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東京都の諸問題(その13)豊洲新市場移転7(豊洲でゼネコンが受注拒否の衝撃、小池氏による一者入札禁止「制度改革」の“愚”、ついに来年炸裂する“豊洲爆弾”) [国内政治]

東京都の諸問題については、昨年4月16日に取上げたままであった。豊洲移転が本年10月11日に決まったところで、今日は、(その13)豊洲新市場移転7(豊洲でゼネコンが受注拒否の衝撃、小池氏による一者入札禁止「制度改革」の“愚”、ついに来年炸裂する“豊洲爆弾”)である。

先ずは、昨年11月17日付けダイヤモンド・オンライン「小池都知事を襲う五輪崩壊ドミノ!豊洲でゼネコンが受注拒否の衝撃」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・希望の党代表を辞任した小池百合子東京都知事。都政に専念して巻き返しを図るとの見方がある。だが、国政進出を目論んでいた間に築地市場の豊洲移転をめぐる問題は解決策を見いだせず、東京五輪の計画さえ危うくする事態に陥っている。
▽都が発注した9件のうち落札したのは2件だけ
・自ら設立した国政政党「希望の党」の代表を11月14日に電撃辞任した東京都の小池百合子知事は、ようやく尻に火が付いたのかもしれない。 というのも、来年秋に開場させたいとしている豊洲市場の追加工事で、入札不調が相次いでいるために工事が遅れるとして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に重大な影響が及ぶ恐れがあるからだ。
・真に懸念すべきは工事の“遅れ”どころではない。受注を渋るゼネコンの思惑と警戒心を読み解けば、小池知事が五輪に向けて思い描くシナリオは、すでに“崩壊必至”と言わざるを得ない状況なのだ。 9月から入札が繰り返されながら、入札不調が相次いでいる工事は全部で9件だ。
・豊洲市場の5街区(青果棟)、6街区(水産仲卸売場棟)、7街区(水産卸売場棟)の計3街区でそれぞれ、地下水が溜まっている地下ピットにコンクリートを打設する工事、地下ピットの喚気を強化する工事、そして地下水の管理システムの機能を強化する工事の3種、計9件の工事を都が発注した。 このうち落札されたのは11月16日現在、7街区の地下ピット換気強化工事と、5街区のコンクリート打設工事の2件だけ。残りの7工事については、いまだに落札されていない。
▽政治的にも技術的にもリスク大で最後まで逃げ回りたいゼネコン
・豊洲市場の建設前の土壌汚染対策工事と、建物自体の建築工事は、5街区は鹿島、6街区は清水建設、7街区は大成建設を筆頭とした共同企業体(JV)が施工した。 ただ、昨年夏に就任した小池知事の方針で、豊洲市場地下の地下水や、空気中の汚染物質を減少させるために、追加工事をすることが決定した。
・通常、スーパーゼネコンが大型工事を受注、施工すれば、付随する小規模な工事やメンテナンス業務まで含めて請け負うのが慣例だ。前述の追加工事も、わずか数億円程度の規模であり、本体工事を請け負ったゼネコンがそれぞれ“あうんの呼吸”で受注しても何らおかしくはない。 にもかかわらず今回、鹿島が5街区のコンクリート打設工事を受注したのを除けば、清水や大成、そして鹿島は他の工事で、そもそも入札に参加しなかったり、入札途中に辞退したり、予定価格より大幅に低い価格で札を入れるなどしている。
・なぜか。「単に予定価格が安すぎるだけ」(ゼネコン業界関係)との声もあるが、ある都OBはゼネコン側の意向をこう“忖度”する。「政治的にも、技術的にもリスクが大きすぎる。ゼネコン側からすれば、とにかく最後まで逃げ回りたいということだろう」。
