SSブログ

ネット社会(その1)(「低能先生」を凶行に駆り立てたネット民の闇 匿名コミュニティによる正義追求の恐ろしさ、“つながり孤独” 若者の心を探って…) [社会]

今日は、ネット社会(その1)(「低能先生」を凶行に駆り立てたネット民の闇 匿名コミュニティによる正義追求の恐ろしさ、“つながり孤独” 若者の心を探って…)を取上げよう。

先ずは、ITジャーナリストの本田 雅一氏が6月30日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「低能先生」を凶行に駆り立てたネット民の闇 匿名コミュニティによる正義追求の恐ろしさ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/227515
・『人気ブロガー「Hagex」ことネットセキュリティ会社勤務の岡本顕一郎さんが殺害された6月24日の事件が大きな波紋を呼んでいる。岡本さんを殺害したのは、インターネットコミュニティの中で誹謗中傷を繰り返していた無職・松本英光容疑者。岡本さんは、自身のブログの中で、「低能先生」として知られる松本容疑者の行為を問題視し何度か取り上げていた。松本容疑者はこれを逆恨みして犯行及んだと見られている。 岡本さんはインターネットセキュリティの世界でよく知られる存在だったほか、ネット上の様々な出来事を綴った「Hagex-day.info」をHagex名で書いていた』、新聞で読んだだけでは、全く理解できなかったので、紹介した次第。
・『現実社会では接点がまったくなかった  しかしこの事件が注目されているのは、岡本さんがネット社会で広く知られた人物だったからだけではない。松本容疑者が岡本さんと現実社会では接点がまったくない上、ネット上でも直接の議論などを交わしたことがないにも関わらず、強い意思を持って殺害という行為を選択している点にある。 警察からの情報を基にした複数の報道によれば、松本容疑者は岡本さんの本名すら知らず、ネット上で見つけていたHagex氏とみられる人物の写真を参考にして殺害する人物を特定したようである。Hagex氏を「ネット上で自分を批判している人物の代表」と一方的に見定め、社会への復讐として犯行に及んだと考えられる。 この事件が驚きをもって受け止められたのは、ネットコミュニティにおける匿名のやり取りに過ぎないのに、それが原因で凄惨な殺人事件を犯した点にある。たしかに、殺人にまで至った今回のようなケースはまれではあるが、ネット上には、想像を超えた発想から執拗な攻撃を行う人は多い。一方的な逆恨みは、ネットコミュニティでは決して珍しい話ではないのだ。 タイトルにもあるように、「低能先生」は追い詰められる中で暴発したとみられる。そのことを解説する前に、まずは事件の経緯をおさらいしておきたい。 松本容疑者は株式会社はてなが運営するサービスを頻繁に利用していたと見られている。ひとつは「はてなブックマーク」で、ウェブのブックマーク、およびブックマークした記事へのコメントを利用者間で共有するサービスだ。 もうひとつは「はてな匿名ダイアリー」である。名称の通り、日記を匿名で投稿できるサービスだ。匿名とすることで、日常の生活とは切り離された自由な発想で日記形式の文章を投稿できるが、一方的な感情を吐露する場としても使われる』、現実社会では接点がまったくなかったのに、殺害するとは、恐ろしい時代になったものだ。匿名性については、私はそのマイナス面を重くみて、このブログも実名でやっているが、確かにプラス面もある。
・『松本容疑者は頻繁に迷惑行為を行っていた  なお、”匿名”は英語で”アノニマス”であるため、”アノニマスダイアリー”を略して「アノニマスダ」と呼ばれ、それが変換ミスなども相まって「アノニ増田」に変化。ネットコミュニティの中では「増田」と呼ばれている。いくつかの関連ブログに出てくる「増田」とは、はてな匿名ダイアリーそのものを示す場合と、その利用者や投稿されたエントリーを指している場合がある。 松本容疑者は、はてなブックマークの「IDコール」という、特定IDの利用者にコメント投稿の通知を送る機能を用い、頻繁に迷惑行為を行っていた通称「低能先生」と同一人物の可能性は極めて高い。 「低能先生」とは、自分が気に入らないコメントを残している人物にIDコールで罵詈雑言を送るのである。