊と創造を一緒に動かしていくなら、私の提言が受け入れられてもよかったのにな」と。 私が辞めるに至ったのは、そういう戦略の違いがあったからです」、なるほど。
・『爪痕は残せた、はず あえて自分を擁護するなら、努力はしたつもりです。少しは爪痕を残せたはずです。 ひとつは先に触れた検索連動型の広告商品。もうひとつは私が辞めてからですが、イーロンは「日本にエンジニアを1人置くことにしたよ」と言ってくれました。ちなみに私は8人置いてくれと言っていました。だから8分の1は達成したということになるでしょうか。) 他に、「日本の売上倍増計画」を彼に提案したこともあります。これもほとんど箇条書きのようなものですが、それを書いて送って、すぐに私は辞めてしまった。だから今になってもイーロンは、「日本は倍にできるよ」と言っているようです。社員が「どうやってやるんですか?」と聞いても、イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません。戦略の詳しい中身がわからないからです。 負け犬の遠吠えでしょうか』、「「日本の売上倍増計画」を彼に提案したこともあります。これもほとんど箇条書きのようなものですが、それを書いて送って、すぐに私は辞めてしまった。だから今になってもイーロンは、「日本は倍にできるよ」と言っているようです。社員が「どうやってやるんですか?」と聞いても、イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません』、「イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません」、というのはやむを得ないだろう。
・『意に反するリストラ。せめてもの抵抗 私が退職を決めたのは、2023年2月の末と3月の頭に、私の意思と反する2度目か3度目のリストラが遂行されたのがトリガーと言えます。 私はなにより、イーロンにはTwitterの事業を成功させてほしいと思っていました。そう考えたときに、日本でのリストラは大きな間違いだと思ったのです。だから無駄な抵抗だとはわかっていましたが、自分が意思表示をすべきだと思いました。 いわば最後のあがきです。 日本でリストラをしてはいけないことは、すべて指標で説明できます。 一人頭の売上規模や収益率などをすべてきちんと説明すると、日本の事業には触ってはいけないとわかるはずです。 でも、グローバルのことを考えている彼にとっては、それはあまり関係ない。「日本の収益率はいいから」とか、そういう話を彼はあまり聞きたくない。だから「全体でとにかくあと500人減らしたい」というときに、日本はまだ人が残っているから「じゃあ日本だね」という話になってしまった。他の国はもう人が減ってしまっているから、これ以上削れないのです。 でも経営判断としては、絶対にそれは間違いなのです。そこに対する違和感は、あまりにも大きいものがありました。 このままやっていったら、日本もどこかのタイミングでガタガタッと崩れていく。まだその段階に来ていないだけです。いまは崖っ縁にいるような状態で、このままだと崖から落ちるのは見えていました。 私にできることには限界がある。だから、自分から辞めようと思っていた矢先に、イーロンからレイオフの通知が届きました』、「日本でリストラをしてはいけないことは、すべて指標で説明できます。 一人頭の売上規模や収益率などをすべてきちんと説明すると、日本の事業には触ってはいけないとわかるはずです。 でも、グローバルのことを考えている彼にとっては、それはあまり関係ない。「日本の収益率はいいから」とか、そういう話を彼はあまり聞きたくない。だから「全体でとにかくあと500人減らしたい」というときに、日本はまだ人が残っているから「じゃあ日本だね」という話になってしまった。他の国はもう人が減ってしまっているから、これ以上削れないのです」、なるほど。
第三に、8月16日付け文春オンラインが掲載した元Twitterジャパンの笹本 裕氏による「「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 『イーロン・ショック』より #8」を紹介しよう。
・『「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」――元Twitterジャパンの笹本氏が、外資系ヘッドハンターに尋ねると驚きの回答が…。笹本裕氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)』、興味深そうだ。
・『なぜ、日本人の給料はこんなにも低いのか? そもそも、なぜ日本人の給料は低いのでしょうか? Twitterを辞めようかどうしようか考えているとき、外資系のヘッドハンターと話をしました。そこで驚いたのが、どこか別の企業に行くとなると、以前日本で働いていた頃より給料が低くなってしまうということでした。 私はヘッドハンターに「これってちょっとおかしくないですか? 私の能力を買ってくれるなら、私の能力に値札を付けてほしいんです」と言いました。 実際、外国人経営者に何十億円と払いながら、日本人経営者にはその何十分の一しか払わない日本企業もあります。 私は「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」と聞きました。すると、そのヘッドハンターはこう言いました。「日本人は外資がオファーを出したときに、100万くらい年収が上がるとわかるだけで喜んでサインしてしまう。だから給与水準が低いんだよ」 先日も、ある日本の上場企業の経営者と話しているときに、その話になりました。そのときは「日本の給料が低いのは、報酬委員会が問題だよね」という話になりました。上場企業には役員報酬の開示義務があります。1億円以上の報酬を渡すと、そのことを社外に開示しなくてはいけない。このため、多くの日本企業の報酬委員会は「9999万円にしておきましょう」となりがちなのです。 今後の日本は、外貨を稼がないといけません。それなのに、外国人に高い報酬を与えて日本人は安く働く、この構造を変えていかないと、日本はマズイことになると思うのです。 日本人はこれから、世界の中で戦い、生き抜いていかないといけません。それなのに、あまりにものんびりしているなと思わざるをえません。 幸いなことに、日本は経済的にもまだまだ豊かで、自然も豊かです。こういう国は珍しい。こういう国で暮らしていると、「釜ゆでになっている可能性がある」ことに気づかない。これは怖いことです。 世界を見ると、ぜんぜん違うものが見えてきます。 たとえばオーストラリアの学生は、大学を卒業すると1年間休むといいます。就職はせずに、世界を旅行するのです。すると、視点が変わって帰ってきます。 でも日本では、学生生活は就活に追われ忙しく、卒業したら4月から就職するのが普通です。それだとどうしても視野は狭くなる。もしかしたら、そういう慣習から破壊しないといけないのかもしれません』、「「日本人は外資がオファーを出したときに、100万くらい年収が上がるとわかるだけで喜んでサインしてしまう。だから給与水準が低いんだよ」 先日も、ある日本の上場企業の経営者と話しているときに、その話になりました。そのときは「日本の給料が低いのは、報酬委員会が問題だよね」という話になりました。上場企業には役員報酬の開示義務があります。1億円以上の報酬を渡すと、そのことを社外に開示しなくてはいけない。このため、多くの日本企業の報酬委員会は「9999万円にしておきましょう」となりがちなのです・・・オーストラリアの学生は、大学を卒業すると1年間休むといいます。就職はせずに、世界を旅行するのです。すると、視点が変わって帰ってきます。 でも日本では、学生生活は就活に追われ忙しく、卒業したら4月から就職するのが普通です。それだとどうしても視野は狭くなる。もしかしたら、そういう慣習から破壊しないといけないのかもしれません」、その通りだ。
