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携帯・スマホ(その1)(窮地の格安スマホ 生き残れるか 「フリーテル」端末会社が経営破綻、「第4の携帯会社」楽天が直面する大きな課題 アマゾンを利する?両刃の剣となる可能性も、日本の携帯が中国で負けた 誰も言わない本当の理由 中国のアジアNo.1スマホメーカー、oppo日本法人社長インタビュー) [産業動向]

今日は、携帯・スマホ(その1)(窮地の格安スマホ 生き残れるか 「フリーテル」端末会社が経営破綻、「第4の携帯会社」楽天が直面する大きな課題 アマゾンを利する?両刃の剣となる可能性も、日本の携帯が中国で負けた 誰も言わない本当の理由 中国のアジアNo.1スマホメーカー、oppo日本法人社長インタビュー)を取上げよう。

先ずは、3月20日付け日経ビジネスオンライン「窮地の格安スマホ、生き残れるか 「フリーテル」端末会社が経営破綻」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・携帯電話料金の高止まりに乗じて急成長してきた格安スマホ事業者が曲がり角に来ている。12月4日には「フリーテル」ブランドを生み出した端末会社の経営破綻が明らかになった。体力に勝る通信大手のなりふり構わぬ販売攻勢を格安スマホ事業者はかわすことはできるだろうか。
・「2025年までにスマホ(スマートフォン)出荷で世界一になる」。こう公言してはばからなかったプラスワン・マーケティング(東京・港)が12月4日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。同社は端末の設計・製造を自ら手掛ける一方で、通信大手からインフラを借りる「MVNO(仮想移動体通信事業者)」として格安の通信サービスを提供する「二刀流」で市場を開拓。格安スマホサービスで業界6位につけていた。
・だが、そんな成長モデルも今春、行き詰まる。「過大広告」をしていたとして消費者庁が行政処分。契約数が伸び悩み、膨張する広告投資を賄いきれなくなった。11月には楽天に通信サービス事業を売却したが、資金繰りは改善せず、自力再建を断念した。
▽通信大手が「包囲網」
・もっとも、身の丈に合わない拡大路線を突っ走ったことだけがプラスワン破綻の原因とは言い切れない。もともと格安スマホ事業は、自前の設備を持たない代わりに通信料の安さで顧客を引き付ける薄利多売のビジネスだ。そうした格安スマホ事業者に、顧客流出に危機感を持つKDDIなど大手携帯電話会社は安い通信料を売り物にしたサブブランドで対抗。自らも最低料金を格安スマホに近づけ、「包囲網」を築いている。
・もはや「格安」の看板だけには頼れない──。格安スマホ事業者は独自の生き残り策を模索する。 一つは規模拡大。プラスワンの通信サービス事業を買収した楽天がその道を行く。約35万人の顧客基盤を引き継いだことで、顧客件数は140万件と、同200万件とされる業界1位のソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」の背中も見えてきた。楽天の大尾嘉宏人執行役員は今後もM&A(合併・買収)を「前向きに検討する」と話す。
・自ら顧客管理に乗り出すのはインターネットイニシアティブ(IIJ)だ。資金力を生かして同社は約50億円を投じ、これまで通信大手が担ってきた「加入者管理機能」など一部の機能を自前で運営する体制に18年3月までに切り替える。独自の料金プランやサービスを打ち出し、大手に対抗する狙い。
・日本通信はIoT(モノのインターネット)市場に活路を見いだす。中国の通信機器メーカーと協業して構内用アンテナ設備を開発中だ。「LTE」と呼ぶ通信技術を活用し、工場内や物流現場など電波が飛びにくい場所でも広範囲で安定したデータ通信を可能にする。  異業種参入も多く、数十社がひしめくとされる格安スマホ市場。淘汰か、延命か。いばらの道が続く。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/120400843/?ST=pc