・というのも、もし追加工事をやり遂げても、再び地下水が出てきたり、地下水や空気中から多量の汚染物質が検出されたりする可能性は高い。ゼネコン業界では、豊洲市場の地下構造上、たとえ追加工事をしても、地下水や汚染物質の発生は防ぎきれないという声が、従来からある。 そもそも建物を建てる前に行った、860億円という莫大な費用をかけた土壌汚染対策工事を受注したのも、これらゼネコンJVだった。彼ら自身が追加工事を行ったにもかかわらず汚染物質が減少しなければ、当初の大規模な対策工事は一体何だったのかと、都とともに社会の非難を浴びるのは必至だ。
・鹿島が一部の工事を落札したのは、秋葉原の再開発など、清水、大成よりも特に都との関係が深いためとの見方がある。そんな鹿島も、5街区の地下水管理システム強化工事は、2回目の入札を辞退しているほどだ。
・工事を発注している都も、従来なら、担当者が落札させたいゼネコンに“相談”を持ち掛けるといった行動を取ることができた。 だが、小池知事は豊洲の過去の工事に疑惑の目を向ける。自身の豊洲開場延期の決断によって「黒い頭のネズミがいっぱい出てきたじゃありませんか」と、談合疑惑をあぶりだした成果を誇って自ら入札改革に乗り出したほどで、“談合まがい”の行動はできない。
・とはいえ、このまま事態を放置するわけにもいかず、「都の中央卸売市場が動くとあまりに露骨なので、財務局がゼネコンとの“仲裁”に乗り出した」(前出の都OB)との情報まで漏れ伝わってくる。
▽豊洲の工事が終わらなければ 築地も解体できずに狂う計画
・とにかく、築地から豊洲に中央卸売市場の機能を早期に移さなければ、五輪に向けた都の計画は大きく狂ってしまう。 計画では、豊洲への移転後に、現在使用されている築地市場を解体。ここに五輪開催中、晴海の選手村と、各競技の会場間で選手や関係者を輸送する車両の拠点で、駐車場の役割を果たす「デポ」を設ける予定だ。
・デポ設置のためには、現在計画されている18年7月に追加工事の完了→9月に小池知事が事実上の「安全宣言」→10月に豊洲市場が開場、との既定路線が完遂されなければ間に合わない。 しかし、そもそも入札不調によって、豊洲の工事が予定通りに終わる可能性は揺らいでいるし、もし工事ができたとしても、地下水や汚染物質を抑えられるかどうかは、そもそも分からない。
・その結果、築地を予定通りに解体できずスケジュールが崩れれば、新たにデポの用地として十数ヘクタールの土地を確保する必要がある。 さらに、選手らの主要な輸送路となる環状2号は、五輪前のトンネル区間の開通を見送り、地上部分のみを使うとしたことで、本来の計画より輸送能力が限られ、選手らのスムーズな輸送に対する懸念はすでにある。ここでも築地市場の解体が遅れれば、地上部分の開通さえ危うくなるのだ。
・つまり、豊洲の遅れがまるでドミノ倒しのように、五輪の計画を崩壊させてしまいかねないと言えるのだ。  小池知事は就任直後から、豊洲市場がはらむさまざまな問題に気づき、メスを入れたまではよかった。 ところが、抜本的な解決策を見いだせない中での今年6月、「築地は守る、豊洲は生かす」とのスローガンを打ち出し、事実上の豊洲移転を決めた。
・その後は7月の都議選で勝利を収めたものの、9月の希望の党設立と、10月の総選挙での惨敗、そして同党の運営を巡る民進党出身の衆議院議員との対立など、政治的なエネルギーを都政以外で使い果たし、支持率も激減。さらには、都議会で「知事与党」の姿勢を表明していた公明党会派が離脱を表明し、小池知事の政治基盤はますます危うくなっている。
・刃折れ矢尽きて、ようやく都知事職に専念する決意を固めたようだが、時すでに遅しかもしれない。
http://diamond.jp/articles/-/149899

次に、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏が12月8日付けの同氏のブログに掲載した「小池氏による一者入札禁止「制度改革」の“愚”」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽東京都入札制度「改革」がもたらした惨状
