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日本のスポーツ界(その20)(川淵三郎氏だから語れること ダメな組織とは 指導者とは、貴乃花親方の置き手紙 神事かスポーツか 問題の本質はそこにある、全裸ダッシュ エロ本パシリ…今だから言える「体育会系パワハラ」事例集) [社会]

日本のスポーツ界については、9月30日に取上げた。今日は、(その20)(川淵三郎氏だから語れること ダメな組織とは 指導者とは、貴乃花親方の置き手紙 神事かスポーツか 問題の本質はそこにある、全裸ダッシュ エロ本パシリ…今だから言える「体育会系パワハラ」事例集)である。

先ずは、10月1日付け日刊ゲンダイ「川淵三郎氏だから語れること ダメな組織とは、指導者とは」の一部を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/238232/1
・『なぜスポーツ団体の不祥事が次々と明るみに  2018年春の「女子レスリング・伊調馨選手への栄和人監督のパワハラ」を皮切りに「日大アメフト部・内田正人監督による危険タックル」「ボクシング連盟・山根明会長の職権乱用」「女子体操・塚原夫妻によるパワハラ」「重量挙げ・三宅義行会長のパワハラ」と日本スポーツ界のスキャンダルが後を絶たない。そこでJリーグ、Bリーグの立ち上げに尽力し、日本スポーツ界をドラスチックに改革してきた川淵三郎日本トップリーグ連携機構(JTL)会長である。80歳を越えても「良かれと思うことは包み隠さず、忖度せず、率直に発言していく」がモットーの川淵氏は8月、新潮社から「黙ってられるか」を上梓。「ダメな組織の立て直し」「指導者に求められる要素」「西野ジャパンの誕生からロシアW杯」などについて、ズバッと物申す川淵氏に聞いた』、日本トップリーグ連携機構とは、ボールゲーム9競技の日本の最高峰12リーグの競技力の向上と運営の活性化を目指した活動を行っている組織のようだ。
・『(「黙ってられるか」の執筆動機など)「バスケット協会の改革に乗り出してBリーグをつくってからは、いろいろなスポーツ団体の<立て直し屋>のようになりつつあります。苦情処理係のような感じも。いずれにしても、発言することで物事が好転することも多い。うまく機能していない組織の力に、関係している人の力になりたい一心でやってきたことを本にまとめました」・・・「バスケットボール協会は組織として体をなしていなかったし、チームを運営する企業もマーケティング方法、経営についての考え方などがアマチュア的でした。バスケットボールに限らず、一般企業では当たり前のことができないスポーツ団体が多い。例えば、バレーボール協会は、2011年以降に会長や専務理事や強化部長が1期2年で辞めている。選手強化の方針がころころ変わるようでは話にならない。ハンドボール協会は同じ人が長い間、役職に就いて定年を何度も延ばした。すべて<ガバナンス(組織統治)が、きちんとなされていない>ことが原因です。ここにきて各スポーツ団体の不祥事が次々と明るみに出ましたが、昔からの悪しき習慣が顕在化しただけのこと。ある日突然に暴力事件が、いきなりパワハラやセクハラが、表沙汰になったのではありません。すべてはガバナンス能力が不足しているということに尽きるでしょう」』、「昔からの悪しき習慣が顕在化しただけのこと」とはその通りなのだろう。
・『(ロシアW杯前の監督交代)「トルシエ監督(98年9月~02年7月)は『オレの言うことを黙って聞いていればいい』というキャラクター。ハリルも同じ<上から目線>のタイプと感じていた。ハリル時代は、とにかく試合が面白くなかったね。テレビ視聴率にも如実に表れていた。ロシアW杯最終予選の最終試合の視聴率は24%。4年前のブラジルW杯最終試合は38%だった。代表チームに魅力がなく、日本国民の関心も薄れていった。<代えるのならここ>というタイミングで監督交代はなかったなぁ~と思っていたら、W杯本大会開幕の2カ月ちょっと前に解任となった。田嶋会長の思い切った決断にびっくり仰天させられました」・・・「(事前)相談はなかったが『あす(4月9日)会見を開きます』という報告はあった。あのタイミングでの監督交代は勇気がいった。『よく決断した』と会長を褒めたよ。だってそうでしょう。W杯本大会直前に指揮官を代えて3連敗なんてことになったら、どれだけ批判されることか。ハリル体制のままだったら、惨敗に終わったとしても会長は批判されないで済んだかも知れない。ハリルと選手との関係が悪化し、チームが崩壊していたように聞いた。一体感がなくなっていたみたいだね」』、視聴率も依然として気にしていることや、ハリル体制で「チームが崩壊していた」には驚かされた。
