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安倍政権のマスコミへのコントロール(その8)(菅官房長官の天敵・東京新聞「望月衣塑子」記者が暴露した“官邸取材の内幕”、政府広報か 無策の首相を「連日災害対応」と報じるNHKの罪、“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」とNHKを退職へ、「次の自民党総裁に誰がふさわしい?」と聞く世論調査に意味はあるか) [メディア]

安倍政権のマスコミへのコントロールについては、5月24日に取上げた。今日は、(その8)(菅官房長官の天敵・東京新聞「望月衣塑子」記者が暴露した“官邸取材の内幕”、政府広報か 無策の首相を「連日災害対応」と報じるNHKの罪、“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」とNHKを退職へ、「次の自民党総裁に誰がふさわしい?」と聞く世論調査に意味はあるか)である。

先ずは、6月4日付けデイリー新潮「菅官房長官の天敵・東京新聞「望月衣塑子」記者が暴露した“官邸取材の内幕”」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/06040631/?all=1
・『「東京新聞の望月です」で始まる、首相官邸で行われる菅義偉官房長官(69)とのバトルを楽しみにしておられる方もいるのでは――。 東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者(43)といえば、昨年(2017)6月には37分に23回!もの質問を、鉄面皮の官房長官に浴びせて一躍名物記者に・・・自身の半生を綴った『新聞記者』(角川新書)は、蒼井優(32)主演で映画化の計画もあるという。 5月27日、その望月記者とTBSの金平茂樹キャスター(64)との講演会が都内で開かれた。題して「なぜ隠すのか! 問われるメディアの力! モノが言えない空気を引き裂く!」。話題が会見の話に及ぶと、金平氏そっちのけで、望月記者は熱を帯び……』、あの有名な望月記者とあれば、面白そうだ。
・『――主催は「戦争はごめんだ、いのちを守るオールめぐろの会」という市民団体。団体名から想像がつくように、安倍政権を悪くいえば拍手喝采で、ステージの隅には、デモの時に使ったという、蕎麦(もり?かけ?)を手繰る安倍晋三首相(63)の巨大な人形が置かれている。  前半は各々持ち時間30分ずつで単独講演。さて望月記者の開口一番――。 望月:私のキンキン声はどこかで聞いたことがあるかと思います。 ――これだけで拍手が起こるのはさすが。そして、これまでの自身の経歴を紹介。整理部時代には「現場に戻りたい」と、読売新聞の中途採用を受けたこともあったとか――。そして休憩を挟んで、2人への質問形式による講演が1時間。官邸取材の内幕話の一部をお送りしよう。望月:第2次安倍政権になって、会見とか質問できる機会が縮小されています。記者クラブだけに公開していて、フリーの方が入れないという問題はあるのですけど、。記者クラブに対して開いていた門戸もどんどん狭めているという状況があります見で言えば、2011年の民主党政権時に、首相の官邸での記者会見は26回、17年はなんと4回! 受け付けている質問は20ですから、ほとんど指される記者は決まっています。私なんかも「指されないと思うよ」と言われながらも、色々目立とうとして手を挙げても絶対指されません。でも、NHKの政治記者さんは手も挙げてないのに指される。ビデオジャーナリストの神保哲生さん(56)も、ずっと手を挙げ続けているのに絶対指されない。ある日、長谷川栄一さん(66)という有名な報道官、司会者がいるんですけれども、彼が「誰か(質問者)いますかあ?」と言うから、神保さんハッと手を挙げた。手を挙げたのは神保さんだけだったんですが、「いませんね、終わります」って……視野にも入ってない。東京新聞が司会進行の幹事役になった時には、2問ぐらい聞けるんです。そうでない時は、東京新聞政治部は、まず指されないと聞いています』、官邸会見の回数がここまで減って、しかも不都合な質問者は無視するというのは、会見が大本営発表の場になり下がったことを意味する。
