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カジノ解禁(その7)(アメリカで報じられた安倍首相「カジノ疑惑」 日本でのカジノ合法化の裏に何があったのか、10分で1億円損失…カジノにおぼれた大富豪たちの悲惨 カジノにハマらない人はいない) [国内政治]

カジノ解禁については、8月17日に取上げた。今日は、(その7)(アメリカで報じられた安倍首相「カジノ疑惑」 日本でのカジノ合法化の裏に何があったのか、10分で1億円損失…カジノにおぼれた大富豪たちの悲惨 カジノにハマらない人はいない)である。特に、第一の記事は安倍首相をめぐる特大のスクープで、大いに注目される。

先ずは、スタンフォード大学教授のダニエル・スナイダー氏が10月17日付け東洋経済オンラインに寄稿した「アメリカで報じられた安倍首相「カジノ疑惑」 日本でのカジノ合法化の裏に何があったのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/243483
・『安倍晋三首相は、かつての日本の指導者たちであれば辞任を余儀なくされたようなスキャンダルや不祥事をうまく乗り越えてきた。が、ここへきて安倍首相の頭上には新たな黒い雲が漂っている――名付けて「カジノゲート」である。 この件には、安倍首相、アメリカのドナルド・トランプ大統領と、アメリカで(おそらく世界的にも)最も強力なカジノ王であるラスベガス・サンズの所有者シェルドン・アデルソン氏がかかわっている。浮かび上がっているのは次の疑問だ。はたして安倍首相は、アデルソン氏と密接に結び付いているトランプ大統領の好意を得ることを視野に、日本でのカジノの合法化を推進したのか、という問題である』、「カジノゲート」が飛び出してこようとしているとは、面白そうだ。
・『「それはまったく青天の霹靂だった」  現時点では、この疑問への明確な答えはない。しかし、10月10日に公開されたアメリカの調査報道組織「プロパブリカ」の記事(Trump’s Patron-in-Chief: Casino Magnate Sheldon Adelson)は、安倍首相とトランプ大統領を明確に指弾するものだった。同記事は、トランプ大統領が、2017年2月の安倍首相による初の公式訪問の際に、サンズと少なくとももう1つのアメリカのカジノ会社にカジノライセンスを与えるよう安倍首相に働きかけたと報じている。 同記事によると、フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘での会議において、同大統領は、安倍首相に対し、ラスベガス・サンズにライセンスを供与するよう圧力をかけ、もう1つの会社、MGMリゾーツまたはウィン・リゾーツ(情報源が異なる)についても言及した。トランプ大統領からの大胆な圧力は、おそらく安倍首相を驚かせただろう。 「それはまったく青天の霹靂(へきれき)だった」と、この会議についてブリーフィングを行った1人はプロパブリカの記者、ジャスティン・エリオット氏に語っている。この人物によると、「彼らは、トランプ大統領がそこまで厚かましくなることが信じられませんでした。安倍首相は特に返答はせず、情報に感謝していると述べた」という』、トランプ大統領の厚かましさには驚くばかりだ。特に返答をしなかった安倍首相は、脇が固くなったようだ。なお、「プロパブリカ」の記事のURLは下記
https://features.propublica.org/trump-inc-podcast/sheldon-adelson-casino-magnate-trump-macau-and-japan/
・『しかし、安倍首相は、アデルソン氏とサンズをまったく知らないわけではなかった。同社は、2014年5月に同社が運営するシンガポールの統合リゾートへのツアーを手配するなど、安倍首相が権力に返り咲いて以来、彼に対して直接働きかけを行ってきた。このシンガポールのカジノは日本で推進されたカジノ法のモデルにもなっている。安倍首相は「統合リゾートが日本の経済成長戦略の重要な部分になると思う」と、サンズが宣伝するカジノリゾートのツアー中に述べた。 アデルソン氏にとって、日本の市場は、最後の、そして最も収益性の高い未開拓の合法ギャンブルの機会である。年間250億ドル相当の市場であり、マカオに次ぐ2番目の市場となると推定されている。 プロパブリカの記事が実証するように、アデルソン氏は、長年共和党に対して資金を提供していたが、最初はトランプ大統領に懐疑的だった。しかし、後に彼の選挙運動と就任イベントに2500万ドルを拠出している。今回の中間選挙でも、共和党に対し5500万ドル(増加中)寄付するという巨額の寄付者だ。アデルソン氏はまた、トランプ大統領の義理の息子、ジャレッド・クシュナー氏とも懇意で、ジャレッド一家は長年アデルソン氏と密接な関係にある』、安倍首相が2014年5月にサンズの手配でシンガポールの統合リゾートを視察していたのであれば、アデルソン氏とも親しくなっていたのだろう。アデルソン氏とトランプ大統領も親密なようだ。