・『(予選リーグ3試合目のポーランド戦での残り約15分、互いにボールを回して試合終了)。「娘とテレビ観戦しながら一体、何をやってんだよ!攻めないで負けてもいいのか! もうカッカして怒ってた」・・・「いや、試合が終わってグループリーグ突破が決まった瞬間、すべて許した(笑い)。それにしても、西野監督には感心したよ。何が正しい選択なのか、曖昧模糊とした状況で西野監督は腹が据わっているというか、肝が太いというか、よくぞ決断してくれた。試合が終了する前は『(セネガルのゴールが)入るな! 入るな!』と祈り、終わったら『西野! 凄い!』になっていた(笑い)」 (もし川淵日本代表監督だったら、同じ采配ができましたか?)「無理。できないね」』、やはり直球勝負の川淵氏には、西野監督のような真似は出来ないようだ。
・『(森保一・五輪監督がA代表の監督を兼任)「前から言っているんだけど<日本人体制で大丈夫>と思っている。ただし、日本語じゃないと意思の疎通が図れないということはない。東京五輪の前にクラマーさんがコーチを務め、英語での指示を岡野さん(当時コーチ、第9代JFA会長)が訳し、選手たちは真剣に聞いていたから、クラマーさんが何を言わんとしているのか、よく分かった。結局、外国語だから伝わらない、日本語だから伝わる――ではなくて<ちゃんと聞いてきちんと理解する>ことが大切ということです」』、私は<日本人体制で大丈夫>というのにはいささか疑問に感じている。
・(渡辺恒雄・読売新聞グループ本社主筆について、「犬猿の仲が天敵となり、それから恩人となって今では会いたい人」になった点)「ワッハッハ! 本当だね。渡辺さんというのは知性と教養の人。メディアの中でもトップ中のトップです。Jリーグの理念を発信するたびに批判をいただき、本当に『もう勘弁して欲しい』と困ったが、論戦をこなすうちに僕自身の考えも整理でき、Jリーグの理念が世間に広まった。本当に本当に感謝しています」 今年12月で82歳を迎えるが、生まれながらの舌鋒の鋭さは変わらない。「やるべきことはまだある。言いたいことを言いながら、精一杯やっていく」『黙ってられるか』の中の印象的なフレーズである』、同氏が会長を務める日本トップリーグ連携機構の役割は下記を見てもあと1つよく分からないが、今後の活躍を期待したい。
http://japantopleague.jp/static/aboutus/actionpolicy/

次に、スポーツライターの青島 健太氏が10月6日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「貴乃花親方の置き手紙 神事かスポーツか、問題の本質はそこにある」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600093/100300088/
・『相撲界を巡る一連の騒動は、まるで「台風一過」のようにあっと言う間に過ぎていった。 9月25日に引退届(その後、退職届となる)を提出した貴乃花親方は、記者会見を開き自身が内閣府に提出した告発状(のちに取り下げ)の内容について「事実無根の理由に基づいたものであることを認めなければならない」との要請を協会役員から受けたと主張した。そのことを認めなければ親方として協会内に残ることができないと感じた。それは譲ることができない。「無念」という言葉を何度も使いながら、踏み絵のような要求が引退の理由だと説明した。 ここからの進展は早かった。10月1日に相撲協会の臨時理事会が開催され、貴乃花部屋の力士ら(10人)の千賀ノ浦部屋(元小結・隆三杉)への移籍が承認され、これをもって貴乃花部屋の消滅が決まった。同時に貴乃花親方が正式に協会を退職することになった。 同日、会見を行った相撲協会の八角理事長は、千賀ノ浦親方や代理人弁護士を通じて、貴乃花親方と直接話し合うことを働きかけていたが実現できなかったことを明かした。