迷惑行為を繰り返すため、「低能先生」のアカウントは何度もアカウント削除されたが、それでも毎回、新しいIDを作成して同じ行為を繰り返していた。 罵詈雑言には「低能」という言葉が頻出するため、この迷惑行為を行うアカウント、人物は「低能先生」と呼ばれるようになっていった。それほどまでに長期間、多数の迷惑行為が続けられていたのだ。 はてな匿名ダイアリーには、「低能先生」の行いについてまとめたエントリーが多数掲載され、それぞれトラックバックでつながっている。そのうちのひとつを参照すると、「低能先生」がどのような罵詈雑言を書いていたのかを参照できる。 また、こちらのエントリーを見る限り、ひとりの相手に1日最大6件ものIDコールを行っており、膨大なエネルギーをかけて多数の罵詈雑言を放っていたことが想像できる。低能先生のこうした行為は2016年ぐらいから始まり、何度もID凍結と新規ID作成を繰り返していたが、ID凍結の頻度が高まったのは岡本さんがブログの中で「低能先生」の行為を扱ったことがきっかけだったと言われている。 ブログの中では、批判的に「低能先生」の活動について取り上げられているだけでなく、簡単な通報で迷惑行為を行うIDを凍結できると紹介しており、ユーザーの間で「低能先生」を通報する機運が高まったことは確かなようだ。 はてな匿名ダイアリーでの呼びかけであるため、誰が行っていたのかはわからないが、「低能先生」の通報、ID凍結を呼びかけるエントリーが繰り返し投稿されており、そこには低能先生と思われるIDからの匿名トラックバックも多数見受けられる。時系列でトラックバック内容を見ると、低能先生が繰り返しのID削除に苛つき、だんだんと現実社会での報復へと向かう様子が伺える。 「通報厨」と名付けられた、繰り返し行われる低能先生の通報を呼びかける人物(誰であるかは不明)に対する怒りが、こちらのエントリーにまとめられていた。 これらの経緯を考えると、松本容疑者は誰なのか、あるいは一人ではなく複数なのかもわからない通報厨に報復するかわりに、通報厨が生まれるきっかけを作った、しかも誰なのかを特定できているHagex氏にターゲットを絞ったと考えられる。 しかし、それだけでは殺人には及ばなかったのではないか。実際の犯行の引き金となったのは、挑発するような書き込みがあったからである。それは、現実社会での実行力がない人物が、ネット上だけで強がっているだけだ、と揶揄する書き込み(はてな匿名ダイアリーのトラックバック)である。毎日新聞の報道によると、低能先生に人を殺せるわけがないと煽られたことが殺人実行への直接の動機だったようだ。 はてなのサービス内で起きた経緯は、このようにユーザー間で細かくまとめられており、より詳細な経緯を知りたいのであれば、元となる情報を参照してほしい』、松本容疑者の無職とあるが。こんなにネットにのめり込むからには、外の実社会とのつながりは、あったとしても希薄なのだろう。
・『追い込まれていった構図  しかし、冒頭でも述べたように”命を奪う”という領域まで思い詰めたことは異常だが、松本容疑者が追い込まれていった構図は決して珍しいものではない。ネット上には「ネット弁慶」、すなわち「現実社会では大人しいがネット社会の中では強気」に振る舞う人は少なくない。 インターネット時代より遙か以前、電子掲示板システムによるパソコン通信サービス時代から、いわゆる”ネット弁慶な人”は多かった。筆者自身、一方的に中傷を受けたことが何度もあるが、実際に会ってみると温和で親切ということがほとんどだった。 パソコン通信時代、商用サービスではIDと個人が結びついていたが、それでもネット上の人格と現実社会での人格の乖離は多かった。まして、インターネットの匿名サービスともなれば、その傾向が強まることは想像に難くない。 実際には行為が行き過ぎれば、ネット接続サービス事業者への情報開示請求などにより個人を特定できてしまう。低能先生の例でも、情報開示請求をした人物が現れたとの情報が流れており、本人の想像の範疇を超えて追い詰められていったのだろうが、筆者は少し違った角度からこの事件について感じていることがある。 松本容疑者が低能先生であったのだとするなら、彼は(自身のトラックバックでも書いているように)複数の匿名利用者から集団リンチを受けているように感じていたのではないだろうか。 匿名サービスでは、それが一人なのか、複数なのかはわからない。書き込みの傾向や書き込まれる時間などで、同一人物なのかある程度は判断できるものの、自分に対する攻撃が繰り返されているうち、ネット社会における自分の人格を取り巻くすべてが敵に見え、まるで結託しているかのように思えるのだ』、ネットコミュニケーションの落とし穴にはまり込んだようだ。
