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カジノ解禁(統合型リゾート(IR)法案)(その4)(強行採決狙うカジノ法案 裏に安倍首相とトランプの“密約”、中国大陸客に乗っ取られたマカオ 日本のカジノも同じ轍か、「カジノ」が第二のモリカケ騒動になりそうな3つの理由) [経済政策]

カジノ解禁(統合型リゾート(IR)法案)については、昨年6月10日に取上げた。実施法案が衆院を強行採決で通過したのを踏まえ、今日は、(その4)(強行採決狙うカジノ法案 裏に安倍首相とトランプの“密約”、中国大陸客に乗っ取られたマカオ 日本のカジノも同じ轍か、「カジノ」が第二のモリカケ騒動になりそうな3つの理由)である。

先ずは、6月12日付け日刊ゲンダイ「強行採決狙うカジノ法案 裏に安倍首相とトランプの“密約”」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・安倍政権が13日にも、衆院内閣委での強行採決をもくろんでいるカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案。カジノ推進の維新に恩は売れても、公明も本音は慎重だし、財界から強い要求があるわけではない。世論調査(4月・朝日新聞)でも「今国会で成立させる必要はない」が71%にも上る。それでも、安倍首相が今国会での成立に鼻息が荒いのは、トランプ大統領との“密約”があるからだ。
▽秋の米中間選挙に間に合わせる
・「日本企業はカジノ運営の経験がなく、ノウハウを持つ米企業に依存せざるを得ない。世界一のカジノ王と呼ばれる米ラスベガス・サンズのアデルソン会長は、日本のカジノに100億ドル(約1兆1000億円)の投資を繰り返し公言しています」(経済誌記者)
・アデルソン氏といえば、トランプの最大のスポンサーだ。16年の大統領選では、トランプに約27億円を献金し、トランプ大統領誕生を資金面で支えた。トランプは今、劣勢が伝えられる秋の中間選挙に向け、アデルソン氏の大きな援助が必要なのだ。
・「トランプ大統領は、日本でのカジノ解禁立法と引き換えに、中間選挙でのアデルソン氏の資金援助を充実させたい。秋では遅い。今の国会で成立させてもらわないと困るのです。すでに、アデルソン氏が中間選挙で3000万ドル(約33億円)もの資金協力をすると報じられています。日本のカジノ解禁を確信してのことでしょう」(前出の経済誌記者)
・カジノ解禁の裏にトランプあり――。これまでの経過にも、トランプが見え隠れしている。2016年11月、いち早く駆け付けた安倍首相は、当選間もないトランプ次期大統領とトランプタワーで面談。この時、トランプから日本でのカジノ解禁を求められたとみられる。というのも、安倍首相は帰国直後、議員立法ではあるが、IR推進法案をいきなり上程。会期延長までして、5年間、休眠中だったカジノ推進法案をわずか2週間で通した。極めて不自然な急ぎぶりだった。
・翌17年2月10日の日米首脳会談でトランプは、日本のIR推進方針を歓迎した上で、安倍首相に「シンゾウ、こういった企業を知っているか」とほほ笑んで、ラスベガス・サンズなどカジノ企業を紹介。安倍首相は隣の側近に、企業名のメモを取らせたという(17年6月10日の日経新聞電子版)。また、安倍首相は同日朝、全米商工会議所が主催する朝食会で、アデルソン会長ら複数のカジノ経営者と会食もしている。何らかの“陳情”を受けたことは間違いない。
・加えて許し難いのが、カジノ実施法案の中身が米カジノ企業の意向で「修正」されていることだ。今年2月に与党に示した政府案では、一施設あたりのカジノ区域を1万5000平方メートルとする上限規制があった。これに、ラスベガス・サンズ幹部のタナシェビッチ氏が「経済効果を抑制する」とすぐさま猛反発。果たして、今国会の提出法案では「1万5000平方メートル」の上限規制はバッサリ削られている。
