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安倍内閣の問題閣僚等(その7)(政治家の「失言の歴史」にも時代が表れている 確信犯的なものから軽薄なだけの発言まで、片山大臣にさらなる疑惑 暴力団との“密接交際者”から事務所無償提供 秘書給与肩代わり、安倍政権を年明けも悩ます片山・桜田エラー 参院選へ向けた「時限爆弾」にも、次の質問どうぞ、河野外相「傲慢答弁」の波紋 しぼむ期待、「ポスト安倍」は石破氏が有利に) [国内政治]

安倍内閣の問題閣僚等については、9月11日に取上げた。今日は、(その7)(政治家の「失言の歴史」にも時代が表れている 確信犯的なものから軽薄なだけの発言まで、片山大臣にさらなる疑惑 暴力団との“密接交際者”から事務所無償提供 秘書給与肩代わり、安倍政権を年明けも悩ます片山・桜田エラー 参院選へ向けた「時限爆弾」にも、次の質問どうぞ、河野外相「傲慢答弁」の波紋 しぼむ期待、「ポスト安倍」は石破氏が有利に)である。

先ずは、東洋大学教授の薬師寺 克行氏が11月21日付け東洋経済オンラインに寄稿した「政治家の「失言の歴史」にも時代が表れている 確信犯的なものから軽薄なだけの発言まで」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/250433
・『一昔前の自民党政権では多くの議員が当選6回あたりになると「図らずも」閣僚に任命され、1年ほどの任期を「大過なく」全うしていた。担当する省庁の政策についての知見の有無など関係なかった。政治改革や政治主導の結果、そんな年功序列的人事は変わったと思っていたが、先日の安倍内閣の改造でどうやら復活したようだ。その結果、閣僚の失言が政治の大きな話題になっている。 サイバーセキュリティ問題担当相の桜田義孝氏が、なんのためらいもなく「自分でパソコンを打つことはない」と胸を張って答えたのであるから、問題になるのはやむを得ないことだろう。 サイバーセキュリティ担当相は政府のサイバーセキュリティ戦略本部副本部長を務めることになっている。この本部はサイバーセキュリティ戦略の立案と実施の推進、対策基準の作成や評価の実施などを担当しており、担当相の役割はかなり重い。 今やサイバーセキュリティは国家の安全保障にかかわる問題でもあり、年末に予定されている防衛大綱の見直しでも大きな柱の1つになっている。そんな重要な課題を、パソコンをいじったことのない人物が担うというのはそうとうおかしなことである』、この問題は海外のマスコミでも取上げられ、とんだ国辱となった。
・『池田勇人氏、経済原理を強調しすぎた(?)発言  政治家はしゃべることが仕事のようなもので、失言はつきものだ。そして、「図らずも任命された」結果、「大過」を免れることができなかった閣僚も数多い。しかし、政治家の失言を振り返ると、必ずしもその閣僚が見識を欠いていたためとは言い切れないケースも多い。時代とともに性格を変えてきた政治家の失言を振り返ってみる(以下、肩書は当時のもの)。 衆院の解散・総選挙につながった吉田茂首相(在任:1946~1954年)の「バカヤロー」発言はあまりにも有名だ。 池田勇人首相(在任:1960~1964)も閣僚時代に何度か失言して辞任に追い込まれている。 蔵相時代の1950年、国会で「所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うという経済の原則に沿ったほうへ持って行きたい」と答弁し、翌日、「貧乏人は麦を食え」という見出しで報じられた。 通産相のときには「闇その他の、正常な経済原則によらぬことをやっている方がおられた場合、それが倒産し、倒産から思い余って自殺するようなことがあっても、お気の毒でございますが、やむをえないということははっきり申し上げます」と言い切ってしまった。 いずれも健全な市場経済が望ましいということを強調しているのだが、社会的弱者に対する配慮に欠けていた。結局、後者の発言で閣僚辞任に追い込まれてしまった。池田氏は「私は正直すぎたのだ。政治家になれない性質かもしれない」と語っている。 