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日本の政治情勢(その21)(真相解明先延ばし 安倍首相こそ不祥事の最大の“膿”である、安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も「成果ゼロ」、「安倍3選」に向け吹き始めた"追い風"の正体 永田町の風向きは急速に変わりつつある) [国内政治]

日本の政治情勢については、4月17日に取上げた。今日は、(その21)(真相解明先延ばし 安倍首相こそ不祥事の最大の“膿”である、安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も「成果ゼロ」、「安倍3選」に向け吹き始めた"追い風"の正体 永田町の風向きは急速に変わりつつある)である。

先ずは、元外交官で外交評論家の孫崎享氏が4月28日付け日刊ゲンダイに寄稿した「真相解明先延ばし 安倍首相こそ不祥事の最大の“膿”である」を紹介しよう。
・安倍首相が自民党の都道府県議会議員研修会で演説した際、財務省の決裁文書改ざん問題などの一連の不祥事について、全容解明に取り組む考えを示し、「膿を出し切る」と強調したという。 この発言に違和感を感じた国民は多いだろう。森友、加計問題の最大の「膿」は安倍首相自身なのではないかと思えるからだ。
・約10億円相当の国有財産が実質ほぼゼロ円で売却された森友問題は、安倍首相夫妻と森友の籠池理事長夫妻の間に強い個人的関係があると財務省側が“忖度”したのが要因とみられている。 昭恵氏と籠池氏の連絡役を担ったのは夫人付秘書だった経産省出身の谷氏だった。「膿を出し切る」という言葉が、真相の徹底解明を意味するのであれば、「扇の要」に位置していた昭恵夫人はもちろん、籠池夫妻、谷秘書の国会招致は欠かせない。しかし、果たして安倍首相にその準備や覚悟があるのだろうか。
・愛媛県今治市の加計学園の獣医学部の新設は過去、約15回も認可申請が却下されてきた。ところが、2015年4月2日、県と市の担当者らが、柳瀬首相秘書官(当時)と会談し、「首相案件」という認識が関係各省で共有されてから一気に話が進んだ。 安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長は昵懇の間柄であり、そのために獣医学部設置の認可が進んだのではないかとの疑いが持たれている。
・共同通信の世論調査で、加計学園の獣医学部新設をめぐる安倍首相の説明に納得できるか――との問いに対し、79.4%が「納得できない」と答え、「納得できる」はわずか13.2%である。森友と同様、加計問題でも「膿を出し切る」べき対象は安倍首相自身なのである。
・昭恵夫人や谷秘書、加計理事長らが国会招致されない限り、いつまでたってもモリカケ疑惑は晴れない。真相解明を先延ばしするほど、安倍首相を見放す国民が増えるばかりである。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228091/1

次に、立教大学大学院特任教授・慶應義塾大学名誉教授の金子 勝氏が5月15日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も「成果ゼロ」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・これまで、安倍晋三首相ほど目まぐるしくスローガンを打ち出す首相はいなかった。2013年にアベノミクスと「3本の矢」を掲げて以降、14年の「女性活躍」→15年の「新3本の矢」と「1億総活躍」→16年の「働き方改革」→17年の「人づくり革命」といった具合だ。
・しかもアベノミクスは「2年で2%」という「デフレ脱却」の物価目標を6度延期したあげくに、18年4月には達成時期を「撤廃」してしまった。プライマリーバランスを黒字化する財政健全化目標の達成時期も2020年から2025年へと先送りの方向。他にも「待機児童ゼロ」も逆に待機児童が増え続けているなど、掲げた政策目標のほとんどが達成されていない。 そして最近では、外交も成果ゼロだ。
▽「外遊」は5年で63回 内政の失敗を挽回する手法は限界に
・安倍晋三首相ほど「外遊」の多い首相はいない。先の大型連休中の中東訪問は、首相になった2012年から実に63回目になる。ほぼ月に1度は「外遊」している勘定だ。 それで「安倍外交」は、どういう成果を上げているのだろうか。 結論を先に言えば、この「外遊」もほとんど成果を上げていない。(外務省の「総理大臣の外国訪問一覧 」) http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/page24_000037.html
