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東芝不正会計問題(その35)(証券取引等監視委員会が東芝を調査?、東芝の現在位置を確認しておこう、東芝・シャープが勝ち目のない案件に挑んだ理由 大失敗の共通項を神戸大学の三品和広教授に聞く) [企業経営]

東芝不正会計問題については、9月5日に取上げた。今日は、(その35)(証券取引等監視委員会が東芝を調査?、東芝の現在位置を確認しておこう、東芝・シャープが勝ち目のない案件に挑んだ理由 大失敗の共通項を神戸大学の三品和広教授に聞く) である。

先ずは、10月20日付け闇株新聞が掲載した「証券取引等監視委員会が東芝を調査?」を紹介しよう。
・証券取引等監視委員会(以下、「監視委員会」)が、東芝の2017年3月期決算の作成過程などを調査するようです。 東芝といえば2015年春に過去の不正経理が発覚し、それまでの7年間(それ以前は時効)で累計2248億円もの利益を不正に計上していた「重大な経済事件」でありながら、歴代3社長らが辞任したものの刑事事件化は見送られています。
・2015年12月に監視委員会(開示検査課)は東芝に対し73億円余の課徴金納付を勧告し、さらに佐渡賢一委員長(当時)を中心に歴代3社長の刑事責任を追及するものの、なぜかタッグを組む検察庁(東京地検特捜部)が全く動かない「珍しい構図」となっていました。 その佐渡委員長も2016年12月に退任し、新たに検察庁OBの長谷川充弘氏が後任の委員長となり、監視委員会と検察庁の不協和音も聞こえなくなっていました。つまり本年(2017年)に入ってから、東芝に監視委員会が出てくることは全くありませんでした。
・ところが本日(10月19日)、その監視委員会が東芝を調査しているとの報道が急に出てきました。だいたいこういう報道は監視委員会が各報道機関にリークするもので、どのニュースもほとんど同じで「さっぱり要領を得ない内容」となっています。 監視委員会が各報道機関にリークするときは、「それなりに本気で取り組む事案」であるはずで、そうでなくても半導体売却を巡り複雑怪奇となっている東芝に、さらに監視委員会まで加わった可能性があります。
・東芝は遅れに遅れていた2017年3月期の決算発表と有価証券報告書の提出を8月10日に行いましたが、PwCあらた監査法人は「限定付き適正意見」しか付さず、さらに3月末に切り離したWH関連を中心に9656億円もの巨額損失となりました。 それにPwCあらた監査法人が最後まで譲らなかったとされる「巨額損失の一部(あるいはほとんど)は2016年3月期に計上すべきものだった」も含めて、確かに決算発表後すみやかに監視委員会(開示検査課)が調査する条件が揃っています。しかし開示検査課だとすれば、その目的は課徴金納付など行政処分を金融庁に勧告することでしかありません。
・つまり監視委員会でも最初から刑事事件化を目的とする特別調査課の担当でなく、改めて東芝の刑事事件化を狙うわけでもないと感じます。 しかしそれだとわざわざ各報道機関にリークする必要もないはずで、違和感は残ります。調査開始に合わせて報道機関にリークするケースは、圧倒的に刑事事件化を目的とする特別調査課が担当するケースが多いからです。
・そうでなくても半導体事業売却や2018年3月期における債務超過解消などで調査開始に合わせて報道機関にリークするケースは、圧倒的に刑事事件化を目的とする特別調査課が担当するケースが多いからです。
・その半導体事業売却については、東芝は9月末にベインキャピタルが主導する日米韓連合と正式契約しています。そこで東芝自身が3505億円も出資し、突然出てきたHOYAの270億円と合わせて議決権の過半数を保有すると公表されています。 またベインキャピタルが2120億円(議決権あり)、SKハイニックスが3950億円(10年後でも議決権の15%しか保有できない)、アップルやデルなど米国企業が4155億円(議決権のない優先株)、それに三井住友銀行などが6000億円(融資)と、たしかに総額は2兆円となっていますが、あるはずの裏契約を含めた「本当の売却スキーム」が全く見えてきません。
・しかし本日はせっかく東芝と監視委員会の話題なので、この半導体事業について金融商品取引法に違反している可能性があるところを指摘しておきます。 東芝は7000億円の帳簿価格である半導体事業を2兆円で売却して利益を捻出し、さらに3505億円を「高値で」再投資することになります。その3505億円は公表が正しいとすれば、議決権の半数近いもの(つまり東芝が主導的立場にある投資家)となるはずです。 つまり東芝は自社が保有している半導体事業を、自社が再投資する高値で売却しているだけとなります。つまり東芝の半導体事業売却益は、東芝が自ら主導する高値で計算されていることになります。
・つまり東芝は自分で半導体事業売却益を積み上げていることになり、明らかな決算操作(利益の不正計上)となるはずです。せっかく監視委員会が出てきているので、この辺も調査するべきと考えますが、さてどうなるのでしょう?