・『望月:官邸会見だけでなく、よくぶら下がりってやります。例えば財務省の改ざん疑惑が出てきた時に、安倍さんが来たぞーって集まって囲むわけです。安倍さんが「徹底捜査を指揮いたしました。膿を出し切ります」って……「(安倍さん)膿はお前だ!」(場内爆笑と拍手)って絶対ツッコみたいですよね。 だけど、かつて小泉政権の時には飯島勲秘書官(72)が「ぶらさがり朝夕やりま~す」って、朝も夕方も何回も何回もやったんです。これは小泉(純一郎)さん(76)が、自分が会見によって人気を高めていくことができるという話術の自信があったからです。株価がドーンと下がった時も、番記者が「株価が下がりましたが、大丈夫ですか?」と聞くと、「え、下がった? なら今が買い時だね!」つって。 それが民主党政権になると、鳩山(由起夫)首相(71)が沖縄基地に関して「最低でも県外」と思わず言ってしまって足を引っ張られることになったり、そういうことが続きまして、菅直人さん(71)の時に朝夕のぶら下がりが実質的になくなっちゃったんです。 もし、去年の籠池(泰典)さん(65)が逮捕される前、“もりかけフィーバー”がブワーッとなっていた頃に、「小泉さんの時のような朝夕のぶら下がりが毎日あれば、おそらく安倍さんは持たなかったんではないか」という話はよく聞きます』、「(安倍さん)膿はお前だ!」とのツッコミまでは彼女でもやはり無理なようだ。「おそらく安倍さんは持たなかったんではないか」というのはその通りだろう。
・『望月:最近も900枚の交渉記録、「一切ございません」って佐川(宣寿)さん(60)が言い続けてましたけど、出てきましたね。去年の2月、安倍さんは国会で「私や妻が関与していたと言うことがあれば、総理大臣も国会議員も辞めます」とおっしゃったのは間違いない。こうおっしゃったのをきっかけに、さまざまな改ざん、交渉記録の破棄、という方向に決まっていったんではないかと報道に出ています。この交渉記録がバーンと出てきたら、アッキー(安倍昭恵[55])が関与しているわけですよ。直接的に「値切りしてー」とかやっていませんけれど、棟上げ式に来る予定になっているとか、籠池さんから聞いたような話も含めて、色んなことの背景があの交渉記録に出てきた。つまり昭恵さんが会ったからこそ、土地値引きの傍証になるのではないかと思うのですが、ここについても1問しか聞けないわけです。「昭恵さんが交渉記録にありましたけど?」と聞いても「国会で答弁いたしましたから」で終わっちゃうわけです。 そもそも「記者がすり寄っている」ということもあるとは思いますが、それ以上に、対決するための機会さえ持てなくなったのが安倍首相です。 これが第2次安倍政権になって、官邸に入るフリーパスは政治部でさえ新たに発行されない。私も週に3日ずつ入ってますけど、フリーパスはもらえません。フリーパスをもらえても、1年以上行ってなければ自動的に失効。「新規でのフリーパスで官邸に入れる記者ってのは、ほとんどいない」と聞いてます。これは官邸だけでなく、内閣府に関しては、幹部を呼び出すと1階まで降りてきて、そこで対応する。検察庁刑事部にも久々に行くと、かつては毎日、刑事部長のところにも自由に行けたんですが、週1回30分だけとか、官邸の意向を受けてのことか分かりませんよ、だけど非常に質問できる機会を記者クラブの記者にまで狭めてきている』、他省庁でもマスコミ対応が厳格化しているようだ。
・『麻生(太郎)さん(77)も色んなこと言われてはいますけど、かつて1年前は財務省の報道をきちんとやっていたんです。だけど去年の夏以降、ほとんどやらなくなった。閣議後に大体2~3問は聞いて、「はいもう終わり~」で終わらせちゃう。 これに記者が慣れちゃうと、たまに財務省がちゃんと質問を受け付けても、2~3問しか出なくなっちゃう。「こんなもんかな」と慣れさせられちゃうんです。私たち記者クラブの記者さえも、そういう機会を埋められ始めているということを認識して、財務省や官邸に一致団結して抗議をし、きっちり質問の機会を設けてくださいとやらなければならないと思います』、その通りだが、現実には記者クラブの記者は、一致団結した抗議など見向きもしないのではなかろうか。
