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米中対立(経済戦争)(その6)(習近平のメンツをつぶした華為ショックの余波 逮捕の背後に垣間見える米国の意図とは、ファーウェイの足を引っ張っているのは 本当は誰か、中国が米国との関係修復で歩み寄る決断をした3つの理由) [世界情勢]

米中対立(経済戦争)については、12月6日に取上げた。今日は、(その6)(習近平のメンツをつぶした華為ショックの余波 逮捕の背後に垣間見える米国の意図とは、ファーウェイの足を引っ張っているのは 本当は誰か、中国が米国との関係修復で歩み寄る決断をした3つの理由)である。なお、タイトルの( )内は「通商問題等」から広がってきたため、変更した。

先ずは、元産経新聞北京支局員でジャーナリストの福島 香織氏が12月12日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「習近平のメンツをつぶした華為ショックの余波 逮捕の背後に垣間見える米国の意図とは」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/121000190/?P=1
・『米中首脳会談の裏側で進行していた中国最大手通信技術メーカー・華為技術の副会長兼CFO(最高財務責任者)孟晩舟の逮捕で、米中貿易戦争が一時休戦かという期待は完全に裏切られた。90日の猶予を得るために妥協に妥協を重ねた中国・国家主席の習近平は大いにメンツをつぶされ、世界の株式市場では中国関連株が総崩れ。米大統領ドナルド・トランプはホワイトハウスを通じて、首脳会談中に孟晩舟が逮捕されたことは知らなかったと公表し、カナダ首相のトルドーも政治的干渉はない、としているが、本当だろうか。ロイターによれば大統領補佐官(国家安全保障担当)のボルトンは事前に司法当局から聞いて知っていたらしい。ボルトンが知っていてトランプが知らないなんてことがあるだろうか。とすると、このタイミングで孟晩舟の逮捕に踏み切った米国側の狙いは? 華為ショックの背後に垣間見える米国の意図と、米中関係の今後の展開を読んでみたい』、孟晩舟氏はその後、保釈にはなったが、カナダ国内に留め置かれている。
・『カナダ司法当局は12月5日、華為の副会長でCFOの孟晩舟を米国の要請で逮捕したと発表した。5日付けのカナダ紙グローブ&メールの特ダネを受けての公表だった。逮捕日は12月1日、つまりアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われた米中首脳会談で、米国が来年1月1日に実施予定の中国製輸入品2000億ドル分に対する追加関税引き上げを90日猶予するということで合意したと発表された日だ。世界市場はこれで米中貿易戦争はひとまず休戦と胸をなでおろしたのだが、その裏側で米国は習近平を追いつめる最高の切り札を切っていたわけだ。 逮捕容疑は孟晩舟本人の要請もあって当初公表されなかった。米国は孟晩舟の身柄の引き渡しをカナダ政府に求めているが、カナダの中国大使館は「これは人権侵害だ!」と強烈な抗議声明を即日発表。中国外交部は「カナダであれ米国であれ、彼女が両国の法律に違反している証拠はいまだ中国側に提示されていない」として、即時釈放と孟晩舟の合法的権利を守るように要請している。 7日に行われた保釈審理では、孟晩舟は華為の香港の子会社を通じて、米国のイラン制裁に違反したという。これまでの報道を総合すると、少なくとも130万ユーロのヒューレットパッカード製技術を使用したコンピューター設備をイランのモバイルテレコミュニケーション(MCI)に販売した容疑があり、このとき制裁違反を隠すためにアメリカの金融機関に虚偽の報告を行った詐欺容疑を検察側は主張している。孟晩舟は2008年2月から2009年4月までその子会社の取締役を務めており、孟晩舟が指示を出していたと見られている。 華為とイランとの関係については、米国当局は2016年からZTE(中興、中国大手スマホメーカー)とともに商務当局が調査を開始。今年4月から華為に対しては、刑事捜査が始まっていた。