・内政も外交も掲げた目標をほとんど達成していないのに、なぜ高い支持率が維持されてきたのだろうか。実は、そこにこそ安倍政権の政権維持の手法が隠されている。 まず何よりも、次々とスローガンを打ち出すことで、何かに「挑戦」している印象を与えることだ。と同時に、前の政策の失敗が検証されないうちに、次の政策目標を出していき、「空手形」を打ち続けることで、政策の失敗を検証させる暇を与えないことだ。
・そして政策の失敗や森友・加計問題などの「疑惑」が表面化して支持率が落ちるたびに、北朝鮮の脅威などをあおったり、「外交」で各国首脳らとの関係強化を演出したりして政権への求心力を維持するやり方だ。 実際、「外遊」によって国内での野党などの追及をかわすこともできるし、国外での記者会見は、一方的な「説明」を垂れ流す場に利用しやすいからだ。 けれども、こうした手法にも限界が見えてきた。外交もほとんど成果らしい成果がないことが露呈し始めているからだ。
▽「北朝鮮カード」は使えず 対話モードへの転換で「蚊帳の外」に
・そのことが浮き彫りになったのは、4月の訪米だった。 4月17日から20日、国内では森友問題や防衛省の「日報」問題などの「五大疑惑」を抱えて国会で厳しい追及を受けている最中に訪米し、トランプ大統領と会談した。
・この時も、トランプ大統領とのゴルフなどで仲良しぶりが演出されたが、外交の成果はほとんどなかった。 肝心の北朝鮮問題では、トランプ大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるように頼んだだけで終わった。一方で経済問題では、目指していた米国の「TPP(環太平洋連携協定)への復帰」はトランプ大統領からあっさり「拒否」され、日米でも二国間交渉をのまされた。
・選挙公約を覆してTPPに参加したにもかかわらず、米国が抜けて失敗し、その復帰を「説得」しに行ったはずが、逆に米国に二国間貿易交渉に引きずり込まれてしまった。 「北朝鮮カード」は、米国自体が「和平モード」に転換してしまって使えなくなってきており、実際、日米首脳会談の後も、内閣支持率が低迷したままだ。
・もはや世界は「ジャパンパッシング」で動く状況に陥っている。 実際、北朝鮮の非核化問題と緊張緩和については、安倍首相はほとんど「蚊帳の外」に置かれている。 このことはある意味、当然だろう。 北朝鮮問題では、政権維持のために北朝鮮リスクをあおることしかしてこなかったからだ。
・北朝鮮のミサイル実験のたびに、「Jアラート」を繰り返し鳴らして人々を田んぼにしゃがませ、昨年10月には、北朝鮮の脅威をあげ「危機突破解散」と銘打って解散権を乱用した衆議院選挙で多数の議席を獲得した。
・実際、北朝鮮外交でも、安倍首相は「話し合いのための話し合いは無意味」と繰り返し、少しでも対話の機運が出てくると、「北朝鮮は何度も約束を反故にした」と言い続け、防衛費の増強を行った。  韓国の文在寅大統領が北朝鮮にピョンチャン・オリンピック参加を促し、実現させた際も、安倍首相は当初、開会式への出席を渋った。
・首相の強硬姿勢に呼吸を合わせるように、河野太郎 外相も、南北の首脳や中国の習近平国家主席らが、朝鮮半島の安定や南北の平和的共存に踏み出した中朝会談、南北会談の前後にも「圧力」一辺倒の外交を崩そうとしなかった。「北朝鮮と国交断絶をせよ」とか「北朝鮮は核実験を準備している」といった発言を繰り返した。
・だがこうした発言に対して、米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は、衛星画像では裏付けできないとし、中国外務省の耿爽副報道局長が4月3日の記者会見で「足を引っ張らないでほしい」と批判する一幕もあった。 実際、4月27日の南北首脳会談が成果を収めたのは、むしろ「アベ外し」が成功に導いたと言ってよいだろう。
・南北は対話の積み重ねによって、首脳会談で、朝鮮半島の「完全非核化」を共通目標とし、朝鮮戦争の終戦と平和協定を目指すことで合意し、共同宣言では南北と米国の3者あるいは中国を加えた4者会談で実現していくことが明記された。
・米国と歩調をあわせたつもりで強硬姿勢をとっても、米国自身、さらに中国もすでに発想を切り替えたドライな外交戦略を取り始めているのだ。「外交」というのは、国民のニーズに応じて相手国に主張し、相互の主張とすり合わせつつ、粘り強く交渉していくのが基本である。