・『「追い詰めないこと」が大切  数年前、筆者はネット上で活動する特定のIDに、毎日のように誹謗中傷のツイートや加工した画像を投稿された経験がある。その加害者IDのターゲットは筆者だけではなく、ある携帯電話事業者に対して批判的記事を書いた人物全員であった。 この加害者IDは偶然も重なり、自分が敬愛する携帯電話事業者の経営者とTwitter上でつながりを持つことができた。その携帯電話事業者がTwitter上でのアンバサダーマーケティングを行っていた時期、ファンを公言してやまなかった彼とのやり取りをマーケティング戦略上、利用していたからだ。ところが方針変更もあって関係が希薄になると、少しでも批判的と捉えられる記事を書いているジャーナリストを罵倒しはじめ、この経営者との関係を保とうとし始めたのである。 当然、筆者も含めて反論、反証したものは多い。彼の行為は毎日のように繰り返され、エスカレートしていったため、その分だけ彼のところに届く批判はこの件とは無関係の人物からの返信も含め、増加していった。そのため、何らかの集団からリンチされているように感じたこともあったようだ。 筆者はこの追い詰め方はまずいのではないかと感じた。そこで、最終的には彼自身がかつて明らかにしていたアドレスに筆者自身が連絡し、穏便に引き下がってもらうよう、彼の周囲とともに説得に乗り出した。彼の脳内では自分の行為が正当化されているため、どんなに温和な説得や言葉であっても「何か大きな見えない圧力で攻撃されている」と解釈するため、非常に厄介な経験だった。 この経験から、ネット社会では精神的に追い詰められていく過程で、自分の敵を過大に見積もる傾向があることがわかった。「追い詰める快楽」に酔っては危ないようにも感じた。 ネット社会の特殊性は、可視化されにくい情報が多いということだ。不足する情報を人間は推測で補完しようとする。現実社会よりも圧倒的に情報が少ない中で補完する情報が過大になってくると、事実関係と自分自身の認識の乖離が進み、さらに追い込まれていくのだ。「周りは全員が敵で、自分を抹殺しようとしている」というように。 今回の痛ましい事件の教訓は、「異常な行動を取っているように思える見知らぬ人物の凶行に気をつけろ」ということではない。そうではなく、「凶行に及ぶようなところまで相手を追い詰めないこと」が大切なのではないかと思う』、「不足する情報を人間は推測で補完しようとする。現実社会よりも圧倒的に情報が少ない中で補完する情報が過大になってくると、事実関係と自分自身の認識の乖離が進み、さらに追い込まれていくのだ」というのは、本当に恐ろし「落とし穴」だ。大いに気を付けたい。

次に、7月25日付けNHKクローズアップ現代+「“つながり孤独” 若者の心を探って…」を紹介しよう。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4164/index.html
・『ツイッターやFacebookなどのSNSが急速に普及するなか、“多くの人とでつながっているのに孤独”という、“つながり孤独”を感じる若者が増えている。「SNSで友だちの暮らしを見て劣等感を抱く」「SNSでのつながりの薄さに孤独を感じる」。番組には“つながり孤独”を訴える声が200通近く寄せられた。SNSがなぜ孤独を生み出すのか?番組では、寄せられた声をもとに、オープンジャーナリズムの手法で若者たちを悩ませる“つながり孤独”の実態を探っていく』、“つながり孤独”とは、この番組で初めて知った。
