So-net無料ブログ作成

南シナ海の緊張(その3)(南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい 人工島で爆撃機離発着訓練 軍事的プレゼンス誇示、潜水艦の南シナ海派遣 安倍首相は知っていたか 防衛戦略は難しい局面に、海上自衛隊が南シナ海で異例の「対潜水艦戦訓練」を決行した事情 実は初めての「単独訓練」だった) [世界情勢]

南シナ海の緊張については、2016年10月8日に取上げたままだった。2年以上経った今日は、(その3)(南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい 人工島で爆撃機離発着訓練 軍事的プレゼンス誇示、潜水艦の南シナ海派遣 安倍首相は知っていたか 防衛戦略は難しい局面に、海上自衛隊が南シナ海で異例の「対潜水艦戦訓練」を決行した事情 実は初めての「単独訓練」だった)と、キナ臭いテーマである。

先ずは、元産経新聞北京特派員でジャーナリストの福島 香織氏が5月23日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい 人工島で爆撃機離発着訓練、軍事的プレゼンス誇示」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/052200153/?P=1
・『米中通商協議で貿易戦争を暫定的に回避する合意が出た。この駆け引きの内幕に関する情報がそこはかとなく出てくるには、おそらくあと数日必要だろう。だが、その裏側で行われている様々な米中の駆け引きが影響を与えていることは間違いないと思われる。例えば6月に予定されている米朝首脳会談であり、もう一つ考えうるのは南シナ海情勢である。最近、南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい。この機会に整理しておこう。 南シナ海の島嶼の中国による実効支配が進んでいることはすでに何度もこのコラム欄で紹介してきた。これはオバマ政権下での痛恨の外交ミスともいえる。このしりぬぐいを任されている米トランプ政権だが、目下の関心は、中東と朝鮮半島に集中しているように見えて、実は南シナ海情勢については4月以降、急激に温度が上昇している。 最近注目されたニュースは南シナ海の人工島に、中国解放軍初の爆撃機離発着訓練が行われたことだろう。中国国防部が5月18日に発表した。訓練を行ったのは中距離ミサイルや核搭載が可能な轟6K(H-6K)爆撃機。具体的な場所は不明だが、米軍事専門誌によればパラセル(西沙)諸島のウッディー島(永興島)だと見られている。この島はベトナムと台湾が領有権を主張している。 中国国防部の発表によれば、「この訓練によって全辺境へいかなるタイミングの、全方位的な攻撃能力を向上できた」としており、「西太平洋進出をひかえ、南シナ海をめぐる戦いに向け、研ぎ澄ませた剣を掲げ、新たな航路を常に切り開く」と南シナ海で戦争を仮定した訓練であることも隠していない。さらに、この訓練について「宇宙と一体化した攻防を兼ね備えた戦略目標に着眼し、空軍が全辺境作戦の現代化戦略性に向かって前進するもの」と位置づけている。 爆撃機の所属先は発表では南方の某基地としか記されていないが、郝建科という師団長の名前とH-6K配備の空軍師団という条件を考えると、北部戦区の西安基地を拠点とする中国空軍第36爆撃機師団(空36師団)でほぼ間違いないと見られている。空36師は原爆・水爆投下試験任務を2017年までに完遂しており、習近平政権においては重点建設部隊として注目されている。 また自主開発爆撃機H-6Kは2011年の試験飛行を経て実戦配備が始まったばかりだが、すでに100機以上が製造・配備されていると報道されており、習近平政権下の軍事戦略において非常に重視されていることがうかがえる。台湾メディアによれば、東シナ海や宮古海峡あたりにしばしば飛んでくる爆撃機も空36師のH-6Kらしい。今回は単発の訓練ではなく、事実上のH-6K配備と考えるのが普通だろう。爆撃訓練も行われた、と一部で報じられている』、恐ろしい爆撃が配備されたものだ。
