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金融関連の詐欺的事件(その4)(関東連合OBとの関係も発覚…!凋落「スルガ銀行」に明日はあるのか、「かぼちゃの馬車」被害者たちが赤裸々告白 スルガ銀行・スマートデイズの闇、現役不動産会社社長が暴露!投資家と銀行を欺く「闇のスキーム」、革新的で優良だったスルガ銀行に重大な不正が発覚した理由) [金融]

金融関連の詐欺的事件については、5月2日に取上げた。今日は、(その4)(関東連合OBとの関係も発覚…!凋落「スルガ銀行」に明日はあるのか、「かぼちゃの馬車」被害者たちが赤裸々告白 スルガ銀行・スマートデイズの闇、現役不動産会社社長が暴露!投資家と銀行を欺く「闇のスキーム」、革新的で優良だったスルガ銀行に重大な不正が発覚した理由)である。

先ずは、ジャーナリストの伊藤 博敏氏が8月30日付け現代ビジネスに寄稿した「関東連合OBとの関係も発覚…!凋落「スルガ銀行」に明日はあるのか 創業家が去り、試される新経営陣の覚悟」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57263
・『女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡る問題は、家賃保証一括借りのサブリース業者である「スマートデイズ」が、今年1月、賃料支払いを突然、停止したことで発覚したが、当初はシェアハウスのオーナーになった投資家たちは、自己責任で行った投資を悔やみ、落ち込んだ。 「『利回り8%で、30年の家賃保証』といった甘い話があるわけないじゃないか、と反省、自己破産しかないかと、夜も眠れませんでした。でも、オーナー同士で集まり、情報共有するうちに、スルガ銀行にハメられたと確信、徹底的に戦うことにしました」(2棟を所有、2億円以上の債務を抱えるオーナー) 実際、スルガ銀行抜きには成り立たないスキームだった。 2坪強の狭い個室にキッチン、台所、浴室などを共用するシェアハウスは、環境や駅からの遠近などによって価格が異なるが、オーナーの年収に合わせてできるだけ高額となるよう物件を紹介、そのうえで実現可能性のない架空の利回り計算をして家賃を設定していた。 しかも、オーナーが買う気になる物件価格の範囲内で、土地を高値で売却、建設資金を業者からキックバックさせるなど、中間搾取で利益を得ていた。さらに、スマートデイズは、「頭金ゼロ」「自己資金ゼロ」と、1割の自己資金を求めるスルガ銀行の融資基準ではありえない勧誘を行い、そのために通帳を改ざん、例えば30万円の預金を630万円にして審査をクリアさせていたが、それをスルガ銀行の担当行員は黙認するか、場合によっては業者に指示。それが音声データやLINEに残されていた。 スルガ銀行が付き合っていたサブリース業者は、スマートデイズ以外にも、ゴールデンゲイン、ガヤルドなど数多く、それが同じスキームでシェアハウスを販売していた。スルガ銀行の融資を前提としており、「スルガスキーム」といわれる所以である』、スマートデイズ以外にも数多くのサブリース業者が同様のスキームで販売していたとは、驚いた。
・『第三者委員会の調査によって明らかとなったのは、シェアハウス融資に見られる審査資料の改ざんなどの“毒”が、スルガ銀行全体に回っていることだった。 シェアハウス融資の審査は、実に99%が承認されており、実質的には審査などなかった。また、アパートやマンションなど投資用不動産融資にも審査資料の改ざんが横行、そうした不適切行為に基づく融資は、1兆円にものぼるという。融資総額3兆1500億円のうちの3割以上である』、不適切融資が3割以上とは銀行の土台を揺るがしかねない規模だ。
