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医療問題(その13)(近藤慎太郎氏による3題:逆流性食道炎によって起こる胃がんを避けるには、罹患者が特に多いのに盲点になっているあのがん 胃がんや肺がん 乳がんよりも地味だが死亡数は2位、大腸カメラよりもキツイ?検査前の大量の下剤 胃カメラ以上に術者の技量が問われる大腸カメラ) [社会]

医療問題については、1月21日に取上げた。その際、逆流性食道炎の危険性に触れた記事だけだったが、今日は、その対応も含めて、医師兼マンガ家の近藤慎太郎氏が日経ビジネスオンラインに連載している、(その13)(近藤慎太郎氏による3題:逆流性食道炎によって起こる胃がんを避けるには、罹患者が特に多いのに盲点になっているあのがん 胃がんや肺がん 乳がんよりも地味だが死亡数は2位、大腸カメラよりもキツイ?検査前の大量の下剤 胃カメラ以上に術者の技量が問われる大腸カメラ)である。

先ずは、1月10日付け「やっぱりピロリ菌の除菌で食道がんは増えた? 逆流性食道炎によって起こる胃がんを避けるには」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・前回から引き続き、日本人の“新たな国民病”とも言える逆流性食道炎について解説をしましょう。 逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することによって起きる食道の炎症です。
・日本の環境が清潔になったことや、胃がんのリスクを下げるためにピロリ菌を積極的に除菌していったことによって、日本人のピロリ菌の感染率は激減しています。ピロリ菌が起こす萎縮性胃炎のせいで低下していた胃酸の分泌量は、正常レベル近くまで戻ってきました。 加えて食生活の欧米化(高脂肪食)や過食によって、胃酸が過剰に分泌されるようになり、逆流性食道炎になる人が急増しています。
・逆流性食道炎は様々な症状を引き起こしてQOL(Quality of life 生活の質)を落としてしまいますが、何より問題になるのは、「食道がんのリスクが上がる」という点です。 慢性的に炎症が続いている場所では発がんのリスクが上昇します。これは、ピロリ菌による胃炎から胃がんが、ウイルス性肝炎から肝臓がんが生じることとまったく同じです。
・逆流性食道炎が関与するのは、食道がんの中でも「腺がん」というタイプで、欧米の食道がんは、50%以上が「腺がん」です。肥満の多い欧米では、逆流性食道炎からできる食道腺がんが増えていることが深刻な社会問題になっています。
・つまり私たち医療者は、「胃がんのリスクを減らそう」とせっせとピロリ菌を除菌してきましたが、それが逆流性食道炎を増やし、結果的に食道腺がんのリスクを上げている可能性が出てきているのです。 この点に関して、実は全く予想外のことが起きているというわけではありません。除菌が逆流性食道炎を起こし得るということは、もともと医療者の中でも懸念されていました。
・ただし日本の場合、食道がんの90%以上が「扁平上皮がん」という別のタイプで占められています。「腺がん」は食道がんのごく一部にすぎないため、「欧米人と違って、日本人は体質的に腺がんになりにくいのだろう」と楽観的に考え、あまり問題視されてこなかったのです。
▽ピロリ菌の除菌でやっぱり食道がんは増えている?
