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日本の政治情勢(その19)(昭恵夫人の証人喚問の前に安倍首相は辞任する 佐川氏の答弁拒否はこれから裏目に出るだろう、 「影の総理」今井首相秘書官に見える2つのほころび 「森友」「東芝」が「安倍首相が最も信頼する男」を揺るがす) [国内政治]

日本の政治情勢については、4月7日に取上げたが、今日は、(その19)(昭恵夫人の証人喚問の前に安倍首相は辞任する 佐川氏の答弁拒否はこれから裏目に出るだろう、 「影の総理」今井首相秘書官に見える2つのほころび 「森友」「東芝」が「安倍首相が最も信頼する男」を揺るがす)である。

先ずは、政治評論家の田原 総一朗氏が3月30日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「昭恵夫人の証人喚問の前に安倍首相は辞任する 佐川氏の答弁拒否は、これから裏目に出るだろう」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・3月27日(火曜日)に、国会で佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われた。これによって森友文書改ざん問題の疑惑を一層強めてしまったと思う。 この日の佐川氏の表情を見ると、事前に戦略を練って証人喚問に臨んだように感じた。3月9日に辞任した時の顔とはまるで違うのだ。あの時は相当うろたえていた印象があるが、この日にはそういったところが全くない。むしろ、受け身より攻めの表情だった。
・公文書改ざんの問題で、あの文書を、いつ、誰が、何の目的で改ざんしようとしたのか。その改ざんに、佐川氏はどの程度関わったのか。野党はそれらの点について質問したわけだが、佐川氏はいずれも「刑事訴追の恐れがあるので、ここでそのことを説明するわけにはいかない」と具体的な説明をしなかった。「刑事訴追」を隠れ蓑にして、肝心な点についての回答を避けたわけだ。
・野党各党の中で、共産党の小池晃氏が非常に鋭い切り込みをしていた。彼だけは他の議員たちとは異なる質問をした。佐川氏はかつて国会で「森友側と価格についての話し合いがなかった」と説明していた。ところがその後、事前に値段交渉している音声データが出てきた。一体、どちらが本当なのか。 佐川氏が言っていることが本当なら、録音データはインチキである。共産党の小池氏は「どちらが真実なのか」と問いただすと佐川氏は、「刑事訴追の恐れがあるので、答えられない」と言った。小池氏は、「ただ事実を尋ねただけだ。刑事訴追と関係あるわけがない。なぜ、YESかNOかすら答えられないのか」と詰め寄った。この問答については、非常にリアリティがあると感じた。
・さらに小池氏の質問の中には、「改ざん前の文書に安倍昭恵夫人の名前が出てきたが、それについてあなたはどう感じたか」というものがあった。やはり佐川氏は、再び刑事訴追を盾にして回答を避けた。 小池氏は「何を言っているのか。これも刑事訴追には全く関係ない話だ」と憤慨し、ここでまた証人喚問は中断された。 「何も答えないのであれば、証人喚問の意味は全くない」と小池氏は声を荒げたが、視聴していた国民の多くも同じように感じていただろう。
▽佐川氏の答弁拒否で不信感はますます増幅
・なぜ、佐川氏は回答を避け続けたのか。動機の一つは、佐川氏は官僚の世界で孤立したくないと考えているということ。もう一つは、官邸からこれ以上嫌われたくないということだ。 その代わり、国民からは決定的な不信感を持たれてしまった。僕は、そのせいで彼は将来的に大きな損をするのではないかと思う。
・昨年、佐川氏は森友問題で官邸に有利な答弁をしたことが評価され、国税庁長官に就任した、と言われている。いわゆる論功行賞だ。当時、社会から多くの批判の声が上がった。今回も、問題のほとぼりが冷めたら、何らかのポジションが用意されている可能性がある。しかし、そんなにうまくいくだろうか。
・まず、彼は答弁を避けて周囲に不信感を与えたことで、刑事訴追では検察からかなり厳しく追及されるだろう。もっと長期的な戦略を持たなければ、自分で自分の首を絞めることになる。 昨年、佐川氏が国会で答弁した時もそうだ。答弁の内容が、改ざん前の文書とあまりにも違いがあるから、公文書を変えざるを得なくなった。つまり、その場ではいいと思ったものが、結果的には非常に都合が悪くなり、事態をより複雑にしてしまったわけだ。
