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北朝鮮問題(その14)(高度上空の核爆発で起きる「電気がない世界」の恐怖、米朝開戦の瀬戸際で、32ヵ国の陸軍トップを前に僕が話したこと、米韓が先制攻撃なら北朝鮮は1日で壊滅も 「軍事マニュアル」判明) [世界情勢]

北朝鮮問題については、昨年11月27日に取上げた。今日は、(その14)(高度上空の核爆発で起きる「電気がない世界」の恐怖、米朝開戦の瀬戸際で、32ヵ国の陸軍トップを前に僕が話したこと、米韓が先制攻撃なら北朝鮮は1日で壊滅も 「軍事マニュアル」判明)である。

先ずは、読売新聞調査研究本部主任研究員 永田和男氏が昨年5月24日付け読売新聞に掲載した「高度上空の核爆発で起きる「電気がない世界」の恐怖」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・北朝鮮の核・ミサイル開発に懸念が高まっている。核兵器の恐ろしさとは何だろうか。熱線と爆風による大規模な殺傷と破壊、そして放射能汚染はもちろん深刻な脅威だ。しかし、はるか上空の核爆発で地上に起きる「電気がない世界」の恐怖は想像できるだろうか。一時的な停電ではなく、国の電力網全体が破壊されて何年も復旧しなくなるような事態だ。読売新聞調査研究本部の永田和男主任研究員が解説する。
▽電磁パルス攻撃は「現実の脅威」
・「一発の核爆弾が我が国上空のはるかな高さで爆発することで、電力供給網と死活的に重要なインフラが崩壊し、何百万もの生命が危険にさらされる。北朝鮮が核弾頭搭載可能なミサイルを持ち、イランも保有に近づく現状を見れば、電磁パルス攻撃は理論上の懸念ではなく、現実の脅威である」――。 昨年7月、ドナルド・トランプ氏を大統領候補に正式指名した米共和党大会で採択された綱領に、こんな一項が盛り込まれていた。
・電磁パルスは、一定の高度で核爆発が起きた時に起きる電磁波のことだ。核爆発により放出されるガンマ線が空気分子と衝突することで発生する。電磁パルスが地磁気に引き寄せられて地上に向かう時に大電流となり、電子機器や送電線などに入り込んで破壊してしまうのだ。
・2004年に米議会に提出された専門家委員会の報告書「電磁パルス攻撃の合衆国への脅威評価」によると、電磁パルスは核爆発が地上40~400キロ・メートルの高さ(30~500キロ・メートルという説もある)で起きる時に最も発生しやすい。大気が適度に希薄なためにガンマ線が爆発地点から遠方まで拡散するためだという。爆発地点が米国中部の上空高度400キロ・メートルなら、地上の影響範囲は全米をすっぽり覆う半径2200キロ・メートルに達するという試算もある。
▽発電施設、スマホ、パソコンを次々に破壊
・10キロ・トン程度の核弾頭(広島に投下された原爆は15キロ・トン)が大気の希薄な高度上空で爆発しても爆風はほとんど起きず、熱風や放射能の影響も地表には届かないとされる。したがって、爆発の時点では死傷者も建造物の破壊も発生しないが、その間に電磁パルスによる大電流が送電線などに入り込み、ネットワークで結ばれた発電や変電施設は次々に焼け落ちた状態になる。スマートフォンやパソコンなどの電子機器部品にも大電流が入り込み、破壊されてしまう。
・実は、こうした現象は第2次世界大戦中の核開発初期段階から、開発に携わった物理学者らの間で予想されていた。1962年に米国が北太平洋上空400キロ・メートルで行った核実験では、実験場から1300キロ・メートル以上離れたハワイ・オアフ島で停電が発生した。この実験が米本土上空で行われていたら、全米規模の電力喪失事態が起きていただろうと指摘する物理学者もいる。ただ、翌63年に大気圏内、宇宙空間での核実験を禁止した部分的核実験禁止条約が発効したこともあり、その後、これほどの高度での核爆発実験は行われていない。
・冷戦終結で、米ソなど超大国による核戦争は遠のいたが、最近は、国際条約を顧みない北朝鮮などの「ならず者国家」やテロ組織が核を使用する懸念が着実に高まる。一方で、電力と電子機器への依存度は60年代当時とは比較にならないほど増大している。2001年の同時テロや03年のニューヨーク大停電を経験した米国では特に、電磁パルス攻撃で起きる国家規模での電力喪失事態への懸念が広まっていると言える。
▽電力システム崩壊なら「1年後に9割死亡」
・では、国全体で長期間、電力がまったく使えなくなると、どのようなことが起きるのだろうか。そのイメージをつかむのに、今年2月公開の日本映画「サバイバルファミリー」(矢口史靖監督)が参考になる。平凡な一家の視点から、現代人の生活がどれほど電力に依存し、それがないと、どんなことが起きるかがわかりやすく描かれていた。
・普段と変わらないある日、原因もわからず電気が止まる。目覚まし時計もスマホもテレビも、冷蔵庫もガスコンロも水道も使えない。今何時かもわからないまま外へ出ると、エレベーターも信号機も自動車も電車も、何もかも止まっている。現金自動預け払い機(ATM)は作動せず、預金データも消えてしまっている。食料や水、日用品は次第に尽きていく――。  ただ、この作品では人の死や暴力的な場面はほとんど登場せず、最後には再生に向けたハッピーエンドも用意されている。