池田氏のような確信犯的な失言は少なくない。特にタカ派議員による共産党批判や戦前の植民地支配や侵略行為などを正当化する発言では、これが目立つ。 私の経験で最も強烈なのは、衆院予算委員長の浜田幸一氏だ。1988年2月、衆院予算委員会の終了間際に、共産党議員の質問を遮り委員長席から突然、「私は堂々と真実を言っている。宮本顕治君は人を殺した」などと共産党批判を展開した(宮本氏は当時、日本共産党議長)。委員会室が大混乱に陥ったのは言うまでもないが、翌日から国会全体がストップしてしまった。 浜田氏は数日間、国会に来ると委員長室に終日、閉じこもってしまった。野党が求める謝罪も辞任も拒否し続けた。最後は自民党の安倍晋太郎幹事長の説得に応じて辞任したが、その間、数十人の記者らに取り囲まれながら国会内を歩く浜田氏の形相には、人を寄せ付けないすさまじい迫力があった。幹事長の安倍氏でさえ「浜田氏には困った。どうしようもない」と頭を抱えていたことを覚えている』、こうした信念に基づいた失言は、「骨」がある証拠で、それなりに理解できる。
・『タカ派閣僚の問題発言、ハト派政権下で特に激化  自民党タカ派の代表的衆院議員だった奥野誠亮氏と藤尾正行氏も強面(こわもて)という意味では浜田氏に匹敵していた。 奥野氏は国土庁長官だった1988年5月、国会で「東京裁判は勝者が敗者に加えた懲罰だ」「あの当時、日本にはそういう(侵略の)意図はなかったと考えている」と発言して閣僚を辞任した。私も憲法問題を取材したとき奥野氏に「そういう考えを法匪(ほうひ)と言うんだ」と怒鳴られた経験がある。 藤尾氏も近寄りがたい空気を発散していた政治家だ。中曽根康弘内閣で文相を務めていた1986年、月刊誌のインタビューで、日韓併合について「韓国側にもいくらかの責任なり考えるべき点はあると思う」などと発言した。藤尾氏は首相官邸から辞表提出を求められたが拒み続けたため、中曽根首相は罷免に踏み切らざるをえなかった。 この3人のような場合、単なる失言というより思想的確信犯と言ったほうがいいだろう。 タカ派閣僚の問題発言は、1990年代半ばに村山富市政権などハト派政権が続くと頻度を増した。 羽田孜政権が発足した1994年5月、永野茂門法相が毎日新聞のインタビューで太平洋戦争を「侵略戦争という定義づけは、今でも間違っていると思う」「戦争目的そのものは当時としては基本的に許される正当なものだった」と発言した。さらに「南京事件というのは、あれ、でっち上げだと思う」とも語った。さすがに大問題となり、就任後、わずか11日で辞任した。 村山政権になると、まず1994年8月に桜井新・環境庁長官が記者会見で「日本も侵略戦争をしようと思って戦ったのではなかった」「あんまりなんか日本だけが圧倒的に悪いことをしたというような考え方で取り組むべきではない」と語り、やはり辞任した。 1995年の8月には島村宜伸文相が就任直後の記者会見で「(先の戦争が)侵略戦争じゃないかというのは、考え方の問題ですから、侵略のやり合いが戦争じゃないですか。(中略)これをいつまでもほじくってやっていることが果たして賢明なやり方なのかなと」と発言した。島村氏の場合、「就任時の説明は誤解を生じたのでこれを撤回する」という談話を公表し、辞任は免れた。 同じ1995年の11月には江藤隆美総務庁長官が記者とのオフレコの懇談で、「植民地時代に日本は韓国にいいこともした」と発言した。これを韓国メディアが報じたことで、一気に外交問題に発展した。オフレコだったこともあり江藤氏は当初、発言を認めず辞任も拒否していたが、結局は辞めざるをえなかった。 問題になることを覚悟のうえで発言している奥野氏や藤尾氏に比べると、桜井氏や江藤氏は後先をあまり考えず言いたいことをつい言ってしまい、それが外交問題化して慌てて撤回したり、閣僚を辞任したという印象が否めない』、歴史問題については、いくら「骨」があっても、外交問題に発展しかねないだけに、やはり閣僚発言としてはマズイだろう。