・『“つながり孤独”を知っていますか?  “つながり孤独”。今、知り合いや友達とのつながりに悩み、苦しむ人が増えているのを知っていますか? 30代 女性「つながりがあっても、自分は誰からも理解してもらえない。」 20代 女性「『つながり孤独』を感じすぎて、しんどかった時は、ああ死にたいと。」 インターネットを通じて、いつでもどこでも誰とでもつながることができる私たちの社会。その裏で、若者たちが感じる「孤独」。それが“つながり孤独”です。友だちもいるし、独りぼっちなわけでもないのに、なぜ?同じ悩みを抱える28歳、ディレクターのこの疑問から取材は始まりました。私たちは、番組のホームページやフェイスブックでご意見や体験談を募集。すると、200通以上の声が寄せられました。 20代 男性“知り合いの幸せそうな姿、夢や目標に向かって頑張っている姿を見て、自分は誰からも認められていないのではないかと、孤独を感じます。” 20代 女性“気軽に他人の近況をチェックできることによって、自分との差異がより明確になってしまい、孤独を感じます。” 20代 女性“SNSの投稿では、友だちが就職先の先輩と楽しそうにしているのです。自分とは違う状況がうらやましくなり、孤独感にさいなまれます。” “つながり孤独” 他人と比べてしまう… この声を寄せてくれた人を訪ねることにしました。アカネさん、20歳。高等専門学校を卒業後、地元の会計事務所で働いています。 アカネさん(20)「この子はたぶん、会社の人たちとディズニーランドに行ってる写真です。」 よく見るSNSはインスタグラム。自宅や職場で少しでも時間があるとチェックを欠かしません。アカネさんがよく見るのは、進学や就職で東京に引っ越した友だちの投稿です。都会での暮らしを生き生きと伝える写真や動画。それを見る度、アカネさんはどうしても自分と比較してしまうといいます。 アカネさん(20)「キラキラした写真っていうのが、あんなに近くにいた人たちがやっぱり違う世界にいるんだなっていうさみしさがあります。うらやましいっていう気持ちもありますし、自分と同じ人たちだったのに、こんなに差があるのか。」 つながり孤独に苦しんだ、アカネさん。もう見るのはやめようと、スマートフォンをたたきつけたこともありました。それでも、SNSから離れることはできません。 アカネさん(20)「『つながり孤独』を感じすぎて、しんどかった時は、ああ死にたいと。」 「死にたいとまで思ってたの?」 アカネさん(20)「はい。インスタグラムをやめちゃったら、もうつながりがなくなるのと一緒で、いつ会えるか分からないし、もう私のこと覚えてくれるかも分からない。SNSがあって当たり前の生活になってしまってるので、この孤独感はずっとつきまとうなって思ってる。」』、「“気軽に他人の近況をチェックできることによって、自分との差異がより明確になってしまい、孤独を感じます」というので、漸く理解できた。自分を確立する前に、SNSにひたると確かにあり得る話だ。
・『“つながり孤独” 本音が言えない  つながり孤独を訴える200通の声。SNSで本音を打ち明けることができないという悩みも多く寄せられました。 20代 男性“いまはSNSがあるので、自分の考えを表明できる環境はあるように思われますが、結局“本心”を隠すことになり、孤独を感じます。” 30代 女性“家族といても、職場で誰かと一緒にいても孤独を感じます。SNSでつながりがあっても、距離を感じます。” この声を寄せてくれた、リサさん、34歳。販売の仕事をしています。つながり孤独を強く感じたのが、去年(2017年)仕事に行き詰まり、フェイスブックに書き込んだ時のことでした。“もう、どうしたらいいか。今までで一番メンタルが低空飛行してる。” 「つらい心境を分かってほしい」。でも、リサさんは本当の気持ちを書き込むことはできませんでした。 リサさん(34)「ネットだから、文字だけでは分からないところもありますし、それで誤解を受けてしまうというところもあると思うんです。」 友達は励ましのコメントを寄せてくれましたが、表面的なやりとりで終わりました。相談できず、アドバイスも受けられない。リサさんは、結局仕事を辞めてしまいました。 リサさん(34)「職場とかSNSだとか、世界は昔に比べたら広くなってきているし、選択肢だって、いろいろとあると思うし。それでもやっぱり、つながりがあっても自分は誰からも理解してもらえないというか、孤独感を感じることをなくすというのは、たぶんないのかなって、この先。」』、「「つらい心境を分かってほしい」。でも、リサさんは本当の気持ちを書き込むことはできませんでした・・・仕事を辞めてしまいました」というのは、ネットに限らず、職場でも相談できる上司や同僚に恵まれず、本人自体も「殻に閉じこもる」性格だと大いにあり得る話だ。