「22回の優勝を成し遂げた立派な横綱で、大相撲への貢献は大きなものがあった。いつか一緒に協会を引っ張っていきたいと思っていた。このような形で相撲協会を去ることは誠に残念」と述べた上で「直接会って話ができなかったことを残念に思う」と語った。 奇しくも、この前日(9月30日)には、騒動の発端となった横綱・日馬富士の引退相撲と断髪式が行われ、翌1日には両国国技館で大相撲・全日本力士選士権(トーナメント戦)が行われ、平幕の阿武咲(阿武松部屋)が横綱・稀勢の里を破って優勝した。予定されていた行事や会合を怒涛のようにこなした大相撲界は、現役横綱が暴行事件の責任を取って引退し、その一件で協会の対応を問題視した貴乃花親方も追い込まれたかのうように退職し、まるで両者が刺し違えるがごとくの結末を見ることになった。 おそらくこの一件はこれで手打ちになるのだろう。なんとも物悲しい終わり方である。 ただ、この問題の本質は、もう少し深いところにあってこれですべてが解決したわけではない。今回の騒動を「ある種の権力闘争」という見方だけで終わらせないためにも根底にある問題に触れておこう』、私は相撲協会のみならず、貴乃花親方の対応も問題と思っているが、これは本題から外れるので、後日、機会があれば述べたい。
・『角界のウインブルドン現象  テレビでご覧になった方もいるだろうが、これから述べることは9月30日のプライムサンデー(フジテレビ)でも少しだけ話したものである。補足したいこともあるので改めて文章で書かせていただこうと思う。 今、大相撲界に横たわる本質的な問題は、「ウインブルドン現象」なのだと思う。「ウインブルドン現象」は経済用語で、外国の資本に地元の産業や商業が駆逐されてしまう現象のことである。テニスのウインブルドン大会では2013年に英国のアンディ・マレー選手が優勝するまで約80年間地元の男子選手が勝てなかった。 女子も1977年にバージニア・ウェード選手が勝って以来、40年以上英国の選手が優勝から遠ざかっている。 これは英国にとっては残念な事態だが、ウインブルドンという大会にとっては、それだけオープン化と国際化が進んだということ。同時にそれがこの大会の世界的なステータスになっている。言うまでもないが、大相撲でもこの傾向が年々進んでいる。今やモンゴル勢をはじめとした外国人力士が上位陣を占め、大相撲人気を牽引している。その意味で、横綱・稀勢の里は「ウインブルドン現象」に対する救世主であり、日本国民の期待の星なのだ。これについては本コラムでも以前書いた通りである。 今回の事件の発端は、飲食の席で日馬富士が貴ノ岩に暴力をふるってケガをさせたことにあるが、そもそも貴乃花親方は弟子の貴ノ岩にモンゴル勢の集まりに参加することを禁じていた。土俵で戦う者が、日ごろから仲良くしていたのでは、いろいろなことを疑われかねないと言うのが貴乃花親方の教えだ。そこで貴ノ岩はモンゴル出身でありながら同郷の力士たちとは一線を画していた。 ただ、この時は、貴ノ岩が高校時代を過ごした鳥取の母校の集まりということで参加が許されていたようだ』、例外的に参加したとは初めて知った。貴ノ岩、日馬富士双方にとって不運だった。
・『力士のジャージ姿に批判、伝統は曖昧に  貴乃花親方は、相撲関係者からは「原理主義」と呼ばれるほど、相撲道に対して厳格な人だ。これまでも土俵での所作の乱れや、横綱の品格についてなど、事あるごとに苦言を呈してきた。一連の騒動においても、その頑な言動は随所に感じられた。 どちらが良いか悪いかということではない。問題は相撲協会が、どこへ向かおうとしているのか……ということだ。貴乃花親方は部屋の運営や若手の育成に対しては、現代的な手法を積極的に取り入れていた。後援会にサポーター制度を導入したり、力士の年俸制を主張したり、様々な改革案を提唱していた。ただ相撲本来の様式や精神性に関しては徹底して保守的な伝統路線の上に立っていた人だと思う。 貴乃花親方は、退職にあたって後援会のホームページに感謝のメッセージを残している。 それは以下のように結ばれている。「大相撲は不滅です。土俵は、必ず日本国の遺産として残ります」 彼の相撲観が伝わってくる文言だ。 一方、協会は国際化している現実を踏まえて、ある程度寛容な運営を進めているように私には映る。それは貴乃花親方が信奉する国技や神事というよりもスポーツ的な側面も意識した協会運営やガバナンスと言えるだろう。 