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2107.html

次に、同じ闇株新聞が11月14日付けで掲載した「東芝の現在位置を確認しておこう」を紹介しよう。
・東芝は先週末(11月10日)、半導体事業の売却が債務超過解消のデッドラインである2018年3月末までに完了しない事態に備えて、6~8000億円規模の資本増強(増資のことです)の検討に入ったと報道されています。 東芝の株価はその当日(11月10日)から出来高を伴って急落しており、その前日の313円(終値、以下同じ)から本日(11月13日)は279円となっています。早くもヘッジファンドが「準備」を始めていることになります。
・本誌はもともとハゲタカファンド(ベインキャピタル)が主導するブラックボックスだらけの半導体事業売却など止めて、単に債務超過を解消するための資本増強にすべきと主張していますが、ようやくそういう意見が出てきたことになります。 ただ資本増強で2018年3月末の債務超過が解消できても、半導体事業は期をこえても売却するニュアンスで、もちろん売却条件が変更されるわけでもなさそうです。資本増強ができればとりえず東芝の上場は維持されるため、どうしても2018年3月までに売却を完了するために「ほとんど丸呑み」となっていた売却条件は変更すべきと考えます。
・11月9日に発表された東芝の2017年4~9月期決算は、営業利益が2317億円と4~9月期としては過去最高となりましたが、その82%は売却してしまう半導体事業が稼いでいます。東芝はさらにパソコンやテレビなどの事業も売却してしまうようで「いったい何の会社になるのか」がわかりません。
・ところでブラックボックスだらけだった半導体事業の売却も、少しずつその内容が明らかになっています。  まず総額2兆円の内訳は、東芝自身の3505億円とHOYAの270億円の合計3775億円で(どうせ売却時だけですが)議決権の50.1%を保有するとなっています。つまり売却時における株主資本は7535億円であるはずです。
・これにベインキャピタルの2120億円とSKハイニックスの3950億円の一部(今後10年間は議決権の15%以上を保有しないことになっています)で議決権の49.9%(3760億円)を保有することになるため、ベインキャピタルが2120億円、SKハイニックスが1640億円となるはずです。しかしそうなると売却時にSKハイニックスの議決権は21.7%となるため辻褄が合いません。
・またSKハイニックスも、参加者最大の3950億円の資金を拠出して15%以下の議決権(残りは融資だそうですが)を保有するだけとなると、SKハイニックスの株主が納得するとも思えません。何かブラックボックスが隠れているはずです。
・あとはアップル、デル、シーゲート・テクノロジーズ、キングストンテクノロジー(かつてソフトバンクが保有していた)の米国連合が議決権のない優先株(普通株への転換ができるはずです)で4155億円、三井住友銀行など日本の金融機関が6000億円を融資します。 この融資される6000億円は、売却される半導体事業会社が「せっせと」返済することになります。
・さらに東芝の半導体事業の「簿価」はずっと7000億円とされていましたが、それが「いつの間にか」8000億円に修正されています。つまり何かわかりませんが1000億円も半導体事業に「おまけ」をつけて売却することになります。 それでは8000億円の簿価の半導体事業を2兆円で売却すれば、1兆2000億円の売却益となるはずですが、これも1兆800億円となっており、その差額の1200億円は(東芝の発表ですが)弁護士費用とアドバイザーへの報酬となっています。
・本誌は以前から「決して表には出ない複数のアドバイザーが巨額報酬を山分けする」と書いていますが、それが1200億円だったことになります。2兆円の6%となりますが、融資する日本の金融機関も金利とは別に「分け前」にあずかります。