米国がイランとの関係正常化に向けた交渉の中で、米国の制裁期間中、イランと交易した中国企業リストの提出を要求したところ、華為、ZTEの名前が出てきたのが調査開始のきっかけという。 米国は先にZTEに対して米国企業に対ZTE禁輸令を出すなどして締めあげた。ZTEから得た内部報告の中に、ZTEのライバルである華為が北朝鮮やイランに対しての秘密貿易の詳細があったことで、孟晩舟の刑事捜査に入ったようだ。12月1日の米中首脳会談でも、トランプは華為の刑事捜査の件を習近平に話して、その譲歩を迫ったという話もある。 トランプが華為の刑事捜査をちらつかせ習近平に圧力をかけながら、クアルコムのNXP買収を承認させたり、自動車関税撤廃を認めさせたりするなどの譲歩を引き出し、あたかも90日の猶予をやるという態度を見せながら、素知らぬ顔で華為のCFOを逮捕したというのなら、さすがトランプ、人が悪い。しかもフィナンシャルタイムズによれば、習近平は米中首脳会談の時点で、孟晩舟逮捕の件は知っていたという。孟晩舟の逮捕の決定的証拠であるイラン企業との取引記録を提供したのはHSBCと言われているが、HSBCから習近平サイドに事前連絡を行っていたとみられている。ただ習近平はこのとき、華為の件についてトランプに切り出していない』、HSBCは英国・香港を中心にグローバル展開する大手銀行であるが、米国当局のみならず、中国側にも事前連絡したとは、トラブル回避に最大限の神経を使う国際的銀行らしい動きだ。
・『華為発展に解放軍、国家安全部の関与  だが孟晩舟逮捕は、貿易戦争そのものよりも習近平政権にとって致命傷になりうる。華為は普通の企業ではないし、孟晩舟は並の幹部ではないからだ。 華為について、少しおさらいしておこう。創始者にしてCEOの任正非は解放軍の化学繊維工場の技術兵出身。退役後、同じ解放軍出身の仲間とともに1988年に華為公司を創立して総裁となった。90年代の無線通信業界に参入、当時はまだライバルもほとんどなく、また解放軍の資金提供と後押しもあり、瞬く間にIT企業の雄に躍り出る。2003年にはネット民が選ぶ中国IT重大人物の一人に選ばれ、2005年には米タイム誌が選ぶ世界に影響を与える100人に選ばれた。2011年にはフォーブス誌の中国人長者番付92位に入った。 華為の発展と解放軍や国家安全部の関与は疑う余地がない。華為は民間企業ではあるが、解放軍から無償で技術提供を受けることで発展、資金も解放軍筋から流れているとみられている。また任正非自身、華為を創立する前に国家安全部で任務に就いていた経歴があったといわれている。華為と解放軍は長期合作プロジェクトをいくつも調印しており、中国の軍事技術開発を目的に創られた企業といっても過言ではない。私の知人が香港のスマートフォン部品企業に勤めているとき、華為との商談には解放軍中将クラスが同席していたという話も聞いた。 そういう解放軍を背景にした企業だが、表向きの顔は民営の多国籍企業としてインドやストックホルム、米国に次々と研究開発センターを創設し、海外の優秀な技術者を集めまくり、シーメンスやモトローラなど海外の大手技術企業とも合資合弁会社をつくりまくり、2005年には中国国内での売り上げより海外での売り上げが多くなった。2008年にはモバイル設備市場世界シェア3位、モバイルブロードバンド商品累計出荷額世界シェア1位、国際特許出願数も首位に。2018年現在、スマホ出荷量でアップルを抜き世界シェア2位。さらに2019年から各国で商用サービスが本格化する5G網構築の主導権を米企業クアルコムなどと争い、その結果次第では中国が次世代の通信覇権を奪うことになる。さらに2017年の年間売り上げ925億ドル、売り上げの10%以上を研究開発費に向け、最近ではAI向け高性能チップ開発にも成功、量産を開始し、米企業の牙城に切り込もうとしている。一言で言えば習近平政権が国家戦略の一つとして掲げる「中国製造2025」の中心をなす通信技術、AIのイノベーションを支える基幹企業であり、同時に解放軍の情報戦やサイバー戦を支える技術開発の先鋒(せんぽう)である。逆に言えば、華為をつぶせば中国の通信覇権の野望を砕き、米国の国家安全を脅かす中国のサイバー戦、情報戦を抑え込むことが容易になる。 