以前、ある力士が着物ではなくジャージ姿で外出して怒られたことがあるが、スポーツ選手やアスリートという観点で言うならば、スポーツメーカーのジャージは世界的な正装とも言える。今、起こっていることを象徴的に言うなら、そういうことだ。この文化をどう説明するのか。 何が伝統で、どこまで守らなければいけないのか。大相撲の国際化に伴って、そこが曖昧になってきているのだ。いや、日本人の若い世代にとっても、もはや伝統的な価値観について分からないことが多いのではないだろうか。そして貴乃花親方が抱いていた危機感や苛立ちというものが、そもそもこうしたことから始まっていた……というのが私の見立てだ。 伝統的な作法や所作、相撲界の価値観をすべて明文化する必要はないだろう。合理性を好む米国の大リーグでも明文化されていない紳士協定がいくつもある。大きくリードしたチームが盗塁や送りバントをしないのは、負けているチームへの配慮だ。優位な立場や状況にある者は、姑息な手段を選ばない。 それは、横綱の取り口にも通用することだろう。立ち合いで変化したり、奇をてらったりするような相撲は取らない。こうしたことは明文化されていなくても伝承で十分に伝わるものだ。しかし、これだけ国際化が進み、日本の若い世代も伝統的な文化や価値観を学ぶ機会が少なくなっている現状で、これをきちんと伝えるためには、今後いろいろなことを明文化する必要はあるだろう。 もうすでに外国出身の親方(部屋)も誕生している。近年では武蔵川親方(米ハワイ出身、元横綱・武蔵丸)の武蔵川部屋や鳴戸親方(ブルガリア出身、元大関・琴欧州)の鳴戸部屋などだ。押し寄せる国際化の波に相撲協会は、どう対応していくのか。大相撲の伝統文化を、どこまで守っていくのか。 優勝22回を誇る大横綱の退場は、そのことを心配する「置き手紙」だ』、貴乃花親方は国技や神事という面を信奉したのに対し、協会はスポーツ的な側面も意識、という点では、貴乃花親方の考え方は古過ぎ、協会の方が現実的だと思う。今後「伝統的な文化や価値観」などを明文化すべきとの筆者の主張には大賛成だが、今回の貴乃花騒動では、相撲協会が文書よりも口頭での伝達を重視していることが明らかになった。先ずは、こうした協会の体質を変えることが先決なのではなかろうか。

第三に、フリーライターの鎌田和歌氏が10月12日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「全裸ダッシュ、エロ本パシリ…今だから言える「体育会系パワハラ」事例集」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/181958
・『まるで日本中の膿が出るかのように、さまざまな不祥事が露見している平成30年。特にスポーツ界での告発やスクープは枚挙にいとまがない。今になってこれだけの問題が出てくるのだから、これまでの数十年間では、一体どんなことが行われてきたのか。もちろん有名人だけではなく、一般の人が巻き込まれたパワハラや体罰もあったはずである。「今だから言える、スポーツ界の理不尽」について匿名調査した』、確かにいくらでもあるだろう。
・『平成最後の年は不祥事のオンパレード  日本大学アメフト部の悪質タックル問題に始まり、バスケ日本代表の遠征先での買春、体操会の体罰、全日本剣道連盟における不正な金銭授受、日大応援リーダー部のパワハラ問題、さらには国技である角界のゴタゴタ……。 これほどまでに出るかと思うほど、平成最後の年はスポーツ界の不祥事オンパレードである。しかし、このような問題を聞いて「まさか」と感じる人は案外少ないのではないか。特に、自身が人生の若い時期において一心にスポーツに打ち込んで来た人ならば。 マイナーであれメジャースポーツであれ、良く言えばコミュニティーの関係が密、悪く言えば閉鎖的な環境になりやすいことは否めない。全体としてみれば伝統校や伝統クラブ、その関係者が強い発言力を持ち、個々のチームではコーチや監督が絶大な権力を持つ。そしてその中には、いまだに体罰や精神論がまかり通ってしまう風潮がある。「強くなるために」「勝つために」を突き詰めるあまり、客観的に見れば無意味に思える「しごき」を行っていないだろうか。 もちろん、個々を見れば体罰やパワハラとは無縁で、のびのびとスポーツに打ち込むことができる環境もあるのだろう。しかし、次々と明るみに出る不祥事は、これらが「氷山の一角」であることを浮き彫りにしている。 新聞や週刊誌で問題となるのは有名校や有名コーチの不祥事が多い。しかし実際には、有名無名にかかわらず、「しごき」や「かわいがり」、あるいはパワハラや体罰は行われている。今回は、過去にスポーツに打ち込み、その中で理不尽な経験をした人たちに、その思いを匿名で語ってもらった』、先端的な部分ではスポーツ科学に基づいた合理的な指導も行われているが、殆どは旧態依然なのであろう。