・そして、どうやら逆流性食道炎による発がんが増え始めているようなのです。 この問題はメディアでもほとんど取り上げられていません。けれど上の図で分かる通り、増加傾向にあるのは明らかです。 もちろん、ここで増加した分がすべて、ピロリ菌の除菌によるものであるというわけではありません。除菌が爆発的に行われるようになったのは2013年以降なので、そこから逆流性食道炎になって発がんしたとしたら時間軸が合いませんから。 おそらく、「ピロリ菌感染の自然低下→逆流性食道炎の増加」が、腺がんの増加として反映されているのでしょう。
・ただし、この増加分が除菌とは無関係だとしても、「逆流性食道炎になれば、日本人でも腺がんが増える」ということは読み取れます。つまり除菌によって逆流性食道炎になれば、タイムラグはあるものの、将来的に腺がんになるリスクが上がるだろうということです。
・ここまで読み進めて、「医者に勧められるがままにピロリ菌の除菌をしたのに、どうしてくれるんだ!」と思った人もいるかもしれません。 患者数を比べてみると、現状では腺がんは食道がんの10分の1以下で、さらに食道がんが胃がんの5分の1程度です。腺がんを多く見積もったとしても、胃がんの50分の1ということになります。 つまり、胃がんのリスクを減らすことの方が、優先順位は高いのです。
・もちろん、ピロリ菌を除菌したら自動的に逆流性食道炎になるわけでもありません。除菌によって胃酸が活発に分泌されるようになったとしても、あくまで本来あるべきレベルに近づくというだけです。 それが逆流するかどうかは、日頃の食生活の内容や量、肥満の程度などが大きく影響しています。適切な生活習慣が守られていれば、簡単には逆流しません。 その上でも、この問題については、医療者もやや不用意だったのかもしれないと自戒を込めて考えています。
・除菌で胃酸が増えることに加え、ご飯がおいしくなり、体重増加から逆流性食道炎になってしまったという人が結構います。総合的に、ピロリ菌の除菌の必要性や妥当性は現状でも揺るぎませんが、除菌はしっかりとした生活習慣の指導とセットであるべきだったのでしょう。 さて、ではそのようなリスクをはらんだ逆流性食道炎になってしまったら、どうすれば良いでしょうか。
▽暴飲暴食、肥満は逆流性食道炎の敵
・前述したように、発症には生活習慣が深く関わっているので、まずはその見直しから始めましょう。 暴飲暴食をしない、食後3時間以上空けてから就寝する、肥満の場合はダイエットをする、などが重要になってきます。肥満の改善には運動が有用ですが、あまりに激しいトレーニングや筋トレは腹圧をかけて、むしろ逆流を助長するので注意が必要です。
・仕事が忙しくて帰宅が遅く、どうしても夕食が遅くなる人もいると思います。その場合、本来の夕食の時間に軽く食事を済ませ、帰宅後はごく少量を追加する方がいいでしょう。 生活習慣の改善で治らなければ、胃酸の分泌を抑える薬(PPIなど)が有効です。
・世界中で逆流性食道炎の患者が増え続け、今や膨大な量のPPIが処方されています。抗がん剤など高額な薬を抑えて、金額ベースでTOP10に入ることもあるほどです。 効果があるからこそ世界中で使用されているわけですが、あくまで薬なので、副作用に注意が必要です。長期間服用すると、骨粗鬆症(特に女性)、腎臓病、特殊な腸炎、心臓病、肺炎、認知症のリスクが上昇すると言われています。
・胃酸だって、必要があるから分泌されているのです。とにかく止めればいいというわけではありません。自然の摂理に逆らえば、必ず何らかの反動は出てきます。症状がおさまった後も、漫然と飲み続けるというのはお勧めできません。 つまり「薬を飲んでいれば暴飲暴食しても大丈夫」というわけはないのです。
・症状が強い場合、PPIの内服が必要ですが、それと並行して生活習慣の改善に努め、最終的には逆流性食道炎からも薬からも卒業するのが、一番理想的なゴールなのです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091200163/010900017/

次に、1月17日付け「罹患者が特に多いのに盲点になっているあのがん 胃がんや肺がん、乳がんよりも地味だが死亡数は2位!」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本人のがんにおいて死亡数が最も多いのが肺がんで、3位が胃がんです。この2つのがんに関しては、既に解説いたしました。そして死亡数が2位のがんが、今回解説する大腸がんです。 2014年(平成26年)大腸がんの死亡数は、男女合わせて4万8485人と報告されていて、特に女性に限ると死亡数の1位になっています。さらに患者数は男女合計で1位と、日本人に最も多いがんになっています(がん情報サービスより)。
・いつの間にか、大腸がんは日本人にとって「最も要注意のがん」になりました。 その割に、大腸がんはあまり注目されておらず、予防や検診の重要性が世の中に浸透していないと感じます。なぜなのでしょうか。  例えば肺がんや胃がんの場合、タバコやピロリ菌といった、はっきりとした原因があります。「禁煙やピロリ菌の除菌が大事です」といった分かりやすい説明が可能なのです。また乳がんの場合、若くして患う人も多いので、社会問題にもなります。タレントの北斗晶さんや小林麻央さんの闘病もさかんに報道されました。  では大腸がんはどうでしょう。
・原因として「コレ!」という決定的なものがないので、何となく正体が分かりづらい。また大腸がんになった有名人としては、俳優の渡哲也さんや今井雅之さんがいますが、ニュースに接する機会はそんなに多くない印象ですね。どうも大腸がんは目立たない存在で、「意識に上りにくいがん」なのです。
・また便やお尻の検査には羞恥心や心理的な抵抗を伴いますので、無意識のうちに避けたり、考えないようにしたりしているのかもしれません。 その結果、大腸がんは盲点になりやすくなっています。そしておそらく、それはとても危険なことなのです。 何と言っても、大腸がんは日本で患者数が最も多いのです。何のケアもせずに、ぼんやりしていると、気がつけばいつのまにか背後にいる、といった可能性が高いがんなのです。
・ではそんな大腸がんのリスクを高める因子には、何があるのでしょうか。 国際がん研究機構IARCや国立がんセンターの発表によると、「アルコール」「タバコ」「肥満(BMIが25以上)」、などが挙げられています。)(リンク先にマンガによる解説あり)
▽大腸がん、どうやって見つける?