・そうした基本姿勢がないまま、かたくなに強硬路線をとったり、逆にただ媚び、「仲良し」を演出するだけでは、相手も日本の主張をまともに受け止めないだろう。 このことは、最近の日米関係で見ればオスプレイ(CV22)の横田基地配備が典型的だ。 4月3日に在日米軍は、事故多発を懸念する地元住民に知らせることなくオスプレイ5機の横田基地配備を通告し、2日後には配備を終えてしまった。日本政府が抗議をした様子もない。そもそも交渉になっていないのだ。
・トランプ大統領の交渉術の特徴は、ビジネスマン的なディール(取引)にある。まず相手にふっかけ、相手が譲歩したら落着させるというパターンであり単純明快だ。 北朝鮮問題でも中国との貿易摩擦でも、こうしたディールを仕掛けている。ある意味で、北朝鮮も中国も同じように、トランプ大統領相手にふっかけて交渉している。
・ところが、安倍首相には、ディールの成功体験がなく、方法論すら持っていないように見える。これでは交渉にならず、相手の言うがままにされていく。
▽「仲良し」演出しても「取引外交」には通用せず
・貿易交渉は、相手が言うがままの典型だ。「アメリカファースト(米国第一主義)」を掲げるトランプ大統領は、今年3月8日に「国家安全保障」を理由にあげて鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す文書に署名した。 この関税強化措置については、EU加盟国、韓国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンが適用除外になった。 ところが、安倍首相が大統領と「蜜月関係」にあるはずの日本の除外対象にしてくれとの要望は聞き入れられなかった。
・トランプ大統領は、さきの日米首脳会談でも、日本からの貿易赤字を問題にして譲らず、日米間の2国間貿易協定を主張し、結局、ライトハイザー通商代表部代表と茂木敏充経済再生相の間で「協議」することで合意させられた。これは事実上の二国間貿易「交渉」だ。
・安倍首相は2012年12月の衆議院選挙での公約を裏切って、TPP交渉に参加した。ところが、トランプ大統領がTPP離脱を表明。それ以降は、米国をTPPに復帰させると主張してきたが、今回の会談の結果は、そうした主張から大きく後退することになっている。
・交渉能力に乏しい安倍政権では、二国間「協議」では自動車でも農産物でも大幅譲歩を迫られるだろう。 何よりトランプ大統領は11月に中間選挙を控えている。 だがロシアゲート事件を抱え、次々と閣僚を交代させて挽回を図ろうとしているが、支持率は低迷している。 今年の3月13日に行われた米東部ペンシルベニア州の下院第18選挙区の補欠選挙で、共和党は民主党に敗北した。ここはトランプ氏が大統領選で勝利する要因となったラストベルト地域である。
・トランプ大統領は中間選挙で勝つためには、5月8日の「イラン核合意離脱」表明でユダヤ人ロビーや石油資本を満足させる一方で、米朝首脳会談で朝鮮半島の「非核化」を実現させることだと、そして日本から貿易交渉で大幅な譲歩を勝ち取ることだと、考えているのではないか。 しかし、それは安倍政権にとっては外交の「失敗」を意味する。
▽中東外交も米国に「追随」するだけ 政策を検証すべき時期だ
・大型連休のさなかも、安倍首相はイスラエル、パレスチナ、UAE、ヨルダンを訪問した。 米国が「イラン核合意」を離脱し、またエルサレムをイスラエルの首都として一方的に承認し、米国大使館をエルサレムに移転することで、中東では不安定化のリスクが強まっている。だが中東訪問でも、外交感覚のズレが浮き彫りになっただけだった。
・中東訪問を総括する記者会見の場をヨルダンにしたこと自体がズレていて、ジョークなのかと疑った。 ヨルダンは日本の呼びかけに応じて1月に北朝鮮と断交している。中国をはじめ関係国の多くが、北朝鮮に対して「対話」路線で動き出しているなかで、強硬路線をとる数少ない国と言える。  その国で記者会見をすれば、北朝鮮問題で対話を拒んで「蚊帳の外」になったことを追及されることはないと、首相や外務省は考えたのだろうか。
・会見で安倍首相は、関係国と連携して「対話」と「圧力」の両面を進めていく対北朝鮮政策は2002年の平壌宣言以来「一貫している」と言い、北朝鮮問題に関して米中韓朝4ヵ国の対話の「蚊帳の外」に置かれたことを否定しようとした。
・南北会談後に文在寅韓国大統領と電話会談をして慌てて情報を収集し、その後も習近平国家主席との電話会談や、日中韓首脳会談で関係国との連携を演出しているが、実態は「蚊帳の外」の状況を取り繕うのに精いっぱいの状況だ。
