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人生論(その2)(人生の諸問題@NBOファイナル その3:偏差値70の高校野球選手は大学に行くべきか?、その4:“超絶技巧タックル”に学ぶわれらの諸問題) [人生]

1日に続いて、人生論(その2)(人生の諸問題@NBOファイナル その3:偏差値70の高校野球選手は大学に行くべきか?、その4:“超絶技巧タックル”に学ぶわれらの諸問題)を取上げよう。

先ずは、昨年12月27日付け日経ビジネスオンラインが掲載した電通を経て独立した岡 康道氏と、コラムニストの小田嶋 隆氏を基本とした対談を、フリージャーナリストの清野 由美氏が聞き手として取りまとめた「人生の諸問題@NBOファイナル その3:偏差値70の高校野球選手は大学に行くべきか?」を紹介しよう。ーーは聞き手。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/134215/121900018/
・『ーー第2回からの続きです。「日経ビジネスオンライン」連載での最後のシーズンとなったのに、全4回のうちの2回を雑談で使ってしまいました。今回からは気を取り直して、「2018年を振り返る」の本題に入りたいと思います。 小田嶋:年末の話題で言えば、相撲協会と貴乃花(貴乃花 光司氏)ですかね。 岡:そうそう、貴乃花ね。 小田嶋:貴乃花はね、俺、これ、蛮勇を振るって、勇気を振り絞って言い切るけど……あの人、まずいよね。 全員:うーーん。(と、小田嶋さんの蛮勇に感嘆) 小田嶋:この先、彼は誰かが歯止めを掛けないといけない。人気のある人だから、国政選挙に出る線も濃いと思うんだけど、そもそも相撲協会的にすごく扱いに困っていたでしょう。それでも、一定の支持者が付いちゃっているから、それを無視できない。貴乃花で商売しようとしている層が出現しちゃっている。 岡:ある種、何かの星みたいなところに行っているよね。純粋だから、かえって始末に負えない。 小田嶋:純粋という言い方も何だけれども、言葉を言葉通りにしか解釈できないとか、文脈が分からないとか、そういう感じがすごくあって。 岡:そもそも相撲界って、中学を卒業したぐらいから入門するから、社会経験がゼロみたいな人たちだらけなんですよね。 小田嶋:そうそう。 岡:しかも、ほら、先代の貴乃花の息子ということは、要は大金持ちの相撲エリートで中卒だから、社会のことはほぼ1ミリも分かっていないはずです。 小田嶋:いわゆる「電車の切符を買ったことがない」というタイプなのかもしれない。なおかつ相撲協会の仕組みというのは、現役時代をそのまま反映しているということで、社会とか世間とかとは、とんでもない断絶が普通になっている世界。現役時代に番付1枚上が、絶対的に上だというのはいいんですよ。 岡:だから、そこは美しい猿山だよね(前回参照)。みんな、栄養がよくて、肌がつやつやしているし。 小田嶋:その猿山社会が、そのまんま協会の理事長や理事に横滑りするんですよ。大横綱だった人が理事長、大関が理事って具合に、番付そのままにマネジメント機関の地位が決まっていく。あいつは前頭止まりだったから、理事はここまででしょうと、全部連動しているんですよ』、相撲界をめぐる問題は、このブログでは、2月14日、10月17日でも「日本のスポーツ界」として取上げた。昨年は、その他のスポーツ界でも不祥事が頻発したが、やはり冒頭に相撲界が取り上げられるだけの酷さだった。
・『現役トップは競技団体トップに向くか?  岡:現役時代に一番強かった人が、協会で一番偉くなるというのは、これはほかの競技団体ではあまりないですね。 小田嶋:実は競技でトップに立っちゃう人というのは、ある意味、視野の狭い人ですからね。それこそ、余人の追随を許さぬほど、その道に精進したわけだから。 岡:そういう人は、そりゃマネジメントには向いていないですよ。 小田嶋:サッカーやバスケでは、名監督になった名選手は、ほぼいないです。だいたい補欠だったりした人が、後に名監督と呼ばれたりするようになる。 岡:例外が、王貞治さん。王さんみたいな人格者で、周りも見える一流選手で、一流監督というのは、王さん以外はいなかった。 小田嶋:王さんは超例外ですね。だいたい張本さんとか、ああなっちゃう。一番典型的なのは……。 岡:カネやん(笑)。 小田嶋:そう、カネやん。カネやんというのは、いい人で、面白い人だけど、マネジメントができる人じゃない。 岡:カネやんには無理だよ、そりゃ。 小田嶋:だけどカネやんみたいな人がトップに立っちゃうのが、相撲協会の体質なわけだよ。野球はいろいろ悪口を言われているけど、一応外部のコミッショナーを置くとか、あるいは企業のトップの人間との交流があるとか、球団社長がいて、監督がいて、コミッショナーがいて、GMがいてという指揮系統はそれなりに敷いている。 岡:まあ、混乱はしているけど、一応はそういうものがある。 小田嶋:その意味で、まるっきりのピラミッドじゃないわけです。一方で、相撲協会はああなっちゃっていますからね。 岡:すごいよね、あれ。 小田嶋:あれ、ひどいです。その中で貴乃花という人は、一種純粋すぎるというのか何というのか、融通がきかなすぎる。だから彼をめぐる騒動では、貴乃花も相撲協会も、どっちも味方できない感があったじゃないですか。 岡:どっちもどっち感があったね。 小田嶋:貴乃花は、モンゴルから相撲を取り戻せみたいなことを、いろいろなところで漏らしているけれど、あれはちょっと民族偏見が混じっている感が、どうしても漂うのね。言いたいことは分かるんだけど、白鵬だとかあの辺のモンゴルの連中が、日本の相撲を悪くしているという見方は、どちらかというと偏見で、それに乗っかっちゃっているネトウヨが結構いる。 岡:うーん。 --相撲はこのくらいにして、岡さんお得意のプロ野球に行きましょうか。 岡:そう、プロ野球と言えばドラフトだよ。ドラフト会議には、今年も行きましたよ。 --出ましたね、関係者枠』、相撲協会のガバナンスの酷さはスポーツ界でも突出しているが、「その猿山社会が、そのまんま協会の理事長や理事に横滑りするんですよ」であれば当然の結果だ。それなのに、スポーツ庁はどうも「お咎め」なしで済ませようとしているのも酷い話だ。