・では、どうやって大腸がんを、できることならポリープの段階で見つけることができるのか、という問題に集約されます。 現在の健康診断や人間ドックで、大腸がん検診としてまず行われるのは「便潜血検査」です。便の一部を容器に入れて提出し、便の中に血液が混じっていないかどうかを調べる検査です。 大腸がんやポリープなどの病変があれば、便が通過するときにすれて出血する可能性があります。それが起こっていないかをチェックするのが基本的な考え方です。
▽「検便」で小さなポリープを見つけるのは難しい
・この検査のメリットは、とにかく簡単ということに尽きます。自然に出る便を提出するだけでいいのです。採血のように針を刺す痛みもありません。 簡単で、安価で、医療機関にとっても、マンパワーを必要としない。検診にはもってこいの検査方法です。
・ただし、この検査では、大腸がんやポリープ自体ではなく、その結果起こるかもしれない出血の有無をチェックしているだけ。あくまで間接的な検査にすぎないので、診断能力は決して高いとは言えません。がんやポリープがあっても血が混じらないことはいくらでもあるし、何も病気がないのに便潜血陽性になることもありますから。
・では、診断能力は実際にどのくらい精度が高いのでしょうか。 報告によってばらつきがありますが、大腸がんを1回の便潜血検査で指摘できる可能性は30~56%、2、3回繰り返してやっと84%と言われています。1回だと不十分なのは明らかなので、便潜血検査は通常2回。これは、病変があっても陰性になってしまうケースをできる限り減らすための工夫です。
・当然、2回中1回でも陽性になれば「便潜血陽性」と診断され、精密検査が必要になります。 時々、「2回中1回は陰性になったのだから、もう1回やって確認したい」という人がいますが、実はそれにはあまり意味がありません。一度陽性が出たという事実は、その後、何回陰性になったとしても消えるわけではありませんから。 大腸がんのように出血しやすい大きな病変であっても、間違って陰性にならないように工夫が必要になってきます。
・では、それよりも小さなポリープの場合はどうなのでしょうか。 ポリープを便潜血検査で指摘できる可能性は、11~18%と報告されています。極めて低い数字です。やらないより、やった方がいいのは間違いありません。ただし結果を絶対視して安心していると、足元をすくわれる可能性がでてきてしまいます。
・ポリープを早期に発見するには、便潜血以外の検査を受ける必要があります。次回、さらに詳しく解説していきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091200163/010900018/

第三に、1月24日付け「大腸カメラよりもキツイ?検査前の大量の下剤 胃カメラ以上に術者の技量が問われる大腸カメラ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・前回は、大腸がんの検診で実施する便潜血検査について解説しました。 少し話が脱線しますが、便潜血検査で胃がんのチェックはできないのでしょうか。というのも、便潜血検査は大腸がんなどの病変から出た血が便に混ざっていないかを調べる検査です。胃がんで出血する場合も陽性になってもいいように思います。
・しかし、結論から言うと胃がんのチェックは残念ながら便潜血検査ではできません。 なぜかというと、血液(この場合、ヒトヘモグロビン)は胃など消化管の上流で出た場合、胃酸や膵液など様々な消化酵素に長時間さらされて、便に混じるまでに「変性」してしまいます。このため便潜血検査では引っ掛かりにくいのです。  一方で、大腸など消化管の下流で出血した場合には、ごく一部が変性するかもしれませんが、大部分はヒトヘモグロビンの形態をとどめているため、検出可能となるのです。
・「何だ……一緒に検査できればいいのに…」と思った人もいるかもしれません。しかし、「大腸のチェックしかできない」ということは、必ずしも悪いことではありません。 例えば、もし検査が陽性になった場合、「胃か大腸か分からないから、両方をカメラで検査しましょう!」と言われるのも辛いでしょう。「胃は半年前にチェックしたのに…」という場合でも、心配になって「仕方ないから念のためにもう一度受けようか」と思ってしまうかもしれません。それよりは、「便潜血検査=大腸」という一対一の関係の方が結局のところは便利なのです。