次に、4月7日付け東洋経済オンライン「「第4の携帯会社」楽天が直面する大きな課題 アマゾンを利する?両刃の剣となる可能性も」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・日本に第4の通信キャリア(MNO:移動体通信事業者)が誕生することになる。総務大臣の諮問機関、電波監理審議会は4月6日、楽天が申請していた携帯電話の電波割り当てについて、条件付きで「適当」とする結論を出した。
・MNOはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクによる3社の寡占が続いてきたが、これで事実上、楽天の新規参入が決まった。2005年のイー・モバイル(現ソフトバンク)以来、実に13年ぶり。早ければ2019年10月にもサービスを始める予定だ。楽天はMNOになっても、現在手掛ける格安のMVNO(仮想移動体通信事業者)「楽天モバイル」と同じ料金でサービスを提供する計画を提出している。
・ただ、この料金プランの安さとの関連は不明だが、楽天の設備投資の計画額は他キャリアと比べ圧倒的に少ない。多くの利用者を満足させられるだけの質のサービスを提供することは、本当に可能なのだろうか。
▽通信キャリア参入には4つの条件も
・総務省が今回通信キャリア向けに募集した周波数の新規割り当てには、既存の3社も応募した。「いずれの申請者も絶対審査基準に適合している」。審議会後に会見を開いた吉田進会長(京都大学名誉教授)はそう述べたが、一方で楽天の開設計画認定にだけ、ほか3社にはない条件が4つも付いた。その内容は、「他の既存事業者のネットワークを利用する場合も、自らネットワークを構築して事業展開する原則に留意すること」「設備投資及び安定的なサービス提供の資金確保に留意すること」といったものだ。
・自前の通信網をまだ持たない楽天について、吉田会長は「最初は頑張っても電波が届かないところがあるだろう。ローミング(他キャリアの回線を借りること)をやるにしても、将来的には独自でやってほしい」と注文を付けた。
・会見では、楽天が計画する人口カバー率96.0%についても、達成を懸念する質問が飛んだ。よそに頼る「甘え」が許されるのは初めのうちだけだ。楽天は今後、事業を軌道に乗せて収入のあてを確保し、自力で資金をつぎ込んで設備を広げていく必要がある。吉田会長は「ハードルは高い」とも述べ、楽観はしていない姿勢をにじませた。
・仮に楽天がこうした課題をクリアできたとしても、それでほかの3社と同等の通信品質になる、と言えるわけでは決してない。審査の対象はあくまでも「最低限満たすべき基準」であって、それ以上やそれ以外のところで、大きな差がつくかもしれないからだ。
・携帯電話事業にはばく大な初期投資がかかるはずだが、楽天は2025年までに設備投資に充てるため、金融機関の借り入れなどで最大約6000億円の資金調達を計画する。これはドコモが1年間にかける設備投資の額とほぼ同じだ。外部からは「少なすぎる」という指摘が相次ぐが、楽天の三木谷浩史社長は「十分足りる。4Gは後発者メリットで安くなっており、お釣りがくるくらいだ」と強気だ。
・これについて、通信事業に詳しい野村総合研究所の北俊一氏は「確かに、すごく安いインフラを調達すれば運営はできるだろう」と認めつつも、「有事の対応に問題がないかが気にかかる」と指摘する。
▽災害やサイバーテロに十分に備えられるか
・MNOに移行して自前の通信網を持てば、平常時には利用者が問題なく使えるサービスレベルは確保できるだろう。だが、北氏が懸念するのは、例えば震災などに備えた設備投資をどこまでやっているかの差だ。最大手のドコモは、万が一の場合に備えて山の上にも頑丈なサブの基地局を用意する。東日本大震災のように津波で海外線の基地局がやられても、山の上から電波を送受信することで通信を保つためだ。
・また、北氏は「ドコモの基地局は鉄柱を地中の奥深くに打ち込んでおり、大地震でも簡単には倒れない」と評価する。ドコモほどいかなくても、KDDIやソフトバンクもそれぞれ、有事のために莫大なコストをかけている。近年増加するサイバーテロに対しても、3社はコストや人手をかけて対策を打つ。