・東京都議会の6日の代表質問で、小池都知事が今年5月に実施した「入札制度改革」について、公明党、自民党などからの批判が相次いだ((日経)【都議会、知事を追及 入札改革に批判強まる】)。 豊洲市場の建物の地下で「盛り土」がなかったことの安全対策として行われる予定の工事では、入札参加を業者が一者またはゼロになったり、入札価格が予定価格を大きく上回ったりすることで不調が相次いだことで、工事施工が大幅に遅延し、来年10月に予定されている豊洲への移転が危ぶまれる事態となっている。このため、東京都は、一部の工事について入札を断念し、特命随意契約に切り替える方針を固めたとのことだ。
・そもそも昨年8月末に、小池氏が豊洲への市場移転を延期し、その理由の一つとして「巨額かつ不透明な費用の増大」を挙げたことが根本的に誤りであった。あたかも、市場移転に関する工事に関して不正の疑いがあるかのような言い方をしたのである。
・これに関して問題にされていたのは、2013年から行われた豊洲市場の主要な3つの建物の工事3件について、最初の入札がいずれも不調に終わり、2回目の入札で3施設の予定価格が1.6倍に引き上げられたほか、予定価格に対する落札額の割合を示す落札率が3件とも99%を超えたことだった。小池知事がトップを務める都政改革本部は、一つのグループだけが入札に参加し、予定価格が一気に引き上がった2回目の入札で落札していることから、「競争性や合理性に疑問がある」などとして、抜本的な見直しを求め、小池知事も「東京都は高価格体質があると言わざるをえない」と指摘していた。
・しかし、そもそも、過去に発注され、終了している工事の費用の問題は、市場移転延期の理由にはなり得ない。もし、その疑いがあるのであれば、その事実を解明し、その結果、不正行為等が判明すれば、関係者の責任追及や支払った費用の返還や賠償が問題になるというだけのことである。 そして、それ以上の的外れだったのは、「一者入札」での落札を、あたかもそれ自体で不正の疑いがあるかのように問題にしたことである。
▽一者入札禁止「入札制度改革」のデタラメ
・そのような認識を背景に、小池氏が唱えた「ワイズ・スペンディング(賢い支出)」の一環として、「都政改革本部」が今年5月に打ち出したのが、入札に参加する業者が複数いなかった場合は入札を中止してやり直す「一者入札の禁止」や「予定価格の事後公表」などを内容とする「入札制度改革」だった。
・しかし、「一者入札」を、理由を問わず禁止し、「一者入札」の場合は入札を中止してやり直すというのは全くの愚策であり、公共工事の入札契約制度が根本的にわかっていないとしか言いようがない。 もちろん、「競争入札」は、複数の、できれば多数の業者が入札に参加し、入札価格をめぐる競争が行われて、最も低価格の入札をした業者が落札し受注するのが望ましいことは言うまでもない。しかし、工事の発注をめぐる状況は、需給関係によって大きく異なる。工事の発注量が少なく、多くの業者が熾烈な競争を行っている状況であれば、「入札における価格競争」も期待できるが、逆に、発注される工事の量が多く、人手不足などで受注可能な業者が少なければ、入札参加者が少なくなるのは当然である。また、特殊な技術を要する工事ではもともと受注可能な業者が少ない。
・しかも、日本の公共調達制度では、入札の場合も「予定価格」が設定され、その価格を一円でも超えると落札できない「予定価格の上限拘束」が定められている。発注者側の公務員が建設物価等を基に算定する予定価格が工事の実態に適合するとは限らない。また、資材費や人件費等の工事単価が急上昇する局面では、実勢価格が予定価格を大幅に上回り、予定価格内で落札すると大幅な赤字受注になってしまう。このような場合、「一者入札」どころか、予定価格以下での落札者がゼロになり、「入札不調」になる。
・豊洲の4件の工事が発注された2013年というのは、東日本大震災の復旧工事と、安倍政権発足後、「国土強靭化」政策の下で公共投資が増額された影響で、人件費・資材費が異常に高騰し、前年度の建設物価をベースに算定される予定価格が実勢価格と大幅にかい離し、あらゆる公共工事で、入札不調が相次いでいた時期だった。