第四に、10月2日付け文春オンライン「「8000人の社員がたったの5週間で…」楽天・三木谷浩史、元Twitterジャパン・笹本裕が見た“イーロン・ショック”の衝撃」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/73848
・『直接知る二人だから分かる「衝撃」:楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏、元Twitterジャパン社長で、DAZNジャパン・アジアCEOの笹本裕氏、ジャーナリストの大西康之氏が、「文藝春秋 電子版」のオンライン番組に9月21、22日、出演した。 9年間にわたってTwitterジャパンの社長を務めた笹本氏は8月、『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)を出版。間近で見た「経営者」イーロンの姿や、2022年10月にTwitterCEOにイーロンが就任した際の「衝撃」が赤裸々に綴られている。 三木谷氏はイーロン・マスクと旧知の仲。番組では、二人がじかに目撃したその経営手腕について迫っている』、興味深そうだ。
・『三木谷氏とイーロン氏「ぶっ飛んだところが似ている」 イーロンはTwitterのCEOに就任するや、早々に大規模人員削減に取り掛かった。 「イーロンは“破壊”することに躊躇いがありません。8000人近くの社員がいた会社が(イーロンが社長になってから)5週間ほどで2000人台まで減ってしまう。社員の数が1000人まで減ったときには“恐怖”すら感じました。とにかく、破壊をして創造していく期間が圧倒的に短い」(笹本氏)) 大西氏はイーロンの“リスク感覚”がふつうの経営者とは異なっていると指摘。「経営者として(三木谷氏とイーロンは)ぶっ飛んだところが似ている」とした』、「イーロンは“破壊”することに躊躇いがありません。8000人近くの社員がいた会社が(イーロンが社長になってから)5週間ほどで2000人台まで減ってしまう。社員の数が1000人まで減ったときには“恐怖”すら感じました。とにかく、破壊をして創造していく期間が圧倒的に短い」・・・大西氏はイーロンの“リスク感覚”がふつうの経営者とは異なっていると指摘。「経営者として(三木谷氏とイーロンは)ぶっ飛んだところが似ている」とした」、なるほど。
・『「イーロンと六本木で会うときは…」 「私とイーロンは二人とも“KPIオリエンテッド”。ビジネスはスプレッドシート、表計算にできた瞬間に勝てるという感覚がある」(三木谷氏) また、「六本木で会うときは飲んでカラオケをしているだけ(笑)」と語る三木谷氏だが、テスラやTwitterの経営について直接、イーロンから相談を受けたこともあると明かしている。 番組内ではその他にも、イーロン・マスクやジェフ・ベゾスなど「ビッグテック」のトップがメディアを買収する理由、日本経済を活性化させる起爆剤などについても意見が交わされている。 「文藝春秋 電子版」では、全編60分におよぶ番組「ビジネスが表計算にできた瞬間に勝てる理由」「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」のフル動画をそれぞれ配信している』、「「六本木で会うときは飲んでカラオケをしているだけ(笑)」と語る三木谷氏だが、テスラやTwitterの経営について直接、イーロンから相談を受けたこともあると明かしている」、なるほど。
第五に、10月2日付け文春オンライン「【9月22日(日)21時~】三木谷浩史×笹本裕×大西康之「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」(後編)」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/73605
『イーロン・ショック』特別鼎談:「文藝春秋 電子版」は9月22日(日)21時より、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史さん、元Twitterジャパン社長、DAZNジャパン/アジアCEOの笹本裕さん、ジャーナリストの大西康之さんを招いた「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」 (後編)を配信します』、興味深そうだ。
・『ビジョンは壮大、マネジメントはミクロ…… 今年8月8日、文藝春秋より『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』が刊行されました。 9年間にわたってTwitter Japanの社長を務めた笹本さんが著者となり、間近で見た「経営者」イーロンの姿や、2023年5月、TwitterのCEOにイーロンが就任した際の「衝撃」について赤裸々に綴っています。 本番組では笹本さんと旧知の仲であり、日本を代表するIT企業となった楽天グループ会長兼社長の三木谷さん、聞き手に大西康之さんを迎えた『イーロン・ショック』特別鼎談をお送りします。 〈ビジョンは壮大、マネジメントはミクロ〉――イーロン・マスクと三木谷浩史の共通点とは何か。元興銀の三木谷さんと元リクルートの笹本さんが25年前にみた「ITバブル」の衝撃とは。そして、長らく停滞する日本経済が覚醒するために必要なこととは? 「イーロン・マスク」を皮切りに、この国の未来を問う鼎談となりました。ぜひご覧ください。(後編:26分) 番組概要 番組名:日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか 出演 :三木谷浩史×笹本裕×大西康之 日時 :9月22日(日)21時00分〜21時26分 完全オンライン番組です ※視聴するには「文藝春秋 電子版」の有料会員(初月300円から)になる必要があります。入会はこちらをご覧ください・・・』、残念ながら無料版では、意味のある情報は公開されないようだ。
先ずは、本年8月7日付け東洋経済オンラインが掲載したKDDI総合研究所リサーチフェロー・情報セキュリティ大学院大学客員准教授の小林 雅一氏による「イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏」を紹介しよう。
・『ChatGPTを開発したOpenAIは2015年にイーロン・マスクとサム・アルトマンをはじめ6名の起業家、技術者らによって設立された。OpenAIと命名したのはマスクである。 ところが2018年、マスクは突然OpenAIを去っている。一体、何があったのか。 マスク、アルトマン、そしてグーグルを巻き込んだシリコンバレーの覇権争いの内幕に迫る。(小林雅一『イーロン・マスクを超える男サム・アルトマン』から一部を抜粋して再構成しています)』、興味深そうだ。
