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介護(その1)(普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏、「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応、介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない) [社会]

今日は、介護(その1)(普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏、「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応、介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない)を取上げよう。

先ずは、昨年12月21日付け日経ビジネスオンラインに掲載されたノンフィクション作家の松浦晋也氏とNHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏の対談「普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030300121/121900036/
・対談の2人は、『「気が付くと私は、母の頬を平手打ちしていた。」本連載の「果てなき介護に疲れ、ついに母に手をあげた日 ~母の“意外な”反応と、介護者側の暴力への対応策」で、著者の松浦晋也さんが自らの行いを冷静に描いたこの場面』、と 『横井さんは、2016年放映の「“介護殺人”当事者たちの告白」の制作を指揮したひとり。「どこにでもいる普通の人が、介護疲れの果てに、 家族の命を奪ってしまう悲劇」が相次いでいることを、広く番組を通じて訴え、その内容が単行本になった(『「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白』)』、と共にこの問題を取上げるにはふさわしい人物で、対談が楽しみになる。
・『一線を踏み越えるかどうか、本当にちょっとの差なんですよね。越えてしまった人は、別にエキセントリックでも異常な人でも何でもない。そのことが、本当に染みたというか、腑に落ちたというか。「やっぱりそうなのか」です。 横井:取材させていただいた当事者の方も、本当に普通といいますか、かつて会社員として第一線でバリバリ働いていた方であったり、あるいはそういう方を支える専業主婦の方だったり、どこにでもいらっしゃるような方だったんですね。それは、今回取材させていただいた中で共通しています。 そして、皆さんすごく熱心に介護をされる方だったんですね。これも、完全に共通していたと思います。 松浦:そうなんです。ちゃらんぽらんな人だったら介護から逃げるんですよね。責任感の強い人ほど真正面から受け止めて、熱心に介護して、そして受け止め切れなくなってしまう』、なるほど。 
・『介護離職は10万人といわれていますよね。それだけでも大変な問題ですけれども、その人たちにどうやってもう1回社会に出て、稼いでいただくか。特に若い方は悲劇です。本当にそれを痛切に思いますね』、人手不足の時代に10万人も介護離職を余儀なくされているというのは深刻な問題だ。
・『番組と本で個人的に強烈だったのは「今、日本では2週間に一度『介護殺人』が起きている。」という指摘でした。 横井:介護の担い手は、女性が7割。我々が調べた範囲では、介護殺人に至るのは7割が男性なんですね』、女性の方が「手を抜く」のに巧みなせいかも知れない。
・『富山のあの老老介護のケース。裁判ではかなり厳しい、7年の実刑判決になった。 横井:はい、かなり厳しい判決でした。なぜなら、これは介護が理由じゃない、酒乱の夫が、いっときの感情でやったものだと判断されたからです。けれども、周りを取材していくと、いや、本人はかなり介護で追い詰められていた、ということが分かりました』、これは裁判官だけでなく、弁護士にも問題があったのではなかろうか。
・『取材させていただいた事件の当事者は、本当に普通の、熱心に介護をしていた方がほとんどなんです。そして、親の介護を自宅でする人は今もたくさんいるし、自分もおそらくそうなる。これだけ少子高齢化が進んでしまったこの社会に生きている限り、確率の問題で誰にでも起こりうることなんだと』、なかなか重い問いかけである。