・このような状況での工事の発注なのだから、当初の予定価格内での入札者がいなかったのは当然であり、予定価格を6割引き上げて、ようやく各工事について一者(ゼネコンの共同企業体)の入札があったということだと考えられる。 複数の工事が同時に発注された場合、それぞれの工事に一者を受注予定者として割り当てる「談合」の結果、「一者入札」になったということも、過去の事件としてはあったし、その可能性が否定できるわけではない。しかし、2013年の豊洲の4件の工事については、「一者入札」という結果になるのは、当時の建設工事をめぐる状況からすると、むしろ当然の現象であって、そこから不正を疑い、さらに、それを契機に「一者入札禁止」の制度改革を行うというのは、全く的外れである。
・今回の、豊洲市場での工事の発注の遅れは、このようなデタラメな制度変更がもたらしたものであり、早急に、「一者入札禁止」などという馬鹿げた制度を改めるべきである。東京都は、豊洲の工事を特命随意契約に切り替えようとしているとのことだが、随意契約には「随契理由」が必要であり、それらの工事にその理由があるとは思えない。「一者入札禁止」を取りやめ、入札契約制度改革が全くの誤りであったこと率直に認めた上で、合理的な価格での応札をゼネコン側に要請すべきであろう。
▽東京都における「入札契約制度改革」の経緯
・このような「入札制度改革」が行われる前の東京都の入札契約制度は、2010年10月に公表された「東京都入札契約制度改革研究会報告書」に基づいて行われた入札契約制度改革をベースとするものだった。 同研究会は、東京都の入札契約制度及び運用の在り方を検討するため専門家・有識者を集めて2009年6月に設置されたものだった。私は、その入札契約制度研究会の会長として議論を総括し、報告書の取りまとめを行った。
・私自身、公共調達制度や談合等の不正をめぐる問題は、法務省法務総合研究所研究官の時代からの専門分野の一つであり、海外の制度との比較も含めて、公共調達や談合の問題等について様々な研究を行ってきた。【入札関連犯罪の理論と実務】(東京法令)のほか、コンプライアンス関係の著書でも、「非公式システム」として我が国の公共調達に蔓延していた談合問題を取り上げ、多くの建設業団体、建設会社等でコンプライアンスの講演を行ってきた。地方自治体の入札契約制度改革に関しては、2006年に、当時、首相補佐官だった世耕弘成氏からの依頼で、地元和歌山県の入札制度改革検討委員会の委員長として、前知事が官製談合問題で辞職した直後の和歌山県での入札制度改革の在り方を検討したのを始め、2007年には、山形県公共調達改善委員会、2009年には京都府公共調達検討委員会などの委員長を務め、各自治体の制度改革に関わってきた。そういう私にとって、東京都の入札契約制度研究会は、それまで行ってきた公共調達制度改革に関する検討の総仕上げとも言うべきものだった。
・委員会のメンバーには、公共調達問題を検討するためのベストのメンバーを揃えた。武田晴人氏は経済学者で東大大学院教授、「談合の経済学」の著書もあり、日本の公共調達制度や談合問題に詳しい。小澤一雅氏は、土木工学・建設マネジメントが専門の東大大学院教授、楠茂樹氏は、経済法が専門の上智大学准教授(現在は教授)で、「公共調達と競争政策の法的構造」等の著書もある。谷隆徳氏は、地方自治問題に精通する日経新聞の編集(論説)委員である。
・このようなメンバーを中心に発足した研究会は、1年5ヶ月の間に13回の会合を開き、業界関係者からのヒアリングも行うなどして、入札契約制度に関するあらゆる論点について広範囲に議論した。 当時は、リーマンショック後の不況に加えて、公共投資の削減、建設不況下で公共工事の受注価格が大きく下落し、ダンピング受注が深刻な問題となっていた。研究会でも、ダンピング対策は主要な検討課題であり、それに伴って最低価格と同水準の入札を招きやすい「予定価格事前公表の是非」を議論した。
