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中東情勢(その11)(トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言:国連総会 トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択、トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する、「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」) [世界情勢]

昨日に続いて、中東情勢(その11)(トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言:国連総会 トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択、トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する、「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」)を取上げよう。

先ずは、12月22日付けロイター「国連総会、トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択」を紹介しよう。
・ 国連総会は21日に開いた緊急特別会合で、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定した決定は無効とする決議を賛成多数で採択した。  賛成票を投じたのは128カ国。9カ国が反対票を投じ、35カ国が棄権した。決議に拘束力はない。
・トランプ大統領は同決議案に賛成票を投じた国には金融支援を打ち切る方針を示していた。 西側・アラブ地域の米国の同盟国の多くは賛成票を投じ、米国の孤立が鮮明となった。このうちエジプト、ヨルダン、イラクなどは米国の軍事または経済支援を受けている。 棄権したのはオーストラリア、カナダ、メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、フィリピン、ルワンダ、ウガンダ、南スーダンなど。
・反対票を投じたのは米国、イスラエル、グアテマラ、ホンジュラス、マーシャル諸島、ミクロネシア、パラオ、ナウル、トーゴ。
・パレスチナ自治政府のアッバス議長の報道官は、決議案の採択が「パレスチナにとっての勝利」だと述べた。 ヘイリー米国連大使は採決に先立ち、「主権国家として権利を行使したことを巡り国連総会から攻撃を受けた日として、米国がこの日を忘れることはないだろう」と述べた。 国連安全保障理事会は18日、エルサレム首都認定の撤回を求める決議案を採決したが、米国が拒否権を行使して否決された。国連総会での決議案採決は、アラブ・イスラム圏諸国の要請を受けて行われた。
https://jp.reuters.com/article/un-assembly-idJPKBN1EF2TI

次に、ジャーナリストの嶋矢志郎氏が12月13日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽中東和平交渉を危機に追いやるトランプの「自分ファースト」宣言
・お得意のちゃぶ台返しも、ここまで来るとやり過ぎである。トランプ大統領(以下、トランプ氏)は、エルサレムをイスラエルの首都として公式に認め、米国大使館を現在の商都テルアビブからエルサレムに「可能な限り速やかに」移転する手続きを始めるよう、国務省に指示した。
・イスラム圏や欧米の猛反対を押し切っての決断は、国際世論の四面楚歌を受けて孤立無援であるが、トランプ氏は意に介することなく、わが道を行く様子で、米国内の支持基盤へのアピールが浸透すれば、それでよしとする魂胆である。
・中東情勢は日本人にとって遠い問題に感じられるだろうが、国際社会にとって今回の「事件」の意味は大きい。 とりわけ、米国がイスラエルとパレスチナの和平交渉の仲介役を買って出て、「エルサレムの地位は和平交渉の中で定める」という方針で合意した1993年のオスロ合意は、国際社会も認めた暗黙知だった。この度のトランプ氏の独断は、中断していたとはいえ、ただでさえ不安定な中東全域をさらに不安定化させ、これまでの和平プロセスを頓挫・破壊へと追いやる可能性がある。
