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ポピュリズムの台頭(その4)(トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威、トランプ主義で世界に広がる極右ポピュリズム ブラジルにも登場 連鎖する排外主義、「反日」だけが頼みの綱に 韓国・文在寅政権 トランプだけではない ポピュリズムのもたらす独裁政治が世界に蔓延) [世界情勢]

ポピュリズムの台頭については、昨年4月6日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その4)(トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威、トランプ主義で世界に広がる極右ポピュリズム ブラジルにも登場 連鎖する排外主義、「反日」だけが頼みの綱に 韓国・文在寅政権 トランプだけではない ポピュリズムのもたらす独裁政治が世界に蔓延)である。

先ずは、在独ジャーナリストの熊谷 徹氏が昨年7月20日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「トランプ欧州歴訪が示したポピュリスト帝国主義の脅威」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/219486/071900044/?P=1
・『米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が7月16日に行った共同記者会見は、欧米の多くの政治家、報道関係者を改めて戦慄させた。トランプ氏は「建設的な会談だった。これまで最悪だった米ロ関係が、この会談以降は大きく変わる」と断言。シリアやウクライナなどで継続する国際紛争をめぐってロシアを批判することを避け、友好的な態度を貫いた。プーチン氏が米ロ首脳会談に先立ち貿易や防衛予算をめぐってドイツをはじめとする西欧諸国を厳しく批判した態度とは対照的だった。 プーチン氏にすり寄るかのような米国大統領の態度は、米国の保守派政治家たちの眉をひそめさせた。米国大統領の欧州歴訪は、ポピュリストが権力の座に就いた時に国際社会に生じる危険な「ねじれ」を浮き彫りにした。 ねじれ現象とは、冷戦時代に固い結束を誇っていた米国と西欧諸国が対立し、米国の大統領がかつての敵ロシアに対し奇妙なほど宥和的な態度を見せる状態だ。これまでの敵・味方の概念が通用しなくなりつつある。 トランプ氏の今回の欧州歴訪での発言はしばしば変化し、多くの報道関係者を混乱させた。たとえば7月11日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でドイツなどを批判したかと思うと、翌日にはNATOを称えた。だがその直後の7月15日にはロシアと中国だけでなく欧州連合(EU)をも敵と呼んだ。米国大統領がEUをロシア・中国と同列に並べて敵と形容したのは初めてのことである』、トランプの「ロシアかぶれ」もここまでくると、当選前の訪ロ時に破廉恥な「弱味」を握られたためではないか、との疑惑がいよいよ真実味を帯びてくる。
・『ロシアの拡張政策を批判せず  トランプ氏の態度が最も激しくねじれているのは、ロシアに対する関係だ。私が住んでいる欧州の主要メディアは、プーチン氏を「危険な独裁者」と見ている。同氏は2014年に国際法を破ってクリミア半島をロシアに併合し、ウクライナ東部で続く内戦で分離独立派を支援している。このため欧米諸国はロシアに対して経済制裁を続けている。 さらにロシアはシリアの独裁者バシャール・アサド大統領を支援し、ロシア空軍の戦闘機に反体制派を攻撃させている。アサド氏は、数回にわたり毒ガスを使って市民を攻撃した疑いを持たれている。2015年10月にはシリアの北西部で病院が爆撃されて13人が死亡した。国際人権擁護団体アムネスティー・インターナショナルは「この爆撃はロシア空軍が行った」と主張している。 またロシア軍はバルト3国への圧力を高めており、これらの国々との国境地帯でしばしば大規模な軍事演習を実施している。このため北大西洋条約機構(NATO)は2017年、バルト3国に初めて戦闘部隊を常駐させ始めた。NATOは、「西側に対するロシアの姿勢が敵対的な性格を強め始めた」と分析している。 だがトランプ氏はプーチン氏と会談した後に開いた記者会見で、ウクライナやシリア情勢をめぐってロシアを批判しなかっただけではなく、プーチン氏を持ち上げる態度すら見せた。会談の前日にロシアを敵と呼んだことを忘れたかのようである。 北朝鮮の非核化についても、「私はプーチン氏に金氏との会談内容と非核化計画について話した。プーチン氏とロシアはこの問題の終結を切望していると思う。ロシアの協力に感謝したい」と極めて表面的なコメントをしただけだった。 シリア内戦については「シリア危機は極めて複雑だ。米ロ間の協力が数千人の命を救うだろう。我々は過激派組織・イスラム国を掃討したが、イランが漁夫の利を得ることには反対だ」と述べ、ロシアがアサド氏を支援していることやシリアで空爆したことには触れずに、批判の矛先を自分が敵視するイランに向けた』、ロシア寄りもここまでくると、特別検察官による捜査や議会の良識派が頼りの綱だ。