・『2000年代には政治家の失言も一気に軽薄に  そして2000年代になると失言が一気に軽くなっていく。 森喜朗首相は、話し上手という特技が災いとなった。首相に就任して間もない2000年5月に神道政治連盟国会議員懇談会で「日本の国はまさに天皇を中心とする神の国である」と語り、6月には総選挙の遊説先で有権者の投票態度について、「まだ投票先を決めていない人が40%ぐらいいる。そのまま選挙に関心がないといって寝てしまってくれれば、いいんですけれども、そうはいかない」と述べた。 いずれも聴衆へのリップサービスだったのだろうが、受け狙いでは済まない民主主義の根幹に触れる内容で、マスコミに厳しく批判された。 なぜか東日本大震災の復興を担当する閣僚の失言が続いた。 2011年7月3日に松本龍担当相が宮城県庁で知事と会ったとき、応接室で数分間、待たされたことに腹を立て「お客さんが来るときは、自分が入ってからお客さんを呼べ」と激怒。さらに記者団の前で、「九州の人間だから、何市がどこの県とかわからん」とか「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持て」などと問題発言を連発し、あっさりと辞任した。 2017年4月には今村雅弘復興相が東日本大震災について「これはまだ東北で、あっちのほうだったからよかった。もっと首都圏に近かったりすると、莫大な甚大な被害があったと思う」と講演で発言し、やはり辞任した。 このほか第1次安倍内閣では、事務所費問題を追及されていた松岡利勝農水相が政治資金の使途を聞かれて答弁に窮し、「光熱水費には、何とか還元水とか、そういったようなものに使っています」と答弁した。「何とか還元水」は一時、流行語にもなった。一方、松岡氏はその後、議員宿舎で自殺した。 また久間章生防衛庁長官も講演で「原爆が落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという、頭の整理で今、しょうがないなというふうに思っている」と発言し、やはり辞任した。 これらに共通しているのは、ごく普通の一般市民でも発言しないであろう非常識な内容という点である。 では失言の質の変化は国会議員の質が低下していることを示しているのだろうか。必ずしもそうではないだろう。昔も今も不勉強で非常識な議員はいた。 しかし、冷戦時代の自民党と社会党など野党は、憲法改正や自衛隊などイデオロギー的な問題が戦闘正面だった。これらについて閣僚の発言に問題があると失言として取り上げ、政治的対決の材料としていた。 一方、政策に関する専門的な質問は、かつては閣僚に代わって各省幹部が政府委員として答弁していた。予算委員会では首相とともに外務省や大蔵省、防衛庁の局長が頻繁に答弁に立っていた。当然、失言は出てこないから、伴食大臣といえども揚げ足は取られないで済んだ。 ところが1990年代に政治主導が叫ばれると、国会審議での答弁も閣僚ら政治家が行うべきであるとして政府委員が廃止された。官僚が閣僚に代わって答弁したり、それを補うことが難しくなったため、小泉純一郎首相は能力のある政治家を一本釣りする組閣を行って話題になった』、確かに、最近の失言は、緊張感・世間の常識を欠いた「お粗末」としか言いようがないものが増えたようだ。
・『秦野章氏の政治家の本質を言い当てた発言  以後の首相も答弁能力のある議員を優先して閣僚に起用し、長く使うようになった。そうなると自民党内に当選回数を重ねたにもかかわらず入閣できない議員が増えていく。その数は数十人に上るといわれる。 彼らの不満は募り、放っておくと政権批判につながりかねない。安倍首相の今回の内閣改造は未入閣者を多く起用した点に特徴がある。つまり「図らずも任命された」大臣の復活だ。当然、まともに国会答弁できるのかというリスクを伴う。桜田氏の失言はその一端であり、後に続く閣僚が出ないとは言い切れないだろう。 最後にもう1つ、「失言」を紹介する。1983年10月、田中角栄元首相がロッキード事件で逮捕され一審で有罪判決が出た後、田中氏を擁護する立場の秦野章法相が雑誌のインタビューに答えた発言だ。 「政治家に古典道徳の正直や清潔などの徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれというのに等しい」 まったくの開き直りだが、政治家の本質をついているようで、思わずニヤリとしてしまう』、「在庫一掃内閣」である以上、新人閣僚の失言がある程度出ることは、安倍首相も覚悟していただろうが、それでもここまで酷いとは恐れ入る。それを徹底追及できない野党もだらしない。やれやれ。