・「イラン核合意離脱」でも、独仏英の3首脳が反対し、連携してトランプ大統領に働きかけてきたが、日本はこうした欧州諸国の和平の動きでも「蚊帳の外」だった。 たしかに、安倍首相は中東訪問最終日(5月2日)にイスラエルとパレスチナ双方を訪問したが、中東和平のための「中立」的な外交をしてきたとは思えない。
・トランプ大統領は米国大使館のエルサレム移転に抗議するパレスチナに対して、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金6500万ドル分(約72億円)の支払いを凍結し、パレスチナに自分の「和平提案」に応じろと要求している。 その状況で安倍首相がパレスチナのアッバス議長との会談で述べたのは、日本がUNRWAに1000万ドルを拠出するので、「アメリカから交渉の提案があれば、応じるべきだ」ということだった。
・そもそもイスラエルのガザへの攻撃や米国のUNRWAへの拠出拒否には口を閉ざしておきながら、日本がちょっとカネ出すからアメリカの言うことを聞けというのは、中東和平を目指した独自の外交だと言えるのだろうか。
・いまや安倍外交は成果がないことが次々に露呈している。もし安倍首相が「外遊」を、求心力維持のための国内向けの「印象操作」として大事だと考えているのなら、もはや賞味期限が切れていると言ってよいだろう。 問題は、内政も外交も取り返しのつかないような「失敗の山」が累々と築かれ続けていることだ。
・「成長戦略」で掲げた原発輸出「セールス外交」にしても、東芝の経営破綻危機後も、ベトナム、台湾での原発建設中止、リトアニアでの計画凍結など、次々、行き詰まりを見せている。 日立が進める英国原発事業も事業費は3兆円に膨れ上がり、日本側は1兆5000億円を負担するが、そのうち大手銀行の融資に「政府保証」をつけてまで原発輸出をしようとしている。 損失が出た場合、税金で補填するのである。それでも、英国側は3分の1しか出さず、残りの資金繰りのめどがついていない。トルコでの原発建設の事業費も4兆円以上に倍増し、伊藤忠が撤退を決めた。
・失敗の山が一つまた一つと増えないうちに安倍政権が掲げてきた政策をきちんと検証すべき時期に来ている。
http://diamond.jp/articles/-/169898

第三に、ジャーナリストの安積 明子氏が5月13日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「安倍3選」に向け吹き始めた"追い風"の正体 永田町の風向きは急速に変わりつつある」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ゴールデンウイーク前には永田町にあれほど吹いていた「安倍おろし」の風。ところが、連休が明けると、この逆風はぴたりと止んだようだ。 そもそも「安倍おろし」の風を吹かせていたのは野党ではなく自民党。9月に予定されている総裁選をにらんでざわついていたのだが、党内のムードが様子見に変わったのだ。
▽参議院で何が起こっているのか
・そればかりではない。安倍政権に順風さえ吹き始めたと思われるところもある。5月7日に国民民主党が結成された後の参議院をみると、それがとくにわかる。いったい参議院で何が起こっているのか。
・現在の参議院(定数242)での勢力は、最大会派の「自由民主党・こころ」が125議席と圧倒的多数で、それに続くのが自民党と連立する「公明党」の25議席。「国民民主党・新緑風会」(以下民主)は24議席とかろうじて野党第1会派となり、「立憲民主党・民友会」(以下立憲)は1議席差の23議席でこれを追っている。
・要するに民進党が分裂したことで、公明党が第2会派に躍り出て、昨年の衆議院選時にはわずか1議席だった立憲民主党は23議席まで勢力を伸ばしたことになる。 これによって参議院内では激震が起きている。民進党は4つの常任委員会委員長のポストを保有していたが、これをどのように分けるかについて5月9日の議院運営委員会で争いがあったのだ。この日の参議院本会議の開始が遅れたのは、それが原因でもある。
・何が問題になったのか。 立憲は内閣委員長を含む4委員長のポストを民主と分け合うつもりでいた。会期が変わると委員長ポストも変更になるが、今回は会期の最中の変更であり、最小限にすませるべきだと考えていた。 内閣委員会はIR実施法案や国家戦略特区制度など、安倍政権が推し進める成長戦略の重要案件を管轄する。委員長には決裁権があり、ここを野党側が押さえておこうともくろんでいた。
▽国民民主は自民党になびいている?