・今度も同じだ。彼は今回の証人喚問について、ベストな対応をしたと考えているかもしれないが、それによって自民党が国民の信頼を失う原因になりかねない。 これ以後、自民党では、安倍内閣を守るべきだという意見と、やはり自民党が国民の信頼を取り戻すために真相解明に全力を注ぐべきだという二つの意見に割れると思う。最終的には、後者の声が強まってゆくだろう。それは、安倍昭恵夫人の証人喚問の可能性が高まっていくということである。
▽支持率が30%を下回れば、昭恵夫人の証人喚問は必至
・森友問題などで内閣支持率は急落した。安倍首相にとって宿願である憲法改正の実現は、おそらく、もうできないだろう。僕は、安倍首相の辞任は刻一刻と近づいていると思う。 可能性として最も大きいのは、こんなシナリオだ。今回の証人喚問によってますます不信感が強まり、野党は早くも、昭恵夫人や、国有地の売却交渉当時の理財局長だった迫田元国税庁長官らの証人喚問を求めていく方針を固めた。
・今のところ、自民党は昭恵夫人の証人喚問を徹底的に拒否しているが、安倍内閣の支持率がさらに下れば、野党の要求を受け入れざるを得なくなる。そんな事態になれば、安倍首相は昭恵夫人の証人喚問の前に辞任するだろう。 佐川氏の証人喚問は、そういった流れを引き起こす要因になる可能性があるのである。
・では、それがいつになるのか。目安としては、安倍内閣の支持率が30%を切るかどうかだ。これまで安倍内閣が最も支持率を落としたのは、昨年1~2月に森友・加計問題が注目された時である。当時、支持率は20%台まで落ち込んだ。 その水準まで下落すると、自民党内でも安倍首相に対する反発の声が相当強まることは間違いない。この時が、安倍首相にとって大きなターニングポイントになるだろう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/032900063/

次に、4月5日付けJBPressが転載した経済ジャーナリストの大西 康之氏による 新潮社フォーサイトへの寄稿「 「影の総理」今井首相秘書官に見える2つのほころび 「森友」「東芝」が「安倍首相が最も信頼する男」を揺るがす」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「安倍晋三首相が最も信頼する男」。内閣総理大臣秘書官の今井尚哉(たかや)氏の権勢に陰りが見える。元経産官僚の今井氏による首相夫妻への進言は、経済政策、政治日程からプライベートのトラブルにまで至る。しかし、「現代のラスプーチン」さながら絶頂にある今井氏の鉄壁の守りに、ほころびが見えてきた。ほころびは2つ。「森友問題」と「東芝危機」だ。
▽人生のすべてを安倍首相に
・栃木県生まれの今井氏は東京大学法学部を卒業し、1982年に通商産業省(現在の経済産業省)に入省した。新日本製鐵(現在の新日鐵住金)の社長、会長、経団連会長を歴任した今井敬(たかし)氏、元通産省事務次官の今井善衛(ぜんえい)氏(今井敬氏の兄)という2人の叔父を持つである。
・入省後は主に産業政策・エネルギー畑を歩み、資源エネルギー庁次長などを務めた。嶋田隆氏(現・経産省事務次官)、日下部聡氏(現・資源エネルギー庁長官)と同期で「経産省三羽烏」と呼ばれたこともある。2006年の第1次安倍内閣で、事務担当の首相秘書官に任命された。今井氏の叔父、善衛氏が戦前、通産省が商工省だった時代、商工省次官、大臣を歴任した岸信介(安倍首相の祖父)の部下だったことを知ると、安倍首相は「そうだったの。昔からお世話になっているんだね」と、今井氏に心を開くようになったという。
・2007年、潰瘍性大腸炎で安倍首相が退くと、今井氏は経産省に戻る。それまで安倍氏にすり寄っていた官僚や記者は潮が引くように離れていったが、今井氏は高尾山登山に同行するなど、不遇時代も寄り添い続けた。今井氏は昭恵夫人に対しても、「奥様、奥様」と如才なく振る舞い、大のお気に入りになる。
・2012年、第2次安倍内閣が発足すると、安倍首相のたっての願いで政務担当の首相秘書官に就任する。この時、今井氏は経産省事務次官の最有力候補だったが、「俺の役人人生はここで終わり。最後まで安倍首相に仕える」と周囲に漏らしている。離婚もしている今井氏は言葉通り、人生のすべてを安倍政権に捧げるようになる。