・『第三者委員会では、そうした不適切融資を引き起こしたのは、毎月1億円の有担保ローンの達成を強いる過剰ノルマなど、収益第一主義の体質にあると見ており、だから営業担当の役員は不正に対して見てみぬふりをし、審査担当の役員は営業からの圧力に負けた。そのうえシェアハウスのオーナーには、不要な高金利のローンを要請、禁じられた歩積み両建てで預金をさせた。 そうした体質が生んだ新たな問題も発覚、六本木殺人事件で注目を集めた関東連合OBで現在は、広域暴力団住吉会系組織に属する芸能プロダクションのオーナーへの融資が明らかとなった。融資そのものは反社認定される前のものだが、関東連合OBとの関係は根深いという。 「スルガ銀行の大口取引先のサブリース業者で、関東連合OBが経営に関与しているところがあります。そのせいか、経営陣にはAV業界や芸能界に顔が利く人がいて、六本木のその種の店に連れて行かれたオーナーがいました」(被害者同盟のオーナー)』、サブリース業者に関東連合OBが経営に関与しているところがあるというのは、さすがに儲けられそうなことには、顔を出す暴力団の面目躍如だ。
・『スルガ銀行が、サッカー王国といわれる静岡県を本拠地としていることもあって、サッカー元日本代表ら約10人の選手が、シェアハウスなど不適切融資のオーナーになっていることも判明した。選手寿命が短く、若くして引退することから、「第二の人生のため」と勧誘された選手が少なくない。 スルガ銀行は、創業家の岡野家が一貫して経営権を握り、支配体制は盤石ながら、「県下ナンバーワン」の静岡銀行が西にいて、神奈川には「地銀の雄」の横浜銀行が東にいて、独自色を打ち出さねば埋没してしまう危機感を常に抱えていた。 それを突破すべく業態変換を図ったのが、85年、当時40歳で地銀最年少頭取となった岡野氏だった・・・当時、金利が自由化され、どの地銀も収益の悪化に苦しんでいたが、岡野氏が選んだのが個人向けリテール銀行への道だった・・・営業網を全国に広げ、国内133店舗のうち半分を県外、なかでも首都圏に集中させ、単身女性や転職者向けローン、会社員への不動産向けローンなど、他行が冷遇する層へも浸透した。そのかわりに金利は高く設定、3%台と他行がうらやむ高収益体質を確保した。 つまりスルガ銀行は、オーナーの命令一下、リスクを取るリテール銀行となり、金融庁の森信親前長官が「ニッチで稼ぐ特異なビジネスモデル持つ銀行」として評価する銀行となった。その“評価”を、さらに高いものにしようとして踏み込んだ“けもの道”が、サブリース業者の経営破たんとオーナーの自己破産を折り込んだシェアハウス融資だった。 そこにはスルガ銀行という中堅地銀が辿った40年の歴史と、激変する金融環境がある。そこで生まれたのが融資先にリスクを取らせる「スルガスキーム」であり、投資家に自己責任だけを押しつけるのは酷だろう』、その通りだ。
・『年初からこの問題に取り組みオーナーの代理人となっている加藤博太郎弁護士が語る。「最初、どこが問題なのかよくわかりませんでした。銀行に対する漠然とした信頼感もあった。それが被害者の声を集め、サブリース業者などの協力も得て、2~3ヵ月を経て、ほとんどの資料が改ざんされ、そこにスルガ銀行も絡む詐欺のような事件であることがわかりました。 その過程を考えれば、オーナーを被害者と捉え、救済するべきだと思います。できればそれを、スルガ銀行が自らウミを出し切り、再生の上でやっていただきたい」 既に、岡野会長の退任は避けられず、多くの役員が退陣、新しい経営陣が新生スルガ銀行を目指す。詐欺のようなスキームだからこそ成り立った高収益に代わるビジネスモデルを確立、他行に飲み込まれることなく、再生できるのか。そのドラマを見届けたい』、その後、岡野会長や社長、専務も退任したようだが、今後の展開如何では、融資総額の3割以上が不良債権になり得る以上、存続も危うくなる懸念がありそうだ。

次に、9月3日付けダイヤモンド・オンライン「「かぼちゃの馬車」被害者たちが赤裸々告白 スルガ銀行・スマートデイズの闇」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/178789
・『「かぼちゃの馬車」問題。その中心的役割のスルガ銀行とスマートデイズが描いた「スルガスキーム」の闇について、被害者のオーナー3人の話を基に明らかにしていく。 「スルガスキーム」とは下図のように、スルガ銀行横浜東口支店を舞台に、シェアハウス運営会社のスマートデイズ(SD、旧スマートライフ)と、販売会社(不動産仲介業者)が連携し、投資家たちをセミナーに集めるところから始まった。