・『アデルソン氏が最初の面談をセッティング?  プロパブリカが調査したものの、完全には確認できなかったが、アデルソン氏がトランプ大統領の選挙での勝利から数日以内の2016年11月に、トランプタワーで安倍首相とトランプ大統領との注目すべき会談を成立させたキープレーヤーであったとする相当の証拠がある。 安倍首相は、トランプタワーの門をくぐった最初の世界的リーダーとして、トランプ大統領との関係に大きな足場を得た。この関係は、安倍首相の個人的な外交の成果として頻繁に言及されてきた。 それからわずか数週間後、安倍首相は、国民とほぼすべての政党からの広範な反対があったにもかかわらず、ほとんど議論することなく、合法カジノの枠組みを定めるべく、国会で膠着していた法案を強引に推進して、関係者たちを驚かせた。 2017年2月、著者は、日本で地位のあるアメリカ人のビジネスマンと対話したが、彼によると、アデルソン氏は、ジャレッド・クシュナー氏とのツテを通じてトランプ大統領と安倍首相の会談をアレンジしたという。クシュナー氏は、彼の妻イヴァンカ・トランプ氏とともに当該会談に出席していた。さらに、このビジネスマンは、この奉仕の返礼として、安倍首相は、サンズがライセンスの第一候補者になるだろうということを明確に理解したうえで、カジノ法を推し進めた、と話していた。私は、この話の確証を得ることはできなかったが、このうわさはビジネス界に広がっていた』、トランプ大統領と安倍首相の初の会談もアデルソン氏がアレンジし、対価として、「サンズがライセンスの第一候補者になるだろうということを明確に理解したうえで、カジノ法を推し進めた」というのは驚いた。
・『金融サービス会社、オルフィ・キャピタルのパートナーであり、アジアにおけるベテラン銀行家であるロナルド・ヒンテルコーナー氏は2017年2月28日、「エクスパタイズ・アジア」というオンラインニュースレターでまさにこの話を書いている。 同氏は、「信頼できる私の情報源」によるととして、「安倍首相のトランプタワーへの最初の訪問は、大部分とまで言わないとしても部分的には、トランプ大統領の選挙運動に惜しみなく貢献したラスベガスのカジノ王シェルドン・アデルソン氏が演出したものであった。偶然にも、その後、安倍首相のニューヨークからの帰還直後に、国会で新しいカジノ法案が12月初めに押し通された」と書いている。 アデルソン氏のトランプ大統領とこのような会談を手配できる能力は、安倍首相にだけ有益だったわけではない。「エクスパタイズ・アジア」と「プロパブリカ」の両方によれば、アデルソン氏は、安倍首相の直後に、ソフトバンクの孫正義会長兼社長にもトランプタワーでの会談を手配したという』、孫正義会長兼社長のトランプ大統領との会談は、どうして会えたのだろうと疑問に思っていたが、アデルソン氏が手配したとは、なるほど。
・『安倍首相との朝食会で「カジノについて議論」  プロパブリカによると、アデルソン氏は、「数週間後に、日本の億万長者であり旧友である孫正義のために、待望のトランプタワーでの会談を確保した」。「孫氏の会社、ソフトバンクは、1990年代にアデルソン氏のコンピュータトレードショー事業を買収している。数年前、アデルソン氏は、孫氏を日本におけるカジノ報告計画の潜在的パートナーとして名指しした。ソフトバンクは、スプリントを所有しているが、同社は長年にわたりTモバイルとの合併を望んできた。しかし、それにはトランプ大統領政権からのゴーサインを必要とする。次期大統領との会合を終えトランプタワーのロビーに笑顔で現れた孫は、アメリカへの500億ドルの投資を約束した」(プロパブリカより) また、プロパブリカの報道によると、アデルソン氏は、2017年1月下旬のトランプ大統領の大統領就任から数日後、ラスベガス・サンズの決算説明会において、安倍首相はシンガポールのカジノリゾートを訪れただけでなく、「それに非常に感銘を受けた」と述べたという。 