・『イーロン・マスクに憧れていたサム・アルトマン 2015年、アルトマンは30歳を目前にして何か新しいことに挑戦したくなった。 カリフォルニア州の知事選に立候補することも頭をよぎったが、自身のキャリアを振り返ると、むしろ子供の頃からの夢である「人間のように考えるマシン」、この分野の専門用語で「AGI(Artificial General Intelligence:汎用人工知能)」を今こそ自分の手で実現すべきだ、という結論に至った。 AGIとは要するに、人類と同等か、あるいはそれを凌ぐほどの汎用的な知能を備えたスーパーAIだ。 そのための新たなプロジェクトを立ち上げるに際し、アルトマンはまず最初にイーロン・マスクを誘うことにした。 アルトマンがマスクと最初に会ったのは、その数年前のことだ。そのとき彼はマスクの案内で宇宙開発企業スペースXの工場を見学しながら3時間ほど話し込んだ。 当時のアルトマンは人生で初めて起業したループトを売却して間もない駆け出しの起業家だったが、彼より一回り以上年上のマスクは既にテスラとスペースXのビジネスを軌道に乗せた規格外の経営者だった。人類を火星に移住させる夢を滔々と語るマスクはアルトマンにとって憧れの的だった。 このマスクにアルトマンはメールを出し、その中で「AGIを実現するためのマンハッタン計画を始めようとしているけど興味ある?」と尋ねた。マスクは「イエス」と答えた。 マスクとアルトマンは「人類に貢献する安全なAGI」を実現するため、何らかのプロジェクトを立ち上げることで合意に達した』、「人類を火星に移住させる夢を滔々と語るマスクはアルトマンにとって憧れの的だった。 このマスクにアルトマンはメールを出し、その中で「AGIを実現するためのマンハッタン計画を始めようとしているけど興味ある?」と尋ねた。マスクは「イエス」と答えた。 マスクとアルトマンは「人類に貢献する安全なAGI」を実現するため、何らかのプロジェクトを立ち上げることで合意に達した」、なるほど。
・『AI開発で先頭を走っていたグーグル 2014年に英国の気鋭スタートアップ「ディープマインド」を買収するなど、当時AI開発で先頭を走っていたのはグーグルだった。 ディープマインドは優れたAI研究者で神経科学者、またチェスの名手でもあるデミス・ハサビスらによって、2010年にロンドンに共同設立された。2014年、グーグルに推定4億ポンド(約700億円)で買収された後も組織としての独立性は維持され、事実上はハサビスらの指揮の下で「ビデオゲームで遊ぶAI」などの研究開発に取り組んできた。 ハサビスらの開発チームは、ゲームAIの研究で培った「ディープラーニング」や「強化学習」などの先端技術を囲碁に応用して「アルファ碁(AlphaGo)」と呼ばれるAIを開発した。 アルファ碁は2016年3月、それまで世界タイトルを通算18回も獲得したトップ棋士、韓国のイ・セドルを4勝1敗で下した。当時、囲碁の世界チャンピオンを(アルファ碁のような)AIが打破するのは少なくともあと10年はかかると見られていたのに、あっさり勝ってしまったのである。) 中国を起源に2500年以上もの歴史を有し、伝統的ボードゲームの王者と見られた囲碁がAIによって制覇されたことは、大きな衝撃をもって受け止められた。人間の様々な知的活動がいずれコンピュータのようなマシンによって代替される予兆とも見られた。このニュースはメディアで大々的に報じられ、世界的なセンセーションを巻き起こした』、「グーグルに推定4億ポンド(約700億円)で買収された後も組織としての独立性は維持され、事実上はハサビスらの指揮の下で「ビデオゲームで遊ぶAI」などの研究開発に取り組んできた。 ハサビスらの開発チームは、ゲームAIの研究で培った「ディープラーニング」や「強化学習」などの先端技術を囲碁に応用して「アルファ碁(AlphaGo)」と呼ばれるAIを開発した。 アルファ碁は2016年3月、それまで世界タイトルを通算18回も獲得したトップ棋士、韓国のイ・セドルを4勝1敗で下した。当時、囲碁の世界チャンピオンを(アルファ碁のような)AIが打破するのは少なくともあと10年はかかると見られていたのに、あっさり勝ってしまったのである」、なるほど。
・『AI脅威論者となったイーロン・マスクとグーグルの因縁 時間は前後するがディープマインドの設立から2年後となる2012年、ハサビスはシリコンバレーのつてを頼って大富豪マスクと面会するチャンスを得た。スペースXの工場を訪れたハサビスは、組み立てラインが見渡せるカフェテリアでマスクと昼食を共にしながら、自分たちの会社を売り込んだ。つまりディープマインドへの投資を求めたのである。 このワーキング・ランチで、マスクは「(スペースXが)火星に打ち上げるロケットを開発するのは、地球の人口増加や世界戦争、小惑星との衝突などの危機に備えるためだ。いざとなれば人類を火星に移住させるのさ」と壮大な計画を語った。 これに対しハサビスは「それもいいでしょう。でも、(AGIのような)スーパー・インテリジェンスが人類を滅ぼす危険性も忘れてはいけませんよ」と述べた。 これを聞いたマスクは一瞬息を?んだ。そんな可能性もあるのか、と驚いたのであろう。ハサビスの警告に衝撃を受けたマスクはディープマインドへの投資を約束すると共に、これ以降「AI脅威論」の提唱者として知られるようになる。 このワーキング・ランチから数週間後、グーグル共同創業者・CEOのラリー・ペイジと会ったマスクはディープマインドについて彼に紹介した後で、(恐らくハサビスの受け売りで)いつの日か登場するであろう超越的な人工知能、つまりAGIが人類を滅ぼす可能性に言及するが、ペイジはその話に乗ってこなかった。 ペイジは「超越的なAIやそれを搭載したロボットがいつの日か人類にとって代わる存在になったとしても、それは(人間のような生物からAIロボットなど人工物へと)進化が次の段階に移行するに過ぎない」と考えていたのだ。 一方ハサビスらディープマインドの研究チームは、マスクや著名投資家ピーター・ティールらから調達した資金を使って、1970年代に世界的に流行した「スペースインベーダー」「ポン」「ブレイクアウト」など古典的なビデオゲームで遊ぶAIを開発した。 このゲームAIが人間のプレイヤーを凌ぐ腕前を見せるようになると、ラリー・ペイジの強い関心を惹いた。彼の肝入りでグーグルが2014年1月にディープマインドを買収すると、当然ながらマスクは機嫌を損ねた。 彼がディープマインドに投資していた金額は500万ドル(約4億円)だが、この会社がグーグルに買収されたことで、マスクは自分が投資した以上の金額をリターンとして受け取った。 つまり金銭的には得をしたわけだが、世界的な大富豪マスクの目から見れば大した額ではなかっただろう。 そんなことよりも自分の方が先に注目し、目をかけてきたディープマインドという有望企業をペイジ、つまりグーグルに奪われたような気になったとしても無理はない。後にマスクがグーグルやその傘下に入ったディープマインドを殊更意識するようになる背景にはこの一件があったのだ』、「自分の方が先に注目し、目をかけてきたディープマインドという有望企業をペイジ、つまりグーグルに奪われたような気になったとしても無理はない。後にマスクがグーグルやその傘下に入ったディープマインドを殊更意識するようになる背景にはこの一件があったのだ」、なるほど。