・『ロシア・ゲートをめぐり発言を訂正  記者会見で圧巻だったのは、ロシアが2016年の米国大統領選挙に介入した疑惑をめぐるやりとりだった。米国ではトランプ氏の立場が日一日と苦しくなりつつある。捜査当局は、ロシアの諜報機関がサイバー攻撃によってトランプ氏の対立候補であるヒラリー・クリントン氏の支持率を下げるための工作を実施し、選挙結果を操作したという疑いを強めている。 トランプ氏は「ロシアの介入は私の勝利に影響を与えていない」と主張してきた。だが7月13日に米国の特別検察官はロシアの諜報機関員12人を起訴し、「ロシアの諜報機関は民主党本部のサーバーへの侵入を試みたり、民主党の内部文書を外部に漏らしたりすることで、クリントン氏を不利な立場に陥れようとしていた」と指摘した。つまりロシアの諜報機関が大統領選挙の結果に影響を与えたという疑惑が一段と深まった。今年11月に予定される中間選挙で共和党の勝利を目指すトランプ氏にとって、不利な事態である。 トランプ氏はこの問題についてプーチン氏との首脳会談で議論したことを明らかにした。一方、プーチン氏は記者会見で「ロシアが米国の大統領選挙に介入したことは一切ない」と疑惑を打ち消した。するとトランプ氏は「プーチン大統領は今日極めて力強く疑惑を否定した(President Putin was extremely strong and powerful in his denial today)」と強調した上で、「プーチン氏は、特別検察官が起訴した12人の諜報機関員の捜査のために、ロシア側の捜査官を協力させる準備があると言ってくれた。これは信じられないくらい素晴らしい提案だ」と相手をほめるかのような言葉も発した。 もしもロシアの捜査官を米国の捜査に参加させた場合、機微な捜査情報がロシア側に漏れたり、ロシア側が容疑者や証人に圧力をかけたりする可能性がある。特別検察官が「違法行為を行ったと見ている国」の捜査官をこの重要な疑惑の捜査に参加させるわけがない。さらに、特別検察官が進める捜査についてトランプ氏は「米ロ関係に暗雲を投げかけ、我が国を貶める行為」と改めて批判した。 ドイツの保守系日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)で外交問題を担当するクラウス・ディーター・フランケンベルガー記者は、7月17日付の第1面に掲載した社説で「トランプ氏は、自国の捜査当局よりもロシアの権力者の言葉を信じている。これはグロテスクだ」と論評した。そして「トランプ氏はプーチン氏の前でロシアの大国としての地位を承認して見せたようなものだ。もはや米国を西側社会の指導者と見ることは難しい」と厳しい批判の言葉を浴びせた。 さらにトランプ氏は記者団の質問に答えて「(米国大統領選への介入を)ロシアがやったと信じる理由はないと思う」と答えていた。しかし同氏は7月17日になって「これは言い間違いだった」と訂正した。本当は「(米国大統領選への介入を)ロシアがやらなかったと信じる理由はないと思う」と言いたかったというのだ。米国大統領が自分の発言を公式に訂正するのは異例だ。トランプ氏の側近たちは、「特別検察官がロシア・ゲートについて捜査している中、ロシアの介入はなかったと示唆するような発言を大統領がするのはまずい」と助言したのだろう。 米国の保守派政治家の間からも、トランプ氏の態度を批判する声が上がっている。共和党のジョン・マケイン議員は、この会見について論評した声明の中で「私が記憶する限り、トランプ氏がこの会見で見せた態度は、米国大統領による最も不名誉な態度だ」と断言した。そして「彼が見せた素人のような態度、エゴイズム、独裁者への共感が米国に与えた損害は計り知れない。トランプ氏がプーチン氏と首脳会談を持ったのは、誤りだった」と強い言葉で批判した。 マケイン氏は、「トランプ大統領にはプーチン大統領に対して異議を申し立てる力がない。それだけではなく、トランプ大統領は異議を申し立てる意思すら見せなかった。トランプ大統領はメディアの正当性のある質問から意識的にプーチン大統領という暴君をかばっていた。この共同記者会見は、プーチン大統領が世界中に宣伝文句と嘘を拡散するための場を提供したようなものだ」と強い言葉でトランプ氏を攻撃した』、フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)の社説が「「トランプ氏は、自国の捜査当局よりもロシアの権力者の言葉を信じている。これはグロテスクだ」と論評」したのは当然だ。米国内のトランプ大統領に対する反応もまだ健全なようだ。