・『有名高校選手がそろってプロへ  小田嶋:すっかりDeNAの関係者として定着したね。 岡:そうです。横浜DeNAベイスターズのユニフォームのデザインをしている人間として。今年一番びっくりしたのは、甲子園で活躍した有名な高校生選手が、全員プロに行くことを選択したことですね。 小田嶋:ああ、確かに。 岡:去年の清宮幸太郎君以来、大学進学の価値がどんどん下がってきているんだな、と、ちょっとショックを覚えた。 小田嶋:高校生が日本のプロ野球に行くときは、その先にメジャーを見ている様子も増えたね。 岡:それもある。メジャーを見ているから、大学なんか行かないで、早くプロ入りをして力を付けた方がいい。なんといっても、大谷の成功例もあるしね。大阪桐蔭の藤原恭大、根尾昴、ピッチャーの柿木蓮、報徳の小園海斗、金足農業の吉田輝星君と、全員プロに行きましたからね。 小田嶋:さーっと名前が出てくるね。 ーーすごい。プロですね。 小田嶋:ドラフト解説の番組ができる。 岡:その中で驚いたのは、あれほど有名になった金足農業の吉田選手を、1位で指名した球団は、外れ1位の日ハムだけだったということです。だって準優勝投手だよ、彼は。しかもマスクもいい。それなのに、あとの11球団は見送ったというのは、これはなぜだろうという。 小田嶋:スカウトの目とメディアの目は違う、ということかな。 岡:スカウトもおそらくは吉田投手に斎藤佑樹の幻影を見たと思うんですよ。つまり、投げ過ぎの肩を心配したというより、すでに投手人生のピークを過ぎたんじゃないかということですよね。 小田嶋:高校ピークで、伸びしろがいかがなものか、と』、金足農業の吉田選手には、今後も大きく成長してスカウトの目をあかしてほしいものだ。
・『日ハム的には元が取れる  岡:でも、その中で、日ハムだけは別なんですよ。なぜなら斎藤佑樹を自分たちで獲得して、一流の投手にはならなかったけれど、観客動員は十分だし、うちら、ビジネスとして成功したでしょうと。 小田嶋:斎藤佑樹は鎌ケ谷のファイターズスタジアムの二軍のエースで、あそこにすごくお客が来ているから、たぶんは日ハム的には十分、元は取っています。だからあれは失敗じゃないよ、と。日ハムって、異常にくじ運がいいことも含めて、ちょっとそういう球団だよね。 岡:そもそも大谷も採っていれば、中田翔も採っているし、あと、ダルビッシュ有も採っている。すごいよね、このくじ運。 小田嶋:それで選手を上手にブランディングして、ポスティングで外に出して、莫大な金を得る。 岡:吉田投手と投げ合って勝った、大阪桐蔭のエース柿木も、日ハムは4位で指名しているんだよ。だから、甲子園で投げ合った2人という、すごい華やかなドラフトのラインナップになっている。これって、どちらかが育てばいいや、ということでしょう。まあ、これはまったくの僕の予測だけど。 小田嶋:いや、もうプロスカウトの目だよね(笑)』、日ハムはくじ運の良さだけでなく、戦略的にも優れているようだ。
・『岡:僕、ちょっと吉田君が気になったのは、試合前と試合の後に、センターに向かって刀を抜くポーズとか、刀をしまうポーズをやっていたでしょう。仲間と合図し合ってね。かわいいんだけど、子どもか、と。そのメンタルで、プロで投げられるのか、と、スカウトの目としてはそういう懸念はあった。 小田嶋:なるほど。そうすると、根尾オシになるわけか。 岡:そうなのよ。 小田嶋:根尾は、これまた大人ですからね。 岡:両親とお兄さんがお医者さんなので、周囲が恐れたのは、彼が野球は高校までと言って、医学部を受けるんじゃないかということだった。 小田嶋:勉強の方も偏差値が70いくつかで、医学部に行っても全然不思議はないという話だったね。 岡:だから根尾が対戦相手に出てきたら嫌だな、というのはあるよね。まあ、僕たちと対戦するわけはないんだけど(笑)。彼は中学のときはスキーの選手で、全日本で優勝して、日本代表としてイタリアで試合をしているんだよね。 小田嶋:頭のよさにしても、インタビューを聞いていたら別ものだものね。 岡:だから、日大の宮川選手の系譜なんです。根尾はいずれ、どういう形であれ、日本の野球界でマネジメント側に立って、全体を背負うんじゃないかと、18歳にして感じさせる。彼にとってはもう、医者になる以外は、大学に行くことの意味も、たぶんないんじゃないかな。 小田嶋:それは、今の世代ならではの話に思えるね。 岡:ああいう選手は、昔は6大学の早慶でやっていたんだけどね』、根尾がそんな凄い素質に恵まれた選手というのを、初めて知った。
