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司法の歪み(その8)(小田嶋 隆氏:21世紀のオウム報道から消えたもの) [社会]

司法の歪みについては、5月10日に取上げた。今日は、(その8)(小田嶋 隆氏:21世紀のオウム報道から消えたもの)である。

コラムニストの小田嶋 隆氏が7月13日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「21世紀のオウム報道から消えたもの」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/071200151/?P=1
・『テレビの番組が提供しているオウム事件の概要説明に納得できなかったということだ。 だか具体的にどこに奇妙さを感じるのかというと、たとえば、オウム真理教が史上稀に見る凶悪犯罪集団であり、常人には理解不能なドグマを奉じる狂信者の集団だったという感じの決めつけ方が、すでにしておかしい。  オウムは、やってのけたことから逆算すれば、なるほど異常な狂信者集団だったには違いない。 しかしながら、彼らがわれわれの視野に入った最初の時点から、危険極まりないカルトとして扱われていたのかというと、そんなことはない。ら、これ以上自分を不快な気持ちにさせないために視聴を断念した。それだけの話だ・・・私は、自分がもはやこの種のニュースには動揺しないだろうと思っていたその予断が裏切られたことにわがことながら驚き、そしてなんだかわけもわからず腹を立てていた。 そんなふうに自分の心の動揺に対して素直になれないことも含めて、オウム事件は、私の世代の人間にとって特別な出来事だったのだろう』、私は小田嶋氏よりひとまわり上の世代で、当時は同じように衝撃を受けた。しかし、物忘れが早く、余り突き詰めて考えないこともあって、今回の報道で違和感を覚えるようなこともなかった。しかし、以下の小田嶋氏の指摘には、なるほどこんなこともあったと思い出し、共感できる部分も多い。
・『テレビカメラを向けられた状態で、10秒以内のコメントを求められるスタジオ内の仕事に限って申し上げるなら、・・・こういう時に、適切なワンフレーズのコメントを供給するためには、クリシェ(紋切り型・常套表現)の力を借りなければならない。つまり「自分がどう考えているのか」よりは、「こういう場合はどんなふうに答えておくのが相場であるのか」に沿って一口サイズの鵜呑み用コメントを並べにかかるのが、コメント供給業者の現場感覚だということだ。 この世界で起こる問題の多くは、一言で要約できる形式に沿う形で勃発しているわけではない。むしろ、それらの問題は、わかりやすい感想になじまない謎を含んでいるからこそ大きなニュースになっている。とすれば、その種の厄介な事件に、とりあえずの添え物として付加されているワンフレーズのコメントは、雑な仕事である以上に、ほとんどウソなのである』、というのは手厳しいが、妥当な批判だ。
・『本来、100年からの時を隔てないと表面化しないと思われていた歴史の描写と実感の乖離が、たったの25年で生じるようになっている。その結果、45歳以上の人間は、自分にとっては生身の「実体験」であったオウム関連の一連の出来事が、各種ニュースメディアによって「歴史」として記述されている場面に出くわすと、どうしても「ウソ」の匂いを嗅ぎ取らずにおれない。オウム事件に限らず、実際に自分が体験として知っていた出来事について、ウィキペディアから引っ張ってきたみたいな解説を並べられると、それを見せられた人間は、眉にツバをつけたくなる。これは極めて自然な感情だ』、すると、さしずめ「ウソ」の匂いを嗅ぎ取れなかった私は、自らの記憶力の弱まりを認識すべきなのかも知れない。
・『具体的にどこに奇妙さを感じるのかというと、たとえば、オウム真理教が史上稀に見る凶悪犯罪集団であり、常人には理解不能なドグマを奉じる狂信者の集団だったという感じの決めつけ方が、すでにしておかしい。 オウムは、やってのけたことから逆算すれば、なるほど異常な狂信者集団だったには違いない。 しかしながら、彼らがわれわれの視野に入った最初の時点から、危険極まりないカルトとして扱われていたのかというと、そんなことはない』、言われてみれば、その通りで、漸く、思い出した。
・『彼らがテレビ各局のスタッフに比較的あたたかく迎えられていたのは、オウムの幹部が高い学歴の持ち主であったこととおそらく無縁ではない。しかも、彼らの弁舌は、われわれがイメージする凝り固まったカルト信者とは一線を画するものだった。表面的には筋道だって見える論理とそれなりの柔軟さと、時にはユーモアさえ感じさせる十分に知的な話しぶりだったと言って良い。ということは、彼らは、はじめからテレビ向きだったのだ』、たしか、広報担当の上祐氏は、弁舌鋭く、「ああ言えば上祐」なる言葉まで生んでいた、のまで思い出した。
・『彼らが不思議な面白い人たちだったのではない。彼らがそんなふうに見えていたのは、わたくしども世間一般の野次馬の側の視線の置き方が、一貫していいかげんで不徹底で興味本位だったことの反映に過ぎない。 要するにわれわれは、最後の最後の、本当の正体が割れる寸前の段階まで、バカな野次馬だったのである。 テレビは、かなりの段階に至るまで、一方的な断定を避ける形で、彼らをやんわりと揶揄しつつ、容認していた。おそらく、テレビが彼らに甘かった理由は、視聴者たるわれわれが、彼らのおおむね奇矯でありながら、ときに驚くほど鋭くみえる言葉を投げかけてくる存在感に、魅力を感じていたからで、つまるところ、彼らには「需要」があったのだ。 オウムの事件があれほどまでに深くわれわれの心を揺さぶったのは、オウムが異常だったからではない。 むしろ彼らが身近だったからだ。 自分自身と地続きの、ちょっと変わった若者たちに過ぎない彼らが、フタを開けてみたら、あれほどまでに驚天動地の犯罪を犯していたということのもたらした恐怖が、あの事件の根本的な驚きだった』、事件発覚後の我々一般庶民の驚きを、見事に解説してくれた。
・『21世紀のオウム報道の中では、そうした部分(オウムの若者たちが、当時の一般の若者たちと地続きであったということ)が、まるっきり省略されてしまっている。 その風化の早さには慄然とせざるを得ない』、言われてみると、強く同感する。
・『もうひとつ、オウムが残した影響のひとつに、偏差値信仰の相対化ということがあったと思う。 名だたる学歴エリートが雁首を揃えてあのバカバカしい陰謀論にハマっていたことを知ったことで、偏差値や学歴といったあたりのタームについて、世間の目が醒めた部分があって、良い意味でも悪い意味でも、彼らが既存の信仰をぶち壊したことの影響は現在に及んでいる・・・AO入試や推薦入学による大学進学者の比率が増えたことも・・・』、確かに思い出した。
・『オウムの失敗は、人それぞれの中にある乱雑な思考に統一的な秩序をもたらそうとしたところにあったはずで、私がオウムのような思想にハマらずに済んだのは、支離滅裂を維持できているからでもあるのだろう・・・私は、おそらくオウムを一生涯理解できないと思う。その点についてはありがたいと思っている』、さすがに上手い締めだ。
タグ:21世紀のオウム報道の中では、そうした部分(オウムの若者たちが、当時の一般の若者たちと地続きであったということ)が、まるっきり省略されてしまっている。 その風化の早さには慄然とせざるを得ない 私は、おそらくオウムを一生涯理解できないと思う。その点についてはありがたいと思っている AO入試や推薦入学 適切なワンフレーズのコメントを供給するためには、クリシェ(紋切り型・常套表現)の力を借りなければならない。つまり「自分がどう考えているのか」よりは、「こういう場合はどんなふうに答えておくのが相場であるのか」に沿って一口サイズの鵜呑み用コメントを並べにかかるのが、コメント供給業者の現場感覚だということだ 10秒以内のコメントを求められるスタジオ内の仕事に限って申し上げるなら 彼らがわれわれの視野に入った最初の時点から、危険極まりないカルトとして扱われていたのかというと、そんなことはない オウム真理教 歴史の描写と実感の乖離が、たったの25年で生じるようになっている 要するにわれわれは、最後の最後の、本当の正体が割れる寸前の段階まで、バカな野次馬だったのである オウムの事件があれほどまでに深くわれわれの心を揺さぶったのは、オウムが異常だったからではない。 むしろ彼らが身近だったからだ。 自分自身と地続きの、ちょっと変わった若者たちに過ぎない彼らが、フタを開けてみたら、あれほどまでに驚天動地の犯罪を犯していたということのもたらした恐怖が、あの事件の根本的な驚きだった 「21世紀のオウム報道から消えたもの」 司法の歪み 各種ニュースメディアによって「歴史」として記述されている場面に出くわすと、どうしても「ウソ」の匂いを嗅ぎ取らずにおれない オウム真理教が史上稀に見る凶悪犯罪集団であり、常人には理解不能なドグマを奉じる狂信者の集団だったという感じの決めつけ方が、すでにしておかしい 彼らがテレビ各局のスタッフに比較的あたたかく迎えられていたのは、オウムの幹部が高い学歴の持ち主であったこととおそらく無縁ではない。しかも、彼らの弁舌は、われわれがイメージする凝り固まったカルト信者とは一線を画するものだった。表面的には筋道だって見える論理とそれなりの柔軟さと、時にはユーモアさえ感じさせる十分に知的な話しぶりだったと言って良い。ということは、彼らは、はじめからテレビ向きだったのだ ワンフレーズのコメントは、雑な仕事である以上に、ほとんどウソなのである オウムが残した影響のひとつに、偏差値信仰の相対化 彼らが不思議な面白い人たちだったのではない。彼らがそんなふうに見えていたのは、わたくしども世間一般の野次馬の側の視線の置き方が、一貫していいかげんで不徹底で興味本位だったことの反映に過ぎない 小田嶋 隆 日経ビジネスオンライン オウムの失敗は、人それぞれの中にある乱雑な思考に統一的な秩序をもたらそうとしたところにあったはずで、私がオウムのような思想にハマらずに済んだのは、支離滅裂を維持できているからでもあるのだろう (その8)(小田嶋 隆氏:21世紀のオウム報道から消えたもの)
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英語(その2)(記者が見た!「ゆるい」英語公用化の現場 社員の英語力は全国平均以下でも「成功」のワケ、さらば「英語を勉強」こんにちは「英語で勉強」 グローバル時代に戦える人材の「英語力育成」、「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策 グローバル時代の英語教育は一つしかない) [社会]

英語については、昨年12月21日に取上げた。今日は、(その2)(記者が見た!「ゆるい」英語公用化の現場 社員の英語力は全国平均以下でも「成功」のワケ、さらば「英語を勉強」こんにちは「英語で勉強」 グローバル時代に戦える人材の「英語力育成」、「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策 グローバル時代の英語教育は一つしかない)である。

先ずは、昨年12月11日付け日経ビジネスオンライン「記者が見た!「ゆるい」英語公用化の現場 社員の英語力は全国平均以下でも「成功」のワケ」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/113000186/121500005/
・『業務用バーコードプリンターの国内最大手サトーホールディングス(HD)は、2020年に英語を社内公用語にする。松山一雄社長がそう宣言したのは2013年。今では経営会議は一部英語で行い、社員の英語能力テストの平均点は16%上昇した。 同社の英語公用化の特徴は、「ゆるさ」。英語力を昇進や評価の目安にも基準にもしていない。英語公用化が業績に本当に寄与するのかもわからない』、英語公用語化を肩ひじ張った形ではなく、同社のように「ゆるい」形で推進するというのは、面白い試みだ。
・『定例経営会議・・・会議冒頭・・・訓示はさらっと英語で始まる。出席者の中には、用意された同時通訳イヤホンをしている人もいるが、そのまま聞いている人もいる。松山社長は英語で約5分話し、「それでは日本語にします」と切り替えて会議が進んだ』、同時通訳もあるとは用意周到だ。
・『サトーHDは、業務用バーコードプリンターの国内最大手だ。海外にも進出しており、海外売上高比率は4割弱ある。同社は2013年、海外展開を加速するために2020年までに英語を社内の公用語にすると宣言。定例の経営会議では、自分のプレゼン前に英語でのスピーチを義務付けている。現場を含む全日本人社員に英語習得を要請するなか、経営陣が率先して身に着けるという意思表示でもある』、経営会議では、自分のプレゼン前に英語でのスピーチを義務付けているとは大したものだ。
・『サトーHDが社員に課す目標は日本英語検定協会などが開発したテストの「CASEC」で571点以上。TOEICだと500点程度で、TOEIC受験者の全国平均よりも低い。ロバート・クー英語推進グループ長は「現実的な目標を掲げて、やる気をそがないようにしている」と話す。 目標は2000人の全社員が2020年までにCASEC571点以上を取得すること。そのために13年8月、社員の英語学習を支援する専門部署「英語推進グループ」を立ち上げた。メンバーはクー・グループ長以下、インターンシップの学生を入れて4人だ』、点数目標は高くなくても、英語推進グループを立ち上げるとは本腰が入っているようだ。
・『この英語推進グループが中心となって、全社員に英語学習を促しているのだが、学習の手法は現場に多くを委ねている。実際、英語学習計画は拠点ごとに異なる。集まる社員の属性も勤務体系も拠点によって違うからだ』、という地道な方法は好感が持てる。
・『サトーHDが英語公用語化を宣言してから丸5年たち、平均点は上がったものの、まだ目標には達してない。松山社長は「業績と社員の英語力の関係は多分、いつまでたってもわからないだろう」と打ち明ける。 それでも、英語公用化がもたらすメリットへの期待は大きい。例えば、進出国には東南アジアのタイやベトナムなどや、南米のブラジルやアルゼンチンなどもある。こうした非英語圏の国々の拠点が、公用語化である英語を使って成功事例などの情報を共有しやすくなるかもしれない。そうなれば、社内のコミュニケーションは今以上に活性化され、サトーグループとしての一体感が増すかもしれない。そう松山社長は考えている。 英語公用化が業績拡大に直結するかわからないのなら、松山社長が言うように、公用化の目的を「社内の一体感の醸成」に置くもの1つの道だ。その場合、英語を「話せる」「話せない」という違いで社内の分断を招かないように、英語活用は「ゆるい」ほうがいいのかもしれない』、確かにその通りなのかも知れない。

次に、上智大学教授の池田 真氏が7月6日付け東洋経済オンラインに寄稿した「さらば「英語を勉強」こんにちは「英語で勉強」 グローバル時代に戦える人材の「英語力育成」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/amp/227926
・『海外で生活を送った子どもは、なぜ英語ができるようになるのか。英語圏に住むからだろうか?そうではない。学校で英語を使って学ぶからである。 筆者はロンドンに2度住み、子どもを現地の小学校と中学校に通わせた。小学校は英国国教会系の公立校で1~2年生を過ごした。職業柄、日本人の子どもがどのように英語を習得するのかに興味があったので、ことあるごとに観察していた。 それでわかったのは、各教科の授業を通して英語に触れている時間が圧倒的に長く、言葉の種類が多様で密度も高いのに対して、休み時間や遊びは量的にも質的にも劣ることであった』、確かに授業では言葉の種類が多様で密度も高いのはその通りなのだろう。
・『欧米の学校やそれに類するカリキュラムを採用している学校は、日本が導入しようとしている、いわゆる「アクティブ・ラーニング」・・・で授業が行われている。目指すところは、コンテンツ(科目知識)を活用したコンピテンシー(汎用能力)の育成である。 つまり、しかるべき方法論で教えられる教科科目を英語で学ぶことにより、語学力とともに汎用能力(知識活用力、批判的思考力、問題設定・解決力、創造力、協働力、異文化受容力など)も養成されるのである』、なるほど。
・『ヨーロッパの学生は、一定の長さで、具体的に、独自のアイディアや意見を堂々と述べる。それに対して、日本の大学生の発言は、自主的に発言して授業に貢献するという意識がないうえ、何か言うにしても、たとえ母語であれ、一様に短く、説明不足で、具体性がなく、面白味や独創性がない。 その原因は、歴史や文化に根差す国民性や意思疎通のあり方もあろうが、直接的には受けてきた教育の違いに行き当たる。その結果、異なるバックグラウンドを持つ人々と英語で協働したり競争したりする際に、前提となる資質・能力が違うため、支障や不利益が生じてしまう。 そのことを認識していないと、グローバル化がますます進行する近未来において、日本人にとって大きなディスアドバンテージとなる』、との危機感は理解できる。
・『英語教育の最先端の方法論に「内容言語統合型学習」・・・という教育法がある。 ここでいう「内容」とは、社会や理科などの一般教科や、環境問題や人権といった科目横断型テーマのことであり、「言語」とは外国語(実質的には英語)のことを指す。 ただ、統合されるのはこの2つだけではない。思考力(特に分析・評価・創造といった高次思考力)と文化(共同学習および国際意識)も加わる。  つまり、内容(Content)、言語(Communication)、思考(Cognition)、文化(Culture)という「4つのC」を意図的かつ有機的に組み合わせて授業を設計し、世界で共有されている効果的指導技法を駆使して教える。 そうすることで、高密度で高品質な教育を実現するのである』、なるほど。
・『日本でも起きつつある英語教育の新潮流』、詳細は次回のようだが、期待できる潮流だ。