・一方、米国では近年、電磁パルス攻撃で起きる「電気のない世界」をテーマとした近未来小説が続々発表され、一つのジャンルを形成している。飢餓や疫病、略奪の横行など社会秩序崩壊をこれでもか、とばかりに描いた作品がほとんどだ。 
・先に挙げた04年の議会報告書は、全米規模の電力システム崩壊があった場合、復旧には数年を要し、食料や燃料、医薬品などあらゆる物資の欠乏と衛生確保が困難になることから飢餓と疫病は免れず、人口3億人余りの米国で「1年後には90%が死亡している」と予測している。 ニューヨークなど大都市で上下水道がまったく使えなくなり、食料がどこからも輸送されてこない状態を考えただけでも、生き残りが容易ではないことは想像に難くない。電磁パルス攻撃を扱う近未来小説も、この報告書の見通しを参考にしているものが多い。
▽電磁パルス攻撃扱う小説、ベストセラーに
・代表的なのが、08年発表の第1作以来ベストセラーとなり、今年完結した作家ウィリアム・フォースチェン氏の3部作(いずれも邦訳なし)だ。1作目『ワン・セカンド・アフター(1秒後)』では、米国全土で一瞬にして電力が失われ、正に1秒前まで電力を当たり前のように享受していた人々は途方に暮れる。未曽有の惨状の一部を紹介しよう。
・自動車は電気系統を破壊され、高速道路上で立ち往生し、飛行中の旅客機は制御機能を失い、次々に墜落する。専用機エアフォースワンで移動中の大統領も犠牲となった。体内に埋め込んだ心臓ペースメーカーが動かなくなったお年寄りがうめき出し、倒れていく。病院では非常用電源も尽きると、あらゆる設備が使えなくなり、普段ならわけなく救えるはずの患者たちを前に医師たちもなすすべがない。商店では、残り少なくなる食料や物資の略奪が始まる。
・元軍人の主人公は、糖尿病の持病を持つ娘のインスリン確保に奔走しながら、この事態は何者かの電磁パルス攻撃が原因と推測し、政府が何ら対策を講じてこなかったことを嘆く。主人公と町の人々は、食料強奪を狙う暴徒集団の襲撃を受け、多くの犠牲者を出しながら撃退する。しかし、娘は、インスリンの補給が絶えて命を落とす。主人公が、妊娠したもう一人の娘に、必要な栄養を与えるため、泣く泣く愛犬の首に手をかける壮絶な場面も登場する。
・1年後、海外駐留から引き揚げて復興支援にあたる軍隊が、わずかばかりの物資とともに町に到着。主人公たちは、事態がやはり、テロ組織のミサイルによる電磁パルス攻撃が引き起こしたものだったことを知る。大統領を失った政府は首都ワシントンを放棄して地下都市に逃れ、テロ組織の背後に北朝鮮とイランがいたと断定して残存核兵器で両国を報復攻撃する。だが、電磁パルス攻撃は欧州とアジアでも同時に起きていたため、ロシアを含む大部分の欧州諸国と日本、台湾、韓国も崩壊。被害を免れていた中国が唯一の超大国となり、復興の名目で米西海岸に軍を駐留させ、事実上の占領を始める――まさに戦慄の筋書きだ。
・2作目『ワン・イヤー・アフター(1年後)』、3作目『ファイナル・デイ(最後の日)』では、米国再生を願う主人公と軍の元同僚らの奮闘と、超大国・米国が事実上消えてしまったことで起きる世界の混乱が描かれる。ささやかなハッピーエンドはあるが、そこに至るまでの描写は壮絶だ。 1作目にはトランプ大統領の有力支持者でもあるニュート・ギングリッチ元下院議長が巻頭文を寄せ、電磁パルス攻撃は政府機関や専門家の研究の裏付けがある「本物の脅威だ」と強調。「攻撃後、最初の1週間で数百万人が命を落とすことになる」と警告している。
▽北朝鮮も「電磁パルス攻撃」を想定か
・核とミサイルの開発を続ける北朝鮮は、米国に到達する大陸間弾道弾(ICBM)の取得を視野に置いているとみられ、米国も深刻な脅威と受け止めている。ただ、共和党綱領でも核兵器を電磁パルス攻撃に使うとの懸念を指摘されていた北朝鮮は、既にミサイルを地上40~400キロ・メートルに打ち上げる技術は備えている。5月14日に打ち上げた中長距離弾道ミサイルの高度も2000キロ以上に達したとみられている。弾頭を小型化してミサイルに搭載する技術もすでに習得しているとの見方もある。電磁パルス攻撃は、核保有国の中国、ロシア、そして米国も冷戦期以来研究を続けているとされる。北朝鮮も、電磁パルス攻撃という核の使い方を認識していると考える方が現実的だろう。
・むしろ、保有する核弾頭の数が限られている国や独自には核開発能力を持たないテロ組織にとって、小型核一発でも相手国に致命的打撃を与える可能性がある電磁パルス攻撃は、効果的な攻撃方法の一つとみることもできる。
・軍事専門家によると、テロ組織が核弾頭を上空に打ち上げようとする場合、貨物船舶で標的とする国の沿岸に接近し、船内に隠し持つ発射装置を使うやり方などが考えられる。観測用気球で弾頭を上空40キロ・メートル程度まで運び、遠隔装置で起爆することも可能だと指摘する専門家もいる。
・米議会では、電磁パルス攻撃を想定した重要インフラ防護に関する法案が15年に下院に提出されたが、まだ成立をみていない。昨年の共和党綱領はこの法案の早期成立を訴えるとともに、連邦政府と各州政府に対しても重要インフラ施設の保護に乗り出すよう求めている。トランプ大統領は就任前、「サイバーその他の手段による攻撃から死活的に重要な社会インフラを守る」と語ったことがある。インフラ投資や国防関連予算の増額に強い関心を示すトランプ氏が今後、電磁パルス攻撃を念頭に置く施策を打ち出すかどうか注目される。
