SSブログ

東芝問題(その37)(東芝の病は不治か いまだ続く「忖度」「チャレンジ」、東芝は日立のようにV字回復を果たすことができるか、東芝“新中計”は踏み込み不足 構造改革を遅らせる「内輪の論理」) [企業経営]

東芝問題については、1月8日に取上げたままだった。久ぶりの今日は、(その37)(東芝の病は不治か いまだ続く「忖度」「チャレンジ」、東芝は日立のようにV字回復を果たすことができるか、東芝“新中計”は踏み込み不足 構造改革を遅らせる「内輪の論理」)である。なお、タイトルから「不正会計」をカットした。

先ずは、11月5日付けダイヤモンド・オンライン「東芝の病は不治か、いまだ続く「忖度」「チャレンジ」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/184255
・『赤い半導体が狙う東芝技術者の闇  東芝の“企業城下町”といってもいい神奈川県川崎市――。「小向東芝町」という町名が存在するほど、歴史的に東芝と密接な関係を持っている街だ。 JR川崎駅を出てまず目に飛び込んでくるのが、東芝の工場を再開発した複合施設、ラゾーナ川崎プラザだ。野外コンサートやビアガーデンといった催しが行われる広場があり、多くの人で賑わう。 その広場を見下ろすように、東芝が入居するオフィスビルがそびえる。これは筆者の色眼鏡かもしれないが、イベントで盛り上がる広場を横目に帰宅する東芝社員の顔色は冴えない。そのコントラストが印象に残っている。 その場所からJR線路を挟んで反対側に東芝関係者が警戒する会社がある。 社名は「JYMテクノロジー」。中国の半導体メーカー、清華紫光集団傘下でNAND型フラッシュメモリを製造するYMTCの子会社だ。同社は東芝などからの技術者を引き抜く拠点となっている。 JYMテクノロジー幹部は「メモリの製造プロセス改善には日本人の地道なやり方が向いている。給料は業界で一番。韓国サムスン電子より高いよ」と話す。 JYMテクノロジーが狙うのは、フラッシュメモリ世界2位の「東芝メモリ(6月に米投資ファンド、米ベインキャピタルなどに売却済み)」の技術者だが、技術者の能力によっては東芝に残るフラッシュメモリ以外の半導体子会社、「東芝デバイス&ストレージ」からも採用する。実際、東芝デバイス&ストレージの元技術者が中国オフィスで働いているという。 JYMテクノロジーには128席分のスペースがあるが、筆者が訪れた8月時点では空席が目立った。同社幹部は「昨年末にオフィスを開設したばかり。これから採用していきますよ」と意欲を見せた。 同社の親会社、YMTCは今年、総額3兆円を投じたメモリ工場を中国湖北省で稼働させる予定で、製造を安定させることが急務となっている。日本人技術者の採用は同社の最優先事項なのだ』、そんなに近い場所に、中国系のライバル企業があり、東芝技術者を狙っているとは、東芝もさぞかしやり難いだろう。
・『「できません」が言えない風土健在、進んで隠れ残業  片や、東芝デバイス&ストレージには全く別の問題がある。 筆者は9月上旬から約1カ月間、現地で徹底取材を試みたが、同社では残業が常態化しているようで、通用門から出た社員が近所の中華料理屋などで食事をし、またオフィスに戻るのを何度も目撃した。 筆者がなぜ同社をマークしたかというと、「隠れ残業が横行している」との情報を得たからだ。 同社はパソコンの稼働状況で社員の勤務状況を管理するシステムを導入しているが、その機能をオフにして終電や深夜バスの時間まで働く技術者が多いという。 帰宅する社員への取材を続けると、実態が分かってきた。 ある管理職の技術者は「午後10時までに帰宅することが奨励されている。それ以降は、そういうこと(残業時間を申告しない、隠れ残業)はある」と認めた。 勤怠管理システムを無効にする方法も教えてくれた。パソコンのOS(基本ソフト)を米マイクロソフトの「ウィンドウズ」から「リナックス」に切り替えるのだという。なんとも技術者らしい規制のすり抜け方だ。 別の管理職社員は、「“チャレンジ文化”と言われればそうかもしれない。上司からの指示がなくても皆やっている」と明かした。 なお、隠れ残業をしていると証言したのはいずれも年俸制の管理職で、残業代の不払いとは関係がない。過重労働の有無を確認するための残業時間の申請に虚偽の可能性があるということだ。 同社は2年前に残業の実態調査を行っているが、その後、定期的な調査はしていないという。 同社幹部は、「隠れ残業など簡単にしていいとは思わないし。聞いていない」と話すが、見て見ぬふりをしていたのではないかと勘繰りたくなる』、OSを入れ替えるとは、さすが技術者集団だ。