・「カジノ法案は、ギャンブル依存症など社会的に問題のある法案なのに、短い審議時間で、スケジュールありきで進められています。安倍首相は、国民の心配などはどうでもいい。とにかくトランプ大統領や、米企業の要求に“満額回答”したいだけなのです。米国を裏切るわけにはいかないので、何としても今国会で成立させるつもりでしょう」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
・一体、どこを向いて仕事をしているのか。何としても成立させてはいけない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/230942/1

次に、ジャーナリストの姫田小夏氏が5月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国大陸客に乗っ取られたマカオ、日本のカジノも同じ轍か」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「世界一のカジノシティ」といえば、中国の特別行政区のマカオだ。1999年に実施された中国への返還以降、大陸客の個人旅行解禁とともに拡大の一途をたどり、その賭博収入は2013年にラスベガスを超えた。
・しかし、そんなマカオのカジノ産業も近年、逆風にさらされている。習近平政権の倹約令とともに、カジノの重要資金源ともいわれた中国の公務員、つまりVIP顧客が姿を消したからだ。 それは数字でも明らかだ。マカオ政府の統計によれば、マカオの産業に占める「カジノとカジノ仲介業」の割合は13年に63.10%とピークに達したが、14年以降は落ち込み、16年には産業に占める割合も5割を切るまでになった。
▽マカオの脱カジノは遠い
・近年の世界の潮流は、「脱賭博」である。マカオ政府も「賭博イメージ」の払拭に努めており、マカオのカジノ産業全体が「非カジノ」に力を入れざるを得なくなっている。統合型リゾート(IR)とは、“カジノ臭さ”を消すための一つの手段だが、隆盛を極めたマカオのカジノ業界も転換期を迎え、IRという「新たな方向性」を模索するようになった。
・「IRにおいて、カジノはもはやほんの一部分にすぎない」 筆者は2016年、このコラムで「ギャラクシー・マカオ」(ギャラクシー・エンターテインメント・グループ=銀河娯楽集団)のマイケル・メッカ元社長との対談を公開したが、当時メッカ氏はこのようにコメントしていた。
・例えば、銀河娯楽集団傘下の「スターワールド・ホテル」(2006年開業)を見れば、その努力の跡が垣間見られる。というのも、以前の業態は「カジノ・ホテル」と言われたように、100%カジノを目的とするための宿泊施設だったからだ。その象徴が、ホテルの構造だ。「スターワールド・ホテル」はエントランスとカジノ場が直結し、長期滞在客や常連客を多く収容するため、上階がゲストルームになっていた。
・それが今では、ゲストルームはレストランやビジネスセンター、バンケットルームに置き換えられてカジノの面積は大幅に縮小した。 開発面積約110万平方メートルに占めるカジノ以外の割合は95%と高くなっている。
・だが、今回マカオを訪問して印象を強めたのは、「それでもなおカジノ産業は衰えていない」という現実だ。「ギャラクシー・マカオ」におけるカジノは全体の5%だとしても、その広さは東京ドーム(4万6755平方メートル)をはるかに超える。相対的には「ほんの一部」かもしれないが、実際は「巨大な空間」に変わりはないのだ。
・隣接地にある「マカオ・ブロードウェイ」も、非ゲーミングの割合を高めるためにグルメやステージなどの娯楽施設を取り入れリノベーションした。だが、それでもカジノが併設されている。「エントランスを入れば、いきなりバカラテーブル」という旧来型のカジノホテルを経営するカジノ事業者もいまだ存在する。 依然として、マカオを訪れる観光客を包囲するのはカジノであり、本来主流であるはずの世界遺産巡りはほんの“おまけ”に過ぎない。