・一方で、予定価格と実勢価格の乖離のために「入札不調」も相当数発生していた。入札不調には至らなかったが「一者入札」で落札した工事も相当数あったと思われるが、それは、入札価格が予定価格を少しでも上回れば、最低価格であっても落札できないという「予定価格の上限拘束」に根本的な問題があるとの認識が研究会では共有されていた。予定価格によって価格の上限だけが拘束される制度は国際的に見ても特異な制度だ。その不合理性は、総合評価方式の導入が拡大し、価格以外の要素が重視されるようになるのに伴って一層顕著になり、入札不調に伴って行政コストが増大するなど、様々な問題が生じていた。
・研究会では、現行法令上、予定価格の上限拘束という制度自体を変えることはできないため、それを緩和する方法が考えられないかについても議論した。発注者側の積算に基づいて算出する、「従来であれば予定価格として設定する価格」を「基準価格」にして、それを何割か上回る水準を、実際の入札の「予定価格」として設定し、最低入札価格が、その「予定価格」以下であれば、一応落札可能とした上、その価格が「基準価格」を上回っていた場合も、その価格が不当に高いものでないかどうかを審査(「高価格調査」)した上で、問題なければ契約するという方法についても真剣に議論した。しかし、当時、事務局側から、議会との関係等から、ただちに導入することは難しいとされ、報告書でも「一つの考え方」として示すにとどめた。
・つまり、入札契約制度研究会では、当時ダンピング対策が重要な問題となっている中で、予定価格と実勢価格とのかい離の問題についても十分な検討を行い、それに伴って発生する「入札不調」や「一者入札」の問題を、「予定価格の上限拘束の緩和」という方向で議論していたのである。そして、研究会報告書の提言を受けて東京都が打ち出した「公共工事に関する入札契約制度改革の実施方針」においても、「予定価格の上限拘束性の問題」について、次のように述べて、入札不調が起きる根本的な原因は「予定価格の上限拘束性」であるとの問題意識が示されているのである。
・国及び地方公共団体の競争入札は、予定価格を超えて落札できないとする「上限拘束」の原則と、最低価格での入札を落札とする「自動落札」の原則を基本としている。自動落札については、総合評価方式などの導入に併せて例外規定が整備されたが、上限拘束性には一切の例外が認められていない。 こうした厳しい上限拘束性は、総合評価方式の技術提案内容の制限、入札不調に伴う行政コストの増加や事業執行の遅れなどにつながる場合もあるが、これらは法令上の整理なくして解決することは困難である。
・予定価格の上限拘束性については、自動落札の原則と同様、一定の条件の下で地方公共団体の判断により拘束性を緩和する例外措置が可能となるよう、国に対する法令改正の要望に向けて取り組んでいく。  このような東京都の入札契約制度改革の経過からすると、「一者入札禁止」などという突飛な考え方が出てくる余地は全くなかったのである。
▽小池知事顧問団中心の「入札制度改革」の暴走
・今回の「入札契約制度改革」が行われるまでは、東京都の入札契約制度研究会は、東京都のホームページにも掲載されており、都の要綱上も研究会が存在していた。入札制度を変更するのであれば、何らかの形で入札契約制度研究会のメンバーによる議論を行うのが当然だと思えたし、私も、できる限り協力したいと考えて、当時、研究会の事務局を担当していた財務局の幹部とも話をした。
・しかし、入札制度改革については、都政改革本部の中の「顧問団」の一部が主導して進めており、事務方はほとんど口を出せないとのことだった。そのことに、内心忸怩たる思いを持っていることは十分に理解できた。私が、昨年11月以降、【「小池劇場」で演じられる「コンプライアンス都政」の危うさ】、【「小池劇場」の”暴走”が招く「地方自治の危機」】などで、小池氏による「劇場型都政」で行われている市場移転延期や「盛り土」問題の取り上げ方に重大な問題があることを指摘するなど、小池氏を徹底批判していたため、事務方としては、小池都知事や顧問団に対して「郷原」という名前も、郷原が会長を務めた「入札契約制度研究会」のことも、とても口にできないということだろうと思った。