・『制度作って魂入れずが東芝の「文化」なのか  筆者は、残業自体を否定しているわけではない。東芝デバイス&ストレージは近年、低収益に沈み、社員は減り、個人の負担が増しているのも事実だ。 問題なのは、残業を管理するために導入した勤怠管理システムや、「午後10時までに退社する」というルールが有名無実化していることだ。東芝の半導体部門は不正会計が行われていた主要職場の一つであり、とりわけルール違反をしてはいけない部門のはずだ。 15年以降の東芝の危機の原因は、指名委員会の設置や社外取締役の登用といったガバナンス改革を骨抜きにしたり、非現実的な目標を実現するため不正会計を行ったりしたことだ。そうしたが不正の温床となる風土が残っているとすれば早急に改めるべきだろう』、正論だが、それでは仕事をこなせない実態をどうするかが問題だ。
・『時代に翻弄された東芝 一体何が起きていたのか?  筆者の幼少期は東芝に囲まれていました。といっても、東芝の製品が身の回りにあふれていたというわけではありません。家の裏手に東芝の社員が多く入居する住宅地があり、そこの子供たちと遊んでいたのです。草野球仲間の過半は東芝社員の息子でした。 あるとき一つ年上の友人が「東芝の野球大会でお父さんがホームランを打った!」と自慢してきました。子供ながらに、野球大会があるとは大きな会社だな、それを家族で応援しにいくとは仲のいい会社だな、と羨ましく思ったことが記憶に残っています。 「東芝那須工場」が筆者の地元の栃木県で稼働したのは1979年のこと。筆者はその翌年に生まれました。 ご近所の東芝社員にはエリート(後に工場長に昇進)もいれば、現場の社員もいましたが、子供らは親の役職に関係なく仲良くやっていました。 いま思えば、“一億総中流”を絵に描いたような近所付き合いでした。子供だった私は遊びほうけていただけですからいい時代だったのは当然ですが、東芝那須工場にとっても右肩上がりの時代だったのです。 東芝那須工場は病院で使う検査機器を製造していました。東芝は海外メーカーが支配していたCT市場に参入し、蘭フィリップスなどを追い抜き、世界3強の一角を占めるまでになりました。 ですが、筆者から順風満帆に見えていたのは東芝の医療機器事業だけで、東芝全体では事情が違っていました。 大きな柱だった発電機器などのインフラ投資が一巡し、家電消費も頭打ちになり始めていたのです。東芝は時代に翻弄されつつありました。 時は流れ、現在、かつての東芝那須工場にはキヤノンの看板がかかっています。15年に東芝で発覚した粉飾決算後の経営危機の影響で、東芝から売却されたのです。 医療機器事業を育て上げ、当時、同事業部門トップを務めていた綱川智氏(現東芝社長)は事業売却について「娘が嫁いだ父親の気分。新たな嫁ぎ先で成長すると信じている」と悔しさをにじませました。 同時期に、東芝は家電部門も中国企業に売却し、発電危機から家電まで幅広く取り扱う“総合電機”の看板を降ろしました。 なぜ、東芝は凋落したのでしょう。リーマンショック後に、時価総額でライバルの日立製作所に差をつけられていますが、何があったのでしょうか。 本特集では、東芝と日立の関係者の証言を基に、両社の命運が分かれたターニングポイントを探究していきます』、次に紹介する記事がそれに当たるようだ。

次に、ジャーナリストの滋賀利雅氏が11月5日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「東芝は日立のようにV字回復を果たすことができるか」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/184260