・楽天の設備投資計画の細かい内容は不明だが、こうした部分にかけるコストを低くしていれば、災害時に基地局が軒並み倒れたり、復旧までに時間がかかったりすることにもなりかねない。災害時は家族や知人の安否確認や情報収集で、通信の重要性が最も高まるタイミングだ。北氏は、「新規参入の楽天にそこまで求めるのは無理がある」と理解を示しつつ、「既存3社がそこにどれくらいお金をかけているかに比べれば、楽天のキャリアはどう考えても差が出てしまうのではないか」とみる。
・他方で、事業面でも通信キャリア参入は楽天にとって「諸刃の剣」のリスクをはらむという見方もある。「楽天経済圏」の拡大を狙う楽天では、楽天モバイルの利用者向けに、グループ内の各サービスでの還元をアピールしている。例えば楽天市場では、楽天モバイル利用者のポイント還元率は1%プラスされ、楽天モバイルでは利用料金100円につき1ポイントが付与されるといった具合だ。
・楽天モバイルの利用者は現在約150万人だが、MNOに移行後に多くの利用者(将来的な目標は1500万人)を取り込むため、楽天関係者は「より大きなポイント還元をする可能性はあるだろう」と話す。考えられるのは、新規の加入者に数千ポイントを付与したり、楽天モバイルの時以上にポイント還元率を高めたりするようなやり方だ。
・三木谷氏は常々、楽天モバイルを「通販や金融とシナジーが高い」と強調しているが、MNOでモバイル事業を拡大すれば、シナジーをより高める方向に動く可能性は高い。
▽ライバルのアマゾンを利する可能性も
・だが、通販事業も手掛けるある大手企業の幹部は、「かえって(楽天のライバルでネット通販最大手の)米アマゾンを利することになるのではないか」と首をひねる。自社キャリアユーザーへの還元は、裏を返せば自社キャリアを使わないユーザーが相対的に損をすることになるからだ。
・この幹部は、「アマゾンが絶対にアマゾンモバイルを作らないのは、全キャリアのユーザーが利用者の対象になるから。キャリアを本格的にやると、対象の客は狭まる」と見る。仮に、楽天がMNOで4分の1のシェアを取れても、楽天経済圏の中での循環を強めれば、他の3キャリアのユーザーにそっぽを向かれるかもしれない。楽天の通販事業にとっては、MNOの成長は必ずしも良い結果になるとは限らない。
・ただ、懸念点を示した吉田会長や北氏も、楽天の参入によって業界の競争が活性化し、新しいサービスができたり、料金面が下がったりすることへの期待から「頑張ってほしい」とエールを送る。楽天が進む道は決して平坦ではないが、多くの期待を背負っていることも事実だ。楽天1社の命運を左右する以上に、通信キャリア参入の成否への注目度は高い。
https://toyokeizai.net/articles/-/215726

第三に、中国在住17年目の作家 谷崎 光が5月17日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「日本の携帯が中国で負けた、誰も言わない本当の理由 中国のアジアNo.1スマホメーカー、oppo日本法人社長インタビュー」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・アジアNo.1ブランドの中国のスマホメーカー、オッポが日本市場に参入し話題となっている。日本市場をどう見ているのか、どのように開拓するのか。中国在住17年目の筆者がオッポジャパンの鄧宇辰社長を直撃した。合わせて、日本の携帯メーカーが中国で失敗した事情についても解説する。
▽日本参入で話題のオッポジャパン社長に直撃取材
・「実際進出してみて、日本の携帯市場は予想外のことがあった。世界でも日本は、キャリア(通信事業者)のシェアが非常に高い市場。日本のキャリアが長年積み重ねてきた壁をどう崩せばいいのか。これは私個人の感想だけど、日本では信頼関係を構築するのに、思ったよりも時間がかかる。私たち中国のビジネススピードと日本のスピードは違う。さらに人材採用が非常に難しい」(oppo japan 鄧宇辰氏)
・ニーハオ!北京在住の作家の谷崎光です。 4月21日、中国・北京で開かれた“2018年日中未来ラボ”(北京和橋会主催)というイベントで、今、日本参入で話題のオッポジャパン(oppo japan)、鄧宇辰社長に直撃取材をした。 オッポは日本ではまだあまり知名度はないが、携帯(スマートフォン)の販売額ではアジア1位、世界で4位の中国のメーカーである。残念ながら日本のスマホは、世界ランキングの10位以内にも入っていない(シクシク)。