▽地下に流れるマカオのカジノマネー
・マカオのカジノの特殊性を端的に述べるなら、それは「独特なVIPシステム」だといえる。マカオのカジノ収入の7割は、このVIP客によってもたらされている。「独特なVIPシステム」を生んだのは、カジノ事業者間の激甚な競争だ。ある時期まで、マカオの賭博権は管理され、比較的、健康的な運営ができていた期間があった。ところが、2002年以降にこの権利が開放されるや、事業者間の競争が激化し、VIP客争奪戦に血道を上げるようになる。
・激しい競争に打ち勝つため、カジノ事業者はあの手この手で誘客を算段するが、それを支えたのが“専門業者”だった。大陸からVIP客を送客するため、専門のツアー会社が暗躍。プライベートジェットを仕立て、宿泊の手配から、プレーの決済、兌換までの面倒を見た。
・カジノ事業者からVIPルームを借り上げ、プレーヤーをカジノに誘客する代理人(ジャンケット)も存在する。中国のカジノ専門誌によれば、VIPルームには月間の売り上げ目標が設定されており、マカオのカジノ事業者は売り上げの0.7%をVIPルームの誘客に携わった代理人などに報酬として与えているという。
・一般的に、大陸のVIP客は現金を持ってこないため、マカオでは貸金業が発達している。また、マカオに持ち込める現金に制限(2017年11月からは12万パタカ以上の現金の持ち込みは申告が必要)があるため、大陸客は宝飾品店や質屋で銀聯カードを使って高額品を購入し、それを売却する形で“プレー代”となる現金を手に入れる。街中にはこうした店が至る所にあるが、マネーロンダリングの温床にもなってきた。
・カジノ事業者とプレーヤーの間に各種のブローカーを介在させ、金の流れを地下に潜りこませる──。マカオのカジノには視界不良の闇の世界が広がっている。
▽日本のカジノにも大陸客がやってくる
・日本でも、一昨年末に「統合型リゾート(IR)整備推進法案」が成立し、現在はその候補地選定の段階まで議論が進んでいる。そんな日本にも、中国大陸からの多数の客が訪れ、独特なカジノ文化のみならず、地下経済化する独特な産業チェーンが“移植”されてしまうのだろうか。
・世界のカジノが、中国人を重要顧客に据えていることは言うまでもない。「ギャラクシー・マカオ」のプレーヤーも、75%が中国大陸からの客。シンガポールや韓国のカジノも大陸客がメインだ。そう考えると、日本のカジノも“ギャンブル好きな大陸客”を切り離して考えることはできないだろう。
・となると、次の段階では「カジノの中国化」が始まる可能性が出てくる。仮に大陸客がメインになれば、中国資本が参入して、飲食店には高級中華料理が並び、ショッピングセンターのテナントも高級腕時計や宝飾品などで埋められるだろう。日本では、100万円以上の現金などの持ち込みには税関への申告が必要になるため、水面下で“特殊な金貸し業”が発展することにもなりかねない。
・大枚を惜しみなくはたいて遊んでくれる上客を呼び込むため、その好みを反映した店づくりや街づくりになっていくのは必然で、気づいたときには後の祭り、景観すらガラリと変わっていた──。こうした悲劇は、前回の記事(「カジノ大盛況の裏で進むマカオの街並みと伝統産業の破壊」)でも述べたとおりで、カジノ空間はますます市民生活から乖離したものになっていく。
・10年以上前の話だが、筆者は極東ロシアのハサン地区にあるカジノ・ホテルを取材し宿泊したことがある。人口わずか3400人のさびれた街には観光資源はないが、なぜか週末は中国人の観光客でにぎわった。その目的は賭博だ。中国語も通じず人気のないこの辺境の地において、大陸からのカジノ客の面倒を見たのが中国系の旅行社だった。彼らが人を送り込み、現場をコントロールし、じめじめした暗いホテルを“中国人のための賭博場”に変えたのだ。
