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介護施設(老人ホーム)問題(その2)(旧ワタミ・旧メッセージの老人ホームは今どうなっているか、岐阜の老健施設「ひどすぎた地元の評判」、食堂に3時間放置 朝3時に着替えの介護現場)  [社会]

介護施設(老人ホーム)問題については、5月4日に取上げた。今日は、(その2)(旧ワタミ・旧メッセージの老人ホームは今どうなっているか、岐阜の老健施設「ひどすぎた地元の評判」、食堂に3時間放置 朝3時に着替えの介護現場) である。

先ずは、7月4日付けダイヤモンド・オンライン「旧ワタミ・旧メッセージの老人ホームは今どうなっているか」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは回答、+は回答内の段落)。
・SOMPOホールディングスは7月から子会社化していた介護事業2社(旧・ワタミの介護=現・SOMPOケアネクスト、旧・メッセージ=SOMPOケアメッセージ)の一体運営を開始した。経営や人事、総務など本社機能を一体化し、社長以下役員を含め、本社勤務社員も2社を兼務する。そこで、7月から両社の社長を兼務する遠藤健氏(前・SOMPOケアネクスト社長)に話を聞いた。
▽大手老人ホーム2社を買収したSOMPOホールディングス
・「高齢者市場」の代表格のビジネスである介護事業――。近年、その需要増を見込んで、異業種の大手企業が老人ホーム事業会社などを買収して介護業界に参入する事例が相次いでいる。SOMPOホールディングス(当時の社名は損保ジャパン日本興亜ホールディングス)は、まさにその主役となった。
・2012年9月に有料老人ホーム「ラ・ナシカ」などを展開するシダーへの資本参加をきっかけに、15年12月には有料老人ホーム「レストヴィラ」を展開するワタミの介護を完全子会社化、16年3月には有料老人ホーム「アミーユ」、サービス付き高齢者向け住宅「Sアミーユ」などのメッセージをTOBで完全子会社化し、一気に介護業界2位に躍り出たからである。
・話題性も大きかった。 旧・ワタミの介護、旧・メッセージの両社とも、カリスマ性の高い経営者(ワタミ創業者の渡辺美樹氏、メッセージの橋本俊明氏)が運営する老人ホームとして有名であり、時期的にも両社では介護職員による入居者への虐待や事故、介護職員の過酷な勤務状況などが大々的に報じられていた最中だったからだ。
・さらに、買収の規模に加え、参入・運営の手順も過去の「業界常識」と大きく異なるものだった。これまで大手保険会社など異業種が老人ホームを手がける場合、比較的リスクの少ない富裕層向けの高級老人ホームから始めるのが常だったからである。いきなり、ボリュームゾーンとなる大量の一般大衆向けの介護施設で、両社合わせて299施設の有料老人ホーム、132棟のサービス付き高齢者向け住宅の運営を始めることになったからだ。
▽入居率は徐々に改善 一体運営で強みを生かす
Q:両社を子会社化した当時、入居者への事故や事件の報道の最中にあり、両社のホームの入居率は低迷していました。特に旧・メッセージは、非常に入居率が高い人気のホームで有名でしたが、職員による入居者の殺害という致命的な事件がありました。入居率やクレームの状況はどうなのでしょうか。
A:SOMPOケアメッセージの入居率は、昨年の4月前後は85%程度まで落ちていた。今年の1月以降は有料老人ホームで87.6%、サービス付き高齢者向け住宅で84.9%まで回復している。18年度中には90%台の回復を目指している。これまでは積極的な営業よりも、人員や組織、職員教育などの体制固めを重視していたためでもあり、今後は回復していくと思う。
+SOMPOケアネクストの入居も順調に回復しており、2017年3月には単月入居数が過去最大の239人を達成した。ちなみに、過去の最大は12年2月の234人(旧・ワタミの介護時代)だった。 正直に言えば、クレームの件数自体は増えた。ただし、これはクレームや意見を吸い上げる体制がきちんと整ったためであり、むしろ、深刻なクレームや事故・事件性の高い案件は減少している。入居者・家族から寄せられるご意見のハガキも私はすべて目を通している。
Q:今回の一体運営の狙いは何ですか。両社の合併は視野には入れなかったのでしょうか。
A:両社の子会社化から1年ちょっと経過し、それぞれの強みや課題が分かってきた。ケアメッセージは個々の入居者に対してケアプランを作って、細かいケアを行うことにこだわりを持ち、介護や勤務シフトの効率性も重視している。その半面、経験の少ない施設長が運営するなど場合によっては、職員や入居者にとっても余裕のない介護になってしまう危険性もあった。
+一方、ケアネクストは入居者の幸せやおもてなしを大事にする文化があり、食事やレクリエーションなどを重視しているが、ケアプランなどへのこだわりや介護の効率性などはケアメッセージより劣る。
+とにかく、その強みは相乗的に生かす一方で、課題は少しでも早く解消するのが目的だ。社長を含め役員が両社兼務する体制となれば、スピード感のある意思決定が可能となる。経営の効率化にも役立つ。例えば、共同購買をすれば、コスト削減にもつながる。
+老人ホームなどの介護現場やブランドは従来通り維持する。ただし、今秋から現場レベルでも両社の人事交流は始めたいと思っている。 両社の合併という選択肢も考えたが、手続きのほか、システムや人事制度等のインフラ整備が大変で時間がかかると判断した。やるとしても、しばらく先になるだろう。 昇格や処遇、福利厚生などの人事制度については、今年度中から着手して、2018年度から統一したいと考えている。
▽介護職員の離職率減少が重要課題