・『素質に恵まれていて、勉強もできるのに  小田嶋:それのもう少し極端な例を言うと、江川の例になるんだろうな。 岡:確かに。 小田嶋:江川は、どういう育ち方をしたのかちょっと微妙なんだけど、ものすごい素質を持っていたことは絶対に確か。しかも、頭がそこそこいい。そこが彼の場合は裏目に出たんだけど、もしかしたら世界一かもしれない肩が自分に付いている。この肩を持った自分なら、慶應に入れるはずだ、と目標設定を間違えてしまった。 岡:早稲田にしておけば、絶対に通ったと思うんだけどね。 小田嶋:慶應は早稲田と違って、スポーツ枠がなかったからね。しかも、江川があまりにも注目され、全共闘が不正入試を許すのかと騒いだもんだから、大学としては江川を採る道がまったくなくなってしまった。 岡:それ、全共闘より、江川を選んでいた方が全然よかったのにね。 小田嶋:江川は作新学院でも、勉強の成績がよくて、野球をやらないで勉強1本に絞れば一般入試でも慶應に行けたかもしれないんだよ。でも、野球で行けるんだからといって野球を頑張ったら、野球じゃ慶應は入れない、ということになって、希望を裏切られたわけです。それで彼は法政に進学したんだけれど、慶應に入れなかったことが生涯のコンプレックスになった。新聞記者が江川の許にやってくると、「君、どこの大学?」というのが第一声だったというからね。 岡:新聞記者なんか問題にならないぐらいすごい肩があるのに、その肩にプライドを持つんじゃなくて、慶應に入れなかったことにコンプレックスを持つというのは、ちょっと気の毒なねじれだよね。 小田嶋:大学を出ておかなきゃ格好がつかないよ、という価値観が、我々の世代のころは、スポーツ選手でもまだまだ根強かった。 岡:阪神の監督なんて、大卒しか認めなかったからね。だから岡田はなったけど、掛布はなれなかったでしょう。 小田嶋:サッカー協会だって、早稲田なりを出てないとだめで、奥寺とか尾崎とか、高卒で一流だった選手は、協会じゃ偉くなれない。そういう時代がずっとありました。 岡:その中で、王さんは例外だった。 小田嶋:王さんは、いろいろな意味で例外』、江川が慶應に入れなかった一因に全共闘が出てきたのには驚いた。「大学を出ておかなきゃ格好がつかないよ、という価値観」はもう消え去ったのだろうか。
・『「ムラさん、あれは……」  岡:まあ、王さんだったら別に、それこそ早実から早稲田大学なんかは普通に行けたから。今、6大学野球がそれほど人気がなくなっちゃったでしょう。昔はプロ野球よりも、6大学野球の方が全然上だったのに。 小田嶋:そうそう、うちのおやじぐらいの世代の人たちは6大学野球を大好きだった人たちで、その流れで早稲田が大好きだった。だって、長嶋がプロに入ったことで、プロの地位がちょっと上がったと言われたぐらいだったからね。で、天覧試合を境に、マーケットが6大学からプロへと、逆転していったんだよね。 岡:1959年の巨人―阪神の天覧試合ね。長嶋が、天皇の退出時間の3分前にホームランを打って、試合を見事に終わらせたんだよね。でも投手の村山実は、死ぬまであれはファウルだと言い続けたんだよね。 小田嶋:その村山の霊前で、ミスターが手向けた言葉が「ムラさん、あれはホームランだったからね」という。そういう、ちょっと笑えるエピソードがいろいろあるところが、ミスターのすごいところなわけだけど。 岡:そうそう。昔はさ……。 --……と、だらだらと話は尽きませんが、紙幅の方はそろそろ尽きてきました。(次回、いよいよ最終回の大団円に続きます)』、「昔はプロ野球よりも、6大学野球の方が全然上だった」というのは初めて知った。確かに昔は6大学野球がマスコミによく取上げられていたようだ。

次に、この続きを12月28日付け日経ビジネスオンライン「人生の諸問題@NBOファイナル その4:“超絶技巧タックル”に学ぶわれらの諸問題」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/134215/122000020/
・『ーーいよいよ「人生の諸問題」の区切りの最終回となりました。前回からの続きです。みんなで2018年を振り返っています。2018年といえば、平昌冬季オリンピック・パラリンピックから幕が開き、そこからサッカーのワールドカップが続きました。前回は相撲と野球の話で終始してしまいましたが、スポーツ好きのお二人には、いろいろ話したいことがいっぱいあった年だったと思います。 岡:平昌冬季五輪って、今年だったんだ。 (ガクッ) 小田嶋:いや、もう、なんか、遠い。この間、流行語大賞で、「そだねー」という言葉が受賞していたけど、俺は5年前の流行だった、みたいな感覚で聞いた。 岡:昔は広告のコピーでも、2~3年はもっていたものだけど、最近は1年前、半年前がすごい昔に感じられるようになって、コピー自体も一瞬で流れていって、全然もたなくなっていますからね』、広告のコピーの寿命まで短くなったのは、時代の流れがそれだけ目まぐるしく、速くなってきたからなのだろうか。