・『不正会計問題を経て経営再建中の東芝が、11月にも中期経営計画を発表する。果たして東芝は復活することができるのか。やはり電機メーカーで、経営危機から見事V時回復を果たした日立と比較することで、その将来を考えてみたい』、経営危機といっても、東芝と日立ではその度合いには雲泥の差があるが、それはともかくまあ読んでみよう。
・『車谷会長の下で練った中期経営計画を間もなく公表  2008年の金融危機以降、3代の社長が関与したとされる「不正会計問題」に、いまだあえぐ東芝。17年に6000億円の増資を敢行、18年2月に招聘した車谷暢昭代表執行役会長CEOの下で練りに練った中期経営計画を11月にも公表するとしている。 2015年7月に発表された第三者委員会報告によれば、不正総額は約1552億円。どん底まで失墜した信用と業績をどのように回復させるのか、その中身が注目されているが、再建策については同じ電機メーカーでコングロマリットを形成している日立が1つのサンプルとなる。 そこで、日立の再建と比較することにより、東芝の再建を占ってみることにする。 日立は2009年3月期、当期純利益が7873億円の赤字まで落ち込んだものの、その後、(1)コーポレートガバナンスの強化、(2)積極的な子会社の再編による事業改革、そして(3)意欲的な中期経営計画を進めた結果、3年後には3471億円の黒字にまで大きく回復した。この年は、タイで大洪水があっただけに、驚異的ともいえる』、なるほど。
・『社内登用は3人だけ 3人以外は全て入れ替えた日立  まずは、両社のガバナンス面から比較していくことにしよう。 2009年3月時点で、日立の取締役は12人中7人が社内取締役が占め、社外取締役のうち3人が現役の事業会社の社長・会長(当時)、外国人取締役はゼロだった。 子会社から呼び戻される形で社長に就任した川村隆氏(現東京電力ホールディングス取締役会長)は、いくつもの改革を進めると同時にガバナンス体制の再構築にも着手、取締役の構成を大胆に変更した。 それは、業績が回復した2012年3月時点と比べれば明らかだ。 (リンク先に日立の取締役の変遷の表) 川村氏は3年の間に、取締役の総数を12人から10人に減らしたのに加え、社内からの登用をわずか3人とした。しかも、3年前からの留任組は、川村氏と太田芳枝・元石川県副知事、大橋光夫・昭和電工社長の3人のみで、ほかは全て入れ替えたのだ。 これに対し東芝は、不正会計が発覚した2015年3月時点で、取締役10人中4人が社内取締役である一方、過半数を達する6人が社外取締役となっており、一定の体裁は保っていた。しかし、日立同様、海外の売り上げが大きな部分を占めていたにもかかわらず、外国人取締役はゼロだった』、確かに東芝のガバナンス改革は手緩いようだ。
・『問題顕在化後も全員留任だった東芝 車谷会長就任でも目新しさに欠ける  しかしその後、米ウェスティングハウス問題が顕在化したにもかかわらず、2017年3月時点での取締役は、原子力部門を統括し会長を務めていた志賀重範氏が退任して1人減っただけ。その他は全員留任し、外国人取締役もゼロと、何も変わらなかったのである。 そして、今年2月に三井住友フィナンシャルグループ副社長を経て、シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパンの会長を務めていた車谷暢昭氏が社長に就任してからの取締役構成も、社内昇格組2人を始めとする4人が新たに加わっただけで、目新しさに欠けている。 日立の改革を率いた川村氏は、会長を退任した2014年、日本ベル投資研究所のインタビューに対し、「会社の経営に関しては社内の人間が一番把握していると信じていたが、経営改革を実行してみると、それはかつて機関投資家に言われたことばかりであった」と明かしている。その上で、「機関投資家のマクロ観は意外に正しいので、それを尊重すべきだ」としている』、「機関投資家のマクロ観」というのは、証券会社や運用会社のアナリストの見解のことだろう。その妥当性については、賛否両論があるが、川村氏は高く評価したようだ。