・『この訓練発表が発信するメッセージは結構重要だ。一つは「南シナ海の実効支配は中国が握っており、すでに軍事拠点化も既成事実化している」という現実を見せつけている。環礁を埋め立てた人工島に突貫工事で作った滑走路は軍事利用に耐えられないのではないか、という多くの人たちの希望的観測を裏切って「人工島に作られた滑走路は爆撃機の離発着に利用できる強度がある」ということも示された。さらに「南シナ海を拠点にすればH-6Kは全アジアを作戦空域に入れることができる」「南シナ海の軍事拠点化の目的が西太平洋に打ってでることであり、そのための南シナ海をめぐる作戦を想定している」といった含みもある。 H-6Kの能力について、私自身は専門家ではないので正確に評価できないのだが、この爆撃機が実戦配備された当初、ロシアの軍事専門家ワシリー・カシンは「飛行距離は8000キロ、さらに射程距離2000-2500キロの巡航ミサイルCJ-10Kの搭載も可能であり、いままでグアムを含む第二列島戦までとされていた攻撃範囲がハワイより先に広がる」「10年たってH-6Kの配備が増えた場合、アジアにおけるパワーバランスが中国有利に傾く」と分析していた』、「人工島に作られた滑走路は爆撃機の離発着に利用できる強度がある」というのは、人工島建設を黙認したオバマ前大統領の罪も深い。
・『米国に対して挑発を繰り返す理由  そう考えると、この訓練は米国に対してのかなりきわどい挑発、あるいは牽制だともいえる。では、なぜ今、南シナ海で中国はこうした派手なパフォーマンスを伴って米国を刺激しているのか。単に米海軍の「航行の自由作戦」に対する牽制、というだけなのか。 この爆撃機訓練だけでない。その翌々日には、中国海警船と海軍艦艇がパラセル諸島海域で合同パトロールを行ったことも発表された。公式発表ではないが、5月上旬、南シナ海の七つの人工島のうちにファイアリークロス礁、スービ礁、ミスチーフ礁に地対艦ミサイル、地対空ミサイルを配備したと米国の情報機関をソースとしてCNNが報じている。このときは中国外務省としては事実確認を避けていた。4月12日には南シナ海で空母「遼寧」を含む48艦艇と戦闘機76機、将兵1万人を動員した建国以来最大規模の海上閲兵式が行われた。海軍迷彩軍服に身を包んだ習近平がミサイル駆逐艦「長沙」に乗船し閲兵。海軍の増強を訴えた』、本格的な示威行動が始まったようだ。
・『トランプ政権誕生後しばらくは、中国側も南シナ海の人工島における軍事拠点化については、あまり刺激しないように気を付けていた。半島問題で中国が米国に協力的である代わりに南シナ海問題を一旦棚上げする水面下の約束があったのではないか、という説も流れた。だが中国は今年4月半ばごろから南シナ海における軍事的プレゼンスを見せつけるような動きに出ている。 背景として考えられるのは、一つは経済力と軍事的脅威を武器に、着々と囲い込んできたASEAN諸国の対中感情に4月になって変化の兆しが見えてきたことがある。たとえば、マレーシアにはアンチ中国のマハティール政権が誕生した。マレーシアは2004年以降のナジブ長期政権下でアジア最大の中国の投資先となっている。特に一帯一路戦略関連だけでもマレーシア・シンガポール高速鉄道計画や東海岸鉄道計画など40以上のプロジェクトを受け入れており、その額は1350億ドル、マレーシアのGDPが3100億ドルであると考えれば経済が乗っ取られかけているといっても過言ではない。 中国は東南アジアの国々にその国の経済規模に見合わない大規模融資を行ってインフラ建設を行い、その融資が返済不能に陥ると、現物を差し押さえるという「悪徳金融」さながらの手法で、要衝地に軍事利用可能な港や土地を獲得してきた。パキスタンのグワダル港やスリランカのハンバントタ港の借地権・運営権の取得手法がいい例だろう。マレーシアもナジブ政権下では、そうなりかねない状況だった。 そういう状況で、92歳のマハティールが選挙によって首相に返り咲いたのは、中国への経済依存脱却を公約として掲げたからだ。ナジブ政権はチャイナ・マネーまみれで腐敗しており、有権者から愛想をつかされていたのは事実だが、その巨額のチャイナ・マネーをバックにした与党を破ることは、アジア的金満選挙においてはかなり難しい。マハティール率いる野党が勝ったということは、有権者の反中感情が相当強い、ということでもある。また、中国と直接領有権問題を抱えているフィリピンもながらく大統領のドゥテルテが開き直るように中国マネーに期待し中国へのすり寄りぶりを隠さなかったが今年4月末、中国系ロビー団体が建てたマニラ市内の慰安婦像を撤去させた。これはドゥテルテがささやかながら中国への抵抗の意を示した、と言う風にもみえる』、中国が軍事力を誇示すると、アジアでの反中国の動きを高めるだけなのではなかろうか。