米国が華為を恐れるのは単に強力なライバルというだけではない。華為製品を通じてスパイウェアやマルウェアが政府の中枢システムに入り込み、軍事技術窃取や盗聴、時限的にサイバー攻撃などを仕掛けるのではないかという危惧がある。2008年以降、華為の米国企業への投資を対米外国投資委員会はことごとく拒否してきた。2012年、米上院議会は華為、ZTEの商品が中国の諜報活動に便宜を図っているとして1年の調査ののち、市場から排除するよう警告。トランプ政権になってからは、自国市場で華為、ZTE製品を排除するだけでなく、米軍基地などが置かれている同盟国でも中国通信機器・設備の排除を呼び掛けている。オーストラリア、ニュージーランド、英国に続いて、孟晩舟逮捕後に日本も政府調達から中国通信機器メーカーを外すことを決定した』、「5G網構築の主導権を米企業クアルコムなどと争い」ほどの最先端企業に成長したとは、国家の後押しがあったにせよ、大したものだ。
・『習近平は孟逮捕の情報を知っていた?  さて、孟晩舟はその華為帝国のナンバー2、任正非の長女である。彼女は任正非が別れた妻の娘なので、当初は親子関係は社内でも秘密であったという。受付や事務仕事の下積みをやったのち、華中科技大学院で修士号を取得、その後、実務で頭角を現し、任正非の娘であることが明らかにされた。実力、人望、血統申し分なく、任正非の長男、任平の頭越しに、任正非の後継者と目されている。任正非は年内にも正式に引退を表明して孟晩舟にCEOの座を譲るのではないか、という噂もあった。つまり米国は、華為の次期トップ潰しをやった。これは対中交渉の材料として揺さぶりをかけるというようなかわいいものではない。華為の息の音を止めるつもりでやっているように見える。 さて、注目されるのは習近平政権の対応だ。これだけ激しくメンツをつぶされれば、怒り心頭で米中首脳会談での合意は反故にするのかと思いきや、貿易戦争と華為事件を関連付けた公式コメントはない。識者たちにも、米中の合意を損なうようなコメントをするなと通達が出ているようだ。ニューヨークタイムズの分析では、習近平は米中関係安定を優先させつつ、軍部や保守派、人民の間で急激に高まる反米感情を鎮めねばならないという、厳しい状況の板挟みにある、という。 習近平は首脳会談時点で孟晩舟逮捕の情報を知っていて、トランプの求める妥協に応じたわけだから、この時点で孟晩舟のことは見捨てて米中合意を優先させた、という見方もある。任正非および華為が江沢民派で江沢民ファミリーや曽慶紅ファミリーの資金洗浄なども負ってきたホワイトグローブ企業であることは公然の秘密ともいえ、習近平はむしろ米国を利用して華為をいったんつぶし再建する過程で、華為が牛耳る通信利権を江沢民・曽慶紅派から奪うつもりでいるという話もある』、「任正非および華為が江沢民派で江沢民ファミリーや曽慶紅ファミリーの資金洗浄なども負ってきたホワイトグローブ企業である」というのは初耳だ。「習近平はむしろ米国を利用して華為をいったんつぶし再建する過程で、華為が牛耳る通信利権を江沢民・曽慶紅派から奪うつもりでいる」というのは、裏読みにせよ、習近平はなかなかしたたかなようだ。
・『最後に生き残るのはどっちだ  だが、習近平政権は国内向けには「戦でもって戦を止める(以戦止戦)」といった勇ましい発言を繰り返しており、こうした米国のあからさまな「宣戦」に弱腰でいれば、民族的英雄企業でもある華為の次期トップが逮捕されたことへ中国人民の怒りはいつ米国から習近平政権に向かうかわからない。目下、一部の人民の間ではアップル製品を叩き壊すなどのパフォーマンスや米貨排斥を叫ぶ声や、報復にボーイングやレイセオンの幹部を中国で禁じている台湾への武器供与を行ったという理由で逮捕してはどうか、といった意見まで出ている。華為のバックに解放軍があることを思えば、軍権の掌握に腐心する習近平としてはふがいない所を見せたままでは済まないかもしれない。そう考えると、習近平が今見せている忍耐や思惑も、どこかの時点で暴走する心配もあるわけだ』、習近平のお手並み拝見だ。