Q:両社を子会社化し、介護事業を本格的に始める際、介護職員の処遇改善や離職率の減少などを強調していました。順調に進んでいるのでしょうか。
A:当然、一体運営に伴い、処遇面なども底上げしたい。 キーになるのが、何よりも離職率の減少だと思っている。周知の通り、介護業界は離職率が大変高い業界だ。弊社の場合も、両社の介護職員の離職率は平均で約20%である。そのうち、1年未満での離職者が6割もいる。
+これは業界の特徴とはいえ、なんとかしたい。介護職員の10~15人程度の小規模なミーティングに参加したことがあるが、そこで、入社の動機を聞いてみると「子どものときにおじいちゃんやおばちゃんに世話になったけれど、十分なお世話ができないうちに亡くなってしまったので、恩返ししたい」と夢を語る人が5割くらいいた。そういう人が入社しても、十分な教育も受けられず、ミスした際にはもの凄く怒られる…という状況では、嫌になって辞めてしまうのではないか。
+課題としては、介護職員の離職率を半分の10%にしたい。17年度中には15%程度にし、18年度中には達成したい。これは全役員の共通の目標としている。離職率を10%に減らせば、採用コストが削減できる。その減らしたコストを職員の処遇改善に回すことができる。長く勤める人が増えれば、業務も効率化が進み、介護技術も向上する。
+現在、LINEで社長以下役員と新入社員でグルーピングして、いろいろ悩みがあったら聞くなど会話を試みている。まず、新卒から大事に育てたいと思っている。幸いなことに、2017年度は両社合わせて、193人(メッセージグループ121人、ネクスト72人)の新卒者が入社している。
Q:介護の質を上げるために、ICT(情報通信技術)の積極的な導入や、職員教育の強化、介護職員の介護福祉士(介護の国家資格)の有資格者を増やすなどの目標も掲げていました。
A:人材の教育は何よりも重要だ。まず、2016年6月にケアネクストが開設した研修センターは、7月からはさらに拡大しており、従来以上に研修面には力を入れていく。 介護福祉士の常勤介護職員に占める比率は、ケアネクストが39.1%、ケアメッセージが49%と、2016年3月時点と比較してもそれぞれ、約4%、約8%と上昇している。
+ICTの導入については、超音波センサーで膀胱内の尿量の変化を検知することにより、排尿パターンを把握できる排泄予知デバイス「DFree」の導入を進めてきた。入居者をトイレに連れて行く必要がないのに、無理に連れて行ったりする「空振り」も減らすことができる。これは入居者や介護者にもメリットが大きい。今年の10月からケアネクストすべてのホームに導入する。10月以降はケアメッセージのホームにも順次、導入していく。
▽慢性的人材不足に付随するリスクを常に認識できるか
・介護業界は人件費が6~8割を占めるという典型的な労働集約型産業だ。サービス自体、良くも悪くも極めて属人的な面が強い。しかも、給与や休みの取りやすさなどの処遇面が悪く、慢性的な人手不足の状態が続いている。とはいえ、給与などの処遇面を上げれば、社会保障費や利用者の負担も増すために、改善は容易ではない構造にある。
・また、老人ホームなどの介護施設は必要最低限の人員配置が事業の条件となっているため、事業継続のためには何が何でも一定の人手を確保しなくてはならない。その結果、「面接に来た人はほぼ100%採用」(業界関係者)というのが、業界の実態となっている。
+先述した通り、これまで異業種の大手企業が介護事業に参入する場合、富裕層向け中高級ホームから始める場合が多いのも、(1)家族ではなく、入居者本人が決めることが多いのでサービスが差別化しやすい、(2)人員を多く配置するなどして、上乗せ料金を得ることができる、そして何よりも(3)比較的に職員の募集が容易、等の理由があるからだ。
+SOMPOホールディングスが着手した一般大衆向けの老人ホームは、富裕層向けに比べると、必要に迫られた家族が選ぶことが多いため、サービスの差別化やブランドの訴求が難しい。介護職員の募集も容易ではない。 「何よりも職員の離職率の低下と教育が重要と意識している」と繰り返し強調する遠藤社長は、その点の課題を理解しているのだろう。問題は今後事業が成長に転じて、緊張感がなくなった頃だ。
+これまで大きな事件・事故を起こした老人ホームや介護施設は、事業の成長や継続のためとはいえ、「苦しさのあまり、本来なら介護職には向かないような人物を採用してしまったことが根底にある」と多くの介護事業経営者らが口にする。
+具体的には、「急成長」→「施設数の増加」→「経営者や本部の目が行き届かなくなり、ますます人材不足になる」→「無理な人材募集や長時間勤務」→「ベテラン職員の離職」→「現場の破綻」→「事件・事故の発生」→「経営悪化」というパターンを辿ってきた。
+慢性的な人手不足、増える競合先、厳しくなる介護報酬など、むしろ介護業界を取り巻く環境は厳しさを増している。もし、「現場の悲鳴」を見逃し続ける事態が発生すれば、改めて大きな事故・事件が発生するというリスクは、常に意識する必要があるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/134040

次に、9月4日付け現代ビジネス「5人死傷・岐阜の老健施設「ひどすぎた地元の評判」 遺族には十分な説明さえなく」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは回答)。
・飛騨高山では赤十字病院と並んで、知らぬ者はいない老健施設だ。ここで老人たちが次々と不審死したというので、町中が大騒ぎだ。疑惑の主の正体は――。
▽疑惑の男
・自宅前には、「防犯カメラ作動中」「これ以上の取材にお答えする事はありません」と物々しい掲示がされている。高橋寛治(仮名・敬称略)は集まった報道陣にこう答えた。
Q:話すことは?