A氏 私は、将来の収入源として新築ワンルームを保有していましたが、それ以外にはSDのシェアハウスだけでした。2017年7月に販社から提案を受け、9月下旬に土地代約1億1400万円、建物代約4300万円の合計1億5700万円で契約し、スルガ銀の横浜東口支店から融資を受けました。 土地が市場価格よりもかなり高かったので、販社の営業マンに聞きましたが、「パッケージなので交渉には応じられない」と拒否されました。そのときは「入居率は9割以上。仮に入居率が低くなっても問題ない」と言われました。 SDは、地方から上京してくる女性を客付けし、家賃収入を得ます。また、彼女らに大手企業の仕事をあっせんし、その企業から紹介料を受け取ります。そのお金をサブリースの資金源に充てるというスキームでした。物件は未着工ですが、もしオーナーになっていれば、家賃保証が1戸当たり月7万円。管理費などを差し引いても、月70万円ほど残る予定でした。 SD元社長の大地則幸氏がダイヤモンド社から出版した書籍にも「入居率9割」とあり、この記載を信じた読者も多数いたとみられる。しかし、各戸の入居状況など(レントロール)は次第に想定と乖離しはじめ、最終的な入居率は50%未満だったとされる』、入居者に大手企業の仕事をあっせんし、その企業から紹介料を受け取る、とは何と甘い見積もりだろう。入居率は9割どころか50%未満ではスキームの破綻は当然だ。
・『B氏 今回の問題点は建物と土地のそれぞれでサヤ抜きされ、キックバックや書類の偽造があったことです。土地の契約書を見ると、ほとんどが新中間省略登記のスキームでした(下図参照)。 新中間省略登記とは、(1)地主が(2)不動産業者に土地を売り、(3)投資家に転売する際、(1)→(2)の登記を省略し、(1)→(3)に直接移転したようにできる登記のこと。これが「第三者のためにする売買契約」で、(2)を「三為業者」と呼ぶ。彼らの取り分は20~30%で、それだけ物件価格が相場より高くなる。 私の場合、「三為」よりひどい「五為」で、三為業者からさらに2社に転売されていました。私が見た登記簿には5番目しか記載がなく、法務局で初めて売り主→4番目の流れを確認しました。購入時にこの資料を見た記憶はありませんが、確認書に私のサインがありました。おそらく偽造されたのでしょう。後で分かったのですが、土地代の元値は4700万円で、3社が間に入ったせいで7980万円につり上がっていました』、こうなるとまるで体のいい「土地ころがし」で、関与した業者たちはたらふくサヤを抜いたことになる。
・『C氏 私の場合、建築費が約3600万円、そのうち約1500万円がSD指定の建築会社からSDにキックバックされていました。私の知らないところで、建築費の一部が「業務委託費」という名目でSDに流れていたのです。 B氏 被害者救済のために有志の弁護士が結成した「スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団」によれば、SDを実質支配する黒幕の某氏が存在し、その黒幕にも建築会社や販社からキックバックがあったと聞いています。 こんなスキームだと分かっていれば絶対に買っていません。今回、被害者がたくさん集まったおかげで、ようやく構図の全貌が明らかになったのです。 C氏 私も書類を偽造されました。サインは私の字ですが、よく見ると別の書類でサインしたデジタル画像をコピーして、つなぎ合わせています。スルガ銀からは、「この書類を信じて融資しました」と言われましたが、私はその書類について全く記憶がありません。 また、17年3月に購入しましたが、ちょうど確定申告の時期で、3月中に決めれば申告なしで融資できると言われ、駆け込みで購入しました。手続きは販社に一任しており、「銀行からの資産状況などの問い合わせには一切答えなくていい」と言われました。販社に給与明細や源泉徴収票を預けており、「後で銀行に提出しておきます」とも言われました。そこで気付かなかったのが大きな反省点です。 また、金融資産が水増しされた証拠もあります。預金通帳が一行単位で巧みに改ざんされています。その額は1000万円単位と、桁外れの改ざんでした。 確定申告書も販社に偽造されていました。16年分確定申告書は、17年7月に申告が受け付けられていますが、申告した記憶がありません。税務署に確認すると源泉徴収票が2部添付されていました。1部は正式なものでしたが、もう1部は全く知らない会社の架空票でした。合計所得が増えたため、所得税60万円弱が追徴されていましたが、それはどうやら販社が支払ったようです。彼らは、契約1件につき700万円ほどの利益を得ていたらしいので、そのくらいなら払えたのでしょう』、ここまでの改竄には、スルガ銀の了解があったとみるべきだろう。