・『--でも小田嶋さんは、平昌五輪のときにコメンテーターとして「報道ステーション」にちゃっかり出演していたじゃないですか。満面の笑みで、「いや、感動した」とか何とか言っていましたよね。 岡:そんな小泉純一郎みたいなことを言っていたのか。 小田嶋:あれね。 ーー出張先でテレビを見ていたら、いきなり小田嶋さんが出てきて、飲んでいたお茶を吹いちゃいましたよ。 小田嶋:うっかりと、何かよくないことを言っちゃわないか、自分的には大変だったのよ、実は。 岡:そうだよね。とりわけ小田嶋の場合は。 --危ない。 小田嶋:だから、我ながら、すごい官僚答弁になって(笑)。普段、切れ味のいい人が官僚答弁になるときは、どうしてああも切れ味が鈍るのかというと、ある種の事情を抱えているからだ、ということがよく分かりましたね。 岡:うーんとか言っていても、だめだしね。 小田嶋:たとえば、ちょっとはしゃいでしまいがちなフィギュアスケートの感想にしても、難しい。うっかりしたことを言えない。 岡:フィギュアだとコアなファンの反応が、結構大変なんだよ。前回、前々回冬季五輪のキム・ヨナね。あれ、僕は、応援したいな、なんて思っていたんだけど、なんか日本でそれを表出するのは、難しい雰囲気だった。とりわけキム・ヨナが出ているときに、家の中で応援するのは、はばかられた。 --家の中、とは? 小田嶋:だから、浅田真央さんじゃなくて、キム・ヨナを応援するって、ある種、何というか、キャバクラ嬢にお熱みたいな、そういうニュアンスが出てしまうから。 岡:もちろん僕はアスリートとして応援しているんだけど、キム・ヨナはバブルのときに、いちばんもてたタイプなんですよ。だから、応援したいけど、応援しちゃいけないって、気持ちにブレーキがかかる』、キム・ヨナを「家の中で応援するのは、はばかられた」、「キム・ヨナを応援するって、ある種、何というか、キャバクラ嬢にお熱みたいな、そういうニュアンスが出てしまうから」というのには、驚くと同時に納得した。
・『小田嶋:韓国の女子プロゴルファーとか、あと、ロシアのフィギュアスケーターにも、その匂いがある。キム・ヨナって顔立ちがきれいだ、というきれいさじゃなくて、動きだとか、振りだとか、表情だとか、彼女がつくり込んだものが大衆にアピールする、というきれいさだったんだよね。 岡:だから、セクシーということはいえる。 小田嶋:「彼女はセクシーである」というのは日本語だと、そのまんま「セクシー」なんだけど、中国語だとセクシーって「性感」って字になるんだよね。だから、そういうスケーターの記事には性感女王とか書いてある。 --それで? 小田嶋:いや、だから、その、中国語ってそういうふうに書いちゃうんだ、というお話です。 --どこで見たの? 小田嶋:いや、その、どこで見たのか思い出せないけど。ただ、ああ、中国では性感なんだ、こういうふうに言うんだ、って。 --違うかもしれないよ。 小田嶋:いや、でも、セクシーということを中国語で表現すると…… --官僚答弁になっていますよ。 岡:まあ、だから、次、行きましょう。 小田嶋:はい、次に。サッカー・ワールドカップですかね(やれやれ)』、WEB検索して確かめたところ、「セクシー」は中国語だと確かに「性感」(他に「妖媚」との訳も)のようだ(Weblio辞書)。
・『ハリルホジッチ解任は禍根になる  岡:ワールドカップも、僕の中ではかなり昔感が出てしまっちゃっているね。 小田嶋:いや、ハリルホジッチを辞めさせたことについては、俺はいまだに納得していないぞ。その点については、俺は昔のこととして、流していない。あれはひどい話だった。きっとこの先、10年、20年にわたって、日本サッカーの禍根になると思います。 岡:ただ、今、森保一監督が結果を出しちゃっているでしょう。 小田嶋:そうなんです。森保さんが結果を出していることも、かえってよくないような気がするんだけど。もちろん、彼はすごく優秀な監督です。ただ、ハリル解任の問題というのは、試合に勝った負けたのことではなくて、日本のサッカー協会の指示系統の問題なんだよ。これまで、あらゆることを全部、外国人監督のせいにして乗り切ってきたという、そのアンフェアなガバナンス体質が、いまだに直ってないで、そのまま進んでいるということが、俺としてはとても引っ掛かるのね。 岡:ハリル解任劇を広告業界的に説明すると、結局、ハリルが本田圭佑選手を切ろうと思っていた、というところに焦点がある。本田を切ることだけはできないよ、というのが、広告業界の総意だったんです』、いくら「広告業界の総意」だったしても、監督にどこまで任せるかを明確にしなかったサッカー協会の罪はやはり重そうだ。
・『オシム監督の強烈なメッセージ  小田嶋:それはあり得る話だよね。もちろん広告業界の後ろには、有名なスポーツメーカーがいて、一番マネーを生んでくれるのは、やっぱり本田選手だったから。そのことはハリル以外の歴代外国人監督にとっても、昔から根深くある問題で。オシムさんが来たとき、最初の代表戦に招集したメンバーは、13人しかいなかった。それが全員スポンサーの付いてない選手で、偶然とはとうてい思えなかった。 岡:それは間違いなく、偶然ではないよ。 小田嶋:オシムが発したメッセージは、俺は企業とひも付きの選手は使わないよ、ということだったと思うんだよ。 岡:強烈なメッセージだよね。 小田嶋:それで、あのときもメンバー選出で揉めに揉めたわけです。これは日本に限らず、どの国でもそうなんだけど、スター選手にはファンがたくさん付いていて、スポンサーもたくさん付く。テレビ局も、一番数字が取れるぞ、という話になる。もちろんそういうスター選手は、そこそこの実力もあるし、ある程度の堅実な結果は得られる。でも、監督がスポンサーの意向を受け入れてしまうと、望ましいチーム改造はできない。 岡:だから西野監督って、最初から苦渋に満ちていたじゃないか。「俺のチームじゃない」と言っていたし、「終わったら辞めるんだ」ということもずっと言っていた。あれほどはっきり「辞めたい」と言いながら、就任する人はいないよ。 小田嶋:事情絡みを俺はのみ込むよ、ということだったんだろうけど。 岡:協会とか関係者とかに十分に言い含められてしぶしぶ表に出た、という感じだったものね。 小田嶋:とにかくハリル解任の責任が、どこに帰するのか、まるで分からなかった。あらゆる意味で日本的なやり方でしたね。 