・さらに中東政策での失政は、米国にとって国際紛争の仲介役としての資格をも自ら失っていくリスクがある。親米のアラブ諸国をはじめ、米国の外交政策に対する国際社会の信認を弱め、協調や支援を取り付け難くなりかねず、米国外交の孤立化を招く恐れがある。 それは、中東でのビジネスに力を入れる中、米国と親密な外交・安全保障関係を築いていると見なされる日本にも、負の影響を及ぼしそうである。
・トランプ氏の宣言が出た12月6日以降、パレスチナ自治区では住民による激しい抗議行動が続発。かつてのインティファーダ(民衆蜂起)に発展しかねない状況だ。ガザ地区ではイスラエル軍との衝突や同軍の空爆などでパレスチナ人4人が死亡。パレスチナの赤新月社(赤十字)によると、パレスチナ各地での負傷者は9日までに1000人を超えている。混乱はテロリストたちにも格好の「付け入る口実」を与えかねない。復活を狙うIS(イスラム国)の残党たちが勢力を拡大する恐れもある。そんな事態を招けば、イスラエルにとっても利益を損ねることは必至である。
・トランプ氏は決断を発表する前日に、パレスチナ自治政府のアッパス議長をはじめ、ヨルダンのアブドラ国王、親米派エジプトのシン大統領、サウジアラビアのサルマン国王、それにイスラエルのネタニエフ首相らと電話で会談し、決断を事前に伝えていた。反応は、ネタニエフ首相以外の全員が猛反対で、親米派のサウジ王室も「不当で、無責任」との声明を発表した。サウジに近い立場のUAE(アラブ首長国連邦)も「中東地域への悪影響を深く憂慮する」との談話を出した。
・イスラエルのネタニエフ首相は「歴史的な日だ」として称賛し、大使館の移転に追従するよう各国に求めているが、イスラエルの国内も必ずしも歓迎一色ではない。中東地域の不安定化を招くだけで、歓迎できないとする国民もいれば、政権内にも反対する声がある。
▽まさに四面楚歌 噴き上がる国際社会の批判
・反発の声は想像以上に広がっている。いち早く不支持を表明した、英仏独など欧州の指導層の声を聞いてみよう。 英国のメイ首相は「中東地域の和平のためにならず、反対」との立場を鮮明にした。フランスのマクロン大統領は、「遺憾で、受け入れられない。国際法や安保理決議に違反する」としてトランプ氏の決断を非難。ドイツのメルケル首相は「支持しない。エルサレムの地位は、イスラエルとパレスチナの2国共存に向けた交渉の一環として解決すべきである」として釘を刺した。 EUのモゲリーニ上級代表も声明を出し、今後の中東和平に及ぼす影響に深刻な懸念を表明。「イスラエルとパレスチナの双方の要望が満たされるべきである」として、トランプ氏のイスラエル寄りの姿勢を批判する一方、双方が共存する「2国家共存」による解決を支持する方針を改めて強調した。
・西欧各国だけではない。中東での存在感を増すロシアのリャブコフ外務次官は、「実現すれば、問題の調整が進まなくなる」と警鐘を鳴らした。中国外務省の報道官も、「パレスチナとイスラエルの紛争の核心であり、異なる民族の宗教感情に触れる、複雑で敏感な問題」として敬遠している。 国連のグテーレス事務総長は、「いかなる一方的な措置も中東和平の見通しを危うくする」との声明を発表して、トランプ氏の対応を批判した。「エルサレムの最終的な地位は、国連安全保障理事会などの決議に基づいてイスラエルとパレスチナ双方の合法的な懸念を考慮に入れながら、直接的な交渉によって解決されるべきである」と強調した。
・国連では8日午前(日本時間9日未明)、安全保障理事会が日本の議長国の下で緊急会合を開き、米国を除く14の理事国が批判や懸念を表明した。英仏独など西側諸国が足並みをそろえて米国を批判したのは異例の事態である。安保理の席上、平素は国際秩序の維持・形成を先導している米国が秩序を乱しているとして、批判の矢面に立たされている。
・ヘイリー米国連大使は、1995年に米議会が「イスラエルの首都はエルサレムだ」として大使館を移転させる法律を制定したものの、歴代政権が実行せず、トランプ氏は「米国民の意思をこれ以上否定しないため、決断した」と反論、トランプ氏の立場を擁護した。
▽なぜこれほどもつれるのか?イスラエル・パレスチナ問題の背景
・まさに、批判的なコメント一辺倒。もつれにもつれている観のある今回のトランプ表明だが、エルサレムを巡るイスラエルとパレスチナ両国を結ぶ糸はなぜこうももつれてきたのか。詳しく知っている人は案外少ないかもしれない。「今回のニュースを見てもどれだけ大変なことなのか、ピンと来ない」という人も多いだろう。そこで戦後70年の歴史的な背景を辿りつつ、今後の展開に関する論点を整理してみよう。