・さて本論に戻ります。 そんな便潜血検査ですが、前回解説した通り、ポリープを見つける可能性は11~18%と、決して満足できるものではありませんでした。では、ポリープはどのように見つければいいでしょうか。
▽大腸カメラよりもキツイ?検査前の大量の下剤
・様々な方法があるのですが、正確性や医療機関への普及度を考えると、「大腸内視鏡検査(以下、大腸カメラ)」に軍配が上がります。実際、便潜血検査が陽性になった場合、ほとんどの医療機関は精密検査として大腸カメラを行っています。 大腸カメラは、胃カメラとよく似たカメラを肛門から入れて大腸を観察する検査です。
・胃カメラと同様、粘膜面を直接観察できる、優れた検査方法です。異常があれば、そのまま組織を採取して病理診断も行えます。 ただしカメラをそのまま入れてしまうと、大腸に便が残っていて観察ができない。そのため検査の前には最低1~2リットルの液体の下剤を飲んで、便をザーッと洗い流し、大腸を完全にカラにする必要があります。実は、これが結構大変です。中には本番の検査よりもこっちの方がキツイという人もいるほどです。
・そのほかのマイナス点として、検査中に腹部の不快感があります。 大腸の一部は、お腹の中でブラブラと自由に動いています。その中にカメラが入ることで、大腸が引っ張られたり、痛みが出たりすることがあるのです。特に子宮筋腫や帝王切開など、腹部の大きな手術を経験したことのある場合は、大腸とお腹の壁が癒着して不自然な格好になっていることがあり、不快感が強くなりがちです。
・その結果、粘膜から出血したり、極端なケースでは、大腸に穴が開いてしまったという報告もあります。全国集計によれば、およそ1万人に1人、そのような偶発症が起きています。
▽胃カメラ以上に技量が問われる大腸カメラ
・大腸カメラは、胃カメラ以上に術者の技量が検査内容を左右する検査です。受ける場合にはできるだけ事前に調べて、評判のいい施設または医師を選ぶようにお勧めします。 大腸がんのリスクは40歳を超えると上がってきます。便潜血が陽性になった場合はもちろん、何もなくても、人間ドックのオプションなどを活用して、一度はポリープの有無をチェックしておきましょう。
・ポリープが全くないきれいな大腸であれば、「大腸がんのリスクは少ない」と判断できます。 一方、大きなポリープがあったり、ポリープの数が多かったりした場合は、定期的にフォローをすることによって、リスクを減らせます。つまり大腸カメラは現状評価のためだけではなく、「自分の大腸がん検診は今後どうしていくのか?」という方針を決めるためにも必要な検査なのです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091200163/010900019/?P=1

第一の記事で、 『私たち医療者は、「胃がんのリスクを減らそう」とせっせとピロリ菌を除菌してきましたが、それが逆流性食道炎を増やし、結果的に食道腺がんのリスクを上げている可能性が出てきているのです。 この点に関して、実は全く予想外のことが起きているというわけではありません。除菌が逆流性食道炎を起こし得るということは、もともと医療者の中でも懸念されていました』、というのは、予め予期していたこととはいえ、皮肉なものだ。 『腺がんを多く見積もったとしても、胃がんの50分の1ということになります。 つまり、胃がんのリスクを減らすことの方が、優先順位は高いのです』、 『胃酸だって、必要があるから分泌されているのです。とにかく止めればいいというわけではありません。自然の摂理に逆らえば、必ず何らかの反動は出てきます。症状がおさまった後も、漫然と飲み続けるというのはお勧めできません。 つまり「薬を飲んでいれば暴飲暴食しても大丈夫」というわけはないのです』、というので納得した。
第二、第三の記事で、 『いつの間にか、大腸がんは日本人にとって「最も要注意のがん」になりました』、というのは初めて知った。 『「便潜血検査」・・・ 『大腸がんを1回の便潜血検査で指摘できる可能性は30~56%、2、3回繰り返してやっと84%と言われています』、 『ポリープを便潜血検査で指摘できる可能性は、11~18%と報告されています』、というのは心もとない。しかし、 『大腸カメラよりもキツイ?検査前の大量の下剤』、というのは、私も2回ほど検査を受けたが、検査前の下剤は筆舌に尽くし難い苦しみで、いくら実効性が高いと言われても、3回目は出来るだけ避けたいと願っている次第だ。
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