・『ASEAN全体に高まる中国への抵抗姿勢  4月のシンガポールでのASEAN首脳会議では昨年11月の議長声明では盛り込めなかった南シナ海問題への「懸念」の言葉が復活した。中国を名指しすることは避けたものの、ASEANなりに頑張って中国を牽制しようとている。南シナ海問題は当事国およびASEANを丸め込むことでコントロールできるとタカをくくっていた中国だが、押さえ込んでいたはずのASEAN全体に中国への抵抗姿勢が復活しそうな気配なのだ。 そういえばベトナムも、ロシアの石油会社ロスネフチのベトナム部門が南シナ海で石油掘削を始めることを認めている。3月にこの鉱区に隣接する海域でスペインのエネルギー会社レプソルが掘削を始めようとしたときは、中国の抗議でベトナム政府は掘削の許可を取り消した。スペイン企業に石油掘削を認めず、ロシア企業に認めるのは、もちろんロシアという国自身の国力、強さがあるだろうが、やはりベトナムが3月の時点より今の方が中国に対して強気になっているのではないか』、中国の動きは政治的には不可解だが、別の背景があるのだろう。
・『背景に米中駆け引きでの劣勢?  もう一つの背景は、やはり米国との通商協議、半島問題、台湾問題での駆け引きで、中国がかなり劣勢に立たされているのではないか、ということだ。二回目の米中通商協議では貿易戦争の暫定的な回避を含む合意が発表されたものの、その合意の中には米国が中国に突き付けた2000億ドルの貿易黒字削減ノルマや中国通信端末大手のZTEへの7年間の米国製チップ禁輸措置など具体的な部分への言及は避けられている。 ムニューチン財務長官は「一旦保留」といっており、問題解決とはいっていない。単に米国経済への悪影響を避けるため、というものではなく、おそらくは来る6月の米朝首脳会談における中国の役割が米国にとって協力的であることを期待しての保留ではないか。そうなってくると、中国は唯一の同盟国・北朝鮮を説得するか、裏切るか、という難しい状況に直面することになる』、米国の対中姿勢はこの記事後、ますます厳しいものになっている。
・『また、米国が台湾旅行法を可決し、米国在台協会(米大使館に相当)新庁舎の落成式にトランプ政権から誰が出席するか、という問題もある。台湾旅行法の可決自体が、中国にとっては当初は宣戦布告に相当する米国からの挑発であるうえ、新庁舎の落成式にドラゴンスレイヤーこと大統領補佐官ボルトンを派遣するとかしないとかという情報も流れた。4月の海上大閲兵式は台湾旅行法可決に対する牽制が目的だったとみられる。 ちなみに、落成式を6月12日の米朝首脳会談と同日にしたのは、ボルトンの派遣はない、というメッセージを込めた中国側への配慮ではなかったか。米朝首脳会談と同日であれば、落成式へのメディアの注目度、ニュースバリューは薄れる。もっとも中国としては年明けから一気に進んだ米台関係の深化に気が気ではないはずである。 こういう国際情勢と突き合わせて考えると、中国の南シナ海の軍事プレゼンスアピールは、ASEANに対する牽制、台湾に対する牽制、航行の自由作戦に対する牽制と同時に、多極的な米中駆け引きで劣勢に立たされている状況を、国内の人民や国際社会に悟らせないための関心の分散を狙ったものではないか、という気もする。もし、米国とのこれら駆け引きでの失点を負わされた習近平政権の求心力が揺らいだとき、南シナ海でのプチ紛争によって国内世論や軍内、党内の不満不平批判を外に向けることもできそうだ。 南シナ海がすでに中国の実効支配地域であり軍事基地群が形成されているという現状は、はっきり言って米国が軍事力を行使する以外は変えようがない段階にきている。だが、米国マッドマンのトランプも中国と直接軍事対決を選択するはずがない、と習近平は思っているだろう。だからこそ、南シナ海の戦争をちらつかせることができるのだ。だが、戦争とは、こうした危険な挑発や牽制を繰り返しているうちに、偶発的に起こることもある。半島問題、そして貿易戦争が一段落つけば、次は本当に南シナ海のホットウォーが起こりうるかもしれない』、「南シナ海でのプチ紛争によって国内世論や軍内、党内の不満不平批判を外に向けることもできそうだ」とは、納得できる説明だ。中国には冷静な対応を期待したいものだ。

次に、政治評論家の田原 総一朗氏が9月21日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「潜水艦の南シナ海派遣、安倍首相は知っていたか 防衛戦略は難しい局面に」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/092000087/?P=1