・『川村氏がガバナンス面で重視した機関投資家のマクロ観  川村氏が尊重した「機関投資家のマクロ観」は、着実に人事に反映されている。 社外から、元ソニーフィナンシャルホールディングス会長の井原勝美氏を始め、米軽金属大手アルキャン社のCEOを経て、アングロ・アメリカン社のCEOを務めていたシンシア・キャロル氏、ゼネラル・エレクトリック社や3Mなどを経て、ダウ・ケミカル社のバイスチェアマン兼CCOを務めていたジョー・ハーラン氏、そしてモルガンスタンレー証券東京支店マネージングディレクター兼副会長や、UBS証券会社マネージングディレクター兼副会長などを歴任した山本高稔氏など、海外企業で豊富な経験を積んだ人材や、金融のプロをそろえている点に1つの業績改善のカギがあるともいえる。 東芝株を保有するある海外ファンドの幹部は、「グローバルで戦う企業なら、グローバルな知見を有し、海外ビジネスに精通する外国人を取締役会メンバーに招聘すべきだ」と語る。現在の東芝には、グローバルに活躍する人材はゼロだ。さらに、現在の東芝の取締役には社長の車谷氏が金融出身者である以外、金融のプロも見当たらない。 日立の川村氏は、海外から社外取締役を招聘した理由について、「日本は島国だから、つい日本における評価でもって安心してしまうのが問題だ」と語っている。 日本取締役協会が8月に公表した最新の「上場企業のコーポレートガバナンス調査」によれば、外国人株主比率が30%以上の企業は2013年に10%を超え、2018年には15.6%まで上昇している。さらに、3人以上の社外取締役を選任している企業は、東証1部上場企業の半分に近づいてきたと評価している。 だが、いわゆる“仏作って魂入れず”のような、形式論に陥ってはいないだろうか。 コーポレートガバナンス改革が進むにつれ、今後の課題として、「形式から実質への深化が重要」が挙げられている。「進む」ではなく「深み」を追求すべきだとの流れに変わってきている。 そうした時代に社外取締役を増やすだけでは意味がない。経験と知見を持った外国人や各分野のプロを引っ張ってこなければ意味がないのだ』、その通りだろう。
・『選択と集中を徹底させた日立 弥縫策に終始する東芝  東芝と日立の違いは、ガバナンス改革だけではない。その1つが、膨大な数を抱えている子会社や関連会社の整理だ。 日立は、社会インフラ関連企業を本体に取り込む、あるいはかなり近い位置に置く一方で、それ以外の企業は逆に遠ざけたり、売却したりする“選択と集中”戦略で業績を大きく回復させた。 例えば、日立プラントテクノロジー、日立情報システムズ、日立ソフトウェアエンシジニアリング、日立システムアンドサービスといった企業は完全子会社化。一方で、日立国際や日立工機などは売却している。 こうした子会社や関連会社の再編は、業績を回復させた今でも続いている。足元では、昨年、無線・半導体製造装置メーカーの日立国際電機を売却したほか、テレビの国内販売からも撤退、車載オーディオのクラリオンについても全株をフランスの自動車部品メーカーに売却する方針を明らかにしている。 これに対し東芝は、稼ぎ頭だった東芝メモリの売却で大きな議論を呼んだが、その他にも産業用コンピュータの東芝プラットフォームソリューションや、医療機器リースなどの東芝医用ファイナンス、東芝メディカルなどを売却した。 確かに、こうした企業の売却によって、まとまった規模の売却益は得ている。また、2018年3月期の有価証券報告書によれば、東芝の子会社数は389社で、1年前の446社から考えると一定の整理感はある。 また、足元では原発子会社の清算や、液化天然ガス(LNG)事業の売却なども取り沙汰されている。だが、これらはあくまで窮地をしのぐための“弥縫策”の意味合いが強く、日立が進めたような戦略的な選択と集中戦略とは似て非なるものだといえる』、確かに東芝の場合は、「選択と集中戦略」によるのではなく、益出しのためのやむを得ない売却が中心だ。