・『ドイツに対する集中砲火  7月11日から2日間にわたり、NATO首脳会議がブリュッセルで開かれた。トランプ氏は首脳会議が始まる直前にドイツを「攻撃」した。 彼はロシアの大統領の前で見せた宥和的な態度とは対照的に、ドイツのアンゲラ・メルケル首相を徹底的に批判した。今回トランプ氏が取り上げた3つのテーマは、防衛予算と貿易問題、そしてロシアからの天然ガス輸入だった。 NATOは2014年にウェールズで行った首脳会議で、「2024年までに防衛費の対GDP(国内総生産)比率を少なくとも2%まで引き上げるよう努力する」という決議を行っていた。NATOによると、今年の時点で米国はGDPの3.5%を防衛費に充てている。これに対しドイツは1.24%にすぎない。 彼はNATOの イェンス・ストルテンベルグ事務総長との会談で「ドイツは防衛費を十分に負担せず、米国に守ってもらっている。その一方で、米国に対して巨額の貿易黒字を抱えている。さらにロシアから直接天然ガスを輸入するためのパイプライン『ノルトストリーム2』も建設している。ドイツはロシアの囚人(captive)になっているようなものだ」と主張した。主権国家ドイツに対する強い侮辱である。 メルケル氏はこの批判に即座に反論した。同氏は1989年にベルリンの壁が崩壊した時、社会主義時代の東ドイツで研究者として働いていた。彼女はこの経験を踏まえて「私は祖国の一部がソ連の影響下にあった東西分断時代を知っている。したがって現在祖国が統一され、我々が自分の判断で政策を決定できることを大変うれしく思う」と述べた。つまりメルケル氏は「ドイツがロシアの影響下に置かれている」という批判は的外れだと間接的に主張したのだ。 またトランプ氏は「ドイツはエネルギーの60~70%をロシアから得ている」と述べているが、この主張は不正確だ。ドイツのガス会社WINGASなどによると、2017年の時点でドイツのガス消費量のうちロシアから輸入しているガスの比率は40%、石油のロシアからの輸入比率は36.9%である。 ドイツがガスと石油の供給に関してロシアに大きく依存していることは間違いないが、ドイツはEUの対ロシア経済制裁に参加しており、「ロシアに囚われている」という表現は行き過ぎだ』、ドイツとしては、こんあ馬鹿なトランプの言いがかりに付き合う必要はないと思うが、やはりトランプが欧州安保の鍵を握っているだけに悩ましいところだろう。
・『NATO首脳会議の大混乱  メルケル氏の反論はトランプ氏の怒りを抑える役には立たず、NATO首脳会議は防衛支出をめぐって大混乱に陥った。まず初日の会議でトランプ氏が2%の目標を満たしているのが米国など5カ国に過ぎず、ドイツなど他の23の加盟国がこの目標に達していないことについて怒りを爆発させた。彼は「この目標値を2%ではなく、4%にするべきだ」とか「防衛費の対GDP比を2%にする時期が2024年では遅すぎる」と言い出した。 だが他の加盟国首脳はトランプ氏を説得して、「加盟国は2014年のウエールズでの首脳会議で設定した目標を順守する」という内容の共同声明について合意した。 ところがメルケル首相らは翌朝になって、トランプ氏が再びツイッターを通じて他国に対する不満を世界中に発信していたことに気がついた。彼(もしくは彼の側近)は、ツイッターのつぶやきを打ち続けた。その矛先は、またもやドイツに向けられていた。 「ドイツがロシアに対しエネルギーとガスのために数10億ドルも払っているとしたら、NATOには何の意味があるのだ? なぜ28カ国のうち、5カ国しか防衛費の対GDP比率の目標を守っていないのだ? 米国は欧州の防衛のために費用を負担しているのに、貿易では何10億ドルも損をしている。他の加盟国は、2%の目標を2025年までではなく、すぐに達成するべきだ」 「欧州諸国は、昨年私が欧州を訪れた時の要請に応えて、防衛費を数十億ドル追加してきた。だが彼らの追加支出は不十分だ。米国は彼らのためにカネを使い過ぎている。欧州の国境は悪い(筆者注・原文はEurope’s borders are BAD! トランプ氏が何を言いたいのか不明だ。BorderではなくLeaderと言いたかったのだろうか。彼のツイッターの質の低さを示す例文としてあえて引用した)。ロシアとのパイプラインのために巨額のカネを使うのは受け入れられない」「米国の歴代の大統領たちは、ドイツや他の裕福な欧州諸国の指導者に対して、ロシアに対抗するため防衛支出を増やすように要求してきた。だが欧州諸国は、負担すべき防衛費のほんの一部しか払っていない。米国は欧州を支えるために何十億ドルものカネを払っており、貿易では大損害を受けている」 「ドイツはロシアから自国を守りたいと思っている。しかしドイツは今やロシアにカネを払い始めた。ドイツは新しくパイプラインを建設することによって、ロシアからのエネルギーのために数10億ドルの金を払おうとしている。これは受け入れられない! 全てのNATO加盟国は防衛費の対GDP比を2%ではなく、4%にしなくてはならない!」 これらのつぶやきはNATO幹部や欧州諸国首脳を戦慄させた。彼らの頭の中には、トランプ氏が6月上旬にカナダで開かれたG7サミットで、共同声明への同意を会議の後に撤回した記憶が生々しく残っていた。さらにこの朝NATO本部では、「トランプ氏が『米国に独自の道を歩ませる』と吹聴していた」という不吉な噂も流れていた。 