・『9月13日、防衛省が海上自衛隊の潜水艦を南シナ海へ向けて極秘で派遣。東南アジア周辺を長期で航海中の護衛艦部隊と合流させ、訓練を実施したという。海上自衛隊の訓練は、通常は日本の周辺海域で行われる。南シナ海での訓練は初である。 一体、何のためにこんなことをしたのか。 今、中国が南シナ海で軍事拠点化を進めていることに対し、日本は危機感を抱いているといわれている。確かに例えば、中国の南シナ海進出によって、日本の船舶の往来が阻害されているなら確かに問題である。しかし、そんなことは起きていない。日本の船舶は、南シナ海を自由に移動している。 僕は先日、防衛省の元防衛大臣ら2人に「こんな訓練をやる必要はあるのか」と問い質した。すると、2人とも「その必要はない」と答えた。日本は、対中国戦略をどこまで進めるのか。 さらにいくつか気になる報道があった。9月18日、エジプト東部のシナイ半島で、イスラエル軍とエジプト軍の活動を監視している多国籍監視軍(MFO)に、陸上自衛隊2人の派遣が検討されていると報じられた。 また、日本政府が導入を決めた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」が、北朝鮮が2017年8月に予告した米領グアム島周辺への弾道ミサイル発射の迎撃に使われる可能性があるという話もある。 僕は元防衛相らに、「自衛隊は、どこまで防衛戦略を推し進めるのか。特に対中戦略は、どうなっているのか」と聞いた。すると彼らは、「日本政府は、対中戦略をほとんど持っていない」と答えたのである』、軍事面では対中戦略を構築できないほど、彼我の格差は大きくなっていることから、元防衛相らの本音の回答は理解できなくもない。
・『最大の問題点は、ここからだ。 冒頭に挙げた海上自衛隊が潜水艦を南シナ海へ極秘派遣した訓練について、報道には「防衛省の指示」とある。しかし、元防衛相らの話によると「防衛省はこんなことを許可していない。当然のことながら、安倍首相も知らないだろう」と言うのである。 つまり、この訓練は、海上自衛隊が独自の判断で実施したということである。さらに言えば、日本では海上自衛隊、陸上自衛隊、航空自衛隊、3者の連携も弱いという。これでは戦前の状況に重なるのではないか。 それほど重要なことを、なぜ歴代の防衛大臣は総理大臣に問題提起しないのか。元防衛相に尋ねると、「あまりにも大変な問題で、触れるのがこわいから」と答えた』、安倍首相が本当に知らなかったとすれば、大問題だが、第三の記事では報告があったようだ。
・『難しい問題、困った問題は、なかったことにする  日本人は、大変なことは「なかったことにする」傾向がある。その典型例が、原発問題だ。かつては原発は「絶対に事故は起こらない」といわれていた。事故を想定しなかったから、東京電力はしっかりした避難訓練すら実施しなかった。 なぜ、やらなかったかといえば、そうした避難訓練をするということは、事故の可能性があると同義になってしまうからだ。そんなことがあれば、地元の原発反対の声が高まりかねない。こうして東電は、事故が起きる可能性を否定したのである。 しかし、実際はどうだろうか。2011年3月、東日本大震災の影響で福島第一原発の事故が発生した。いまだに、事故の収束は見込めない状況だ。 このように、日本は同じようなパターンを繰り返している。困ること、大変なことは、「ない」ことにするのである。 太平洋戦争時にも、同様のことは言える。米国と戦争をして、勝てると思った日本人は誰もいなかった。しかし、なぜ日本は米国との開戦に踏み切ったのか。 軍隊というものは、勝てないと分かっていても、戦えるなら戦うものなのだ。 これに対して、竹下登氏が首相になった時、僕は「日本には自衛隊というものがあるけれど、戦えない軍隊じゃないか。それでいいのか」と尋ねたことがある。すると、竹下氏は、「だからいいんだ。だから日本は平和なんだ」と答えた』、「難しい問題、困った問題は、なかったことにする」として、正面から向き合うことを回避する日本人のクセは、本当に困ったことだ。それを許している野党やマスコミにも責任がある。