・『変わる若者の孤独感  若者の悩みに、長年向き合ってきた人も“つながり孤独”の広がりを感じています。 本郷由美子さん。民間団体が認定する精神対話士の資格を持ち、16年間、孤独や生きづらさを抱える人たちのケアに取り組んできました。 大学3年生「もう少し深い関係の仲の友人を増やせたらなという思いはあります。」 学校や職場にとどまらず、インターネット空間でのつながりに悩み、コミュニケーションがとれない若者が増えている。本郷さんは、そう実感しています。 精神対話士 本郷由美子さん「10何年前っていうのは、集団の中ではみだしてしまうような立場に追いやられてしまって孤独を感じるっていう悩みを聞くことが多かったんですけど、(今は)たくさんつながってるけれども、本当に心を許せる人がいない。SNSよりも生身の人間に関わりたいっていうことをおっしゃっていて、でもその関わり方が分からないという風に苦しまれている。」』、私の場合でも、「本当に心を許せる人」というのはもともと数少ないものだ。しかも、仕事、生き方など分野別に分かれている。
・『“つながり孤独”って!? ただいま検討中  SNSで孤独を感じる、苦しい。 “つながり孤独”を訴える若者たちの切実な声に、私は20代のころの自分を思い起こしました。 武田:“つながり孤独”がピンと来ないっていうことは全くなくて、僕の若いころなんかは、例えば地方局で同期が良い仕事をして認められたとかなると、すごくうらやましく感じたし、他人の芝生が青く見える的な感覚っていうのは、若いころに本当によく感じましたね。よく分かります。SNSをよく使っている私は、自分も同じように感じることがあると思いながら、同世代の人たちを見ていました。 田中:見ている人みんな理解できるんじゃないかなと私は思って、3人グループがいたら、他の2人だけ一緒に遊んでいるのを見ちゃったら、あっとか思うとかって、そういうことっていっぱいあると思うんです。 武田:孤独って、すごくつらいじゃないですか。死にたくなるくらいつらいっていうことも分かる。ただ、やっぱり孤独って悪いことばかりじゃなくて、それを原動力として人とつながりたいと思うし、誰かを愛したいっていう気持ちにもなるだろうし、孤独はやっぱり僕は友だちだと思いますし。 田中:若者の状況が知りたいっていうことをすごい思ったんですね。何で生身の人間関係に逃げない?っていうか、行かないのかなって。悩みを持った時にっていうことをすごく思ってしまって。 武田:そういうのは、もしかして勝ち組の論理なのかもしれないけどね。 田中:だから私も毎回そうじゃないし、だけど、その勝ち組って今おっしゃいましたけど、そう思える人と思えない人は何が違うのかとか、そういうことを知りたい』、群れるだけではなく、孤独のなかで自分を高めることも大切だと思う。
・『“つながり孤独” 若者の胸のうち  ゲスト 菅本裕子(ゆうこす)さん(SNSアドバイザー・YouTuber・モテクリエイター) つながり孤独を感じる若者たちの胸のうちに、もっと迫りたい。私は、SNSの世界で活躍する、菅本裕子さんに会いに行きました。菅本さんは「モテクリエーター」を名乗り、SNSなどでファッションやメイクの情報を発信。「ゆうこす」の愛称で同世代の女性から支持を集め、SNSの総フォロワー数は100万人を超えています。 武田:実はこれ、みんなで見た時に、SNS上で孤独を感じたんだったら、なんで近くの生身の人間関係を充実させようとか思わないのかな? 菅本さん:私はSNSと現実世界だったら、やっぱ現実世界のほうに気を遣っちゃうんですね。たぶん私たち世代はSNSでコミュニケーションとるのに慣れすぎて、SNSで失敗したから現実っていうのは、なかなか行きづらいかもしれない。現実で失敗したからSNS(に逃げる)っていうのは分かるんですよ。だけどハードル低いところから急にまた高いところに挑戦していくの、なんか難しいかも。 武田:現実世界の方がハードルが高い? 菅本さん:全然高いです、私からすると。どうですか? 武田:いや、それは全然わかんない』、「私はSNSと現実世界だったら、やっぱ現実世界のほうに気を遣っちゃうんですね」というのは、さすが「SNSの総フォロワー数は100万人を超えています」だけある。人間的な広がり、社会との関わりがあってこそ、ファンが広がるのではなかろうか。