もしも米国が共同歩調を乱したら、それはNATOの大幅な弱体化につながる。メルケル氏らはトランプ氏が夜中に発信したツイッターのつぶやきから、彼が前日に行った共同声明への同意を再び撤回する危険があると判断し、7月12日に緊急首脳会議を開くことをストルテンベルグ事務総長に要請した。この会議は当初全く予定されていなかったものだ。この日午前に予定されていたジョージアとウクライナの大統領との会議は、後回しにされた。これらの変更は、メルケル氏ら他国首脳の危機感がいかに大きかったかを物語っている。 この会議でメルケル氏ら各国首脳は「防衛支出の追加額をこれまで予定していた額よりも増やし、これまでを上回るスピードでGDP比2%ラインに近づける」ことを約束した。この会議の後、記者団の質問に答えたストルテンベルグ事務総長は、「各国はトランプ氏の大統領就任時に比べて、防衛支出を410億ドル増やすことを約束した。これは米国の負担を減らすことにつながる」と述べ、「NATOの結束は強まった」と強調した。 トランプ氏も会議の後「議場にいた全ての加盟国が防衛費追加の額とテンポを大幅に増やすことを約束した。NATO首脳会議は大成功だった。私が大統領に就任して以来、各国の防衛支出は数十億ドルも増加した。すばらしい!」と自画自賛している』、防衛支出の増額は欧州諸国にとって出来るカードなので、切らざるを得なかったのだろう。
・『「トランプ氏の操り人形」  これに対しドイツの論壇では「トランプ氏は他の国々をまるで手下であるかのように扱った」という強い不満の声が広がっている。NATO加盟国のある参加者はドイツの新聞記者に「トランプ氏は我々をまるで操り人形であるかのように踊らせた。こんなことは一度も経験したことがない」と語っている。この言葉にはトランプ氏の一挙一動に翻弄される欧州諸国の苛立ちと不満が込められている。 ドイツ外務省の次官を務め、現在はミュンヘン安全保障会議の主催者であるヴォルフガング・イッシンガー氏は、「トランプ氏はマフィアのようなやり方で、首脳会議の行方を操った。欧州諸国はこの経験を教訓として、多国間関係を重視しなくなった米国と今後どう付き合っていくかについて、じっくりと考えなくてはならない」と語った。同盟国の元外務次官が米国大統領の挙動を暴力団にたとえる。これは、オバマ政権の時代までは想像もできなかったことである。 トランプ氏とEU諸国の対立は、まだ始まったばかりだ。同氏は、自動車輸出などドイツが痛みを伴う分野での圧力を強めていくだろう。11月の中間選挙へ向けて、彼のドイツ・バッシングが一段と強まる恐れがある。欧州諸国は安全保障や貿易に関して、米国への依存度を減らそうとする動きを今後加速するに違いない。しかし米国依存度がこれまで高かったために、「脱米」のプロセスにはかなりの歳月がかかるだろう。世界が「ポピュリスト帝国主義」の暗雲から抜け出す道は、当分見つかりそうにない』、「同盟国の元外務次官が米国大統領の挙動を暴力団にたとえる」というのは確かに異常だ。「世界が「ポピュリスト帝国主義」の暗雲から抜け出す道は、当分見つかりそうにない」というのは、やれやれだ。

次に、元日経新聞論説主幹の岡部 直明氏が10月11日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「トランプ主義で世界に広がる極右ポピュリズム ブラジルにも登場、連鎖する排外主義」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/report/16/071400054/101000081/?P=1
・『トランプ主義が暴走するなかで、世界に極右ポピュリズム(大衆迎合主義)が広がっている。ブラジル大統領選では「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右のジャイル・ボルソナロ下院議員が首位に立った。イタリアの極右、サルビニ副首相(同盟党首)が打ち出した財政拡大路線は財政規律を求める欧州連合(EU)への挑戦状ともいえる。旧東欧圏でも排外主義勢力が頭をもたげている。トランプ流排外主義に連鎖する極右ポピュリズムの蔓延は、グローバル経済を揺るがし、世界を危機に陥れる危険がある』、「トランプ流排外主義に連鎖する極右ポピュリズムの蔓延」は確かに由々しい潮流だ。