岡:その後、森保監督になって、チームが若返ったら、試合運びは断然速くなったよね。 小田嶋:そもそもハリルホジッチは「デュエル(1対1の競り合い)」ということを掲げて、速いチームを作ろうとしていたんです。今、サッカーは身もフタもなくスピードアップされているから、チームに速さがあるということは、勝ち方としてすごく気持ちがいい。 岡:森保ジャパンでは、スピード感のある、気持ちいい攻め方になっているよ。 小田嶋:森保監督は賢い人だから、ハリルホジッチがやろうとしたことの、いい部分をちゃんと拾っているんです。だから、今は戦術的には穴はないんだけど、あの協会のガバナンスのひどさというのだけは残っていて、これからもいろいろな影響を及ぼすんじゃないかと思います。 岡:僕はサッカーに詳しくないんだけれど、ワールドカップでは日本‐ベルギー戦で日本が2点を先取していたのに、後半、相手のなすがままに3点を取られて負けた試合がありましたよね。試合に際しては、事前にいろいろなシミュレーションをやっていると思うんですよ。1対0、1対1、あるいは逆転されたらどうするか、とかね。でも、あれを見ていた限りでは、「後半に2対0で勝っている状況」は想定されていなかったんだな、という感想を持ちました。 小田嶋:そうかもしれない。格上相手に後半、2対0で先行している、というシミュレーションはね。先行していたのに、後半でひっくり返されるという状況は、サッカーではあまり起きないことではあるんだけどね。 岡:ラグビーでは弱いチームが前半をリードして、後半にぼろぼろになるということはよくあるよね。この間のラグビーのテストマッチでも、イングランド代表を相手に、日本代表が前半15対10でリードしていたのに、後半はぼろぼろに負けた。 小田嶋:ラグビーでは、おなじみの展開だよね。あのパターンはアメフトも同じなのか? 岡:同じですね。実力のあるチームは後半に強い。 小田嶋:そうか。コンタクトの強いスポーツは、強いチームほど後半に強くなるんだね。ただ、サッカーは比較的それが表に出ないんだけどね。 岡:昔を振り返ってみると、「ドーハの悲劇」だって、同じパターンだったよね。最後の最後、よりによってロスタイムで気が抜けた瞬間に、ぼろぼろになったというのは、何だったんだろう、あれ、と、ずっと不思議に思っている。 --ということで、ある意味で岡さんにとって本丸、日大アメフト部事件に行きましょう。 岡:うん、これは話せば長くなる。 小田嶋:岡はアメフトについては一家言がある人だからね』、ワールドカップでの日本がベルギーに大逆転されたことや、「ドーハの悲劇」がサッカーではあまり起きないことなのに、実際には起きた理由を知りたかった。残念。
・『ついに岡康道が日大アメフト部事件を斬る  岡:僕たち、今、早稲田大学で偶然、同じ日に講義を受け持っているから、今年は小田嶋ともよく会ったよね。 小田嶋:講義後、麻雀になだれ込んだときの話題だったね、日大アメフト事件は。 --それ、同じ日に講義というのは、偶然ではないですね。先に麻雀ありきが見え見えです。 岡:いや、そんなことはない。 小田嶋:偶然です。 岡:それで、日大アメフト事件では、まず加害者と被害者がいるという前提で、犯罪シーンと目されるものがテレビやネットで流れたんです。あれは衝撃でした。僕は長い間、アメフトの選手としてプレーもしたし、プレーも見てきた。けれども、あのようなプレーは見たことがなかった。 小田嶋:やっぱりなかったか。 岡:ない。生涯で初めて見た。そのぐらいひどい。 小田嶋:だって明らかに、プレー時間が終わってからタックルしているものね。 岡:ただ、被害者の選手がその後23プレーをこなしたことは、みんな知らないでしょう。 岡:うん。だから、いろいろ騒がれたけど、結局、傷害罪とかそういったものは成立しなかったじゃないですか。 小田嶋:日大の内田さんに対しては、タックル指示が認定できないとして、不起訴処分が決定した。 岡:いったい誰がどういう犯罪を構成できるのか、という話に落着したんです。 小田嶋:でも、あのタックルのシーンは衝撃的だった。被害者の体だって、ありえないほどしなっていた』、「被害者の選手がその後23プレーをこなした」というのは初耳だ。
・『岡さんの深読み、宮川選手の深謀遠慮プレー説  岡:それを逆に言えば、宮川選手は相手がひどいダメージを受けない程度にタックルを加減した、ということなんだよ。ああいう派手なタックルをかければ、ベンチも納得するだろう。だけど、相手に決定的なダメージは負わせない、という超絶技巧のタックルだったわけ。 --本当ですか? 岡:いや、僕の推測ですけどね。 小田嶋:ということは、宮川選手って腕が立つんだね。 岡:これは本当ですが、宮川選手は、学生ではほとんどナンバーワンといっていいほどのタックラーなんですよ。彼は断然うまいのよ、日本一。 小田嶋:そうだったのか。彼は記者会見でも立派だったでしょう。この人、すごいと思いました。 岡:彼は記者会見だから立派だったんじゃなくて、大学に入ったときから立派だったんです。そもそも高校時代から選手としての評判は高かったんです。 小田嶋:ただ、日大フェニックスのあの監督とコーチは、明らかにばかじゃないですか。 岡:そこなんだよ。あくまでも僕の推測という前提で聞いてほしいんだけど、だから、あんなばかなやつらの指示を、宮川君のような優秀な選手が納得して聞くわけはないんです。ということは、彼はそれまで、上からの指示は上手にかわしていたんだと思う。 すると、ばかな監督とコーチは内心、面白くないですよね。