・『望月:まあ官邸に関しては、私はあれだけしつこくやっていたので、本当に制限されていまして、今年1月から私がパッと手を挙げると、上村(秀紀)報道室長が「今の方、1問でお願いします」。目の前の番記者さんが3つ4つ聞いているのに、「今の方、1問でお願いします」と言われて、1問だけだと事実確認で終わっちゃうんです。これはたまったもんじゃないと、政治部長に何か言ってもらおうかと思ったんですが、政治部も色々プレッシャーかけられているわけで、これ以上迷惑かけちゃいけないなと思って、Twitterで呟いてみたんです。 〈他の記者が3つも4つも質問しているのに、私だけはなぜか1問だけ。しかもこの1問制限の理由については何一つ、報道室から明らかにされていない。なぜなのか?〉 これが3000人くらいからretweetがブワァーって広まったんです。そうしたら、次の日から(制限は)ピタッと止まって、いまや2問!(場内爆笑) ――質問数が“倍増”したのは単なる偶然か、いや、望月記者の背後にいる“応援団”を恐れたのか。真相は定かではないが、ともあれ「反安倍」の急先鋒として有名になり、講演会にも引っ張りだこ。こんな話を方々で暴露されちゃあ、菅官房長官もきっと頭を抱えているに違いない』、それにしても、望月記者が空気を読まずに独立独歩の姿勢を貫く姿勢は大したものだ。彼女が記者クラブ内で孤立しているのは気になるが、今後も大勢に流されずに奮闘されることを期待してやまない。

次に、8月1日付け日刊ゲンダイ「政府広報か 無策の首相を「連日災害対応」と報じるNHKの罪」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/234511/1
・『31日、定例閣議を取りやめ、終日、休暇を取った安倍首相。立憲民主の枝野代表が「国から補正予算の『ほ』の字も出ないのはどういうことか」と言うように、西日本豪雨発生からもうすぐ1カ月になるのに、安倍首相は補正予算を組もうとしない。それで、夏休みとは気楽なものだが、大メディアはスルー。とりわけ、NHKは完全に政府広報と化している。 NHKの「安倍休暇ニュース」は、安っぽいコントのようだった。 菅官房長官の「総理に限らず、休めるときは休んだ方がいいと思っている」とのコメントを紹介し、こう続けた。「安倍総理大臣は西日本を中心とした豪雨で大雨の特別警報が出された今月6日以降、豪雨や台風12号の対応に連日当たっていて、短い休暇をとり英気を養うことにしたものとみられます」 連日の災害対応でクタクタの首相に、「ムリなさらないで」と労をねぎらう女房役の官房長官――思わず、そんな“光景”が目に浮かぶが、とんでもない。 批判を浴びた「赤坂自民亭」の7月5日を外して「6日以降」と区切るのもいかにもわざとらしいが、その6日の晩も、安倍首相と菅が総裁選の地盤固めのために公邸で無派閥議員と「極秘会合」していたことが発覚している。台風12号が列島を東西に横断した先週末も、28日(土)は終日私邸、29日(日)も官邸で30分ほど打ち合わせただけ。安倍首相はクタクタになるような災害対応はやっていない。31日の休暇も総裁選に向けて「英気を養うことにした」のはミエミエだ』、安倍首相のいい加減な災害対応には恐れ入るが、NHKの「御用報道機関」ぶりには腹が立つ。
・『「イージス・アショア」の論点ずらしにも加担 さらに、31日はNHKの政権ベッタリ報道が相次いだ。NHKは「イージス・アショア」の1基当たりの見積額が当初より500億円多い1340億円に上る見通しだと報じた。配備予定の自治体の反発や、朝鮮半島の沈静化に加えて、取得経費の大幅増額から、野党の配備見直しの構えを伝え、こう締めた。「政府は今後、より丁寧な説明を求められることになりそうです」 いやいや、配備の要否が論点なのに、説明の仕方の問題にすり替えている。何でも「丁寧に説明する」で逃げる安倍政権の代弁そのものではないか。NHK報道の監視を続ける醍醐聰東大名誉教授が言う。 「定例の閣議を開かないのは大ごとだし、安倍政権の災害対応は問題が多い。NHKは、それらに触れず、安倍政権が喜ぶような報道に終始している。政権を評価する判断材料がこれほど政権寄りでは、多くの国民は安倍政権を支持してしまいますよ。NHKは国営放送ではないので、政権に距離を置いて報じていると信じている視聴者も少なくありませんから」 安倍政権を批判してきた「報道ステーション」(テレビ朝日系)も、7月以降、政権批判が極端に鈍っているという。メディアがこんな調子で、安倍3選なら、お先真っ暗である』、全くその通りだ。