・『A氏 私は、1000万円の高金利フリーローンをスルガ銀に組まされました。自己資金を多く見せ掛けるためだと思います。また、土地代の約9800万円は融資されましたが、その後、約1億円が私に無断で引き出されていました。土地代プラスアルファのお金がどこに消えたのか、通帳の出金先が空欄なのでよく分かりません。 B氏 私の土地代は先の通り7980万円です。販社から「経費や手数料はわれわれが負担します。合わせて200万円をキックバックします」と言われました。 ところが、販社から実際に振り込まれたのは980万円でした。なぜこんなに多いのか不思議でしたが、7980万円の融資の実行後に約8400万円が知らぬ間に引き出されていたのです。 販社は7160万円で仕入れた土地を私に7980万円で売っているので、800万円超の利益を得ています。980万円を私の口座に振り込みましたが、8400万円を引き出したことで、きっちりと回収したかたちです。それと同時に、自分の財布から経費と手数料を負担させられていたわけです。こんなことは、銀行と販社の連携がないとできないでしょう。 被害者の多くが、金額が空欄の引き出し伝票に名前と日付だけを書かされていました。当然、銀行は引き出し金額を販社から聞いているのでしょう。 しかも、過剰融資を受けた分からきっちりと200万円ほどが、スルガ銀の定期預金として組み込まれています。 スルガ銀には全ての書類を返却してほしいと伝えています。ですが、何かまずい事情でもあるのでしょうか、特に引き出し伝票のコピーがなかなか出てきません』、ここまでくると、スルガ銀は共同正犯だ。
。『今回の座談会に協力してくれたオーナー(投資家)たちは、いずれも高年収で不動産投資の経験がある人たちだ。しかし、SDやスルガ銀、販社のおいしい誘い文句に惑わされてしまった。将来の年金に対する不安に加え、投資の規模を拡大したいという欲望に付け込まれてしまったのだ。 今回指摘された問題点について、被害弁護団の弁護士らが1000件ほどを調査し、整理したものが下図だ。 融資の窓口を担ったのは、ほぼスルガ銀横浜東口支店。土地と建物を合わせた1件当たりの平均融資額は1億3130万円で、金利は年4.5%。本来、これほど多額の借り入れができるはずもない低年収のサラリーマン層にも貸し付けていたという。 本誌が入手したSDによる販社向けの計画書には、金利3.5%のパッケージを利用する場合、「上限1000万円のフリーローンがセット」と記されている。このフリーローンから平均230万円が定期預金に入れられるなど、「独占禁止法に抵触する可能性のある『歩積み両建て』だ」と、同弁護団の山口広弁護士は指摘する。 むろん、いかに契約を急かされたとはいえ、中身を精査することなく契約を結んだオーナー側にも責任はある。だが、オーナーに無断でスルガ銀と販社が土地代を引き出すなど、常軌を逸した問題点が次々と明るみに出ている。さすがにこうした事態を見抜くのは不可能だろう。もはや今回の一件は底なしの闇と化している(リンク先には図あり)』、スルガ銀が共同正犯との疑いがますます強まった。

第三に、9月5日付けダイヤモンド・オンライン「現役不動産会社社長が暴露!投資家と銀行を欺く「闇のスキーム」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/179015