▽大陸客とカジノ依存の失敗
・さて、この話には続きがある。05年、中国政府が突如として海外賭博の規制強化に乗り出すと、このホテルは半ば営業停止状態に陥ってしまった。大陸客に依存度を深めたホテル経営や地元経済は、思わぬところでコケてしまったのである。
・それはマカオも同じだった。マカオ経済もカジノを主とした“単一”に近い産業構造に陥っており、倹約令の影響を被った14年は大量の失業者を出したという。マカオの弱みは、ほかでもない「カジノ依存」と「大陸客依存」である。
・マカオは観光資源に恵まれており、世界遺産の登録とともに、国際的にも地位の高い観光地になれたはずだ。だが、残念なことに今は質の高いツーリズムはほとんど期待できない。諸悪の根源をたどるならば、マカオが“国際化”を目指さずに“中国化”で妥協したためだといえる。 マカオは、地理的に中国大陸と隣接し、政治的にも中国の影響を大きく受けるため、日本とは条件が違う。だからといって、日本も決して楽観はできない。
・日本でも、大陸客がカジノの主役になることが避けられない可能性は高いが、マカオと同じ轍は踏むべきではない。IRの誘致に熱心な自治体は絞られてきたようだが、将来を見通した“想像力”が求められているといえる。
https://diamond.jp/articles/-/170322

第三に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が6月21日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「カジノ」が第二のモリカケ騒動になりそうな3つの理由」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・安倍首相が強行採決をしてまで進めたかったIR実施法だが、早くも甘い汁を吸えなかった人や権益争いに負けた人などが発信するスキャンダルが出てきそうな雲行きだ。第二のモリカケになってしまう可能性はかなり高いといえる。
▽本格的議論に至る前に スキャンダルが出そうなIR
・一昨日、マスコミが頑なに「カジノ法案」と連呼し続ける「IR実施法」が衆院を通過した。  このまま参院でも可決すれば、いよいよ本格的に自治体の招致レースがスタートする。これまで、どちらかといえばシラけていた一般市民の関心も徐々に高まってきているのか、「入場料6000円は高すぎ!」「ギャンブル依存症の対策もできてないのに急ぎすぎだろ」なんて激論がネット上でも交わされている。
・そういう”盛り上がりムード”に水を差すようで申し上げづらいが、残念ながら日本のIRはそういう本格的な議論をするのはまだ当面、先になるのではないかと見ている。 今の調子で進んでいけば、遅かれ早かれさまざまな「疑惑」が報じられ、「第二のモリカケ」なんて調子でマスコミと野党が大騒ぎして、スケジュールが暗礁に乗り上げるのが目に見えているからだ。
・ご存じのように、森友・加計学園問題にまつわる「疑惑」の追及はなんやかんやで、もう1年半も続いている。国民が忘れた頃に「こんな新証言が出てきました」みたいな感じで再燃して、「説明が違う」「忖度があったとしか思えない」という批判がエンドレスリピートされているのだ。
・一応正規の手続きを踏んだモリカケですらこれだ。これから「カジノ管理委員会」を設置して、事業者にライセンスを与えたり、誘致する自治体を決定して周辺への影響などに鑑みた細かい運用ルールを決めるなど、やることが山ほどあるIRで、もし同様の「疑惑」が報じられたら、幕引きまで2年越し、3年越しという長期戦になるの明らかだ。
・こじれにこれじれれば最悪、大阪府がソロバンを弾く「大阪万博とセットで2025年には開業」みたいなスケジュールも、ちゃぶ台返しでひっくり返る恐れがある。
▽第二のモリカケになりそうな3つの理由とは?