次に、この続きである12月22日付け日経ビジネスオンライン「「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応 HK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏(承前)」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030300121/122000037/
・『「介護」ということに向き合うのを社会の大半が忌避しているから、ですよね。自分の問題としてあんまり考えたくない。じゃあ自分はどうだったんだ、と、介護がいざ始まる前の自分の心理状態を振り返ると、やっぱり考えたくない。それどころか、母親が認知症だなんて認めたくない、回復してほしい、なんですよね。そう思えば思うほど、敗け戦に近づいていくわけですが』、人間の「性」なようだ。
・『これは、それぐらい介護の辛さが、社会の中で共有されてないという思いを、介護されている方は抱いていらっしゃることでもありますよね・・・苦しさが共有されてない理由の一つは、やっぱり介護は、すごくプライバシーにかかわる領域で、それを酒席とか昼休みに、同僚や上司に話していいものなのかどうか。そういった心理的な壁もものすごく大きいと思うんですよ・・・本人にも壁がある。 自分も辛いし、ある意味で(介護は)恥ずかしいことなんじゃないか、向こうはそう思っているんじゃないか、と萎縮します。周囲も、踏み込んで聞いていいのかどうか分からない。両側で、心理的な壁がすごく厚い』、なかなか難しい問題だ。
・『携わる人たちの大変さが、社会の中で共有されてないからそういうシステムができないんだと思うんですよね。最初は、我々自身が隣の同僚の「育児」「介護」の負担を普通に聞き、助けられるところは助ける。そこからではないでしょうか』、というのはその通りなのだろう。

第三に、健康社会学者の河合 薫氏が6月19日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない」を紹介しよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/061800164/?P=1
・『毎日、当たり前のように会社に行き、当たり前のように仕事をしていた男やもめにとって、小さな家で父親と四六時中向き合うのは地獄でした。 仕事をしていない罪悪感もしんどかった。そんなものを感じるなんて思ってなかったので、とにかく苦しかったです』、なんとも気の毒としか言いようがない。
・『それで週に何日かでも働こうと思い、地元で就職活動をしました。 ところが50近い未婚男性を雇ってくれるところはなかった。都内で勤めていた経験も足かせになった。たぶん『扱いづらい』と思われたんだと思います。 そして、今。父が他界し、東京に戻って就職活動をしているんですが『前職を親の介護で辞めた』ことが、今度は邪魔しているみたいです。はっきりと理由はわかりません。でも、3年間社会から遠ざかっていた50代を、今さら雇おうとする会社がないんです』・・・『人事経験者数人にコンタクトを取ったところ・・・男性が感じていたとおり、介護離職が悪いわけではなく、3年間のブランクと50代という年齢が問題なのだ』、当然のことながら、社会の冷徹な現実の壁は厚い。
・『ミッシングワーカーとは、働かなくてはと思いながらも求職活動をあきらめ、失業者にカウントされない人たちのこと。日本でのミッシングワーカーは103万人と推定され、失業者72万人より多い(NHKによる)。 番組ではその多くが「40代、50代の親の介護のために離職した人々」とし、実際にミッシングワーカーになってしまった人たちを追いかけ、男性たちのリアルを描いていた。 男性たちはみな独身で、親の年金で暮らす人たちもいた。年金が10万円しかないので施設に入ることもできない。親から目を離すことができない。就職活動もできない。そして、終わりの見えない介護生活の中に閉じ込められ、親を介護することだけが「自分の存在の証」となっていた・・・やがて、介護していた親が他界し、「働かなきゃ」と思うも気力がわかない。自分のことなのに。何をどうしていいか、何から手をつければいいのかもわからない。「考える」力も失せ、やせ細り、生きる力が萎えるが死ぬ勇気もない』、ミッシングワーカーが103万人もいるというのは初めて知った。その生活の破綻状態は悲惨の一言に尽きる。
・『介護問題は誰もが他人事ではないのに、そのしんどさは実際に雨に濡れた人にしかわからないのが最大の問題である。 今回紹介した男性が2人は、奇しくも同じこと訴えた。「とにかく国は…、超高齢化社会だってことわかっているのか?」と。働き方改革って何? 人手不足って何? 政治って何なんだ?』、との訴えを正面から受け止めるべきだろう。