・『自立論はあまりリアリティがない  今、日本の防衛戦略は、非常に難しい局面に差しかかっている。 日米安保条約が結ばれたのは、冷戦時代のことだ。当時、日米はソ連と敵対していたが、日本だけでは軍事的にソ連に対抗することはできない。そこで、日本が他国から攻められたら、米国は日本を守るという約束をした。ただし、米国が他国から攻められたら、日本は何もしない。 なぜ、このような内容が成立したかといえば、米国は日本ではなく、「極東」を守るという思惑があったからだ。日本は、完全なる対米追従の構図となる。 そして冷戦が終わると、風向きが変わる。「日本は対米従属から自立すべきではないか」という声が上がり始めたのだ。一方で、「冷戦が終わったから、米国は日本を守る必要がなくなったのではないか。このままでは日本は米国に見捨てられる可能性がある。対米関係を強化しなければならない」という主張も出始めた。 自立論と日米関係強化論の対立が起こり始めたのである。ただし、自立論はあまりリアリティがない。 では、日米関係を強化するのであれば、どこまでやるべきか。 オバマ大統領の時代は、安保関連法の成立により、米国からの要求は収まった。ところが、トランプ大統領は「米国第一主義」を掲げ、日本に防衛費の引き上げや米国からの高額な武器の輸入などを要求されている。そのトランプ大統領からの要求に、日本はどこまで応えるのか』、「自立論はあまりリアリティがない」と一刀のもとに切り捨てているが、そのために必要な膨大な防衛費などを指しているのだろうか。
・『大変な問題で、このまま放置できる話ではない  一方で自衛隊におけるシビリアンコントロールには大きな問題がある。潜水艦の南シナ海への派遣だけでなく、2003年12月から09年2月までのイラク派遣、2012年1月から17年5月までの南スーダンの派遣も同様だ。 これは大変な問題である。このまま放置できる話ではない。自民党幹部らも問題視しているが、解決策を見出せないようだ。 大きな問題ほど、皆、ふたをする。日本の防衛戦略をどのようにしていくのか。自衛隊におけるシビリアンコントロールが全く利いていない状況をどうしていくのか。もっと議論すべきではないかと思う』、「シビリアンコントロールが全く利いていない」とすれば、深刻な問題だが、イラクや南スーダン派遣も例示しているが、具体的説明がないので、理解しかねる。せっかく「難しい問題、困った問題は、なかったことにする」と興味深い問題提起しておきながら、後半は多少ズッコケた。

第三に、元東京新聞論説委員の半田 滋氏が9月22日付け現代ビジネスに寄稿した「海上自衛隊が南シナ海で異例の「対潜水艦戦訓練」を決行した事情 実は初めての「単独訓練」だった」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57618
・『極めて異例の「自衛隊単独訓練」  海上自衛隊は13日、護衛艦3隻、潜水艦1隻が参加する対潜水艦戦訓練を行った。これだけなら珍しい話ではないが、訓練を行った場所が南シナ海だったのである。 海上自衛隊は「専守防衛」の原則から、海外で行う他国軍との共同訓練を除き、これまで日本周辺で訓練してきた。日本からはるか離れた海域で、かつ自衛隊単独で本格的な訓練を実施するのは極めて異例だ。 南シナ海では、南沙諸島、西沙諸島の環礁を埋め立てて軍事基地化を進める中国に対し、米国が駆逐艦などを両諸島へ派遣する「航行の自由作戦」を展開、8月には英国も揚陸艦を西沙諸島へ派遣している。今回の訓練は、日本が米英と足並みを揃えつつあることを示した。 中国はどう反応したか。外務省の耿爽副報道局長が17日の記者会見で、「域外国は慎重に行動すべきで、地域の平和と安定を損なわないよう促す」と反発したものの、「日本」を名指しせず、「域外国」との表現にとどめた。これは中国が権利を主張する「領海」への侵入がなかったこと、訓練の狙いが分かりにくかったことが要因とみられる。 だが、日本政府にとって今回の訓練の位置づけは明確である。安倍晋三首相が2016年8月、ケニアで開催されたアフリカ開発会議(TICAD)において打ち出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づき、中国を牽制するという狙いだ。 訓練は海上自衛隊の独断だったわけではない。防衛省はもちろん、首相官邸、国家安全保障会議、外務省も了解している』、第二の記事が「海上自衛隊の独断」としているのとは正反対の見方だが、確かにこれだけの作戦を独断でやるというのには無理がありそうだ。