A:「不可能です。疲れているんです。こういうことがあって精神的に疲れない人はいないと思う」 Q:ご自身は関わっていないのですね?
A:「間違いないですよ。それでもういいですね」
・岐阜県高山市の介護老人保健施設「それいゆ」で、7月末から半月で3人が死亡し、2人が負傷した。5人すべての介助に関わっていた職員は一人しかいない。30代男性の高橋だ。 岐阜県警は特別捜査本部を23日に設置、事件・事故の両面から捜査を開始した。疑惑の目は高橋に向けられているが、本人は一切の関与を否定している。
・高橋の関与の有無は現時点ではまったく不明だ。だが、この高橋は、介護職員としての適性を著しく欠いていたようだ。「それいゆ」の前に高橋が勤務していた老健施設の関係者が語る。 「高橋君は'15年10月から、認知症患者のフロアで介護助手として勤務していました。介護の仕事は初めてのはずです。 介護の現場、とりわけ重度の認知症患者さんを相手にしていると、スムーズに物事が進まないことばかりです。そのときに、彼は感情をコントロールすることができなかった。
・車椅子に乗った患者さんについているとき、突然怒り出して車椅子を蹴っ飛ばしたことが何度もありました。上司が目にして注意したこともありましたが、反省している様子もなかったですね」 高橋の突然の「激昂」は施設内でも有名だったという。そのため、3ヵ月の試用期間が経過しても、正社員採用は見送られた。関係者が続ける。「'16年の8月頃のことです。その日彼は首から下を入浴介助する担当になっていました。これは大変な業務なのですが、彼はその日6人を担当したんです。 翌週、別の職員が同じ業務をやったとき、その日の利用者さんは4人だった。日によって人数がまちまちなのは当然です。 ところが、それに気づいた高橋君は『なんで俺は6人やったのに、あいつは4人なんだ!俺ばっかり!』と大声で叫んだ。みんな呆然としましたよ」
・常にこんな調子だったので、職員たちは腫れ物に触るような扱いだった。 「問題行動が相次ぐので、夜勤のシフトからは外されていました。夜勤は基本的に1フロアを2人でまわすため、1人が休憩に入ると2時間ほどは1人で対応せねばならないからです。高橋君は何をするかわからないと言われていた」
▽監視カメラは故障していた
・やがて高橋は自己都合退職の扱いで施設を退職した。だが、同僚たちが驚いたのは、その後の高橋の行動だ。 退職からほどなく、高橋が転職したのは、同じ市内の老健施設「それいゆ」。またしても介護職員となったのだ。 そこから今回の事件は起こった。被害者はいずれも高橋が勤務していた2階の認知症患者のフロアにいた。
・門谷富雄さん(80歳)は7月31日、喉に食べ物が詰まった状態で見つかり死亡。8月6日には石本きん子さん(93歳)が頭を強打した状態で見つかり、翌日死亡。 8月13日に死亡した中江幸子さん(87歳)は、肋骨が肺に刺さった外傷性血気胸で死亡している。体調に異変をきたした前日、家族は中江さんの首や胸に赤いあざの痕があるのに気づいた。
・中江さんの長男(60代)が語る。「病院からのちゃんとした説明もありません。22日の昼頃に、理事長たちが『お参りさせてください』とお線香を上げに来ましたけど、10分くらいですぐ帰りました。お参りに来るのも遅いと思います。 母が『それいゆ』に入所するのは今回が初めてではなかったんですが、まさかこんなことになるとは……。職員の高橋?スタッフは入れ替わり立ち替わりしているから、誰かわかりませんよ」
・職員が入れ替わり立ち替わり――。実際、「それいゆ」の地元での評判はあまり芳しくない。 元従業員がこう語る。「人の出入りが激しいのは有名です。求人募集は常時といってもいい。人使いが特に荒いわけではないんですが、理事長から『君たちの代わりはいくらでもいるんだから』と言われたこともありますし、働く人の気持ちをないがしろにしている施設でしたね。給料もよくはなかった」
・中江さんの死亡後も、8月15日に女性(91歳)の肋骨が折れ、16日には女性(93歳)に肺挫傷が見つかり、いずれも入院している。 家族を入所させていた60代男性が語る。「人間扱いしてくれないんですよ。私の義父を『それいゆ』に入れていたんですが、ある日いつもの部屋に行ったらいない。  たしかに義父は少しボケがあったけれど、大部屋に移されて、GPSのタグまでつけられていた。何考えてんだ、と怒って別の病院に移しました」
・施設近くに住む60代男性も言う。「『あそこに入れると、認知症になって帰ってくる』と言われていますよ。近所のおばあちゃんも、亡くなってから体中にあざが見つかったこともあった。評判は悪いですよ」 皮肉なことに、他の施設は満床が多くなかなか入れないが、「それいゆ」は割とすんなり入れる、という意味で人気があったという。