第三に、8月30日付け日刊ゲンダイ「“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」とNHKを退職へ」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/236473
・『NHKで森友問題に関するスクープを連発していたA記者が、考査部門に“左遷”されたことを、日刊ゲンダイが今年5月に報じたが、そのA記者が8月末でNHKを辞めることが分かった。 A記者は、NHK大阪放送局考査部の相澤冬樹副部長(55)。本人のフェイスブックによれば、8月31日にNHKを退職し、9月1日からは、新日本海新聞社の傘下の「大阪日日新聞」で記者として働くそうだ。フェイスブックには、<この仕事(記者)を愛し、誇りを持ち、これからも記者を続けたい、その一心で今回の転職を決めました>とある。 相澤氏に確認すると、NHKを退社することを認めたうえで、こう言った。 「フェイスブックに書いたように、記者をやりたいという思いが強く、NHKでは二度と記者に戻れないと状況的に考えて退職を決意しました。これまで外部の取材には応対してきませんでしたが、辞めることはもう確定していますし、個人的なことなのでお伝えしても問題ないかと思います」 NHKは、先日の安倍首相の鹿児島での出馬表明の生中継といい、ますます「アベ様のNHK」と化している。森友関連のスクープも、もう出てこないのだろうか……』、NHKが相澤冬樹氏を考査部で飼い殺しとは酷い話だが、同氏が他社で記者生活を続けるというのは、何よりだ。ただ、年俸は恐らく相当下がるのだろうが、第一線の仕事を選択したのは、ジャーナリストらしい生き方だ。

第四に、「安倍政権のマスコミへのコントロール」からは外れ、マスコミ自体の世論コントロールを論じたもので、政治学者の菅原 琢氏が8月24日付け現代ビジネスに寄稿した「「次の自民党総裁に誰がふさわしい?」と聞く世論調査に意味はあるか 見え隠れするマス・メディアの邪心」を紹介しよう。
・『9月に行われる自民党総裁選では早くから安倍晋三首相の3選が有力とされてきた。それでもマス・メディア各社は、総裁選を盛り上げるべく派閥や有力政治家の動向を追っている。 メディアがこの“イベント”を彩るための道具のひとつが、「次の自民党総裁」を聞く世論調査である。この種の調査の質問形式はさまざまだが、最近は次の総裁に「ふさわしい」のは誰かを選択肢から回答者に選んでもらうのが一般的である。 各社は、この回答を集計し、紙面や番組でその割合や順位の推移を報じる。この調査での各政治家の回答割合や順位は、その政治家の支持率や人気のバロメーターという印象を与える。総裁選前に幾度も調査を行うのは、そのような世論を表出させたいためだろう』、こうした記事は読む気すら起らないず、「またか・・・」と飛ばすことにしている。
・『このような調査をここでは「次の首相」調査と呼ぶこととする・・・マス・メディアにとって「次の首相」が誰になるかは重要な関心事であるため、このような調査が行われるのである。 もっとも、この「次の首相」調査の結果が何を意味しているのかは、よく考えた方がよい。過去のデータを確認していくと、「次の首相」調査の数字を人気や支持率と単純に解釈することは間違いであることがわかる。 本稿では、過去の3つの例と今回の総裁選の例を確認することで、この調査の意味を議論しておきたい』、なるほど。