・『明確なビジョンと数値目標を掲げ冷徹と批判されても実行した日立  川村氏が主導したV字回復が一段落した2013年5月、日立は中期経営計画を打ち出した。それには、具体的なビジョンと数値目標が明示されていた。 まずビジョンについては、「イノベーション」「グローバル」と「トランスフォーメーション」の3つのキーワードを掲げた。川村氏は、これまでのしがらみや、こだわり、あるいは不要なプライドを捨て、世界スタンダードに近づき、いかに健全な財務体質を築き直すかに重点を置いたわけだ。 その結果の数値目標として、売上高10兆円、営業利益率7%超、株主に帰属する純利益(株主帰属利益)3500億円という明確な目標を掲げた。 この計画に基づいて川村氏が中西宏明社長と二人三脚で進めた改革は、メーカーとしてのこだわりを捨て、「社会インフラに徹する」との強い信念から、たとえ黒字事業でも売却するなど事業統廃合と整理を徹底させた。合理的な選択を最優先する姿勢には、社内外から冷徹と批判されることもあったが、結果が全てを物語っているといえる。 一時は、売上高で2兆円を突破していた名門企業の東芝。2014年以降は、5000億程度でおおむね横ばいで推移していたものの、2018年3月期には4000億円を割り込んだ。子会社や関連会社などの売却益によって、株主帰属利益こそ800億円に回復したものの、営業利益率は1.6%と前期から悪化している。 今年2月に開かれた決算会見で平田政善代表執行役専務CFOは、構造改革に加えて、テレビ・パソコン事業の改善などで来年度には1000億円程度の営業黒字になるとの見通しを示したが、「1000億程度では株主が納得するような投資リターンにはならない」との厳しい認識を示している。 このように見ていくと、東芝が本格的な復活を果たすまでにはまだ長い道のりが待っていると言わざるを得ない。まずは外国人や金融知識の豊富な人材活用などを中心としたガバナンスを深化させるとともに、実効性が期待できる中期経営計画が求められている』、確かに日立の事業再構築は、まさにお手本のような素晴らしいものだ。東芝の中計については、次の記事で見ていこう。

第三に、11月19日付けダイヤモンド・オンライン「東芝“新中計”は踏み込み不足、構造改革を遅らせる「内輪の論理」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/185875
・『銀行出身の新CEOの下で再建を目指す東芝が、幹部自身が「地味」と認める新中期経営計画を発表した。構造改革が踏み込み不足の上、成長分野に位置付けたIoTなどでも出遅れ感が否めず、収益力アップはおぼつかない。 4月に三井住友銀行元副頭取の車谷暢昭氏を会長兼CEO(最高経営責任者)に迎えた東芝が8日、新中計「東芝Nextプラン」を発表した。本誌が11月10日号「変われぬ東芝 変わる日立」特集で報じた通り、“地味”な内容で、事業構造を転換する最大のチャンスを逃したといえる。 車谷氏は当初、事業ポートフォリオの見直しを今後取り組む3本柱の一つに挙げ「全然違う会社に変えていくつもりでプランを作る」と意気込んでいた。 だが、ふたを開けてみれば22個あるビジネスユニット(BU)は全て存続することになった。撤退するのはBU内の一部製品のみ(赤字が続く半導体「システムLSI」の中でも、自動車向けを除く一部など)にとどまった』、「22個あるビジネスユニット(BU)は全て存続」というのには驚いた。これでは、「事業構造を転換する最大のチャンスを逃したといえる」と評されるのも当然だ。
・『しかし、東芝は抜本的な改革を避けて通れるほど余裕のある状況ではない。2018年度上期の営業利益率は0.4%と低迷(前年同期は1.9%)。5セグメントのうち二つが赤字で、今後の中核となる「インフラシステム」ですら営業利益率0.3%と超低空飛行だ。 事業別の業界シェア(下図参照)でも、4位以下が38個のうち11個もある(この図の事業区分はBUを国内外などに細分化したもの)。これらを全て存続させる価値があったのか疑問が残る。 東芝は低収益の4事業をモニタリング対象に指定し定期的に改革の進捗を評価する。 車谷氏は、「20年度までに赤字事業を撲滅し、基本的には営業利益率5%以上で(事業ポートフォリオを)構成したい」と述べたが、収益改善の期限やできなかった場合の対策については具体的に語らなかった』、東芝メモリ売却で疲れてしまったのだろうか。危機感が全く伺えない。