・『「ブラジルのトランプ」首位に  ブラジル大統領選では、極右のボルソナロ氏が46%の票を獲得し首位に立ったが、過半数を確保できなかったため28日に左派のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長との決選投票が実施される。予想を上回る得票だったが、ボルソナロ氏は選挙結果に不満らしく「選挙に不正がなければ、今回で決まりだった」と述べた。根拠もなく不正というあたり、「ブラジルのトランプ」らしい。 元軍人のボルソナロ氏は、軍事独裁政権を礼賛しているほか、黒人や同性愛者を差別する過激な言動が売りだが、それだけに反発も強い。それでも大統領選で首位になることが、ブラジル社会の混迷ぶりを浮き彫りにしている。国営企業の民営化など構造改革路線は市場では支持されており、ボルソナロ人気で株価や通貨レアルは上昇に転じている。 ブラジル経済は2014年ワールドカップ、2016年オリンピックと相次ぐメガ国際大会の開催を受けて、低空飛行を続けてきた。新興国は軒並み米連邦準備理事会(FRB)の利上げの余波を受けているが、ブラジルもその例外ではない。失業率は12%、財政赤字の国内総生産(GDP)比は8%と構造問題を抱えている。それだけに、極右ポピュリストの改革路線に期待も集まる。 収監中のルラ元大統領などブラジル政界には腐敗と汚職が相次ぎ、政治不信が極まっている。こうしたなかでの強権政治家への期待は民主主義の脅威でもある』、ブラジルの前政権は左翼ポピュリストだったので、選挙で左右が入れ替わったのは理解できる。
・『「トランプの壁」が揺るがす中南米  中南米にはもともと、社会に不満を抱えた人々を取り込むポピュリズムの潮流があった。その傾向がさらに強まる可能性がある。中南米はいま、トランプ米大統領によるメキシコ国境での壁建設にみられる排外主義で、移民排斥のうねりが高まっている。独裁と極度の経済難にあるベネズエラやニカラグアからの移民、難民は周辺国に流入するが、ペルー、コロンビアなどには難民排斥の動きが強まっている。トランプ大統領の国境管理に阻まれた中米の人々は、結局、メキシコでの定住を目指すことになるが、それにはメキシコ国民の不安も高まっている。 そのメキシコはトランプ政権との協議で、北米自由貿易協定(NAFTA)を米墨加自由貿易協定(USMCA)に切り替えることで合意したが、「米国第1」の色彩が濃く、数量規制による管理貿易や為替条項が盛り込まれている。ブラジル経済が低迷し、アルゼンチン経済も深刻な危機に見舞われるなかで、メキシコだけが中南米のアンカー役を担うのにも限界がある。トランプ排外主義は中南米全体を揺るがす。トランプ発の中南米危機は「極右ポピュリズム」の台頭を許す温床になっている』、中南米の「極右ポピュリズム」は当面、続くとしても、その結果が政治や社会の分断を招くとすれば、悲劇だ。
・『「ムッソリーニの再来」の挑戦  イタリアの連立政権は左派の「五つ星運動」と右派の「同盟」の左右両派のポピュリスト政権である。大学教授で政治経験のないコンテ首相が表向きは采配を振るう形だが、実権を握るのは五つ星運動党首のディ・マイオ副首相と同盟党首のサルビニ副首相である。とりわけ「ムッソリーニの再来」との異名のあるサルビニ副首相の存在感は大きい。 EU内ではあちこちで極右勢力が台頭しているが、EUの原加盟国で主要国である国の政権を極右ポピュリストが牛耳るのはイタリアだけである。フランスでは大統領選で極右、国民戦線のルペン党首を封じ込め、若きマクロン大統領を誕生させた。ドイツではメルケル政権は社民党との連立の組み方に腐心しながらも、進出する極右「ドイツのための選択肢」に待ったをかけた。オランダも総選挙で極右のウィルダース自由党党首の進出を阻んだ。それだけに、イタリアの政権が極右ポピュリスト支配に陥ったのは大きな衝撃である。 内相を兼務するサルビニ副首相は、北アフリカからの難民受け入れを拒むなど移民、難民排斥にまず「実績」を示そうとしたが、今度はEUへの挑戦に動き始めている』、「EUの原加盟国で主要国である国の政権を極右ポピュリストが牛耳るのはイタリアだけ」というのはやはり衝撃的だ。
・『後退する財政再建目標  サルビニ副首相はEUやユーロからの離脱を考えてはいないが、EUの財政規律路線を目の敵にしてきた。3月の総選挙では聞こえの良いポピュリスト政策を並べたてて勝ち上がってきただけに、公約実現を試されている。 コンテ・イタリア政権は9月末、2019-21年の3年間の経済財政計画を決定した。財政赤字のGDP比は2・4%とEU基準(同3%)以内に収めたが、2021年までに同0・2%の黒字化を達成するという目標は後退した。イタリアの長期債務残高のGDP比は130%とギリシャ(同180%)に次いで悪い。景気は緩やかに回復してきたものの、失業率は10%を超えるうえ、銀行システムの懸念が残り、ユーロ圏の最大の不安要因であることに変わりはない。財政規律が緩めば、不安はさらに高まる。 そんななかでユーロ圏の財務相たちはイタリアに「財政ルールを順守せよ」と警告している。EUはイタリアに予算修正を求める構えである。イタリアのポピュリスト政権とEUのズレをみて、イタリアの長期金利は一時4%台に上昇しており、混迷はさらに続く』、12月19日付け日経新聞によれば、「EU、イタリア予算案が当初案より財政赤字幅を縮小させたのを評価し、EU財政ルールに違反しているとして検討していたイタリアへの年内の制裁手続き入りは見送る」ようであるが、今後も、EUとの摩擦が増えるだろう。もっとも、イタリアはEUから受けるメリットの方が大きいので、英国のような離脱に発展する懸念はなさそうだ。