・さらにその1兆800億円の売却益から3400億円の税金を支払い、最終的には7400億円の資本増強ができることになります。売却にかかる税金は5000億円のはずですが、還付できるものもあるため最終的に3400億円の税負担となるようです。東芝は2017年4~9月期にその税負担を計上しており、最終純利益が498億円の赤字となりました。
・また東芝は過去の不正経理がどれだけ明らかになっても、東京地検特捜部が「頑として」刑事事件化しませんでしたが、実はこの半導体売却を強行すると「犯罪になるかもしれない部分」が2か所あります。 1つは、東芝はWDと共同運営する四日市工場に年間3000億円ほどの投資を行うと発表していますが、その四日市工場の東芝の持分まで売却対象となっているなら(そうでない可能性もありますが)、外部に売却すると決めている四日市工場に巨額資金を投入することになり(つまりその分はタダであげることになるため)、背任行為となります。
・もう1つは、半導体事業への最大出資者(議決権のある普通株式への出資)は東芝となります。つまり売却益の前提となる半導体事業の売却価格に東芝自身が最大出資者として影響力を及ぼしていることになり、東芝が自らの利益(売却益)を操作していることになります。 やはりどう考えても半導体事業を無理に売却しない方がいいとなりますが、それでも売却してしまうのでしょうね?
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-2122.html

第三に、11月13日付け日経ビジネスオンラインに掲載された神戸大学の三品和広教授へのインタビュー記事「東芝・シャープが勝ち目のない案件に挑んだ理由 大失敗の共通項を神戸大学の三品和広教授に聞く」を紹介しよう(▽は小見出し、――は聞き手の質問、+は回答内の段落)。
・液晶工場に巨額の資金を投じたシャープと米ウエスチングハウスを買収して原子力ビジネスに賭けた東芝には、1つの共通点がある。経験を積んでよく知っている事業なら「失敗しない」と判断し、巨額の資金を投じたことだ。なぜリスクを軽視して巨額投資に走ったのか。日本企業の経営戦略に詳しい神戸大学の三品和広教授に話を聞いた。
――巨大プロジェクトに挑み、失敗する日本企業が後を絶ちません。東芝は米国の原発建設を管理しきれず債務超過に転落し、三菱重工業は国産旅客機「MRJ」の納入延期を繰り返しています。何が原因なのでしょうか。
・三品和広教授(以下、三品):日本企業が大きな特別損失を計上したケースを分析すると、勝ち目がない案件に自ら突っ込んでいる例が目立ちます。 プロジェクトを続ける間にマネジメントを失敗し、結果が当初想定から大きく狂うというケースは、皆無ではありません。ただし、日本企業ではマジョリティー(多数派)ではないでしょう。根本的な原因は、出発段階の経営判断の甘さにあります。 ではなぜ、甘い経営判断がまかり通るのか。私は日本企業の「リスク」の捉え方が間違っているのだと分析しています。
――日本企業の経営者は、「石橋を叩いて渡らない」イメージがありますが。
・三品:ところが全然違うのです。プロジェクトに関するリスクを、2つの側面から考えてみましょう。 1つ目は「損失の期待値」。思い通りに進まなかった場合、どれぐらいの「持ち出し」が発生する可能性があるかという考え方です。「失敗する確率」と「投下金額」のかけ算で、損失の期待値は計算できます。
+米国企業は、投下金額を小さくすることで期待値をコントロールしようとします。ベンチャー投資が1つの象徴ですね。失敗する確率は高くても、少額なら経営を揺るがすような損失にはなりませんから。その中で成功が出てきたら、徐々に金額を増やしていきます。