そのわずか数日後、安倍首相の公式訪問中にアデルソン氏は、ワシントンで開催された安倍首相との朝食ミーティングに、そのほか2人のカジノ業界の役員とともに出席し、カジノの問題を議論した、とある出席者はプロパブリカに語っている。その後、フロリダの別荘でトランプ大統領との晩餐が行われた。 トランプ大統領が晩餐でその話を持ち出したとき、安倍首相がアデルソン氏とサンズをよく知っていなかったという考えは、ほぼ信じがたい。2017年6月に日経新聞が初めて晩餐での議論について報道し、それにより、民進党参議院議員(当時)である杉尾秀哉が国会でトランプ大統領との取引について質問するに至った。安倍首相は、サンズやほかのアメリカ企業の入札に関して、トランプ大統領と会話したことは一度もない、と主張した。これはプロパブリカの主張と矛盾する』、「安倍首相は、サンズやほかのアメリカ企業の入札に関して、トランプ大統領と会話したことは一度もない」、と国会で答弁したのは、やはり本当のことを話せば、マズイと思ったからだろう。
・『アデルソン氏としては、日本でカジノライセンスを取得するための内部のツテを獲得したということを隠してはいない。プロパブリカが報告しているように、アデルソン氏は最近の株主への決算説明において、ロビー活動の取り組みが成功していると話した。「事情を知っている人々、事情を知っていると述べる人々、われわれが事情を知っていると信じる人々による推定によれば、われわれは、1番目の候補である」とアデルソン氏は述べている。 アデルソン氏は最近、日本での活動について、はるかにオープンにしている。2017年9月、彼は知事と市長に会うために、自身のカジノの有力候補地である大阪を訪れた。アデルソン氏は、ギャンブル用のカジノリゾート空間の大きさに関する規制について、何の良心の呵責も感じずに、IR実施法の初期草案を批判した。そして、7月に法律が可決されたとき、カジノの床面積の制限はなくなっていた』、アデルソン氏の政治力は日本でも絶大なようだ。
・『日本に窓口を置かずに活動しているサンズ  MGM、ウィン、シーザーズ、マカオの大手メルコなどの大企業を含むほかの多くのカジノ運営会社は、ライセンス取得のための入札に専念している。より小規模の事業者は、小規模の地域センターでのライセンスを取得したいと考えている一方、大規模なカジノは、東京と大阪での設置に目を向けている。 その中には、日本に事務所を構えて非常に大きな一般向けキャンペーン、地域や他の当局に働きかけるための豪華なイベント、広報活動の取り組みを行っている企業もある。しかし、サンズはそのような取り組みをほとんどしていない。 カジノ業界誌『アジア・ゲーミング・ブリーフ』は先月、「サンズは、日本の主要なIRライセンスの1つの最有力候補であると、ほぼ一般的にみなされている」と報道した。「しかし、その戦略はほかの企業のものほど明らかではない。サンズは日本に窓口を設置せず、代わりにシンガポールからキャンペーンを実行している。サンズは日本で有力な代理店を雇っているが、その活動は巨大な氷山を思い起こさせる。水面の上にあるものは水面下にあるものよりも確実に矮小だ、ということである」。 表面下の氷山はトランプ大統領・安倍首相・アデルソン氏の三角形であると暗示されている。プロパブリカの報道内容は、アメリカで急速に広く注目を集めており、影響力のあるニュースサイト「アキソス」を含む多くのメディアで報じられている。 通常臆病な日本のメディアもこれについて報道し始めたが、これからカジノゲートについて自ら調査を始めるだろうか。それのみが、このスキャンダルがたとえばロッキード疑惑のレベルにまで拡大するか、あるいは、つねに素早い安倍首相が政治的な大惨事からなんとか脱出する方法の一例になるかを決定するだろう』、サンズにすれば、既に日本に強力なコネを構築したので、窓口など置く必要はないということだろう。「臆病な日本のメディア」には、余り期待できそうもないのは残念だ。国会での手ぬるい追及に期待するしかなさそうだ。

次に、カジノ・エージェントの尾嶋 誠史氏が10月14日付け現代ビジネスに寄稿した「10分で1億円損失…カジノにおぼれた大富豪たちの悲惨 カジノにハマらない人はいない」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57930