第三に上記記事の続き、7月10日付け東洋経済オンライン「「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策 グローバル時代の英語教育は一つしかない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/228275
・『理科や社会、体育など、別の教科を英語で学ぶ英語教育の最先端理論「CLIL(内容言語統合型学習)」には、2つのタイプがある。 1つは、英語教育の一貫として語学教師が教科内容的なものを授業で使う「弱形」。もう1つは、一般教科教育として各科目の教員が、時に英語教師の助けを借りながら、自らの科目を英語で教える「強形」である。 日本では今のところ前者が多く、個人レベルで英語の授業に取り入れている小中高大の先生方は全国に何百人もいる』、というのは心強い話だ。
・『一方、ここ数年の動きとしては、プロトタイプである「強形」の実践が広まっている。 2020年に大きく改訂される「次期学習指導要領」では、他教科の学習内容を言語活動に活用することに言及しているため、各社の英語検定教科書には、扱いの違いこそあれCLIL的なものが入ってくるだろう。 すでに取り組んでいる学校も。「強形」の実践が広まる中、1科目ないし数科目をCLILで教える学校が私立校を中心に増えている』、やはり教師の質がものをいうだけに、私立校が中心にならざるを得ないのだろう。
・『現場の声に耳を傾けると、生徒からも教師からも、「教科を英語で学ぶ意味がわからない」という声が常に出る。確かに、母語が日本語である場合には、日本語で勉強したほうが効率的だし、細かく深いところまで網羅できる。 それに対してはこう答えられる。 英語で何かを本気で学んだことがある人ならば、時間をかけて考えながら読んだり書いたりすることで、しっかりと知識が定着するという経験をしたことがあるだろう・・・重要なのは新しい知識を英語で仕入れ、それについて考え、話しあったり文章にまとめるという学習プロセスである。 なぜなら、それは、社会に出て英語で仕事をする際の認知プロセス――仕事上の最新情報を英語で入手し、それを基にさまざまな言語背景を持つ人々と英語で考えディスカッションをし、英語でのプレゼンやレポートにまとめる――と全く同じだからである』、なるほど。
・『このような学習転移のプロセスは、「転移適切処理」という仮説によって説明される。 それによると、学習の成果が最も出やすいのは、学んでいる際の脳の処理プロセスと実際に使う際のそれが近い時であるとされる。これは受験英語がなぜコミュニケーションに役立たないかの説明でよく使われる。 すなわち、単語を覚え、文法を理解し、日本語を英語に訳すという学習は、和文英訳対策としては有効だろうが、英語で効果的なメールを書くことには直接は役立たない。 取り組む活動の違いもさることながら、学習時の思考と使用時の思考が異なるからである。 それに対してCLILでは、教室における学習時の思考プロセスと、社会における使用時の思考プロセスが一致する。ゆえにグローバル社会で使える英語が育つというわけである』、説得力ある説明だ。
・『従来の英語教育の上にCLILを加える――。世界と社会のグローバル化に対応する英語教育は、これしかない』、には強く同意したい。
タグ:池田 真 同時通訳イヤホン 英語を「話せる」「話せない」という違いで社内の分断を招かないように、英語活用は「ゆるい」ほうがいいのかもしれない 訓示はさらっと英語で始まる 定例経営会議 同社の英語公用化の特徴は、「ゆるさ」。英語力を昇進や評価の目安にも基準にもしていない 2020年に英語を社内公用語にする。松山一雄社長がそう宣言したのは2013年。今では経営会議は一部英語で行い、社員の英語能力テストの平均点は16%上昇した サトーホールディングス 「記者が見た!「ゆるい」英語公用化の現場 社員の英語力は全国平均以下でも「成功」のワケ」 日経ビジネスオンライン (その2)(記者が見た!「ゆるい」英語公用化の現場 社員の英語力は全国平均以下でも「成功」のワケ、さらば「英語を勉強」こんにちは「英語で勉強」 グローバル時代に戦える人材の「英語力育成」、「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策 グローバル時代の英語教育は一つしかない) 英語 英語公用化がもたらすメリットへの期待は大きい。例えば、進出国には東南アジアのタイやベトナムなどや、南米のブラジルやアルゼンチンなどもある。こうした非英語圏の国々の拠点が、公用語化である英語を使って成功事例などの情報を共有しやすくなるかもしれない。そうなれば、社内のコミュニケーションは今以上に活性化され、サトーグループとしての一体感が増すかもしれない 学習の手法は現場に多くを委ねている。実際、英語学習計画は拠点ごとに異なる。集まる社員の属性も勤務体系も拠点によって違うからだ 社員の英語学習を支援する専門部署「英語推進グループ」を立ち上げた 社員に課す目標は日本英語検定協会などが開発したテストの「CASEC」で571点以上。TOEICだと500点程度で、TOEIC受験者の全国平均よりも低い 定例の経営会議では、自分のプレゼン前に英語でのスピーチを義務付けている 海外売上高比率は4割弱ある 業務用バーコードプリンターの国内最大手 松山社長は英語で約5分話し、「それでは日本語にします」と切り替えて会議が進んだ 従来の英語教育の上にCLILを加える CLILでは、教室における学習時の思考プロセスと、社会における使用時の思考プロセスが一致する。ゆえにグローバル社会で使える英語が育つというわけである 学習の成果が最も出やすいのは、学んでいる際の脳の処理プロセスと実際に使う際のそれが近い時であるとされる。これは受験英語がなぜコミュニケーションに役立たないかの説明でよく使われる 学習転移のプロセスは、「転移適切処理」という仮説によって説明 重要なのは新しい知識を英語で仕入れ、それについて考え、話しあったり文章にまとめるという学習プロセス 英語で何かを本気で学んだことがある人ならば、時間をかけて考えながら読んだり書いたりすることで、しっかりと知識が定着するという経験をしたことがあるだろう 「教科を英語で学ぶ意味がわからない」という声が常に出る ここ数年の動きとしては、プロトタイプである「強形」の実践が広まっている。 2020年に大きく改訂される「次期学習指導要領」では、他教科の学習内容を言語活動に活用することに言及しているため、各社の英語検定教科書には、扱いの違いこそあれCLIL的なものが入ってくるだろう。 すでに取り組んでいる学校も。「強形」の実践が広まる中、1科目ないし数科目をCLILで教える学校が私立校を中心に増えている 日本では今のところ前者が多く、個人レベルで英語の授業に取り入れている小中高大の先生方は全国に何百人もいる 1つは、英語教育の一貫として語学教師が教科内容的なものを授業で使う「弱形」。もう1つは、一般教科教育として各科目の教員が、時に英語教師の助けを借りながら、自らの科目を英語で教える「強形」である 理科や社会、体育など、別の教科を英語で学ぶ英語教育の最先端理論「CLIL(内容言語統合型学習)」には、2つのタイプがある 「「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策 グローバル時代の英語教育は一つしかない」 日本でも起きつつある英語教育の新潮流 つまり、内容(Content)、言語(Communication)、思考(Cognition)、文化(Culture)という「4つのC」を意図的かつ有機的に組み合わせて授業を設計し、世界で共有されている効果的指導技法を駆使して教える。 そうすることで、高密度で高品質な教育を実現するのである 英語教育の最先端の方法論に「内容言語統合型学習」 異なるバックグラウンドを持つ人々と英語で協働したり競争したりする際に、前提となる資質・能力が違うため、支障や不利益が生じてしまう。 そのことを認識していないと、グローバル化がますます進行する近未来において、日本人にとって大きなディスアドバンテージとなる 日本の大学生の発言は、自主的に発言して授業に貢献するという意識がないうえ、何か言うにしても、たとえ母語であれ、一様に短く、説明不足で、具体性がなく、面白味や独創性がない つまり、しかるべき方法論で教えられる教科科目を英語で学ぶことにより、語学力とともに汎用能力(知識活用力、批判的思考力、問題設定・解決力、創造力、協働力、異文化受容力など)も養成されるのである 欧米の学校やそれに類するカリキュラムを採用している学校は、日本が導入しようとしている、いわゆる「アクティブ・ラーニング」・・・で授業が行われている。目指すところは、コンテンツ(科目知識)を活用したコンピテンシー(汎用能力)の育成である 各教科の授業を通して英語に触れている時間が圧倒的に長く、言葉の種類が多様で密度も高いのに対して、休み時間や遊びは量的にも質的にも劣ることであった 海外で生活を送った子どもは、なぜ英語ができるようになるのか。英語圏に住むからだろうか?そうではない。学校で英語を使って学ぶからである 「さらば「英語を勉強」こんにちは「英語で勉強」 グローバル時代に戦える人材の「英語力育成」」 東洋経済オンライン
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教育(その15)(競争のための自己表現だけでは 世界で通用しない 田中優子 法政大学総長、ブラック校則問題で裁判所がお茶を濁す事情 人権を侵害し尊厳を踏みにじる「学校の常識」、廃校寸前だった離島の高校に 日本中から生徒が集まる理由) [社会]

教育については、5月7日に取上げた。今日は、(その15)(競争のための自己表現だけでは 世界で通用しない 田中優子 法政大学総長、ブラック校則問題で裁判所がお茶を濁す事情 人権を侵害し尊厳を踏みにじる「学校の常識」、廃校寸前だった離島の高校に 日本中から生徒が集まる理由)である。

先ずは、5月7日付け日経ビジネスオンラインが掲載した法政大学総長の田中優子氏へのインタビュー「競争のための自己表現だけでは、世界で通用しない 田中優子 法政大学総長」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/042400065/042600004/
・『4月には日本武道館で入学式を執り行いますが、多くの親御さんがいらっしゃいます。同伴したいとの希望が多いので、式を2部制にしたうえで、付き添いは1人の新入生に対して2人までに制限しています』、とは時代も変わったものだ。
・『親は子供との関わりの中で、どこまで保護すべきかをよく考える必要があります。 保護してはいけないことの第1は、自分で物事を決めるということです。例えば、食べるものから着るもの、学校の選択まで親が全部決めて押し付けることを繰り返していると、子供は自分で決められなくなります。それが一番の問題です・・・AI(人工知能)時代になると、思考力のない人間は、ますます仕事に就けなくなるでしょう。それでは、企業に入社できたとしても、真っ先にリストラの対象になりかねません。 自分で考えず命令に従うという性質は、企業の活力をなくすと思います。それは、国全体として非常に困った問題でしょう。ですから、思考力を育てるために、一つの大学ではなく社会全体の問題として小さい頃から自分で考え、決める力を育てなくてはいけません』、というのは、深くまで考え抜かれた正論だ。
・『その自己肯定力には「社会的自己肯定力」と「基本的自己肯定力」という2つがあります。社会的自己肯定力とは、主に競争に勝つことで得られるものです。そのため、初めは勝てても競争が別の次元に移ると、勝てなくなる場合があります。AI時代への移行などは、その典型でしょう。そのため、社会的自己肯定力は相対的に揺らぎやすいもので、それだけでは不十分です。  むしろ重要なのは、基本的自己肯定力です。それは、自分にはできる、という自信のことですから、小さな頃から育てられます。また、小さな頃に育て損なったとしても、大きくなってからも身に付けられます。そのためにも、我々のような大学も、そうした力を育むことに力を入れなくてはなりません。かつてのように、教師が一方的に講義し、教えたことを暗記しているかどうか試験するという教育の仕方はもう通用しません。学生一人ひとりの能力を生かす形でカリキュラムを編成し、それに沿った形で教育をして基本的自己肯定力を育てるべきなのです』、素晴らしい考え方だが、現実の法政大学のカリキュラムはその理想とは遠いのではなかろうか。
・『兄に比べて私は劣等生でした。よく周囲からは比較されましたが、私は親にあれをやれ、これをやれ、とは言われませんでした。言っても仕方がないと思われていたのでしょう。 そうした親の教育方針のおかげか、私は兄や他の人と自分を比べることをせず、進むべき道にも迷いがありませんでした。私は読むことや書くことしかできませんでした。高校では学内誌の編集部に入り、編集作業にのめり込みました。写真を撮るのが面白くなって、写真部を作りましたが、現像する機材などをそろえるための予算がありません。そこで学校を説得するために文章を書いたところ先生方が「非常に胸を打たれた」と言って1回で認めてくれたことで、自分の文章力に自信を持ちました・・・いまだに競争心とは何なのか分かりません』、なんとも幸せな人生を送ってきたようだ。
・『私の子供時代は裕福ではなかったので、下町の長屋のような環境で暮らしていました。長屋は誰が突然入ってきてもおかしくない環境です。しかも夏はどこの家もクーラーがありませんから、窓は開けっ放しです。通りを行き交う人から家の中が丸見えで、それですーっと家に入ってきて、そこに座っておしゃべりが始まる。それが日常でした。親戚が無意味に遊びに来て、突然泊まっていくこともあります。そういう環境で育つと、閉じられた家庭という状況はなかなか想像できません。 できるだけ、「家庭の中に社会を入れる」というのでしょうか。最近では、誰もが勝手に入って来るようなオープンな家庭は難しいかもしれませんが、誰かをホームステイさせてもいいし、逆に子供を海外のホームステイに出すのも効果的です。多くの大学に留学制度がある理由の一つは、語学力の向上だけではなく、多様性への理解を養うためです』、「家庭の中に社会を入れる」とは面白い発想だ。
・『多様性のある社会では、その場で素早く判断する力が求められます。今自分がいる場所で、自分は社会に何を貢献できるかを瞬時に判断する知性が必要になります・・・これまでにない事態に直面した時には、学校で学んだような既存の知識では間に合いません。どんな状況でも、自分に自信を持って、失敗を恐れず判断する力を育てることが必要なのです』、誠に説得力に富む指摘だ。こんな素晴らしい総長がリーダーの法政大学の今後が楽しみだ。

次に、元文部科学事務次官で 現代教育行政研究会代表の前川 喜平氏が7月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「ブラック校則問題で裁判所がお茶を濁す事情 人権を侵害し尊厳を踏みにじる「学校の常識」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/228763
・『「ブラック校則」・・・最近多くの人を驚かせた事件といえば、2017年に明るみに出た大阪府立高校の頭髪指導だ。生まれつき茶色い髪の女子生徒に対し、「生徒心得」を理由に髪を黒く染めるよう求め、それを怠ったとして授業を受けさせなかったり修学旅行に参加させなかったりしたというのだ。このためその生徒は不登校になってしまった。 これは明らかに人権侵害だと言わざるをえない』、
・『2006年の教育基本法の改正によって、学校においては「教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずる」という文言が盛り込まれた(6条2項)。いわば、校則の根拠規定のようなものが設けられたのだ。 確かに、学校は児童・生徒と教職員がつくる1つの社会である。そこには日々の生活があり、秩序の維持や利害の調整が必要になるだろう。しかし「必要な規律」とはなんだろう。事細かな決まりを定めることがどこまで必要なのだろうか』、なるほど、2006年の教育基本法の改正が校則の根拠規定のようなものになったというのは、その通りなのかも知れない。
・『ドキュメンタリー映画『みんなの学校』の舞台となった大阪市立大空小学校では、児童が守ることを求められる「たった一つの約束」は「自分がされていやなことは人にしない、言わない」だ。これ1つで十分なのではないか』、強く同意する。
・『児童の権利に関する条約12条は「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする」と規定している。 髪型や服装の規制は明らかに「児童に影響を及ぼす事項」であり、子どもには「自由に意見を表明する権利」が認められなければならないし、その意見は「相応に考慮」されなければならない。校則を一方的に押し付けていいものではないということは、児童の権利条約からも明らかだ』、この条約は国連総会で採択され、日本も批准している。確かに、校則の一方的押し付けは、この精神に反するものだ。しかし、前川氏自身は文科省次官だった時には、安倍政権に「忖度」してこの問題を取上げなかったのだろうか。
・『一定の支持を得てきたのは「部分社会論」だ。自律的な団体の内部(部分社会)では、一般社会の規律とは異なる自律的な規律が認められ、そこには司法の審査権が及ばないとする考え方だ。 学校がそういう部分社会だとすると、校則はその部分社会における自律的な規律だということになり、その是非については学校内部の判断に任せ、裁判所は判断しないということになる・・・いかなる理屈に拠るにせよ、理不尽な校則に対して、裁判所による救済がなかなか働かないという事態に変わりはない・・・「どうも裁判所は当てにならない」というのが、筆者の偽らざる印象である』、なるほど。
・『理不尽な校則は、健全な市民感覚によってその見直しを求めていくのがいいと思う。その際には、当事者である児童生徒の意見を幅広く汲み上げることも必要だろう。 そういう議論を行うべき場は、学校制度の中にもともと用意されている。 まずは教育委員会だ。 公立学校を管理する教育委員会の委員は、本来普通の市民感覚を教育行政に反映させることが期待されている。教育委員会の使命は「レイマン・コントロール(素人統制)」だといわれるゆえんである。校則をめぐる問題は、教育委員会の場で委員同士で話し合うのに適した課題だと思う』、というのは建前論に過ぎるように思う。いじめ問題を始め、教育委員会は学校側とグルになっているケースが多い。
・『また、保護者や地域住民が加わる学校運営協議会を置く「コミュニティ・スクール」では、学校運営協議会の議題として取り上げてもいいだろう。 もちろん、PTAもそうした議論の場としてふさわしい。 どこで議論するにせよ、校則のあり方について議論する場合には、児童会や生徒会の代表の出席を求めるなどして、当事者である子どもたち自身の意見を十分聞くことが必要だ。 「学校の常識は社会の非常識」などと揶揄される事態を変えていくためには、そういう議論を積み重ねていくことが大事だと思う』、その通りだとは思うが、学校側の秩序維持優先の考え方を変えるが先ずは前提になると思う。