・折茂謙一理事長の古くからの友人が語る。「'97年設立の『それいゆ』は飛騨高山地方で最初の介護老健施設だったんです。デイサービスが大当たりして、多いときは1日に100人ほど受け入れていましたから、『それいゆ』建設時の借金は数年で返せたと理事長は言っていました。 経営する医療法人同仁会は病院も含めて、十数の施設を運営しています。理事長の奥さんがやり手で、住宅型有料老人ホームを3年前に開設するときは『飛騨高山を売りにしてネットで集めれば、一時金1500万円でもすぐに集まるわよ』と強気の発言をしていました。
・けっきょく人が集まらず金額を下げたようですが、そういうお金の勘定はすごかったですね」 折茂理事長は「短期間で5例発生したことは問題で異常だ。警察に依頼して原因究明をしている」と語る。 捜査関係者は言う。「警察の捜査はやや後手に回った。理由は不明だが監視カメラが故障していたり、施設の記録もきちんとしていない。 認知症の入所者同士でも暴行はあり得るし、不明な点は山ほどある。高橋からの本格的な聴取はこれからで、先に施設関係者から始める。長期化する可能性もある」
・高橋の母親に問うと、こう答えるのみだ。「警察からは何もないし、むしろこちらが教えて欲しいくらいですよ」)
▽虐待はどの施設でもある
・介護施設での暴行事件は枚挙にいとまがない、と語るのは首都圏の老健施設に勤務する介護士(30代・女性)だ。 「介護職として初めて勤務したとき、ある先輩がこう言ったんです。『蹴るんだったら膝から下にしてね』耳を疑いましたが、彼女はこう続けました。『顔や手はダメですよ。膝下だったらベッドにぶつけたとか階段にぶつけたとか、いくらでも言い訳できるでしょう』表情も変えずに言うもので、怖くなりました」
・九州地方の老人ホームの介護士(40代・男性)も言う。「介助させるといつも利用者を転倒させてしまうという介護スタッフがいました。基本的な介護の素養がまったくなく、まるでモノを扱うように利用者に接するのです。 襟首をつかんで持ち上げて車椅子にドシンと落としたり、ベッドにも放るように落としたりする。高齢になると、骨は思いのほかもろくなります。まして言葉を出せない人であれば、骨折しているかどうかもすぐにはわからない。 このスタッフは、骨折事件を何度も起こし、解雇されました」
・こんな証言はぞろぞろあるのだ。 今から3年前、川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で80~90代の入所者3人が相次いで転落死した事件があった。 発覚から約1年後の'16年2月に殺人で逮捕されたのはホームに勤務する職員(当時23歳)だった。動機を「介護の仕事にストレスがたまっていた」と語っている。
・この事件を丹念に取材したノンフィクション作家の中村淳彦氏は言う。「虐待はどこにでもあります。だが、目の前で見ているわけではないから証拠はないし、施設側は完全な防止をしようがない。とりわけ認知症の入居者の対応に耐えられなくなって虐待に走るケースが多い。
・そもそも高齢者が終末期を過ごし、日常に死がある環境です。人手不足により、資質に欠ける人間でも、介護職員に紛れ込んでしまっている現状と、死が日常にある閉塞した環境が虐待の背景にあるのです」 「それいゆ」は氷山の一角なのだ。一刻も早い捜査の進展が望まれる。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52745

第三に、健康社会学者の河合 薫氏が11月21日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「食堂に3時間放置、朝3時に着替えの介護現場 「対策は職員のストレスケア」という厚労省のピンぼけっぷり」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・なぜ、こんなにも“温度”が下がってしまったのか。 慣れっこになった? 仕方がないとあきらめた? あるいは「自分には関係ない」と思っているのか。
・数年前には連日連夜大々的に取り上げられた“介護施設での事件”が、今回はテレビではあっさりと、紙面では三面で小さく報じられている。 はい、そうです。今年の8月に東京都中野区の有料老人ホームで、入所者の男性(83歳)を殺害したとして元職員の男(25歳)が逮捕された事件です。
・「介護に対する自信がなくなった」として9月に依願退職していた元職員の男は、8月22日の早朝、ホーム内の浴室で入所者の男性を浴槽に投げ入れてお湯を張り、沈めて殺害。男性の死因は溺死で、首を絞められた形跡もあった。 「布団を何回も汚され、いい加減にしろと思ってやった。ベッドで一度首を絞めた。その後、浴室も汚したので風呂に沈めた」――。
・男はこう容疑を認め、「大変なことをしてしまった」と泣きながら当時の状況を自供。昨年6月から現場のホームに勤務していたが日常的な暴行や他の入所者の被害は確認されていない。また、殺害された男性は校長などを勤めた方で、難病で介護が必要だったが支えがあれば歩くことができた。
・ホームを運営するニチイケアパレスは 「遅刻や欠勤はほとんどなく、まじめに勤務していた。メンタルヘルスのチェックもしていたが、ひっかかることは一切なかった。当時の勤務体制は国の基準を満たしている」と説明。