・『100億を超える負けは日常茶飯事  2011年9月、大手製紙メーカーとして知られる大王製紙の当時の会長、井川意高(もとたか)氏が、自身のグループ企業の子会社から総額約105億円もの多額の資金を不正借り入れしていたことで、日本中のメディアを騒がせました。 彼がそんな多額のお金を必要とした原因は、106億8000万円にものぼったというカジノの負け金を払うためだったことも、大きく話題になりました。この失敗を決定づけた現場は、シンガポールにあるホテル・マリーナベイ・サンズのVIP向けカジノでしたが、以前は日本からアクセスがよいマカオにあるカジノによく足を運んでいたそうです。 しかし、カジノのVIPルームの世界では、100億円を超える負けを作ることなど、日常茶飯事。実際、僕自身も多くの資産を失う人たちを、数多く見てきたのです。 世界No.1の売り上げを誇るマカオのカジノで、6年間エージェントとして働いている尾嶋誠史さんは、その経験を『カジノエージェントが見た天国と地獄』という一冊にまとめた。そこで尾嶋さんは「カジノは観光都市として、富裕層を呼び込むには最適で、日本にカジノを作ることは賛成。しかし一般市民に防御策を取ることが絶対条件」と語る・・・その理由は、カジノはエンターテインメントとして完成されているが、決して儲けられるものではなく、破綻してきた人も多く見てきたからだという。一体どれほどの例を見聞きしてきたのだろうか――』、井川氏の事件は覚えているが、「100億を超える負けは日常茶飯事」とは恐れ入った。
・『カジノにハマらない人はいない  「カジノにハマらない人はいますか?」そう質問されることがありますが、僕個人の経験からいうと、これまでにそういう人は1人もいませんでした。少なくとも僕自身がアテンドすれば、もれなく全員をカジノにハマらせる自信があります。 カジノには人間の欲望が、すべて詰まっています。 まず、瞬時にして大金を稼ぐことができるという点。 たとえば、1万円を持っている人であれば、たった1日でそのお金を100万円にすることができるのです。バカラの場合、たった2分の1の確率の運だけで、持ち金を100倍近くに変えることができる。これを目の当たりにして、ハマらない人はなかなかいません。 ただ、そうして楽して一瞬の間に稼いだ大金を手にすると、当然人生がおかしくなる人が出てきてしまうもの。それが、大金に慣れている富豪と言ってもそうなのです。 VIPルームのお客様になるには、まず最低でも140万円のデポジットが必要。さらに、ハイリミットでの1ゲームの最低の賭け金は14万円からです。正直、信じられない金額が日々やりとりされているのですが、そこに集う人々のお金の使い方は半端ではありません。 ジャンケットのエージェントとして、僕はこの6年ほどの間、年間300人近いお客様をアテンドしてきました。どのお客様も予算は最低1億円。多ければ年間100億円単位のお金を使って帰るような方々も決して少なくありませんでした』、VIPルームの客の予算は最低1億円、とはさすが別世界だ。
・『10分間で1億円を失った大富豪  僕がアテンドしたお客様のなかでも、最短時間でカジノで大金を失った大富豪といえば、おもちゃメーカーを経営していた李さんでしょう。 李さんの年齢はおよそ40代半ば。細身でいつも柔和な笑みを絶やさない、見た目はいたって普通の男性でした。しかし、彼はとにかくカジノが好きで、マカオにやってくると酒よりもゴルフよりも、まずカジノという人でした。そんなわけで、李さんをアテンドするときは、どこにも寄らずにまずホテルへとチェックイン。そして、ホテルに荷物を預けてから、すぐにカジノに繰り出すというのがおきまりのパターンでした。 ある日のこと。いつものようにホテルのロビーで待つ李さんを残して、僕が彼の代わりにチェックインの手続きをしにいきました。チェックインが終わって、10分後に戻ってみると、どうやら李さんの様子がおかしい。 どこかふてくされたような顔をして、ぶつぶつ文句を言っています。すると、李さんの奥さんが笑いながら「この人、今日もう負けちゃったのよ」と彼の肩を叩くのです。 どうやら詳しく話を聞いてみると、僕がチェックインをしに行っている時間すらも惜しかったのか、待ちきれず、李さんは1人で先にホテルのロビー近くにあったVIP用のカジノルームに行き、そこで大金を賭けたもののいきなり大負けしてしまったとか。 しかも、その金額は1億円……。 僕がチェックインしているたったの10分の間に、なんという早業。 数々のお客様をアテンドしてきましたが、これまでにそんな短時間でそんな大金をギャンブルに突っ込んで負けてしまった人を見たことがなかったので、しばし唖然としてしまいました。 結局、李さんはマカオに3日間滞在していましたが、その間に彼がカジノで負けたお金はなんと30億円ほど。彼と出会ってから数年経ちますが、これ以上の負けっぷりの良いお客様は、まだ見たことがないかもしれません』、「10分間で1億円を失った」とは、やはりスケールが違うようだ。