第三に、6月22日付けダイヤモンド・オンライン「廃校寸前だった離島の高校に、日本中から生徒が集まる理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173025
・『廃校の危機にありながら、たった8年で全生徒数が2倍へと増加した離島の学校がある。それが島根県立隠岐島前高校だ。 同校は地元の生徒がほぼ全員入学できることから、合格基準偏差値が38(「みんなの高校情報」より)と決して高いとはいえない。ところが、県外から来る生徒の入試倍率に関しては2倍程度と、今や全国から志願者が集まる人気校の1つになっている・・・生徒数は8年で89人から180人に 島外出身者の入試倍率は約2倍と人気校へ』、理由を早く知りたいところだ。
・『一時期は1学年1クラスだったものの、現在では1学年2クラスに増加している。それを支えているのが、全国から集まる島外出身の生徒だ。島前高校では、島前地域出身者(海士町、西ノ島町、知夫村)が半数を占めるものの、40%程度は推薦入試によって島外出身者を募集。2016年時点では、全校生徒180人中86人が島外出身者で、最近では海外の日本人学校やインターナショナルスクール出身者もいるという』、なるほど。
・『元リクルートキャリア社長で、現在は学校を核とした地域創生を行う「地域・教育魅力化プラットフォーム」の代表理事を務める水谷智之さん。水谷さんは、2016年からは海士町の魅力化プロデューサーも務めている。 島前高校の改革の中心人物となったのは、現在、島根県教育魅力化特命官を務め、水谷さんと一緒に地域・教育魅力化プラットフォームの共同代表でもある岩本悠さんだ。岩本さんは2006年から海士町に移り住み、その後、島前高校ではコーディネーターとして高校改革を行ってきた』、やはり仕掛け人が2人もいたようだ。
・『生徒が集まる3つの魅力  離島なのに専用の“公立の塾”まで完備・・・「隠岐國学習センター」だ。これはいわば“公立の塾・寺子屋”で、高校の授業や部活が終わった7時頃になると、多くの生徒はそのまま学習センターへと向かう。月謝は1・2年生で月額1万円、3年生で1万2000円。3学年合わせて約130人の高校生が通っている。 ここにいるのは東京などの都会から呼び寄せた優秀な講師陣で、生徒たちの進学に向けたサポートを行ってくれる。学校では授業形式だが、学習センターでは一人ひとりが学習目標を立て、学びのPDCAを回していく仕組み。つまり、自分の目標に合わせて学習の計画を立てて実践し、振り返って次の計画に生かすという一連の流れが主体的に行えるようになる。自立学習ができるようになるうえ、自分にあった学習を進めていける点は大学受験を考える生徒にとっても安心だろう』、学びのPDCAとはビジネスマン出身者らしい発想だ。
・『こうした「教科指導」のほかに、「夢ゼミ」という対話や実践形式で、自分の興味や夢を明確にしていくカリキュラムも魅力の1つだ。1・2年生では月1回、多様なゲストを迎えて地域の課題の解決を考えるゼミに参加でき、3年生になると週1回、自分で設定したテーマについて発表したり、実践を通して探究したりする場に参加できる。これらは進路実現の礎にもなっている。 また、島前高校は約半数が島外出身の生徒のため、彼らは「寮生活」を行っているのだが、この寮生活も島前高校の魅力だ・・・島前高校の寮は、大部分が生徒たちの自主性によって運営されている。例えば、お金の使い方や備品の買い方といった生活面から、地域住民を招いたのみの市の企画、野菜の栽培まで全て生徒が自主的に行う・・・もちろんハウスマスターという、生徒の主体性を盛り上げつつサポートするスタッフも配置しているから、生徒を海士町に送りだしている家族も安心だろう』、第二の記事のような校則ではなく、生徒たちの自主性によって運営というのは素晴らしいことだ。
・『もう1つ大きな魅力となっているのが、「修学旅行」だろう。島前高校では、修学旅行を海外研修と呼び、2年生の秋にシンガポールへ向かう。シンガポール大学の学生に対し、島前で行ってきた様々な魅力化プロジェクトを発表して、アイデアをもらうなどグループディスカッションを行うのだという。そのほか、希望者はブータンやロシアに行く「グローバル探究」というプロジェクトもあるというが、なぜ離島の高校生を海外で研修させるのだろうか。「“グローカル人材”を育成するという教育目標のもと、グローバルの視野を持ちながら、離島のような課題が山積する場所で、足元から行動を変えていけるような生徒を育てたいと考えています。また、島外でも国内ではなく、国外に出ることによって『この地域はどういうところなのか』をより知ることができます。そういう点からも、シンガポールでの研修には大きな意味があります』、確かに東京や大阪に行くより、はるかに得るところ大であろう。
・『地域が主体となって高校を拠点に改革するという取り組みは、現在、全国各地にも広がっている。 例えば、北海道南西部の日本海に浮かぶ奥尻島にある北海道奥尻高校は、2016年度より道立から町立の高校となり、島全体を学び舎と考えた様々なカリキュラムを実施している』、なるほど。
・『島前高校や奥尻高校のような成功は「奇跡だ」という声も少なくない。それを奇跡にしないためには、どのようなポイントが重要になってくるのか。「1つは、学校が地域や社会に開かれていて、協働のチームがあること。あるいはコーディネーティブに動く人たちがいる体制があること。 2つ目は、地域課題も教育資源として捉え、高校生がまちづくりや地域を舞台にしたプロジェクトに挑戦していける学習環境を構築していることでしょう。 そして3つ目は、ほかの学校や地域ともコラボレーションしていくことです』、ということらしいが、私には島前高校にみられる2人の仕掛け人の存在が大きいように思われる。それにしても、記事では触れられてないが、島内生徒と、島外生徒では、学力だけでなく、様々な差があると思うが、それが生徒間の摩擦につながらないかは大いに気になるところだ。
タグ:多様性のある社会では、その場で素早く判断する力が求められます。今自分がいる場所で、自分は社会に何を貢献できるかを瞬時に判断する知性が必要になります 「ブラック校則問題で裁判所がお茶を濁す事情 人権を侵害し尊厳を踏みにじる「学校の常識」」 2006年の教育基本法の改正 東洋経済オンライン 児童会や生徒会の代表の出席を求めるなどして、当事者である子どもたち自身の意見を十分聞くことが必要だ 学校の常識は社会の非常識」などと揶揄される事態を変えていくためには、そういう議論を積み重ねていくことが大事だと思う 多様性への理解を養うためです 県外から来る生徒の入試倍率に関しては2倍程度と、今や全国から志願者が集まる人気校の1つになっている 「部分社会論」だ。自律的な団体の内部(部分社会)では、一般社会の規律とは異なる自律的な規律が認められ、そこには司法の審査権が及ばないとする考え方だ。 学校がそういう部分社会だとすると、校則はその部分社会における自律的な規律だということになり、その是非については学校内部の判断に任せ、裁判所は判断しないということになる そういう議論を行うべき場は、学校制度の中にもともと用意されている。 まずは教育委員会だ 家庭の中に社会を入れる 理不尽な校則は、健全な市民感覚によってその見直しを求めていくのがいいと思う。その際には、当事者である児童生徒の意見を幅広く汲み上げることも必要だろう 教師が一方的に講義し、教えたことを暗記しているかどうか試験するという教育の仕方はもう通用しません。学生一人ひとりの能力を生かす形でカリキュラムを編成し、それに沿った形で教育をして基本的自己肯定力を育てるべきなのです 田中優子氏 むしろ重要なのは、基本的自己肯定力です。それは、自分にはできる、という自信のことですから、小さな頃から育てられます 明らかに人権侵害 3つ目は、ほかの学校や地域ともコラボレーションしていくことです 大阪府立高校の頭髪指導 前川 喜平 2つ目は、地域課題も教育資源として捉え、高校生がまちづくりや地域を舞台にしたプロジェクトに挑戦していける学習環境を構築していることでしょう 相対的に揺らぎやすいもので、それだけでは不十分 1つは、学校が地域や社会に開かれていて、協働のチームがあること 教育 自己肯定力には「社会的自己肯定力」と「基本的自己肯定力」という2つがあります。社会的自己肯定力とは、主に競争に勝つことで得られるものです 道立から町立の高校となり、島全体を学び舎と考えた様々なカリキュラムを実施している 北海道奥尻高校 自分で考えず命令に従うという性質は、企業の活力をなくすと思います。それは、国全体として非常に困った問題でしょう。ですから、思考力を育てるために、一つの大学ではなく社会全体の問題として小さい頃から自分で考え、決める力を育てなくてはいけません シンガポール大学の学生に対し、島前で行ってきた様々な魅力化プロジェクトを発表して、アイデアをもらうなどグループディスカッションを行うのだという 保護者や地域住民が加わる学校運営協議会を置く「コミュニティ・スクール」では、学校運営協議会の議題として取り上げてもいいだろう。 もちろん、PTAもそうした議論の場としてふさわしい 生徒数は8年で89人から180人に 島外出身者の入試倍率は約2倍と人気校へ 修学旅行」だろう。島前高校では、修学旅行を海外研修と呼び、2年生の秋にシンガポールへ向かう 大部分が生徒たちの自主性によって運営 髪型や服装の規制は明らかに「児童に影響を及ぼす事項」であり、子どもには「自由に意見を表明する権利」が認められなければならないし、その意見は「相応に考慮」されなければならない。校則を一方的に押し付けていいものではないということは 廃校の危機にありながら、たった8年で全生徒数が2倍へと増加した離島の学校がある。それが島根県立隠岐島前高校だ 約半数が島外出身の生徒のため、彼らは「寮生活」を行っているのだが、この寮生活も島前高校の魅力だ 「どうも裁判所は当てにならない」というのが、筆者の偽らざる印象 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする 、「夢ゼミ」という対話や実践形式で、自分の興味や夢を明確にしていくカリキュラムも魅力の1つだ 学習センターでは一人ひとりが学習目標を立て、学びのPDCAを回していく仕組み AI(人工知能)時代になると、思考力のない人間は、ますます仕事に就けなくなるでしょう。それでは、企業に入社できたとしても、真っ先にリストラの対象になりかねません 児童の権利に関する条約12条 「たった一つの約束」は「自分がされていやなことは人にしない、言わない」だ。これ1つで十分なのではないか 離島なのに専用の“公立の塾”まで完備 『みんなの学校』 島前高校の改革の中心人物となったのは、現在、島根県教育魅力化特命官を務め、水谷さんと一緒に地域・教育魅力化プラットフォームの共同代表でもある岩本悠さんだ 校則の根拠規定のようなものが設けられた 「地域・教育魅力化プラットフォーム」の代表理事を務める水谷智之さん 「廃校寸前だった離島の高校に、日本中から生徒が集まる理由」 教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずる」という文言が盛り込まれた 、「生徒心得」を理由に髪を黒く染めるよう求め、それを怠ったとして授業を受けさせなかったり修学旅行に参加させなかったりしたというのだ。このためその生徒は不登校になってしまった 元リクルートキャリア社長 最近では海外の日本人学校やインターナショナルスクール出身者もいるという ダイヤモンド・オンライン 親は子供との関わりの中で、どこまで保護すべきかをよく考える必要があります。 保護してはいけないことの第1は、自分で物事を決めるということです 日経ビジネスオンライン 「競争のための自己表現だけでは、世界で通用しない 田中優子 法政大学総長」 (その15)(競争のための自己表現だけでは 世界で通用しない 田中優子 法政大学総長、ブラック校則問題で裁判所がお茶を濁す事情 人権を侵害し尊厳を踏みにじる「学校の常識」、廃校寸前だった離島の高校に 日本中から生徒が集まる理由)
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カジノ解禁(統合型リゾート(IR)法案)(その5)(小田嶋氏:カジノなきパチンコ王国の思い出) [国内政治]

カジノ解禁(統合型リゾート(IR)法案)については、6月23日に取上げた。衆議院を通過、参議院での通貨を待つばかりになった今日は、(その5)(小田嶋氏:カジノなきパチンコ王国の思い出)である。

コラムニストの小田嶋 隆氏が6月29日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「カジノなきパチンコ王国の思い出」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/062800149/?P=1
・『今後、法案が成立して、国内にいくつかのカジノが開帳すれば、カジノを舞台としたマネーロンダリングや、外国資本によるわが国の資産の収奪が、プライムタイムのニュースショーの話題として取り上げられる近未来がやってくるかもしれない。そういう時に、振り返るべき過去記事として、法案成立前夜の空気を伝える文章がウェブ上に残っていることは、おそらく、それを読む未来の人間にとって有意義な時間になることだろう。つまり、私は、決して後戻りできない過去から未来の読者に呼びかける形式でこのテキストを書いている。どうですか、未来のみなさん。あなたたちは、自分たちがずっと昔に選んだ選択肢を後悔していませんか?』、というのが問題意識のようだ。
・『残酷な言い方をすれば、先日来続いている国会でのやりとりは、終演時刻や結末があらかじめ出演者にも観客にもすっかり共有されている定番の田舎芝居なのであって、議員諸氏は、審議のためにではなく、いずれはやってくる選挙戦に向けてアピールするべく、議員という役柄を演じ切るために、声を張り上げているのである・・・国会が言論の府であり審議の場であるためには、前提として拮抗した議席数のバランスが求められる。その条件が満たされていない以上、国会がオートマチックな議決機関に堕している現状を認めるしかない。嘆いたところでどうなるものでもない・・・さかのぼって考えれば、わたくしども選挙民が、こんな一党独裁の全体主義国家みたいな議席配分を許した時点で、一党独裁の全体主義国家じみた国会運営はすでに始まっていたのである』、嘆かわしい国会運営の最終的な責任は選挙民にあるとの指摘は、その通りだ。
・『ギャンブル依存症は、アルコール依存症に比べてあまり知られていない。 認知度が低いだけではない。理解度はもっと低いと思う。 個人的な感触では「自業自得だろ?」「自己責任じゃね?」「つまりアレか? その病気の患者はギャンブルで勝つのは自分の手柄だと思う一方で、ギャンブルで負けるのは病気のせいだみたいな考え方を採用してる人たちなわけか?」・・・てな調子で笑い飛ばしている人が多数派なのではなかろうかと思っている。 私自身、つい最近までは、自分がギャンブルであまり勝った経験を持たないからなのか、それに依存する人たちがいるということをいまひとつイメージできなかった』、確かに私自身も殆ど理解してなかった。
・『ただ、この5年ほどの間に、アルコール依存症とギャンブル依存症の患者や家族の団体が共同で主催するイベントに何度か協力させていただく中で、ギャンブル依存症の関係者と情報交換をする機会を得た。この経験を通じて、私の認識は大いにあらためられた。 アルコールもギャンブルも、最終的には、それに依存する人間が持っているほとんどすべての要素を破壊することになるものだ。が、その順序とプロセスには多少の違いがある・・・ギャンブルは必ずしも患者の肉体には害を為さない。ということは、ギャンブル依存の方が症状としてより「マシ」なのかというと、これもまた、必ずしもそういうことではない。 たとえば、経済生活を破綻させる傾向は、アルコール依存症患者の場合に比べて、ギャンブル依存症患者のケースのほうがより早い段階で表面化する。というのも、どんな大酒飲みであっても、一晩で10万円分の酒を飲むことは不可能(店や酒の種類にもよるが、アル中は何を置いてもアルコール度数のコスパを重視するので)だが、ちょっとしたギャンブル依存者なら、一晩で100万や200万の現金を溶かすことは珍しくもないことだからだ』、なるほど。
・『カジノとパチンコをめぐる二項対立の議論は、ネット上ではそれこそ20年も前から蒸し返されている定番の水掛け論だ・・・といったツッコミどころを備えた極めて多義的な遊戯(ないしは脱法賭博)産業であるからで、私自身、上に挙げた5つの論点はそれぞれそれなりの説得力を備えていると思っている。 ただ、パチンコの話題がカジノの新設とセットで持ち出される場合、別の問題が生じる。パチンコを滅ぼすことができるのなら、それはそれで、乗れない話ではないが、実際の手順を考えてみれば、それが簡単な話ではないことは子供にでもわかる。 アシダカグモを招き入れることでゴキブリを根絶するみたいな、机上の空論ですべてが解決するわけではない。 悪くすると、ゴキブリと、それを退治するために召喚したアシダカグモと、そいつをやっつけるために連れてきたムカデのすべてと同じ部屋で暮らさなければならないことになる』、とは面白い比喩だ。
・『カジノ誘致を主張する人々の立場も様々で・・・もっぱらパチンコ敵視の立場からカジノに肩入れしている人々もいれば、単純によりおしゃれなギャンブル場の設置を望んでいる人々もいる。 「パチンコのような各方面とズブズブになっている腐敗した脱法賭博を生きながらえさせるよりは、いっそ、国がきちんと管理して透明性を確保したうえで、クリーンな賭博場を開帳した方がいいではないか」という主張は、たしかに魅力的に聞こえる』、しかし、『「パチンコのような半世紀以上続いている産業を一朝一夕に根絶できると思ったら大間違いだ」という意味でも 「カジノみたいなそもそも賭博であるものを『クリーン』に開帳できると思ったら大間違いだ」という意味でも、二重に大間違いだ。 もうひとつ言えば、新しい悪徳を迎え入れることで、古い悪徳を根絶できるとする考え方がどうにもファンタジックである点を指摘せねばならない』、というのは説得力がある。
・『「ギャンブル依存を持ち出す人たちにしても、まだ存在すらしていないカジノによる被害を言い立てるつもりなら、その前にパチンコの問題の解決してからにすべきなんじゃないのか?」という議論は、そもそも多分に詭弁の要素を含んでいる。 パチンコがもたらしている害悪に対処せねばならないのはその通りで、その点については、すでに様々な人々が取り組んでいる。 この種の議論をする人たちの定番のツッコミの形式である 「Aを告発するなら、その前にBを告発するべきだ」式の言い方は、そのままでもほとんど詭弁なのだが 「Bを追及していない人間にはAを追及する資格はない」 というカタチに逆転すると、さらに露骨な言いがかりになる。 この論法を敷衍すると、世界中のすべての罪を告発しきった後でないと、特定個別の悪徳に異を唱えることができなくなる』、さすが見事な論破だ。
・『そもそも、パチンコの害とカジノの害は別モノだ。 金額、頻度、客層すべてが異なっている。しかも、カジノにはマネーロンダリングに使われるかもしれないという別種の問題があるし、貸金業の免許を持たないカジノ業者が顧客に金を貸す(つまり、負け分の支払いを一定期間猶予することで、所持金以上の負けを背負わせることができる)ことがもたらす害悪もまだ、どんなものになるのかはっきりわかっていない』、というカジノには明らかな問題点がありながら、国会審議では明確な回答がないままなのには首を傾げざるを得ない。
・『カジノを開帳することで、パチンコの被害が帳消しになるわけでもなければ、パチンコ利権が消えてなくなるわけでもない。おそらく、新旧の違ったタイプの悪徳はそれぞれに別々の被害を生み出しながら、相互に足を引っ張り合うこともなく、むしろ互いの顧客を融通し合うカタチで共存していくに違いない』、というのはその通りだ。
・『パチンコを賭博でないと考えている政府が開帳するカジノがどんな施設になるのか、正直な話、私にはまったく見当がつかない。 ただ、ろくなものにはならないことだけは断言できる。 この点は賭けても良い』、との結びも見事だ。
タグ:国会が言論の府であり審議の場であるためには、前提として拮抗した議席数のバランスが求められる。その条件が満たされていない以上、国会がオートマチックな議決機関に堕している現状を認めるしかない。嘆いたところでどうなるものでもない カジノを開帳することで、パチンコの被害が帳消しになるわけでもなければ、パチンコ利権が消えてなくなるわけでもない。おそらく、新旧の違ったタイプの悪徳はそれぞれに別々の被害を生み出しながら、相互に足を引っ張り合うこともなく、むしろ互いの顧客を融通し合うカタチで共存していくに違いない パチンコの害とカジノの害は別モノだ。 金額、頻度、客層すべてが異なっている。しかも、カジノにはマネーロンダリングに使われるかもしれないという別種の問題があるし、貸金業の免許を持たないカジノ業者が顧客に金を貸す(つまり、負け分の支払いを一定期間猶予することで、所持金以上の負けを背負わせることができる)ことがもたらす害悪もまだ、どんなものになるのかはっきりわかっていない この論法を敷衍すると、世界中のすべての罪を告発しきった後でないと、特定個別の悪徳に異を唱えることができなくなる ギャンブル依存を持ち出す人たちにしても、まだ存在すらしていないカジノによる被害を言い立てるつもりなら、その前にパチンコの問題の解決してからにすべきなんじゃないのか?」という議論は、そもそも多分に詭弁の要素を含んでいる 、『「パチンコのような半世紀以上続いている産業を一朝一夕に根絶できると思ったら大間違いだ」という意味でも 「カジノみたいなそもそも賭博であるものを『クリーン』に開帳できると思ったら大間違いだ」という意味でも、二重に大間違いだ パチンコのような各方面とズブズブになっている腐敗した脱法賭博を生きながらえさせるよりは、いっそ、国がきちんと管理して透明性を確保したうえで、クリーンな賭博場を開帳した方がいいではないか もっぱらパチンコ敵視の立場からカジノに肩入れしている人々もいれば、単純によりおしゃれなギャンブル場の設置を望んでいる人々もいる カジノ誘致を主張する人々の立場も様々 パチンコの話題がカジノの新設とセットで持ち出される場合、別の問題が生じる。パチンコを滅ぼすことができるのなら、それはそれで、乗れない話ではないが、実際の手順を考えてみれば、それが簡単な話ではないことは子供にでもわかる たとえば、経済生活を破綻させる傾向は、アルコール依存症患者の場合に比べて、ギャンブル依存症患者のケースのほうがより早い段階で表面化する。というのも、どんな大酒飲みであっても、一晩で10万円分の酒を飲むことは不可能(店や酒の種類にもよるが、アル中は何を置いてもアルコール度数のコスパを重視するので)だが、ちょっとしたギャンブル依存者なら、一晩で100万や200万の現金を溶かすことは珍しくもないことだからだ ・ギャンブルは必ずしも患者の肉体には害を為さない。ということは、ギャンブル依存の方が症状としてより「マシ」なのかというと、これもまた、必ずしもそういうことではない さかのぼって考えれば、わたくしども選挙民が、こんな一党独裁の全体主義国家みたいな議席配分を許した時点で、一党独裁の全体主義国家じみた国会運営はすでに始まっていたのである アルコールもギャンブルも、最終的には、それに依存する人間が持っているほとんどすべての要素を破壊することになるものだ 「カジノなきパチンコ王国の思い出」 「自業自得だろ?」「自己責任じゃね?」「つまりアレか? その病気の患者はギャンブルで勝つのは自分の手柄だと思う一方で、ギャンブルで負けるのは病気のせいだみたいな考え方を採用してる人たちなわけか?」 ギャンブル依存症は、アルコール依存症に比べてあまり知られていない。 認知度が低いだけではない。理解度はもっと低いと思う 日経ビジネスオンライン 小田嶋 隆 )(その5)(小田嶋氏:カジノなきパチンコ王国の思い出) パチンコを賭博でないと考えている政府が開帳するカジノがどんな施設になるのか、正直な話、私にはまったく見当がつかない。 ただ、ろくなものにはならないことだけは断言できる。 この点は賭けても良い カジノとパチンコをめぐる二項対立の議論は、ネット上ではそれこそ20年も前から蒸し返されている定番の水掛け論だ 統合型リゾート(IR)法案 カジノ解禁
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日本の政治情勢(その25)(官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態、自民の参院選挙改革案は党利党略むきだしだ 定数6増は「合区」ではじかれた議員の救済策、刑事司法とメディアの腐敗が安倍内閣存続の根源、災害報道に紛れて…総裁選対策も国会審議もやりたい放題、安倍首相ミエミエ被災地利用 閣僚も国民に“逆ギレ”の末期) [国内政治]