・日本でも、電磁パルス攻撃への対策を訴えた研究機関による提言がある。一般社団法人「日本戦略研究フォーラム」が昨年発表した「高高度電磁パルス攻撃によるインフラ破壊の脅威への対処」は、電磁パルス攻撃を「大震災をはるかに超える広範囲の社会インフラ等の破壊をもたらす新たな緊急事態」として認識することを国民に警告した。その上で、(1)核兵器の全廃と拡散防止を目指す外交的取り組み(2)各国間のテロ組織などの情報共有や、攻撃が起きた際の相互態勢作り(3)国内インフラの防護体制構築――の3点を対策として提示した。
▽電磁パルス現象は「太陽嵐」でも発生
・実は、電磁パルス現象は核爆発だけでなく、太陽表面の巨大爆発で起きる磁気嵐(太陽嵐)が地球を直撃した場合にも発生する。観測史上最大の1859年の磁気嵐直撃では、普及し始めていた電信機器などに深刻な被害が及んだ。近年も、1989年にカナダで磁気嵐によるとみられる停電が起き、2012年にもかなりの規模の太陽嵐が地球近くを通過していたことが米航空宇宙局(NASA)の観測でわかっている。この時直撃していれば、人類存続に関わる危機になっていた可能性も取り沙汰されている。
・日本戦略研究フォーラムの提言は、核による電磁パルス攻撃への備えは、近い将来再び起こる可能性が高い太陽嵐直撃への備えにもなると強調する。研究グループ代表を務めた鬼塚隆志氏(元陸上自衛隊化学学校長)は、「コンピューターやインターネットの長所を追い求めるだけでなく、負の面にも気づくべきだ」と指摘。電子機器依存の高まる現代社会で突然電力が失われた時に起こる事態を想定しておくことは、国土強靱化を語る上で、ぜひ必要な視点だと力説する。鬼塚氏は、電磁パルス攻撃からの防護を国土全体の社会インフラに対して施すのは困難でも、一部の地域で発電、送電施設を電磁パルスの影響が及ばない地下に埋設したり、パソコンなどの電子機器に十分な防護を施したりしておくことも提唱する。拠点的な都市や地区だけでも電力が生きていれば、全土の復旧に向けた足がかりになるはずだ。
・「電気のない世界」という一見、絵空事のような事態が実は十分に起こり得るのだと認識し、それが起きた時、どのような影響が市民生活と社会全体に及ぶのかを産官学一体で協議してみることが、有効な対策の出発点だろう。核弾頭やミサイルを使う電磁パルス攻撃という人為的脅威を踏まえて、国際社会がテロとの戦いや核拡散防止体制を講じる中で、「電気のない世界」をもっと深刻な問題として話し合うべきではないだろうか。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170523-OYT8T50051.html

次に、東京外国語大学教授で紛争屋の伊勢崎 賢治氏が12月31日付け現代ビジネスに寄稿した「米朝開戦の瀬戸際で、32ヵ国の陸軍トップを前に僕が話したこと 日本メディアの喧騒から遠く離れて」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽アメリカ陸軍から届いた講演依頼
・アメリカは一枚岩ではない。 それは、小泉政権の時に日本政府代表として、アメリカがタリバン政権を倒した後のアフガニスタンの占領統治に参加し「武装解除」を担当した時に強く感じたことだ。 現場では、国防総省、国務省、そしてCIAの“協働”は最大の課題であったし、せっかく協働できても、ホワイトハウスの突然の意向(つまりアメリカ自身の選挙戦の都合)に翻弄されたり。
・そのアメリカから2017年9月末、北朝鮮開戦が心配されていた最中、僕に依頼が来た。国防総省。その中でも「アメリカ陸軍」である。 アメリカ陸軍は、2年に一度、太平洋地域諸国の陸軍の参謀総長を集め信頼醸成を行なっている。PACC : Pacific Armies Chiefs Conferenceである。その第10回目が韓国ソウルで開催されることになり、アメリカ陸軍太平洋総司令官ロバート・ブラウン大将からの招聘である。
・太平洋地域オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、フィリピンはもちろんのこと、イギリス、フランス、インド、そして特記すべきは中国を含む、全32ヵ国の陸軍のトップだけが参加する。日本からは、陸上自衛隊幕僚長が出席した。
・会議のテーマは、Unity in effort(共に闘う): Building Civil-Military Partnerships in Land Force Response to Non-traditional Securit y Threats (非通常戦脅威に対する陸軍戦略における軍民連携)。
・僕は講演者として招かれ、講演内容は在日米軍司令部と韓国の安全保障専門のシンクタンクが僕と調整した。 講演テーマは、僕がアメリカのアフガニスタン戦や国連PKOの現場で経験した国際部隊による「占領統治」と敵対行為が進行中の国家建設、ということで落ち着いた。
▽本当の戦争は敵政権を倒した後に始まる