・『“接続過剰な日常”が若者を苦しめる  ゲスト 水無田気流さん(詩人・国学院大学経済学部教授) 私は、生きづらさや孤立についての著作もある、水無田気流さんに話を伺いました。 田中:いま若者が感じている“つながり孤独”、これを水無田さんは、どういうふうなものだと捉えていらっしゃいますか? 水無田さん:私は、SNSに日常的につながっていないとやりきれないというような、そういう若い人たちのあり方を、“接続過剰な日常”と言ってきたんですね。SNS上に出てくるキラキラした情報というのは、ほんの氷山の一角で、それ以外のところは、いろいろと悩みやゆがみを抱えていたり、あるいは、そういった問題が人に話せなくて困っているかもしれないんですよね。例えば座間で起きたSNS上に自殺願望を書き込んだ、特に女性たちを中心とした被害者が、殺人事件の被害者になるという痛ましい事件が起きましたけれども、SNS上で日常生活をリア充として「盛る」文化と、こういう自殺吐露のつぶやきというのは、表裏一体だと思うんですよね。自分の薄暗い部分、人はそういう部分あって当たり前なんですよね。ただ、そういう当たり前の暗くて薄暗くてドロドロした部分というのを、なかなか社会が容認できなくなってきている』、“接続過剰な日常”とは言い得て妙だ。
・『“つながり孤独” 心の病に苦しんで…  “つながり孤独”から心の病を患ってしまったという女性に出会いました。大学3年生のサクラさんです。双極性感情障害と診断され、心療内科に通っています。サクラさんがのめり込んでいたのは、16歳から始めたツイッターです。自分のつぶやきを読んでくれるフォロワーを増やすことに熱中し、つながった人は8,000人を超えました。 サクラさん(20)「承認欲求みたいな、人にたくさんフォローされることで、なんとなく認められてるみたいな。少なくとも『ひとりぼっちではない』、そういうのが欲しかったんだと思います。」 しかし、8,000人のフォロワーで、サクラさんのつぶやきに反応してくれる人はほとんどいませんでした。 サクラさん(20)「結局こんなに人がいても、自分に関心を持つ人は4〜5人しかいない。(SNSを)使う前は、誰とでもつながれるっていうので、携帯を持つことで(孤独から)救われるみたいな気持ちがあった一方で、持ってみると、結局そういうわけじゃなくて。SNSっていっても、使いこなせばこなすほど、限界が見える。つながりの限界。」 サクラさんは、8,000人とつながったアカウントを削除しました。しかし、SNSで誰かに気にかけてほしいという思いはなくならないといいます』、「8,000人のフォロワーで・・・自分に関心を持つ人は4〜5人しかいない」というのには驚いたが、そんなものなのかも知れない。。
・『ゆうこすが語るSNSといいね  SNSの総フォロワーが100万人を超す、菅本さん。サクラさんの話を、どう受け止めたんでしょうか。 菅本さん:自分が納得できたらいいじゃないですか、その頑張ってることに対して。だけど今は、頑張ってる過程に、今から一歩踏み出します、“いいね!ゼロ”。やっと頑張って達成しはじめました、“いいね!ゼロ”とかだと、もう数字がずっと常につけられてる感覚なので、やっぱそれはさみしいですよね。 武田:数字か。すぐ評価されますからね。でも自分が頑張っていれば、それでいいじゃんって思うんですけど。 菅本さん:本当はたぶんそうだと思うんですよ。だけど、もう今は(SNSを)みんなが持ってて、みんなが使ってるもので、それをしないことが逆に不自然っていう社会なので、常にここに数字が出ているようなものじゃないですか』、こんなところでまで、数字に追われるとはどう考えても馬鹿げている。ただ、そうさせてしまうのが、SNSなどの恐いところなのだろう。
・『孤独は社会問題 動き始めたイギリス  “つながり孤独”を社会の問題と捉え、対策に動きだしたのがイギリスです。孤独問題を担当する大臣を新設。300億円の基金も作りました。 イギリス トレイシー・クラウチ孤独担当大臣「高齢者の孤独の深刻さを理解するためには、かなりの作業が行われています。ですが、孤独の問題は高齢者だけでなく、すべての世代に広がっていることです。」 イギリスでは、孤独は心身の健康を損ねたり、職を失ったりすることにつながるなど、全ての世代に関わる深刻な問題と受け止められています。孤独な社会がもたらす経済損失は年間5兆円に上るという試算もあります。孤独を隠すのではなく、みんなで共有しようという取り組みもネット上で始まっています』、さすがイギリス、いい取り組みだ。