日本の政治情勢については、6月18日に取上げた。今日は、(その25)(官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態、自民の参院選挙改革案は党利党略むきだしだ 定数6増は「合区」ではじかれた議員の救済策、刑事司法とメディアの腐敗が安倍内閣存続の根源、災害報道に紛れて…総裁選対策も国会審議もやりたい放題、安倍首相ミエミエ被災地利用 閣僚も国民に“逆ギレ”の末期)である。

先ずは、NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木 由希子氏が6月13日付け現代ビジネスに寄稿した「官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態 本来と異なる使途に流用されている…?」を紹介しよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55986
・『最高裁は、内閣官房機密費(以下、「機密費」)の支出に関する行政文書の一部の公開を命じる判決を出した・・・それまで総額しかわからなかった機密費のごく一端が、情報公開されることになった・・・今回公開が命じられた範囲には、具体的な使途は含まれていない。 公開されたのは、月ごとの総額の収支や払出した総額だ。具体的な使途がわかる情報は、内閣官房の行う業務への支障になるとともに、外交・安全保障上の不利益を被るとして、非公開とすべきと最高裁は判断した』、総額が月ごとになっただkで、実質的はない判決だ。
・『機密費の使途が公式に公開されたことはこれまで一度もないが、政界工作や世論工作にも用いられていると言われている。過去には何度か、金銭の渡った先が話題になっている。 例えば、2000年には政治評論家に機密費から金銭が渡っていたと週刊誌で暴露された。また、2002年に日本共産党は、入手した機密費の金銭出納帳とされる文書を公表した。それによると、与野党の政治家に機密費から金銭が渡っていたことが記録』、『2010年には、1998年の沖縄県知事選で、保守系新人候補者に3億円が機密費から渡っていたことを、当時副官房長官だった鈴木宗男氏がTBSのインタビューで証言した。 この知事選では、現職知事が落選し、保守系候補者が当選しているため、機密費が影響したのではないかと言われている』、なるほど官邸にとっては使い勝手のいい「魔法の財布」のようなものらしい。
・『このような断片的に伝わってくる機密費の使途は、本来の支出可能な使途の範囲を超えて流用していた疑いが指摘されている。 さらには、政策や選挙結果、世論が左右されているのではないかと強く疑われるが、この先、情報公開請求によっては公開しなくてもよいという最高裁のお墨付きを政府はもらったことになる。 しかも、情報を非公開にできるだけでなく、実は機密費の使途を記録した行政文書は、5年間保存の後、廃棄していることが筆者の情報公開請求の結果わかった』、機密といっても10年もすれば、本来は公開してもいいものも多いのではないか。5年で廃棄とは情報公開の精神をないがしろにする暴挙だ。
・『機密費は、正式には報償費という。1947年度から予算に計上されており、「内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じて機動的に使用することを目的とした経費」とされている。 支出目的別に「政策推進費」「調査情報対策費」「活動関係費」に分けられている』、なるほど。
・『公文書管理法は、意思決定過程を合理付に跡付け検証できるよう文書の作成を義務付けている。作成された文書は、検証できるように保管されてなければ意味がない。機密費は、この作成と保管の双方に課題があることになる。 政治的問題で難しいと言っているだけでは、課題に向き合ったことにならない。 さしあたり、5年で廃棄する機密費文書はいったん廃棄を凍結し、機密費の使途をどう記録し、保管し、引き継いでいくのかを議論する必要がある』、その通りだ。
・『過去に流出したとされる機密費の使途を記録した文書等には、ノートに支出先を書き込んだ子どものお小遣い帳のようなものがあり、官房長官が個人で記録を作っているようではある・・・ しかし、「政策推進費」は、行政職員にその使途情報が渡らないよう管理がされているので、記録は高度な政治レベルで抱えておくもの、という慣行の中で扱われてきている。 行政文書として管理するとなると、そうもいかなくなるので、何か記録があっても、それを組織的に管理する行政文書として扱うかは別問題になるし、政治的に決断しない限り残ることはないだろう』、「子どものお小遣い帳のようなものがあり」、には笑ってしまった。確かに、「政策推進費」をどうするのかは難しそうだ。

次に、 政治ジャーナリストの泉 宏氏が6月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「自民の参院選挙改革案は党利党略むきだしだ 定数6増は「合区」ではじかれた議員の救済策」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/225412
・『参院の定数増はなんと48年ぶりで、「特別枠」は合区に伴って次回参院選ではみ出す自民現職議員の救済策であることは明白だ。野党側は「露骨な党利党略」(国民民主党)と批判し、自民党内からも「国民の理解が得られるのか」などの疑問の声が上がる』、よくぞこんな案を恥ずかしげもなく出したものだ。
・『改革案は、参院定数を選挙区で2増、比例代表で4増の合計6増とし、比例では当選順位をあらかじめ定める拘束名簿方式の一部復活となる「特定枠」設置も盛り込んでいる。選挙区2増は、1票の格差を3倍以内に収めるため、議員1人当たりの有権者数が最多となっている埼玉選挙区の定数を6から8に増やすものだ』、人口減少の時代に「6増」とは、開いた口が塞がらない。
・『また、比例の4増と「特定枠」とした拘束名簿の一部導入は、2016年参院選から実施された「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区に伴い、次回参院選で選挙区からの出馬が困難となる現職議員を、比例名簿上位で救済するのが狙いだ。これに対し、野党側は「自民党の都合ばかりを優先した案だ」(立憲民主)「あまりにも乱暴なやり方」(共産党)などとそろって批判している』、『合区の島根県を選挙区とする細田氏らは「今国会で法改正を行うことが国会の責務だ」などとして小泉氏らを抑え込んだ。日頃は執行部批判が目立つ石破茂元幹事長も、鳥取選出議員として合区に激しく反対してきた経緯もあって、会合では「現実的な案はこれしかない。(反対するなら)鳥取駅前で『この県の代表はいらない』と演説すればいい」と細田氏らを後押しした』、石破も所詮は自分の選挙区の都合優先で行動しているとは、ガッカリだ。
・『自民党内には「党利党略とみられかねない定数増のごり押しは、国民の反発を招き、かえって来年の参院選では自民党が不利になる」(閣僚経験者)と不安視する議員も少なくない。 さらに、安倍晋三首相の「3選」がかかる9月の自民党総裁選に向けて、国会閉幕後の国内政局は総裁選一色となる見通しだが、「そこで問われるのは、首相らの強引な政権運営の是非」(自民長老)ともされるだけに、「党利党略をむき出しにした参院選改革案は、安倍政権の強権体質の象徴として、党内の反安倍ムードを助長しかねない」(同)との側面もある・・・内外に難題を抱えながら総裁3選を目指す首相にとって、今回の参院定数増をめぐる党内外のあつれきが「政局運営の思わぬ落とし穴になりかねない」(閣僚経験者)との指摘も』、こんな暴挙に対して、自民党内の良識派に期待するほかないというのも、情けない話だ。

第三に、在野エコノミストの植草一秀氏が6月21日付け同氏のブログに掲載した「刑事司法とメディアの腐敗が安倍内閣存続の根源」を紹介しよう。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-4e54.html
・『5月の連休前に安倍内閣が崩壊寸前まで追い詰められた・・・しかし、安倍内閣はこの状況を二つの策謀によって逃げた。二つの策謀とは、1.刑事司法の不当支配、2.メディアの不当支配である、刑事司法を不当に支配し、メディアを不当支配することにより、不当な内閣が不当に存続し続けてしまう』、なるほど。
・『安倍内閣の最大の罪は、刑事司法を不当支配していることである。日本の警察、検察、そして裁判所には不当に巨大な裁量権が付与されている。犯罪が存在するのに無罪放免にする裁量権 と 犯罪が存在しないのに無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権である。安倍内閣は人事権を濫用して、警察、検察、裁判所を不当支配、私物化している。だから、権力の犯罪は無罪放免にされ、政治的敵対者は犯罪者に仕立て上げられる』、『そして、メディアは、刑事司法の決定を錦の御旗にして内閣を擁護する。 また、人々の関心を逸らすための情報操作、人心誘導を行う。 このことによって、不当な権力が存続し続ける。 この構造を主権者が見抜かなければならない』、というのはその通りだ。
・『森友問題では、検察が国有地の不正廉売、虚偽公文書の作成、虚偽公文書の国会への提出を、刑事事件として立件しなければならなかった。 しかし、内閣が刑事司法を不当支配しているため、重大犯罪がすべて無罪放免にされている。 準強姦の逮捕状を握り潰す権力であるから、このような暗黒刑事司法は日常茶飯事となっていると言える』、確かに、本来、政治的中立性が求められる刑事司法の歪みは目を覆うばかりだ。
・『ゴールデンウィークを境に、マスメディアはもりかけ追及を中止して、TOKIO、アメフト、資産家死亡に報道時間を占拠させた。 加計孝太郎氏は大地震直後、ワールドカップ日本戦に合わせて25分のアリバイ会見を実行した。 そして、安倍内閣はIR実施法、働かせ方改悪法、議員定数拡張法を強行制定するために会期の32日間延長を強行決定した』、官邸のマスコミ操縦の巧みさは、「敵ながらアッパレ」だ。

第四に、7月13日付け日刊ゲンダイ「災害報道に紛れて…総裁選対策も国会審議もやりたい放題」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233192/1
・『災害対策は初動が肝心なのは常識だ。安倍首相ら政権幹部が宴会に興じていて対応が遅れたことに批判が集中している。それで安倍首相は外遊を泣く泣く取りやめ。少しは反省して災害対応に全力投球するのかと思いきや、総裁選対策と悪法成立に血道を上げているから度し難い』、しかも、宴会の様子を 西村官房副長官が自慢げにブログ掲載し、あとで謝罪に追い込まれるというのは、まさに「弛み切っている」。
・『被災者は不安な日々を過ごしているというのに、この期に及んで、安倍首相は総裁選の票固めに余念がない。気象庁が豪雨への警戒を呼び掛けていた5日の昼は自民党群馬県議と公邸で会食し、夜は問題になっている「赤坂自民亭」で飲んだくれていた安倍首相だが、未曽有の被害状況が明らかになってきても、総裁選対策に時間を費やしている。「外遊中止を発表した9日は自民党の静岡県議らを公邸に招いて食事。10日は和歌山県連の幹事長から3選支持の応援色紙を贈られて、総理は『こんなの初めて』と満面の笑みを見せていました」(官邸関係者)』、なるほど。
・『さらには災害報道に隠れて、国会審議にスポットが当たらないのをいいことに、やりたい放題を加速させている。 11日、国民の多くが反対している参院の定数増が参院本会議で可決。その日のうちに衆院に送られた。合区によって来年の参院選に立候補できない現職の救済が狙いで、比例区の定数を4増やし、埼玉選挙区の定数を2増やすものだ・・・参院内閣委は12日、13日にカジノ法案の審議を行うことを委員長の職権で決めてしまった。野党は災害対応を優先するよう申し入れたのに、この非常事態に災害復旧の要である国交大臣をカジノ法案の審議に何時間も張りつけるのです。カジノを優先された被災者の気持ちを考えると、やり切れません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)』、災害復旧の要である国交大臣をカジノ法案の審議に何時間も張りつけるとは、安倍政権の優先順位を図らずも示している。
・『最後は強行採決で突破だろう。「オウム事件の残り6人の死刑執行を強行採決の日に合わせ、悪い印象を薄めるプランも検討されているようです」(前出の官邸関係者) ドサクサに紛れて、この際、何でもやってしまおうという横暴。災害をも利用する卑劣さには言葉を失うばかりだ』、こんな横暴を許しているマスコミも同罪だ。

第五に、7月13日付け日刊ゲンダイ「安倍首相ミエミエ被災地利用 閣僚も国民に“逆ギレ”の末期」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/233294
・『世耕大臣が怒りをぶつけたツイートは10日、女性名で書かれたもの。 <倉敷の友達が言ってた。「急に避難所に自衛隊が来てお風呂が設置された。クーラーがついた(略)何があるのかと思ったら安倍総理が来るんだって。あれアピールのために慌てて準備したんだよ。」と> ツイッターの書き込み通り、11日に避難所を訪れた安倍首相は「早めにと思って」と、クーラーの設置を自慢している。ところが、世耕大臣は<安倍総理視察とエアコン設置は全く無関係><無責任な情報を流さないでいただきたい>と、ムキになって反論しているのだから、どうしようもない』、遅ればせの被災地訪問で、手土産代わりのエアコン設置を暴露したツイッターに、世耕大臣がかみつくとは世も末だ、
タグ:政治評論家に機密費から金銭が渡っていた 日本の政治情勢 現代ビジネス 政界工作や世論工作にも用いられている 沖縄県知事選 最高裁は、内閣官房機密費(以下、「機密費」)の支出に関する行政文書の一部の公開を命じる判決を出した 「安倍首相ミエミエ被災地利用 閣僚も国民に“逆ギレ”の末期」 メディアは、刑事司法の決定を錦の御旗にして内閣を擁護する。 また、人々の関心を逸らすための情報操作、人心誘導を行う この非常事態に災害復旧の要である国交大臣をカジノ法案の審議に何時間も張りつけるのです 「官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態 本来と異なる使途に流用されている…?」 安倍首相ら政権幹部が宴会に興じていて対応が遅れたことに批判が集中している。それで安倍首相は外遊を泣く泣く取りやめ。少しは反省して災害対応に全力投球するのかと思いきや、総裁選対策と悪法成立に血道を上げているから度し難い (その25)(官房機密費「支出先文書は5年で廃棄」「9割が領収書不要」の実態、自民の参院選挙改革案は党利党略むきだしだ 定数6増は「合区」ではじかれた議員の救済策、刑事司法とメディアの腐敗が安倍内閣存続の根源、災害報道に紛れて…総裁選対策も国会審議もやりたい放題、安倍首相ミエミエ被災地利用 閣僚も国民に“逆ギレ”の末期) 三木 由希子 5月の連休前に安倍内閣が崩壊寸前まで追い詰められた・・・しかし、安倍内閣はこの状況を二つの策謀によって逃げた。二つの策謀とは、1.刑事司法の不当支配、2.メディアの不当支配である、刑事司法を不当に支配し、メディアを不当支配することにより、不当な内閣が不当に存続し続けてしまう 安倍内閣の最大の罪は、刑事司法を不当支配していることである 機密費は、正式には報償費という。1947年度から予算に計上 現職知事が落選し、保守系候補者が当選しているため、機密費が影響したのではないかと言われている 内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じて機動的に使用することを目的とした経費」とされている 支出目的別に「政策推進費」「調査情報対策費」「活動関係費」に分けられている 安倍首相は総裁選の票固めに余念がない。気象庁が豪雨への警戒を呼び掛けていた5日の昼は自民党群馬県議と公邸で会食し、夜は問題になっている「赤坂自民亭」で飲んだくれていた安倍首相だが、未曽有の被害状況が明らかになってきても、総裁選対策に時間を費やしている 災害報道に隠れて、国会審議にスポットが当たらないのをいいことに、やりたい放題を加速させている。 11日、国民の多くが反対している参院の定数増が参院本会議で可決 東洋経済オンライン 泉 宏 ゴールデンウィークを境に 党利党略をむき出しにした参院選改革案は、安倍政権の強権体質の象徴として、党内の反安倍ムードを助長しかねない 世耕大臣は<安倍総理視察とエアコン設置は全く無関係><無責任な情報を流さないでいただきたい>と、ムキになって反論しているのだから、どうしようもない <倉敷の友達が言ってた。「急に避難所に自衛隊が来てお風呂が設置された。クーラーがついた(略)何があるのかと思ったら安倍総理が来るんだって。あれアピールのために慌てて準備したんだよ。」と> 世耕大臣が怒りをぶつけたツイート ドサクサに紛れて、この際、何でもやってしまおうという横暴。災害をも利用する卑劣さには言葉を失うばかりだ 「災害報道に紛れて…総裁選対策も国会審議もやりたい放題」 日刊ゲンダイ マスメディアはもりかけ追及を中止して、TOKIO、アメフト、資産家死亡に報道時間を占拠させた 「刑事司法とメディアの腐敗が安倍内閣存続の根源」 植草一秀 同氏のブログ 露骨な党利党略 参院の定数増はなんと48年ぶりで、「特別枠」は合区に伴って次回参院選ではみ出す自民現職議員の救済策であることは明白 自民の参院選挙改革案は党利党略むきだしだ 定数6増は「合区」ではじかれた議員の救済策」 5年で廃棄する機密費文書
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通商問題(その3)(ハーレーの工場移転は序の口 トランプ通商政策の「ブーメラン効果」、米中貿易戦争が日本に「飛び火」するリスク トランプが自動車にイチャモンをつけたら?、関税合戦は序の口 深刻度増す“米中経済戦争” 日本も他人事でなくなる) [世界情勢]