次に、11月22日付けデイリー新潮「片山大臣にさらなる疑惑 暴力団との“密接交際者”から事務所無償提供、秘書給与肩代わり」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/11141700/?all=1
・『“国税への口利き”疑惑、収支報告書の記載漏れなどが取り沙汰される片山さつき地方創生大臣(59)に、新たな問題が。ヤクザと組み産廃処理場を乗っ取った人物を後援会会長に据え、その会長から事務所の無償提供を受け、秘書給与を肩代わりしてもらう“ヤミ献金”を受けていた疑いがあるのだ。 2013年に発足した片山大臣の後援会組織「山桜会(さんおうかい)」の会長は、宮城県で立体駐車場経営を行う企業のオーナーである。こちらの「山桜会」は記載漏れが指摘されている同名の資金管理団体とは別組織で、主に地方の企業経営者が集められ設立された。 その会長が暴力団と手を組み乗っ取ったのは、仙台市近郊にあった「竹の内産廃」。負債を抱えた建設会社から相談を持ちかけられた会長は、産廃部門を独立させ、自身が紹介した金融業者に所有権を移すよう建設会社に“助言”したという。 「それが騙しの手口で、竹の内産廃は乗っ取られてしまうのです」(関係者) 98年には、暴力団組長とグルになった会長が経営権を握ることに。以降、この産廃には不法な投棄が相次ぎ、致死量を上回る硫化水素ガスが検出されるなど社会問題化する。産廃の社長と暴力団組長の側近らが廃棄物処理法違反で04年に逮捕されるも、山桜会会長は捜査の手を免れた』、暴力団が乗っ取った産廃業者らしい悪質極まる行為だが、「山桜会会長は捜査の手を免れた」背後に片山議員の働きかけはなかったのだろうか。
・『そんないわくつきの後援会会長から、片山大臣は二つの“恩恵”を受けていた疑惑がある。ひとつは、会長が経営する会社の大阪支店に置かれた、片山大臣の「後援会事務所」をめぐるもの。ここには、3年ほど前に片山事務所に入ったという関西担当の女性秘書が詰めているが、片山大臣のどの収支報告書にも、山桜会会長の会社に対し家賃を支払っている記載がない。 「資金管理団体の事務所として機能し、そのうえで、その収支報告書に家賃が計上されていないのなら政治資金規正法違反です」(神戸学院大の上脇博之教授) また16年分の収支報告書を見ても、人件費として計上されている金額と片山事務所に籍を置く私設秘書の人数が一致しない。件の女性秘書の給与は、山桜会会長に肩代わりしてもらっている疑惑があるのだ。 週刊新潮の直撃取材に当の女性秘書は応じなかったが、その翌朝、大阪支店の郵便受けにあった「片山さつき後援会事務所」のシールが剥がされていた。 片山大臣は、「(大阪支店は)郵便物のみ受け取っていただいている単なる連絡先です。関西担当の秘書はボランティアで活動して頂いているため、給与は生じておりません」と説明するのだが……』、片山大臣と後援会会長の関係は、どうやらズブズブのようだ。片山大臣としては、疑惑に対する説明責任を果たしてもらいたい。

第三に、政治ジャーナリストの泉 宏氏が12月8日付け東洋経済オンラインに寄稿した「安倍政権を年明けも悩ます片山・桜田エラー 参院選へ向けた「時限爆弾」にも」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/254063