+一方で日本企業は、まずは失敗確率を低くしようと考えます。この傾向が強いので「リスクテークが足りない」と批判されるのでしょう。半面、失敗確率が低いと判断したら、一気に巨額の資金を投じて勝負に出る。私から見たら、ものすごいリスクを取っているわけです。単純に経営が「乱暴」と言っていいと思います。 
▽経験を積んだ事業なら、失敗確率は低いのか
――計算上は、米国企業でも日本企業でも「損失の期待値」は同じようなレベルになると思います。
・三品:ここで、リスクのもう1つの側面を考えねばなりません。最悪のケースに陥ったら、最大でいくらの損失が発生するかということです。 仮に発生確率が0.1%程度に過ぎなかったとしても、不運が重なることはあり得ます。そうした時に、財務が耐えられるのかを考えておかないといけません。投下金額の絶対額を自社の財務体力と比べる必要があります。
+堺市に巨大な液晶工場を建設したシャープと巨費を投じて米ウエスチングハウスを買収した東芝は、2つ目のリスクを見誤ったのです。文字通り社運を賭けたわけですが、大きく転んで債務超過に転落してしまいました。 CFO(最高財務責任者)がCEO(最高経営責任者)の部下のようになってしまい、財務面からブレーキをかけられなかったのが1つの原因でしょう。
――シャープも東芝も、事前に「損失の期待値」については計算したのではないでしょうか。
・三品:そうでしょうね。挑戦する事業からもそうした考えが見てとれます。 シャープの場合は液晶を長年手掛けてきたので、テレビ事業なら何とかなると考えていた。東芝は数十年間にわたって原子力ビジネスを手掛けてきたので、米国でも原発建設をこなせると思っていた。
+三菱重工業のMRJも同様です。米ボーイングの下請けで経験を積んでいますし、防衛省向けの戦闘機も手掛けている。航空機に関しては全くの素人ではないという自負があるでしょう。 つまり、自分たちが経験を積んでいる事業ならば、まさか手痛い失敗にはならないだろうと思い込んでいるわけです。失敗の確率が低ければ巨大な投資をしても大丈夫。そういう理屈なのです。
――全く見知らぬ場所ではなく、経験の通用する領域で勝負するのは当たり前のように思えます。
・三品:皆さんここで計算違いをするのです。事業の中身は、時代や置かれた立場によって全く異なるからです。
▽日本と米国では原発のビジネス手法が異なる
・三品:同じテレビ事業でも、ブラウン管と液晶ではビジネスのやり方が全く異なります。原発でも相手が東京電力なのか米国の電力会社なのかで、やり方は大きく変わらざるを得ない。自らが事業主体となるMRJでは、ボーイングの下請け時代とは違った責任が生じます。 失敗した企業はこうした違いを過小評価したのでしょう。目の前に流れる川の「深さ」を確かめないまま、渡れると思い込んで足を踏み込んでしまった。過去の成功体験から自信過剰になっていたのだと思います。
――足を踏み出した段階で、既に間違っている可能性がある。
・三品:そうですね。間違った選択をしてしまう1つの理由は、日本企業が重視する「経験主義」にあると思います。 日本企業に学生が就職する時には、学校で何を勉強してきたかはあまり問われません。入社してから仕事を通じて経験を重ねていけばいいと、社長以下が考えているからです。海外でMBAを取って転職してくる人よりも、生え抜きが重用される例が多いのはその象徴です。社内で積み重ねた経験に価値があると信じているからこそ、日本企業は今でも長期雇用を維持しているのです。
+経営者になるのは、その会社の本業で誰よりも経験を積んだ人。そして、自分が過去に経験して想像できる範囲内で次の戦略を考えようとします。 自分たちが経験している領域には、当然、同業他社がいます。長い歴史の中で過当競争に陥っている事業も多い。そこで勝負するには大きな金額を張って、競合を振り切らないといけない。そんな発想に至るわけです。