・『人類全体に奉仕する非営利の研究団体としてOpenAIを設立する グーグルのような営利企業が人類の将来を左右するかもしれない重大なAI技術を、所詮は自らの利益のために開発・利用するのは危険ではないか。むしろ非営利の研究団体を立ち上げて、そこで単なる一企業ではなく人類全体に奉仕するAI、ひいてはAGIを開発していくべきではないか、とマスクやアルトマンらOpenAI創業時のメンバーは考えた。 たとえばAIの実力に関する現状認識、その進化のペース、さらに将来的な可能性や危険性について彼らは率直に議論した。そして、人間と同等かそれ以上の知能を持つAGIがそう遠くない将来に実現すること、それは人類に途方もない富や便益をもたらす一方で、誤った方向に進化すれば人類に深刻な災禍をもたらし、悪くすれば人類存亡の危機を引き起こす恐れもあること、これらの点で彼らの見解はほぼ一致した。) グーグルへの対抗勢力として、(マシンよりも人類を優先する)新たなAI研究機関がどうしても必要だとマスクは力説したが、「今から始めても果たしてグーグルに追いつくことができるだろうか」という疑問の声も上がった。 しかし最終的には「やってやれないことはないだろう」という結論に彼らは至った。 こうしてグーグルに対抗するという含みを持たせつつ「人類全体に寄与する安全なAGIを実現する」という基本構想で彼らは合意に達した。 マスクとアルトマンのプロジェクトは「非営利の研究団体」となる事が決まり、マスクがこれを「OpenAI」と命名した。この研究所で開発したAI技術やソースコード(コンピュータ・プログラム)を特許で囲い込むことをせず、むしろ論文発表などを通じて技術をオープン化して人類全体に貢献するという趣旨だった。 世界有数の大富豪マスクは、OpenAIプロジェクトに気前よく1億ドル(当時の為替レートで120億円)を出すと約束した』、「人間と同等かそれ以上の知能を持つAGIがそう遠くない将来に実現すること、それは人類に途方もない富や便益をもたらす一方で、誤った方向に進化すれば人類に深刻な災禍をもたらし、悪くすれば人類存亡の危機を引き起こす恐れもあること、これらの点で彼らの見解はほぼ一致した・・・マスクとアルトマンのプロジェクトは「非営利の研究団体」となる事が決まり、マスクがこれを「OpenAI」と命名した。この研究所で開発したAI技術やソースコード(コンピュータ・プログラム)を特許で囲い込むことをせず、むしろ論文発表などを通じて技術をオープン化して人類全体に貢献するという趣旨だった。 世界有数の大富豪マスクは、OpenAIプロジェクトに気前よく1億ドル(当時の為替レートで120億円)を出すと約束した」、なるほど。
・『開発の遅れに苛立つマスク OpenAIは2015年末の設立からしばらくは研究活動が迷走し、実質的な成果が出せなかった。それは事実だが、客観的に見れば設立から僅か1、2年程度で目立った成果を出せというのは無理がある。しかしマスクはそうは思わなかった。 彼は技術開発陣に面と向かって「もっと早く、もっと成果を出せ」と迫った。 「もうそろそろ大きなブレークスルーを達成しないと、シリコンバレーの笑い草になるぞ」と急き立てた。そして2017年には、(必ずしもマスクが決めたとは限らないが)元々数十人程度と少ないOpenAIの研究者の一部が早くも解雇されている。 OpenAIの開発陣に辛く当たるマスクの脳裏には、ペイジつまりグーグルに奪われた英国のスタートアップ企業「ディープマインド」の存在があった。「片や(グーグルの)ディープマインドはあれほど華々しい成果を出して世界的な脚光を浴びているのに、お前たちは一体何をやっているんだ?」とばかりにOpenAIの開発陣を責め立てたのだ。) OpenAIの大きな問題は資金不足だった。マスクはOpenAIの設立に先立って1億ドル(120億円)の資金提供を確約したが、実際にはまとめてその額を拠出したわけではない。むしろ年に2000万ドル(20億円以上)程度のペースで段階的に提供していったと見られる。 もちろんピーター・ティールをはじめ他の投資家からも、同程度の資金が提供されたようだ。 それらを全部足すと恐らく年間数千万ドル(数十億円)と見られるが、この程度の予算ではOpenAIが掲げる「AGI」という壮大な目標を達成するには全然足りなかった。 OpenAIの公式ブログによれば、2017年初旬の段階で彼らは「AGIを実現するには莫大な計算機資源が必要とされ、それを確保するためには年間数十億ドル(数千億円)の資金が必要だ」と認識した。これほど巨額の資金を、OpenAIのような非営利団体として調達するのは極めて難しい、という結論に達したという』、「OpenAIの開発陣に辛く当たるマスクの脳裏には、ペイジつまりグーグルに奪われた英国のスタートアップ企業「ディープマインド」の存在があった。「片や(グーグルの)ディープマインドはあれほど華々しい成果を出して世界的な脚光を浴びているのに、お前たちは一体何をやっているんだ?」とばかりにOpenAIの開発陣を責め立てたのだ・・・2017年初旬の段階で彼らは「AGIを実現するには莫大な計算機資源が必要とされ、それを確保するためには年間数十億ドル(数千億円)の資金が必要だ」と認識した。これほど巨額の資金を、OpenAIのような非営利団体として調達するのは極めて難しい、という結論に達したという」、なるほど。
・『マスクがOpenAIとテスラの合併を提案 2017年の末頃、マスクやアルトマンら首脳陣はOpenAIを事実上、営利企業化することで合意に近づいた。この際、マスクは自身が(営利企業化した)OpenAI株式の過半数と取締役会の指揮権を握って、そのCEO(最高経営責任者)になることを要求した。有り体に言えば、「OpenAIを自分の会社にしたい」ということだ。 しかしアルトマンやブロックマンがこれに難色を示すと、マスクはOpenAIへの資金供給をストップしてしまった。 最大のスポンサーであるマスクに資金供給を止められて、OpenAIはその研究者をはじめ従業員に毎月の給料を払うこともできなくなった。困ったアルトマンがリード・ホフマンに相談すると、彼は当面のつなぎ資金を提供してくれた(ホフマンはLinkedInを創業したことなどで有名な起業家・投資家で、OpenAIの初期の取締役の一人でもある)。 ただしマスクと(残された)OpenAI首脳陣との交渉はその後も続いた。) 「OpenAIを自分の会社にする」という最初の提案を却下されたマスクは、次に元々自分の会社であるテスラとOpenAIを合併させることを提案してきた。 OpenAI首脳陣がこの合併案を拒絶すると、マスクはOpenAIを離脱することを決意した』、「OpenAIを自分の会社にする」という最初の提案を却下されたマスクは、次に元々自分の会社であるテスラとOpenAIを合併させることを提案してきた。 OpenAI首脳陣がこの合併案を拒絶すると、マスクはOpenAIを離脱することを決意した」、なるほど。