それで「相手をつぶせ」とか、異常に感情的な指示を、あのゲームで出すに至ったわけです。「オマエは次の全日本に出るのは禁止だ」とまで言われてしまったら、選手はばかばかしいと思いながらも、形だけやって見せるしかない。これでいいんだろう、というのをやったのがあのプレーだったんです。 小田嶋:なるほど。 --だとしたら、すさまじい「人生の諸問題」の解決法ですが……ーーあくまでも岡さんの推測です、ということを、ここでもう一度お断りしておきます。 小田嶋:その後、日大側は学生がさらし者にされちゃうからうんぬんという、おためごかしの理由で記者会見をすごく止めていたけれど、彼はちゃんと表の場に出てきて、見事に説明したでしょう。あの記者会見を見て、ああ、この選手はただ者じゃないな、とびっくりした。 岡:ただ者じゃないですよ。本当のことを自分の言葉で言っているし、感動したもん。 小田嶋:とても20歳とは思えない。今は大谷翔平にしても、ゴルフの松山英樹、石川遼にしても、今の宮川君にしても、あの年齢で、ああいう立場に立つ選手が、身体的にも反射神経的にも精神的にも、非常にしっかりしていますね。そうじゃないと一流にはなれないんだろうけど。 岡:みんな、自分自身と、自分を取り巻く状況をマネジメントができる頭脳を持っているんですよ』、「ああいう派手なタックルをかければ、ベンチも納得するだろう。だけど、相手に決定的なダメージは負わせない、という超絶技巧のタックルだったわけ」との岡氏の推測は、説得力があり、感心した。ただ、小田嶋氏が「非常にしっかりして」いる選手として挙げたなかに、石川遼が入っていたのは違和感を感じた。肝心のアメリカで鳴かず飛ばずだったこともあり、私は顔も見たくない。
・『大谷選手のインタビューに感動  小田嶋:大谷翔平のインタビューを聞くと、完成度が高くて、ひっくり返るものね。 岡:今年の夏、僕、アナハイムのエンゼル・スタジアムで3試合見てきたんだよ。 小田嶋:おお、バーランダーからホームランを打った場面か? 岡:もう、素晴らしかったですよ。見ていて泣きそうになった(泣)。 小田嶋:バーランダーはアメリカ球界のエースですからね。そのエースからホームランを取ったというのは、とんでもない話で。 岡:次の日に、大谷が報復のデッドボールを受けたでしょう。 小田嶋:そうそう、その報復デッドボールについて記者が質問したときの、大谷の返しも見事だったね。 岡:「私もピッチャーをやるし、もちろんミスピッチもある。気にしていない」と。 小田嶋:相手は報復の話を聞いているんだけど、ピッチング技術にうまくすり替えていてさ。 岡:そのあたりのスマートさはどうだ、と、記者まで絶賛している。あっちでは3塁側がホームなんだけど、ベンチを見ていると、ベンチから身を乗り出しているのは大谷選手だけなんです。だからもう、すでにチームを引っ張っている感じ。 小田嶋:おお。 岡:日本から、かわいい男の子が来たぞ、というレベルではなく、すでに大谷がチームをまとめるリーダー格になっている。4番バッターでバーランダーからホームランを取って、ピッチャーもやって、ベンチから1人だけ身を乗り出すというのは、これはどうよ。これまでの日本人のすごい選手でもできなかったことですよ』、確かに大谷は凄い。来シーズンは手術の影響が残らないことを祈りたい。
・『「日大アメフト立て直し」という美談へのシフト  --もう一度、日大問題に戻しますか? 岡:そうだ。戻そう。それで、日大の監督とコーチはクビになった。それは当然だと僕も思う。次に、だめだめになった日大を立て直すために、京都大学でアメフトチームを甲子園ボウルに連れていった水野弥一監督を、日大が受け入れようとした。それは日大の父兄も了解して、選手も盛り上がったんです。ペナルティで1年のブランクがあっても、次は水野さんの下で甲子園ボウルへ行くぞ、とね。ところがここで、日大の新監督候補者を審査する選考委員会という、不思議な会が立ち上がっちゃって、そこに関学大のOBが送り込まれたんだよ。 小田嶋:どういうこと? 岡:日大は自浄力が機能しない状態だから、外部の目も入れましょう、その際は被害者側にも入ってもらって管理しましょう、という話になった。その選考委員会で、水野さんの日大新監督就任について、高齢であるとか何とか、いろいろな反対が唱えられて、結局、立命館出身の、実績が薄く、僕も知らない人が日大の後任監督になっちゃったわけ。 小田嶋:京大の老監督が乗り出して、日大を復活に導くってことになったら、それはものすごくアングルのいい話だよね。 岡:そうなんだよ。水野さんと、亡くなった日大の篠竹監督というのは、かつて甲子園ボウルで熱闘を繰り広げ、永遠のライバルと称されていた。となると、かつて伝説のライバルだった京大の水野監督が、日大フェニックスを、文字通り不死鳥のようによみがえらせる、という、すごいメディア映えのする話になる。完全に日大サイドのストーリーになっていっちゃうんです。 小田嶋:そうか。そのようないい話として着地されちゃあ、関学としては穏やかではなくなるね。 岡:主人公が、被害者である関学じゃなくて、加害者の日大になってしまう。こんなばかな話があるか、と。 小田嶋:それは、笑って見過ごせないだろうな。 岡:ということで、最大のライバルの立ち直りをつぶしにかかった。これは全部推測ですよ。でも、そうとしか読めないんだ、この話は。事実、日大は強いから、すでにもうフェニックスは、復活劇の主人公になりつつある。 小田嶋:不起訴処分になったことで、内田さんは懲戒解雇は無効だと、日大を訴えているよね。 岡:今度はまた、そういう泥沼に発展している。 小田嶋:こういうことって、メディアでばーっと騒がれて炎上するでしょう。そこで炎上して、半年ぐらいたった後に、ところで、あんなに炎上したあの事件ですけど、結局、不起訴になりました、みたいなことになっても、世間って、「ああ、そう」ぐらいしか反応しない。 岡:現時点では、もうどうでもよくなっている』、関学がそんな「汚い手」を使ったとは初めて知ったが、スポーツマンシップにもとる行為だ。