・『10日の臨時国会会期末を前に、外国人労働者の受け入れ拡大を目的とする出入国管理・難民認定法(入管難民法)改正をめぐって、野党は「生煮え」との批判を展開している。重要な改正法案審議での与野党激突の陰に隠れる形で、召集直後から「口利き疑惑」や「珍妙答弁」で集中砲火を浴び続けてきた片山さつき地方創生相と桜田義孝五輪担当相の「閣僚の資質」問題も"継続審議"となった。 10月下旬以来1カ月半余の臨時国会での与野党攻防で、終盤まで炎上し続けた「片山・桜田」劇場だが、「閣僚辞任という最悪の結末は避けられた」(自民国対)ことで、安倍晋三首相ら政府与党首脳は安どしているとされる。ただ、片山、桜田両氏の「強烈な個性」もあって、年明けからの通常国会でも疑惑拡大や不規則発言などで“再炎上”する可能性は大きい。来年は12年に1度の統一地方選と参院選が重なる「選挙イヤー」だけに、片山、桜田両氏の言動は「政権運営の時限爆弾」として、年明け以降も首相を悩ますことになりそうだ。 臨時国会序盤での「片山・桜田答弁の“ハチャメチャぶり”」(自民国対)に、与党内にも早期更迭論は浮上した。しかし、片山氏の「疑惑」への野党の追及は決定打に欠け、桜田氏の「お粗末極まる」答弁も致命傷にはならなかったことに加え、「年明けまで泳がせて、通常国会で攻撃を続けるほうが効果的」(立憲民主幹部)との野党側の思惑もあって、「いったん幕引き」(同)となったのが実情とされる』、野党は徹底追及を戦術的に先延ばしたらしいが、思惑通り通常国会で攻め切れるのだろうか。
・『窮余の名誉棄損訴訟でしのいだ片山氏  首相が「全員野球内閣」と胸を張った10月2日発足の第4次安倍改造内閣での唯一の女性で「目玉閣僚」として注目された片山氏だが、閣僚就任を狙い定めたような「文春砲」と呼ばれる『週刊文春』の暴露記事で、臨時国会直前から大炎上した。指摘された「国税庁口利きで100万円」という疑惑が事実なら、あっせん収賄にもなりかねない重大スキャンダルだったからだ。 しかも、文春が「振り込み要求」のコピーや当事者とのやり取りとされる「音声データ」も公開したことで、片山氏は就任早々「絶体絶命のピンチ」(自民国対)に追い込まれた。しかし、片山氏は記事内容を「まったくの虚偽」として、すかさず発行元の文芸春秋社を名誉棄損で提訴し、国会での追及にも「係争中」を理由に事実関係の説明を拒み続けた。 さらに、各週刊誌などが続報として相次いで取り上げた片山氏の政治資金収支報告書の記載漏れ問題も、片山氏は厚顔無恥ともみえる「謝罪する」「訂正した」の繰り返し答弁でしのぎ、野党側が「自前の追及材料を発掘できなかった」(自民国対)こともあって、決定的事態には至らないまま時間ばかりが経過した。 当初は与党内にも、「放置していると事態はより深刻化しかねない。早く(辞任で)決着をつけるべきだ」(自民国対)との声があったが、片山氏が直接担当する法案もなかったため、「国会混乱の責任」というお定まりの更迭理由もつけにくく、首相も任命権者だけに、「与えられた職務をしっかり果たしてもらいたい」と擁護せざるを得なかった』、名誉棄損での提訴は確かに当面、説明責任を逃れられるが、それはあくまで一時的な筈だ。
・『国辱との批判にも「有名になった」と桜田氏  一方、国会審議が始まってから、片山氏以上のお騒がせ閣僚となったのが桜田氏だ。参院審議で立憲民主の蓮舫副代表から五輪の基本理念などを聞かれても「頓珍漢な答弁」(蓮舫氏)を繰り返し、しかも、質問者の名前を「レンポ―さん」などと間違って失笑を買い、与党内からも「人の名前を正確に呼ぶのは人間の基本だ。注意してほしい」(斎藤鉄夫公明幹事長)など苦言が相次いだ。 桜田氏が五輪担当との兼務で所管することになった改正サイバーセキュリティ基本法の審議でも、桜田氏は「普段からパソコンは使用しない」「(USBメモリーは)穴を(に)入れるらしいが細かいことは分からない」などと平然として答弁し、世界各国のメデイアが「ありえない」「システムエラー」などと面白おかしく書き立て、野党側も「国辱だ」といきり立った。 しかし、桜田氏は「そんなに私の名前が世界に知られたのか。いいか悪いかは別として、有名になったんじゃないか」とどこ吹く風で、担当閣僚としての資質を問われても「いろんな能力を総結集して、ジャッジするのが私の仕事。判断力は、私は抜群だと思っている」などと開き直った。 さらに桜田氏は、今月改定の「防衛大綱」に絡む質疑でも、自らの所管と絡むサイバー空間での防衛力強化について「防衛に関することは国防省だ」と省名まで間違えて答弁して野党から「閣僚どころか政治家としての見識や資質に欠ける」(国民民主幹部)と攻め立てられ、民放テレビのワイドショーでも「失言・放言閣僚」として大きく取り上げられる状況が続いた。 