・そんな今井氏に安倍首相は全幅の信頼を置いており、「消費税率引き上げの時期から解散のタイミングまで、なんでも相談する」(関係者)という。「一億総活躍社会」やアベノミクス「新・三本の矢」など、安倍政権の目玉政策を策定しているのも今井氏である。3本目の矢である「経済」の中で「インフラ輸出」の旗を掲げ、日本の原発を海外に輸出する政策を推し進めた。これが、東芝を倒産寸前まで追い込んだ巨額赤字の原因になった。このことについては後で詳しく述べる。
▽鉄壁のガードにほころび
・その異常なまでの権限集中により、今や今井氏は「菅義偉官房長官より首相に近い」とされ、「影の総理」または「日本のラスプーチン」と呼ばれている。グレゴリー・ラスプーチンは帝政ロシア末期、ニコライ2世皇帝夫妻に寵愛されてロシアの政治、外交に大きな影響を及ぼし、ロシア帝国崩壊の一因を作ったとされる怪僧だ。
・その血筋と経歴故に極めて用心深く、スキャンダルと無縁だった今井氏だが、ここへきて鉄壁のガードにほころびが見えてきた。1つは今、国会を揺るがしている森友問題への関与だ。 財務省と森友学園の国有地取引に関する決済文書が改竄された問題で、前文部科学省事務次官の前川喜平氏は『週刊朝日』(3月30日号)でこう語った。 「忖度ではなく、官邸にいる誰かから『やれ』と言われたのだろう。私は、その“誰か”が総理秘書官の今井尚哉氏ではないかとにらんでいる」
・気の小さい官僚に自分の一存で公文書を改竄する勇気などない、というのが自らも官僚であった前川氏の見立てである。3月27日には、国有地管理の責任者である理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問が開かれる予定だ。トカゲの尻尾切りで終わらせたい安倍政権側は、佐川氏に「改竄は自分の一存」と言わせたいところだが、切り捨てられる佐川氏がヤケを起こし、「上から言われた」と証言すれば、「上」の中に今井氏が入っている可能性が高い。それを見越した前川氏は最近、長野県で開いた講演で、こうコメントしている。 「役人は辞めればなんでも言える。佐川さんにそう教えてあげたい」
・森友問題でも官邸で収束のシナリオを書いているのは、間違いなく今井氏だ。圧倒的な情報量でマスコミを操ってきたのも同氏だが、佐川氏が腹をくくってパンドラの箱を開ければ、中から「今井」の名前が飛び出してくる可能性は高い。
▽新会長兼CEOは不可能を可能にした「戦友」
・もう1つ、今井氏を脅かしているのは東芝問題である。東芝は4月、元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭(くるまたに・のぶあき)氏を会長兼CEO(最高経営責任者)に迎える。一見、東芝のメインバンクである三井住友銀行の支援と思われるが、そうではない。「三井のエース」と言われた車谷氏は、頭取レースに敗れて1年前に三井住友銀行を去り、英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長兼共同代表になっていた。メインバンクが送り込んだ訳ではないのである。
・車谷氏に目をつけたのは今井氏と経産省事務次官の嶋田隆氏だとされる。車谷氏は東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、経営危機に瀕した東電に対し、2兆円の緊急融資をまとめあげた。この時、民主党政権下で東電危機に対処するタスクフォースを取り仕切ったのが、経産省に戻り資源エネルギー庁次長を務めていた今井氏だ。
・仙谷由人官房副長官をヘッドとする、このタスクフォースは「チーム仙谷」と呼ばれ、嶋田、日下部、今井の経産省三羽烏が顔を揃え、そこに内閣官房参与だった国際協力銀行(JBIC)の前田匡史(ただし)副総裁、東芝電力システム社の首席主監だった田窪昭寛氏が加わった。チーム仙谷は、原発政策を維持するため、史上最悪の原発事故を起こし、誰がどう見ても経営破綻していた東電を存続させた。そのための絶対条件が、2兆円の緊急融資であり、交渉テーブルの向こう側にいたのが車谷氏であった。今井氏にとって車谷氏は、不可能を可能にした時の「戦友」なのだ。
・しかし、経産省が主導する日本の原発政策は事実上、破綻している。東電が国から借りた9兆5157億円の賠償金を返済するには、今のレベルの営業利益をそっくり返済に充てたとしても40年はかかる。そんなことをしたら設備投資も技術開発もできず、会社として死んでしまう。それでも今井氏を筆頭に、経産省・官邸の原発推進勢力は強引に東電を延命させている。
▽刑事訴追されないのは「官邸からの圧力」?