・『殴る蹴るは当たり前だった中高時代の部活動  まずは、学生時代の部活で顧問である教師から体罰を受けたというケース。 「中学時代バレー部に所属していました。練習中、男性の先生からボールをぶつけられたり、叩かれたり、ということは何度も経験しています。おまえらは言葉だけじゃわからんからな、みたいなことを言われました。当時は我慢していましたが、今振り返ると明らかに体罰ですよね」(30代男性) 「野球部だった高校時代、体罰を受けていました。エラーやミスをした後にビンタされたり、蹴られたりといった暴力は日常茶飯事。自分の指導がうまくいっていない怒りをぶつけているように思えました。自分だけじゃなくて、チームメイトの誰かがミスをしてしまわないか、いつもビクビクしていましたね」(30代男性) 「中学時代バスケ部に所属していました。他校との試合のとき、相手校の顧問が、選手をボコボコに殴っていたのを見て衝撃を受けました。背中や頭を何度も殴られていて、常軌を逸したような、異常な殴り方でした。試合中も、生徒のミスについてブツブツと文句を言っていて……。他校の生徒や教師が見ている前でもあれだけ殴るのだから、普段の練習では……と思うとゾッとします。当時は子どもだったのでその顧問に恐怖を覚えただけですが、今となってはあの教師に何も言わない他の教師もどうかと思います」(30代女性)』、どこにでもありそうな話ばかりだ。
・『厳しい指導、溜まるストレス うっぷんは下級生へのいじめに  また、顧問やコーチの指導に問題があることから部やチーム内の雰囲気が悪くなり、結果的に上のものが下のものをいじめる、という構図が複数のエピソードに見られた。 「中学時代にスポーツクラブにいました。コーチが厳しくて、手が出ることも多く、いつも誰か殴られないか、怒鳴られないかビクビクしていました。そのクラブでは備品や私物がなくなることやいじめも多かったです。今思うと、心理的に追い詰められていたんだと思います」(20代男性) 「高校時代に、その地方では一番強いチームに所属していました。割とマイナースポーツなのでスポーツ名は伏せますが、チームスポーツです。男性顧問が、チーム内の優秀な2人だけを贔屓するので、そのせいでチーム内がギスギスしていました。他のメンバーには内緒にして、その2人だけをファミレスに連れて行ったりするんですが、結局贔屓されてる子が他の子に自慢したりして……。贔屓されないメンバーは、その顧問のことを嫌いつつも、たまに誉められるとやっぱりうれしくて、一種の洗脳状態だったかもしれません」(20代女性) 「高校時代、サッカーの強豪校にいました。自分は公立中学時代はエースだったけれど、その高校では戦力外で、グラウンド整備と筋トレばかりしていた記憶があります。レギュラーには、その後日本代表になったような選手もいました。スター選手たちは試合に出ることがない選手を見下していて、顎で使われるようなことも多かったので屈辱でした。コーチもそういうのを見ていたけど、別に注意などはしていなかったですね」(30代男性) 顧問やコーチの顔色を見ながら結果を出さなければならない状況では、スポーツを楽しむどころではない。結果的にパフォーマンスの低下につながると思うのだが……』、いじめ、パワハラなどの伝統が代々続いていると、それは当たり前に思えてくるところが恐ろしい。