通商問題については、6月20日に取上げた。今日は、(その3)(ハーレーの工場移転は序の口 トランプ通商政策の「ブーメラン効果」、米中貿易戦争が日本に「飛び火」するリスク トランプが自動車にイチャモンをつけたら?、関税合戦は序の口 深刻度増す“米中経済戦争” 日本も他人事でなくなる)である。

先ずは、元銀行員で法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が7月3日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「ハーレーの工場移転は序の口、トランプ通商政策の「ブーメラン効果」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/173734
・『米国のハーレーダビッドソン(ハーレー)が、欧州向けオートバイの生産を米国外に移転すると表明した。その目的は、EUが、トランプ大統領の強硬な貿易政策に対応してとった報復関税措置を回避することだ。 元々、トランプ大統領の保護貿易主義的政策の意図は、米国内での生産を増やすことだった。それに反して、米国の有力企業が貿易摩擦のコストを引き下げるため、工場をわざわざ海外に移す決定をしたことは何とも皮肉なことだ』、というのはその通りだ。
・『関税引き上げの影響を回避するには、生産拠点を海外に移したり、関税引き上げ分を販売価格などに転嫁する必要がある。実際に米国企業がそうした対応をとり始めると、米国経済にはマイナスの影響が生じる。「米国のため」といわれてきた政策が、意図に反して米国の経済にマイナスに働く。この“ブーメラン効果”は無視できない。トランプ大統領が貿易戦争のリスクを理解しない限り、グローバル経済の中で米国はさらに孤立を深めるだろう。ハーレーが生産拠点を海外にシフトすると表明したことを受けて、市場参加者はトランプ大統領のリスクを真剣に考え始めたようだ』、本来、市場は先読みして動く筈だが、トランプにうかれた米国市場も漸くリスクを織り込み出したようだ。
・『欧州委員会は、経済への影響は大きくはないが、政治的にはインパクトのある分野を選んだ。 実はハーレーが拠点を置くウィスコンシン州は、共和党のポール・ライアン下院議長の選出区だ。また、オートバイと並んで制裁の対象となったバーボン・ウイスキーの産地ケンタッキー州は、同じく共和党の上院トップ、ミッチ・マコネル院内総務の地元だ。 EUは彼らの地元の産業に圧力をかけ、トランプ氏の暴走を食い止めることを求めている。特に、ハーレーは狙い撃ちにされた観が強い』、なかなか面白くなってきた。
・『トランプ氏はハーレーに「我慢しろ」と言っているが、それは暴論だ。ハーレーの決定は、同氏の経済に関する理解が浅はかであり、その政策が長期的なビジョンに基づいていないことを示す機会になった。その意味でも、同社の決定はトランプ氏にとって皮肉だ。 このように考えると、欧州委員会がハーレーを狙い撃ちにしたのは、実にエポックメイキングだ。EUは、大統領に「米国の象徴」と持ち上げられたハーレーを狙い撃ちにすることで、保護主義的な政策の危険性、グローバル化の重要性、米国の政治機能の低下をあぶりだしたいのだろう。欧州は報復措置を通して米国社会を揺さぶり、自制を求めている』、EUもなかなか巧みだ。トランプも歯ぎしりして悔しがっているのかも知れない。
・『自国の産業を保護する政策は、最終的に自国の経済を圧迫する可能性が高い。その点で、トランプ氏の政策は、米国の利益ではなく、自らの利益を重視した“トランプファースト”の政策というべきだ』、とは面白い表現だ。
・『貿易戦争の展開を考える際、「中間選挙への人気取り政策」と、「米中の覇権争い」の二つに分けるとよい。 中間選挙が過ぎれば、人気取り政策の必要性は低下し、摩擦が解消に向かう可能性はある。他方、中間選挙の後も米中の覇権争いは続くだろう。その一部がIT先端分野での米中摩擦に表れている。当該分野での制裁、報復の影響は軽視できない。 こう考えると、今すぐにトランプ政権と主要国の間で妥協点が見いだされると期待するのは難しい。先行きの不透明感は、どうしても高まってしまう。その意味で、トランプ大統領は、米国の企業だけでなく、世界経済にとっての「最大のリスク要因」と化していると考えるべきだ』、なるほど。
・『ロンドンやニューヨークを拠点に資金運用を行うファンドマネジャーらと話をすると、不安心理の強さがよくわかる。多くが株式の保有を減らし、現金(キャッシュ)のポジション(持ち高)を増やしている。 現状、世界経済全体は安定感を保っている。今すぐに、景気が減速するとは考えづらい。しかし、それとトランプ大統領の政策は別物だ。貿易戦争への懸念からリスクを避けたい心理は強くなっている。その原因がトランプ大統領にあることは忘れるべきではない』、弾劾の可能性が小さくなり、トランプ大統領は政治的には意外に長持ちしそうになってきたが、退陣させるには市場が明確にNOを突きつけることしかなさそうだ。

次に、投資銀行家のぐっちーさんが7月7日付け東洋経済オンラインに寄稿した「米中貿易戦争が日本に「飛び火」するリスク トランプが自動車にイチャモンをつけたら?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/228482
・『自動車は、世界的に規模が大きく、少なくともアメリカだけで2017年に3590億ドルの自動車を輸入しており、仮に今検討している25%(トランプは実は20%だ、とツイートしている)の関税をかけるとすると、約900億ドル、つまりざっと10兆円の関税という話になり、これまでの話とは下手をすると、ケタの違う次元になってしまいます。 こうなると、報復関税という問題以前に、最終的にこの10兆円を負担するのは消費者であるアメリカ国民であるということを忘れてはいけません。最終的に「自動車」と言い出すことになれば、アメリカが関税で儲かるわけではなく、値上げを通じてその分がアメリカ国民に負担が転嫁される、というメカニズムを、どうもトランプ大統領は理解していないとしか思えませんね』、アメリカには有力な経済学者が掃いて捨てるほどいるというのに、誰もトランプを説得できないとは困ったことだ。
・『藤原先生(東大教授)は基本的にトランプがやることは「思いつき」以外の何物でもなく、思いつきで行動する人がアメリカ大統領であるという危険性に(日本人は)早く気がつくべきだ、と指摘されています。この点については私も「激しく同意」、でありまして「共和党のことだから、レーガン大統領のときにそうだったように、プロの政治家たちがちゃんとコントロールするだろう」、などと考えていると今回はエライことになるわけです。 同様に安倍晋三首相との信頼関係という言葉もよく出てきますが、「トランプ大統領にしてみると、自分のいうことを聞く相手だけが信用できる、という話になっているだけで、だからと言って、政策的にどうするかはまったく別な問題だ」というご指摘は、まさに私もそう思います』、その通りだろう。
・『こういうディールメーカーには「できないことはできない」とぶつけ返すことが大事で、「そっちは無理だけどこっちなら妥協できるかもしれない」というのが最後の落としどころということです。最初からあまりカードを切ってはいけない……ということを私はウォールストリートで大分教わりました。トランプはまさにそういうタイプの交渉相手でしょう』、果たして安倍首相にそうした芝居が打てるかどうかは、いささか心もとないようだ。

第三に、元・経済産業省米州課長で中部大学特任教授の細川 昌彦氏が7月11日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「関税合戦は序の口、深刻度増す“米中経済戦争” 日本も他人事でなくなる」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/062500226/070900002/?P=1
・『7月6日、とうとう米中二大国は関税の報復合戦を始めた。その世界経済に与える影響や日本経済に与える影響についてはさまざま論じられている。そうした経済や企業活動への影響も当然重要ではあるが、日本にとっての根本問題を忘れてはならない。 それは巨大国内市場を持った大国が一方的制裁を振りかざす「パワーゲーム」の世界に突入したということだ。そうした事態を回避するために、これまで長年積み上げてきたのが、世界貿易機関(WTO)をはじめとする「ルールに基づく国際的な経済秩序」であった。日本の存立基盤でもある。それが崩壊の危機に瀕しているというのが本質的問題なのだ』、との危機感はその通りなのだろう。
・『大事なポイントは「米国」という主語で一括りにすると、本質が見えなくなるということだ。トランプ氏とトランプ氏以外を分けて考えるべきなのだ。トランプ氏以外とは議会、政権内の強硬派、ワシントンの政策コミュニティーだ』、さすが通商交渉の最前線にいただけあって鋭い指摘だ。
・『トランプ氏の関心は2つある。中間選挙に向けての得点稼ぎと中国との当面の交渉の駆け引きだ。 今回の関税引き上げで、対中強硬姿勢がポーズだけでなく、実行することを見せる。それは国内支持層へのアピールと中国に向けての交渉術としての意味がある。今回の340億ドル規模の関税引き上げでまず国内と中国の反応を見る。あえて500億ドル規模の関税引き上げを第一段階の340億ドルと第2段階の160億ドルの2段構えにしている理由はそこにある。 2000億ドル規模の追加関税については、数字の大きさで世間の耳目を集めているだけだ。 国内については報復関税の被害にあう大豆農家などの農業票の反発の大きさを見定める。 中間選挙を考えれば、トランプ氏の当面のターゲットは8月だろう。中国がそれまでにどういう協力のカードを切ってきて、戦利品としてアピールできるかがポイントだ』、なるほど。
・『ハイテク覇権の対中警戒感が「通奏低音」。一方、議会をはじめとした対中警戒感は根深く、ワシントン全体の空気を覆っている。「貿易赤字問題からハイテク覇権問題にシフトしてきている」というメディアの報道もあるが、これは表層的な捉え方で正しくはない。貿易赤字問題は、これに関心があるトランプ氏による「旋律」で、ハイテク覇権の対中警戒感は、いわば「通奏低音」のようなものだ。この「通奏低音」が大きくなって、「トランプ旋律」以上に耳に入ってくるようになっているのだ。 これを象徴する出来事が、中国の通信メーカーZTE社の違法輸出問題だ。米国製品の販売禁止の制裁をトランプ氏は中国とのディールの一環で緩和を決定したが、これに反発した議会上院は販売禁止の法案を可決した。 今、議会とナバロ大統領補佐官をはじめとする政権内の対中強硬派は共振しながら、「経済冷戦」へと突き進んでいる。トランプ氏による関税報復合戦だけに目を奪われていてはいけない』、との指摘は初耳だが、説得力がある。
・『6月27日、議会と呼応して、厳しい対中規制を行うための投資規制と輸出管理の強化に取り組むことを発表した。 米国企業の買収によって技術が中国に奪われる懸念は、大企業から新興ベンチャーにいたるまで広がっている。これに対しては、議会が主導して安全保障の懸念を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を強化しようとしている。この法案にホワイトハウスが乗った形だ』、議会主導もあるとは勉強になった。。
・『輸出管理の強化については、商務省を中心に検討されている。これについて“対中ココムの復活か、と報道されているが、これは誤解を招く過剰表現だ・・・冷戦終結後、ココム廃止とともにこれに代えて、懸念国向けの軍事用途を輸出規制する国際的枠組みが作られ、私自身もこの策定に携わった。こうしたポスト・ココムとして現在実施されている輸出管理によって、軍民融合を標ぼうする中国への懸念に対してどう対応するかを見直している。 中国による強制的な技術移転以外にも、民間企業による自発的あるいは意図せざる技術移転もある。そうした技術移転も懸念あるものは、この輸出管理で阻止しようとしているのだ』、なるほど。
・『輸出管理の規制領域で・・・規制の対象としては「中国製造2025」の対象とされている10分野が焦点になる。 そのうち、主戦場になっているのが半導体だ。鉄鋼、自動車、半導体。これらは貿易摩擦の3大銘柄と言われてきた。1980年代の日米貿易摩擦がそうだった。中国は半導体の自国生産は12%程度で、国内生産による自給率を飛躍的に引き上げようとしている。先般のZTE社に対する米国の制裁によって米国製半導体を購入できなくなって危機的状況に陥った。その苦い経験から自らの弱みに気づき、中国は半導体の内製化を急いでおり、日米韓台からの技術者の引き抜きも激しさを増している。 先月、中国は米韓の半導体大手3社に対して、独禁法違反の疑いで調査を開始した。これも明らかに米国による半導体への規制を牽制するものだ。同時に、調査を通じて技術情報を入手することもできる。外国技術を奪取して、巨額の補助金で国内生産する。その結果、世界は供給過剰になる。鉄鋼で起こったことが、半導体でも起ころうとしている。 そこで今、焦点になっているのが半導体製造装置だ。日米のメーカーでほとんど生産しているが、一部コアの工程でオランダなどの企業もある。こうした企業から半導体製造装置の対中輸出を規制すべきだとの声も上がっている。今後日米欧が連携して共同対処すべき分野だろう』、独禁法違反の疑いの調査を通じて技術情報入手、というのは酷く汚い手だ。半導体製造装置の対中輸出確かに規制すべきだ。
・『今後米中摩擦が激化すると、警戒すべきは個別事件だ。 かつて80年代の日米貿易摩擦の時代には、82年に日立IBM産業スパイ事件、87年に東芝機械ココム事件があって、米国の圧力が激しさを増した記憶がよみがえってくる。米国が本気になった時の怖さだ・・・今後、違法輸出に対する捜査当局の摘発が強化されることも想定されるが、日本企業が巻き込まれることはあってはならない』、との指摘には経営者には心してもらいたいところだ。
タグ:輸出管理の強化 貿易戦争への懸念からリスクを避けたい心理は強くなっている。その原因がトランプ大統領にあることは忘れるべきではない 最終的にこの10兆円を負担するのは消費者であるアメリカ国民 「米中貿易戦争が日本に「飛び火」するリスク トランプが自動車にイチャモンをつけたら?」 細川 昌彦 中間選挙が過ぎれば、人気取り政策の必要性は低下し、摩擦が解消に向かう可能性はある。他方、中間選挙の後も米中の覇権争いは続くだろう 共和党のことだから、レーガン大統領のときにそうだったように、プロの政治家たちがちゃんとコントロールするだろう」、などと考えていると今回はエライことになるわけです トランプ氏の政策は、米国の利益ではなく、自らの利益を重視した“トランプファースト”の政策というべきだ ぐっちーさん 日経ビジネスオンライン 仮に今検討している25%(トランプは実は20%だ、とツイートしている)の関税をかけるとすると、約900億ドル、つまりざっと10兆円の関税という話になり、これまでの話とは下手をすると、ケタの違う次元になってしまいます 欧州は報復措置を通して米国社会を揺さぶり、自制を求めている 安倍晋三首相との信頼関係という言葉もよく出てきますが、「トランプ大統領にしてみると、自分のいうことを聞く相手だけが信用できる、という話になっているだけで、だからと言って、政策的にどうするかはまったく別な問題だ 貿易戦争の展開を考える際、「中間選挙への人気取り政策」と、「米中の覇権争い」の二つに分けるとよい 東洋経済オンライン 藤原先生(東大教授)は基本的にトランプがやることは「思いつき」以外の何物でもなく、思いつきで行動する人がアメリカ大統領であるという危険性に(日本人は)早く気がつくべきだ、と指摘 元々、トランプ大統領の保護貿易主義的政策の意図は、米国内での生産を増やすことだった。それに反して、米国の有力企業が貿易摩擦のコストを引き下げるため、工場をわざわざ海外に移す決定をしたことは何とも皮肉なことだ ハーレーダビッドソン ハーレーの決定は、同氏の経済に関する理解が浅はかであり、その政策が長期的なビジョンに基づいていないことを示す機会になった EUは彼らの地元の産業に圧力をかけ、トランプ氏の暴走を食い止めることを求めている。特に、ハーレーは狙い撃ちにされた観が強い 真壁昭夫 欧州向けオートバイの生産を米国外に移転 。「米国のため」といわれてきた政策が、意図に反して米国の経済にマイナスに働く。この“ブーメラン効果”は無視できない 欧州委員会は、経済への影響は大きくはないが、政治的にはインパクトのある分野を選んだ (その3)(ハーレーの工場移転は序の口 トランプ通商政策の「ブーメラン効果」、米中貿易戦争が日本に「飛び火」するリスク トランプが自動車にイチャモンをつけたら?、関税合戦は序の口 深刻度増す“米中経済戦争” 日本も他人事でなくなる) ダイヤモンド・オンライン 「ハーレーの工場移転は序の口、トランプ通商政策の「ブーメラン効果」」 通商問題 主戦場になっているのが半導体 中国は米韓の半導体大手3社に対して、独禁法違反の疑いで調査を開始した。これも明らかに米国による半導体への規制を牽制するものだ。同時に、調査を通じて技術情報を入手することもできる。外国技術を奪取して、巨額の補助金で国内生産する 冷戦終結後、ココム廃止とともにこれに代えて、懸念国向けの軍事用途を輸出規制する国際的枠組みが作られ、私自身もこの策定に携わった。こうしたポスト・ココムとして現在実施されている輸出管理によって、軍民融合を標ぼうする中国への懸念に対してどう対応するかを見直している 議会が主導して安全保障の懸念を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を強化しようとしている。この法案にホワイトハウスが乗った形だ 米国が本気になった時の怖さだ 議会とナバロ大統領補佐官をはじめとする政権内の対中強硬派は共振しながら、「経済冷戦」へと突き進んでいる。トランプ氏による関税報復合戦だけに目を奪われていてはいけない 規制の対象としては「中国製造2025」の対象とされている10分野が焦点 80年代の日米貿易摩擦の時代には、82年に日立IBM産業スパイ事件、87年に東芝機械ココム事件があって、米国の圧力が激しさを増した記憶がよみがえってくる 国の通信メーカーZTE社の違法輸出問題 中間選挙を考えれば、トランプ氏の当面のターゲットは8月だろう。中国がそれまでにどういう協力のカードを切ってきて、戦利品としてアピールできるかがポイントだ 警戒すべきは個別事件 今後日米欧が連携して共同対処すべき分野だろう トランプ氏の関心は2つある。中間選挙に向けての得点稼ぎと中国との当面の交渉の駆け引きだ。 焦点になっているのが半導体製造装置 トランプ氏とトランプ氏以外を分けて考えるべきなのだ。トランプ氏以外とは議会、政権内の強硬派、ワシントンの政策コミュニティーだ 一方、議会をはじめとした対中警戒感は根深く、ワシントン全体の空気を覆っている。「貿易赤字問題からハイテク覇権問題にシフトしてきている」というメディアの報道もあるが、これは表層的な捉え方で正しくはない。貿易赤字問題は、これに関心があるトランプ氏による「旋律」で、ハイテク覇権の対中警戒感は、いわば「通奏低音」のようなものだ。この「通奏低音」が大きくなって、「トランプ旋律」以上に耳に入ってくるようになっているのだ 世界貿易機関(WTO)をはじめとする「ルールに基づく国際的な経済秩序」であった。日本の存立基盤でもある。それが崩壊の危機に瀕しているというのが本質的問題 「関税合戦は序の口、深刻度増す“米中経済戦争” 日本も他人事でなくなる」
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安倍政権の教育改革(その8)(「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている、迷走する大学入学共通テスト、英語スピーキングと同じ 絶対おやめなさい情報入試 ワーキングプアの量産マシーン化し 学力低下に拍車かける危険性) [国内政治]