・まず、国際都市エルサレムには旧市街を含む東エルサレムと新市街である西エルサレムとがあり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地はいずれも東エルサレムの旧市街にある。今はイスラエルが実効支配しているが、国際法上は認められておらず、違法であることを把握しておきたい。
・第二次世界大戦後に急増するパレスチナでのユダヤ人に配慮して、国連は1947年11月にパレスチナをアラブ国家、ユダヤ国家、および国連管理下の国際都市エルサレムに分割する決議を採択し、ユダヤ国家はいち早くイスラエルの建国を宣言した。その後、この採択を不服とするアラブ側とイスラエルとの間で第一次中東戦争が勃発、多くのパレスチナ難民が発生した。
・第一次中東戦争の休戦協定により、イスラエルは分割決議で割り当てられていたよりも多くの地域を支配し、エルサレムは東西に分断され、後に西エルサレムには首都機能が移された。東エルサレムとヨルダン川西岸地区はヨルダンの、ガザ地区はエジプトの占領下となった。
・その後、1967年の第三次中東戦争を経て、東西エルサレムが併合されると、それまで西エルサレムに大使館を置いていた13ヵ国が併合に抗議して、大使館を商都テルアビブに移した。 1980年、イスラエルは東西統一エルサレムを「永遠の首都である」とする法案を可決したが、国連安保理はこの法案を無効とする決議を可決している。2017年現在、国連加盟各国はテルアビブを事実上の首都として大使館を置いている。エルサレムに大使館を開設している国は1ヵ国もなく、国際法上は違法となるからである。
・イスラエルとPLO(パレスチナ解放機構)が米クリントン政権の仲介でパレスチナ暫定自治の原則に関する協定、いわゆるオスロ合意に調印し、双方が相互に承認して、解決へ向けて協力することで一致したのは1993年9月、24年前のこと。ヨルダン川西岸とガザ地区にパレスチナ暫定自治政府を設置して、「最終的な地位に関する交渉を開始する」ことを取り決め、エルサレム問題は先送りされて、今日に至っている。
・1995年には、米議会で保守派の主導によりエルサレムへの大使館移転を義務付ける法案が可決。ただし、議会は制定と同時に大統領に対し、同法の執行を6ヵ月ごとに延期できることを認めた。このため、クリントンをはじめ、ブッシュ、オバマの歴代政権は中東和平への悪影響を考慮して、6ヵ月ごとに移転を凍結する大統領令に署名し、移転を先送りしてきた。
・実は、トランプ氏も今年6月には移転の先送り文書に署名し、移転派の支持層から大統領選での公約違反を問われていたため、次の署名期を控えて決断したというのが本音であるが、トランプ氏は「米国の国益、イスラエルとパレスチナの双方の和平の追求のためにも最善の選択であった」と、今回の決断の正当性を強調している。「これまでの歴代大統領も選挙公約に掲げてきながら、実行しなかった。私は今、実行に移している」として有言実行ぶりを自画自賛している。
▽ホワイトハウスの中にも賛否 トランプの目論みは吉と出るか?
・トランプ氏の今回の決断をめぐっては、トランプ氏の周辺をはじめ、ホワイトハウスの中でも賛否両論が入り乱れている。娘婿のクシュナ―上級顧問をはじめ、ペンス副大統領やヘイリー国連大使など、政権内部の宗教保守にユダヤ教徒が多く、移転推進派であるが、首脳陣の中には、ティラーソン国務長官やマティス国防長官らを中心に反対勢力も根強い。
・それでも今、決断を強行したのはなぜか。狙いは、ひとえに4年後の再選の行方を占う中間選挙へ向けての布石であり、そのための支持基盤の強化である。面子を捨て、恥も外聞もなく、権力の限りを「自分ファースト」のために活用して、トランプの俺流に徹している点は、他の追随を許さぬ凄みである。
・理由の1つは、ユダヤ系の票田とその資金力の囲い込み策であり、2つには身辺に迫るロシア疑惑から視線をそらすための目くらまし策であり、3つには史上最低で低迷する支持率の浮上策であり、4つには相次ぐ内政政策の躓きを外交政策で補うための弥縫策である。
・トランプ氏は、「エルサレムの最終的な地位については当事者間で解決すべきで、米国は特定の立場を採らない」と主張しながらも、ユダヤ系のイスラエルに肩入れしていることは明白で、隠しようもない。トランプ氏の最大のスポンサーは、ユダヤ系のシェルドン・アデルソン氏である。国内外のカジノ経営で知られ、イスラエルのネタニヤフ首相と緊密な関係にある。このたびの決断は、ユダヤ系の資金と票田、それも共和党に限らず、民主党の票田の切り崩しが狙いと言われている。