・『おっさん猿山問題はつづく  小田嶋:事件の消費サイクルが、すさまじく早くなっているんだよ。それで、輪島も死んだしな、とか、関係ないことがくっ付いてくる。輪島と日大アメフト部事件はもちろん全然関係ないんだけど、日大のあの、内田さんの上の田中理事長とツーカーだったという人も、この世からいなくなったんだからということで、いろいろ話が済んでいく。 岡:「そだねー」の消費の早さと同じだね。 小田嶋:そこに戻ったね。テレビが流行語大賞のベースにあった昔は、年末にその1年を振り返るちょうどいいフックになっていたんだけど、今はネットで火がつくようになって、その燃える速度が速くて、消える速度も速いから、前半の6月以前の流行語って5年ぐらい前の話感になって、ちょっと振り返るには距離があり過ぎるみたいになっているね。 岡:流行語大賞というのは、もう年間ベースでは成り立たなくなっている。 小田嶋:ツィッターのトレンドワードなんて、3日ぐらいしかもたないですからね。 岡:流行、じゃないけれど、今年は日大の次に、レスリングもボクシングも体操も相撲も、ってパワハラ問題がずらずらと出ましたね。 小田嶋:スポーツ団体のガバナンス問題表出の年だったね。でも、世間は、スポーツ競技団体って軍隊かよ、ということで驚いてみせていたけれど、あれって別にスポーツ団体だけの話じゃなくて、日本の男の組織全体の問題だと思うわけだよ。よって、要するに、日本のスポーツ競技団体のガバナンスの問題というのは、日本の組織というもののホモソーシャル的パワーバランスの問題と、全部がひとつながりだと思うんだよね、ということを俺は考えていて。 --えっと、何を言っているのですか? 岡:いや、さらに一回りして、第2回のおっさん問題の話に戻ったんだよ(こちら)。 小田嶋:そうそう。日本のおっさんは、みんな猿山に生きているという。 岡:俺たちはサルか、と。 小田嶋:だから俺が入院で身をもって経験した話――女性はどんな人とも、入院患者として打ち解けられるけれど、男は猿山の関係性の中でしか生きられないので、入院生活で孤立するという問題とも、つながっているんだよ。 --根が深いですね。 岡:だから難しいんだよ、あれ。 --どこが難しいですか。 岡:いや、ちょっと言ってみただけだけどさ』、「日本のスポーツ競技団体のガバナンスの問題というのは、日本の組織というもののホモソーシャル的パワーバランスの問題と、全部がひとつながりだと思うんだよね」との小田嶋氏の指摘は、言い得て妙だ。
・『そしていつまでも「諸問題」はつづく  小田嶋:どこかのフェミの人たちが言っていたことで、それはそうだなと賛同できたのは、そういう組織は女性を強制的に入れないとだめだということだった。男って集まっちゃうとゴッドファーザーの世界になるんです、それこそ外国人でも(※そういえば、こんな回もありました→「男だったら、天下国家を語れるべき? 『ゴッドファーザー』と『おじさん』と『おばさん』と」)。 岡:そうね。陸上部と水泳部が比較的そうならないでいるのは、男女一様に練習をするからかもね。それと競技の性質からいって、個人競技が主体であるとか。 小田嶋:ともかく男だけ集めておくのはよくない。 岡:だから、この対談も清野さんがいるおかげで続いている。 小田嶋:そうそう、我々のいうところの上下関係とは違う、まったく別の立ち位置から、いつもナチュラルに説教してきますからね。 岡:うん。 --何ですか、その説教って。 小田嶋:いや、説教しているじゃないですか、いつも。 ヤナセ:いや、また、僕が途中入りしてすみませんが、説教じゃないですよね。オダジマさんの言葉の使い方が間違っています、すみません。 小田嶋:まとめの文面にも、説教感が出ているもんね。 ヤナセ:あ、せっかく僕が消そうとしたのに。 --しょうがない人たちだな、とは思っていますよ、おほほほ。 全員:……そうだね。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院・柳瀬研究室にて ーー「人生の諸問題NBO編」は、ここでいったん幕を閉じますが、諸問題チーム一同、またどこかでお目にかかれますことを楽しみにしています。今まで、ご愛読いただき、どうもありがとうございました』、「そういう組織は女性を強制的に入れないとだめだということだった。男って集まっちゃうとゴッドファーザーの世界になるんです」との指摘も、その通りで、大賛成だ。このシリーズが幕を閉じるのは、残念だ。このシリーズの一覧は下記リンク参照。
https://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070906/134215/