・ところが自民党は“原則”に従って「大会派順の選択」を主張。これが与野党の筆頭間(すなわち自民党・こころと民主)ですんなり合意されたため、立憲が議院運営委員会に参加しようとした時は、もはや決定事項になっていたという。
・内閣委員会の理事の構成も、自民党から2名、公明党から1名、そして民主から1名という構成だ。「これでは法案を止めようがない」と、立憲関係者は嘆く。「参議院は衆議院から送られてきた法案をより客観的に冷静に審議すべきところだが、このような状態では会期末までに法案をただ採決するだけの場所になりかねない。民主(国民民主党・新緑風会)は自民党になびいているようにみえる」(立憲関係者)。
・確かに5月7日に開いた国民民主党結党大会で、玉木雄一郎共同代表が「審議拒否しない」と宣言したことも、立憲の会派内部で不信感が深まる原因になっている。「会期末になれば、野党は法案を人質にとって審議拒否するのが通例。これまで与党は強行に採決するのではなく、野党の主張を尊重してくれた。しかし民主がこれに同調してくれないのであれば、審議拒否も効力を果たさない。そもそも今の議員数で審議拒否以外に与党の強行を止める武器はない」(立憲関係者)。
・さらに安倍政権が「70年ぶりの大改革」と位置付ける「働き方改革関連法案」も、5月下旬に衆議院から参議院に送られるが、厚生労働委員会の委員長ポストは自民党。理事ポストに至っては、公明党と民主が1つずつ保持するほか、自民党は4つも持っている。
・このまま6月20日の会期末まで、とんでもないスピードで法案がどんどん可決されていく可能性があるのだ。 その一例が参議院経済産業委員会にかけられている『生産性向上特別措置法』や『産業競争力強化法等の一部を改正する法律案』だ。この法案については参考人を呼ぶことになっていたが、すでに5月15日の採決が決まっており、付帯決議の文面までも完成済みというから驚きだ。「付帯決議まで決まっていながら、なぜ参考人を呼ぶのか。つまり単なる儀式ということだ」。この件を民主の理事から伝えらえた立憲の議員は訝しげにこう言った。
▽安倍首相の表情には余裕
・かくして、会期末に向け、重要法案がかなりスムーズに成立する見通しだ。そのためもあるのだろう、最近の安倍首相の表情には余裕が見える。5月11日には民放番組に出演し、森友学園問題や加計学園問題についての質問にも冷静に答えている。
・その安倍首相が強い意欲を見せているといわれているのが、予算委員会の集中審議の代わりに5月30日に党首討論を開くという案だ。その理由は拘束時間。予算委員会だと委員会室に長時間座っていなければならないが、党首討論だとわずか45分しかかからない。
・そのうえ民進党が分裂したことにより、安倍首相にさらに“有利な面”が出てきた。 それは各政党の持ち時間が短くなったことだ。最大の立憲民主党でも17分程度で、国民民主党は14〜15分。しかも国民民主の場合、2人の共同代表がそれぞれ質問に立とうとすれば、1人あたりの時間がさらに短くなる。持ち時間が短くなればなるほど、質問する側が深く追及できなくなり、きわめて不利になる。
・野党側がきちんと連携を組んで役割分担すれば、追い詰めることも不可能ではないが、これまでの実績を見る限り、それは期待できそうにない。公文書改ざん問題について佐川宣寿前国税庁長官を証人喚問した時も、柳瀬唯夫元首相秘書官を参考人招致した時も、野党の追及は十分ではなかった。質問者それぞれが自己アピールに走ったため、質問が上滑りになる面が多々あった。
▽外交面でも追い風が吹き始めている
・このような悲惨ともいえる野党の様子をみる限り、野党の支持率は上がりようがない。安倍政権としては、野党の支持率が高まらない限りは内閣支持率が多少低迷しようとも恐れる必要はない。自民党内での「安倍おろし」の声が小さくなったのも、そのためだろう。