・『外務省によると、「自由で開かれたインド太平洋戦略」とは、アジアとアフリカ、また太平洋とインド洋を結び、新たな日本外交の地平を切り開くことだという。そのためには、「法の支配」に基づく国際秩序の確保が欠かせないことから、南シナ海で環礁を実効支配し、「航行の自由」を認めない中国に対する事実上の封じ込め策となっている。 17年11月に来日したトランプ米大統領は、安倍首相との間で「自由で開かれたインド太平洋戦略」について合意し、早速、アジア・太平洋方面軍である「太平洋軍」を「インド太平洋軍」に名称変更した。 一方、海上自衛隊は17年、1992年から続く米印共同訓練の「マラバール」に継続して参加することを表明。日米印共同訓練に格上げされた「マラバール2017」には、海上幕僚監部ナンバー2の山村浩海上幕僚副長を筆頭に、隊員約700人と海上自衛隊最大の空母型護衛艦「いずも」と汎用護衛艦「さざなみ」を派遣し、インド東方海域で日米印三カ国の艦艇による対潜水艦戦訓練などが大々的に実施された。 「特定国を想定した訓練ではない」(海上自衛隊幹部)というが、中国海軍の潜水艦はインド洋を航行している様子が確認されており、パキスタンやスリランカにも寄港している。中国の潜水艦への対処を意識しているのは明らかだ。 また17年11月には、タイで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)創立50周年記念の国際観艦式に、護衛艦「おおなみ」を1カ月間にわたり長期派遣して、日本の存在感を示した。 このように海上自衛隊は昨年、マラバールと国際観艦式への参加を通じて「自由で開かれたインド太平洋戦略」に「具体的に貢献した」(同)ものの、今年の「マラバール2018」はインド洋とは無縁のグアム島周辺海域での実施となったうえ、国際観艦式もなかった』、さすがに防衛庁取材を担当してきただけに情報通だ。
・『これまでの訓練とはまったく違う  そこで新たな対中戦略として浮上したのが、護衛艦をインド洋や南シナ海に派遣して各国と共同訓練を実施する案だ。 海上自衛隊は「平成30年度インド太平洋方面派遣訓練部隊」を編制。「いずも」と同様、最大の空母型護衛艦「かが」、汎用護衛艦「いなづま」「すずつき」の3隻と隊員約800人が8月26日から10月30日まで2カ月以上にわたり、インド、インドネシア、シンガポール、スリランカ、フィリピンの5カ国を訪問する。 海上自衛隊のホームページには「『自由で開かれたインド太平洋』の前提は、地域の平和と安定であり、海上自衛隊はこの実現に向け、各国との協力を推進していきます」と派遣の目的が記されている。 だが、行動内容に関しては「インド太平洋地域の各国海軍等との共同訓練を実施」とあるだけで、自衛隊単独の訓練には触れていない。 本来、海上自衛隊による単独訓練は四国沖など日本周辺海域で行われ、在日米軍との共同訓練の場合でも、沖縄本島近くの米軍への提供水域で実施している。また自衛隊による警戒・監視活動の南限は、尖閣諸島を含む東シナ海までとなっている。「専守防衛」を踏み越え、他国に脅威を与えることがないよう抑制的に振る舞ってきた過去がある。 そうした経緯からすれば、場所を南シナ海に移して行われた海上自衛隊の単独訓練は、極めて異例というほかない。日本周辺海域とは水深、潮流、海水の濃度など条件の異なる南シナ海で行う訓練が「日本防衛」に直接、役立つのだろうか。 今回の訓練に参加したのは「平成30年度インド太平洋方面派遣訓練部隊」の護衛艦3隻と、ベトナム海軍への親善訪問のため、広島県の呉基地を8月27日に出港した潜水艦「くろしお」の合計4隻だ。 先行する護衛艦3隻に追いついた「くろしお」が「他国(おそらくは中国)」の潜水艦を模擬した「敵」となり、護衛艦3隻が搭載ヘリコプターを動員して探知し、攻撃する対潜水艦戦訓練を実施した』、「専守防衛」原則を踏み越えるのであれば、国民にも丁寧な説明が必要な筈だ。
・『南シナ海は中国が領有権を主張して引いている「九段線」の内側にあり、中国大陸近くには、中国海軍の原子力潜水艦を含む潜水艦の基地が置かれた海南島もある。中国側を刺激する訓練となったのは間違いない。 小野寺五典防衛相は記者会見で「訓練の海域に南シナ海を選んだ意図」を問われ、「南シナ海において潜水艦が参加する訓練は15年以上前から幾度となく行っているものであり、昨年度、一昨年度にも実施しております」と答えた。 「15年以上前」の訓練とは、海上自衛隊のパイロットを養成する教育航空隊を卒業した飛行幹部候補生を潜水艦に乗せ、フィリピンを訪問したことであり、「昨年度、一昨年度」の訓練とは、やはり飛行幹部候補生を潜水艦に乗せてマレーシアを訪問したことを指すとみられる。今回のような本格的な対潜水艦戦を想定した訓練ではない』、小野寺防衛相の回答は殆ど虚偽に近い。それにツッコミを入れなかった、記者クラブも情けない。