・『一方で、今回の逮捕劇がトランプ政権内部の権力闘争によるものだという見方も完全には排除されていない。トランプは本当に孟晩舟逮捕計画を知らされておらず、ディープステート集団やCIAが米中首脳会談の合意を妨害するためにことを進めたという説だ。このタイミングでの孟晩舟逮捕は貿易戦争休戦を御破算にするだけでなく、中国市場進出の米国企業株が軒並みに打撃を受け、その悪影響は日本を含む世界経済にも波及しうる。 いまだ四中全会が開かれていない中国共産党内部では習近平派およびアンチ習近平派の権力闘争が激化し、対米政策の失敗を理由に習近平を失脚させようという動きもある。いくつもの不確定要素が重なりあって米中対立の末に、最後に生き残るのは習近平なのか、トランプなのか、あるいは世界中が混乱と停滞の時代に突入することになるのか。これは共産党の体制内学者でも米国政府系シンクタンクのアナリストでも、なかなか予測のつかない展開といえそうだ。 この容疑が事実なら米国に引き渡されれば、最悪30年の懲役刑もありうるらしい。カナダ司法当局は逃亡の恐れありとして保釈に反対している。保釈されるとすれば彼女の中国・香港パスポートの放棄など12項目の条件を満たすことと1400万カナダドルの保釈金が必要。孟晩舟の弁護士は彼女が4人の子供の母親であること、高血圧や睡眠窒息症など健康上に問題があることなどを前面に出して保釈を勝ち取りたいようだ。華為側は孟晩舟が違法行為に関与しているとは考えていないとの見解を示している』、孟晩舟氏は前述の通り、その後、一応保釈されたようだが、今後の展開から目が離せないようだ。

次に、早稲田大学大学院経営管理研究科教授の長内 厚氏が12月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「ファーウェイの足を引っ張っているのは、本当は誰か」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/188750
・『5Gの覇者に最も近いファーウェイ 副会長の逮捕は何をもたらすか  中国の通信機器メーカーであるファーウェイ(Huawei/華為技術)の社名は、もともと格安スマホユーザーの間では「定番スマホ」として知られる存在だった。昨今のカナダ当局による同社・孟晩舟副会長の逮捕(後、保釈)と、日本政府のファーウェイ排除に関する発言によって、日本でも広く知られるようになった。 ファーウェイはスマートフォン端末市場において、韓国サムスン電子に次ぐ第2位の地位にあると共に、通信インフラ(基地局設備)においてもエリクソン、ノキアに並ぶトップメーカーである。 携帯電話市場において端末と基地局の両方を押さえるは、製品開発戦略上、とても大きな意味を持つ。携帯電話は端末と基地局が相互に通信をし合うことで通話やデータ通信が行われるが、基地局を越えて移動しても途切れることなく通信が継続する必要がある。国や地域を超えても、提携先(ローミング先)の異なる携帯電話キャリアのネットワークにもきちんと接続されなければならない。 こうした相互接続性のことをインターオペラビリティといい、携帯電話端末の開発では、インターオペラビリティを確保するための接続試験(インターオペラビリティテスト)も重要となる。基地局設備は3G(第3世代)や4Gといった各世代の通信規格が標準化されているので、基本的な仕様はキャリアが異なっても共通であるが、全く同一というわけではない。 国やキャリアによってそれぞれ方言のように細部の仕様が異なっているので、どこでも携帯電話が繋がるためには、それぞれの方言に対応できるように準備しておかなければならない。 ゆえに当然のこととして、基地局と端末の両方のノウハウの蓄積があるメーカーの方が、機器開発のコストやリードタイムの面で有利になる。過去にも、モトローラやノキアなどが基地局設備の事業を持つことで、端末市場でも有利にビジネスを行ってきた経験がある。近く実用化される5Gでは、そのポジションに一番近いのがファーウェイと言える』、携帯電話市場において端末と基地局の両方を押さえているファーウェイの強みが理解できた。