+19世紀ドイツの宰相ビスマルクは「愚者は経験に学ぶ、賢者は歴史に学ぶ」という言葉を残しています。歴史は他人の経験の集合体です。ビスマルクの視点では、自らの経験からしか学ぼうとしない日本企業は愚者に他なりません。
+一方で欧米企業は、他人の経験から学ぼうとします。自社が手掛けていない分野でも関係ありません。米ゼネラル・エレクトリック(GE)が金融分野に乗りだし、ずっとパソコンを作ってきた米アップルが通信機器であるiPhoneを手掛けるようなことは、当たり前に起きています。こうした挑戦は、日本企業の発想ではあり得ません。
▽「飛び地」に挑まないのは、根本的な間違い
――新たな挑戦で、成功するかどうかは分かりません。
・三品:だからこそ、最初は小さく始めるのです。 アップルはiPhoneのために工場を作ったりしていませんよね。2008年に「iPhone3G」を投入し、それが成功したことを見極めてから、徐々に小さな会社を買収して機能を強化していく。これが本来のリスクテークのあり方なんです。 米グーグルも米アマゾン・ドット・コムも、最初のビジネスは小さなサーバーでできる範囲にとどめていました。お客さんが付いて資金が回り出してから、本格的に投資を始めました。
+インターネットの登場で様々なビジネスが大きく変わり始めた時期に、グーグルは広告で、アマゾンは通販でそれぞれ最適な「立地」を押さえました。「揺籃期」なら市場規模はまだ小さいので、少額投資でも大きな存在感を示せます。その後、市場の成長に合わせて投資を増やしていけばよいのです。
+一方の日本企業は、経営陣が臆病で未経験の事業を判断できません。成熟産業でも新たな事業機会はどんどん立ち上がっているのに、「お手並み拝見」と眺めているだけ。経験を積んで勝手が分かる事業以外には、投資する勇気が無いのです。 「飛び地」には行かないと宣言する経営者がいますよね。あの発想は根本的に間違っています。自らの経験のみを重視して、世の中で新たに登場するニーズや可能性に興味を持っていないというのと同義ですから。
――戦略的に「立地」を押さえるのではなく、後から挽回しようとするから失敗してしまう。
・三品:そういうことです。慣れ親しんだ事業が成熟してくると、状況を変えようとして大型投資に走るわけです。ある意味で乱暴な手法で勝ちを収めようとする。これが多くの失敗の共通点です。 日本企業がそういう乱暴な経営をしてしまう理由はもう1つあります。社長の任期が4~6年と短いことです。3年の「中期経営計画」を2回転して退任するのが典型的なパターンになっています。
+この6年の期間で歴史に名を刻むには、小さな事業を育てていくのでは間に合いません。機が熟しているかどうかは関係なく、何らかの勝負に挑む必要があると考えるのでしょう。だからこそ、「高値づかみ」だと分かっていても後には引けないのです。 後任の社長も失敗をすぐに修正できません。多くの日本企業では実績と経験に基づき、前任社長が後継者を指名するケースが今も続いているからです。
+そうした意味からも、ガバナンス改革を急がねばなりません。 「執行」に携わるのは経験主義の中で育ってきた人でもいいんです。日本企業が強みとする実務では、経験が絶対に必要ですから。一方で「経営」する人、戦略を描く人はその延長線上では育ちません。ここをちゃんと区別する必要があります。だからこそ指名委員会の役割が大きくなると考えています。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110900179/110900002/