・今年4月に、顧問団の意見に基づいて策定された「入札制度改革案」が公表された後、都議会でも、4月25日の財政委員会でこの問題が審議され、自民党議員からは、制度改革案を疑問視する意見が出されている。北久保眞道議員は「財務局主催の入札契約制度改革研究会の会長として、従来の入札契約制度の設計に携わってきた郷原信郎氏を参考人として当委員会に招致すること」を提案しているが、否決されている。
・もし、入札契約制度研究会のメンバーで制度改革について議論する機会や意見を述べる機会が与えられていたら、「一者入札禁止」などという馬鹿げた制度改正には強く反対していたであろう。 小池氏は、「ワイズ・スペンディング」を掲げ、その目玉として行った入札制度改革で打ち出されたのが「一者入札禁止」であった。その“暴走”と言うべき「制度改悪」は、小池氏の判断で延期された市場移転の時期をさらに遅延させ、市場関係者に大きな打撃を与えている。このようなデタラメな施策のどこが「ワイズ」なのであろうか。
・「小池都政改革」が、東京都の工事発注にもたらしている“厄災”は、もう都民として許容できる限度を遥かに超えている。都政の現状に、都民の一人として深く憂慮せざるを得ない。
https://nobuogohara.com/2017/12/08/%E5%B0%8F%E6%B1%A0%E6%B0%8F%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%B8%80%E8%80%85%E5%85%A5%E6%9C%AD%E7%A6%81%E6%AD%A2%E3%80%8C%E5%88%B6%E5%BA%A6%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%84%9A/

第三に、12月29日付け日刊ゲンダイ「小池知事には止められない ついに来年炸裂する“豊洲爆弾”」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・マスゾエ超えの愚行というしかない。築地市場の豊洲市場への移転が「来年10月11日」と正式に決まり、小池都知事は「ひとつの節目を迎えることができた」とご満悦だったが、やっていることは散々批判してきた前任者と変わらない。 江東区が求める豊洲市場内の商業施設の開業は不透明。市場業者が求める使い勝手の悪さの改善も不徹底など豊洲移転は難題山積なのだが、これらの解決の糸口は一向に見つからないままだ。
・この時期の開場日決定は、汚染対策の追加工事にメドが立ったからのようだが、実際の工事は18日に始まったばかり。その効果については専門家の間でも疑問視されている。効果も検証しないまま、10カ月後の移転を市場業者に強いるのは、まったく筋が通らない。
・2年近く移転を遅らせた最大の理由は豊洲の土壌汚染問題のはずだが、最新の地下水調査でも過去最大となる環境基準の160倍に当たる有害物質ベンゼンが検出された。 「160倍のベンゼンが検出されたのは、9月22日に採取された地下水です。従来のペースなら約3週間で公表できるので10月半ばには公表できたはず。都は『3カ月分まとめて発表している』と説明していますが、業者の立場を考えれば、過去最大の汚染が見つかったら即座に公表すべきです。しかも、公表したのは移転日を決めてから。決定前に公表していたら、移転日を決めた新市場建設協議会の判断にも影響を与えたはずです。情報公開は小池都政の『1丁目1番地』だったはずなのに、もはや隠蔽体質に染まってしまったようです」(豊洲の土壌汚染問題に詳しい1級建築士の水谷和子氏)
・山積する課題を放置しておきながら、移転日だけをサッサと決めるとは拙速かつ乱暴だ。これでは地下水モニタリングの結果を待たずに移転日を決めた舛添前知事と同じ。いや、豊洲市場の年間赤字140億円を埋め合わせるため、築地再開発で年間160億円の利益を生み出すという難題を思い付きで自らに課した分だけ、小池知事の方がはるかにタチが悪い。