・戦争は敵政権を倒しただけでは終わりではない。それからが本当の戦争なのだ。 特に厄介なのは、敵政権とその指揮命令系統を、講和なしに完全に軍事的に破壊させてしまった場合だ。 政権崩壊を受け入れないもの、政権時の圧政の復讐を恐れるもの、占領統治が始まってもそれ失望し不満を募らせ暴力的抵抗に訴えるもの。非通常戦脅威、インサージェント(insurgent)など、色々な言葉で言い表される非対称な脅威との戦争が始まる。
・現代の戦争とはここに勝利することを言うのだ。敗戦を受け入れ整然と自らを武装解除し統治された日本人には、安保・軍事専門家を名乗る者たちにも、感覚的に、ここが、判らない。 僕に課せられたテーマは、戦争の勝ち方、つまり、占領統治の困難と教訓である。アメリカは、日本以外で、ことごとく、これに失敗している。
・近年のアフガニスタン、イラクにて、米軍が苦悩を重ねてきた占領統治、すなわち軍政において、民政との協働、とりわけ、「ソフトパワー」の戦略的重要性が認識されて久しい。 敵国政権を倒しただけでは戦争は到底完了しないことを、いやそれ如何によっては、開戦自体が失策であると米国民に思わせてしまうことをアメリカ軍は経験している。
・2006年に、アフガニスタン、イラクでの占領統治の教訓から米陸軍ペトレイアス将軍によって20年ぶりに書き換えられた米陸軍・海兵隊の Counter-Insurgency: COINドクトリンに代表されるように、それを失策にさせない努力は試行錯誤されている。 その一環として占領統治を「国際化」、つまり米軍単独ではなく、多国籍軍としてそれを行う試みは当然の帰着であるように思える。アメリカへの悪意を国際化によって中和させるために。
・それが Unity in effort であり、それを醸し出すべきなのがソフトパワーであるが、これは単に駐留軍が”やさしく”振舞うことではない。 屈強な兵士がチョコレートを配ったって、民衆は、それを、見透かす。当時のイラクやアフガニスタンで米軍の日々のスローガンになったように、ソフトパワーとは民衆のココロをつかむ人心掌握。戦争を民衆”で”勝つ Winning the People であり、具体的には、優良な「傀儡政権」をつくる以外の何物でもない。
・それを通して民衆を把握すること。これが占領統治の極意であることを、アメリカ、そして同盟国NATO諸国によるCOINは経験値としている。
▽なぜ傀儡政権づくりに失敗するか
・一方で、COINがドクトリン化されて久しい今でも、COINは未だに、全く、成功していないこと、いや、その兆しさえないことも、COINの実務家たちは、共通認識としているのだ。 なぜ傀儡政権づくりに失敗するか。  相手のあることだから、それも独立した「主権」を扱うことだから、不確定要素が支配するのはわかる。 しかし、その不確定要素を失敗の直接要因にさせない最大限の工夫と努力は、確定的な戦略として協議されてしかるべきであり、ここに、この会議に僕が呼ばれた理由がある。
▽軍事占領は時間がかかる。
・本来インサージェントへの作戦は、その当事者国領域の局地的なものだが、日本の戦後統治開始直後に始まった冷戦のように、領域を超える新たな脅威の展開がしばしば起こり、駐留継続の必要性が生まれる。 それは現代においても同じで、局地的な脅威であったアフガニスタンのタリバンは「レジェンド化」し、共謀者アルカイダを経て国外に分散し、IS、その他のグループのように止めどもなくアメリカへの脅威として増殖してゆく。
・それは回り回ってアフガニスタンにも帰還し、現地の紛争構造(例えばタリバン vs ISのように)を複雑化させ、ついに米建国史上最長の戦争となり今日に至る。 駐留の長期化の一方で、傀儡政権の「主権度」はどんどん増してゆく。なのに人心掌握に負けるのはなぜか。敵のそれが上回るのはなぜか。 なぜ民衆は我々を、我々が作る傀儡政権を嫌うのか。そして、民衆の嫌悪に慄いた傀儡政権自身までもが、我々に敵意を向け始めるのはなぜか。
▽失敗を最小限にするための戦略
・最悪の例は、アフガニスタンのタリバン政権打倒後、最良の傀儡とアメリカが見込んだカルザイ大統領(当時)だ。その政権末期には、反米キャンペーンの急先鋒となり、政権の保身に走ったのだ。
・それでも、こんな針の筵のなかでも、我々は、アメリカは、NATOは、そしてその戦略であるCOINは、この道を進むしかない。 なぜなら、国際部隊が主力戦力として圧倒し、インサージェントに軍事的に勝利するのは、米・NATO関係者の中でも不可能であると認識されているからだ。
・僕の講演は、そうした針の筵の中で足掻くのが占領政策の現実だとしたら、失敗を最小限にするための戦略とは何か。国際部隊の統合司令部として、特に常に民衆の憎悪の引き金となる、駐留軍による過失・事故を包括する法体制とは何か。これを論じた。
・傀儡政権の「主権度」が時間とともに高まれば高まるほど、現地法と駐留軍の法の「競合」が、占領統治の死活問題になるからだ。これは「地位協定」の問題に集約されてゆく。 そういった駐留軍のあるべき法体制の議論は、未だ発展途上であり、多国籍の駐留軍の法体制も各国様々であるから、その統合も大きな課題である。 軍事組織として「法の空白」を抱える日本の自衛隊という問題もある(拙稿参照:南スーダン自衛隊撤退ではっきりした日本の安保の「超重大な欠陥」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51311 )。