・『中国はどう出るか?  もちろん、中国軍はこの訓練を黙って眺めていたわけではない。中国海軍の駆逐艦による護衛艦3隻への追尾が続く中で、訓練は強行された。一触即発の危険を抱えての訓練だった。 注目されるのは、中国側が潜水艦「くろしお」を探知できていたか否かである。 中国海軍は空母「遼寧」や原子力潜水艦、スホイ30戦闘機といった「強そうで派手な武器」を揃える一方、対潜水艦戦の能力は極めて低いというのが海上自衛隊幹部の一致した見方である。 逆に海上自衛隊は冷戦期から「西側の防波堤」としてソ連の潜水艦を探知し、攻撃する対潜水艦戦に力を入れてきており、潜水艦の探知は得意中の得意。現在も東京、グアム、台湾を線で結んだ「TGT(東京・グアム・台湾の頭文字)三角海域」を密かに航行しようとする中国潜水艦の「悉皆(ことごとくの意味)探知」を目標に掲げているほどだ。 今回、派遣された「くろしお」は、特殊なエンジンを積んで長時間潜行できる最新鋭の「そうりゅう」型潜水艦ではない。それでも「今後、海上自衛隊の潜水艦が南シナ海に潜む可能性がある」とのメッセージを送ったことになり、中国海軍にとっては脅威となるのではないだろうか。 もとより米海軍は、中国の海軍基地近くの海中に潜水艦を常時、派遣しているとみられる。現に2004年11月、石垣島周辺の日本の領海を潜水したまま通過して国連海洋法条約に違反した中国の漢級原子力潜水艦は、青島の潜水艦基地を出港した時点から、米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦によって1カ月にわたり、追尾された。 米海軍は、冷戦時にソ連の潜水艦に対して行ったのと同じように、中国の潜水艦を恒常的に追尾している。南シナ海も例外ではない。海南島近くの海中に米海軍の潜水艦が潜んでいるのは確実だろう。 すると中国海軍の艦艇は、米国の原子力潜水艦によって常時監視され、今後、海上自衛隊の南シナ海への進出が本格化すれば、海上自衛隊の潜水艦も意識することを与儀なくされる。潜水艦に狙われた艦艇は「死に体」と変わりなく、そうなれば中国海軍は日米の「手のひら」に乗ったも同然となる。 中国はこうした不利益を唯々諾々と受け入れるだろうか。 米本土が中国から遠いのに対し、日本列島は中国の目と鼻の先にある。対抗措置として、(1)日本周辺海域への中国軍艦艇の派遣を激増させる、(2)尖閣諸島をめぐる東シナ海の緊張状態をあえて高める、などの手段に踏み切ることが考えられる。 小野寺防衛相の会見をみる限り、日本政府が覚悟を決めているとは到底思えない。 だが、海上自衛隊は17年6月、護衛艦「いずも」「さざなみ」と米空母「ロナルド・レーガン」との日米共同訓練を初めて南シナ海で行ったのを皮切りに、18年3月にも護衛艦「いせ」と米空母「カール・ビンソン」が、やはり南シナ海での日米共同訓練に踏み切っている。 これらの日米共同訓練を南シナ海進出の足掛かりとし、その延長線上にあるのが今回、海上自衛隊が単独で行った対潜水艦戦訓練である。 「専守防衛」を踏み越えた訓練を続けるならば、いずれ南シナ海の緊張は高まり、ひいては日本の安全保障に直接影響を及ぼす事態を呼び込みかねない。 政府は南シナ海で行った訓練の意図を正直に語り、世論の審判を受けるべきである』、説得力ある主張で、同意できる。「専守防衛」原則がなし崩し的に変質していくとすれば大問題だ。
タグ:日経ビジネスオンライン 田原 総一朗 現代ビジネス 南シナ海の緊張 福島 香織 半田 滋 自由で開かれたインド太平洋戦略 (その3)(南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい 人工島で爆撃機離発着訓練 軍事的プレゼンス誇示、潜水艦の南シナ海派遣 安倍首相は知っていたか 防衛戦略は難しい局面に、海上自衛隊が南シナ海で異例の「対潜水艦戦訓練」を決行した事情 実は初めての「単独訓練」だった) 「南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい 人工島で爆撃機離発着訓練、軍事的プレゼンス誇示」 南シナ海の人工島に、中国解放軍初の爆撃機離発着訓練が行われた 