ただ、「資質に欠けるかどうかは客観的な指標がない」(自民幹部)ことに加え、桜田氏所管のサイバー基本法も会期末前にすんなり成立したため、野党の追及も"尻切れトンボ”に終わった。 2012年暮れの第2次安倍政権発足以来、組閣・改造人事のたびに「問題閣僚」の追及で国会が混乱し、事態打開のための辞任・更迭劇が繰り返されてきた。とくに、2014年秋の臨時国会では、同年9月発足の第2次安倍改造内閣の人事で首相が抜擢した小渕優子経済産業相と松島みどり法相が、政治資金スキャンダルなどで就任から1カ月半余で辞任に追い込まれた経緯もある。このため、今回も永田町では「片山、桜田両氏も臨時国会中の辞任は避けられない」(閣僚経験者)との見方が少なくなかった。 しかし、臨時国会終盤の与野党攻防は、「事実上の移民法」とされる入管難民法が最大の対決案件となり、「片山・桜田劇場は観客の飽きもあって、優先順位が落ちた」(立憲民主幹部)のが実態だ。しかも、会期末直前までもつれ込んだ入管難民法をめぐる攻防も、有力紙のコラムで「お定まりの“激突ショー”」と揶揄されたように、「野党側にも本気度が欠けていた」(自民長老)ことで、片山・桜田問題の決着は年明け以降に持ち越しとなった。 ただ、片山氏の隠れ蓑となってきた名誉棄損訴訟は12月3日の第1回口頭弁論で文春側が争う姿勢を示し、年明けからの審理で「黒白がつけられる」(関係者)ことになった。片山氏側の泣き所とされる「音声データ」ついて、片山氏は「自分の声かどうか判断できない」などと同氏と大蔵省(現財務省)同期入省で、今春にセクハラ問題で辞任した福田淳一前財務事務次官の真似のような答弁をした。だが、今後の審理に絡んで声紋鑑定などで真偽が明らかになる可能性が大きい。 来年1月中旬から続開となる名誉棄損訴訟の審理の過程で、片山氏が国会で否定した「疑惑」が「事実」と認定されれば、一気に進退問題に発展することは避けられない。このため、首相にとっても、片山氏が「政権運営の時限爆弾」(自民長老)であることに変わりはないわけだ』、名誉棄損訴訟の審理の結果が、「時限爆弾」の爆発となることを期待したい。
・『参院選に向け、政権へのボディ―ブローにも  一方、桜田氏についても「まともに答弁できない」ことへの国民の不信感は根強いとされる。同氏の過去の「暴言・失言・迷言」もメディアの好餌となっており、与党内でも「通常国会での予算委審議は長丁場なので、官僚が作った答弁メモの棒読みだけでは乗り切れるはずがない」(自民国対)との指摘もある。 しかも、年明けには2020年東京五輪・パラリンピックの準備も大詰めを迎えるだけに、担当閣僚の桜田氏が国会対応に追われれば、「オールジャパンで進める準備作業の障害になる」(東京都幹部)ことも避けられない。 こうしてみると、「野党の腰砕けと、閣僚としての追及慣れもあって、臨時国会はなんとか逃げ切れた」(自民国対)とされる片山、桜田両氏だが、現状では来年の通常国会でも改めて野党の標的となり、国会混乱の火種となる可能性は否定できない。 首相周辺では「2人のお騒がせ大臣のおかげで、首相の泣き所の“もり・かけ疑惑”はほとんど追及されずに済んだ」(周辺)とほくそ笑む向きもあるが、与党内には「通常国会でもこんな状況が続けば、参院選に向けて安倍政権のボディブローになる」(自民幹部)との不安は隠せない』、片山氏は裁判結果が待っているが、桜田氏にももっと突っ込んで追求して、ボロを出させて欲しいものだ。“もり・かけ疑惑”も、野党にはもっと地道な調査で追及材料を掘り出してもらいたいものだ。

第四に、上記と同じ泉 宏氏が12月15日付け東洋経済オンラインに寄稿した「次の質問どうぞ、河野外相「傲慢答弁」の波紋 しぼむ期待、「ポスト安倍」は石破氏が有利に」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/255447