・果たして、国際社会に、以上のような試練と挑戦をクリアして、新たな占領をつくる余裕が、あるかどうか。これが僕の講演の問いかけであり、同時に米陸軍の依頼であった。
▽北朝鮮占領は国際社会のキャパを超えている
・この太平洋陸軍参謀総長会議は、チャッタムハウスルールで、誰が何を言ったかは口外しない紳士協定だから、内容を詳述できない。 しかし、僕の講演を受けてのフロアでの質疑応答、そして公式・非公式のクローズドな32ヵ国の陸軍トップとの交流で得られた知見として言えることは、以下のように要約される。
 +正規軍だけで200万を超すとも言われる北朝鮮軍が政権崩壊後、整然と武装解除するとは、特に先進国の米同盟国の陸軍参謀総長たちは、韓国陸軍の一部を除いて、誰も考えていない。
 +金正恩斬首作戦は、技術的な可能性はどうあれ、北朝鮮の指揮命令系統を崩壊させることは、占領統治の観点からは、見合わないリスクを伴う。
 +戦端が開かれたら短時間で首都ソウルを壊滅できると言われている国境線上に配備された北朝鮮の通常兵器への対応は「デジタル的」に可能とする一部の韓国軍幹部の発言には、米陸軍、その他先進同盟国の幹部からは困惑の表情が読み取れた。
 +政権崩壊後、アメリカ軍が北朝鮮に進駐することは、この会議に参加した中国にとって許せる事態か。  アメリカの仮想敵イランと接するアフガニスタンでタリバン政権崩壊後の占領統治の例があるので、「国際部隊」としての体裁と、意思疎通と、願わくば安保理決議があれば、なんとか乗り切れるのではないか(中国代表がそう明言したわけではなく、関心はもっぱら米軍による韓国のTHAAD配備であった)。
 +一般論として、混乱期の軍政に必要な兵力は人口1000人に対して20名のような計算値がある。それからすると当時のアフガニスタンでも兵力70万、イラクでは50万だが、あれほど同盟国に呼びかけ、安保理決議を引き出して全国連加盟国に呼びかけても、両者共にピーク時に20万以下。もちろん占領統治は失敗し続け現在に至る。 人口2500万の北朝鮮では50万以上の兵力が理論上必要となるが、アフガニスタン、イラクの経験からも、国際社会のキャパを超えている。 たとえこの兵力が投入されても成功の保証はないのだ。なぜならCOINの成功例として語られるインド、カシミールでのISを含む対イスラム過激派対策では、人口700万に対しインド軍75万の投入、つまり前述の計算値でいうと人口1000人に対して兵力100の投入を常態化して、やっと安定させているからである。
 +金正恩政権崩壊後の安定化に理論上必要な兵力においては、60万の正規兵力を誇る韓国軍が主力になることに、言語、文化の理解、そして兵力ローテーションのロジの面で圧倒的な優位性があるが、反面、近親憎悪による被支配感の倍増が占領統治の負荷になる可能性は看過できない。最大限の「国際化」を図ることは必要。
 +いずれにせよ、イラク、シリアに代表される中東情勢、北アフリカ、アフガニスタン、パキスタンからフィリッピン、ミンダナオまで、国際部隊のコミットが常態化している現在、北朝鮮占領は、国際社会のキャパを超えている。
▽緩衝国家・日本の命運
・以上、北朝鮮の”挑発“とトランプ大統領の好戦的な発言が続いていた中、日本社会メディアの喧騒が極致にあった時の「アメリカ」である。 なぜこの時期に? それもソウルで? アメリカ陸軍には二つの意思があったと思う。
・一つは、北朝鮮への最終的な示威行為。つまり、金正恩に対して、お前を倒した後のことも考えているぞ、という。それも、アメリカ統一司令の国際部隊で。 もう一つは、アメリカ陸軍だからこそ、である。空軍であれば爆弾を落として基地に帰ってくればいい。しかし占領統治で、非対称な敵と血みどろで戦わなければらないのは陸軍(含海兵隊)なのである。一行政組織として、大統領に占領統治のコストとリスクを勘案して戦争の政治決断をさせたい、という。
・どちらかは判らない。でも、どちらかだけではないと思う。 しかし、国名は明かせないが、アメリカの主力同盟国の陸軍参謀長数名の僕の講演への明確な反応は、後者を示唆するものであった。 日本は他のアメリカの同盟国にはない特性が、韓国と共にある。それは「緩衝国家」としてのそれである(拙稿参照:知らなければよかった「緩衝国家」日本の悲劇。主権がないなんて… http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53472 )。
・アメリカの開戦によって「本土」への被害を被る同盟国は韓国と日本だけである。その両者でも、直接の被害国は韓国であり、日本は少なくとも開戦の結果を見通す余裕が韓国よりあるはずだ。 繰り返す。アメリカは一枚岩ではない。どのアメリカを見るか。緩衝国家としての日本の命運がかかっている。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54018