・『「のろま!」と言い捨てて退場 2018年2月のある日、マスクはアルトマンに付き添われてサンフランシスコにあるOpenAI本社の最上階を訪れ、その従業員らにお別れの挨拶をした。 イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマンなぜ、わずか7年で奇跡の対話型AIを開発できたのか(それは儀礼的で穏やかな式典になるはずだった――マスクは自分がOpenAIを去ることを告げた上で、従業員達のこれまでの努力を讃える。一方、アルトマンもマスクがこれまでしてくれたことに謝意を示し「イーロンがOpenAIを離れるのは、テスラの仕事に集中するためだ」と述べる――そういう手はず、あるいは暗黙の了解だった。 しかし、実際にはそうスムーズに事は運ばなかった。その場にいた人達の証言によれば、マスクは別れの挨拶の途中で「自分はここ(OpenAI)を去るが、ここでやっていたようなAIの開発はテスラで続けて行う。君たちはもっと速く動く(もっと早く成果を出す)必要がある」と述べたとされる。 これにOpenAIの従業員らはムカッときた。そのうちの一人であるインターン研究員がマスクに向かって「急げ、急げと言うけど、あなたの計画は無謀ですよ」と反論した。この研究員に対し、マスクは「のろまackass)!」と言い捨てて、その場を立ち去った。 後日、OpenAI経営陣の一人が「のろまトロフィー」なるものをわざわざ業者に発注して作らせ、このインターン研究員に贈ったという。「あまり気にするな」という慰めと同時に「よくぞ言ってくれた」という感謝も込められているのかもしれない。 マスクと袂を分かったアルトマンは、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOに近づき、マイクロソフトの巨額融資を引き出して、ChatGPTの開発に邁進していくことになる』、「マスクは別れの挨拶の途中で「自分はここ(OpenAI)を去るが、ここでやっていたようなAIの開発はテスラで続けて行う。君たちはもっと速く動く(もっと早く成果を出す)必要がある」と述べたとされる。 これにOpenAIの従業員らはムカッときた。そのうちの一人であるインターン研究員がマスクに向かって「急げ、急げと言うけど、あなたの計画は無謀ですよ」と反論した。この研究員に対し、マスクは「のろまackass)!」と言い捨てて、その場を立ち去った・・・マスクと袂を分かったアルトマンは、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOに近づき、マイクロソフトの巨額融資を引き出して、ChatGPTの開発に邁進していくことになる」、「マスク」氏は気が短すぎて、摩擦を起こしているようだ。
次に、8月14日付け文春オンラインが掲載した元Twitterジャパン社長の笹本 氏による「「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」 『イーロン・ショック』より #5」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/72500
・『「要するに、彼(イーロン・マスク氏)に聞き入れてもらえるような能力が自分にはなかったということなのだと思います」。2014年からTwitterジャパンの代表取締役を務める笹本裕氏が同社を退職した理由には、世界的経営者イーロン・マスク氏との不協和があった。退職の真相を、笹本氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)』、興味深そうだ。
・『私が退職を決めた理由 私の興味関心は、とにかく日本とアジアの事業でした。 だから、少なくともアジア圏の事業について聞く耳を持ってもらえないのであれば、自分の存在は不要だなと思いました。 これは批判ではなく、イーロンは「アメリカをなんとかしないといけない」ということに99パーセント頭が行ってしまっていました。だから、もう少しイーロンが日本やアジアの事業に気を配ってくれていれば、という気持ちはあります。 エンジニアの配置についても疑問がありました。 スーパーアプリを開発するならやはり、すでにLINEやWeChatといったスーパーアプリが存在するアジアで開発するべきだと私は思っていました。アメリカにスーパーアプリはありません。ないところでそれを開発しようとしても、それに共感できるエンジニアは少ない。 だから新たなTwitterを創造していくなら、たとえば、東京にプロダクトデザインをする人たちを置いて、シンガポールにソフトウェアのデザインをする人を置く。そしてインドに開発体制を置く。私はこの3拠点制を提案していたのですが、少し時期尚早だったのかもしれません。 イーロンは「まずアメリカを回さないといけない」ということで頭がいっぱいだった。それがちょっと残念でした。「破壊と創造を一緒に動かしていくなら、私の提言が受け入れられてもよかったのにな」と。 私が辞めるに至ったのは、そういう戦略の違いがあったからです。私の力不足でもあるのですが。要するに、彼に聞き入れてもらえるような能力が自分にはなかったということなのだと思います』、「スーパーアプリを開発するならやはり、すでにLINEやWeChatといったスーパーアプリが存在するアジアで開発するべきだと私は思っていました。アメリカにスーパーアプリはありません。ないところでそれを開発しようとしても、それに共感できるエンジニアは少ない。 だから新たなTwitterを創造していくなら、たとえば、東京にプロダクトデザインをする人たちを置いて、シンガポールにソフトウェアのデザインをする人を置く。そしてインドに開発体制を置く。私はこの3拠点制を提案していたのですが、少し時期尚早だったのかもしれません・・・イーロンは「まずアメリカを回さないといけない」ということで頭がいっぱいだった。それがちょっと残念でした。「破壊と創造を一緒に動かしていくなら、私の提言が受け入れられてもよかったのにな」と。 私が辞めるに至ったのは、そういう戦略の違いがあったからです」、なるほど。
・『爪痕は残せた、はず あえて自分を擁護するなら、努力はしたつもりです。少しは爪痕を残せたはずです。 ひとつは先に触れた検索連動型の広告商品。もうひとつは私が辞めてからですが、イーロンは「日本にエンジニアを1人置くことにしたよ」と言ってくれました。ちなみに私は8人置いてくれと言っていました。だから8分の1は達成したということになるでしょうか。) 他に、「日本の売上倍増計画」を彼に提案したこともあります。これもほとんど箇条書きのようなものですが、それを書いて送って、すぐに私は辞めてしまった。だから今になってもイーロンは、「日本は倍にできるよ」と言っているようです。社員が「どうやってやるんですか?」と聞いても、イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません。戦略の詳しい中身がわからないからです。 負け犬の遠吠えでしょうか』、「「日本の売上倍増計画」を彼に提案したこともあります。これもほとんど箇条書きのようなものですが、それを書いて送って、すぐに私は辞めてしまった。だから今になってもイーロンは、「日本は倍にできるよ」と言っているようです。社員が「どうやってやるんですか?」と聞いても、イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません』、「イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません」、というのはやむを得ないだろう。