・『6億を稼いだ中国人女性の勝因は  カジノは9割の人が負けて帰る場所。僕自身、長年そう思っていました。僕がアテンドしたなかで、一番大勝ちしたのは、5年前に出会った中国人の女性・張さんでした。 元金100万香港ドル(約1500万円)からギャンブルをはじめ、張さんは、最初の勝負から一向に負けなし。元金を減らすどころか、みるみるお金が増えていきます。 なお、カジノでは、だいたい多くの人は、元金が2倍、3倍になったあたりで気持ちが大きくなるのか、少しずつ賭ける金額が大きくなっていきます。すると、負けたときの損害も大きくなっていくので、せっかく勝ったお金を失ってしまうという負のスパイラルに陥ることも多いのです。 でも、張さんのすごいところは、いつまでたっても変わらず冷静な点。トータルの勝ち金額が元金からおよそ10倍になっても、まったく動じることがなく、同じテーブルについたお友達と世間話をしながら、同じペースでゲームを続けていきました。 朝から休みなしでずっと彼女は勝負を続け、開始から6時間。気が付いたときにはなんと勝ち金が4000万香港ドル、つまり日本円で総額6億円近くに……。1時間でおよそ1億円稼いだ計算でした。 「そろそろいいかもしれないわね。今日は楽しかったわ。アテンドしてくれて、どうもありがとう」 と彼女はにっこりと笑い、お友達と一緒に部屋に引き上げていきました。そして、彼女が「カジノに遊びに行きたい」といったのはその日限り。全部で4日間の滞在ではあったものの、初日以外はカジノに行かず、後はマカオをお友達と観光して、その後、中国に帰って行かれました。 これまでに何百人というお客様をカジノにアテンドしてきましたが、1日で6億円も稼いでいく人というのもなかなか巡り合うことはありません。もしもいたとしても、多くの人はその日の大勝ちが忘れられず、ツキを信じて、翌日、また翌々日もカジノに行って、結局は勝ち負けトントンか、もしくは負けを増やして帰っていくというパターンが大半でした。 張さんのその去り際の美しさには、唖然としたほどです』、こんな冷静もいるとは、例外中の例外なのだろうが、やはり驚かされた。
・『「もうやめておきましょう」の助言を無視  僕たちの仕事は、あくまでお客様にカジノを楽しんでもらい、気持ちよくお金を使っていただき、そして、また来ていただくことです。お客様がカジノで破産してしまえば、当然次からは来ていただけなくなってしまいます。 そうならないために、お客様には「ほどほどに遊んで、楽しんでいただく」ことを常に目指しているので、お客様が大負けしそうになったときには横から「もう危ないです」「今日はそろそろやめておきましょう」などとそっと口を出して、クールダウンしてもらうことも多いのです。 半分くらいの人はその言葉を聞いて、「うん、そうだな」と冷静になってくれるのですが、残り半分くらいの方は、「絶対に負けを取り戻すんだ」と言い張って、こちらの言うことを聞いてくれません』、この書きぶりからすると、エージェントの報酬は客からであって、カジノからではなさそうだ。
・『僕の知人のエージェントがアテンドしていた中国人のお金持ち・王さんも、その1人でした。 王さんは中国の建築業に携わる50代後半の会社社長で、いつもニコニコと穏やかな笑みを絶やさない優しい人でした。ギャンブルが大好きで、マカオに来るたびに大金を使っては、「また負けてしまった」と笑いながら帰っていくおおらかな人だったそうです。ただ、これまでは順調だった事業が、いつしかあまりうまくいかなくなったと愚痴をこぼすようになり、王さんの態度は少しずつ変わっていきました。 最後に王さんがマカオを訪れたとき、彼の様子は少し尋常ではありませんでした。 目に落ち着きがなく、ホテルにチェックインするなり、すぐにカジノに行きたがるのです。 今回は自分の人生がかかっているから」そう口にしながら、VIPルームのなかでも、一番高レートのバカラのテーブルへと向かっていったそうです。 しかし、カジノというのは不思議な場所で、その人自身が「勝ちたい」と焦れば焦るほど、負けやすいもの。王さんが一生懸命になればなるほど、どんどん負けが続いていきます。 気が付いてみれば、すでに王さんが48時間近くバカラテーブルから離れていない状態が続いており、王さんが普段設定している上限金額をとっくに数億円はオーバーしていました。 