・なんてことを言うと、IRを誘致して地域活性化を目指している自治体や、日本版カジノを楽しみにしておられる方たちから「そういう不吉なことを言うな!」と怒声が飛んできそうだが、客観的に見れば、今のIRは「モリカケ騒動」をここまで泥沼の長期戦にさせたリスクファクターを、ほぼすべて持っている。それはザックリ言うと以下の3つである。
 1.「アベ友案件」の認定 
 2.甘い汁を吸えなかった人、省庁間の争いに敗れた人による「爆弾」
 3.許認可を受ける民間と、誘致したい自治体がタッグを組んで政治家に働きかける構図
・いったいどういうことか、一つずつご説明していこう。 まず、最初の《「アベ友案件」の認定》に関しては、既にネット上には「アベがカジノ法案を強行採決したのは、トランプへのご機嫌とりだ!」なんて主張が散見される。反安倍政権のみなさんは、「カジノ=アベ友案件」と断定しておられるのだ。
・根拠となっているのは、2017年2月に開催された日米首脳会談の後、全米商工会議所が主催する朝食会のなかに、トランプ大統領の強力支援者で多額の献金をしているシェルドン・アデルソン氏がいて、安倍首相に対してカジノ解禁の「陳情」をしたことだという。アデルソン氏といえば、米IRオペレーター、ラスベガス・サンズのCEO兼会長を務め、先ごろ米朝首脳会談前に金正恩氏が「視察」した巨大IR施設、マリーナベイ・サンズも手がける世界有数のカジノ王である。
・加計孝太郎氏から「晋ちゃん、獣医学部やりたいから規制緩和してよ」と安倍首相が頼まれたことが「事実」のように語られているのと同じで、トランプ・アデルソンコンビから「シンゾウ、カジノやりたいから法案通してよ」と頼まれた安倍首相が、「あいよ」と二つ返事で安請け合いした結果が、今回の法案通過だというのである。
▽あの池上彰氏も「トランプ案件」説を披露
・そんな証拠もないのにデマを広めるな、とご立腹される安倍首相の支援者も多いだろうが、モリカケ問題での安倍首相の釈明を、野党やマスコミが「信用できない」「納得がいかない」とハナから聞く気ゼロなことからもわかるように、疑惑ありきのストーリーが完成している場合、「証拠」など大した意味をなさないものだ。
・さらに、安倍信者の方たちには「ご愁傷様」としか言えないのは、世論に対する影響力バツグンのスーパースターまで、このストーリーを支持されていることだ。さまざまな複雑な事象をわかりやすく教えてくれる「池上解説」でおなじみのジャーナリスト、池上彰氏である。
・文春オンラインの「政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説」するという連載、「WEB版 悪魔の辞典」で今月19日、《「カジノで日本再興?」何が何でも“カジノ法”を通したい安倍政権のホンネ カジノ法【かじのほう】》として、以下のようにこうチクリとやっているのだ。「ギャンブル依存患者が出てもトランプ大統領の支持組織を儲けさせて依頼を実現させようという壮大な計画」。
・日本で一番信頼されるジャーナリストがこうおっしゃっているなかで、国内で3箇所予定されているIRのひとつに、ラスベガス・サンズが選ばれたら…?どんな世論が巻き起こるかは、言うまでもない。
・もちろん反論も出るだろう。池上解説を否定するつもりはないが、今回、強行採決したと騒がれている「IR実施法」は、2016年12月に成立したプログラム法「IR推進法」とワンセットで、そのなかには「必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない」とある。要するに、今回の「強行採決」は推進法が通った時点で決まっていた話なのだ。
・トランプもぶっちゃけあまり関係ない。安倍政権が「IR」を前面に押し出しはじめたのは2013年で、トランプはまだ「お前はクビだ!」と騒ぐTVタレントだった。 米カジノ業者の日本に対するロビイングはさらに古く、石原都政時代の「お台場カジノ」まで遡る。そういう長きにわたる「外圧」を安倍政権は2013年からモロに受けてきた。そこへトランプがたまたま合流しただけだ。事実、2016年にIR推進法を通過させようと躍起になっていた時期、安倍首相が面会したのは、当時は「泡沫候補」と目されていたトランプではなく、ヒラリー・クリントンだった。