・『ファーウェイは技術力もコスト体力もある。しかし、通信機器はプライバシーが守られることが重要であり、それはひいては国の安全保障にも関わる。機能的に優れていて価格が安ければそれでいい、ということにはならないのである。 米国や日本は、ファーウェイの機器からの情報漏洩の危険性を懸念し、同社の設備の規制を打ち出している。ファーウエイ規制の真の目的は、中国企業の経済的な競争力を削ぐことだと見る向きもある。 確かに、ファーウェイの機器からの情報漏洩の具体的な事案が発生したわけではない。ファーウェイは世界中に開発やビジネスの拠点を持つグローバル企業であり、一政府の手先機関ではないと考えるのも、合理的かもしれない』、しかし、中国政府は最近、中国の通信・IT企業に対し、情報提供義務を課したようだ。
・『ファーウェイの足を引っ張るのは中国政府ではないのか  しかし、中国政府がインターネットなどの通信の監視、規制を強めている現状や、ファーウェイ孟副会長の逮捕に対する報復と思われても仕方がないようなタイミングでの中国政府によるカナダ人の拘束などを行えば行うほど、プライバシーや安全保障への懸念が強まることも、また事実であろう。 BtoBの世界の取引は、常にシビアに合理的に行われているように思われがちだが、そこにも情緒的な価値は存在する。それは、企業に対する信頼や安心といった期待である。日本や欧米の通信機器メーカーのビジネスにおいて、情報漏洩や安全保障上の懸念が持ち上がらないのも、自由と民主主義を背景に通信の秘密を守ってきた歴史があり、それが信頼や安心といった情緒的な価値をつくり上げてきたからである。 ファーウェイが、今後世界の通信業界の盟主になるために必要なことは、技術でも資金でもなく、顧客に対していかに信頼や安心を提供できるかということにかかっている。その意味で、ファーウェイの足を引っ張るのは規制を打ち出した米国や日本ではなく、中国政府であると言えるかもしれない』、その通りだろう。
・『日本にとっても依存関係に 共存共栄のバランスが重要  ただ、ファーウェイを抑え込んで、その成長を止めればいいということでもない。ファーウェイのビジネスは、日本の産業にとっても大きな影響が予想される。 携帯端末メーカーとしてのファーウェイは、日本の電子デバイスの大口優良顧客でもある。ファーウエイの端末は中国製であるが、その中に使われているイメージセンサーやバッテリー、液晶パネルなどの主要部品の多くは、日本メーカーが供給している。これはファーウエイと並んで規制対象とされるZTEについても同じ状況である。 現代のエレクトロニクス産業は高度に分業が進み、国を超えた相互依存関係が成り立っている。中国が弱くなれば日本が有利になるという単純な話ではなく、うまく共存共栄のバランスをとらなければ、日本メーカーにとっても打撃となる。 また、通信インフラについても、最大手メーカーの交換機を導入できないということになれば、当然、携帯電話キャリアにとって設備投資のコストは増加することになる。現在の4Gの設備を強化しながら、5Gの設備導入も行う。同時に携帯電話料金の値下げを進めていくとなれば、携帯電話キャリアの負担が大きくなる。 通信インフラは日本の経済、産業を支える基盤でもあり、そのインフラのコストが高くなるということは、日本の産業全体の競争力を弱めかねない。とはいえ、国の安全保障や個人の権利の保障を犠牲にしてまで設備投資のコストを抑えるというのは、リスクが高すぎるだろう。 結局のところ、中国の自由主義経済と民主主義の確立を促すよう圧力を強めることが、日本経済にとって得策なのかもしれない』、日本の電子部品メーカーや携帯電話キャリアにとっては、確かに大きな影響がありそうだ。こうした意味でも、今後の動向は大いに注目される。

第三に、国際コラムニストの加藤嘉一氏が12月18日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「中国が米国との関係修復で歩み寄る決断をした3つの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/188746