・『「かぼちゃの馬車」問題をはじめとした、不動産投資の闇を知りつくし、自らも深く関わってきたある不動産仲介会社社長の匿名インタビューを、特別にお届けします・・・スマートデイズのシェアハウスの一件で銀行からの融資が絞られ、売り上げが減ってビジネスが苦しくなったのは事実です。 不動産仲介業ですが、営業マンに最大1億5000万円の年俸を払っていました。固定費が高いため、売り上げが減ると正直厳しいですね。 われわれのような業者にとって、スマートデイズをめぐる一番大きな問題は、長年行われていた所得や資産が少ない人にも銀行に融資を付けさせる、“秘密のスキーム”がバレてしまったことです』、営業マンに最大1億5000万円の年俸とは、殆どが成果給だとしても、そんなに儲かるものかと驚かされた。「一番大きな問題は、長年行われていた所得や資産が少ない人にも銀行に融資を付けさせる、“秘密のスキーム”がバレてしまったことです」と、長年行われていたとは、今回のは氷山の一角ということになる。
・『当社でも、例えば1億円の物件をフルローンでお客さまに買わせる際には、銀行に対して1億2000万円の物件を買うと伝え、8割に当たる約1億円の融資を引っ張るいわゆる“蒸かし”をしていました。 同じ物件で1億円と1億2000万円の2通の契約書を作るか、1億2000万円から1億円に契約額を減らす「減額合意書」に買い手にサインをさせておけばいいのです。 銀行にバレた場合はリスクがあると説明して、納得させた上でね。まあ、買い手に法人を設立させておけば、買い手個人の信用情報は傷つかないですから。 買い手の自己資金が少ない場合は、エビデンス(証拠)を改ざんすればいい。ネットバンキングの画面をスクリーンショットで撮影し、画像処理ソフトを使えば預金額を加工するのは簡単。スルガ銀行以外の銀行でも9割方の担当者にはバレませんでした。メガバンクでも通りましたよ。 ただ、次第に銀行の審査が厳しくなって、「通帳の原本を持ってこい」と言われるようになりました。知人から、通帳を偽造してくれる中国人がいると聞きましたが、それはさらに深刻な犯罪になるので、やめておきました(笑)。 確定申告書や源泉徴収票の改ざんは、うちではやっていません。でも、グレーなことをやっていたのは確かですね。 私自身は改ざんなどを直接的には行っておらず、全部営業マンがやっていました。聞くところでは、スルガの行員はこれらの手法をよく理解していて、半ば営業マンに指示してやらせる、という感じだったようです。他の銀行だと知っている行員は黙認、知らない行員は知らない、という感じでしたね。 まあ、上場していない投資用不動産の仲介や販売の業者は、たいていみんなやっていたことですよ。上場企業でも、子会社を使ってやっていたという話は聞きましたね』、預金額の改竄がかつてはメガバンクでも通った、というのには驚かされた。担当者は肝を冷やしていることだろう。その他書類の改竄もここまで広がっていたとは・・・。
・『私の会社で失敗だったのは、ある営業マンが、金額の異なる契約書が2通あるという内容のメールを、他の誰かと間違えて銀行の担当者に送ってしまったことです。その銀行とは取引停止になりました。 それでも、新入社員に新しい会社を設立させ、私の会社が親会社だとバレないようにすれば、その銀行と取引できましたけどね。 今では、一棟アパートではこうしたやり方は通用しなくなりました。でも、区分の投資用マンション業界ではまかり通っています。これまで一棟アパートを扱っていた業者が、どんどん区分マンション業界になだれ込んでいます。 そもそも区分マンションの利回りは4~5%程度で、7~8%取れる一棟アパートよりも低い。こんな手法で物件を買わせても、お客さまのためにはなりません。国は一体、この問題をどこへ持っていこうとしているんでしょうね。 また最近は、信用できない売り手が増えました。手付金だけ払わせて逃げるとか。おとり広告を出してね。当社がそんな詐欺の片棒を担ぐことはできません』、区分の投資用マンション業界も闇が深そうだ。しかし、政府は問題が表面化するまでは、見て見ぬふりを続けるのだろう。

第四に、元銀行員で法政大学大学院教授の真壁昭夫氏が9月4日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「革新的で優良だったスルガ銀行に重大な不正が発覚した理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/178889