・つまり、トランプからの「依頼」があってもなくても、もともと安倍政権にとって「カジノ解禁」は強行採決しなくてはいけない案件だったのだ。
▽厳しい参入障壁を設けるから あぶれた業者の恨みを買いやすい
・ただ、ただ、いくら必死にそういう反論をしたところで”ブツ”が出れば、第二のモリカケになるのは確実だ。「朝日新聞」あたりが「総理のご意向」文書のようなノリで、アデルソン氏に対する「忖度」を連想させる内部資料や「メモ」でも引いてくれば、「日米を揺るがすIR大疑獄事件」の一丁上がり、である。
・おいおい、いくらなんでもそんな強引な話が大スキャンダルにはならないだろ、と思うかもしれない。もちろん、この程度の疑惑ならばせいぜい、ひと月程度、ワイドショーを騒がすくらいだろう。 ただ、IRの場合は、モリカケのようにひとつ悪い話が出てくると、それに触発されるような形でバタバタッとドミノ倒しのように新たな爆弾証言がでてくる可能性がある。
・それが2番目のリスクファクターである《甘い汁を吸えなかった人、省庁間の争いに敗れた人による「爆弾」》だ。 実施法のなかで「世界最高水準の規制」とうたわれているように、カジノ事業者にライセンスを付与する際には、かなり厳しい審査がおこなわれる。海外の例では、代表者の個人口座まで調べられ、反社会勢力との交際も厳しくチェックされる。もちろん、カジノ運営の実績も考慮されるので、日本のパチンコメーカーが「ウチもスロット置いてるんで」といったノリで気軽に参入できるような産業ではない。
・こういう話がより具体的になってくると、これまで安倍首相やらその周辺に接近し、どうにかこの「IRバブル」に乗っかろうと媚を売ってきた事業者のなかでも、「あれ?これってもしかしてウチは参入できないんじゃない」と気づき始める。
・そうなると、これまで安倍政権支援に注いできた人的・金銭的なリソースはすべてパアである。ことあるごとに安倍首相を持ち上げて、昭恵夫人を名誉校長にまでしたのに学校の認可が下りなかった籠池さんのように、「裏切られた」と感じて、反安倍の動きに合流する、という人が出てもおかしくはない。 つまり、IR利権に加わることができなかった関係者からの「不正告発」が予想されるのだ。
▽「第二の前川喜平」もあり得る 週刊誌の醜聞取材も進行中!?
・さらに言ってしまえば、文科省元事務次官の前川喜平さんのように、霞が関官僚からの「内部告発」も予想される。 加計学園問題で、なぜ前川さんが「行政が歪められた」と怒っているのかというと、それまで文科省が守ってきた獣医学部新設に関する岩盤規制を、安倍政権が国家戦略特区という飛び道具で打ち破ってしまったからだ。
・官僚は基本的に政治家はバカだと思っていて、自分たちよりも「下」に見ている。そういう人たちにテリトリーを侵されることは、耐え難い屈辱である。教育行政のなにもわからぬバカが勝手に物事を決めやがって。そんな憤りが、「行政を歪められた」という恨み節につながるのだ。そういう意味では、安倍政権がリーダーシップをとって進めているIRは、行政を歪める最たるものだ。「日本をよき方向へ導いているのは我々だ」と自負する霞ヶ関エリートからの猛反発がくるのは間違いない。
・また、モリカケ問題では、文科省が政府を刺し、愛媛県が政府を刺し、国交省が財務省を刺し――というようなバトルが繰り広げられていることからもわかるように、IRでも激しい省庁間の刺し合いが予想される。
・「カジノ」という日本で初めて誕生する巨大利権を巡って、治安面では警察、ギャンブル依存症対策では厚生労働省、IR施設の管轄は国土交通省、ライセンス付与するカジノ管理委員会は内閣府、そして誘致を目論む自治体など、さまざまなプレーヤーが入り乱れ、すでに水面下で主導権争いをしているからだ。
・その争いに敗れた者が、前川さんよろしく「正義の告発者」としてマスコミに登場する可能性はかなり高いと思っている。 モリカケ問題がここまで大ブレイクした要因に、「告発者」があることに異論を唱える方はいないのではないか。森友学園では籠池泰典・前理事長、加計学園では前川喜平・前文科事務次官らの「爆弾証言」を野党が国会で突きつけ、飽きの早いはずのマスコミが「正義の人」と持ち上げて延々と取り上げたことで「長寿コンテンツ」となったのである。IRも同じコースを歩む可能性は高い。