安倍政権の教育改革については、4月22日に取上げた。今日は、(その8)(「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている、迷走する大学入学共通テスト、英語スピーキングと同じ 絶対おやめなさい情報入試 ワーキングプアの量産マシーン化し 学力低下に拍車かける危険性)である。

先ずは、経済ライター、Beacon Reports発行人のリチャード・ソロモン氏が4月21日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/217521
・『外交専門誌『The Diplomat』に掲載された日本政府による愛国心育成に向けた教育に関する記事を紹介する。 日本を再び「偉大な国」にしようとしている。東京大学大学院教育学研究科の教育社会学者、本田由紀教授は、日本の義務教育制度において国家が後押しする権威主義の台頭を懸念している。学習指導要領において愛国心が教えられていると危惧しているのだ・・・高校を皮切りに今後数年にわたって、新学習指導要領が導入される予定だが、子どもたちには第2次世界大戦、また、それ以前にも増して類を見ない形で国へ貢献するよう、さらに大きなプレッシャーがかけられるかもしれない。「その目的は生徒の能力を育てるのではなく、日本を再び『偉大な国』にするために人々を利用しようしている」と本田教授は指摘する。 本田教授は、安倍晋三首相が教育勅語の精神の復興を望んでいることを危惧している』、との指摘はその通りだ。
・『本田教授は、3つの同心円を描き、その中心を差して日本全国の学校のうち、1~2割程度が超国家主義的であると解説。この中には、地域的に国家主義的なところが含まれている。加えて、その外側にあたる全体の2~3割程度は権威主義的な学校だと見ている。「全体主義は日本の学校教育でよく見られる特徴だ」と同教授は話す。 全体主義の例として、毎日、生徒に厳しい練習を課す部活動がある。中学校では、スポーツ系部活の約半分が、活動頻度が高すぎたり、教師による体罰が行われていたりと「ブラック的」な性質を持つと言われている。教師と生徒は大会で勝つというプレッシャーがあるため、練習を「緩める」ことができないのである』、確かに全体主義傾向が広く見られるのは由々しいことだ。
・『毎日新聞は先日、「ブラック校則」なるものがここ40年でピークに達していると報じた。中には、生徒が眉毛を剃るのを禁止したり、下着の色を規制するものまである。「問題は全体主義の特徴を持たない学校でさえ、厳格な規則が存在することだ」と本田教授は話す』、ブラック校則が大手を振ってまかり通る日本社会はどう見ても異常だ。
・『厳しい指導が行われる理由の1つは、大人数のクラスを維持するためだ。1クラスあたり生徒数30〜40人というのは、OECD(経済協力開発機構)の国々の中でも最大規模だ。 クラスでは、生徒たちは皆と同じように振る舞うことが求められる。教師はたいていの場合、「ほかと歩調を合わせられない生徒を良く思わない」と本田教授。1学級の人数があまりにも多すぎるため、個別に指導できないからだ。 厳しい指導が行われるもう1つの理由は、生徒たちを「よい大学」に入れるためだ』、との説明も説得力がある。
・『極右国家主義者は1953年に朝鮮戦争が休戦した後、失われた地盤を取り戻した。その時までには、米国の占領軍はすでに日本を去っていた。たとえば、文部大臣は教科書に南京虐殺を記載するのを禁じた。1960年代、1970年代、そして1980年代には一連の有名な訴訟が行われ、家永三郎という名のリベラルな歴史学者が教科書検定制度の合憲性を争った・・・最終的に最高裁判所は文部省が憲法に違反して教科書を検閲したとの判決を出した』、この最高裁判決と現在の検定制度がどのようにつながっているのか、についての説明が欲しいところだ。
・『2007年、安倍政権・・・の最初の任期中、学校の教室で愛国心が教えられるよう教育基本法が改正された。読み、書き、計算の基本的な技能を教わるのと同様に、生徒は国への愛を学ばなければならない。最近採用されたガイドラインでは、公式見解に合った学校教科書を使うことが要求されている。たとえば、問題となっている領土(尖閣諸島など)は、日本名で呼ばれている。そして、この新学期から、道徳が小中学校の通常授業に追加された。 2019年に発表される次の改訂学習指導要領では、さらに国家主義色が強まるだろう』、教育をここまで右傾化させた自民党、安倍政権の罪は重い。

次に、5月4日付けNHK時論公論「迷走する大学入学共通テスト」を紹介しよう。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/296800.html
・『大学入試センター試験に代わって2021年から導入される大学入学共通テストを最初に受験することになる生徒が先月、高校に入学しました。しかし、共通テストはいまだに問題点の指摘が相次ぎ、現実に受験する生徒を迎えた高校にとっても指導方針を固めきれない状況が続いています』、当該高校生にとっては準備不足は深刻な問題だろう。
・『去年11月の1回目のプレテストでは、国語と数学に3題の記述式問題が出されました・・・記述式で・・・国語は、会話文と資料を読み解いた上で、25字、50字、120字の記述を求める問題が出されました。それぞれの正答率を見ると25字と50字は73.5%と43.7%でしたが、120字は0.7%となりました。 数学は3問とも正答率が1割を切ったことに加え、そもそも半数前後の生徒は、問題に解答すらしていませんでした・・・極端に正答率が低くなれば、受験生の選抜には使えないという意見も出ます。差が付かないのなら最初から解くのを止めてしまおうと考える受験生が出ることも予想されます。それでは何のための記述式の導入かわからなくなります』、このような惨憺たる結果になることは、予め予想された筈だ。
・『英語はどうでしょう。一言で言うと、さらに大きな問題を抱えています。 当初文部科学省は、共通テストの英語はすべて民間の検定試験を活用する方向で検討を進めていましたが、大学や高校側の要請もあり、今のマークシート式の試験を4年間継続することになりました。 民間の検定試験で認定されたのは、こちらの7種類です・・・しかし当初から、そもそも試験の目的が異なる検定試験を指標にあわせて換算して入試に使うこと自体、無理があるという多くの専門家の声がありました。試験によって実施方法や実施場所、検定料も異なります。地域間格差や家庭の経済状況次第で受験回数が左右されるという指摘も出ていました』、細部を詰めないまま、入試改革が走り出し、問題点が続出というのでは、開いた口が塞がらない。
・『東京大学で入試を担当する福田裕穂(ひろお)副学長が3月の記者会見で民間の検定試験の結果を活用しない方針を示しました。複数の異なる検定試験の成績を公正公平に比較することが難しいことなどが理由でした。ところが東京大学は、先週になって同じ福田副学長名でホームページ上に「民間の検定試験の具体的な活用方策について学内にワーキンググループを設置して検討する」などとする「入学者選抜に関する考え方」を公表しました。これでは3月に示した検定試験の問題点は何も解決していないが、見切り発車で活用はすると言っているに等しいのではないか。影響が大きい東京大学がこの期に及んで揺れるようでは、3年間を通して受験に向けた指導を進める高校自体の混乱につながり、受験生の不安を煽ることにもなりかねないでしょう』、恐らく東大の変身には文科省などからの圧力があったのかも知れない。
・『予備校や塾の関係者を取材すると、高校1年生の間には、大学受験制度が変わることへの不安から、「苦労して行きたい大学を目指すより、行ける大学を受ければいい」といういわば安全思考を口にするケースが本人からも保護者からもみられると言います。高校の先生たちにとっても、制度の問題点があやふやな状態では、行きたい大学を目指せという本来あるべき指導はしにくいでしょう』、というのであれば、早目に実施の延期を決めるべきだろう。

第三に、作曲家=指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督で東大准教授の伊東 乾 氏が5月22日付けJBPressに寄稿した「英語スピーキングと同じ、絶対おやめなさい情報入試 ワーキングプアの量産マシーン化し、学力低下に拍車かける危険性」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53135
・『「25年大学入試に『情報科目』追加・・・首相方針」という報道の見出しを見て、これはダメだと思いました。 さらに報道の内容を見てみると、「プログラミングなどに関する『情報科目』を国語や英語と並ぶ基礎的科目として大学入試に追加する方針」と記されており、完全にアウトと判断した次第です・・・情報部署の教官として大学で研究教育の現場に立つ1人として、所感を記したいと思います。やめた方がいいという結果になるのが目に見えるように思われます』、その理由は以下に。
・『私たちが大学1年前期の必修「情報」で最初に教えるのは、「電源の入れ方、システムの立ち上げ方」に始まり「安全なシャットダウンの仕方」「フリーズなどした際の対処法」などです・・・その次に教えるのは「べからず集」です。例えば次のようなケースです・・・「B君は、アイドルのファンサイトにたくさん投票したいと考え、友達のアカウントのパスワードを盗んで回り、違うユーザとしてファン投票をした」「高位入賞のお礼メールがアイドルの事務所サイドから送られて来て、そんなものに投票した記憶がない同級生たちの間で話題になり、調査の結果、パスワード盗用の事実が発覚、学籍剥奪、放校」 念のため・・・実際に東京大学教養学部で発生したケースです・・・それなのに、毎年のように愚の骨頂のような情報システム上のルール違反、不正行為を繰り返す学生が後を絶ちません』、というのは驚きだが、「どうせバレないだろう」と行動してしまうのが人の性のようだ。
・『高等学校レベルの「情報教科」で重要な内容は何かと問われたら、「1にリテラシー 2にリテラシー、3、4がなくて、5にリテラシー」と答えます。 現実のネット環境は、ありとあらゆる犯罪と不正の温床です。おかしなスパムメールが来たら開かないこと、自分もスパムなどは決して撒かないこと。 世間には犯罪者が山のようにネットにアクセスして、獲物を狙って手ぐすねを引いています。 間違っても「自殺勧誘サイト」などに近づかないこと。ましていわんや、そんなところで知り合った人間と「オフ会」などと称して実際に会ったりしないこと・・・』、なるほど。
・『私が本質的に、一番やめた方がいいと思うのは、報道にあった「プログラミングなどに関する情報科目」という部分の方にほかなりません。  はっきり書いてしまうなら、ワーキングプア量産の最短手順のようなことになりかねないからです。 「プログラミング教育?」という罠 情報科学を身に着けるうえでは、考えもなしにソースコードに当たってあれこれいじるのは、一番「筋の悪い」ケースの典型と思います。 「プログラミングを覚えたい」という人がいますが、それはどこかで決定的に間違っている。プログラムする以前の、問題を考える力なり理解の総体があって、その中で一部の問題解決を実装する段になって、初めて「プログラミング」が本来は関係してきます』、「ワーキングプア量産の最短手順のようなことになりかねない」とはまさに本質を突いている。
・『本当の意味で「読み書きそろばん」に相当する基礎は「情報科学」で、手先だけ動けばよいという「プログラミング」だけ適応しても、言語の世代は数年単位で変わっていくし、自動的ソースコード生成も技術が進んでいます』、なるほど。
・『ある問題をコンピュータ―で院生と計算していたのですが、某一流企業から来た人がそれにコミットしていて、原理的におかしな計算を「指導」してくれていました。 当然ながらおかしな結果が出て来ます。それを、すでに中年の一流企業の人は「こういうときは、出てきた結果をどう説明するかが重要・・・」と、全く素っ頓狂な「解釈」で本質から一直線に外れて、およそ話にならなかった。 この「間違った計算」には、いわゆるプログラミング上のバグがあるわけではなく、やっていることが本質的にナンセンスなのですが、それが分からない。 超一流のコンサルタント企業として、時給何万円というお金を外では取っているらしいですが、中身はそんなものも、現実に存在しています』、信じ難い話だが、事実なのだろう。
・『「では、お前ならどうするか」という問いには、こう答えます。「だから大学に入って来た連中に、指導要領に関係なく、中学時点の内容から出発して、地頭で縦横に感じ考えながら、計算機も強力な武器として活用しつつ、未踏の沃野に踏み出していけるような、若い人の育成に取り組んでいる」 当然ながら、数理も外国語も普通に使い、国際的にもイニシアティブをとっていく強い内容を扱います。 国内でしか通用しない、指導要領の縛りがいかに強すぎ、人材育成の足かせになっているか分からないまま、安易に入試制度に手を突っ込んでも、改革転じて改悪にしかならないリスクが高いのは、すでに前例があまた実証してきた通りでしょう・・・万が一そういうものができたら、私は、指導要領の縦割り無関係に、中学生にも分かる本質、例えば素因数分解から始めて、セキュリティの数理を1の1から教えるような、王道の卓越カリキュラムを工夫するようにします』、なるほそ、そういう授業を受けてみたいものだ。
タグ:本田由紀 外交専門誌『The Diplomat』 「「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている」 東洋経済オンライン リチャード・ソロモン (その8)(「愛国心」育成狙う日本政府の危うい教育方針 海外メディアは日本をこう伝えている、迷走する大学入学共通テスト、英語スピーキングと同じ 絶対おやめなさい情報入試 ワーキングプアの量産マシーン化し 学力低下に拍車かける危険性) 安倍政権の教育改革 本当の意味で「読み書きそろばん」に相当する基礎は「情報科学」で、手先だけ動けばよいという「プログラミング」だけ適応しても、言語の世代は数年単位で変わっていくし、自動的ソースコード生成も技術が進んでいます 私が本質的に、一番やめた方がいいと思うのは、報道にあった「プログラミングなどに関する情報科目」という部分の方にほかなりません。  はっきり書いてしまうなら、ワーキングプア量産の最短手順のようなことになりかねないからです 等学校レベルの「情報教科」で重要な内容は何かと問われたら、「1にリテラシー 2にリテラシー、3、4がなくて、5にリテラシー」と答えます 毎年のように愚の骨頂のような情報システム上のルール違反、不正行為を繰り返す学生が後を絶ちません その次に教えるのは「べからず集」です 必修「情報」で最初に教えるのは、「電源の入れ方、システムの立ち上げ方」に始まり「安全なシャットダウンの仕方」「フリーズなどした際の対処法」などです 完全にアウトと判断した次第 プログラミングなどに関する『情報科目』を国語や英語と並ぶ基礎的科目として大学入試に追加する方針 25年大学入試に『情報科目』追加・・・首相方針 「英語スピーキングと同じ、絶対おやめなさい情報入試 ワーキングプアの量産マシーン化し、学力低下に拍車かける危険性」 その目的は生徒の能力を育てるのではなく、日本を再び『偉大な国』にするために人々を利用しようしている JBPRESS 伊東 乾 苦労して行きたい大学を目指すより、行ける大学を受ければいい」といういわば安全思考を口にするケースが本人からも保護者からもみられると 先週になって同じ福田副学長名でホームページ上に「民間の検定試験の具体的な活用方策について学内にワーキンググループを設置して検討する」などとする「入学者選抜に関する考え方」を公表 3月の記者会見で民間の検定試験の結果を活用しない方針 東京大学で入試を担当する福田裕穂(ひろお)副学長 英語はどうでしょう。一言で言うと、さらに大きな問題を抱えています 数学は3問とも正答率が1割を切ったことに加え、そもそも半数前後の生徒は、問題に解答すらしていませんでした 語は、会話文と資料を読み解いた上で、25字、50字、120字の記述を求める問題が出されました。それぞれの正答率を見ると25字と50字は73.5%と43.7%でしたが、120字は0.7%となりました 1回目のプレテスト 共通テストはいまだに問題点の指摘が相次ぎ、現実に受験する生徒を迎えた高校にとっても指導方針を固めきれない状況が続いています 2021年から導入される大学入学共通テストを最初に受験することになる生徒が先月、高校に入学しました 迷走する大学入学共通テスト NHK時論公論 この新学期から、道徳が小中学校の通常授業に追加 学校の教室で愛国心が教えられるよう教育基本法が改正 最終的に最高裁判所は文部省が憲法に違反して教科書を検閲したとの判決を出した 極右国家主義者は1953年に朝鮮戦争が休戦した後、失われた地盤を取り戻した。その時までには、米国の占領軍はすでに日本を去っていた。たとえば、文部大臣は教科書に南京虐殺を記載するのを禁じた。1960年代、1970年代、そして1980年代には一連の有名な訴訟が行われ、家永三郎という名のリベラルな歴史学者が教科書検定制度の合憲性を争った われるもう1つの理由は、生徒たちを「よい大学」に入れるためだ 大人数のクラスを維持するためだ。1クラスあたり生徒数30〜40人というのは、OECD(経済協力開発機構)の国々の中でも最大規模だ 問題は全体主義の特徴を持たない学校でさえ、厳格な規則が存在することだ ブラック校則 安倍晋三首相が教育勅語の精神の復興を望んでいることを危惧している 全体主義は日本の学校教育でよく見られる特徴だ 日本の義務教育制度において国家が後押しする権威主義の台頭を懸念している。学習指導要領において愛国心が教えられていると危惧しているのだ
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日本のスポーツ界(その14)(小田嶋 隆氏:我々には外側が必要だ) [社会]