・『広がる排外主義  イタリアのような主要国ではないが、極右ポピュリストが政権を牛耳るEU加盟国がある。ヒットラーを生んだ国、オーストリアである。極右政党、自由党党首のシュトラッヘ副首相は日本経済新聞のインタビューで、難民を多く受け入れたドイツのメルケル首相の判断を「無責任だ」と公然と批判した。難民受け入れに寛大すぎたメルケル首相の政策姿勢は、メルケル首相本人が反省しているが、EUの盟主であるメルケル首相へのあからさまな批判は、EUの求心力が低下している証しだろう。 そうでなくでも、難民問題をめぐってEUと旧東欧圏のあつれきは強まっている。ポーランドやハンガリーは、メルケル政権主導のEUの難民受け入れ分担に強く反発してきた。司法の独立をめぐってもあつれきがある。EUはポーランドが施行した最高裁判所に関する新法について、司法の独立を侵害するとしてEU司法裁判所に提訴することにした。欧州議会はハンガリーに対して表現の自由や人権保護などEUの基本的価値に制裁手続きの開始を求めている。 こうしたEUの動きに、ポーランドとハンガリーはEUの全会一致原則をたてに、互いに発動を阻止する構えだ。 冷戦終結直後、筆者はポーランドを訪れ、外務省幹部と会見したが、驚いたのはEUへの早期加盟に強い意欲を示したことだった。EU加盟後も「優等生」として振る舞ってきた。そのポーランドはいま排外的な強権政治で、ポーランド出身のトゥスクEU大統領の頭痛の種になっている』、EUの制裁措置を、「ポーランドとハンガリーはEUの全会一致原則をたてに、互いに発動を阻止する構えだ」というのも困ったことだ。
・『バノン氏がめざす「極右連合」  こうした排外主義の広がりは、トランプ主義の影響が大きい。トランプ政権を去ったが、極右ポピュリストのスティーブ・バノン氏はトランプ大統領を大きく動かした。トランプ主義の原点はバノン主義といっていい。米中間選挙を前に、共和党はトランプ人気に頼りきりで、トランプ大統領に乗っ取られたといえる。 政権を去ったバノン氏がめざすのは、「極右連合」の形成である。イタリアのサルビニ副首相、オランダのウィルダース自由党党首、ハンガリーのオルバン首相らとの連携を模索している。狙いは来年の欧州議会でのEU懐疑派の勢力拡大である。 これは、欧州極右のさきがけとなったフランスのジャン=マリー・ルペン氏がとった戦略を見習うものだろう。冷戦末期、筆者は欧州議会選挙を取材したが、極右ルペン氏の台頭は衝撃的だった。もっとも、ルペン氏の娘、マリーヌ・ルペン氏が、「バノン氏には欧州を救えない」と一定の距離を置いているのは皮肉である』、バノンが「極右連合」を目指しているとは、やはりそうかと納得できる話だ。
・『危険な「トランプ慣れ」症候群  危険なのは、いま世界に「トランプ慣れ」が広がっていることである。米国経済が好調を維持していることで、トランプ主義にも「まあいいか」という風潮が出てきている。 しかし、そのトランプ主義がいま世界で極右ポピュリズムの台頭を許しているのは間違いない。源にあるトランプ大統領の排外主義を直視し、警告し続けない限り、排外主義は連鎖の輪を広げるだろう。それは世界経済を停滞させ、民主主義を後退させて、世界を深刻な危機にさらすことになる。極右台頭を座視した結果が何をもたらしたか。戦前の苦い教訓に学ぶときである』、岡部氏の主張には全面的に賛成である。

第三に、米国在住ジャーナリストの高濱 賛氏が1月7日付けJBPressに寄稿した「「反日」だけが頼みの綱に、韓国・文在寅政権 トランプだけではない ポピュリズムのもたらす独裁政治が世界に蔓延」を紹介しよう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55130
・『「民主主義は大衆が選んだ指導者によって死ぬ」  米国のバラク・オバマ前大統領が2018年の1年間に読んだ本として挙げている29冊の中に『How Democracies Die』(民主主義はいかにして死すか)がある。 ハーバード大学のスティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラット両教授が著した本で、2019年1月にはペーパーバック版も出た。 著者たちはズバリこう言い切っている。「民主主義は将軍たちの手によって死ぬのではなく、大衆が選んだ指導者たちの手によって死ぬ」 大衆によって選ばれた指導者は権威的な独裁者になり得る。その要因は4つある。 1つ目は、独裁者は民主的な制度・法令・慣例を拒絶し、却下する。 2つ目は、独裁者は政敵、反対者の合法性を否定する。 3つ目は、独裁者は特定の暴力を大目に見たり、けしかけたりする。 4つ目は、市民的自由(思想・言論・集会の自由)を削ごうとする。 著者たちは現代社会の政治にこの4つのカテゴリーを当てはめてこう指摘する』、「民主主義は大衆が選んだ指導者によって死ぬ」との著者たちの指摘は不気味だ。