・『中国と米国の関係は1月1日に向けて修復へ向かう?  「それでも我々は1月1日に向けて中米関係をなんとか修復しようとするだろう」 米国と中国が繰り広げる最近の攻防を眺めながら、両国間で貿易戦争が勃発して(7月6日)約50日がたった盛夏の北京で、中国外交部の局長級幹部が筆者にこう語っていたのを思い出した。 来年の1月1日、米中は国交正常化40周年を迎える。その政治体制や民族性から、儀式を重んじるのが中国共産党や中国人民だと感じさせられてきたが、米中貿易戦争が現実的に勃発してしまい、互いに応酬を繰り広げるなかで事態は構造的に長期化・泥沼化するのだろう。 筆者のそんな考えを伝えると、同幹部は「貿易戦争は米中間の戦略的競争関係の一部にすぎない」という観点から同調しつつも、冒頭のコメントを残してきた。 儀式を重んじるという形式上の動機以外に、政策的な意味合いも込められているように思われる。中国にとって、今年40周年を迎えた改革開放の歴史とは、まさに米国との関係を構築し、発展させる過程にほかならなかった。 その意味で、対米関係の悪化はすなわち改革開放の失策に等しいといえる』、「来年の1月1日、米中は国交正常化40周年を迎える」ことは、いまや殆ど報道もされないので、失念していたが、両国はどうするのだろう。
・『中国外交部のプレスリリースに見る米中首脳会談の「良好な雰囲気」観  中国共産党が改革開放40周年を祝うプロセスには、2019年1月1日に米中国交正常化40周年を良好な雰囲気の下で迎えて初めてピリオドが打たれる──。 習近平国家主席は、記念日からちょうど1ヵ月前にアルゼンチンで実施された米中首脳会談にそういう心境で臨んだのかもしれない。 「米中双方が経済貿易の分野で、いくぶんの意見や立場の相違が存在するのは完全に正常なことである。大切なのは相互に尊重し、平等で互恵的な精神にのっとって適切に摩擦を管理すること、その上で、双方が共に受け入れられる解決の方法を探し当てることである」 習近平は会談でトランプ大統領に対してこう切り出し、「新たなラウンドの改革開放プロセス、および国内市場と人民の需要に基づいて市場を開放し、輸入を拡大し、中米経済貿易関連の問題の緩和に尽力していきたい」と寄り添った。 中国外交部のプレスリリースには、習近平がトランプや同政権を批判、牽制する内容は見られず、かつ両首脳が満面の笑みで楽しそうに握手をしている写真が使われていた。 筆者から見て、この事実こそが、中国側が対中関係を改善させたい立場を米国側、中国国内、そして国際社会に対して訴えたいと現段階で考えている状況証拠である。「良好な中米関係は両国人民の根本的な利益に符合するし、国際社会の普遍的期待でもある」(習近平)。 同リリースが、トランプが習近平に対して「米国は中国の学生が米国に留学に来るのを歓迎する」と語ったことを記載していた事実も、中国当局として貿易戦争が勃発して以来、米国への留学を不安視する自国の若者やその家族をなだめるべく奔走している現状が見受けられるのである』、確かに中国側の対米対応は、信じられないほど低姿勢だ。
・『中国側の前向きなコメントは焦燥感がにじみ出ている  今回の会談を経て、米中両首脳はいったん課税の応酬を棚上げすることで合意し、米国側は90日間の“猶予”を中国側に与えることを通達した。 中国側はこの間に農産物やエネルギーといった分野で米国からの輸入を拡大するなどして、3月1日に第3弾(2000億ドル)の課税率が10%から25%に上げられないように、そして最大規模とされる第4弾(2670億ドル)が実施されないように米国側に歩み寄ろうとするであろう。 王毅国務委員兼外相は会談後記者団に対して「両国首脳は友好的で率直な雰囲気の中で2時間半にわたって深い交流を行った。予定していた時間を大幅に上回った。貿易問題に関する議論は前向きで、建設的だった。今回の会談で得た合意は、今後一定期間における中米関係に方向性を示した」と語った。 国内向けのアピールであろうが、仮に3月1日の段階でトランプ政権が中国側の歩み寄りに満足せず、再び中国製品に対して大々的な課税措置を取ってくるリスクが存在するにもかかわらず、ここまで前向きなコメントを残したあたりに、中国側の焦燥感がにじみ出ているように筆者には見受けられた。 中国側が米国側に歩み寄ろうとしている立場と心境がより鮮明に露呈されていたのが、商務部記者会見における高峰報道官(12月6日、北京)の声明文である。少し長くなるが、重要な根拠だと考えられるため3段落分引用する。 