・小池知事の場当たり対応では難題解決を期待するだけムリ。移転計画が行き詰まれば五輪の開催計画にも直結する。来年の開場前には無数の難題を抱える「豊洲爆弾」が必ず炸裂し、自縄自縛でがんじがらめの小池知事は迷走・混乱の責任を取って辞任するしかない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/220447/1

第一の記事で、『通常、スーパーゼネコンが大型工事を受注、施工すれば、付随する小規模な工事やメンテナンス業務まで含めて請け負うのが慣例だ。前述の追加工事も、わずか数億円程度の規模であり、本体工事を請け負ったゼネコンがそれぞれ“あうんの呼吸”で受注しても何らおかしくはない。 にもかかわらず今回、鹿島が5街区のコンクリート打設工事を受注したのを除けば、清水や大成、そして鹿島は他の工事で、そもそも入札に参加しなかったり、入札途中に辞退したり、予定価格より大幅に低い価格で札を入れるなどしている』、 『そもそも建物を建てる前に行った、860億円という莫大な費用をかけた土壌汚染対策工事を受注したのも、これらゼネコンJVだった。彼ら自身が追加工事を行ったにもかかわらず汚染物質が減少しなければ、当初の大規模な対策工事は一体何だったのかと、都とともに社会の非難を浴びるのは必至だ』、 『豊洲の工事が終わらなければ 築地も解体できずに狂う計画』、などの指摘は、小池知事の大向こう受けだけを狙った思い付き的な対応が招いた問題といえよう。
第二の記事の郷原氏は、『東京都の入札契約制度研究会』の会長として、 『1年5ヶ月の間に13回の会合を開き、業界関係者からのヒアリングも行うなどして、入札契約制度に関するあらゆる論点について広範囲に議論した』、ただけあって、指摘はさすがに専門的だ。 小池知事が、『入札制度を変更するのであれば、何らかの形で入札契約制度研究会のメンバーによる議論を行うのが当然だと思えたし、私も、できる限り協力したいと考えて、当時、研究会の事務局を担当していた財務局の幹部とも話をした。 しかし、入札制度改革については、都政改革本部の中の「顧問団」の一部が主導して進めており、事務方はほとんど口を出せないとのことだった』、というのは、小池知事と取り巻きによる信じられないような独断専行である。 『小池氏は、「ワイズ・スペンディング」を掲げ、その目玉として行った入札制度改革で打ち出されたのが「一者入札禁止」であった。その“暴走”と言うべき「制度改悪」は、小池氏の判断で延期された市場移転の時期をさらに遅延させ、市場関係者に大きな打撃を与えている。このようなデタラメな施策のどこが「ワイズ」なのであろうか』、との指摘は正論だ。
第三の記事で、 『最新の地下水調査でも過去最大となる環境基準の160倍に当たる有害物質ベンゼンが検出された』、にも拘らず、 『公表したのは移転日を決めてから。決定前に公表していたら、移転日を決めた新市場建設協議会の判断にも影響を与えたはずです。情報公開は小池都政の『1丁目1番地』だったはずなのに、もはや隠蔽体質に染まってしまったようです」』、などは空いた口が塞がらない。 『開場前には無数の難題を抱える「豊洲爆弾」が必ず炸裂し、自縄自縛でがんじがらめの小池知事は迷走・混乱の責任を取って辞任するしかない』、ということであれば、移転前の混乱を見るのが今から楽しみだ(不届きかも知れないが・・・)。