・『2001年自民党総裁選〜急激に数字を伸ばした小泉純一郎 森喜朗首相の後継を選んだこの総裁選では、小泉純一郎が自民党員の6割以上の票を獲得し、国会議員による投票を待たずに圧勝の流れを呼び込んだ。 しかし、総裁選に入る前に行われた世論調査で小泉は、そこまでの“支持”を集めていたわけではなかった。 たとえば、2月に行われた朝日新聞の世論調査において誰が首相に「一番良い」か自由回答で聞いたところ、小泉と回答した割合は8%であった。 しかし、総裁候補4人のうち「自民党の総裁にはだれがよい」と思うか選択式で聞いた同年4月の朝日新聞の世論調査では、小泉を選択した割合は51%にも達している。 総裁選前の小泉はいわゆるYKKのひとりとして一定の知名度はあったものの、総裁選時に盛んに報じられたような「人気」があったわけではなかった。 実際、過去に出馬した総裁選では「ブーム」は生じていない。当時の人気政治家であった田中真紀子の支持と協力を得たうえで行った選挙運動中の数々の主張、発言を、テレビを中心とするマス・メディアが大きく報じたことが世論調査の数字を動かしたと言える。 言い換えれば多くの回答者は小泉の主張や政策を2001年総裁選期間中にはじめて知り、それを支持するようになったのだと言える』、あの小泉でも2月時点では僅か8%だったのが、その後急速に支持を伸ばしたとは、世論調査のクセを改めて知った。
・『2007年自民党総裁選〜派閥の支持で数字を伸ばした福田康夫 体調不良を理由に9月12日に安倍晋三首相が退陣を表明した直後には、麻生太郎自民党幹事長が有力候補と見られていた。 8日から9日にかけて行われた読売新聞の調査では、麻生を次の首相に「ふさわしい」とする割合は15.8%であった一方、福田康夫は5.8%に過ぎなかった。 しかし、13日夕方に福田康夫が総裁選への出馬を表明すると「次の首相」の数字は大きく変化することになる。 13日に行われた朝日新聞世論調査の「次の首相には誰がよいと思いますか」という質問(自由回答)では麻生13%に対して福田は14%とわずかに上回り、13日から14日かけて行われた共同通信社の調査の「次の首相にふさわしい人」を聞く質問では福田28.1%に対して麻生18.7%となった。 15日から16日にかけて行われた朝日新聞世論調査では、「次の首相にふさわしい」のは麻生、福田のどちらか2択式で聞いたが、福田53%、麻生21%と大差がついていた。 福田の数字が出馬表明前後で「伸びた」のは、大きく二つに分けて説明できる。 まず、出馬表明により具体的な選択肢となったため、人々が選択するようになったと考えられる・・・また、自民党内の派閥・グループや議員が福田支持を続々表明し、次の総裁となる可能性が高まったことも重要である。 世論調査の回答者が各政治家についてよく知らず、好みがない場合でも、誰が後継総裁として支持されているか、誰が総裁になりそうかは、誰が「総裁にふさわしい」と答えるべきかの判断材料になる』、そのほかに、麻生が首相時代に、「漢字が読めない」とか、上から目線の話ぶりで嫌われていたこともある筈だ。
・『2018年自民党総裁選〜選択肢で変わる世論の印象 以上の例から「次の首相」調査の数字は、その政治家の人気/不人気を直接示すわけではないことがわかる。 特に総裁選(党首選)での議員や派閥の支持の広がりや候補者の中での知名度の差、あるいは報道の扱いの差が、「ふさわしい」政治家の選択に影響する。 そもそも次期首相候補とされる政治家について、多くの有権者はあまり知らないことがこの背景にある。 これに加えて、質問の仕方も回答分布に大きな影響を与える。今回の総裁選を例に見ておこう。 今回の総裁選では、多くの人々がよく知る現職の首相が明確な有力候補として再選を目指す一方、対抗馬に何人かの政治家が取りざたされたものの、立候補するとみられるのは現在のところ石破茂のみとなっている。 だが、7月の世論調査からは、そうした政界の状況とは異なる「世論」を伝えるものもある。 表1は各社の7月の調査結果を安倍現総裁の割合の高い順に並べたものである。 安倍の割合が高かった朝日新聞や共同通信、あるいはJNNの回答分布は安倍vs石破の構図となっている。 その一方、読売新聞・NNN、日経新聞・テレビ東京、FNN・産経新聞、ANN、毎日新聞の5つの調査では、小泉進次郎を含めた3つ巴の構図と、かなり異なる印象の結果が示されている。