・実はオッポのルーツは、90年代に中国で任天堂のファミコンに似たゲーム機を作って一世を風靡した小覇王というブランドである。 このブランドを作ったのは段永平氏という中国人で、現在はアメリカ在住の有名な富豪投資家である。
・段永平氏は広東のつぶれかけていた工場を、ゲーム機の製造やジャッキー・チェンの大胆な広告で救った。そして、社内の数人を引き連れ退職した。95年に同業種の教育機器メーカー“歩歩高”を設立した。 歩歩高の語学学習機は、2000年代はどこの大学の購買部でも売っていた。自分の発音と先生の発音を対比させ、リピートできる。当初はカセットで、後にはデジタルになった。
・私も留学時は2回、買い換えるほど使ったし、今の英語うまい中国人は全員使ってたんじゃないかと思うほど、大ヒットした。 その後、段永平氏がその連れてきた部下たちを社長として独立させたのが、oppoとvivoといわれている。 ルーツとして、若者マーケティングに強く、vivoも現在シェアは世界5位である。 いわば、かつては日本のマネをしていた中国の企業に、日本は現在、大きく水をあけられている。
▽誰も言わない日本の携帯が中国で負けた本当の理由
・私が中国に渡った2001年は、ちょうど中国が“携帯大戦争”に突入した時代である。 まさに雨後のタケノコのように携帯ショップができ、当時、日本もSONY,京セラ、東芝、NEC……、20社ほどが中国市場に参入していた。 しかし売り場で見る、日本の携帯はどれもガラステーブルの端に追いやられ、ホコリをかぶっていた。当時、日本と中国では圧倒的な技術差があったにもかかわらず、である。
・当時、その理由を販売員に聞いてみると、「売れないから。英語だけで中国語が打てないのよ」「使いにくい」「電池の持ちが悪い……」 私は<えー、それ本当に日本のメーカー製?偽物じゃないか>と思ったが、まさに正規品だった。
・中国は、世界市場である。 日本だと官と企業が一体となり外資参入の壁を高くするが、中国では昔は技術が低かったせいもあり、少なくとも未発達分野の初期は外資を歓迎する(もちろんいろんな技術移転の仕組みはつくる)。 その中で、他国の各社も最初は実はけっこう“外したもの”を出していた。しかし、彼らはそのうち市場を読みとり、どんどん軌道修正をしていった。
・モトローラもノキアもサムスンもアップルも、中国製のスマホが今のように勃興する前に、少なくとも一度は天下を取っている。アルカテルなどの欧州メーカー(当時)もそれなりにファンをつかんでいた。
・しかし日本だけが、「わが日本のすばらしさを知れ」とばかりに、一般の中国人が好まぬ折り畳み式携帯電話をドヤ顔で押し付けてみたり、いらぬ機能ばかりだったりと、かなりトンチンカンだった。かろうじてソニー・エリクソンの音楽携帯が一部で認知されたが、基本、最初から最後まで外しまくって、ほぼ全社が撤退した。
・中国を撤退する日系企業は多いが、どう見ても負けっぷりが異様である。 当時、この状態を日本に伝えたいと思い、日本のメディア各社に声をかけたがOKするところはなかった。本で書いたが、読む人は知れている。 現地の日本の新聞記者に「書いたら?」と言っても、「駐在員がかわいそうですよぉ。通信規格が違うからですよぉ」 その後、“通信規格が違う”サムスンが、中国の携帯市場で大勝利した。
・現地では日本の官と日本企業と日本メディアが、それぞれ利益誘導で、押したり引いたりコネコネしてたりで “村社会”をつくり、いろんなことがクローズされる。自分の中国駐在に伴って、現地の日本の海外天下り団体に嫁さんを入れてもらっていた新聞記者もいたぐらいである。
・なぜ日本のメーカーだけが、中国の、いや世界の携帯市場をまったく読みとれず、大きな市場を逃がしたのだろうか。 答えは日本のメーカーが消費者のマーケットを読む能力をなくしたからである。  日本の携帯市場は世界でも珍しいキャリア主導である。
・日本のメーカーは自分でマーケットを調査し、リスクを取って携帯を開発販売してきたのではない。 キャリアの仕様通りに製品を作り、納品する。“割り当て”があり、その分は全部買い取ってもらえる。