・『権威主義的指導者4カテゴリーをすべて備える大統領  「リチャード・ニクソン(第37代大統領)を除けば、この4つの要因のうち1つとして実行した米歴代大統領はいない。ところがドナルド・トランプ(第45代大統領)はこの4つのすべてに当てはまる」 つまりトランプ大統領についてはこういうことが言えるというのだ。 トランプ大統領は、オバマ第44代大統領が決定し、議会が承認したオバマケア(医療保険制度改革)をはじめ移民政策、地球温暖化防止のためのパリ協定、環太平洋連携協定などの外交的約束を次々と一方的に破棄。 いまだに「政敵」ヒラリー・クリントン元国務長官を訴追しようと必死になっている。 さらにはネオナチスの反社会的行動を黙認するだけでなく、その支持者を周辺に起用してきた。 市民的自由が脅かされているのを見てないふりをしている。 著者たちは、こうした「トランプ政治」の兆候は、実はオバマ第2期政権後半にすでに表れていたと見ている。 「保守派のアントニン・スカリア最高裁判事が急逝した2016年、オバマ大統領はその後継に中道リベラル派のメリック・ガーランド・コロンビア特別区連邦控訴裁判事を指名した」 「これに対して上院共和党は米政治史上これまでになかったような行動に出た。ガーランド氏の指名承認するための審議どころか聴聞会すら拒否したのだ」「米民主主義を守るのは立法、司法、行政だ。その1つ、立法が行政が指名した司法に仕える最高裁判事候補を承認するか否かの重要な役割を放棄したのだ」「この時、民主主義の根幹がすでに腐り始めていたのだ。これは当今の民主主義に対する恐るべき脅威だった」』、「権威主義的指導者4カテゴリーをすべて備える大統領」がトランプ大統領とは、恐ろしい話だ。しかも、トランプ以前の上院共和党も「民主主義の根幹がすでに腐り始めていた」とはやれやれだ。
・『民主主義の基盤は「相互的寛容」と「制度上の自制」  本書の著者たちはさらに続ける。「民主主義の基盤を補強するのは、2つのノーム(規範)、つまり暗黙のルール、しきたりだ」「1つは、自分の意見に反対する者に対する配慮だ。『相互的寛容さ』(Mutual toleration)だ。もう一つは『制度上の自制』(Institutional forbearance)だ」 つまりこういうことだ。「短期的にはあなたにとっては不都合かもしれないが、長期的には良いかもしれない。逆の私にとって短期的には好都合だが、長い目でみれば良くないかもしれない」「なぜなら私は未来永劫政権の座にあるわけではない。あなたが取って代わる時が来る。それが民主主義だ。我々の政策論議に必要なのは寛容さと自制だ」 著者たちによると、こうした共和党の「規範破り」はトランプ政権誕生で一気に加速したという」「トランプ氏の選挙公約に盛り込まれた箇所の多くは自らの個人的な恨みを晴らす言葉で散らばられていた」「トランプ氏は衝動的な感情を自らコントロールできない。自らの言動をコントロールできなければ、民主主義を継続的に遂行する当事者にはなり得ない」「トランプ氏が米民主主義の死を招いているとまで言わない。だが、トランプ氏は米民主主義を死に至らしめる過程を加速させていることだけは間違いない」 「彼は『3軍最高司令官』(Commander-in-chief)であると同時に『政治規範ぶち壊し屋』(Norm-shredderd-in-chief)でもある。今、米国の政治は、『ガードレールなき民主主義』なのだ」Newsweek』、『ガードレールなき民主主義』とは恐ろしいが、言い得て妙だ。
・『プーチン、エルドアン、アドゥロ、モディも同列  著者たちは、世界にも目を向ける。 民主主義国家を自負する国の中にトランプ氏と同じような権威主義的な指導者はいないだろうか。民主主義の危機を迎えているのは国はあるのか。 著者たちによれば、「民主主義国家」という旗を掲げながら、自らの政治に反対する野党や反対勢力を「不穏分子」として投獄したり、自らの政策を批判するメディアや言論人を弾圧したり、共同謀議、国家転覆だとレッテルを張り、沈黙させている指導者は世界にうじゃうじゃいるというのだ。(むろん、共産主義独裁の中国や北朝鮮などは論外である) 著者たちが指摘する「民主主義国家と称する国家」を牛耳っている権威主義的指導者は以下の通りだ。 ロシアのウラジミール・プーチン大統領。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領、インドのナレンドラ・モディ首相・・・・。 これら指導者を選んだのは有権者である大衆だ。 その多くは自分たちに苦しい生活を強いている張本人は「保守反動」だと確信していた。そして選挙では「革新」に票を投じた。 ところが政権を取った「革新」こそが今、大衆を苦しめている。「言論の自由」を奪い、弾圧している。政府批判をする反対勢力を投獄している。 中には反政府分子を殺害するよう「指示」したとされる指導者すらいる。共産党一党独裁の中国や北朝鮮ならいざ知らず、一応「民主主義国家」を標榜している国々だ』、よくぞこれだけ権威主義的指導者たちが揃ったものだ。