・『意に反するリストラ。せめてもの抵抗 私が退職を決めたのは、2023年2月の末と3月の頭に、私の意思と反する2度目か3度目のリストラが遂行されたのがトリガーと言えます。 私はなにより、イーロンにはTwitterの事業を成功させてほしいと思っていました。そう考えたときに、日本でのリストラは大きな間違いだと思ったのです。だから無駄な抵抗だとはわかっていましたが、自分が意思表示をすべきだと思いました。 いわば最後のあがきです。 日本でリストラをしてはいけないことは、すべて指標で説明できます。 一人頭の売上規模や収益率などをすべてきちんと説明すると、日本の事業には触ってはいけないとわかるはずです。 でも、グローバルのことを考えている彼にとっては、それはあまり関係ない。「日本の収益率はいいから」とか、そういう話を彼はあまり聞きたくない。だから「全体でとにかくあと500人減らしたい」というときに、日本はまだ人が残っているから「じゃあ日本だね」という話になってしまった。他の国はもう人が減ってしまっているから、これ以上削れないのです。 でも経営判断としては、絶対にそれは間違いなのです。そこに対する違和感は、あまりにも大きいものがありました。 このままやっていったら、日本もどこかのタイミングでガタガタッと崩れていく。まだその段階に来ていないだけです。いまは崖っ縁にいるような状態で、このままだと崖から落ちるのは見えていました。 私にできることには限界がある。だから、自分から辞めようと思っていた矢先に、イーロンからレイオフの通知が届きました』、「日本でリストラをしてはいけないことは、すべて指標で説明できます。 一人頭の売上規模や収益率などをすべてきちんと説明すると、日本の事業には触ってはいけないとわかるはずです。 でも、グローバルのことを考えている彼にとっては、それはあまり関係ない。「日本の収益率はいいから」とか、そういう話を彼はあまり聞きたくない。だから「全体でとにかくあと500人減らしたい」というときに、日本はまだ人が残っているから「じゃあ日本だね」という話になってしまった。他の国はもう人が減ってしまっているから、これ以上削れないのです」、なるほど。
第三に、8月16日付け文春オンラインが掲載した元Twitterジャパンの笹本 裕氏による「「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 『イーロン・ショック』より #8」を紹介しよう。
・『「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」――元Twitterジャパンの笹本氏が、外資系ヘッドハンターに尋ねると驚きの回答が…。笹本裕氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)』、興味深そうだ。
・『なぜ、日本人の給料はこんなにも低いのか? そもそも、なぜ日本人の給料は低いのでしょうか? Twitterを辞めようかどうしようか考えているとき、外資系のヘッドハンターと話をしました。そこで驚いたのが、どこか別の企業に行くとなると、以前日本で働いていた頃より給料が低くなってしまうということでした。 私はヘッドハンターに「これってちょっとおかしくないですか? 私の能力を買ってくれるなら、私の能力に値札を付けてほしいんです」と言いました。 実際、外国人経営者に何十億円と払いながら、日本人経営者にはその何十分の一しか払わない日本企業もあります。 私は「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」と聞きました。すると、そのヘッドハンターはこう言いました。「日本人は外資がオファーを出したときに、100万くらい年収が上がるとわかるだけで喜んでサインしてしまう。だから給与水準が低いんだよ」 先日も、ある日本の上場企業の経営者と話しているときに、その話になりました。そのときは「日本の給料が低いのは、報酬委員会が問題だよね」という話になりました。上場企業には役員報酬の開示義務があります。1億円以上の報酬を渡すと、そのことを社外に開示しなくてはいけない。このため、多くの日本企業の報酬委員会は「9999万円にしておきましょう」となりがちなのです。 今後の日本は、外貨を稼がないといけません。それなのに、外国人に高い報酬を与えて日本人は安く働く、この構造を変えていかないと、日本はマズイことになると思うのです。 日本人はこれから、世界の中で戦い、生き抜いていかないといけません。それなのに、あまりにものんびりしているなと思わざるをえません。 幸いなことに、日本は経済的にもまだまだ豊かで、自然も豊かです。こういう国は珍しい。こういう国で暮らしていると、「釜ゆでになっている可能性がある」ことに気づかない。これは怖いことです。 世界を見ると、ぜんぜん違うものが見えてきます。 たとえばオーストラリアの学生は、大学を卒業すると1年間休むといいます。就職はせずに、世界を旅行するのです。すると、視点が変わって帰ってきます。 でも日本では、学生生活は就活に追われ忙しく、卒業したら4月から就職するのが普通です。それだとどうしても視野は狭くなる。もしかしたら、そういう慣習から破壊しないといけないのかもしれません』、「「日本人は外資がオファーを出したときに、100万くらい年収が上がるとわかるだけで喜んでサインしてしまう。だから給与水準が低いんだよ」 先日も、ある日本の上場企業の経営者と話しているときに、その話になりました。そのときは「日本の給料が低いのは、報酬委員会が問題だよね」という話になりました。上場企業には役員報酬の開示義務があります。1億円以上の報酬を渡すと、そのことを社外に開示しなくてはいけない。このため、多くの日本企業の報酬委員会は「9999万円にしておきましょう」となりがちなのです・・・オーストラリアの学生は、大学を卒業すると1年間休むといいます。就職はせずに、世界を旅行するのです。すると、視点が変わって帰ってきます。 でも日本では、学生生活は就活に追われ忙しく、卒業したら4月から就職するのが普通です。それだとどうしても視野は狭くなる。もしかしたら、そういう慣習から破壊しないといけないのかもしれません」、その通りだ。
第四に、10月2日付け文春オンライン「「8000人の社員がたったの5週間で…」楽天・三木谷浩史、元Twitterジャパン・笹本裕が見た“イーロン・ショック”の衝撃」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/73848
・『直接知る二人だから分かる「衝撃」:楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏、元Twitterジャパン社長で、DAZNジャパン・アジアCEOの笹本裕氏、ジャーナリストの大西康之氏が、「文藝春秋 電子版」のオンライン番組に9月21、22日、出演した。 9年間にわたってTwitterジャパンの社長を務めた笹本氏は8月、『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋)を出版。間近で見た「経営者」イーロンの姿や、2022年10月にTwitterCEOにイーロンが就任した際の「衝撃」が赤裸々に綴られている。 三木谷氏はイーロン・マスクと旧知の仲。番組では、二人がじかに目撃したその経営手腕について迫っている』、興味深そうだ。