「中米両国の経済貿易問題における利益は高度に重なり合っており、天然的に補完し合う構造的需要を擁している。双方のチームは現在順調に意思疎通を行っており、協力関係も良好である。我々は90日以内に合意に至ることに充分な自信を持っている」「中国側としてはまずは農産品、エネルギー、自動車などから着手し、双方が合意に至った具体的事項を着実に実施していきたいと考えている。その後、今後90日間において、明確なタイムテーブルとロードマップに基づいて、双方の利益、共同の需要に符合する知的財産権の保護、技術協力、市場開放、および貿易均衡などの課題を巡って協議をし、合意の形成に尽力していきたい」「中国側としてはこれらの課題を巡って米国側と相互に尊重し、平等で互恵的な協議を行い、両国企業のためにより良いビジネス環境を創造していきたい。これからの90日間で、中米双方はすべての追加課税を取り消すことを最終目標に協議をしていくつもりである」 今年に入って以来、貿易戦争を巡って米国を悪者にし、被害者意識を至るところでむき出しにし、「正義は我にあり」というスタンスで国内外に訴えてきた中国当局から出てきた言葉とはにわかに信じがたかった』、中国側の最近の姿勢は卑屈とさえ思えるほどだ。
・『中国はなぜここにきて米国側に歩み寄ろうとしたのか  なぜここにきて、習近平自らがトランプと友好的な会談に臨むことを通じて、中国側は米国側に歩み寄ろうとしたのだろうか。 筆者は習近平の脳裏には3つの懸念が交錯してきたと考えている。本連載でも随時扱ってきたが、ここで端的に総括してみたい。 (1)景気の下振れと市場心理の悪化が懸念される経済への懸念(経済的懸念) (2)米国との関係悪化が習近平の権力基盤を侵食することへの懸念(政治的懸念) (3)米中国交正常化40周年を円満に迎えられず、祝えないことへの懸念(外交的懸念) この3つの懸念から、ここに来て中国共産党指導部として一定の妥協もやむを得ないという立場で、米国側に歩み寄る意思決定をしたというのが筆者の現段階における分析である。 前向きな雰囲気の中で米中首脳の接触が進んでいるまさにそのとき、またしても不安要素が米中関係を襲うことになる。華為技術(ファーウェイ)の創設者・任正非氏の実娘・孟晩舟副会長兼CFOがカナダのバンクーバーの空港で拘束された事件である。 12月8日、楽玉成・外交部副部長(次官級)がカナダ駐中大使を外交部に呼び出し厳重抗議。「米国の要求に応じるという理由で中国国民を拘留し、中国国民の合法的、正当な権益を侵犯した」カナダ当局のやり方を「極めて悪劣」なものとし、「直ちに釈放することを強烈に促す。さもなければそれが必然的に招く深刻な代償、すべての責任をカナダ側が払うことになるだろう」と半ば脅迫に近い表現で圧力をかけた』、(3)はもはやあきらめたのだろうか。
・『2人のカナダ人の拘束は中国側の報復措置か  12月10日、元カナダ外交官を含む2人のカナダ人が中国の国家安全に危害を与えたとしてそれぞれ北京市と遼寧省丹東市の国家安全局によって「法に基づいて強制措置が取られた」(陸慷・中国外交部報道局長、12月13日)。 孟氏拘束に対する報復措置とも取れるタイミングであった。 その後、バンクーバーの裁判所は孟氏の保釈を条件付きで認める決定を下したが、中国で国家安全局によって拘束されている2人のカナダ人の動向を含め、まだまだ予断を許さない状況が続くであろう。 12月14日には中国の盧沙野・駐カナダ大使が現地紙に寄稿し、「今回の事件は単純な司法案件ではなく、たくらみのある政治的行動である。米国が国家権力を動員し、一中国ハイテク企業を政治的に抹殺しようとした」と指摘。 カナダ側が米国の根拠なき要求に屈し、司法の独立を守らなかったと批判した。中国当局は孟氏拘束の背後には米国の影が作用し、「“国家安全”という装いをもって中国企業を抑え込み、中国の発展を阻害するもの」(盧大使)という揺るがない解釈と立場を抱いているようだ。 筆者が眺める限り、官民問わず、中国はますます米国を信用しなくなっている・・・』、米国側を非難できないので、代わりにカナダがあたかもサンドバックになっているようだ。