・『革新的で優良なはずだったスルガ銀行の不適切融資が発覚 これまで、革新的で内容のいい地方金融機関と評価されてきた、スルガ銀行の不適切融資の実態が明らかになった。最大のポイントは、同行の営業部門において収益を追求する姿勢が強くなりすぎたことだ。それが審査書類の改ざんなどにつながった。 その不適切な手続きを同行の審査部門は止めることができなかった。それだけではなく、同行の経営陣もそうした不正を見逃してきたのである。通帳の偽造なども行われていたことを考えると、同行の内部管理体制はかなりずさんだったと言わざるを得ない。 不適切な融資手続きが続いてきた背景には、恐らくいくつかの要因があっただろう。ただポイントを絞るとすれば、創業家出身のトップの存在感が大きくなりすぎた影響は大きい。その結果、営業ノルマの達成が至上命令と化し、増収増益が実現できれば多少のことには目をつむるという行動様式が組織全体に浸透したのだろう。その習慣を自助努力で正すことは難しい』、トップの暴走の恐ろしさは、東芝でもイヤというほど知らされたばかりだ。
・『スルガ銀行の問題発覚は、わが国の金融政策の副作用や、今後の金融監督行政のあり方を考えることにもつながる。同行の問題は、わが国の低金利環境下で金融機関が収益を確保することの難しさを浮き彫りにした。それは、金融政策の副作用の一つと受け止めるべきだ。 また、金融庁のモニタリングが強化され、不適切な営業を行ってきた金融機関の存在が明らかになる可能性もある。それを受けて地方金融機関の経営統合が従来以上に重視されることもあるだろう。スルガ銀行の問題発覚のマグニチュードは小さくない』、その通りだ。
・『金融機関の収益環境の厳しさは、利ザヤ(貸し出しなどの金利から、預金金利など資金調達のコストを引いたもの)の縮小に表れている。2000年代初頭、わが国金融機関の平均的な利ザヤの水準は0.6%程度だった。現在のところ、その水準は0.2%程度に低下している。 利ザヤ縮小の理由は経済の低迷にある。 わが国では、少子化、高齢化、および人口の減少が3つセットで同時に進行している。それは、経済の実力=潜在成長率が低下していることを意味する。その環境下、消費の増加は期待しづらい。企業の設備投資ニーズも高まりづらい。 特に、地方経済では人口減少等が顕著だ。加えて、地方では大企業の展開も少なく、金融機関が貸出先を発掘することは困難な状況にある。民間企業は資金余剰主体であり、大幅な資金需要の増加も見込めないだろう。経済全体で見て、金融機関が収益を確保することは容易ではない。 多くの金融機関が国債など、有価証券の運用(ディーリング)によって収益確保を目指しているが、それも容易ではない。日銀が異次元の金融緩和を続け、国債の流通利回りがきわめて低い水準で推移しているからだ。 経営体力のある都市銀行など大手金融機関であれば、経済成長率が比較的高いアジア新興国などでの金融仲介ビジネスを強化することで収益の確保を目指すことは可能だろう。しかし、相対的に自己資本が少なく、リスク許容度が低い地方の金融機関が国際業務に取り組むことは容易ではない。2018年3月期決算では、上場する地方銀行の6割が最終減益だった。収益性を維持するために多くの金融機関が人件費などを中心にコストカットを重視しているのが実情だ』、日銀の異次元緩和の副作用による罪は本当に深い。
・『スルガ銀行の不適切融資の背景 ただ、同行は収益追求をあまりに重視しすぎた。 守りよりも、あまりにも攻めの姿勢が強くなりすぎた。それが不適切融資の元凶の一つだったことは間違いない。 1985年ごろからスルガ銀行は個人向け融資の強化を進めた。構造改革を進め高収益といわれた状況を作ったのが、創業家出身の岡野光喜会長だ。銀行にとって法人営業は花形部門の一つだ。個人関連ビジネスに特化することは、口で言うほど容易なことではない。そのため同氏は専門家から「異端児」と評されてきた。 事実関係は調査結果を待たなければならないが、スルガ銀行では岡野会長がさまざまな部門の取り組みを評価し、指示を出していたようだ。同氏は実現が難しいノルマを営業部門に課し、営業マンに発破をかけようとしていたとみられる。 その結果、スルガ銀行の営業部門は不適切な融資手続きを行わなければノルマを達成できない状況に追い込まれた可能性がある。