・また、厚労省は介護施設の職員による高齢者への虐待が年々増加していることから(※)、自治体に再発防止策をとるように通知。施設長を対象に研修を実施し、「職員のストレス対策」として対人関係スキルの向上や感情コントロールスキルの習得などの教育を求めている。 ※厚労省の調査で介護施設での虐待は06年の54件から9年連続増加し、15年度は408件、被害者は778人だった(こちら※PDFファイルです)。
▽これで「基準を満たしている」なら、基準が間違ってるのでは
・さて、……なんと言ったらいいのだろう。気の利いたコメントが思いつかない。 ただ、介護施設での事件を「個人の問題」にしていては悲惨な事件があとを絶たないことは明白である。 つまり、「国の基準を満たしている」とか、「職員のストレス対策を厚労省は指示している」とか、「体制に問題はありません!」とするのではなく「介護現場の問題」として改善策を講じる必要があることが、もはや確実になった、ってこと。
・これまでも介護現場の問題点を指摘してきたが、改めて「終の住処の“今”」のデータや証言をもとに、私たちの未来を考えてみようと思う。 まず最初に、今回の事件でホームの運営側が「国の基準を満たしている」としている点だが、特別養護老人ホームや有料老人ホームでは、職員1人が入所者3人を受け持つという決まりがある。 だが、実際にはこの基準で高齢者の「日常ケア」を行なうのは厳しく、夜勤の1人勤務や連続16時間勤務、月10回以上の夜勤が横行している(こちら※PDFファイルです)。
・一方、数年前に介護施設の虐待が社会問題化したため「1対2.5」「1対1.5」といった具合に国の基準を上回る割合で職員を置く施設も増えた。 厚労省が行った調査では、特養ホームの人員配置は全国の平均で「1対2」。基準の見直しを求める声はすでにあがっている。しかし、最低基準が厳しくなれば運営できない施設が急増する怖れもある。
・言わずもがな、介護施設は慢性的な人手不足だ。 介護保険制度が施行された2000年の介護職員は55万人。その後徐々に増加し、2013年には171万人と約3倍になったが、高齢化のピッチが速すぎて職員の数を増やしても増やしても追いつかない現実がある。
▽介護施設は人手不足と競争激化で倒産が増加
・実際、62.6%の事業所が「人手が不足している」と回答し、職員側の悩みも「人手が足りない」(53.2%)がトップだ。職員への「今の仕事を続けたいか?」との問いに「はい」と答えた人は53.7%で、前年に比べ11.8ポイント下がった。年間の離職率は前年より悪化し16.7%で、全産業平均の15%を上回っている。
・懸念されている賃金だが、16年9月時点の平均賃金(月給)は22万4848円で、前年の21万7753円から7095円増えた。しかしながら全産業と比較すると月給で約10万円、年収では100万円超低く、低賃金も解消されていない(これらの数字は全て厚生労働省所管の公益財団法人「介護労働安定センター」調べ)。
・重労働、急激な高齢化、さらには低賃金による離職率の高さから生じる慢性的な人手不足は、経営も圧迫している。 老人ホームなどの介護事業者の倒産件数はここ5年間で急増し、昨年は過去最多の108件。今年も8月時点ですでに62件が報告されており、昨年を上回る可能性が高い。 負債額を比較すると、昨年は108件の倒産で94億600万円だったのに対し、今年は62件で121億7,000万円の倒産ペース。つまり、大型の施設の倒産が相次いでいるのだ(東京商工リサーチ調べ)。
・もともと介護施設の経費は、7割を人件費が占めている。 2015年の介護報酬引き下げ(2.27%減)は業界には大きな打撃だったが、追い打ちをかけたのが国の「介護の受皿を増やす」政策。競争相手が増え、人員確保がさらに難しくなり、体力を増々低下させた。
・需要は増す一方なのに、報酬の減少、コスト増、競争激化による倒産という、魔のスパイラルが出来上がってしまったのだ。 それだけではない。
・倒産に伴い入所者は他の施設に転院するわけだが、高齢者にとって環境の変化は想像以上のストレスになる。元気に施設で暮らしていた高齢者が、転院後は突然口数が少なくなったり、うつ傾向が強まったり、歩けなくなったり……、つまり、施設の経営悪化が引き金で一気に老け込んでしまうのである。
・ふ~む……。ここまでで既に青息吐息というほかないのだが、数年後にはざっくり今の100倍は深刻な、暗澹たる未来が待ち受けている。 38万人――。 これは8年後の2025年に不足する介護職員の人数である。 団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、介護職員が約253万人必要になるとされるのに対し供給の見込みは約215万人。およそ38万人の介護職員が足りなくなる(こちら※PDFファイルです)。
・これがいかに深刻な問題なのかは、いまの現場のリアルを知ればお分かりいただけるはずだ。 先日、91歳の誕生日を迎えた“友人”が見た「今の老人ホーム」の有り様を紹介しよう。