南シナ海情勢については4月以降、急激に温度が上昇 中距離ミサイルや核搭載が可能な轟6K(H-6K)爆撃機 南シナ海で戦争を仮定した訓練 南シナ海の実効支配は中国が握っており、すでに軍事拠点化も既成事実化している 南シナ海を拠点にすればH-6Kは全アジアを作戦空域に入れることができる 」「南シナ海の軍事拠点化の目的が西太平洋に打ってでることであり、そのための南シナ海をめぐる作戦を想定している」 飛行距離は8000キロ、さらに射程距離2000-2500キロの巡航ミサイルCJ-10Kの搭載も可能 攻撃範囲がハワイより先に広がる 米国に対して挑発を繰り返す理由 南シナ海で空母「遼寧」を含む48艦艇と戦闘機76機、将兵1万人を動員した建国以来最大規模の海上閲兵式が行われた は今年4月半ばごろから南シナ海における軍事的プレゼンスを見せつけるような動きに出ている 着々と囲い込んできたASEAN諸国の対中感情に4月になって変化の兆しが見えてきたことがある ASEAN全体に高まる中国への抵抗姿勢 背景に米中駆け引きでの劣勢? 台湾旅行法の可決自体が、中国にとっては当初は宣戦布告に相当する米国からの挑発 多極的な米中駆け引きで劣勢に立たされている状況を、国内の人民や国際社会に悟らせないための関心の分散を狙ったものではないか トランプも中国と直接軍事対決を選択するはずがない、と習近平は思っているだろう。だからこそ、南シナ海の戦争をちらつかせることができるのだ 戦争とは、こうした危険な挑発や牽制を繰り返しているうちに、偶発的に起こることもある 「潜水艦の南シナ海派遣、安倍首相は知っていたか 防衛戦略は難しい局面に」 海上自衛隊の訓練 南シナ海での訓練は初である 防衛省の元防衛大臣ら2人 2人とも「その必要はない」と答えた 彼らは、「日本政府は、対中戦略をほとんど持っていない」と答えたのである 「防衛省はこんなことを許可していない。当然のことながら、安倍首相も知らないだろう」 この訓練は、海上自衛隊が独自の判断で実施 あまりにも大変な問題で、触れるのがこわいから」と答えた 難しい問題、困った問題は、なかったことにする 典型例が、原発問題 事故を想定しなかったから、東京電力はしっかりした避難訓練すら実施しなかった 困ること、大変なことは、「ない」ことにするのである 太平洋戦争時にも、同様のことは言える 日本は対米従属から自立すべきではないか」という声 自立論と日米関係強化論の対立が起こり始めたのである 自立論はあまりリアリティがない 自衛隊におけるシビリアンコントロールには大きな問題 「海上自衛隊が南シナ海で異例の「対潜水艦戦訓練」を決行した事情 実は初めての「単独訓練」だった」 極めて異例の「自衛隊単独訓練」 訓練は海上自衛隊の独断だったわけではない 防衛省はもちろん、首相官邸、国家安全保障会議、外務省も了解している 、「法の支配」に基づく国際秩序の確保が欠かせないことから、南シナ海で環礁を実効支配し、「航行の自由」を認めない中国に対する事実上の封じ込め策となっている 「太平洋軍」を「インド太平洋軍」に名称変更 海上自衛隊は17年、1992年から続く米印共同訓練の「マラバール」に継続して参加することを表明 中国の潜水艦への対処を意識しているのは明らかだ 東南アジア諸国連合(ASEAN)創立50周年記念の国際観艦式 護衛艦「おおなみ」を1カ月間にわたり長期派遣 護衛艦をインド洋や南シナ海に派遣して各国と共同訓練を実施する案 最大の空母型護衛艦「かが」、汎用護衛艦「いなづま」「すずつき」の3隻と隊員約800人が8月26日から10月30日まで2カ月以上にわたり、インド、インドネシア、シンガポール、スリランカ、フィリピンの5カ国を訪問 。「専守防衛」を踏み越え、他国に脅威を与えることがないよう抑制的に振る舞ってきた過去がある 日本周辺海域とは水深、潮流、海水の濃度など条件の異なる南シナ海で行う訓練が「日本防衛」に直接、役立つのだろうか 小野寺五典防衛相 中国海軍は空母「遼寧」や原子力潜水艦、スホイ30戦闘機といった「強そうで派手な武器」を揃える一方、対潜水艦戦の能力は極めて低いというのが海上自衛隊幹部の一致した見方 「専守防衛」を踏み越えた訓練を続けるならば、いずれ南シナ海の緊張は高まり、ひいては日本の安全保障に直接影響を及ぼす事態を呼び込みかねない 政府は南シナ海で行った訓練の意図を正直に語り、世論の審判を受けるべきである
nice!(1)  コメント(0)