・『「ポスト安倍」を目指すとされる河野太郎外相の記者会見での対応が、国会だけでなくメディアでも炎上している。 河野氏は2017年8月に外相に抜擢されて以来、超ハイペースの外国訪問と政界でも有数とされる語学力で、近い将来の総理総裁候補としての存在感をアピールしてきた。しかし、ここにきて、安倍晋三首相が早期合意への意欲をみなぎらせる日ロ交渉をめぐり、河野氏の国会答弁や記者会見での問答無用の態度が、「傲慢の極み」(立憲民主党)などと野党や一部メディアの批判にさらされている。 河野氏はもともと、自民党内の「異端児」として知られ、自らのブログ「ごまめの歯ぎしり」でも、政府与党の方針を厳しく批判することが多かった。しかし、外相に就任すると人が変わったように持論を封印したことで「大人になった」との評価も得た』、テレビのニュースで紹介された河野大臣の答弁は確かに「傲慢の極み」そのものだった。
・『党内外で噴出する外相批判  ただ、自民党の行政改革推進本部「無駄撲滅プロジェクト」の推進役だった河野氏が、国会質疑や外相記者会見で「無駄な質問には答えない」という、無駄嫌いの性格を丸出しにしたことで、党内外から「狭量で、トップリーダーとしての資質に欠ける」との批判が噴出した。来るべきポスト安倍レースへの障害ともなりかねない。 時ならぬ「河野批判」の発生源となったのが12月11日午後の外相定例会見だった。首相が意欲を示す北方領土返還と日ロ平和条約締結交渉にからめて、ロシア外相が「日本が第2次大戦の結果を認めることが第一歩だ」とけん制したことについて問われると、「次の質問どうぞ」とだけ返す回答を4回も繰り返した。業を煮やした記者団が「公の場での質問にそういう答弁をするのは適切ではない」と難詰しても、「交渉に向けての環境をしっかりと整えたい」と、表情も変えずにかわした。 世界に発信される外相会見だけに、外交交渉への影響を考慮するのも当然だが、「『答えられない』とさえ回答せずにスル―するのはほとんど例がない」(閣僚経験者)。それだけに、大手紙やテレビ、ネットで大きな話題となった。 ロシアとの平和条約交渉で交渉責任者を務める河野氏は、臨時国会の質疑でも首相と歩調を合わせる形で「(自らの発言が)交渉に影響を与えることが十分に考えられるので、政府の立場を申し上げるのを控える」などと繰り返し、野党から「説明拒否だ」と批判されていた。外務省記者クラブは11日夕、外相宛ての「国民に対する説明責任を果たしているのかどうか、疑問を禁じ得ない。誠実な会見対応を求める」とする異例の申入れ文書を提出し、河野氏が「神妙に受け止めます」とのコメントを出す騒ぎとなった。 近年、永田町では事あるごとに政治とメデイアの関係が話題となるが、「答えたくない質問は一切無視」という河野氏の対応は「極めてまれな事態で、国民の知る権利の軽視ともみえる」(外交評論家)との批判が相次ぐ。河野氏の後見人とされる当選同期の菅義偉官房長官は記者会見で「(河野氏のことには)コメントしない」とかわしたが、与党内にも「記者の背後には国民がいるのに、『答えないのは分かっているだろう』という態度は傲慢としか受け止められず、政府の外交交渉への国民不信も拡大させかねない」(外相経験者)との苦言が相次いでいる。 この「次の質問どうぞ」騒動の前日に閉幕した臨時国会では、「移民政策への大転換」ともみられる改正出入国管理法を与党が強引な手法で成立させた。野党から「具体的内容がまったくないスカスカの法律で、政府もまったく説明しない」(立憲民主幹部)と激しく批判されたばかり。それだけに、自民党内にも「時間をかけて議論し、野党だけでなく幅広く国民の理解を求めるという本来の民主主義のルールが軽視されている」(自民長老)との危機感が出ている』、今回の対ロシア交渉は、四島返還にこだわってきたこれまでの政府を、事実上の二島返還に一変させるものだけに、突っ込まれたくないという気持ちはそれなりに理解できるとはいえ、交渉当事者の大臣である以上、もっと丁寧な答弁をすべきだった。