▽朝3時に起こさないと「朝食に間に合わない」
・友人は90歳のときに「老人ホーム連続転落死に見る『介護崩壊』の予兆」で、介護現場の職員の方たちの苦労を話してくれた女性と同一人物である。そちらも是非お読みいただきたいのだが、そこでも書いたとおり、ご主人が要介護となりご夫婦でホームに入所。終の住処で3年の時が過ぎた。
・「夫のような車いすの入所者は毎朝、6時過ぎになると食堂に連れて行かれます。70人近い入所者の配膳、投薬などをわずか3~4人のヘルパーが行うのですが、ヘルパーの中の2人は夜勤を終えたまま引き続き働いているので、気の毒で見ていられません。 人手が足りなすぎて物事が進まず、結局、車いすで部屋へ連れ戻されるのは9時過ぎ。つまり窮屈な車いすに3時間近くも座らせられているのです。
・週2回の入浴日はもっと大変です。朝食後、入浴時間まで食堂で車いすのままずっと待っていなくてはならない。終わるとまた食堂に連れて来られて、そのまま昼食になるので、部屋に戻ってくる時には6時間も経っているのです。入所者は増えてもヘルパーの数は変わらないので、そのしわ寄せが夫のような、車椅子で介護度4か5の人たちにもろにきています。そういう入所者のほとんどは、自らの意志表現ができない状態なので、じっと我慢しています。
・午前3時少し過ぎに隣室の夫の部屋から物音がするので、すぐ様子を見に行ったところ、ヘルパーが夫の着替えをしているところでした。3時頃はぐっすり眠っている時間なのに、無理やり起こされて おむつ替えなどさせられている夫が哀れでならなかったです。ヘルパーに文句を言ったところ、『今から始めないと朝食に間に合わない』という返事が返ってきました」 「ホームを運営する本社に『改善してほしい』という要望は出しているのですが、答えは『低賃金のためヘルパーを募集しても応募がない』の一点張りです。
・前途が真っ暗になるような回答しか返ってきません。結局、ヘルパーの数が増えない限りどうにもならない、ということを再認識させられ、途方に暮れるのです。 このホームに入所して3年近くの間、人生の末期の棲み家を求めて老人ホームに入所した高齢者を観察してきましたが、痛切に感じるのは会話の大切さです。ホームの生活は自室で話し相手もなく過ごすため、会話が非常に少ないのです。
・入所当時は杖なしでさっさと歩き、私の問いかけに即答していた人が、毎食時とレクリエーションの時間以外は、ほとんど自室で過ごすため、みるみるうちに反応が悪くなっていきます。幸い夫は私が一緒に入所したため、比較的会話の機会があるので、今でも私の問いかけには声こそ小さくなりましたが、いつも即答しています。
・昨年6月、某有名銀行支店長の奥様が入所しました。食事の席が同じだったので、私は早速、彼女に話しかけました。彼女はホームに入所した経緯や、2人の子供の話、12年前に他界されたご主人のこととか、家庭の情報をよどみなく話してくれました。
▽みるみるうちに何も出来なくなっていく
・入所後は自室では何をすることもなく一日中会話もなく、ぼんやりと過ごしているようでした。近くに住む娘さんも滅多に姿を現しません。そして、彼女が入所してから半年が経過する頃、私は彼女の脳細胞が破壊されていることを感じるようになりました。私の問いかけにとんちんかんな返事をしたり、髪は乱れたまま、服のボタンは掛け違ったままで食堂に来るようになったのです。それと並行して歩行が困難になり、杖、そして車いすを使うようになっていきました。 彼女は今では私の顔も認識できないのです。わずか1年で変わり果てた姿に驚いています。こんな例は彼女だけではなく、他にも同じような人が数多くいます」
・たったひとりの親のケアだって大変なのに、3名で70人近い人たちに、ご飯を食べさせ、お風呂に入れ、部屋まで付き添うだなんて想像しただけで恐ろしくなる。その間、トイレをもよおす人だっているし、具合が悪くなる人だっているかもしれない。ちょっとした行き違いで、怒鳴ったり、わがままを言ったり、ぶつかり合うことだってあるだろう。
・尋常でない激務と人手不足が、職員の人たちだけでなく高齢者をも極限状態に追い詰めている状況は、“友人”の話から痛いほどわかる。 本当は職員の人たちだって、おじいちゃんやおばあちゃんがちょっとでも笑顔になるようなサービスをしたいし、ふとした会話で元気になる様子をみたい。  「おしゃべりな人は認知症になりにくい」とは介護業界ではよく聞かれる話だし、「会話は生存率にも影響する」との指摘もある。が、“今の現場”では次から次へとやらなくてはならないことだらけで、会話の時間が奪われ、言葉のやりとりのない世界で、おじいちゃん、おばあちゃんたちの生きる力が奪われているのだ。
・人生最後の時間がこんな悲惨な状況でいいのか? これで納得できるのか? もっとできることがあるのではないのか? 半年ほど前出演しているテレビ番組で、介護現場にIoTを導入し人手不足に役立てている施設を特集したことがある(介護付ホーム アズハイム町田 以下、数字は当時のものです)。