・そして、3番目のリスクファクター《許認可を受ける民間と、誘致したい自治体がタッグを組んで政治家に働きかける構図》については、既にその兆しが見えつつある。「○○砲」でおなじみの某週刊誌などが、IR事業者と政治家のスキャンダルをつかんで、調査をおこなっているという情報があるのだ。
▽許認可ビジネスに政治家との接触は付きものだが…
・こういう話は今後ボロボロ出てくる。 モリカケ問題もそうだが、国から許認可を受ける民間企業というのは、どうしても政治にすり寄らざるを得ない。大物政治家のパーティや朝食会に行けば、錚々たる企業の関係者や、その「代理人」のような怪しげな人々が、顔の筋肉だけで笑って集っている。
・みな籠池さんのように、「安倍」という名前を出せれば、何か有利に事が運ぶのではないか、という淡い期待を抱いて、時の権力との距離を詰める。それはIR事業者もなんら変わらない。既に国会では共産党が、IR推進法を提出した自民党や日本の維新の会所属の国会議員に対して、参入を目指す企業から献金が行われていたことを取り上げたこともあるが、そういうアプローチはほかにも山ほどある。
・政治家も、人に会って陳情を受けるのが仕事なので、それを拒むわけにはいかない。筆者のような外部の人間にすら、「議員の誰それさんとIR事業者が会食をした」なんていうウワサが、ちょこちょこと聞こえてくる。
・このような状況なので、政府中枢の人物や、安倍側近が「IR事業者と癒着」みたいな報道が近い将来、なされる可能性はかなり高いと思っている。安倍首相が採決を強行してまで進めたかったIRは、プロジェクトが前進するどころか、モリカケをさらにパワーアップさせた「終わりの見えない疑惑追及劇」の引き金になるかもしれない。
https://diamond.jp/articles/-/172927

第一の記事で、 『秋の米中間選挙に間に合わせる』、どうりで、衆院で強行採決、さらに参院審議のため、森友・加計問題からは本来やりたくない会期延長をしてまで、成立させようとする理由が分かった気がする。 『加えて許し難いのが、カジノ実施法案の中身が米カジノ企業の意向で「修正」されていることだ。今年2月に与党に示した政府案では、一施設あたりのカジノ区域を1万5000平方メートルとする上限規制があった。これに、ラスベガス・サンズ幹部のタナシェビッチ氏が「経済効果を抑制する」とすぐさま猛反発。果たして、今国会の提出法案では「1万5000平方メートル」の上限規制はバッサリ削られている』、このような細目にまで口を挿んでくるとは、ラスベガス・サンズも本腰が入っているようだ。
第二の記事で、 『近年の世界の潮流は、「脱賭博」である。マカオ政府も「賭博イメージ」の払拭に努めており、マカオのカジノ産業全体が「非カジノ」に力を入れざるを得なくなっている。統合型リゾート(IR)とは、“カジノ臭さ”を消すための一つの手段だが、隆盛を極めたマカオのカジノ業界も転換期を迎え、IRという「新たな方向性」を模索するようになった』、これで日本でもIR法案とされる理由の一端が理解できた。ただ、『マカオを訪れる観光客を包囲するのはカジノであり、本来主流であるはずの世界遺産巡りはほんの“おまけ”に過ぎない』、やはりキレイゴトでは済まないようだ。 『大陸のVIP客は現金を持ってこないため、マカオでは貸金業が発達している。また、マカオに持ち込める現金に制限(2017年11月からは12万パタカ以上の現金の持ち込みは申告が必要)があるため、大陸客は宝飾品店や質屋で銀聯カードを使って高額品を購入し、それを売却する形で“プレー代”となる現金を手に入れる。街中にはこうした店が至る所にあるが、マネーロンダリングの温床にもなってきた』、パチンコの景品交換などのみみっちい規模でなく、大規模に行われるのであれば、マネロン規制は本腰を入れるべきだろう。 『日本でも、大陸客がカジノの主役になることが避けられない可能性は高いが、マカオと同じ轍は踏むべきではない』、というのはその通りだ。