第三に、週刊朝日の記事を1月13日付けダイヤモンド・オンラインが転載した「米韓が先制攻撃なら北朝鮮は1日で壊滅も、「軍事マニュアル」判明」を紹介しよう。
・2018年も北朝鮮の“挑発”は続きそうだが、米国が先制攻撃を仕掛けるケースを想定した“軍事マニュアル”の全容が韓国で明らかになった。  根拠となるのは、2017年12月4~8日に実施された米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」だ。日本では戦闘機や偵察機など米韓両軍で230機が参加したと伝えられていたが、11月29日に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星15」発射したことを受けて260機に増強され、史上最大規模の軍事訓練となった。
・韓国在住のジャーナリスト、裵淵弘(ベ・ヨンホン)氏がこう語る。 「詳細はこれまで明らかにされてこなかったのですが、訓練内容を分析した文書を見ると本当に実戦さながらです。米軍が本当に先制攻撃を仕掛けた場合、その攻撃力は想像を絶します。北朝鮮は報復攻撃さえできずに、早ければ1日で壊滅すると考えられます」
・これまで米国が北朝鮮に対して先制攻撃を実行した場合、全面戦争に発展するのは避けられず、北朝鮮の報復攻撃によって日米韓は甚大な被害を受けることが予想された。 特に非武装地帯(DMZ)の北方に配置された北朝鮮の多連装ロケット砲や長距離砲がいっせいに火を噴き、付近に展開している米陸軍第2歩兵師団が標的になるばかりか、ソウルが“火の海”に化す悲劇も現実味を帯びていた。
・過去、米国はクリントン政権時代の1994年に北朝鮮の核施設への空爆を検討したことがあった。北朝鮮は93年に核拡散防止条約(NPT)を脱退した後、核実験と弾道ミサイル「ノドン1号」の発射を強行していたからだ。だが、米国が空爆を実行すれば、朝鮮戦争の再開が危惧された。開戦から90日で米軍の死者5万2千人、韓国軍の死者49万人、韓国の民間人の死者は100万人以上に達するという衝撃のシミュレーション結果を、当時の在韓米軍司令官がホワイトハウスに報告し、攻撃を中止したという経緯があった。
・いま、ICBMの完成を目前にして、核弾頭の量産体制に入ったとも見られる北朝鮮の“脅威”は当時の比ではない。当然、米国本土も無傷では済まないはずだ。 ところが、この想定は米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」によって覆されるかもしれないというのだ。米韓両軍が先制攻撃で遂行する作戦とは、一体いかなるものなのか。裵氏が説明する。
・「攻撃は段階的に行われますが、最初に出動するのは3機の電子戦機『EA‐18G』です。電波を発射して北朝鮮のレーダー網を完全に麻痺させ、さらに対レーダーミサイルで通信基地を破壊する攻撃機です。実際、訓練中にも北朝鮮のレーダー網を麻痺させてしまったようです。このため、北朝鮮は演習内容をまったく把握できなかったといいます」
・北朝鮮の通信網を無力化し、制空権を完全に奪ったところで、ステルス戦闘機のF35AやF22が出動。迎え撃つ北朝鮮の空軍を相手にすることもなく、ミサイル基地や生物兵器、大量破壊兵器関連施設など最優先のターゲットを次々と精密爆撃する。むろん、ソウルを照準にしたDMZ周辺の長距離砲陣地も完全に叩く。反撃能力を潰えさせた後、ステルス機能のないF-15、F-16戦闘機、B-1B爆撃機が残る主要軍事施設を思うがまま絨毯爆撃するという手順だ。
・開戦となれば、金正恩朝鮮労働党委員長は要塞化された地下作戦部に身を潜める。だが、通信衛星で金氏の動きは捕捉され、バンカーバスター(地中貫通爆弾)を搭載したF-35Aが“斬首作戦”を実行する。裵氏が続ける。 「さらに驚くのは、260機もの戦闘機の上空で早期警戒管制機『E-8ジョイント・スターズ』という航空機が展開することです。1度に600カ所の目標物をレーダーで探知し、優先順位を決めて、すべての戦闘機に攻撃の指揮、管制をする。おまえはこの基地を撃て、おまえはあそこを撃てというふうに、設定された軍事目標を一気呵成にしらみ潰しにしていくのです。その指示作業を確認する訓練も行われました。もはや、作戦は完璧に組み立てられています。もちろん、撃ち漏らしはあるでしょうが、開戦となれば、これまで考えられていたような反撃能力が北朝鮮に残っているとは思えないのです」
・仮に、北朝鮮が同時多発的な攻撃を企てたとしても、ほとんどのミサイルが液体燃料のため注入に1~2日かかる。その動向がキャッチされると戦争準備と認められ、米国にとってみれば先制攻撃の口実になる。だが、現実的には、米軍によるこの空前絶後の作戦も封印されることになる。
・「いざとなれば、これほど大規模な攻撃を実行できるということを見せつけたのです。圧倒的な軍事力の差で北朝鮮を委縮させ、経済制裁に消極的な中国を圧迫する効果を狙っています。しかし、北朝鮮が先に奇襲攻撃を仕掛けてこない限りは、この作戦は実行されません。金正恩氏もそのことを十分承知しているから、制裁で追い詰められても体制維持のため、今年もレッドラインを超えないぎりぎりの“挑発”をくり返すでしょう」