・ロシア疑惑は、フリン前国家安全保障担当補佐官が司法取引に応じて、自らの偽証と関与を認めたため、捜査はいよいよ娘婿のクシュナー上級顧問に及んできた。政権内の火種から国内外のマスコミをはじめ、国民の視線を散らすには効果的である。
・就任後約1年近くで支持率が37%へ低迷、戦後70年間に就任した米大統領の同時期の支持率としては最低の記録である。支持率を人一倍気にするトランプ氏としては、「歴代の大統領が果たせなかった政策を有言実行する」ことで、支持率の浮上を狙おうとしていることは間違いない。
・トランプ氏は大統領就任後、対外的にはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの離脱やパリ協定(気候変動枠組条約)からの脱退を実現してきたが、国内政策は軒並み達成できていない。メキシコとの国境の壁の建設をはじめ、オバマケア(医療保険制度改革)の撤廃も進んでいない。その点、エルサレムの首都容認宣言の公約は自分の一存で決められたことである。
▽日本政府はどう対峙する?米国と中東の間で視界不良に
・国際世論の四面楚歌の中で、トランプ氏にとっては公約通りエルサレムの首都容認宣言を果たし得たことが大きい。特に、ユダヤ人のエルサレムへの帰還を支持するキリスト教の保守層に言行一致で示す狙いがあったものと思われる。
・それにしても、トランプ氏のエルサレム首都容認宣言が中東和平をはじめ、今後の国際秩序の行方に投げかけた衝撃は大きく、波紋は根深い。とりわけ、戦後の中東情勢のパワーバランスを振り返るとき、米国の関与抜きには語り得ず、実態は米国との距離感で親米か、反米かで揺れ動いてきた。今回の波紋も、それが個人であれ、国や政府であれ、親米派には辛く沈みがちで、反米派には追い風となり浮上する機会となるに違いない。
・中東和平の仲介で、米国を頼りに前向きだったパレスチナ自治政府のアッパス議長の立場は、危うくなる。中東地域ではスンニ派で親米派の代表格であるサウジアラビアは、従来の米国一辺倒から脱皮して、中東での影響力をはじめ、国内外への発言力が後退せざるを得なくなる。今、ムハンマド皇太子を中心に、国内の構造改革に着手したばかりであるが、国内の抵抗勢力を抑えていくためにも、改革速度を緩めざるを得ないかもしれない。
・一方、非アラブのシーア派で、反米派のイランが勢いづくことは間違いない。シリアをはじめ、レバノン、イエメン、湾岸諸国での影響力が強くなる。パワーバランスが崩れると、欧米との核合意を反故にしてでもイランが再び核開発に動き出せば、サウジアラビアの核開発を誘発、中東地域における核開発へ発展しないとも限らない。
・そうなると、イスラエルが黙ってはいられなくなる。周囲を核保有国に囲まれることになるため、核武装の強化に走り出す可能性が大きい。便宜上、イスラエルとの関係改善を目指していたエジプトやトルコなども、米国の影響力が低下すれば、水入りとなりかねない。 このたびの決断は、決して米国が中東和平の仲介役のカードまで手放したわけではないといくら叫んでみてももはや手遅れで、後の祭りである。トランプ氏は、中東の秩序を破壊してしまったのである。
▽中東の治安は確実に悪化 安倍首相も他人事ではない
・もう1つの懸念材料は、中東地域の治安が悪化することである。これは日本のビジネス界にとって大きなマイナス要因となる。平和であってこそのビジネスである。日本は中東地域とは民族的にも宗教的にも中立で、ビジネスを介しての良好な関係の深化、醸成はまさにこれからの大きな課題であった。 サウジアラビアに原発をはじめ、多種多彩な社会インフラの整備事業を売り込もうと、官民を挙げて手ぐすね引いて構えていた日本としては、純粋に商業ベースではなく、不本意ながら核兵器開発などに加担するものと受け止められる懸念もある。
・今ではトランプ氏の盟友と見られている安倍首相は、このたびのトランプ氏の決断をどう受け止めているのか。今のところ何も聞こえてこないが、決して他人事ではなく、すぐにもわが身に降りかかる喫緊の課題であることを肝に銘ずべきである。
http://diamond.jp/articles/-/152744

第三に、元レバノン大使の天木直人氏が12月23日付けの同氏のブログに掲載した「「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」」を紹介しよう。
・トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言で中東和平は遠のいたと言われている。 中東情勢を知らない日本ではそれが当たり前のように受け止められているに違いない。 そしてかつての「和平プロセス」ならそうだ。
・しかし、現実は必ずしもそうではない。 その理由は、アラブの盟主であるサウジアラビアが裏で米国・イスラエルとあらたな和平プロセスを進めているからだ。 実際のところ、今度のトランプ大統領のエルサレム首都移転についても、事実上のサウジアラビアの国王と言われているムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、それを、あらたな中東和平案の中で進言していたと言われているほどだ。 この事をきょう12月23日の朝日新聞が教えてくれている。
・すなわち、トランプ大統領がエルサレム首都移転を宣言した直後の12月9日のニューヨークタイムズ紙で、コラムニストのロジャー・コーエン氏がこう書いていたという。 イスラム組織ハマスのリーダーであるハニヤ氏はいま第三次インティファーダを呼びかけている。だが彼はアラブ諸国の疲弊と冷笑、優先順位の変化に直面している。いまやスンニ派(が多数)のアラブ諸国にとって、パレスチナの大義より(宗派的な敵であるシーア派の)イランの存在のほうがはるかに大きく立ちはだかるようになってしまったと。
・つまり、コーエン氏の言葉を借りれば、「トランプ大統領の宣言は和平プロセスを破壊しなかった。なぜなら、破壊する和平プロセスはもはや存在しなくなったのだから壊しようがない」、というわけだ。 せめてもの救いは、サウジと米国・イスラエルのあらたな和平プロセスでもうまく行かないとコーエン氏が書いている事である。
・公正で持続的な和平がパレスチナとイスラエルの間で実現しない限り、世界に真の平和は来ない。  トランプの米国が北朝鮮に関わる余裕などあるはずがない(了)
http://kenpo9.com/archives/3047

第一の記事で、 『トランプ大統領は同決議案に賛成票を投じた国には金融支援を打ち切る方針を示していた・・・アラブ地域の米国の同盟国の多くは賛成票を投じ、米国の孤立が鮮明となった。このうちエジプト、ヨルダン、イラクなどは米国の軍事または経済支援を受けている』、トランプの脅しは殆ど機能しなかったようだ。特に、イラクまで賛成票を投じたとは驚きだ。やはり、アラブの大義を優先したということだろう。
第二の記事で、 『この度のトランプ氏の独断は、中断していたとはいえ、ただでさえ不安定な中東全域をさらに不安定化させ、これまでの和平プロセスを頓挫・破壊へと追いやる可能性がある』、『このたびの決断は、決して米国が中東和平の仲介役のカードまで手放したわけではないといくら叫んでみてももはや手遅れで、後の祭りである。トランプ氏は、中東の秩序を破壊してしまったのである』、などというのは、深刻な事態だ。第一の記事での国連総会決議では、日本はアラブ諸国に配慮して、珍しく「賛成票」を投じたようだが、無論、事前に米国にその旨を通告していたようだ。
第三の記事で、ニューヨークタイムズ紙で、コラムニストのロジャー・コーエン氏が、『いまやスンニ派(が多数)のアラブ諸国にとって、パレスチナの大義より(宗派的な敵であるシーア派の)イランの存在のほうがはるかに大きく立ちはだかるようになってしまった・・・トランプ大統領の宣言は和平プロセスを破壊しなかった。なぜなら、破壊する和平プロセスはもはや存在しなくなったのだから壊しようがない」』、というのは、一般的な見方とは大きく異なるが、興味深い見方で、確かにそうした面もありそうだ。
タグ:中東情勢 (その11)(トランプ大統領のエルサレム首都移転宣言:国連総会 トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択、トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する、「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」) ロイター 「国連総会、トランプ氏のエルサレム首都認定撤回決議案を採択」 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定した決定は無効とする決議を賛成多数で採択 賛成票を投じたのは128カ国。