タグ:組ではその多くが「40代、50代の親の介護のために離職した人々」とし、実際にミッシングワーカーになってしまった人たちを追いかけ、男性たちのリアルを描いていた 今、日本では2週間に一度『介護殺人』が起きている 井さんは、2016年放映の「“介護殺人”当事者たちの告白」の制作を指揮したひとり 「介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない」 河合 薫 携わる人たちの大変さが、社会の中で共有されてないからそういうシステムができないんだと思うんですよね。最初は、我々自身が隣の同僚の「育児」「介護」の負担を普通に聞き、助けられるところは助ける。そこからではないでしょうか (『「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白』)』、 対談「普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏」 松浦晋也 日経ビジネスオンライン (その1)(普通の人が親を殺す「介護殺人」の悲劇 NHK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏、「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応、介護離職は終わりの始まり 高齢化社会の現実 しんどさは“雨に濡れた人”にしかわからない) 介護 今回紹介した男性が2人は、奇しくも同じこと訴えた。「とにかく国は…、超高齢化社会だってことわかっているのか?」と。働き方改革って何? 人手不足って何? 政治って何なんだ? どこにでもいらっしゃるような方だったんですね。それは、今回取材させていただいた中で共通しています 事件の当事者は、本当に普通の、熱心に介護をしていた方がほとんどなんです 仕事をしていない罪悪感もしんどかった。そんなものを感じるなんて思ってなかったので、とにかく苦しかったです 本人にも壁がある。 自分も辛いし、ある意味で(介護は)恥ずかしいことなんじゃないか、向こうはそう思っているんじゃないか、と萎縮します。周囲も、踏み込んで聞いていいのかどうか分からない。両側で、心理的な壁がすごく厚い げるにはふさわしい人物で、対談が楽しみになる。 苦しさが共有されてない理由の一つは、やっぱり介護は、すごくプライバシーにかかわる領域で、それを酒席とか昼休みに、同僚や上司に話していいものなのかどうか。そういった心理的な壁もものすごく大きいと思うんですよ ミッシングワーカーとは、働かなくてはと思いながらも求職活動をあきらめ、失業者にカウントされない人たちのこと。日本でのミッシングワーカーは103万人と推定され、失業者72万人より多い 毎日、当たり前のように会社に行き、当たり前のように仕事をしていた男やもめにとって、小さな家で父親と四六時中向き合うのは地獄でした 父が他界し、東京に戻って就職活動をしているんですが『前職を親の介護で辞めた』ことが、今度は邪魔しているみたいです。はっきりと理由はわかりません。でも、3年間社会から遠ざかっていた50代を、今さら雇おうとする会社がないんです 『「介護」ということに向き合うのを社会の大半が忌避しているから、ですよね。自分の問題としてあんまり考えたくない。じゃあ自分はどうだったんだ、と、介護がいざ始まる前の自分の心理状態を振り返ると、やっぱり考えたくない。それどころか、母親が認知症だなんて認めたくない、回復してほしい、なんですよね。そう思えば思うほど、敗け戦に近づいていくわけですが それで週に何日かでも働こうと思い、地元で就職活動をしました。 ところが50近い未婚男性を雇ってくれるところはなかった。都内で勤めていた経験も足かせになった。たぶん『扱いづらい』と思われたんだと思います その人たちにどうやってもう1回社会に出て、稼いでいただくか。特に若い方は悲劇です。本当にそれを痛切に思いますね 富山のあの老老介護のケース。裁判ではかなり厳しい、7年の実刑判決になった 介護離職は10万人 介護問題は誰もが他人事ではないのに、そのしんどさは実際に雨に濡れた人にしかわからないのが最大の問題である 確率の問題で誰にでも起こりうることなんだと 「「介護殺人」の本と番組に寄せられた意外な反応 HK大阪放送局報道部チーフ・プロデューサー 横井秀信氏(承前)」 皆さんすごく熱心に介護をされる方だったんですね 介護殺人に至るのは7割が男性なんですね 介護の担い手は、女性が7割 ちゃらんぽらんな人だったら介護から逃げるんですよね。責任感の強い人ほど真正面から受け止めて、熱心に介護して、そして受け止め切れなくなってしまう
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