毎日を除く4つでは小泉がトップとなっている。 この差は、調査の選択肢に各社が小泉を含めたかどうかで生じている。世論調査の質問はその選択肢の構成によって回答分布が変わり、世論の印象も大きく変わりうるものである。 この点は質問の聞き方についても言える。表1の右には、「わからない」などの選択肢となった議員以外の回答割合の合計を示している。これを見ると朝日新聞(37%)と読売・NNN(13%)との間で3倍近い開きがあることがわかる。 各社の回答聴取の段取りの詳細はあまり明らかになっておらず、質問文や内閣支持等の他の質問における傾向からの推測を含むが、朝日や毎日のように「そのほかの回答」割合の合計が高い場合には「この中にはいない」という選択肢を含めていると思われる。 逆に読売や日経のように低い場合にはこれを含めておらず、さらに「わからない」、「答えない」等の回答者にも「強いて言えば誰か」と重ねて聞いていると考えられる』、確かに質問の仕方の違いにも注意して読む必要がありそうだ。
・『“急伸”する安倍・石破の「ふさわしい」割合 選択肢や聞き方により回答分布が大きく変化することは、8月の調査と比較すればさらに明確になる。 表2は朝日新聞、JNN、ANNの7月と8月の調査を比較したものである。 ひと月の間に朝日新聞とJNNの調査では安倍、石破の割合が若干伸びているが、これは岸田文雄の撤退による選択肢減や、2人の対決となる可能性が高まったと報じられた影響と思われる。 一方、ANNでは安倍(+12ポイント)と石破(+19ポイント)が大きくその割合を伸ばしている。これは明らかに選択肢から小泉が除かれたことが影響している。 8月22日時点では、読売や日経などは8月の世論調査を行っていないが、今後の調査で小泉を選択肢から外すのであれば、ここで見たANNの調査結果と同様に安倍、石破の数字が“急伸”すると予想される。 しかし、それは急に両者への支持や人気が高まったことを意味しない。各社がこれをどのように説明するのかを見れば、各社の世論調査に関する報道姿勢が多少わかるだろう』、なるほど。
・『マス・メディアの邪心が表れる世論調査 以上のように、「次の首相(総裁)にふさわしい」割合は、政治家個人の人気のようなものを単純に示すわけではなく、派閥の支持などの政局の状況、一般的な知名度や報道のされ方、そして質問の設計でかなり印象の異なる数字が出てくる。 そうした数字のひとつを捉えて、今の有権者は誰某に期待している、支持しているといった議論をすることは当然難しい。 もちろん、小泉の出馬可能性が全くなかったとは言えず、小泉の知名度が高く、期待している人々が一定割合でいることも否定はできない。したがって選択肢に小泉を含む判断が間違いと断じることはここではしない。 むしろ、いろいろな選択肢の多様な調査があったほうが、われわれの世論の現状を垣間見ることができて好都合とも言える。 新聞等の大手マス・メディアがそれなりの費用と労力をかけて行う世論調査によって、われわれは有権者の政治意識を知ることができる。 部分的であるにせよ、これによって政治に対する期待、不満、要求などを有権者は政界に伝えることができるのだから、メディアの世論調査はありがたい存在とも言える。 だが、大手マス・メディアは社会奉仕の一環で調査を行っているわけではない。各社にとって世論調査の意義は、各社独自のニュースを “作る”ことができる点にある。 世論調査の回答者は自ら選択肢を選んでいるように見えるが、世論調査を実施するメディア各社はその選択肢に何を入れるのかを選ぶことができる。 この立場を利用して、より耳目を集める数字を出そう、あわよくば政局に影響を与えようという邪心が見え隠れすることもある。「進次郎待望論」も、回答者よりも前に記者が抱いているものだろう。 いずれにしても、世論調査により表出される「世論」には、実施する側の恣意や作為が多かれ少なかれ含まれていると想定すべきである』、「マス・メディアの邪心」に惑わされないようにしたいものだ。
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