第一の記事で、 証券取引等監視委員会による、 『調査開始に合わせて報道機関にリークするケースは、圧倒的に刑事事件化を目的とする特別調査課が担当するケースが多い』、らしいが、仮に開示検査課が担当するのであっても、 『そうでなくても半導体売却を巡り複雑怪奇となっている東芝に、さらに監視委員会まで加わった可能性があります・・・また東芝の新たな波乱となるかもしれません』、 『東芝は自分で半導体事業売却益を積み上げていることになり、明らかな決算操作(利益の不正計上)となるはずです。せっかく監視委員会が出てきているので、この辺も調査するべきと考えますが、さてどうなるのでしょう?』、などから調査結果の発表は大いに待たれるところだ。
第二の記事で、 『資本増強で2018年3月末の債務超過が解消できても、半導体事業は期をこえても売却するニュアンスで、もちろん売却条件が変更されるわけでもなさそうです。資本増強ができればとりえず東芝の上場は維持されるため、どうしても2018年3月までに売却を完了するために「ほとんど丸呑み」となっていた売却条件は変更すべきと考えます』、との指摘は正論だ。 『本誌は以前から「決して表には出ない複数のアドバイザーが巨額報酬を山分けする」と書いていますが、それが1200億円だったことになります』、とさすが闇株新聞の指摘は鋭い。 『この半導体売却を強行すると「犯罪になるかもしれない部分」が2か所あります・・・やはりどう考えても半導体事業を無理に売却しない方がいいとなりますが、それでも売却してしまうのでしょうね?』、東芝の「お手並み拝見」といくしかない。
第三の記事で、 『日本企業は、まずは失敗確率を低くしようと考えます・・・失敗確率が低いと判断したら、一気に巨額の資金を投じて勝負に出る。私から見たら、ものすごいリスクを取っているわけです。単純に経営が「乱暴」と言っていいと思います』、 『目の前に流れる川の「深さ」を確かめないまま、渡れると思い込んで足を踏み込んでしまった。過去の成功体験から自信過剰になっていたのだと思います』、 『間違った選択をしてしまう1つの理由は、日本企業が重視する「経験主義」にあると思います』、 『ビスマルクの視点では、自らの経験からしか学ぼうとしない日本企業は愚者に他なりません』、 『慣れ親しんだ事業が成熟してくると、状況を変えようとして大型投資に走るわけです。ある意味で乱暴な法で勝ちを収めようとする。これが多くの失敗の共通点です。 日本企業がそういう乱暴な経営をしてしまう理由はもう1つあります。社長の任期が4~6年と短いことです。3年の「中期経営計画」を2回転して退任するのが典型的なパターンになっています』、などの指摘はその通りなのだろう。特に、社長の任期の問題は、日本企業は長期的視点に立った経営が可能なのが「強み」、との一般的な常識を覆すものであり、私も考え直させられた。
タグ:東芝不正会計問題 (その35)(証券取引等監視委員会が東芝を調査?、東芝の現在位置を確認しておこう、東芝・シャープが勝ち目のない案件に挑んだ理由 大失敗の共通項を神戸大学の三品和広教授に聞く) 闇株新聞 「証券取引等監視委員会が東芝を調査?」 監視委員会が各報道機関にリーク 調査開始に合わせて報道機関にリークするケースは、圧倒的に刑事事件化を目的とする特別調査課が担当するケースが多い 調査開始に合わせて報道機関にリークするケースは、圧倒的に刑事事件化を目的とする特別調査課が担当するケースが多いからです 東芝は自分で半導体事業売却益を積み上げていることになり、明らかな決算操作(利益の不正計上)となるはずです。せっかく監視委員会が出てきているので、この辺も調査するべきと考えますが、さてどうなるのでしょう? 