・『三木谷氏とイーロン氏「ぶっ飛んだところが似ている」 イーロンはTwitterのCEOに就任するや、早々に大規模人員削減に取り掛かった。 「イーロンは“破壊”することに躊躇いがありません。8000人近くの社員がいた会社が(イーロンが社長になってから)5週間ほどで2000人台まで減ってしまう。社員の数が1000人まで減ったときには“恐怖”すら感じました。とにかく、破壊をして創造していく期間が圧倒的に短い」(笹本氏)) 大西氏はイーロンの“リスク感覚”がふつうの経営者とは異なっていると指摘。「経営者として(三木谷氏とイーロンは)ぶっ飛んだところが似ている」とした』、「イーロンは“破壊”することに躊躇いがありません。8000人近くの社員がいた会社が(イーロンが社長になってから)5週間ほどで2000人台まで減ってしまう。社員の数が1000人まで減ったときには“恐怖”すら感じました。とにかく、破壊をして創造していく期間が圧倒的に短い」・・・大西氏はイーロンの“リスク感覚”がふつうの経営者とは異なっていると指摘。「経営者として(三木谷氏とイーロンは)ぶっ飛んだところが似ている」とした」、なるほど。
・『「イーロンと六本木で会うときは…」 「私とイーロンは二人とも“KPIオリエンテッド”。ビジネスはスプレッドシート、表計算にできた瞬間に勝てるという感覚がある」(三木谷氏) また、「六本木で会うときは飲んでカラオケをしているだけ(笑)」と語る三木谷氏だが、テスラやTwitterの経営について直接、イーロンから相談を受けたこともあると明かしている。 番組内ではその他にも、イーロン・マスクやジェフ・ベゾスなど「ビッグテック」のトップがメディアを買収する理由、日本経済を活性化させる起爆剤などについても意見が交わされている。 「文藝春秋 電子版」では、全編60分におよぶ番組「ビジネスが表計算にできた瞬間に勝てる理由」「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」のフル動画をそれぞれ配信している』、「「六本木で会うときは飲んでカラオケをしているだけ(笑)」と語る三木谷氏だが、テスラやTwitterの経営について直接、イーロンから相談を受けたこともあると明かしている」、なるほど。
第五に、10月2日付け文春オンライン「【9月22日(日)21時~】三木谷浩史×笹本裕×大西康之「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」(後編)」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/73605
『イーロン・ショック』特別鼎談:「文藝春秋 電子版」は9月22日(日)21時より、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史さん、元Twitterジャパン社長、DAZNジャパン/アジアCEOの笹本裕さん、ジャーナリストの大西康之さんを招いた「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」 (後編)を配信します』、興味深そうだ。
・『ビジョンは壮大、マネジメントはミクロ…… 今年8月8日、文藝春秋より『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』が刊行されました。 9年間にわたってTwitter Japanの社長を務めた笹本さんが著者となり、間近で見た「経営者」イーロンの姿や、2023年5月、TwitterのCEOにイーロンが就任した際の「衝撃」について赤裸々に綴っています。 本番組では笹本さんと旧知の仲であり、日本を代表するIT企業となった楽天グループ会長兼社長の三木谷さん、聞き手に大西康之さんを迎えた『イーロン・ショック』特別鼎談をお送りします。 〈ビジョンは壮大、マネジメントはミクロ〉――イーロン・マスクと三木谷浩史の共通点とは何か。元興銀の三木谷さんと元リクルートの笹本さんが25年前にみた「ITバブル」の衝撃とは。そして、長らく停滞する日本経済が覚醒するために必要なこととは? 「イーロン・マスク」を皮切りに、この国の未来を問う鼎談となりました。ぜひご覧ください。(後編:26分) 番組概要 番組名:日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか 出演 :三木谷浩史×笹本裕×大西康之 日時 :9月22日(日)21時00分〜21時26分 完全オンライン番組です ※視聴するには「文藝春秋 電子版」の有料会員(初月300円から)になる必要があります。入会はこちらをご覧ください・・・』、残念ながら無料版では、意味のある情報は公開されないようだ。
タグ:イーロン・マスク (その3)(イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏、「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」 『イーロン・ショック』より #5、「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 『イーロン・ショック』より #8、、「イーロン・マスクはヤバい人」東大教授たちが語 東洋経済オンライン 小林 雅一氏による「イーロン・マスクがOpenAIを「キレて去った」内幕 シリコンバレーの苛烈な「AI開発競争」舞台裏」 小林雅一『イーロン・マスクを超える男サム・アルトマン』 「人類を火星に移住させる夢を滔々と語るマスクはアルトマンにとって憧れの的だった。 このマスクにアルトマンはメールを出し、その中で「AGIを実現するためのマンハッタン計画を始めようとしているけど興味ある?」と尋ねた。マスクは「イエス」と答えた。 マスクとアルトマンは「人類に貢献する安全なAGI」を実現するため、何らかのプロジェクトを立ち上げることで合意に達した」、なるほど。 「グーグルに推定4億ポンド(約700億円)で買収された後も組織としての独立性は維持され、事実上はハサビスらの指揮の下で「ビデオゲームで遊ぶAI」などの研究開発に取り組んできた。 ハサビスらの開発チームは、ゲームAIの研究で培った「ディープラーニング」や「強化学習」などの先端技術を囲碁に応用して「アルファ碁(AlphaGo)」と呼ばれるAIを開発した。 アルファ碁は2016年3月、それまで世界タイトルを通算18回も獲得したトップ棋士、韓国のイ・セドルを4勝1敗で下した。当時、囲碁の世界チャンピオンを(アルフ ァ碁のような)AIが打破するのは少なくともあと10年はかかると見られていたのに、あっさり勝ってしまったのである」、なるほど。 「自分の方が先に注目し、目をかけてきたディープマインドという有望企業をペイジ、つまりグーグルに奪われたような気になったとしても無理はない。後にマスクがグーグルやその傘下に入ったディープマインドを殊更意識するようになる背景にはこの一件があったのだ」、なるほど。 