・今回、この記事を書くのに17年ぶりに日本の携帯(スマホ)市場を見た。すると、あの時中国で惨敗を喫したメーカーのスマホが大手を振っていまだ何社も存在しており、仰天した。 この“村社会”の仲間だけでパイを分け合う環境に長くいて、世界で勝てるわけがない。日本の大手メーカーが“政府筋の仕事”で、半ば利権団体的存在になっていったのが、敗因である。 日本が世界で有数のiPhone市場なのも、日本携帯の実力がなかったからかもしれない。
▽すさまじい競争の中国携帯市場
・一方、中国では携帯は最初からほぼ全部SIMフリーである。 中国のキャリアは中国移動通信、中国聯通、中国電信の三つである。消費者はこのどれかのSIMカードを買う。 今はSIMカードも実名認証制になり入手にも登録が必要だが、以前はそのへんのたばこ屋さんでも売っていた。 そして、それをお店やネットショップで好きに買ったスマホにセットすれば、OKである。
・値引きや特典をつけたキャリアの専用機も一応存在はするが、主流ではない。中国自体が急成長で、新しい機種や通信方式が次々に出てきたので、一度契約しても、結局SIMフリーに乗り換える。  それどころか中国ではキャリアの違う番号を複数持っている人も多く、例えば一つのスマホに、中国移動、中国聯通の2枚のSIMカードをセットして両方とも“生きた”状態で使える。
・こういう状態だとスマホのハードの乗り換えは非常に簡単である。 特に若者だと、新しい機種が出た途端に、今までのスマホを売っちゃって(あるいは、誰かにあげるか、捨てて)、「試してみよう!」となる。もちろん番号も変えなくて済む。
・消費者の気持ちをつかむ商品で戦略が正しければ、あっという間に市場を塗り替えることができる。 結果として、市場の変化が非常に速い。 ゆえに、中国では大手メーカー以外に無数の無名や弱小メーカーが絶えずスマホ市場に参入し、かつ消えていく。
・この17年間、市場の勝ち組は初期がモトローラ、そのうちノキアになり、やがてサムスンに変わった。このころからiPhoneが出てきたが、中国製スマホが台頭し始め、今、筆頭はやはり華為技術(ファーウェイ)だろう。そして小米(シャオミー)のシェアを奪ったのが、オッポである。
・北京在住の私から見たオッポは、正直、最初は知名度もなくいわゆる「雑牌子」(十把一絡げのブランド)の一つ、という印象だった。 小米が最初からわりとカッコ良かったのにくらべ、初期は、今一つあか抜けない。どこかで見たことのあるデザインが多い。
・それがあるとき、ボーンと大きな広告を見たかと思ったら、売り場面積が広がり、知人友人からも名前を聞くようになる。 大規模な広告で一気にシェアを取るのは、中国のIT系でよくある戦略で、小米(シャオミー)もそうだった。 が、小米が都市部インテリのネット購入ユーザーを狙ったのに対して、オッポは地方のリアル店舗とリアル広告で、売上を着実に伸ばしていた。中国は流通に商品をのせるのが非常に大変だが、オッポには販路もあった。
▽アジアで若者に人気の オッポ製品
・商品もずいぶん洗練されてきたが、「若者向けに絞る」いうコンセプトは変わらない。 オッポの製品は、国を越えてアジアなど“都市化されていないエリア”の10~20代のある種の若者にウケる気がする。 勉強がすごーく好きってわけじゃないが、「友達が多くて仲間が大事」「楽しいことが大好き!」みたいな子が見ると、「カッケー」「欲しー」、とズキューン! と、心に刺さるものがあるんじゃないだろうか。そして中国はこういう子が多い。
▽オッポの訴求力は高い
・オッポの初期のヒット商品は自撮りが優秀な機種である。 実店舗で試せば、その機能も、そして若者好みにエッジをきかせた色も質感も体験できる。「私たちの特徴は強いユーザー志向です。お客さんが求めるものを基準に製品開発をしてきた」と、鄧宇辰氏。
・1年以上使ったオッポユーザーに話を聞いてみると、写真以外にも、「電池の充電が速くて、使える時間が長い。iPhoneほど画面はハイスペックではないけど、その分、iPhoneより長持ちかも。アプリをあけるのにちょっと時間がかかるけど、フリーズすることはめったにない。アップデートやセキュリティーも良くて、値段からすると非常にいい性能」という。