スルガ銀行の個人客に他の金融機関が借り換えを勧めたことも、営業の暴走につながった要因だろう。 第三者委員会の調査によると、営業担当役員は不適切な融資の実態を見て見ぬふりをしていた。その状況について、経営トップからノルマ達成の号令が担当役員に下り、それに営業マンが従ったというのが順当な見方だろう。その中で、「経営トップの指示が聞けないのか」という形で営業から審査部門に圧力がかかり、組織全体が不適切な手続きを黙認したと考えられる。 見方を変えると、同行の営業部門を中心に「背に腹は代えられぬ」との心理が強くなり、融資の審査基準の軽視に拍車がかかったということだろう。すでに、貸し付けた資金を預金させていた例も明らかになっている。同行の営業マンはかなり追い込まれていたことがうかがえる。 スルガ銀行は会長によるワンマン経営の下、客観的に経営戦略を評価する制度を確立できなかったといえる。会長の実弟からシェアハウス向け融資をやめるべきとの意見が出されたこともあったが、不適切融資は続いた。スルガ銀行の問題は経営者がコンプライアンスを軽視し収益追求に走ったという点で、古典的な経営の失敗といえる』、スルガ銀経営に対する評価は、元銀行員だけあって的確だ。
・『スルガ銀行の問題発覚は、わが国の金融監督行政および金融政策に無視できない影響を与えるだろう。スルガ銀行が自力で経営を再生することは容易ではない。同行は他行と経営を統合し、新しい金融機関として再出発することも考えられる。 それは、わが国の地方金融機関の再編につながる可能性がある。 すでに、金融庁は地方の金融機関の経営統合を重視している。その理由には、低金利下での過度な融資獲得競争の回避、金融機関の経営基盤強化やリストラ余地の確保がある。 今後、スルガ銀行のような経営管理体制がないか、金融庁は金融機関へのモニタリングを強化するだろう。その中で、特定地域での顧客の奪い合いや、過度にリスクを取った有価証券運用、あるいは不適切な融資の実行などの経営実態が明らかになることがあるかもしれない。 そうした経営は、持続的であるとはいえない。経済全体で資金需要の伸び悩みが見込まれる中で金融機関経営の持続性を高めるために、経営の統合は有力な選択肢になり得る。金融庁によるモニタリングの強化は、金融機関の経営統合に関する議論を加速させる可能性がある。公正取引委員会が長崎県の十八銀行とふくおかフィナンシャルグループの統合を認めたことも、金融機関の経営統合に関する議論を後押しするだろう』、これにはやや違和感がある。金融庁はこれまでから厳格にモニタリングをた結果として、スルガ銀を高く評価してきた筈だ。こうした金融行政の致命的ミスへの総括・反省なくして、モニタリングの強化といっても空しく響く。さらに、経営統合といっても、地銀では営業地盤が異なることが殆どなので、実際の統合効果は限定的だ。
・『また、スルガ銀行の不適切融資は、日銀の金融政策の副作用の一つとも考えられる。わが国の経済環境の中で金融機関が収益を確保し安定した経営を行うためにはどの程度の金利水準が求められるのか、政策当局と市場関係者などが議論を重ねるべきだ。その結果として、異次元の金融緩和の弊害、副作用に関する認識が深まり、従来に増して金融政策の正常化が重視されることもあるだろう。 スルガ銀行の不適切融資の発覚は、一金融機関に固有の問題として片づけるべきではない。低金利環境が続く中、他の金融機関が類似の行為に手を染める可能性も排除はできない。個々の金融機関は従来の営業活動が法令および社内基準を満たしているか、その取り組みに無理がないかを客観的に確認し、今後の経営改革につなげていくべきだ』、これは説得的で、その通りだ。
・いずれにしろ、スルガ銀行の第三者委員会報告書の正式発表が、当面の注目点だ。なお、9月1日付け日経新聞は、「アパート施工のTATERU、融資資料改ざん スルガ銀不正に類似」と報じた。西京銀行が舞台になったようだが、どうもスルガ銀行だけではなく、広がりがありそうだ。詳細が判明次第、取上げるつもりである。
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