・『勉強会で「権威主義的指導者」と名指しされた文在寅  筆者が定期的に参加している学者・ジャーナリストの少人数の勉強会がある。その席上、本書が取り上げられた。 出席者の1人は、民主主義国家と自称し、米国の重要な同盟国であるサウジアラビアを取り上げた。 昨年10月、サウジアラビア政府を批判していたジャマル・カショギ記者が殺害された背景には、サウジアラビアの最高権力者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子がいるのではないか、との情報がもっぱらだ。 「サルマン皇太子もプーチン氏やエルドアン氏と同じ穴のムジナだ」というわけだ。 もう1人、東アジア問題に精通する米主要シンクタンクの研究員は「韓国の文在寅大統領はどうだろう」と言い出した。 「『民主主義の敵』は必ずしも保守反動ばかりではない。左翼、極左反動も独裁化すれば『民主主義の敵』になり得る。プーチンはその典型だ」「韓国の文在寅(大統領)も左翼集団を基盤にのし上がった政治家だ」 「確かに前任者の朴槿恵(前大統領)は個人的な不正や不正腐敗などで追放され、投獄された。だがそれによって朴槿恵の成し遂げた政治をすべて否定する権限などないはずだ」「それは、トランプ大統領がオバマ前大統領のやってきたことをすべて破棄すると似ているではないのか」「その錦の御旗は『民族』『自主』『正義』そして『反日』。韓国人は何人でも『反日』を無条件に受け入れなければ生きていけないような土壌が出来上がってしまった」「そのあおりを受けて、日本との慰安婦問題では『最終的かつ不可逆的に解決した』日韓合意といった外交上の約束事まで破棄した」「それを司法は支持するかような判決を次々と出している。韓国の司法は、今や文在寅と同じ思想を持つ同じ世代の『革新』分子に牛耳られている」「本書の著者たちが挙げている権威主義的指導者の条件を満たす4つのカテゴリーうち、1と2は適用されるんじゃないか」』、文在寅のような左派ポピュリストも大いに問題だ。
・『「自分たちだけが世界のすべてと考える」 韓国のネオ『衛正斥邪派』  筆者はたまたま読んでいた著名な韓国人ジャーナリストの記事を紹介した。韓国有力紙「朝鮮日報」の元主筆、柳根一氏のコラムだ。 「今(韓国は)混沌の局面だ。庶民生活が無茶苦茶になっている。『進歩』を掲げる政府でありながら、その政策は貧富の格差を一層ひどくした」「混沌をまざまざと示すのは20代男性の最近の動向だ」「当初は文在寅大統領を支える大きな支持層だった。その後わずか半年で年齢層の中で文大統領を最も支持しない層に変わった」「実は20代だけでなく、多くの国民が自分たちの生活を以前よりも苦しくした張本人は『保守』だと確信し、『進歩』に投票した。ところがどっこい、実際にその『進歩』が彼らを苦しめているのだ」「彼らが『進歩』と考えていた当事者たちは実は『進歩』でなく、歴史の反動であり、守旧の愚か者だったのだ」「(今、文在寅政権で要職に就いている)かっての学生運動家たちは近代文明における左派ではなく、前近代の朝鮮王朝時代における『衛正斥邪派』*1のようなものだったのだ」 *1=元来は正学(朱子学)を守り、邪学(仏教や天主教など)を排斥する学派だったが、欧米列強の侵略に直面し、欧米諸国を夷狄視して排斥する学派に転じた。朝鮮王朝末期の政治思想及びその学派。「左派は自由民主主義を否定し、産業化に反対し、ビジネス文明に無知。彼らはかっての中華帝国とその子分として自分だけが世界のすべてのように考えた朝鮮王朝時代の発想に基づいて行動している」「今(韓国で行われている)戦いは大韓民国と朝鮮(北朝鮮+南朝鮮)王朝との間で起こっている」』、文在寅の取り巻きの「かっての学生運動家たちは近代文明における左派ではなく、前近代の朝鮮王朝時代における『衛正斥邪派』*1のようなものだったのだ」、というのは驚きだ。
・『渡邉恒雄氏の「反ポピュリズム論」とも相通ずる「民主主義の死」  勉強会に出席した米主要紙のコラムニストはこうコメントした。 「『保守反動独裁に対する抵抗』を掲げる自称『民主闘士』たちが政権を握ると、今度は自分たちに反対する者たちを査察し、裁判にかける。投獄する」「どこの中堅民主主義国家にも見られる現象だ。文在寅(大統領)が南北朝鮮和解だ、統一だ、と大騒ぎするのは、国内的に政権持続が怪しくなってきたからだろう。『反日』は文在寅政権にとっては命綱のようなものなんだろう」 かって読売新聞主筆の渡邉恒雄氏は著書『反ポピュリズム論』の中で「大衆迎合は国を滅ぼす」と指摘している。 まさに本書の著者たちが指摘した「民主主義は大衆が選んだ指導者の手で死ぬ」という論点にも相通ずるものがある。 著者たちが指摘した「民主主義の死」。それはただトランプ政治にだけに当てはまるものではない。 また右とか左、保守とか革新とは別次元のものだろう。(ややもすれば、「進歩」だとか「革新」と言うと、何となく反民主主義独裁とは無関係と思いがちだが、反民主主義と政治哲学は無関係だ)「民主主義は大衆に選ばれた指導者によって死ぬ」――。噛みしめたい主張だ。韓国の知識人の意見も聞きたいところだ。 本当に今、韓国では「大韓民国と朝鮮王朝の戦い」が起こっているのか』、今回の高濱氏の記事は、刺激的で大いに参考になった。
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