9カ国が反対票を投じ、35カ国が棄権 トランプ大統領は同決議案に賛成票を投じた国には金融支援を打ち切る方針を示していた 西側・アラブ地域の米国の同盟国の多くは賛成票を投じ、米国の孤立が鮮明となった このうちエジプト、ヨルダン、イラクなどは米国の軍事または経済支援を受けている 嶋矢志郎 ダイヤモンド・オンライン 「トランプの「自分ファースト」が日本の中東ビジネスまで破壊する」 イスラム圏や欧米の猛反対を押し切っての決断は、国際世論の四面楚歌を受けて孤立無援であるが トランプ氏は意に介することなく、わが道を行く様子で、米国内の支持基盤へのアピールが浸透すれば、それでよしとする魂胆 オスロ合意は、国際社会も認めた暗黙知だった ただでさえ不安定な中東全域をさらに不安定化させ、これまでの和平プロセスを頓挫・破壊へと追いやる可能性 米国にとって国際紛争の仲介役としての資格をも自ら失っていくリスク 米国外交の孤立化 日本にも、負の影響 パレスチナ自治区では住民による激しい抗議行動が続発 復活を狙うIS(イスラム国)の残党たちが勢力を拡大する恐れもある。そんな事態を招けば、イスラエルにとっても利益を損ねることは必至 イスラエルの国内も必ずしも歓迎一色ではない。中東地域の不安定化を招くだけで、歓迎できないとする国民もいれば、政権内にも反対する声がある 安全保障理事会 英仏独など西側諸国が足並みをそろえて米国を批判したのは異例の事態 イスラエル・パレスチナ問題の背景 旧市街を含む東エルサレムと新市街である西エルサレムとがあり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地はいずれも東エルサレムの旧市街 今はイスラエルが実効支配しているが、国際法上は認められておらず、違法であることを把握しておきたい 第三次中東戦争を経て、東西エルサレムが併合 それまで西エルサレムに大使館を置いていた13ヵ国が併合に抗議して、大使館を商都テルアビブに移した 1980年、イスラエルは東西統一エルサレムを「永遠の首都である」とする法案を可決したが、国連安保理はこの法案を無効とする決議を可決 国連加盟各国はテルアビブを事実上の首都として大使館を置いている。エルサレムに大使館を開設している国は1ヵ国もなく、国際法上は違法となるからである 米議会で保守派の主導によりエルサレムへの大使館移転を義務付ける法案が可決 議会は制定と同時に大統領に対し、同法の執行を6ヵ月ごとに延期できることを認めた。このため、クリントンをはじめ、ブッシュ、オバマの歴代政権は中東和平への悪影響を考慮して、6ヵ月ごとに移転を凍結する大統領令に署名し、移転を先送りしてきた 首脳陣の中には、ティラーソン国務長官やマティス国防長官らを中心に反対勢力も根強い。 中間選挙へ向けての布石 支持基盤の強化 理由の1つは、ユダヤ系の票田とその資金力の囲い込み策であり、2つには身辺に迫るロシア疑惑から視線をそらすための目くらまし策であり、3つには史上最低で低迷する支持率の浮上策であり、4つには相次ぐ内政政策の躓きを外交政策で補うための弥縫策 政権内の火種から国内外のマスコミをはじめ、国民の視線を散らすには効果的 エルサレムの首都容認宣言の公約は自分の一存で決められたことである サウジアラビア 国内の抵抗勢力を抑えていくためにも、改革速度を緩めざるを得ないかもしれない 非アラブのシーア派で、反米派のイランが勢いづくことは間違いない イランが再び核開発に動き出せば、サウジアラビアの核開発を誘発 イスラエル 核武装の強化に走り出す可能性が大きい このたびの決断は、決して米国が中東和平の仲介役のカードまで手放したわけではないといくら叫んでみてももはや手遅れで、後の祭りである。トランプ氏は、中東の秩序を破壊してしまったのである 中東の治安は確実に悪化 安倍首相も他人事ではない 天木直人 同氏のブログ 「「遠のいた中東和平」と「あらたな和平プロセス」」 ニューヨークタイムズ紙 コラムニストのロジャー・コーエン氏 いまやスンニ派(が多数)のアラブ諸国にとって、パレスチナの大義より(宗派的な敵であるシーア派の)イランの存在のほうがはるかに大きく立ちはだかるようになってしまった 「トランプ大統領の宣言は和平プロセスを破壊しなかった。なぜなら、破壊する和平プロセスはもはや存在しなくなったのだから壊しようがない」 サウジと米国・イスラエルのあらたな和平プロセスでもうまく行かないとコーエン氏が書いている事で
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