・『事業部が握った改革の主導権  構造改革が踏み込み不足になったのは、車谷氏が事業部の収益改善計画を真に受けてしまったからのようだ。 もちろん車谷氏は事業部が出した計画に駄目出しして、より高い水準を求めた。「できるか」と問われた事業部側は撤退・縮小を避けたいので当然「やれる」と答える。“有望技術”でもうけ話をひねり出すのはお手のものだ。ある幹部は「銀行出身の車谷氏に、技術の価値判断まで期待するのは酷だろう」と話す。 東芝では、昨年12月の増資で急増したモノ言う株主への対応が難題として浮上している。社内では、モノ言う株主対応は金融出身の車谷氏、事業改革は生え抜き役員という「餅は餅屋の役割分担」(同幹部)が確立してしまったという。 かくして、BUの枠内でもうかる分野に人材をシフトするなどして、21年度に営業利益率6%以上を目指すという「既存の枠組みありきの事業部主導の再生計画」が出来上がったわけだ。 あらゆるモノがネットにつながるIoTで先行する独シーメンスがデジタル化時代を見据え15年間で半分の事業を入れ替えたのに比べ、ダイナミックさに欠けると言わざるを得ない』、本格的な事業再構築では、改革の主導権を事業部が握るようでは覚束ない筈だ。もっと、トップダウンの姿勢が必要だった。
・『幻に終わった半導体強者連合  事業部主導では内部の論理が優先され、組織の改編まで踏み込みにくい。それを象徴するのが東芝の半導体事業だ。 同事業は、全社の利益の9割を稼いでいたNAND型フラッシュメモリ事業を売却したこともあり低収益に沈んでいるが、これまでに2度再編のチャンスがあった。 1度目は、03年以降に日立製作所や三菱電機、NECが半導体事業を統合してできたルネサスエレクトロニクスへの合流だ。 東芝は2000年代、日系電機メーカーが依然、高シェアを持っていた薄型テレビ向けの半導体に強く、それで生き残れると判断して合流を見送った。合流すればリストラは不可避だったので当然、事業部は反対した。だが、その後、「日系メーカーはテレビで韓国企業に大敗北を喫して読みは大きく外れた」(東芝関係者)。 2度目はあまり知られていないが、セイコーインスツルとの事業統合だ。 両社の競争力が高い分野(アナログ半導体やパワー半導体)を合わせて「強いメーカー」を誕生させるべく、15~17年に水面下で詰めの交渉を行った。だが、東芝側が最終決断できなかった。「強い分野を出せば、残るのは抜け殻みたいな製品。それでは本体が持たない」(同)というのが理由だった。 社外出身者の車谷氏には組織のしがらみにとらわれない大胆な改革が期待されている。しかし、8日の会見で「選択と集中は完了した」と話すなど、さらなる構造改革には慎重な姿勢を示した。 なお、新中計には全従業員の5%に当たる7000人の削減が盛り込まれた。定年退職者の自然減が中心で、早期退職を実施するのは1000人ほどになる見込みだ。 新中計の構造改革は踏み込み不足といえそうだが、成長戦略の方はどうだろうか。 東芝は5年後の23年度に売上高を11%増の4兆円、営業利益率8~10%を目指すが、注力分野は競争が激しく、ハードルは高い。 平田政善CFO(最高財務責任者)は新中計について「地味かもしれないが、手が届くレベルの計画値を設定した」と話した。 東芝は目標の実現の可能性が高い根拠として、「フラッシュメモリ(17年6月に売却)に偏り、他分野に十分に行き届いていなかった投資資金を増やし、しっかり分配すれば利益が出る」との見解を示す。今後5年間で8100億円の設備投資を計画し、うち8割を成長分野に使う(先程の図参照)。 しかし、単純比較にはなるが年平均1620億円の設備投資は競合する日立や三菱電機より少なく、売上高に対する設備投資比率は4.4%と、日立4.0%、三菱電機4.1%を若干上回る程度だ。 東芝の注力分野である自動車向けのバッテリーで競合するパナソニックは中国などの車載電池工場に巨額投資を続けており、18年度も車載・産業分野だけで東芝全体の額を上回る2410億円の設備投資を行う。 東芝が注力するバッテリーなどは決して「過剰なリスクを取らない安定した事業」ではなく、激しいシェア争奪戦が展開されているシビアな領域なのだ。 中期的な成長エンジンとして期待するIoTも競争が激しい。 シーメンスから10月に東芝に移った島田太郎コーポレートデジタル事業責任者は会見で「(東芝はIoTで)少し後発の状態にはある」と認め、IoTで稼ぐには社員の意識改革が重要になることを強調した』、これでは、先行きが思いやられるようだ。