「東芝の現在位置を確認しておこう」 6~8000億円規模の資本増強(増資のことです)の検討に入ったと報道 資本増強で2018年3月末の債務超過が解消できても、半導体事業は期をこえても売却するニュアンスで、もちろん売却条件が変更されるわけでもなさそうです 半導体事業の売却 差額の1200億円は(東芝の発表ですが)弁護士費用とアドバイザーへの報酬 本誌は以前から「決して表には出ない複数のアドバイザーが巨額報酬を山分けする」と書いていますが、それが1200億円だったことになります はこの半導体売却を強行すると「犯罪になるかもしれない部分」が2か所あります 四日市工場に年間3000億円ほどの投資を行うと発表 四日市工場の東芝の持分まで売却対象となっているなら(そうでない可能性もありますが)、外部に売却すると決めている四日市工場に巨額資金を投入することになり(つまりその分はタダであげることになるため)、背任行為となります 半導体事業への最大出資者(議決権のある普通株式への出資)は東芝となります。つまり売却益の前提となる半導体事業の売却価格に東芝自身が最大出資者として影響力を及ぼしていることになり、東芝が自らの利益(売却益)を操作していることになります 日経ビジネスオンライン 三品和広 「東芝・シャープが勝ち目のない案件に挑んだ理由 大失敗の共通項を神戸大学の三品和広教授に聞く」 根本的な原因は、出発段階の経営判断の甘さにあります。 ではなぜ、甘い経営判断がまかり通るのか。私は日本企業の「リスク」の捉え方が間違っているのだと分析 米国企業は、投下金額を小さくすることで期待値をコントロールしようとします 日本企業は、まずは失敗確率を低くしようと考えます 敗確率が低いと判断したら、一気に巨額の資金を投じて勝負に出る。私から見たら、ものすごいリスクを取っているわけです。単純に経営が「乱暴」と言っていいと思います リスクのもう1つの側面を考えねばなりません。最悪のケースに陥ったら、最大でいくらの損失が発生するかということです 堺市に巨大な液晶工場を建設したシャープと巨費を投じて米ウエスチングハウスを買収した東芝は、2つ目のリスクを見誤ったのです。文字通り社運を賭けたわけですが、大きく転んで債務超過に転落してしまいました CFO(最高財務責任者)がCEO(最高経営責任者)の部下のようになってしまい、財務面からブレーキをかけられなかったのが1つの原因 シャープの場合は液晶を長年手掛けてきたので、テレビ事業なら何とかなると考えていた。東芝は数十年間にわたって原子力ビジネスを手掛けてきたので、米国でも原発建設をこなせると思っていた 事業の中身は、時代や置かれた立場によって全く異なるからです。 失敗した企業はこうした違いを過小評価したのでしょう。目の前に流れる川の「深さ」を確かめないまま、渡れると思い込んで足を踏み込んでしまった。過去の成功体験から自信過剰になっていたのだと思います 間違った選択をしてしまう1つの理由は、日本企業が重視する「経験主義」にあると思います。 自分たちが経験している領域には、当然、同業他社がいます。長い歴史の中で過当競争に陥っている事業も多い。そこで勝負するには大きな金額を張って、競合を振り切らないといけない。そんな発想に至るわけです ビスマルクの視点では、自らの経験からしか学ぼうとしない日本企業は愚者に他なりません 飛び地」に挑まないのは、根本的な間違い 日本企業は、経営陣が臆病で未経験の事業を判断できません。成熟産業でも新たな事業機会はどんどん立ち上がっているのに、「お手並み拝見」と眺めているだけ。経験を積んで勝手が分かる事業以外には、投資する勇気が無いのです 「飛び地」には行かないと宣言する経営者がいますよね。あの発想は根本的に間違っています。自らの経験のみを重視して、世の中で新たに登場するニーズや可能性に興味を持っていないというのと同義ですから 慣れ親しんだ事業が成熟してくると、状況を変えようとして大型投資に走るわけです。ある意味で乱暴な手法で勝ちを収めようとする。これが多くの失敗の共通点です 日本企業がそういう乱暴な経営をしてしまう理由はもう1つあります。社長の任期が4~6年と短いことです。3年の「中期経営計画」を2回転して退任するのが典型的なパターンになっています
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