・『カナダが陥っている苦境は日本にとってもひとごとではない  一方で、前述したように、中国として米国との関係を修復しなければならない現状は変わっておらず、中国当局もその方向性で1日1日、そして3月1日に向けて米国側と「落としどころ」を探っていくものと筆者は捉えている。 12月11日午前、米国との経済貿易関係を統括する劉鶴・国務院副総理が米国側のムニューシン財務長官、ライトハイザー通商代表と電話会談し、協商の進め方について意見交換をした。これを受けて、高峰商務部報道官は「中米双方は細かい部分の協商に関して密接な意思疎通を保持し、進展は順調である。我々は米国側が訪中し話し合うことを歓迎するし、訪米して話し合うことにも開放的な態度を保持している」とコメントしている(12月13日、商務部記者会見)。 昨今における中国側の歩み寄る姿勢は、往々にして米国や西側国家に対して強硬的な論調を展開することで知られる「環球時報」が12月10日の社説で「中国は米国側に圧力をかけるけれども、孟晩舟がいるのはカナダの勾留所である。米国が裏でどれだけの作用を働かせているとしても、孟に対して直接的に手を動かしたのはカナダである。問題解決のための主戦場はカナダにほかならない」と主張している点にも如実に反映されている。 昨今の背景、一連の事件を通じて、カナダは米中の間に挟まれる形で実質スケープゴート化していると言っても過言ではない。 同じ米国の同盟国として、米中2大国の狭間で生存・発展空間を見いだしていく状況にあるアジア太平洋国家として、日本にとってもひとごとでは決してないだろう。 カナダが陥っている苦境に目を凝らし、そこから「教訓」をくみ取るべきであることは言うまでもない』、仮に孟晩舟氏が来日した場合でも、対米追随の安倍政権は米国が圧力をかけるまでもなく、要請に応じていただろう。その意味ではラッキーだったのだろう。
・いずれにしろ、米中経済戦争は越年しそうだ。
タグ:日経ビジネスオンライン 米中首脳会談 ダイヤモンド・オンライン 加藤嘉一 米中対立 長内 厚 福島 香織 (経済戦争) (その6)(習近平のメンツをつぶした華為ショックの余波 逮捕の背後に垣間見える米国の意図とは、ファーウェイの足を引っ張っているのは 本当は誰か、中国が米国との関係修復で歩み寄る決断をした3つの理由) 「習近平のメンツをつぶした華為ショックの余波 逮捕の背後に垣間見える米国の意図とは」 華為技術の副会長兼CFO(最高財務責任者)孟晩舟の逮捕 中国製輸入品2000億ドル分に対する追加関税引き上げを90日猶予するということで合意 華為発展に解放軍、国家安全部の関与 習近平は孟逮捕の情報を知っていた? 任正非および華為が江沢民派で江沢民ファミリーや曽慶紅ファミリーの資金洗浄なども負ってきたホワイトグローブ企業であることは公然の秘密 習近平はむしろ米国を利用して華為をいったんつぶし再建する過程で、華為が牛耳る通信利権を江沢民・曽慶紅派から奪うつもりでいるという話も 習近平が今見せている忍耐や思惑も、どこかの時点で暴走する心配もある トランプ政権内部の権力闘争によるものだという見方も 「ファーウェイの足を引っ張っているのは、本当は誰か」 5Gの覇者に最も近いファーウェイ 副会長の逮捕は何をもたらすか ファーウェイの足を引っ張るのは中国政府ではないのか 中国政府がインターネットなどの通信の監視、規制を強めている 日本にとっても依存関係に 共存共栄のバランスが重要 「中国が米国との関係修復で歩み寄る決断をした3つの理由」 来年の1月1日、米中は国交正常化40周年を迎える 中国外交部のプレスリリースに見る米中首脳会談の「良好な雰囲気」観 中国側の前向きなコメントは焦燥感がにじみ出ている 中国はなぜここにきて米国側に歩み寄ろうとしたのか 景気の下振れと市場心理の悪化が懸念される経済への懸念(経済的懸念) 米国との関係悪化が習近平の権力基盤を侵食することへの懸念(政治的懸念) 米中国交正常化40周年を円満に迎えられず、祝えないことへの懸念(外交的懸念) 2人のカナダ人の拘束は中国側の報復措置か カナダが陥っている苦境は日本にとってもひとごとではない
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