・『持論を曲げない「自民党の変人」  河野氏は首相とも並ぶ政界でも有数の「政治家ファミリー」の一員。父親は外相や官房長官を歴任した河野洋平元衆院議長、祖父は河野一郎元建設相で、文字通りの「名門3代目の政界エリート」というわけだ。ただ、自民党を飛び出して新自由クラブを結成した若き日の父・洋平氏と同様、政界入り後は「持論を曲げず、独自行動をおそれない」という行動もあって「自民党の変人」とされてきた。 とくに、行政改革がライフワークで、自民党の「無駄撲滅プロジェクト」のリーダーとして各省庁の行政の実態に斬り込み、民主党政権下の「事業仕分け」の原点となった。ただ、自ら「無駄の典型」と縮減を要求してきた外務省の一部予算について、外相に就任すると「間違っていた」と姿勢を転換した。他の先進国や中国の外相のように有事即応で外交交渉に臨むために必要として外相専用機の購入を求めて反発を買う場面もあった。「まさに君子豹変」(自民若手)なわけだ。 一方、こうした変身が永田町では「政治家としての幅が広がった」と評価され、菅官房長官らが河野氏を「ポスト安倍の有力候補」と後押しすることにつながった。過去に総裁選出馬の経験をもつ河野氏も、外相就任以来、「いつかは総裁に挑戦する」と意欲を隠さない。河野氏は、父・洋平氏の側近だった麻生太郎副総理兼外相の率いる麻生派に所属しており、麻生氏は河野氏の政治資金パーティで「間違いなく将来が期待されるが、一般常識に欠けている」とあいさつ。「あなたがそれを言うか」(麻生派幹部)との爆笑が会場を包んだ一幕もあった。 ただ、首相に忖度したような最近の河野氏の言動に「ゴマすり専門の“ヒラメ政治家”のようで、幻滅した」(自民若手)との不信感も広がる。河野氏に期待してきたベテラン議員からも「小泉純一郎元首相の様に、変人を貫く潔さが人気の秘密だったのに、これでは単なる権力志向の政治家にしか見えない」(有力議員)との声が出始めている。 政界で河野氏は「超合理主義者」で知られている。「時間の無駄」「お金の無駄」などの理由で、政治家同士や省庁幹部との昼食時の打ち合わせなどでも「ほとんどハンバーガーで済ませていた」との伝説も残している。麻生氏の冗談もそこを突いたわけだが、そのこと自体が「旧来の自民党政治家らしくない河野氏の行動が、地元有権者だけでなく、多くの国民の期待につながってきた」(麻生派幹部)ことも事実だ。 首相が9月の自民党総裁選で3選を果たして以来、政界ではポスト安倍レースが大きな話題となっている。今回の騒動を受けて、「党内での河野氏に対する期待度も低下する」(竹下派幹部)との見方が広がる。政界関係者の間では「総裁選不出馬で『戦わない男』と評価を下げた岸田文雄政調会長のあとを追うように、河野氏への期待もしぼむ」(同)との声も出始めた。「このままでは、我が道を行く石破茂元幹事長がポスト安倍で相対的に有利になってくる」(石破派若手)との観測にもつながる』、私も河野氏には期待していただけに、大臣になってから、「ゴマすり専門の“ヒラメ政治家”のようで、幻滅した」は同感である。
・『日ロ交渉が河野氏の「災い」に  今年の新語・流行語大賞のトップテンの中で、政界関連で選ばれたのは「ご飯論法」だった。「朝ご飯を食べたか」との質問に「(パンを食べたのでご飯は)食べていない」とはぐらかすことで、「政治家が質問に対して論点をずらしたりごまかしたりする」ことへの揶揄でもある。外交の機微に触れることを聞かれて「次の質問どうぞ」とスルーする河野氏の応答ぶりは、河野氏自身がかねてから行政改革に絡めて情報公開の必要性を訴えてきたこともあり、「余計な質問は時間の無駄、という上から目線にしかみえない」(国民民主幹部)との批判は免れそうもない。 父・洋平氏は、河野氏の外相としての活動ぶりについて問われた際、「息子のことは一切論評したくない」と苦々しげに答えたとされる。今年の漢字に「災」が選ばれると、ネットでは流行語大賞の年間大賞となった「そだねー!」という書き込みがあふれた。その際、首相は「自分の今年の漢字」を問われると、従来の状況を一転させつつある自らの日ロ交渉に絡めて「転」を挙げたが、河野氏にとっては自身の「転」(姿勢転換)が、ポスト安倍レースでの「災」につながっているようにもみえる』、安倍の指示で事実上の二島返還交渉を主導させられる河野氏の立場は、まさに「災」だろう。
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