・値段が高ければ、それはすべてに最高のオペレーションができる。 しかし、普通の若者はそこまでお金を出せない。機能の何を優先し、何を落とすか、が消費者目線なのである。そして顧客をつかんだ上で上位モデルを投入してきた。 話を聞いて、「ふむふむ、私も次はオッポを試してみようかな」と思ったから、こういう口コミでの伸びも大きいのだろう。
▽中国のスマホメーカーは日本市場でどう勝つか
・さて、こういう“実力派のメーカー”が、日本に来たらどうなるか。 イベントのパネリストを終え、食事の席に戻った鄧宇辰氏を直撃してみた。 すぐに席を立ち、応対してくれた鄧宇辰氏は中国南京生まれ。 シンガポールの南洋理工大学を卒業し、メリルリンチ証券などを経て、2011年からオッポのインドネシア事業に参加。インドネシアでのオッポのシェアを2位までに育てあげた。 さらにキャリア主導のシンガポールでも、たったの3年でシェア3位までにしたやり手である。
・日本ではどんな感じだろうか。 オッポは先に日本での高額の求人をかけて話題になった。キャリアへの売り込みなら年収3000万円、量販店向きなら1000万円から2000万円である。 しかし先の席上での話では、求人には苦労している様子。 「いくらぐらいまで出しますか?」と聞いたら、「上限は決めてません。能力が高ければ、それに合わせて、出す」
・現在の日本での社員は五十数名。 今後拡大していくが、どのぐらい増やしていくかもまだ決めていない。「例えば、docomo(NTTドコモ)みたいなキャリアに参入できたらたくさん雇えるけど、これは我々が決めることができない。そうでなければ増やしても仕方がない」 話を“激盛り”するのが標準の中国人経営者が多い中で、かなり誠実な人である。もっとも若い世代はこういう中国人が増えてきた。海外で教育を受け、何でも合理的に判断する。
・日本のキャリアはすでに3社とも接触しており、共同で技術開発をしている。が、まだ明確な、いつからという採用の回答はない。 「難しいのはやはり関係構築です。日本は何でも用意周到にいろいろ考える。その分、返答は遅い」
・これは中国在住中だと、中国企業、日本企業問わず本当によく聞く問題点で、最近では「もう日本企業と仕事はしない」という声も多い。 時間を区切って成果を出すことを求められている外資のプロと、成果を上げても個人にリターンはない、失敗したら左遷という日本の会社員の“自分が絶対損をしないように”ファーストとは相性が悪いのである。
・みんなで決めるは、「誰も絶対責任をとりません」の合言葉。 とくに携帯の2大キャリアのルーツは半官半民で、“天下りの役人”がたくさんいる組織だし…。 インタビューは中国語でやった。思えば彼が今まで活躍してきたインドネシアもシンガポールも実は華僑・華人文化圏である。英語はもちろんのこと、中国語もたいてい通じる。 彼にはもちろん優秀な通訳はついているが、初めて直接の意思疎通も、文化の違いも難しい日本で苦労しているだろうな、という気はした。
・ちなみに当日、同じ席上に立ったもう2人の中国人経営者は留学経験があったりで日本語が堪能。私から見ると、かなり“日本人化した中国人”である。
▽日本ではお金を積んでも人材が来ない
・日本ではお金を積んでも、人材が来ない。 中国企業の先が読めないのもあるが、日本ではビジネスの資産が個人でなく、企業に集約される。 日本の大手メーカーのキャリアの担当者が、オッポに行って成果を出せるとは限らない。 またメーカーが、いいスマホを低価格で安定的に提供したとしても、キャリアに参入できるとは限らない。
・参入基準は明らかにされない。 返答は遅い。 鄧宇辰氏は優秀な経営者だが、“個人”は誰がやっても一緒というファンタジーを前提として動いているのが日本社会である。 個性を認めないのなら、違いを決めるのは会社でも個人でも、その場にいる時間の“長さ”。新参者はそれだけで不利になる。
・実力や商品力より“会社”の名前が重要な、それも新しいものに対しては「はあ、オッポさんですか」というような、官庁に名刺を置くだけに何年も通わせるような、意味のない努力が大事な世界。 鄧宇辰氏は日本での数年の仕事の成果は問われるが、日本のキャリアの、サラリーマンお殿様たちは契約者が減ろうが、自分は痛くもかゆくもない。 メーカーもそもそも中国に進出して大コケした携帯の責任をとっている人なんて、一人もいないのである。まさに“文化の衝突”。