第三の記事では、『「トランプ案件」説』、には否定的なようだが、当初は維新を憲法改正で巻き込むためだったのが、トランプが大統領になってからは、トランプ案件」色が強くなったと考えるべきなのではなかろうか。 『政府中枢の人物や、安倍側近が「IR事業者と癒着」みたいな報道が近い将来、なされる可能性はかなり高いと思っている。安倍首相が採決を強行してまで進めたかったIRは、プロジェクトが前進するどころか、モリカケをさらにパワーアップさせた「終わりの見えない疑惑追及劇」の引き金になるかもしれない』、何が出てくるのか、今後が大いに楽しみだ。
タグ:日刊ゲンダイ (その4)(強行採決狙うカジノ法案 裏に安倍首相とトランプの“密約”、中国大陸客に乗っ取られたマカオ 日本のカジノも同じ轍か、「カジノ」が第二のモリカケ騒動になりそうな3つの理由) (統合型リゾート(IR)法案) カジノ解禁 「強行採決狙うカジノ法案 裏に安倍首相とトランプの“密約”」 安倍首相が今国会での成立に鼻息が荒いのは、トランプ大統領との“密約”があるからだ トランプは今、劣勢が伝えられる秋の中間選挙に向け、アデルソン氏の大きな援助が必要なのだ アデルソン氏が中間選挙で3000万ドル(約33億円)もの資金協力をすると報じられています。日本のカジノ解禁を確信してのことでしょう」 許し難いのが、カジノ実施法案の中身が米カジノ企業の意向で「修正」されていることだ。今年2月に与党に示した政府案では、一施設あたりのカジノ区域を1万5000平方メートルとする上限規制があった。これに、ラスベガス・サンズ幹部のタナシェビッチ氏が「経済効果を抑制する」とすぐさま猛反発。果たして、今国会の提出法案では「1万5000平方メートル」の上限規制はバッサリ削られている 姫田小夏 ダイヤモンド・オンライン 「中国大陸客に乗っ取られたマカオ、日本のカジノも同じ轍か」 マカオのカジノ産業も近年、逆風にさらされている。習近平政権の倹約令とともに、カジノの重要資金源ともいわれた中国の公務員、つまりVIP顧客が姿を消したからだ 近年の世界の潮流は、「脱賭博」である。マカオ政府も「賭博イメージ」の払拭に努めており、マカオのカジノ産業全体が「非カジノ」に力を入れざるを得なくなっている 統合型リゾート(IR)とは、“カジノ臭さ”を消すための一つの手段だが、隆盛を極めたマカオのカジノ業界も転換期を迎え、IRという「新たな方向性」を模索するようになった 依然として、マカオを訪れる観光客を包囲するのはカジノであり、本来主流であるはずの世界遺産巡りはほんの“おまけ”に過ぎない 大陸のVIP客は現金を持ってこないため、マカオでは貸金業が発達している また、マカオに持ち込める現金に制限(2017年11月からは12万パタカ以上の現金の持ち込みは申告が必要)があるため、大陸客は宝飾品店や質屋で銀聯カードを使って高額品を購入し、それを売却する形で“プレー代”となる現金を手に入れる。街中にはこうした店が至る所にあるが、マネーロンダリングの温床にもなってきた 日本でも、大陸客がカジノの主役になることが避けられない可能性は高いが、マカオと同じ轍は踏むべきではない 窪田順生 「「カジノ」が第二のモリカケ騒動になりそうな3つの理由」 第二のモリカケになりそうな3つの理由とは? 「アベ友案件」の認定 甘い汁を吸えなかった人、省庁間の争いに敗れた人による「爆弾」 許認可を受ける民間と、誘致したい自治体がタッグを組んで政治家に働きかける構図 今回の「強行採決」は推進法が通った時点で決まっていた話なのだ ・トランプもぶっちゃけあまり関係ない。安倍政権が「IR」を前面に押し出しはじめたのは2013年で、トランプはまだ「お前はクビだ!」と騒ぐTVタレントだった 政府中枢の人物や、安倍側近が「IR事業者と癒着」みたいな報道が近い将来、なされる可能性はかなり高いと思っている。安倍首相が採決を強行してまで進めたかったIRは、プロジェクトが前進するどころか、モリカケをさらにパワーアップさせた「終わりの見えない疑惑追及劇」の引き金になるかもしれない
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