・(裵氏) 北朝鮮の狙いは、抑止力を極限まで高めて米国との直接交渉のカードを引き出し、核保有国として認めさせることだろう。 一方で経済制裁が、北朝鮮を確実に追い詰めている。はたして金正恩体制崩壊への導火線となるのか。12月22日には、国連安全保障理事会が北朝鮮に対し、10回目の制裁決議を採択した。ガソリンや軽油など石油精製品の輸出を9割削減するという厳しい措置が取られる。北朝鮮は「わが国の自主権への乱暴な侵害、朝鮮半島と地域の平和や安定を破壊する戦争行為」などと強く反発した。
・軍事的プレッシャーと相次ぐ経済制裁にも北朝鮮サイドは、表面的には強気の姿勢を崩さない。コリアレポート編集長の辺真一(ピョン・ジンイル)氏はこう見る。 「国際包囲網を張って兵糧攻めにしながら軍事プレッシャーをかけて、北朝鮮をギブアップさせようとしています。しかし、北朝鮮は過去9回の制裁決議にも反発してきましたし、米韓の軍事演習に怯んで弾道ミサイル開発を断念するかといえば、そんなことは到底考えられません。金正恩氏は相応の覚悟を持って、次の手を打ってくるはずです。北朝鮮は9月のミサイル発射以来、75日間も音無しの構えでした。国際社会は、米国の軍事力に委縮していたとか、あるいは対話を求めるために自制していたと見ていた。よもや、新型の『火星15』を開発していたとは思わなかったはずです」
・米韓合同軍事演習が終わった後も、金正恩氏は北朝鮮の“革命の聖地”である白頭山に登頂。平壌に戻った12月11~12日には、軍需工業部門の大会に出席した。「わが国を世界最強の核強国、軍事強国へとさらに前進させなければならない」と檄を飛ばし、今後も核開発を質量ともに強化していくことを宣言したのである。辺氏が続けて指摘する。
・「対話の前提となるのは、北朝鮮の非核化です。はたして金正恩氏が応じるでしょうか。米国や日本は、北朝鮮が制裁や軍事プレッシャーに弱って対話を求めてくると思い込んでいる。北朝鮮側はトランプ大統領が譲歩しない限りは対話には応じない姿勢です。仮に、米朝間で交渉が始まったとしても、北朝鮮は弾道ミサイルや核開発の放棄を求められるから、決裂は必至です。結局、落としどころがないのです。私は奇跡が起きない限り、武力衝突が起きる可能性がきわめて高いと訴えてきた。金正恩氏が降参するか、トランプ氏が折れるか……。どちらもあり得ません」
・一方で、韓国の文在寅大統領は、2~3月に開催する平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピックへの参加を北朝鮮に呼び掛け、融和ムードを醸し出すのに必死だ。2月末に予定されていた次回の米韓合同軍事演習も、五輪・パラリンピック後に延期することを米国に求めている。韓国のメディアも金正恩氏が実妹の金与正(キム・ヨジョン)氏を派遣し、サプライズショーを行う可能性について報じている。だが、辺氏の見方は厳しい。
・「文在寅氏の錯覚も甚だしい。北朝鮮が平昌五輪に参加するメリットは何もありません。米国とともに制裁圧力を加えている相手に、わざわざ花を持たせるようなことをするはずがありません。それに北朝鮮は冬季五輪で、過去にスピードスケート競技で銀メダルと銅メダルを1個ずつしか獲得できていないありさまです。一方、韓国は平昌五輪でメダル獲得数が世界でベスト5に入ることが見込まれています。五輪でも南北格差が鮮明になるだけで、北朝鮮は恥を晒すことになる。北朝鮮が参加する理由が見つかりません」
・逆に、平昌五輪の最中に北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験などを行う可能性はあるのだろうか。辺氏は「期間中は99%ない」と明言する。むしろ、過去のデータを見ると、五輪前に実行する恐れがあるという。16年1月6日には4回目の核実験を実施、2月6日にはテポドン2号改良型を発射した。2月8日は朝鮮人民軍の正規軍創建記念日だが、今年は70周年を迎える。そのタイミングで、北朝鮮が新たなアクションを起こすかもしれないというのだ。
・「米軍は、核施設やミサイル基地などを限定的に攻撃するかもしれません。武力衝突が起きても全面戦争へとエスカレートさせないために、同時に和平協議に向けた努力が払われることになるでしょう。そこを対話の契機とすることができるか、国際社会の対応が試されることになります」(辺氏)
・北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「北極星3」の開発も視野に入れる。戦争につながりかねない金正恩氏とトランプ氏のチキンレースは、当面続きそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/155732

第一の記事で、 『電磁パルス攻撃は「現実の脅威」』、 『電力システム崩壊なら「1年後に9割死亡」』、などは、本当に恐ろしい話だ。特に、電力システム崩壊の場合は、原子力発電所で冷却ができなくなって、爆発、或いはその一歩手前で、炉内の汚染物質を外部に放出(ベント)することで、生き残った人々も放射能汚染で長い間、苦しめられることになるだろう。読売新聞は原発推進派だけあって、この問題には触れてないが・・・。