・しかし、オッポはたぶんキャリアに参入できるだろう。 ただし、営業戦略や商品力にかかわらず、その席は多くはないと私は予想する。“村社会”で長老たちが決める「まあ、5Gに備えて数に入れておいてやろう」の世界だからである。
・現在、オッポは日本でSIMフリー市場にはすでに商品を投入している。 価格はビックカメラで5万円台である。私はこれはかなり高いと思う。手続きの煩雑なSIMフリーに乗り換えた顧客は、基本的に若く、コスト意識の高い人々である。SIMフリーのシェアは2万円台のASUSが独占している。「日本人だからいいものを買うはず」というのは過去の話(泣)。 あと中国の若者だと収入が低くてもスマホにお金をつぎ込むが、日本人の場合、そこはがんばらない。
・日本の主要市場を押さえているキャリアをまず攻略というのは、グローバル社会では合理的な判断だが、村社会で最短距離が、最短距離にならない日本。現在、日本のSIMフリー契約者は全体の14%である。予想より早いスピードで伸び、30%ぐらいはいくのではないか。
・キャリアにいるのは、基本“のんびりじいさん”たちである。 のんびりじいさんの会社に時間を費やすより、SIMフリー市場に低価格のスマホをもっと投入するほうが勝てる気がする。そしてできるだけメディアに露出し、“名前を覚えてもらい”、実績をつくり、そのうちにキャリアの席をもらう……、あ、これ華為技術がやったことだっけ。華為技術日本(株)、さりげなく経団連にも入ってます。
・鄧宇辰氏いわく、日本のキャリアへの戦略はまだ秘密だそうだが、きっと着々と手を打っているだろう。「私たちは日本を、商品を売るためだけの場所とは考えていない。SONYのある国でずっと憧れていた場所でもある。日本でいろいろ学んで、ここからヨーロッパなどにもシェアを広げたい。」と鄧宇辰氏。 日本のいいところは、「食べ物がおいしいところ」という、鄧宇辰氏。ソバがお好きだそう。 日本での挑戦期限は決まってない。 まだ戦いは始まったところである。
http://diamond.jp/articles/-/170198

第一の記事で、 『成長モデルも今春、行き詰まる。「過大広告」をしていたとして消費者庁が行政処分。契約数が伸び悩み、膨張する広告投資を賄いきれなくなった』、 『異業種参入も多く、数十社がひしめくとされる格安スマホ市場』、というのでは、破綻は時間の問題だったのだろう。
第二の記事で、 『楽天は2025年までに設備投資に充てるため、金融機関の借り入れなどで最大約6000億円の資金調達を計画する。これはドコモが1年間にかける設備投資の額とほぼ同じだ』、という設備投資の少なさは、『災害やサイバーテロに十分に備えられるか』、という懸念材料に影響する。さらに、 『自社キャリアユーザーへの還元は、裏を返せば自社キャリアを使わないユーザーが相対的に損をすることになる・・・「アマゾンが絶対にアマゾンモバイルを作らないのは、全キャリアのユーザーが利用者の対象になるから。キャリアを本格的にやると、対象の客は狭まる」と見る』、というのでは、シナジー効果どころではなく、本業でのマイナス効果といった懸念材料を抱える可能性もあるようだ。三木谷社長の「お手並み拝見」である。
第三の記事で、 『日本だけが、「わが日本のすばらしさを知れ」とばかりに、一般の中国人が好まぬ折り畳み式携帯電話をドヤ顔で押し付けてみたり、いらぬ機能ばかりだったりと、かなりトンチンカンだった。・・・最初から最後まで外しまくって、ほぼ全社が撤退した』、という日本企業の「思い上がり体質」は、困ったものだ。 『現地の日本の新聞記者に「書いたら?」と言っても、「駐在員がかわいそうですよぉ。通信規格が違うからですよぉ」その後、“通信規格が違う”サムスンが、中国の携帯市場で大勝利した』、日本の新聞の駐在記者の進出企業への遠慮と不勉強ぶりには、やはりそうかと感じた。 『時間を区切って成果を出すことを求められている外資のプロと、成果を上げても個人にリターンはない、失敗したら左遷という日本の会社員の“自分が絶対損をしないように”ファーストとは相性が悪いのである』、というのは、その通りなのかも知れない。オッポの日本での展開を注視したい。
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