日本のスポーツ界については、7月8日に取上げた。今日は、(その14)(小田嶋 隆氏:我々には外側が必要だ)である。

コラムニストの小田嶋 隆氏が7月6日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「我々には外側が必要だ」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/070500150/
・『大会前の時点での正直なところを述べるに、私は、日本代表の戦いぶりについて、3連敗でグループリーグを去ることもあり得ると考えていた。 特に、コロンビア代表に対しては100%勝てないだろうと踏んでいた。  結果は、ご案内の通り。わがチームの完勝だった。 ひとことで言って、完全な私の認識不足だった。 私は自分の国の代表チームの底力を見誤っていた。 各方面におわびを申し上げたい。 今大会を通じて、私が見誤っていたのは日本代表のチーム力だけではない。ほかの国の代表チーム同士の試合も、ほとんど神秘的なほどに予想を違えている』、と今回は自己批判から始まったのは、ある意味で当然だろう。
・『戦前に抱いていた予想と、現実に残されたゲームのスコアを見比べてみてあらためて思うのは、自分がFIFAランキングという、過去の戦績から機械的に算出しただけの数値を絶対視しているそこいらへんのド素人に過ぎなかったということだ・・・私もまた、世間の多数派が唱える通説に従っているだけの哀れな風見鶏だった。 別の言葉で言えば、私は無定見な権威主義者だったということだ』、と自虐的に責めている。
・『実況アナウンサー氏は・・・そのとりとめのない時間つなぎの語りのなかで、彼は、今回の代表チームの成り立ちについて 「監督が代わってオールジャパンで挑んだ今大会です」と言ったのだ・・・彼の言っていた「オールジャパン」という言葉のニュアンスは、「日本国籍を持っている日本人だけで構成されている、混じりけのない日本人だけのチーム」ということではなく、「日本の力を結集してみんなで頑張る日本代表」といった程度の意味で言っただけの言葉だったと考えた方が自然だろう。 だとすれば、アナウンサー氏の言葉に対して 《つまりアレか? 監督が外国人だとオールジャパンじゃないという認識なわけか?》 という反応をしたオダジマの感覚が、むしろ過剰反応だったということでもある。 この点は、ご指摘の通りだ。 私は、過剰反応していたようだ』、自己批判はここまでで、次に反撃に出る。
・『私が過剰反応してしまったことには、それなりの理由がある。4月にハリルホジッチ前監督が突然解任されてからこっち、代表チームの動静や現状を伝えるメディアの記事や番組のトーンがガラリと変わったことに、私は不信感を抱いている。 特にハリルホジッチ氏が指揮をとっていた時代、選手選考や戦術などについてあれこれと憶測や邪推を繰り返しては采配批判をしていたスポーツ新聞各紙の論調は、西野さんが代表監督に就任して以降、手のひらを返したように好意的になった。 こうした記事を眺めながら、私は、「メディアがJFA(日本サッカー協会)の顔色をうかがっているというよりは、JFAがメディアの意思を忖度した結果があの解任劇だったのではなかろうか」 と考えるようになった』、というのはうなずける話だ。
・『もうひとつ、私がNHKのアナウンサーの言葉を邪推せねばならなかった理由は、ちょうどベルギー戦の前日の深夜に、東京の民放局が制作したデイリーハイライト的番組の冒頭で、日本人監督を後押しする意図を持っているようにしか思えない企画を放送していたからだ・・・決勝トーナメントの初戦を翌日に控えたタイミングで、どうして次期監督の人選を持ち出さなければならないのかに、私は少なからぬ疑問をいだいた。 なお、番組は、この質問を持ち出すにあたって、「これまで、開催国として臨んだ日韓W杯のケースを除けば、日本代表が決勝トーナメントに進んだのは、日本人監督の時だけです」 というナレーションを画像とテロップつきで紹介している。 この誘導的なテロップが効果を発揮したからなのかどうか、出演者の回答は、Aの日本人が4人、Bの外国人が1人、もうひとりは棄権だった。 つまり、番組としては、次期監督にはぜひ日本人をという結論を匂わせたカタチだ。 これを見たばかりだったので、私は、「またぞろJFAならびに日本サッカー村が、外国人排除に動き出したぞ」という予断を抱かざるをえなかった』、ベルギー戦の前日の深夜に次期監督にはぜひ日本人をという番組が流れたとは早手回しだ。。
・『私自身、サッカー関係の取材仕事に何回か従事したことがあるだけに、あの業界の空気はなんとなくわかっている。 あそこで、仕事をするためには、かなりの数の人々に顔つなぎをしないといけないし、その結果、「顔をツブしてはいけない人」が順次増えていく結果になる。 私のような通りすがりの取材者ですら、間に何人も人を介さないとプロの選手のインタビュー取材にはたどりつけない。と、当然、いくつかの質問は、それらの関係者への配慮から断念せねばならない。  で、結局、記事は微妙に食い込みの甘い出来上がりになる。 私のような半アウトサイダーの書き手ですら、このありさまだ。まして、協会やスポンサー筋の人間と不即不離のカタチで移動しながら取材している専業の記者やライターともなれば、書けないことだらけになる。 サッカーの業界は、グローバルにはばたくワールドワイドな世界のようでいて、その実、わりと狭い・・・ほとんどの人間が顔見知りで、特に親しい間柄でなくても、間に知人を一人挟めば全員がツーカーの仲良しグループということになる。 であるから、互いの批判はタブーになる』、なるほどそこまで狭い社会だということは初めて知った。道理で、解説者でも、辛口で有名なセルジオ越後氏を除いては、皆、ヨイショばかりでつまらないのも納得がいく。
・『監督の性格がどんなに温順で、協会のトップの組織運営がどれほど柔軟であっても、同じ人々が長きにわたって指導的な立場を占めていると、われわれの国の組織は必ずや日大アメフト部化することになっている。この傾向に例外はない。日本相撲協会も芥川賞選考委員会も経団連も経済同友会も、日本の主だったムラ社会チームはどれもこれも決して言語化されない相互忖度ガバナンスのもと、コックリさんみたいな意思決定でメンバーにタコ踊りを強いている。 だからこそ、多少チーム内の空気がギクシャクしても、スポンサーの機嫌を損ねることがあっても、代表チームにはぜひ外国人の指導者を迎えなければならないと、私は以前から口を酸っぱくして同じ言葉を繰り返している次第なのだ』、全くその通りと、同感である。
・『外国人が監督なら、監督はスポンサーの意向を忖度しないし、コーチは放送局の要望するスタメンに配慮しないし、記者は記者で遠慮なく思うところを記事に書くし、選手も疑問点は言葉にして質問するマナーを身体化するようになる。 そうやって、あらゆる意図や反発や感情や戦術的迷妄をいちいち言語化していたら、なるほどチーム内には議論が絶えないだろうし、時には意見の合わない者同士が感情的に反発する事態も起こるだろう。 が、サッカーというのは、1人ひとりの選手や監督や記者やファンがそうやってアタマの中にあるもやもやしたあれこれを言葉にして外に出すことで前に進んでいく競技なのだと私は思っている』、その通りなのかも知れない。
・『私が日本代表に外国人監督を求めるのは、チームに「外部」が必要だと考えるからだ。 その意味で、日本代表がジャパニーズオンリーに落ち着きそうな現状には憂慮の念を抱いている。 オールジャパンにもあんまり賛成したくない。 オールモストジャパンくらいでちょうど良いのではなかろうか』、自己批判から出発して、自論に持ってくる筆さばきはさすがだ。
・なお、7月1日付けの告知で、小田島氏の場合は、例外的に全文を紹介するとしたが、コメントで長目に引用しているため、全文の紹介は止めた。興味ある方は、リンク先で読んで頂きたい。
タグ:その意味で、日本代表がジャパニーズオンリーに落ち着きそうな現状には憂慮の念を抱いている ベルギー戦の前日の深夜に、東京の民放局が制作したデイリーハイライト的番組 日本代表が決勝トーナメントに進んだのは、日本人監督の時だけです」 というナレーションを画像とテロップつきで紹介 日本人監督を後押しする意図を持っているようにしか思えない企画を放送 ほかの国の代表チーム同士の試合も、ほとんど神秘的なほどに予想を違えている ひとことで言って、完全な私の認識不足だった。 私は自分の国の代表チームの底力を見誤っていた 大会前の時点での正直なところを述べるに、私は、日本代表の戦いぶりについて、3連敗でグループリーグを去ることもあり得ると考えていた 「我々には外側が必要だ」 メディアがJFA(日本サッカー協会)の顔色をうかがっているというよりは、JFAがメディアの意思を忖度した結果があの解任劇だったのではなかろうか」 と考えるようになった 私が日本代表に外国人監督を求めるのは、チームに「外部」が必要だと考えるからだ 外国人が監督なら、監督はスポンサーの意向を忖度しないし、コーチは放送局の要望するスタメンに配慮しないし、記者は記者で遠慮なく思うところを記事に書くし、選手も疑問点は言葉にして質問するマナーを身体化するようになる。 そうやって、あらゆる意図や反発や感情や戦術的迷妄をいちいち言語化していたら、なるほどチーム内には議論が絶えないだろうし、時には意見の合わない者同士が感情的に反発する事態も起こるだろう。 が、サッカーというのは、1人ひとりの選手や監督や記者やファンがそうやってアタマの中にあるもやもやしたあれこれを (その14)(小田嶋 隆氏:我々には外側が必要だ) 西野さんが代表監督に就任して以降、手のひらを返したように好意的になった サッカーの業界は、グローバルにはばたくワールドワイドな世界のようでいて、その実、わりと狭い 多少チーム内の空気がギクシャクしても、スポンサーの機嫌を損ねることがあっても、代表チームにはぜひ外国人の指導者を迎えなければならないと、私は以前から口を酸っぱくして同じ言葉を繰り返している次第なのだ ハリルホジッチ前監督が突然解任されてからこっち、代表チームの動静や現状を伝えるメディアの記事や番組のトーンがガラリと変わったことに、私は不信感を抱いている この傾向に例外はない。日本相撲協会も芥川賞選考委員会も経団連も経済同友会も、日本の主だったムラ社会チームはどれもこれも決して言語化されない相互忖度ガバナンスのもと、コックリさんみたいな意思決定でメンバーにタコ踊りを強いている 私のような通りすがりの取材者ですら、間に何人も人を介さないとプロの選手のインタビュー取材にはたどりつけない。と、当然、いくつかの質問は、それらの関係者への配慮から断念せねばならない 過剰反応してしまったことには、それなりの理由 私は、過剰反応していたようだ 日本のスポーツ界 日経ビジネスオンライン 、「日本国籍を持っている日本人だけで構成されている、混じりけのない日本人だけのチーム」ということではなく、「日本の力を結集してみんなで頑張る日本代表」といった程度の意味で言っただけの言葉だったと考えた方が自然だろう 協会やスポンサー筋の人間と不即不離のカタチで移動しながら取材している専業の記者やライターともなれば、書けないことだらけになる 監督が代わってオールジャパンで挑んだ今大会です 結局、記事は微妙に食い込みの甘い出来上がりになる 同じ人々が長きにわたって指導的な立場を占めていると、われわれの国の組織は必ずや日大アメフト部化することになっている あそこで、仕事をするためには、かなりの数の人々に顔つなぎをしないといけないし、その結果、「顔をツブしてはいけない人」が順次増えていく結果になる 組としては、次期監督にはぜひ日本人をという結論を匂わせたカタチだ 実況アナウンサー 自分がFIFAランキングという、過去の戦績から機械的に算出しただけの数値を絶対視しているそこいらへんのド素人に過ぎなかったということだ・・・私もまた、世間の多数派が唱える通説に従っているだけの哀れな風見鶏だった 互いの批判はタブーになる
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東京都の諸問題(その14)豊洲新市場移転8(小池知事最側近が「絶対にできない」と断言!豊洲地下水管理のまやかし、小池都知事vs万葉倶楽部 豊洲の千客万来問題が解決不可能なワケ、豊洲市場 移転まで100日を切っても残る「5つの大問題」) [国内政治]

東京都の諸問題(その14)豊洲新市場移転8については、1月6日に取上げた。今日は、(小池知事最側近が「絶対にできない」と断言!豊洲地下水管理のまやかし、小池都知事vs万葉倶楽部 豊洲の千客万来問題が解決不可能なワケ、豊洲市場 移転まで100日を切っても残る「5つの大問題」)である。

先ずは、4月27日付けダイヤモンド・オンライン「小池知事最側近が「絶対にできない」と断言!豊洲地下水管理のまやかし」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/168871
・『小池百合子・東京都知事の最側近である小島敏郎氏は、安全のため必要とされる地下水位の管理を「絶対にできない」と断言。都は局所的に強力なポンプを使って“追い風参考記録”的に水位を下げていることを初めて認めた。「できない」ことを「できる」と言いくるめて、このまま移転に持ち込むつもりなのだろうか・・・環境大臣時代からの最側近で、知事就任後は都特別顧問として築地市場移転問題を切り回し、現在は都議会会派「都民ファーストの会」事務総長を務める小島敏郎・青山学院大学教授』、小池ベッタリの最側近が「絶対にできない」と断言するとは、全くの混迷状態にあるようだ。
・『小池知事に再招集された「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」は、2017年11月にまとめた報告書の中で、土壌の有害物質が、上昇する地下水と共に漏出するのを防ぐため「地下水管理システムの機能強化を図り、早期に目標管理水位(A.P.+1.8m)まで地下水位を低下させるとともに、地下水位上昇時の揚水機能を強化する必要がある」と指摘した。 これを受けて、地下水管理システムを強化したり、有害物質が建物内に進入しないよう床をコンクリートで覆う「追加対策工事」が現在進行中だ』、なるほど地下水位を低下させることは重要なようだ。
・『小島氏自身が座長を務めた「市場問題プロジェクトチーム」もまた17年8月、地震時の液状化現象を防ぐためには、地下水位をA.P.+1.8mで管理する必要があると指摘。座長自ら“ちゃぶ台返し”をしていては、元も子もない・・小池知事への心酔ぶりをいまだに隠さない小島氏だが、彼が書き上げる台本に従って今後の小池知事が振舞えば、ジリ貧に転じながらも細々と続いている“小池劇場”のクライマックスは、さぞ悲劇的なものとなるだろう』、との予言は不気味だ。
・『「ウェルポイント」(WP)と呼ばれる揚水設備・・・揚水期間は80日と決められている・・・WP「No.6-3」は、地下水位の観測井戸「6-⑥」に極めて近く、ほとんど重なる場所にあることがお分かりいただけるだろう。5街区や7街区でも、WPと地下水位の観測井戸に近い場所が複数ある。 それもそのはず、そもそも「局所的に地下水位の高い箇所にWPを設置している」(都中央卸売市場の山本諭・環境改善担当課長)のであり「WPを設置した箇所の地下水位が下がってきているのは事実」と認めた。 小池知事は4月13日の記者会見で「現在も地下水位の高さは、平均でA.P.+2.0mに落ち着いてきているということでございます」と嬉々として述べたが、あくまでWPによる“追い風参考記録”であることには、まるで言及しなかった』、本当は何の意味もない工事で、騙すとは悪質だ。
・『WPの揚水期間は80日だ。これでは、豊洲移転を前に小池知事から発せられるであろう「安全宣言」のタイミングに合わせて、WPを使って一時的に地下水位の数値を下げようとしていたと疑われても仕方あるまい・・・WPの効果は局所的であり、その影響で下がった地下水位はあくまで“追い風参考記録”だ。WP周辺の地下水位が下がったからと言って、敷地全体の地下水位が下がっていると判断できる理由には、ならないのである』、小細工もここまでくると、呆れてしまう。こんなことで、移転を強行するとは信じられない。しかも、マスコミが本来は神通力を失った小池知事に遠慮して真相を伝えない姿勢にも腹が立つ。

次に、5月22日付けダイヤモンド・オンライン「小池都知事vs万葉倶楽部、豊洲の千客万来問題が解決不可能なワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/170486
・『千客万来施設とは、豊洲市場に隣り合う場所で計画された、温泉やホテル、商業店舗などから成る複合施設だ。築地からの市場移転を江東区が受け入れるにあたり、地元の賑わいを生み出す機能を求めた経緯がある。 豊洲への移転後、築地市場跡地は民間に売却される計画だったが、小池百合子東京都知事は昨年6月、「築地は守る、豊洲は活かす」と述べて、築地跡地を売却せずに都が保有し続け、再開発して民間に貸し出し、地代収入を得る方針に変更した。再開発後の姿として「食のテーマパーク」を掲げた。 これに万葉側が、自社の計画と競合するとして反発。小池知事に対して方針転換の撤回と謝罪を求めている』、問題は小池都知事の思い付き的政策変更にある。
・『小池流の「築地・豊洲両立案」なるもの自体がそもそも“欠陥品”なのだ。 要約すると、都の事務方は、築地跡地を民間に貸し出すことで、2021年度から50年間、年間160億円の地代収入を得続け、かつその途中で債務の借り換えをすれば、豊洲市場の建設によって生じた約3600億円の負債を解消できると試算した。 ところがこの試算では、住宅価格の積算根拠が東京・表参道のそれを用いるなど極めて非現実的であり、本誌が不動産の専門家の知見を得て検証したところ、年間160億円の地代収入を得続けるのは、まず無理だとの結論を得た』、東京都の役人の試算も、忖度のためか随分いい加減なようだ。
・『自らぶち上げた方針転換によって、千客万来施設をめぐる問題を膠着させ、自分の首を絞めてしまった小池知事。何ら打開策を示さぬまま、10月11日の移転を進める方針を変えていない。 そんな小池知事に移転反対派の関係者は、「インパール百合子」という不名誉な呼び名を授けた・・・思えば小池知事が16年の知事就任直後、インパールやレイテ海戦など旧日本軍の数々の作戦の失敗を子細に検証した名著『失敗の本質』を座右の書に挙げて「都政は敗戦するわけにはいきませんので」と、引き締まった表情で語っていたのは、なんとも皮肉なことである』、というのは痛烈な一撃だ。
・なお、6月1日付け日経新聞は、「豊洲集客施設、にぎわい創出へ折衷案 万葉が事業継続 20年着工で合意当面、都が暫定運用」と伝えた。「2020年に着工する方向で合意。20年までは都が暫定施設を運用。両者の協議は膠着が続き、豊洲市場の先行きを不透明に。豊洲のにぎわいを確保するために折衷案で落ち着いた格好だ。ただ具体的な計画作りはこれからで、依然予断は許さない」とのことで、合意とは名ばかりの「先送り」である。まだまだ曲折が不可避のようだ。