・『鍵はチャレンジ文化の払拭  東芝にはデジタル化の前に改めるべき社内文化がある。不正会計や米国での原発建設事業の巨額損失の要因となった「できないことをできない」といえない“チャレンジ”文化や、事業部が経営計画を本気で実行しない“面従腹背”の文化だ。 車谷氏は新中計について「事業部長と何をやればどこまでできるか何度も膝を突き合わせて話して積み上げた(目標)数字だ」として、事業部がコミットしていることを強調しているが、“チャレンジ”が含まれている可能性は否定できない。 悪弊を絶ち、目標を実現する文化を取り戻せるか──、これこそが東芝再建の鍵を握る』、”チャレンジ”は東芝の悪弊のように言われるが、どこの企業でも目標を高めに設定するのが普通だ。ただ、おおざっぱに言えば、それを実現するための具体策を掘り下げるか、或は、単に”気合”で実現しようとするか、で分かれると思う。東芝の場合は後者の色彩が濃かったということだろう。それのバランスを切り替えていくのは、それほど容易ではなさそうだ。
タグ:JR川崎駅 ダイヤモンド・オンライン 東芝問題 (その37)(東芝の病は不治か いまだ続く「忖度」「チャレンジ」、東芝は日立のようにV字回復を果たすことができるか、東芝“新中計”は踏み込み不足 構造改革を遅らせる「内輪の論理」) 「東芝の病は不治か、いまだ続く「忖度」「チャレンジ」」 赤い半導体が狙う東芝技術者の闇 JR線路を挟んで反対側に東芝関係者が警戒する会社 「JYMテクノロジー」。中国の半導体メーカー、清華紫光集団傘下でNAND型フラッシュメモリを製造するYMTCの子会社だ 東芝などからの技術者を引き抜く拠点 給料は業界で一番。韓国サムスン電子より高いよ パソコンの稼働状況で社員の勤務状況を管理するシステムを導入 その機能をオフにして終電や深夜バスの時間まで働く技術者が多いという パソコンのOS(基本ソフト)を米マイクロソフトの「ウィンドウズ」から「リナックス」に切り替える 隠れ残業をしていると証言したのはいずれも年俸制の管理職 制度作って魂入れずが東芝の「文化」なのか “総合電機”の看板を降ろしました 時価総額でライバルの日立製作所に差 滋賀利雅 「東芝は日立のようにV字回復を果たすことができるか」 日立の再建と比較することにより、東芝の再建を占ってみる 社内登用は3人だけ 3人以外は全て入れ替えた日立 取締役の総数を12人から10人に減らしたのに加え、社内からの登用をわずか3人とした 東芝は、不正会計が発覚した2015年3月時点で、取締役10人中4人が社内取締役である一方、過半数を達する6人が社外取締役となっており、一定の体裁は保っていた。しかし、日立同様、海外の売り上げが大きな部分を占めていたにもかかわらず、外国人取締役はゼロだった 問題顕在化後も全員留任だった東芝 機関投資家のマクロ観は意外に正しいので、それを尊重すべきだ 川村氏がガバナンス面で重視した機関投資家のマクロ観 日立の川村氏は、海外から社外取締役を招聘した理由について、「日本は島国だから、つい日本における評価でもって安心してしまうのが問題だ」 選択と集中を徹底させた日立 弥縫策に終始する東芝 明確なビジョンと数値目標を掲げ冷徹と批判されても実行した日立 「東芝“新中計”は踏み込み不足、構造改革を遅らせる「内輪の論理」」 「東芝Nextプラン」 “地味”な内容で、事業構造を転換する最大のチャンスを逃した 22個あるビジネスユニット(BU)は全て存続 東芝は抜本的な改革を避けて通れるほど余裕のある状況ではない 事業部が握った改革の主導権 モノ言う株主対応は金融出身の車谷氏 事業改革は生え抜き役員 餅は餅屋の役割分担 既存の枠組みありきの事業部主導の再生計画 幻に終わった半導体強者連合 ルネサスエレクトロニクスへの合流 生き残れると判断して合流を見送った セイコーインスツルとの事業統合 東芝側が最終決断できなかった。「強い分野を出せば、残るのは抜け殻みたいな製品。それでは本体が持たない」(同)というのが理由 鍵はチャレンジ文化の払拭
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感