・「追い風」はこれからも吹く。6月12日に決まった米朝首脳会談では、盟友のドナルド・トランプ米大統領が拉致問題についても言及し、安倍首相に花を持たせてくれることが見込まれる。 安倍首相はゴールデンウイーク中の4月29日から5月3日、中東諸国を訪問し、米政府によるエルサレム首都宣言の影響を回避すべく外交努力をしており、これはトランプ大統領にとって嬉しい援護射撃だった。その恩返しくらいはしてくれるだろう。
・自民党のある若手議員がこう言った。「安倍さんというのはとても不思議な人で、なぜか協力してあげたいと思わせる魅力がある。これは石破茂さんにはないし、ましてや小泉進次郎さんにはないものだ」。再度上昇運に乗り出した安倍首相。このままいけば総裁選3選は確実の様相だ。
https://toyokeizai.net/articles/-/220549

第一の記事で、 『安倍首相が・・・「膿を出し切る」と強調したという。 この発言に違和感を感じた国民は多いだろう。森友、加計問題の最大の「膿」は安倍首相自身なのではないかと思えるからだ』、というのは我々が感じていた違和感を見事に解き明かしてくれた。 『昭恵夫人や谷秘書、加計理事長らが国会招致されない限り、いつまでたってもモリカケ疑惑は晴れない。真相解明を先延ばしするほど、安倍首相を見放す国民が増えるばかりである』、というのはその通りだ。
第二の記事で、 『安倍晋三首相ほど「外遊」の多い首相はいない。先の大型連休中の中東訪問は、首相になった2012年から実に63回目になる。ほぼ月に1度は「外遊」している勘定だ。 それで「安倍外交」は、どういう成果を上げているのだろうか。 結論を先に言えば、この「外遊」もほとんど成果を上げていない』、との手厳しい批判は説得力がある。 『南北の首脳や中国の習近平国家主席らが、朝鮮半島の安定や南北の平和的共存に踏み出した中朝会談、南北会談の前後にも「圧力」一辺倒の外交を崩そうとしなかった。「北朝鮮と国交断絶をせよ」とか「北朝鮮は核実験を準備している」といった発言を繰り返した。 だがこうした発言に対して、米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は、衛星画像では裏付けできないとし、中国外務省の耿爽副報道局長が4月3日の記者会見で「足を引っ張らないでほしい」と批判する一幕もあった』、というのはもはや滑稽としか言いようがない。挙句が、 『共同宣言では南北と米国の3者あるいは中国を加えた4者会談で実現していくことが明記された』、と日本とロシアはかつての6者協議のメンバーから外されたようだ。 『トランプ大統領は米国大使館のエルサレム移転に抗議するパレスチナに対して、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金6500万ドル分(約72億円)の支払いを凍結し、パレスチナに自分の「和平提案」に応じろと要求している。 その状況で安倍首相がパレスチナのアッバス議長との会談で述べたのは、日本がUNRWAに1000万ドルを拠出するので、「アメリカから交渉の提案があれば、応じるべきだ」ということだった』、というのはパレスチナを敵に回して、トランプにゴマを擂っただけである。 『「成長戦略」で掲げた原発輸出「セールス外交」にしても、東芝の経営破綻危機後も、ベトナム、台湾での原発建設中止、リトアニアでの計画凍結など、次々、行き詰まりを見せている・・・失敗の山が一つまた一つと増えないうちに安倍政権が掲げてきた政策をきちんと検証すべき時期に来ている』、というのは正論だ。