・そうこうするうちに、東電に続いて東芝が火を噴いた。経産省の強い後押しを受けて買収した米原発大手のウエスチングハウスが1兆5000億円近い赤字を生み、東芝本体が債務超過に陥った。海外原発事業で巨額の減損処理が必要なことは、リーマン・ショック後の2009年頃から原発部門や財務部門で認識されていたが、東芝はこれを隠蔽するために粉飾決算を続けた。利益水増しの総額は、7年間で2248億円に及んだ。
・が、2248億円という巨額粉飾にもかかわらず、東芝は刑事訴追されていない。東京地検特捜部OBの弁護士はこう指摘する。 「債務超過転落の原因となった2015年の米原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の買収に、原発事業の損失を隠蔽する意図があったとすれば、経営陣は背任に問われる。これだけの規模の粉飾を捜査しないのは、検察の怠慢ではないか」
・ここでささやかれているのが、「官邸からの圧力」である。今井氏は田窪氏を通じて東芝経営陣と密接な関係を持ち、ウエスチングハウス買収以降の東芝の海外原発事業を後押しした。東芝社内では、常識から考えて無謀と思われる投資でも、田窪氏やその上司で後に社長になる佐々木則夫氏らは、「これは国策だ」の一言で反対を封じてきた。
・佐々木氏と前任の西田厚聰(あつとし)氏(2017年に死去)、後任の田中久雄氏の歴代3社長は、粉飾決算の責任を取って辞任。現在は東芝から損害賠償請求を受けている。経産省と気脈を通じる経営者はいなくなったが、今井氏と嶋田氏はそこに車谷氏を送り込み、東芝をリモートコントロールするつもりではないか。
▽米国で4基、中国で4基を作りかけ
・東芝は昨年、増資で海外ファンドから6000億円を掻き集め、2期連続の債務超過を免れた。ウエスチングハウスはカナダの投資グループ傘下のファンドが46億ドル(当時約5200億円)で買収することになり、車谷新会長を迎える東芝には、「一件落着」の空気が漂う。しかし、米国で4基、中国で4基の原発を作りかけて倒産したウエスチングハウスの問題は、まだ収束していない。
・施主のスキャナ・コーポレーションとサンティ・クーパー社が建設を断念したVCサマー原発があるサウスカロライナ州では、3月21日、州議会が米ウエスチングハウスの経営幹部を証人喚問した。同原発では建設コストが約1兆7000億円と当初計画の2倍近くに膨らんでおり、経営責任を問う声が高まっている。ウエスチングハウスの親会社だった東芝も責任を免れない。地元住民も東芝に損害賠償を求める訴訟を起こしている。
・森友問題も東芝危機も震源を探っていくと今井氏に辿り着く。ラスプーチンに籠絡されたニコライ2世夫妻の代で、ロシア帝国は崩壊した。首相秘書官という陰の立場から官庁や企業を動かし、国を危うくしている今井氏は、まさに現代の日本のラスプーチンと言える。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52740

第一の記事で、 『佐川氏の答弁拒否で不信感はますます増幅』、というのはその通りだ。本日の日経新聞によれば、加計学園問題で、柳瀬元秘書官が愛媛県今治市への獣医学部新設計画を「首相案件」と発言したとする文書が見つかり、証人喚問を自公が容認の方向と伝えている。森友学園問題でも、肝心の安倍昭恵夫人の証人喚問まで波及すれば、 『安倍首相は昭恵夫人の証人喚問の前に辞任するだろう』、との田原説が現実味を増してくる。ここ数日がヤマ場なのだろう。
第二の記事で、 内閣総理大臣秘書官の今井尚哉氏の血筋は、確かに 『サラブレッド中のサラブレッド』、だ。 『今井氏は経産省事務次官の最有力候補だったが、「俺の役人人生はここで終わり。最後まで安倍首相に仕える」と周囲に漏らしている』、と次官より総理大臣秘書官を選んだというのは、忠臣の典型だ。 『「三井のエース」と言われた車谷氏は、頭取レースに敗れて』、とあるが、これは筆者の筆のすべり過ぎだ。三井住友銀行では、頭取には旧住友銀行出身者が就き、いくら「三井のエース」でも転出せざるを得ないのが既定路線となっているからだ。 『今井氏にとって車谷氏は、不可能を可能にした時の「戦友」なのだ』、それを東電の会長兼CEOに就け、『東芝をリモートコントロールする』、のは、今井氏にとってこの上なく好都合なのだろう。しかし、 『米国で4基、中国で4基の原発を作りかけて倒産したウエスチングハウスの問題は、まだ収束していない・・・ウエスチングハウスの親会社だった東芝も責任を免れない。地元住民も東芝に損害賠償を求める訴訟を起こしている』、という爆弾を抱えたままの状態のようだ。仮に、安部辞任ということになっても、天下り先に困らない経産省が、しかるべき先を世話してくれるのだろう。
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