第二の記事の伊勢崎氏は、世界各地の紛争地帯に派遣された豊富な経験があるだけに、アメリカ陸軍としても講演を依頼したのだろう。記事で、 『占領統治の困難と教訓である。アメリカは、日本以外で、ことごとく、これに失敗している・・・最悪の例は、アフガニスタンのタリバン政権打倒後、最良の傀儡とアメリカが見込んだカルザイ大統領(当時)だ。その政権末期には、反米キャンペーンの急先鋒となり、政権の保身に走ったのだ』、なかなか難しいものだ。現在の金融政策と同様に、「出口戦略」が最も困難なようだ。 『僕の講演は、そうした針の筵の中で足掻くのが占領政策の現実だとしたら、失敗を最小限にするための戦略とは何か。国際部隊の統合司令部として、特に常に民衆の憎悪の引き金となる、駐留軍による過失・事故を包括する法体制とは何か。これを論じた』、確かに「失敗を最小限にするための戦略」と割り切らないと、答はないのかも知れない。 『北朝鮮占領は国際社会のキャパを超えている』、というのは確かにその通りなのだろう。しかし、こうした現実を踏まえた議論がアメリカ陸軍に浸透することで、トランプの暴走が食い止められて欲しいものだ。
第三の記事で、 『米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」・・・米韓両軍が先制攻撃で遂行する作戦開戦となれば、これまで考えられていたような反撃能力が北朝鮮に残っているとは思えないのです』、というのは初めて聞く話で、本当かとの疑問も残る。仮に事実とすれば、トランプによる先制攻撃にブレーキかけるものがないことになる。これも、恐ろしい話だ。
タグ:北朝鮮問題 (その14)(高度上空の核爆発で起きる「電気がない世界」の恐怖、米朝開戦の瀬戸際で、32ヵ国の陸軍トップを前に僕が話したこと、米韓が先制攻撃なら北朝鮮は1日で壊滅も 「軍事マニュアル」判明) 永田和男 読売新聞 「高度上空の核爆発で起きる「電気がない世界」の恐怖」 電磁パルス攻撃は「現実の脅威」 電磁パルスは、一定の高度で核爆発が起きた時に起きる電磁波のことだ 核爆発により放出されるガンマ線が空気分子と衝突することで発生する。電磁パルスが地磁気に引き寄せられて地上に向かう時に大電流となり、電子機器や送電線などに入り込んで破壊してしまうのだ 電磁パルスは核爆発が地上40~400キロ・メートルの高さ(30~500キロ・メートルという説もある)で起きる時に最も発生しやすい 爆発地点が米国中部の上空高度400キロ・メートルなら、地上の影響範囲は全米をすっぽり覆う半径2200キロ・メートルに達するという試算もある 発電施設、スマホ、パソコンを次々に破壊 1962年に米国が北太平洋上空400キロ・メートルで行った核実験では、実験場から1300キロ・メートル以上離れたハワイ・オアフ島で停電が発生 63年に大気圏内、宇宙空間での核実験を禁止した部分的核実験禁止条約が発効したこともあり、その後、これほどの高度での核爆発実験は行われていない 電力システム崩壊なら「1年後に9割死亡」 04年の議会報告書は、全米規模の電力システム崩壊があった場合、復旧には数年を要し、食料や燃料、医薬品などあらゆる物資の欠乏と衛生確保が困難になることから飢餓と疫病は免れず、人口3億人余りの米国で「1年後には90%が死亡している」と予測 電磁パルス攻撃扱う小説、ベストセラーに 北朝鮮も「電磁パルス攻撃」を想定か 伊勢崎 賢治 現代ビジネス 「米朝開戦の瀬戸際で、32ヵ国の陸軍トップを前に僕が話したこと 日本メディアの喧騒から遠く離れて」 アメリカ陸軍から届いた講演依頼 PACC : Pacific Armies Chiefs Conference 講演テーマは、僕がアメリカのアフガニスタン戦や国連PKOの現場で経験した国際部隊による「占領統治」と敵対行為が進行中の国家建設、ということで落ち着いた 本当の戦争は敵政権を倒した後に始まる なぜ傀儡政権づくりに失敗するか 軍事占領は時間がかかる 失敗を最小限にするための戦略 最悪の例は、アフガニスタンのタリバン政権打倒後、最良の傀儡とアメリカが見込んだカルザイ大統領(当時)だ。その政権末期には、反米キャンペーンの急先鋒となり、政権の保身に走ったのだ 僕の講演は、そうした針の筵の中で足掻くのが占領政策の現実だとしたら、失敗を最小限にするための戦略とは何か。国際部隊の統合司令部として、特に常に民衆の憎悪の引き金となる、駐留軍による過失・事故を包括する法体制とは何か。これを論じた 北朝鮮占領は国際社会のキャパを超えている 緩衝国家・日本の命運 週刊朝日 ダイヤモンド・オンライン 「米韓が先制攻撃なら北朝鮮は1日で壊滅も、「軍事マニュアル」判明」 米韓合同軍事演習「ビジラント・エース」 米軍が本当に先制攻撃を仕掛けた場合、その攻撃力は想像を絶します。北朝鮮は報復攻撃さえできずに、早ければ1日で壊滅すると考えられます 北朝鮮が平昌五輪に参加するメリットは何もありません 北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の「北極星3」の開発も視野に入れる 戦争につながりかねない金正恩氏とトランプ氏のチキンレースは、当面続きそうだ
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