ところが、第三の記事は私をいたく失望させた。国民民主党の結成が、これほどまでに安倍政権への追い風になっているのには驚かされると同時に、敵に塩を送った国民民主党への怒りを新たにした。共同代表の玉木、大塚両氏のナイーブそうな顔を見る限り、院内力学への影響にまで考えが及んでいたとは思えない。『公文書改ざん問題について佐川宣寿前国税庁長官を証人喚問した時も、柳瀬唯夫元首相秘書官を参考人招致した時も、野党の追及は十分ではなかった。質問者それぞれが自己アピールに走ったため、質問が上滑りになる面が多々あった』、というのはいつものことではあるにせよ、残念極まりない。 『米朝首脳会談では、盟友のドナルド・トランプ米大統領が拉致問題についても言及し、安倍首相に花を持たせてくれることが見込まれる』、というのは官邸の希望的観測に過ぎないのではなかろうか。
タグ:「膿を出し切る」と強調 (その21)(真相解明先延ばし 安倍首相こそ不祥事の最大の“膿”である、安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も「成果ゼロ」、「安倍3選」に向け吹き始めた"追い風"の正体 永田町の風向きは急速に変わりつつある) 一連の不祥事について 安倍首相 違和感 「真相解明先延ばし 安倍首相こそ不祥事の最大の“膿”である」 日刊ゲンダイ 孫崎享 日本の政治情勢 森友、加計問題の最大の「膿」は安倍首相自身なのではないかと思えるからだ 昭恵夫人や谷秘書、加計理事長らが国会招致されない限り、いつまでたってもモリカケ疑惑は晴れない 真相解明を先延ばしするほど、安倍首相を見放す国民が増えるばかりである 金子 勝 ダイヤモンド・オンライン 「安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も「成果ゼロ」」 安倍晋三首相ほど目まぐるしくスローガンを打ち出す首相はいなかった 掲げた政策目標のほとんどが達成されていない 「外遊」は5年で63回 内政の失敗を挽回する手法は限界に 次々とスローガンを打ち出すことで、何かに「挑戦」している印象を与えることだ。と同時に、前の政策の失敗が検証されないうちに、次の政策目標を出していき、「空手形」を打ち続けることで、政策の失敗を検証させる暇を与えないことだ 「北朝鮮カード」は使えず 対話モードへの転換で「蚊帳の外」に 世界は「ジャパンパッシング」で動く状況に こうした発言に対して、米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」は、衛星画像では裏付けできないとし、中国外務省の耿爽副報道局長が4月3日の記者会見で「足を引っ張らないでほしい」と批判する一幕もあった 共同宣言では南北と米国の3者あるいは中国を加えた4者会談で実現していくことが明記 「仲良し」演出しても「取引外交」には通用せず トランプ大統領は米国大使館のエルサレム移転に抗議するパレスチナに対して、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への拠出金6500万ドル分(約72億円)の支払いを凍結し、パレスチナに自分の「和平提案」に応じろと要求している その状況で安倍首相がパレスチナのアッバス議長との会談で述べたのは、日本がUNRWAに1000万ドルを拠出するので、「アメリカから交渉の提案があれば、応じるべきだ」ということだった 問題は、内政も外交も取り返しのつかないような「失敗の山」が累々と築かれ続けていることだ 失敗の山が一つまた一つと増えないうちに安倍政権が掲げてきた政策をきちんと検証すべき時期に来ている 安積 明子 東洋経済オンライン 「「安倍3選」に向け吹き始めた"追い風"の正体 永田町の風向きは急速に変わりつつある」 「安倍おろし」の風 連休が明けると、この逆風はぴたりと止んだようだ 順風さえ吹き始めた 国民民主党が結成 民進党が分裂したことで、公明党が第2会派に躍り出て、昨年の衆議院選時にはわずか1議席だった立憲民主党は23議席まで勢力を伸ばしたことになる 参議院内では激震 国民民主は自民党になびいている? 安倍首相の表情には余裕
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