・ここでは55人の入居者を50人のスタッフで介護。つまり、1対3ではなく、1対1.5以下だ。 だがこの人数でもケアスタッフはてんやわんやで、「レクリエーション」で高齢者の精神的ケアを行なうとともに、「食事の補助」「排泄介助」などの身体的ケア、さらには入所している部屋を巡回し、シーツ交換や掃除、歯磨きコップの衛生状態をチェックしたり、消毒するなどの雑務をこなすなど、常に「やること」に追われていた。
・その切迫した状況を変えたのが「1台のスマホ」だった。 スタッフが常にスマホを携帯し、それを活用することで、施設全体の1日当たりの総労働時間を17時間削減することに成功したのである。 スマホの画面には瞬時に、ベッド上に入所者がいるか、寝ているか起きているかが映し出される。これだけでケアスタッフの作業効率が格段に上がったのだ。
・仕組みは実にシンプル。入居者のベッドのマットレス下に「眠りスキャン」とよばれるセンサーがついたシートを敷くことで、睡眠時間・呼吸状態などを24時間モニタリング。離床のタイミングでナースコールを鳴らす機能もあるので、入居者に合わせた設定が可能だ(※日経デジタルヘルスの記事はこちら)。
・「スマホを見ながら優先順位を付けて離床の準備ができるようになった。それまでは部屋をノックして、起きているかどうかを確認する必要があったが、入居者の方の眠りを邪魔せず、こちらもケアできるようになった」(職員談) 「夜間に入居者の排泄介助を行っていても、他の部屋から物音が聞こえると、排泄介助を中断し状況を確かめる必要があったが、スマホを確認すればいいので目の前の入居者に集中できるようになった」(同じく職員談)
・IoTで、介護をする人の負担が減り、データに基づきケアすることで介護の質が上がり、入所者も快適になる。施設の担当者によれば「システム導入には入所者55人に対し2000万円かかるが、2年間で回収できる」そうだ。
▽個人で解決できるわけがない
・厚労省は「職員のストレス対策を指示する」くらいなら、「世界最先端IT国家創造宣言(IT宣言)」の膨大な予算のうちの一部を介護現場に使えばいい(こちら※PDFファイルです)。 なぜ、それをしない? なぜ、議論にもあがらない? 所詮、介護現場の事件は「個人の問題」と考えているからなのか?
・生きていれば誰もが老いる。昨日まで出来ていたことがひとつひとつできなくなる。 そんなときにはどうしたって他者からのケアが必要となる。 そういう老後を迎えるのが望ましいのか、自活できなくなったときの尊厳を守るにはどのような条件が必要なのか。 それを正面から議論しない限り、悲しい事件はなくならないと思う。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/112000132/?P=1

第一の記事で、SOMPOケアネクスト、SOMPOケアメッセージとも入居率は改善しているようだが、その度合いは思ったほど大きくない。『介護職員の離職率減少が重要課題』、というように離職率も大きくは下がっていないのも、不思議だ。両社の一体化も、まずは人事交流からということに表れているように、SOMPOの統合に向けての方針は、非常に慎重なようだ。 『SOMPOホールディングスが着手した一般大衆向けの老人ホームは、富裕層向けに比べると、必要に迫られた家族が選ぶことが多いため、サービスの差別化やブランドの訴求が難しい。介護職員の募集も容易ではない』、『介護業界を取り巻く環境は厳しさを増している。もし、「現場の悲鳴」を見逃し続ける事態が発生すれば、改めて大きな事故・事件が発生するというリスクは、常に意識する必要があるだろう』、との指摘はその通りだろう。
第二の記事で、理事長は医療法人など幅広く事業を展開しているやり手のようだが、『理事長から『君たちの代わりはいくらでもいるんだから』と言われたこともありますし、働く人の気持ちをないがしろにしている施設でしたね』、当初の成功で自信過剰になっていたのではなかろうか。こんな事件を起きたので、今後、どうなるかを注視したい。
第三の記事で、 『数年前には連日連夜大々的に取り上げられた“介護施設での事件”が、今回はテレビではあっさりと、紙面では三面で小さく報じられている』、確かに、余りに事件が相次ぐので、一般国民には、「またか」といいかげんうんざえりしていることを反映しているのだろう。 『朝3時に起こさないと「朝食に間に合わない」』、『みるみるうちに何も出来なくなっていく』、『“今の現場”では次から次へとやらなくてはならないことだらけで、会話の時間が奪われ、言葉のやりとりのない世界で、おじいちゃん、おばあちゃんたちの生きる力が奪われているのだ』などは悲惨そのものだ。  
『厚労省は「職員のストレス対策を指示する」くらいなら、「世界最先端IT国家創造宣言(IT宣言)」の膨大な予算のうちの一部を介護現場に使えばいい』、との主張には大賛成だ。
明日は更新を休むつもりなので、明後日、金曜日にご期待を!