タグ:来年の開場前には無数の難題を抱える「豊洲爆弾」が必ず炸裂し、自縄自縛でがんじがらめの小池知事は迷走・混乱の責任を取って辞任するしかない 公表したのは移転日を決めてから。決定前に公表していたら、移転日を決めた新市場建設協議会の判断にも影響を与えたはずです。情報公開は小池都政の『1丁目1番地』だったはずなのに、もはや隠蔽体質に染まってしまったようです」 最新の地下水調査でも過去最大となる環境基準の160倍に当たる有害物質ベンゼンが検出された 「小池知事には止められない ついに来年炸裂する“豊洲爆弾”」 日刊ゲンダイ 郷原信郎氏を参考人として当委員会に招致すること」を提案しているが、否決されている 入札制度改革については、都政改革本部の中の「顧問団」の一部が主導して進めており、事務方はほとんど口を出せないとのことだった 入札制度を変更するのであれば、何らかの形で入札契約制度研究会のメンバーによる議論を行うのが当然だと思えたし、私も、できる限り協力したいと考えて、当時、研究会の事務局を担当していた財務局の幹部とも話をした 小池知事顧問団中心の「入札制度改革」の暴走 上限拘束性には一切の例外が認められていない。 こうした厳しい上限拘束性は、総合評価方式の技術提案内容の制限、入札不調に伴う行政コストの増 当時ダンピング対策が重要な問題となっている中で、予定価格と実勢価格とのかい離の問題についても十分な検討を行い、それに伴って発生する「入札不調」や「一者入札」の問題を、「予定価格の上限拘束の緩和」という方向で議論していたのである その不合理性は、総合評価方式の導入が拡大し、価格以外の要素が重視されるようになるのに伴って一層顕著になり、入札不調に伴って行政コストが増大するなど、様々な問題が生じていた 「予定価格の上限拘束」に根本的な問題 研究会は、1年5ヶ月の間に13回の会合を開き、業界関係者からのヒアリングも行うなどして、入札契約制度に関するあらゆる論点について広範囲に議論した 委員会のメンバーには、公共調達問題を検討するためのベストのメンバーを揃えた 私は、その入札契約制度研究会の会長として議論を総括し、報告書の取りまとめを行った 「東京都入札契約制度改革研究会報告書」 「一者入札の禁止」や「予定価格の事後公表」 ワイズ・スペンディング そもそも、過去に発注され、終了している工事の費用の問題は、市場移転延期の理由にはなり得ない 一部の工事について入札を断念し、特命随意契約に切り替える方針を固めたとのことだ 東京都入札制度「改革」がもたらした惨状 「小池氏による一者入札禁止「制度改革」の“愚”」 同氏のブログ 郷原信郎 豊洲の遅れがまるでドミノ倒しのように、五輪の計画を崩壊させてしまいかねないと言えるのだ 豊洲の工事が終わらなければ 築地も解体できずに狂う計画 そもそも建物を建てる前に行った、860億円という莫大な費用をかけた土壌汚染対策工事を受注したのも、これらゼネコンJVだった。彼ら自身が追加工事を行ったにもかかわらず汚染物質が減少しなければ、当初の大規模な対策工事は一体何だったのかと、都とともに社会の非難を浴びるのは必至だ もし追加工事をやり遂げても、再び地下水が出てきたり、地下水や空気中から多量の汚染物質が検出されたりする可能性は高い。ゼネコン業界では、豊洲市場の地下構造上、たとえ追加工事をしても、地下水や汚染物質の発生は防ぎきれないという声が、従来からある にもかかわらず今回、鹿島が5街区のコンクリート打設工事を受注したのを除けば、清水や大成、そして鹿島は他の工事で、そもそも入札に参加しなかったり、入札途中に辞退したり、予定価格より大幅に低い価格で札を入れるなどしている 通常、スーパーゼネコンが大型工事を受注、施工すれば、付随する小規模な工事やメンテナンス業務まで含めて請け負うのが慣例だ。前述の追加工事も、わずか数億円程度の規模であり、本体工事を請け負ったゼネコンがそれぞれ“あうんの呼吸”で受注しても何らおかしくはない 政治的にも技術的にもリスク大で最後まで逃げ回りたいゼネコン 都が発注した9件のうち落札したのは2件だけ 「小池都知事を襲う五輪崩壊ドミノ!豊洲でゼネコンが受注拒否の衝撃」 ダイヤモンド・オンライン (その13)豊洲新市場移転7(豊洲でゼネコンが受注拒否の衝撃、小池氏による一者入札禁止「制度改革」の“愚”、ついに来年炸裂する“豊洲爆弾”) 東京都の諸問題
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