タグ:人生論 日経ビジネスオンライン (その2)(人生の諸問題@NBOファイナル その3:偏差値70の高校野球選手は大学に行くべきか?、その4:“超絶技巧タックル”に学ぶわれらの諸問題) 小田嶋 隆 岡 康道 対談 清野 由美 「人生の諸問題@NBOファイナル その3:偏差値70の高校野球選手は大学に行くべきか?」 「2018年を振り返る」の本題 相撲協会と貴乃花 そもそも相撲界って、中学を卒業したぐらいから入門するから、社会経験がゼロみたいな人たちだらけなんですよね 相撲協会の仕組みというのは、現役時代をそのまま反映しているということで、社会とか世間とかとは、とんでもない断絶が普通になっている世界 その猿山社会が、そのまんま協会の理事長や理事に横滑りするんですよ。大横綱だった人が理事長、大関が理事って具合に、番付そのままにマネジメント機関の地位が決まっていく 日本のスポーツ界 現役トップは競技団体トップに向くか? 実は競技でトップに立っちゃう人というのは、ある意味、視野の狭い人 サッカーやバスケでは、名監督になった名選手は、ほぼいないです。だいたい補欠だったりした人が、後に名監督と呼ばれたりするようになる 有名高校選手がそろってプロへ 去年の清宮幸太郎君以来、大学進学の価値がどんどん下がってきているんだな、と、ちょっとショック スカウトの目とメディアの目は違う 高校ピークで、伸びしろがいかがなものか、と 日ハム的には元が取れる 根尾は、これまた大人ですからね 勉強の方も偏差値が70いくつかで、医学部に行っても全然不思議はないという話 根尾はいずれ、どういう形であれ、日本の野球界でマネジメント側に立って、全体を背負うんじゃないかと、18歳にして感じさせる 素質に恵まれていて、勉強もできるのに 江川の例 慶應は早稲田と違って、スポーツ枠がなかった 全共闘が不正入試を許すのかと騒いだもんだから、大学としては江川を採る道がまったくなくなってしまった 慶應に入れなかったことにコンプレックスを持つというのは、ちょっと気の毒なねじれだ 大学を出ておかなきゃ格好がつかないよ、という価値観が、我々の世代のころは、スポーツ選手でもまだまだ根強かった 昔はプロ野球よりも、6大学野球の方が全然上だったのに 「人生の諸問題@NBOファイナル その4:“超絶技巧タックル”に学ぶわれらの諸問題」 昔は広告のコピーでも、2~3年はもっていたものだけど、最近は1年前、半年前がすごい昔に感じられるようになって、コピー自体も一瞬で流れていって、全然もたなくなっていますからね キム・ヨナが出ているときに、家の中で応援するのは、はばかられた キム・ヨナを応援するって、ある種、何というか、キャバクラ嬢にお熱みたいな、そういうニュアンスが出てしまうから セクシー 中国語だとセクシーって「性感」 ハリルホジッチ解任は禍根になる ハリル解任の問題というのは、試合に勝った負けたのことではなくて、日本のサッカー協会の指示系統の問題 あらゆることを全部、外国人監督のせいにして乗り切ってきたという、そのアンフェアなガバナンス体質が、いまだに直ってないで、そのまま進んでいる 本田を切ることだけはできないよ、というのが、広告業界の総意だったんです オシム監督の強烈なメッセージ 最初の代表戦に招集したメンバーは、13人しかいなかった。それが全員スポンサーの付いてない選手 監督がスポンサーの意向を受け入れてしまうと、望ましいチーム改造はできない 今、サッカーは身もフタもなくスピードアップされているから、チームに速さがあるということは、勝ち方としてすごく気持ちがいい 日本‐ベルギー戦で日本が2点を先取していたのに、後半、相手のなすがままに3点を取られて負けた試合 先行していたのに、後半でひっくり返されるという状況は、サッカーではあまり起きない ドーハの悲劇 ついに岡康道が日大アメフト部事件を斬る 被害者の選手がその後23プレーをこなした 岡さんの深読み、宮川選手の深謀遠慮プレー説 ああいう派手なタックルをかければ、ベンチも納得するだろう。だけど、相手に決定的なダメージは負わせない、という超絶技巧のタックルだったわけ 彼はちゃんと表の場に出てきて、見事に説明したでしょう。あの記者会見を見て、ああ、この選手はただ者じゃないな、とびっくりした 大谷翔平 松山英樹、石川遼 宮川君 身体的にも反射神経的にも精神的にも、非常にしっかりしていますね 自分自身と、自分を取り巻く状況をマネジメントができる頭脳を持っているんですよ 大谷選手のインタビューに感動 私もピッチャーをやるし、もちろんミスピッチもある。気にしていない」 「日大アメフト立て直し」という美談へのシフト 京都大学でアメフトチームを甲子園ボウルに連れていった水野弥一監督を、日大が受け入れようとした 日大の新監督候補者を審査する選考委員会 そこに関学大のOBが送り込まれた 結局、立命館出身の、実績が薄く、僕も知らない人が日大の後任監督になっちゃった 主人公が、被害者である関学じゃなくて、加害者の日大になってしまう。こんなばかな話があるか、と おっさん猿山問題はつづく 今はネットで火がつくようになって、その燃える速度が速くて、消える速度も速いから、前半の6月以前の流行語って5年ぐらい前の話感になって、ちょっと振り返るには距離があり過ぎるみたいになっているね 世間は、スポーツ競技団体って軍隊かよ、ということで驚いてみせていたけれど、あれって別にスポーツ団体だけの話じゃなくて、日本の男の組織全体の問題だと思うわけだよ 日本のスポーツ競技団体のガバナンスの問題というのは、日本の組織というもののホモソーシャル的パワーバランスの問題と、全部がひとつながりだと思うんだよね そういう組織は女性を強制的に入れないとだめだ 男って集まっちゃうとゴッドファーザーの世界になるんです
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