第三に、7月6日付けダイヤモンド・オンライン「豊洲市場、移転まで100日を切っても残る「5つの大問題」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/174194
・『ある仲卸業者の男性は「10月に移転すると言われても、まるで実感がないんだよなあ」と話す。 それもそのはず、「機材などの引っ越しの具体的な計画について、引っ越し業者から何の連絡も相談もない」(前出の仲卸業者)。 加えて、本誌がこれまで指摘してきたように、地下水の汚染の拡大を防ぐ「追加対策工事」では解決できない問題が今なお残っているほか、業者の「使い勝手」を豊洲においても確保するための手立てが、7月6日現在においても、まるで取られていないのが現実だ。 さらに、建物の構造に由来する根本的な欠陥が残されたままであり、移転再延期やむなしとの見方も強まっている』、確かに正式の移転が決まってない以上、引っ越しの計画はまだなのはやむを得ないが、その他の問題も未解決のままというのは異常だ。
・『問題1:仲卸業者の店舗スペースが使い物にならない・・・これでは冷蔵庫の扉を開けることもままならないだろう・・・魚肉には脂分も含まれており、衛生管理のためにも洗浄は不可欠だ。ましてや500もの仲卸業者がひしめき、毎日大量の海産物を調理・販売する場所で、水洗いもままならないとは、衛生管理上あまりに非現実的だ』、こんな使い勝手の悪さをどう克服するのだろう。
・『問題2:車両での移動が危険すぎる。 店舗のスペースや床の問題は、結局のところ、国内設計業界の最大手である日建設計が、市場の業務の実態を理解しないで設計し、そのまま建設されたことが要因である。それは他にも、人命にかかわりかねない重大な問題を生み出した』、利用実態を把握した上で設計するのが、設計のイロハだ。それを無視した日建設計や設計案を承認した東京都の責任は誠に重大だ。
・『問題3:「コールドチェーン」構想は崩壊。 築地市場は、カラスやネズミが出入りしていて、不衛生だといわれる・・・都は豊洲新市場を整備するにあたり、外部から運ばれた海産物を、搬入から取引、そして出荷まで一定の温度に保たれた閉鎖空間の中で一気通貫で行う「コールドチェーン」を実現できるとアピールしていた。 だがそれは、10月の開場を前に断念した・・・築地よりもまずいのは、建物内の換気の悪さだ。昨夏には、建物内の約100店舗でカビが発生。そのため現在では、かなり低温に設定した冷房を入れ、業務用の扇風機を回し続けている状況だ。ここまでしなければ衛生的な環境が保てないのが、最新鋭の食品卸売市場として造られた豊洲新市場の実態なのである』、
・『問題4:地下水位が下がらない』、については第一の記事参照。
・『問題5:移転反対派の仲卸業者が、築地での営業権を主張・・・明治学院大学名誉教授の熊本一規氏は、“理事会の総意”であっても、東卸の決議は無効だと主張している。 熊本氏によれば、東卸の定款は不備が多く、こうした組合を規定する中小企業等協同組合法に準じていないため、理事会決議は無効だという・・・移転への反対運動それ自体は、小池知事の就任前から盛んだった。だが、一度は移転延期を決めて反対派の期待を一身に集めた小池知事や小島氏だけに、現在の移転計画への怨嗟の声は非常に根強い。 もし、前述の構造的な欠陥をすべてクリアし、予定通り10月に市場機能を移転したところで、市場関係者の間に大きな禍根が残ることは目に見えている・・・そんな小池・小島コンビの真価が問われる時期は、確実に近づいている』、さてさてお手並み拝見である。
タグ:WPの効果は局所的であり、その影響で下がった地下水位はあくまで“追い風参考記録”だ。WP周辺の地下水位が下がったからと言って、敷地全体の地下水位が下がっていると判断できる理由には、ならないのである 問題3:「コールドチェーン」構想は崩壊 この試算では、住宅価格の積算根拠が東京・表参道のそれを用いるなど極めて非現実的であり、本誌が不動産の専門家の知見を得て検証したところ、年間160億円の地代収入を得続けるのは、まず無理だとの結論を得た 問題5:移転反対派の仲卸業者が、築地での営業権を主張 問題2:車両での移動が危険すぎる 問題1:仲卸業者の店舗スペースが使い物にならない 名著『失敗の本質』を座右の書に挙げて「都政は敗戦するわけにはいきませんので」と、引き締まった表情で語っていたのは、なんとも皮肉なことである 「小池知事最側近が「絶対にできない」と断言!豊洲地下水管理のまやかし」 魚肉には脂分も含まれており、衛生管理のためにも洗浄は不可欠だ。ましてや500もの仲卸業者がひしめき、毎日大量の海産物を調理・販売する場所で、水洗いもままならないとは、衛生管理上あまりに非現実的だ 地下水位をA.P.+1.8mで管理する必要があると指摘。座長自ら“ちゃぶ台返し”をしていては、元も子もない 小池・小島コンビの真価が問われる時期は、確実に近づいている 前述の構造的な欠陥をすべてクリアし、予定通り10月に市場機能を移転したところで、市場関係者の間に大きな禍根が残ることは目に見えている ダイヤモンド・オンライン 10月の開場を前に断念 「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」 (その14)豊洲新市場移転8(小池知事最側近が「絶対にできない」と断言!豊洲地下水管理のまやかし、小池都知事vs万葉倶楽部 豊洲の千客万来問題が解決不可能なワケ、豊洲市場 移転まで100日を切っても残る「5つの大問題」) 豊洲集客施設、にぎわい創出へ折衷案 万葉が事業継続 20年着工で合意当面、都が暫定運用 小池百合子・東京都知事の最側近である小島敏郎氏は、安全のため必要とされる地下水位の管理を「絶対にできない」と断言 冷蔵庫の扉を開けることもままならないだろう 、「インパール百合子」 明治学院大学名誉教授の熊本一規氏は、“理事会の総意”であっても、東卸の決議は無効だと主張している。 熊本氏によれば、東卸の定款は不備が多く、こうした組合を規定する中小企業等協同組合法に準じていないため、理事会決議は無効だという 築地跡地を民間に貸し出すことで、2021年度から50年間、年間160億円の地代収入を得続け、かつその途中で債務の借り換えをすれば、豊洲市場の建設によって生じた約3600億円の負債を解消できると試算 土壌の有害物質が、上昇する地下水と共に漏出するのを防ぐため「地下水管理システムの機能強化を図り、早期に目標管理水位(A.P.+1.8m)まで地下水位を低下させるとともに、地下水位上昇時の揚水機能を強化する必要がある」と指摘 「小池都知事vs万葉倶楽部、豊洲の千客万来問題が解決不可能なワケ」 それは他にも、人命にかかわりかねない重大な問題を生み出した 「築地は守る、豊洲は活かす」と述べて、築地跡地を売却せずに都が保有し続け、再開発して民間に貸し出し、地代収入を得る方針に変更した 合意とは名ばかりの「先送り」である。まだまだ曲折が不可避 東京都の諸問題 ウェルポイント」(WP)と呼ばれる揚水設備 小島氏自身が座長を務めた「市場問題プロジェクトチーム」 日建設計が、市場の業務の実態を理解しないで設計し、そのまま建設されたことが要因である 局所的に地下水位の高い箇所にWPを設置 千客万来施設とは、豊洲市場に隣り合う場所で計画された、温泉やホテル、商業店舗などから成る複合施設 「豊洲市場、移転まで100日を切っても残る「5つの大問題」」 あくまでWPによる“追い風参考記録”であることには、まるで言及しなかった 外部から運ばれた海産物を、搬入から取引、そして出荷まで一定の温度に保たれた閉鎖空間の中で一気通貫で行う「コールドチェーン」を実現できるとアピールしていた 小池流の「築地・豊洲両立案」なるもの自体がそもそも“欠陥品”なのだ これに万葉側が、自社の計画と競合するとして反発。小池知事に対して方針転換の撤回と謝罪を求めている 問題4:地下水位が下がらない WPの揚水期間は80日だ。これでは、豊洲移転を前に小池知事から発せられるであろう「安全宣言」のタイミングに合わせて、WPを使って一時的に地下水位の数値を下げようとしていたと疑われても仕方あるまい 日経新聞
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介護(その1)(普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏、「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応、介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない) [社会]

今日は、介護(その1)(普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏、「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応、介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない)を取上げよう。

先ずは、昨年12月21日付け日経ビジネスオンラインに掲載されたノンフィクション作家の松浦晋也氏とNHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏の対談「普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030300121/121900036/
・対談の2人は、『「気が付くと私は、母の頬を平手打ちしていた。」本連載の「果てなき介護に疲れ、ついに母に手をあげた日 ~母の“意外な”反応と、介護者側の暴力への対応策」で、著者の松浦晋也さんが自らの行いを冷静に描いたこの場面』、と 『横井さんは、2016年放映の「“介護殺人”当事者たちの告白」の制作を指揮したひとり。「どこにでもいる普通の人が、介護疲れの果てに、 家族の命を奪ってしまう悲劇」が相次いでいることを、広く番組を通じて訴え、その内容が単行本になった(『「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白』)』、と共にこの問題を取上げるにはふさわしい人物で、対談が楽しみになる。
・『一線を踏み越えるかどうか、本当にちょっとの差なんですよね。越えてしまった人は、別にエキセントリックでも異常な人でも何でもない。そのことが、本当に染みたというか、腑に落ちたというか。「やっぱりそうなのか」です。 横井:取材させていただいた当事者の方も、本当に普通といいますか、かつて会社員として第一線でバリバリ働いていた方であったり、あるいはそういう方を支える専業主婦の方だったり、どこにでもいらっしゃるような方だったんですね。それは、今回取材させていただいた中で共通しています。 そして、皆さんすごく熱心に介護をされる方だったんですね。これも、完全に共通していたと思います。 松浦:そうなんです。ちゃらんぽらんな人だったら介護から逃げるんですよね。責任感の強い人ほど真正面から受け止めて、熱心に介護して、そして受け止め切れなくなってしまう』、なるほど。 
・『介護離職は10万人といわれていますよね。それだけでも大変な問題ですけれども、その人たちにどうやってもう1回社会に出て、稼いでいただくか。特に若い方は悲劇です。本当にそれを痛切に思いますね』、人手不足の時代に10万人も介護離職を余儀なくされているというのは深刻な問題だ。
・『番組と本で個人的に強烈だったのは「今、日本では2週間に一度『介護殺人』が起きている。」という指摘でした。 横井:介護の担い手は、女性が7割。我々が調べた範囲では、介護殺人に至るのは7割が男性なんですね』、女性の方が「手を抜く」のに巧みなせいかも知れない。
・『富山のあの老老介護のケース。裁判ではかなり厳しい、7年の実刑判決になった。 横井:はい、かなり厳しい判決でした。なぜなら、これは介護が理由じゃない、酒乱の夫が、いっときの感情でやったものだと判断されたからです。けれども、周りを取材していくと、いや、本人はかなり介護で追い詰められていた、ということが分かりました』、これは裁判官だけでなく、弁護士にも問題があったのではなかろうか。
・『取材させていただいた事件の当事者は、本当に普通の、熱心に介護をしていた方がほとんどなんです。そして、親の介護を自宅でする人は今もたくさんいるし、自分もおそらくそうなる。これだけ少子高齢化が進んでしまったこの社会に生きている限り、確率の問題で誰にでも起こりうることなんだと』、なかなか重い問いかけである。

次に、この続きである12月22日付け日経ビジネスオンライン「「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応 HK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏(承前)」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030300121/122000037/
・『「介護」ということに向き合うのを社会の大半が忌避しているから、ですよね。自分の問題としてあんまり考えたくない。じゃあ自分はどうだったんだ、と、介護がいざ始まる前の自分の心理状態を振り返ると、やっぱり考えたくない。それどころか、母親が認知症だなんて認めたくない、回復してほしい、なんですよね。そう思えば思うほど、敗け戦に近づいていくわけですが』、人間の「性」なようだ。
・『これは、それぐらい介護の辛さが、社会の中で共有されてないという思いを、介護されている方は抱いていらっしゃることでもありますよね・・・苦しさが共有されてない理由の一つは、やっぱり介護は、すごくプライバシーにかかわる領域で、それを酒席とか昼休みに、同僚や上司に話していいものなのかどうか。そういった心理的な壁もものすごく大きいと思うんですよ・・・本人にも壁がある。 自分も辛いし、ある意味で(介護は)恥ずかしいことなんじゃないか、向こうはそう思っているんじゃないか、と萎縮します。周囲も、踏み込んで聞いていいのかどうか分からない。両側で、心理的な壁がすごく厚い』、なかなか難しい問題だ。
・『携わる人たちの大変さが、社会の中で共有されてないからそういうシステムができないんだと思うんですよね。最初は、我々自身が隣の同僚の「育児」「介護」の負担を普通に聞き、助けられるところは助ける。そこからではないでしょうか』、というのはその通りなのだろう。

第三に、健康社会学者の河合 薫氏が6月19日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/061800164/?P=1
・『毎日、当たり前のように会社に行き、当たり前のように仕事をしていた男やもめにとって、小さな家で父親と四六時中向き合うのは地獄でした。 仕事をしていない罪悪感もしんどかった。そんなものを感じるなんて思ってなかったので、とにかく苦しかったです』、なんとも気の毒としか言いようがない。
・『それで週に何日かでも働こうと思い、地元で就職活動をしました。 ところが50近い未婚男性を雇ってくれるところはなかった。都内で勤めていた経験も足かせになった。たぶん『扱いづらい』と思われたんだと思います。 そして、今。父が他界し、東京に戻って就職活動をしているんですが『前職を親の介護で辞めた』ことが、今度は邪魔しているみたいです。はっきりと理由はわかりません。でも、3年間社会から遠ざかっていた50代を、今さら雇おうとする会社がないんです』・・・『人事経験者数人にコンタクトを取ったところ・・・男性が感じていたとおり、介護離職が悪いわけではなく、3年間のブランクと50代という年齢が問題なのだ』、当然のことながら、社会の冷徹な現実の壁は厚い。
・『ミッシングワーカーとは、働かなくてはと思いながらも求職活動をあきらめ、失業者にカウントされない人たちのこと。日本でのミッシングワーカーは103万人と推定され、失業者72万人より多い(NHKによる)。 番組ではその多くが「40代、50代の親の介護のために離職した人々」とし、実際にミッシングワーカーになってしまった人たちを追いかけ、男性たちのリアルを描いていた。 男性たちはみな独身で、親の年金で暮らす人たちもいた。年金が10万円しかないので施設に入ることもできない。親から目を離すことができない。就職活動もできない。そして、終わりの見えない介護生活の中に閉じ込められ、親を介護することだけが「自分の存在の証」となっていた・・・やがて、介護していた親が他界し、「働かなきゃ」と思うも気力がわかない。自分のことなのに。何をどうしていいか、何から手をつければいいのかもわからない。「考える」力も失せ、やせ細り、生きる力が萎えるが死ぬ勇気もない』、ミッシングワーカーが103万人もいるというのは初めて知った。その生活の破綻状態は悲惨の一言に尽きる。
・『介護問題は誰もが他人事ではないのに、そのしんどさは実際に雨に濡れた人にしかわからないのが最大の問題である。 今回紹介した男性が2人は、奇しくも同じこと訴えた。「とにかく国は…、超高齢化社会だってことわかっているのか?」と。働き方改革って何? 人手不足って何? 政治って何なんだ?』、との訴えを正面から受け止めるべきだろう。
タグ:組ではその多くが「40代、50代の親の介護のために離職した人々」とし、実際にミッシングワーカーになってしまった人たちを追いかけ、男性たちのリアルを描いていた 今、日本では2週間に一度『介護殺人』が起きている 井さんは、2016年放映の「“介護殺人”当事者たちの告白」の制作を指揮したひとり 「介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない」 河合 薫 携わる人たちの大変さが、社会の中で共有されてないからそういうシステムができないんだと思うんですよね。最初は、我々自身が隣の同僚の「育児」「介護」の負担を普通に聞き、助けられるところは助ける。そこからではないでしょうか (『「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白』)』、 対談「普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏」 松浦晋也 日経ビジネスオンライン (その1)(普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏、「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応、介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない) 介護 今回紹介した男性が2人は、奇しくも同じこと訴えた。「とにかく国は…、超高齢化社会だってことわかっているのか?」と。働き方改革って何? 人手不足って何? 政治って何なんだ? どこにでもいらっしゃるような方だったんですね。それは、今回取材させていただいた中で共通しています 事件の当事者は、本当に普通の、熱心に介護をしていた方がほとんどなんです 仕事をしていない罪悪感もしんどかった。そんなものを感じるなんて思ってなかったので、とにかく苦しかったです 本人にも壁がある。 自分も辛いし、ある意味で(介護は)恥ずかしいことなんじゃないか、向こうはそう思っているんじゃないか、と萎縮します。周囲も、踏み込んで聞いていいのかどうか分からない。両側で、心理的な壁がすごく厚い げるにはふさわしい人物で、対談が楽しみになる。 苦しさが共有されてない理由の一つは、やっぱり介護は、すごくプライバシーにかかわる領域で、それを酒席とか昼休みに、同僚や上司に話していいものなのかどうか。そういった心理的な壁もものすごく大きいと思うんですよ ミッシングワーカーとは、働かなくてはと思いながらも求職活動をあきらめ、失業者にカウントされない人たちのこと。日本でのミッシングワーカーは103万人と推定され、失業者72万人より多い 毎日、当たり前のように会社に行き、当たり前のように仕事をしていた男やもめにとって、小さな家で父親と四六時中向き合うのは地獄でした 父が他界し、東京に戻って就職活動をしているんですが『前職を親の介護で辞めた』ことが、今度は邪魔しているみたいです。はっきりと理由はわかりません。でも、3年間社会から遠ざかっていた50代を、今さら雇おうとする会社がないんです 『「介護」ということに向き合うのを社会の大半が忌避しているから、ですよね。自分の問題としてあんまり考えたくない。じゃあ自分はどうだったんだ、と、介護がいざ始まる前の自分の心理状態を振り返ると、やっぱり考えたくない。それどころか、母親が認知症だなんて認めたくない、回復してほしい、なんですよね。そう思えば思うほど、敗け戦に近づいていくわけですが それで週に何日かでも働こうと思い、地元で就職活動をしました。 ところが50近い未婚男性を雇ってくれるところはなかった。都内で勤めていた経験も足かせになった。たぶん『扱いづらい』と思われたんだと思います その人たちにどうやってもう1回社会に出て、稼いでいただくか。特に若い方は悲劇です。本当にそれを痛切に思いますね 富山のあの老老介護のケース。裁判ではかなり厳しい、7年の実刑判決になった 介護離職は10万人 介護問題は誰もが他人事ではないのに、そのしんどさは実際に雨に濡れた人にしかわからないのが最大の問題である 確率の問題で誰にでも起こりうることなんだと 「「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応 HK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏(承前)」 皆さんすごく熱心に介護をされる方だったんですね 介護殺人に至るのは7割が男性なんですね 介護の担い手は、女性が7割 ちゃらんぽらんな人だったら介護から逃げるんですよね。責任感の強い人ほど真正面から受け止めて、熱心に介護して、そして受け止め切れなくなってしまう
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