・『“つながり孤独” 私たちはどうすれば?  ゲスト 石田光規さん(早稲田大学文化構想学部教授) 私たちの社会は、孤独にどう向き合えばいいのか。現代の人間関係について研究を続ける、石田光規さんを訪ねました。 石田さん:心配されるのは、格差化されるだろうなっていう感じはするんですよね。つながりを持つ人はものすごい持ってて、持たない人は本当に持てないという形で、ものすごい自由になってしまうと、その自由を精いっぱい活かして、つながりをたくさん作ることが出来る人と、そうではなくて、つながりというところからあぶれてしまう人という形で、もっとはっきりしてきてしまうんじゃないのかなと。 武田:僕らの言うことも届かないし、向こうの言うこともあんまり理解できてないのかなと、すごく不安になるんですけど、どう乗り越えたらいいんですかね。 石田さん:もともとは(現代の若者は)ひとりというところから始まってるんだということを、もう少し理解してあげたほうがいいのかなと思うんですよね。一昔前であれば、つながりの中にある程度、包摂(ほうせつ)されていたから、そんなに別につながりのこと、あれこれ言う必要なかったんですけれども、現在の若い世代は、そういったものが非常に緩くなってしまっているので、ある意味、課題みたいなものを背負ったまま、今の若い人っていうのは育ってきてると思うので、そういった状況というのを理解した上での言葉っていうのが必要なのかな。 SNS総フォロワー100万人の菅本さんは、ネットの中に自分の居場所を見つけることを勧めます。 菅本さん:孤独を感じるのもSNSだけど、孤独を癒すのもSNSなのかなと。ちょっとは自己中心的になる必要性があるなと思ってて、SNSの中では。人に合わせる合わせるだけだったら消費されてって、どんどん孤独になってっちゃうから。私はこうです、ああです、これが好きで、こういうことに興味がありますって言うことで、ほかのSNS上の人たちが話しかけやすくなって、仲間が見つけやすくなって、そこに居場所ができて、コミュニティーができてってなったら、たぶん他でうらやましいなと思っても、私にはここに友だちがいるし、居心地がいいし、そんなになんか疲れることもなくなっていくんじゃないかな。 孤独を感じる時間も大切なもの。水無田さんはそう話します。 水無田さん:孤独というのは悪いところだけでもない。孤独というのをポジティブな面から自分と対話する時間だと思って、少し自分を直視するということもトレーニングしてみたらいいのではないかなと思いました』、水無田さんの指摘は、私がさきほどコメントしたことに近く、その通りだ。
・『田中:本当に今もまさにヒントだと思うんですけど、それができればいいんですけど、できないっていう人がつながりをやめて自分の内省ができないっていう人が、かなり今、多くなっている。 水無田さん:つらいんだったら普通はやめなさいというアドバイスになると思うんですよね。でも、別にやめることができないんだったら、それはしょうがない。そういったダメなところも含めて、自分を認めてあげよう。不安とか孤立感、孤独感を感じたにしても、それは一時のものですよね。なので、今、感じていることを認めてあげた上で、でも、それは永遠ではないということを知ることも必要じゃないかと思います。 田中:私たちが生きる日々は、みんな決してキラキラしているばかりではありません。今回の取材を通じて、孤独に悩み、苦しみもがいている人たちが表に見えにくい形で私たちの周りにいることに、改めて気付かされました。 武田:“つながり孤独”は、家族・会社・地域といったしがらみではなく、個人として自由に人とつながることを求めてきた私たちが、その自由と引き換えに抱え込むことになった孤独なのかもしれません。そう考えますと、若者だけの問題ではないと感じます。 田中:こうした人たちの声に、これからも向き合っていきたいと思います』、「個人として自由に人とつながることを求めてきた私たちが、その自由と引き換えに抱え込むことになった孤独なのかもしれません。そう考えますと、若者だけの問題ではないと感じます」というのは、その通りなのかも知れない。学校の道徳では、こうしたSNSとの付き合い方こそ取上げて、皆で考えさせるべきだろう。