「人間と同等かそれ以上の知能を持つAGIがそう遠くない将来に実現すること、それは人類に途方もない富や便益をもたらす一方で、誤った方向に進化すれば人類に深刻な災禍をもたらし、悪くすれば人類存亡の危機を引き起こす恐れもあること、これらの点で彼らの見解はほぼ一致した・・・ マスクとアルトマンのプロジェクトは「非営利の研究団体」となる事が決まり、マスクがこれを「OpenAI」と命名した。この研究所で開発したAI技術やソースコード(コンピュータ・プログラム)を特許で囲い込むことをせず、むしろ論文発表などを通じて技術をオープン化して人類全体に貢献するという趣旨だった。 世界有数の大富豪マスクは、OpenAIプロジェクトに気前よく1億ドル(当時の為替レートで120億円)を出すと約束した」、なるほど。 「OpenAIの開発陣に辛く当たるマスクの脳裏には、ペイジつまりグーグルに奪われた英国のスタートアップ企業「ディープマインド」の存在があった。「片や(グーグルの)ディープマインドはあれほど華々しい成果を出して世界的な脚光を浴びているのに、お前たちは一体何をやっているんだ?」とばかりにOpenAIの開発陣を責め立てたのだ・・・2017年初旬の段階で彼らは「AGIを実現するには莫大な計算機資源が必要とされ、それを確保するためには年間数十億ドル(数千億円)の資金が必要だ」と認識した。これほど巨額の資金を、Ope nAIのような非営利団体として調達するのは極めて難しい、という結論に達したという」、なるほど。 「OpenAIを自分の会社にする」という最初の提案を却下されたマスクは、次に元々自分の会社であるテスラとOpenAIを合併させることを提案してきた。 OpenAI首脳陣がこの合併案を拒絶すると、マスクはOpenAIを離脱することを決意した」、なるほど。 「マスクは別れの挨拶の途中で「自分はここ(OpenAI)を去るが、ここでやっていたようなAIの開発はテスラで続けて行う。君たちはもっと速く動く(もっと早く成果を出す)必要がある」と述べたとされる。 これにOpenAIの従業員らはムカッときた。そのうちの一人であるインターン研究員がマスクに向かって「急げ、急げと言うけど、あなたの計画は無謀ですよ」と反論した。この研究員に対し、マスクは「のろまackass)!」と言い捨てて、その場を立ち去った・・・ マスクと袂を分かったアルトマンは、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOに近づき、マイクロソフトの巨額融資を引き出して、ChatGPTの開発に邁進していくことになる」、「マスク」氏は気が短すぎて、摩擦を起こしているようだ。 文春オンライン 笹本 氏による「「自分には能力がなかった」どれだけ助言をしてもイーロン・マスクは聞く耳持たず…元Twitterジャパン社長が語った「退職の真相」 『イーロン・ショック』より #5」 笹本氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋) 「スーパーアプリを開発するならやはり、すでにLINEやWeChatといったスーパーアプリが存在するアジアで開発するべきだと私は思っていました。アメリカにスーパーアプリはありません。ないところでそれを開発しようとしても、それに共感できるエンジニアは少ない。 だから新たなTwitterを創造していくなら、たとえば、東京にプロダクトデザインをする人たちを置いて、シンガポールにソフトウェアのデザインをする人を置く。そしてインドに開発体制を置く。私はこの3拠点制を提案していたのですが、少し時期尚早だったのかもしれま せん・・・イーロンは「まずアメリカを回さないといけない」ということで頭がいっぱいだった。それがちょっと残念でした。「破壊と創造を一緒に動かしていくなら、私の提言が受け入れられてもよかったのにな」と。 私が辞めるに至ったのは、そういう戦略の違いがあったからです」、なるほど。 「イーロンは「それはお前らが考えろ」としか言いません」、というのはやむを得ないだろう。 「日本でリストラをしてはいけないことは、すべて指標で説明できます。 一人頭の売上規模や収益率などをすべてきちんと説明すると、日本の事業には触ってはいけないとわかるはずです。 でも、グローバルのことを考えている彼にとっては、それはあまり関係ない。「日本の収益率はいいから」とか、そういう話を彼はあまり聞きたくない。だから「全体でとにかくあと500人減らしたい」というときに、日本はまだ人が残っているから「じゃあ日本だね」という話になってしまった。他の国はもう人が減ってしまっているから、これ以上削れないのです」、 なるほど。 笹本 裕氏による「「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 『イーロン・ショック』より #8」 笹本裕氏の新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋) 「「日本人は外資がオファーを出したときに、100万くらい年収が上がるとわかるだけで喜んでサインしてしまう。だから給与水準が低いんだよ」 先日も、ある日本の上場企業の経営者と話しているときに、その話になりました。そのときは「日本の給料が低いのは、報酬委員会が問題だよね」という話になりました。上場企業には役員報酬の開示義務があります。1億円以上の報酬を渡すと、そのことを社外に開示しなくてはいけない。このため、多くの日本企業の報酬委員会は「9999万円にしておきましょう」となりがちなのです・・・ オーストラリアの学生は、大学を卒業すると1年間休むといいます。就職はせずに、世界を旅行するのです。すると、視点が変わって帰ってきます。 でも日本では、学生生活は就活に追われ忙しく、卒業したら4月から就職するのが普通です。それだとどうしても視野は狭くなる。もしかしたら、そういう慣習から破壊しないといけないのかもしれません」、その通りだ。 文春オンライン「「8000人の社員がたったの5週間で…」楽天・三木谷浩史、元Twitterジャパン・笹本裕が見た“イーロン・ショック”の衝撃」 『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』(文藝春秋) 「イーロンは“破壊”することに躊躇いがありません。8000人近くの社員がいた会社が(イーロンが社長になってから)5週間ほどで2000人台まで減ってしまう。社員の数が1000人まで減ったときには“恐怖”すら感じました。とにかく、破壊をして創造していく期間が圧倒的に短い」・・・大西氏はイーロンの“リスク感覚”がふつうの経営者とは異なっていると指摘。「経営者として(三木谷氏とイーロンは)ぶっ飛んだところが似ている」とした」、なるほど。 「「六本木で会うときは飲んでカラオケをしているだけ(笑)」と語る三木谷氏だが、テスラやTwitterの経営について直接、イーロンから相談を受けたこともあると明かしている」、なるほど。 文春オンライン「【9月22日(日)21時~】三木谷浩史×笹本裕×大西康之「日本の経営者はなぜイーロン・マスクに勝てないのか」(後編)」 〈ビジョンは壮大、マネジメントはミクロ〉 残念ながら無料版では、意味のある情報は公開されないようだ。
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