・『全裸ダッシュを強要、エロ本を買いに行かせる……同性同士の「セクハラ」も  チーム内での上級生からのいじめについては、こんなものも。 「高校時代のラグビー部で、先輩からの下ネタ系のパワハラがきつかったです。全裸で更衣室からトイレまでダッシュを強要されたり。あとは、制服のままでエロ本とかを買いに行かされたり、シャワー中に着替え一式を隠されて1時間ぐらい全裸で探し回ったり、『女子マネに下着の色を聞いてこい』と言われたこともありました。先輩たちは楽しそうだったし、本人たちがやることもあったから完全にいじめやイビリというわけじゃないのかもしれないけど、上の言うことは基本絶対だし、上がやっているから下が断れないというのもあった。そういうノリについていけない自分にとっては苦痛でしかなかったです」(30代男性) 「高校時代の部活で、ゲームに負けた下級生が『女子更衣室から何か盗んでくる』というルールがありました。やったかどうかは聞かないでください……」(20代男性) 30代男性のエピソードで彼は「下ネタ系のパワハラ」という言葉を使っているが、全裸ダッシュを強要されたり、エロ本を買いに行かされるのは同性同士での「セクハラ」だろう。また、下着の色を聞かれたり盗難にあう女子生徒はもちろん被害者だが、「聞いてこい」「盗ってこい」と命令される下級生も被害者であり、彼らは被害者でありながら加害者でもあるという複雑な立場に立たされる。性的なことに関心を持つ年代とはいえ、こういった問題を単なる「悪ふざけ」と放置できないように思う。 このようなエピソードを語った人たちから異口同音に聞こえてくるのは、「毎日顔を合わせて一緒に練習をするチーム内では逃げられない」という声。また、「スポーツで『団結力を』とか『みんなが頑張ってるんだから自分も頑張る』とか言うのは美談で語られるけれど、実際は人間同士、気の合わない者がいて当たり前。そこで調整力や息抜きのないチームだと、うっぷんが溜まって体罰やいじめにつながるのではないか」(30代男性)という声も』、「うっぷんが溜まって体罰やいじめにつながる」というのは、その通りなのだろう。
・『親さえも容認「体罰は指導」の空気  未成年のスポーツには親の送迎やサポートも重要となってくる。体操界の体罰問題がいい例だが、コーチから選手への体罰を、親さえ容認していることがある。 「大学まで柔道をやってました。高校時代の柔道部では、コーチからビンタされたり、蹴り飛ばされたりすることがよくありました。うちの親は練習には来なかったのですが、よく練習を見に来る他の生徒の親が『もっとしごいてやってください』『先生の指導でこの子はよくなった』みたいなことを言ってました。当時はあれが普通だと思ってたんですが、今はよく耐えたなと思います」(30代男性) 「たまに報道で話題になってますが、親からコーチへの“付け届け文化”みたいなのはありました。他の親がみんなやっているからやらないわけにはいかなくて、定期的に商品券とかを渡す……みたいなの。怒鳴ったり殴ったりとかも親たちは見てたけど止めないし、『指導に体罰があって当たり前』『体罰がダメなんて偽善的な考え方』って空気。OGとかも『殴られる意味がわかるときがくる』とか言ってたし、今思うと本当にやばいですよね……」(20代女性) 体罰が子どもを良い方向に導くというエビデンスはない。むしろ、体罰は子どもの脳に深刻な影響を与えるという研究結果がある。体罰で子どもが「良く変わった」ように見える場合、それは萎縮したり、自分の気持ちを押し殺したりしているだけだろう。それでもなお、「場合によっては体罰が必要」「生意気な子どももいるから体で覚えさせることが必要」と、信じている人たちがいる。虐待で子どもを殺す親を擁護する大人はいないのに、殺さない程度の体罰には寛容な大人が一定数いるのはなぜなのだろう。「指導」を、ごく短期的な視点で捉えているように思う。 会社でも学校でもそうだが、組織の中で行われる不祥事は隠されやすく、正当化されやすい。部活やクラブチームでの体罰やパワハラはその典型だろう。その組織の中での「当たり前」や「常識」は、本当に従わなければいけないものなのか。定期的な確認が必要だ。下の者が不満を抱いたとしても容易には変えられない構造だからこそ、風通しのよい組織にしなくてはならないのだろう。「昔は今よりもひどかった」ではなく、「今だってひどい環境もある」ことを忘れないようにしたい』、「体罰で子どもが「良く変わった」ように見える場合、それは萎縮したり、自分の気持ちを押し殺したりしているだけだろう」というのは、正論だ。ここで、スポーツ指導のあり方を抜本的に見直さないと、スポーツ指導でのいじめ、パワハラ文化はなかなか変わらないのではなかろうか。
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