タグ:いきなり、ボリュームゾーンとなる大量の一般大衆向けの介護施設で、両社合わせて299施設の有料老人ホーム、132棟のサービス付き高齢者向け住宅の運営を始めることになった これまで大手保険会社など異業種が老人ホームを手がける場合、比較的リスクの少ない富裕層向けの高級老人ホームから始めるのが常だった (老人ホーム)問題 (その2)(旧ワタミ・旧メッセージの老人ホームは今どうなっているか、岐阜の老健施設「ひどすぎた地元の評判」、食堂に3時間放置 朝3時に着替えの介護現場) ダイヤモンド・オンライン 介護施設 旧・メッセージ=SOMPOケアメッセージ 両社では介護職員による入居者への虐待や事故、介護職員の過酷な勤務状況などが大々的に報じられていた最中だったからだ そういう老後を迎えるのが望ましいのか、自活できなくなったときの尊厳を守るにはどのような条件が必要なのか。 それを正面から議論しない限り、悲しい事件はなくならないと思う 生きていれば誰もが老いる。昨日まで出来ていたことがひとつひとつできなくなる。 そんなときにはどうしたって他者からのケアが必要となる IoTで、介護をする人の負担が減り、データに基づきケアすることで介護の質が上がり、入所者も快適になる “今の現場”では次から次へとやらなくてはならないことだらけで、会話の時間が奪われ、言葉のやりとりのない世界で、おじいちゃん、おばあちゃんたちの生きる力が奪われているのだ みるみるうちに何も出来なくなっていく 朝3時に起こさないと「朝食に間に合わない」 「今の老人ホーム」の有り様 倒産に伴い入所者は他の施設に転院するわけだが、高齢者にとって環境の変化は想像以上のストレスになる。元気に施設で暮らしていた高齢者が、転院後は突然口数が少なくなったり、うつ傾向が強まったり、歩けなくなったり……、つまり、施設の経営悪化が引き金で一気に老け込んでしまうのである 2015年の介護報酬引き下げ(2.27%減)は業界には大きな打撃だったが、追い打ちをかけたのが国の「介護の受皿を増やす」政策。競争相手が増え、人員確保がさらに難しくなり、体力を増々低下させた 介護施設は人手不足と競争激化で倒産が増加 厚労省が行った調査では、特養ホームの人員配置は全国の平均で「1対2」 数年前に介護施設の虐待が社会問題化したため「1対2.5」「1対1.5」といった具合に国の基準を上回る割合で職員を置く施設も増えた 職員1人が入所者3人を受け持つという決まり 「介護現場の問題」として改善策を講じる必要 介護施設での事件を「個人の問題」にしていては悲惨な事件があとを絶たないことは明白である 施設長を対象に研修を実施し、「職員のストレス対策」として対人関係スキルの向上や感情コントロールスキルの習得などの教育を求めている 厚労省 ニチイケアパレス ホーム内の浴室で入所者の男性を浴槽に投げ入れてお湯を張り、沈めて殺害。男性の死因は溺死で、首を絞められた形跡もあった 東京都中野区の有料老人ホームで、入所者の男性(83歳)を殺害したとして元職員の男(25歳)が逮捕された事件 「食堂に3時間放置、朝3時に着替えの介護現場 「対策は職員のストレスケア」という厚労省のピンぼけっぷり」 日経ビジネスオンライン 河合 薫 とりわけ認知症の入居者の対応に耐えられなくなって虐待に走るケースが多い 蹴るんだったら膝から下にしてね 虐待はどの施設でもある 経営する医療法人同仁会は病院も含めて、十数の施設を運営 『それいゆ』は飛騨高山地方で最初の介護老健施設 『あそこに入れると、認知症になって帰ってくる』 理事長から『君たちの代わりはいくらでもいるんだから』と言われたこともありますし、働く人の気持ちをないがしろにしている施設でしたね。給料もよくはなかった」 退職からほどなく、高橋が転職したのは、同じ市内の老健施設「それいゆ」 この高橋は、介護職員としての適性を著しく欠いていたようだ 岐阜県警 5人すべての介助に関わっていた職員は一人しかいない。30代男性の高橋だ 7月末から半月で3人が死亡し、2人が負傷し それいゆ 介護老人保健施設 飛騨高山 「5人死傷・岐阜の老健施設「ひどすぎた地元の評判」 遺族には十分な説明さえなく」 現代ビジネス もし、「現場の悲鳴」を見逃し続ける事態が発生すれば、改めて大きな事故・事件が発生するというリスクは、常に意識する必要があるだろう 一般大衆向けの老人ホームは、富裕層向けに比べると、必要に迫られた家族が選ぶことが多いため、サービスの差別化やブランドの訴求が難しい。介護職員の募集も容易ではない 慢性的人材不足に付随するリスクを常に認識できるか 超音波センサーで膀胱内の尿量の変化を検知 ICTの導入 両社の介護職員の離職率は平均で約20%である。そのうち、1年未満での離職者が6割もいる 介護職員の離職率減少が重要課題 現場レベルでも両社の人事交流は始めたいと思っている 介護現場やブランドは従来通り維持する 両社の子会社化から1年ちょっと経過し、それぞれの強みや課題が分かってきた 入居率は徐々に改善 一体運営で強みを生かす (旧・ワタミの介護=現・SOMPOケアネクスト SOMPOホールディングス 「旧ワタミ・旧メッセージの老人ホームは今どうなっているか」 大手老人ホーム2社を買収したSOMPOホールディングス
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