「さすがにこれはまずいのでは」そう思った担当エージェントは、「今日はツキが悪いです。一度出直しましょう」と王さんに声をかけました。 ところが、普段ならばおとなしくその言葉を聞き入れてくれる王さんですが、今度ばかりは何度言っても聞き入れてくれません。 「まだ自分はやれる」「もう少し頑張ればツキが戻ってくる。だから、金を貸せ」 2日間近くぶっ続けでバカラをやっている状態で、当然、体力的にはもちろん気力的にも目に見えて憔悴していたため、どう考えても勝てるわけがありません。 まさに、ギャンブラーハイに陥っている状態で、これ以上ギャンブルを続けていけば、仮に王さんに追加資金を渡したとしても、負けることは必至。ここでお金を渡してしまえば、王さんはさらなる負債を作って、確実に破産するだろう。そう考えた担当エージェントが資金を出し渋っていると、王さんは「わかった、もうお前には頼まない。俺を1人にしてくれ」といって、険しい顔をして、どこかへ立ち去ってしまいました』、いくら「ギャンブラーハイに陥っている」とはいえ、「48時間近くバカラテーブルから離れていない」、ここまで正気を失わせてしまうギャンブルとはやはり恐ろしいものだ。
・『「また首吊りが出たらしいよ」  結局、その後、王さんとは連絡がつかないまま。王さんのマカオの滞在日数はあと2日あったものの、彼がVIPルームに再び現れることはありませんでした。滞在していたホテルもその日のうちに荷物を受け取って、チェックアウトしていたようでした。 それから1週間ほどたったころでしょうか。 王さんの担当エージェントが知り合いと雑談しているときに、「そういえば、また首吊りが出たらしい」という噂を耳にしました。 治安のよいマカオでは、事件はほとんどありません。 でも、その半面、残念ながら自殺のニュースは多いです。カジノで負けて、ホテルの部屋で自殺した経営者がいた。カジノで負けて、マカオの海に身を投げた人がいた、など。ここ数年は減少しつつあるものの、以前は、自殺者のニュースを耳にすることは、ごく日常的でした。 そのため、最初に彼自身もその噂を聞いた際は、「また悲しい事件があったんだな」と思うのみで、深く気に留めていなかったそうですが、後日、その自殺者がなんと王さんだったことが判明したのです。 なんでも王さんは、担当のエージェントがアテンドするVIPルームを出た後、そのままほかのジャンケットのエージェントからお金を借り、別のカジノに行ったようでした。カジノでは仮に手持ち資金がなくなったとしても、担保になりそうな資産が確認できれば、いくらでもお金を貸してもらえます。 実際、ジャンケット側は、顧客管理を徹底しているので、そのお客様がどんな車に乗っていて、どんな家に住んでいて、どんな職業の人なのかは、すべて把握しています。そこで、手持ち資金が全部なくなった王さんは、自分が乗っていたフェラーリの権利書とキーを担保にお金を借りたのでした。そして、それでも足りずに、今度は自宅から株券など、あらゆる資産の権利書を担保に、ありったけのお金を借りたものの、やはり負けてしまったようでした。 たった数日間の滞在で、あらゆる資産をはぎ取られてしまった王さん。そのショックは壮絶なものだったでしょう。そして、自分が持ちえるすべての資産をつぎ込んだ末に大負けが決定したその日の朝、そのカジノがあるホテルの一室で、王さんは首を吊っていたそうです。 王さんを担当していたエージェントが後日その話を聞いたときには、「もっとあのときに強く止めておけば」と思い、涙が止まらなかったそうです。僕もその話を聞いて以来、マカオで王さんが亡くなったホテルの前を通るたびに、彼の冥福を祈らざるを得ません。 前回の記事でもお伝えしたように、カジノはお金に余裕のある人の娯楽として、経済効果の高いエンターテインメントになりえます。しかし、余裕がない状態で自分の生活をかけるようになってしまうと、そこには破綻が待っています。 カジノの経済効果は高い、そして、エンターテインメント性も十分にあります。しかし、カジノから一般市民を守る必要があること、このことは、繰り返しお伝えしたいと思います』、「株券など、あらゆる資産の権利書を担保に」とは随分、用意がいいとも感じたが、本当に命を賭けるほど真剣勝負だったのだろう。「カジノから一般市民を守る」方策は、果たして打ち出されるのだろうか。
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