タグ:ネット社会 (その1)(「低能先生」を凶行に駆り立てたネット民の闇 匿名コミュニティによる正義追求の恐ろしさ、“つながり孤独” 若者の心を探って…) 本田 雅一 東洋経済オンライン 「「低能先生」を凶行に駆り立てたネット民の闇 匿名コミュニティによる正義追求の恐ろしさ」 人気ブロガー「Hagex」ことネットセキュリティ会社勤務の岡本顕一郎さんが殺害 無職・松本英光容疑者 岡本さんは、自身のブログの中で、「低能先生」として知られる松本容疑者の行為を問題視し何度か取り上げていた 松本容疑者はこれを逆恨みして犯行及んだ 現実社会では接点がまったくなかった 匿名 松本容疑者は頻繁に迷惑行為を行っていた 「低能先生」とは、自分が気に入らないコメントを残している人物にIDコールで罵詈雑言を送るのである 迷惑行為を繰り返すため、「低能先生」のアカウントは何度もアカウント削除されたが、それでも毎回、新しいIDを作成して同じ行為を繰り返していた 通報厨が生まれるきっかけを作った、しかも誰なのかを特定できているHagex氏にターゲットを絞ったと考えられる 追い込まれていった構図 ネット弁慶な人 パソコン通信サービス時代 複数の匿名利用者から集団リンチを受けているように感じていたのではないだろうか 自分に対する攻撃が繰り返されているうち、ネット社会における自分の人格を取り巻くすべてが敵に見え、まるで結託しているかのように思えるのだ 「追い詰めないこと」が大切 不足する情報を人間は推測で補完しようとする 現実社会よりも圧倒的に情報が少ない中で補完する情報が過大になってくると、事実関係と自分自身の認識の乖離が進み、さらに追い込まれていくのだ NHKクローズアップ現代+ 「“つながり孤独” 若者の心を探って…」 “多くの人とでつながっているのに孤独”という、“つながり孤独” SNSで友だちの暮らしを見て劣等感を抱く SNSでのつながりの薄さに孤独を感じる “知り合いの幸せそうな姿、夢や目標に向かって頑張っている姿を見て、自分は誰からも認められていないのではないかと、孤独を感じます 気軽に他人の近況をチェックできることによって、自分との差異がより明確になってしまい、孤独を感じます つながり孤独』を感じすぎて、しんどかった時は、ああ死にたいと “つながり孤独” 本音が言えない 本当の気持ちを書き込むことはできませんでした 相談できず、アドバイスも受けられない。リサさんは、結局仕事を辞めてしまいました 変わる若者の孤独感 たくさんつながってるけれども、本当に心を許せる人がいない。SNSよりも生身の人間に関わりたいっていうことをおっしゃっていて、でもその関わり方が分からないという風に苦しまれている 若者の胸のうち 菅本裕子 「ゆうこす」の愛称で同世代の女性から支持を集め、SNSの総フォロワー数は100万人を超えています 私はSNSと現実世界だったら、やっぱ現実世界のほうに気を遣っちゃうんですね たぶん私たち世代はSNSでコミュニケーションとるのに慣れすぎて、SNSで失敗したから現実っていうのは、なかなか行きづらいかもしれない “接続過剰な日常”が若者を苦しめる “つながり孤独”から心の病を患ってしまったという女性 8,000人のフォロワー 自分に関心を持つ人は4〜5人しかいない “いいね!ゼロ”とかだと、もう数字がずっと常につけられてる感覚なので、やっぱそれはさみしいですよね 孤独は社会問題 動き始めたイギリス 孤独問題を担当する大臣を新設。300億円の基金も作りました 孤独な社会がもたらす経済損失は年間5兆円に上るという試算も 私たちはどうすれば? 現在の若い世代は、そういったものが非常に緩くなってしまっているので、ある意味、課題みたいなものを背負ったまま、今の若い人っていうのは育ってきてると思うので、そういった状況というのを理解した上での言葉っていうのが必要なのかな 孤独というのは悪いところだけでもない。孤独というのをポジティブな面から自分と対話する時間だと思って、少し自分を直視するということもトレーニングしてみたらいいのではないかなと思いました 個人として自由に人とつながることを求めてきた私たちが、その自由と引き換えに抱え込むことになった孤独なのかもしれません。そう考えますと、若者だけの問題ではないと感じます
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感